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Ⅴ 今後のへき地保健医療体制の整備・充実に向けて 1. 若年者の流出による人口減少,生活交通の廃止,小規模・高齢化集落の増加 2. 無医地区数が53地区,全国第2位 3. 都市部に比べ少ない医師,不足する看護職員 4. 医療提供体制の機能低下 広島県のへき地保健医療の現状 1. 医師等確保対策の推進 ① 広島県地域医療推進機構(仮称)の設立・運営 ② へき地医療を担う医師の動機付けとキャリアパスの構築 ③ へき地等の医療機関に従事する看護職員の確保 2. 医療連携体制の強化 ① へき地医療支援機構の機能強化 ② へき地医療拠点病院の機能強化 ③ へき地診療所の拡充 ④ 医療機関の再編・連携強化 ⑤ 瀬戸内海巡回診療船「済生丸」の建造 ⑥ 過疎対策事業の推進 3. へき地等の歯科医療体制の確保 4. 高度医療等へのアクセスの確保 ① 情報通信技術(ICT)による診療支援や医療情報の共有化 ② 医療機関へのアクセス確保 ③ ドクターヘリ等の活用 へき地保健医療に係る具体的対今後のへき地保健医療体制の整備・充実に向けた アプロー1. へき地医療体制の確保 2. 深刻化する医師等医療従事者の不足 3. 医療提供体制の再構築 4. アクセスの確保 広島県のへき地医療の課題 連携した取組 ●県 ●へき地を有する市町 ●へき地医療を行う医師,医療機関,大学,医療関係団体等へき地医療関係者 ●医療の提供を受ける住民 40

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Page 1: へき地保健医療に係る具体的対策 › uploaded › attachment › 13673.pdf①キャリアパス・キャリアデザインの構築業務 ・安心して勤務・生活できるキャリアパス・キャリアデザインの構築

Ⅴ 今後のへき地保健医療体制の整備・充実に向けて

1. 若2. 無3. 都4. 医療提供体制の機能低下

広島県のへき地保健医療の現状

1. 医

2. 医

3. へ

4. 高

1.

2.

3.

4.

広島県のへき地医療の課題

●県

●へき

●医療

へき地医療体制の確保

深刻化する医師等医療従事者の不足

医療提供体制の再構築

年者の流出による人口減少,生活交通の廃止,小規模・高齢化集落の増加

医地区数が53地区,全国第2位

市部に比べ少ない医師,不足する看護職員

師等確保対策の推進

広島県地域医療推進機構(仮称)の設立・運営

へき地医療を担う医師の動機付けとキャリアパスの構築

へき地等の医療機関に従事する看護職員の確保

療連携体制の強化

へき地医療支援機構の機能強化

へき地医療拠点病院の機能強化

へき地診療所の拡充

医療機関の再編・連携強化

瀬戸内海巡回診療船「済生丸」の建造

過疎対策事業の推進

き地等の歯科医療体制の確保

度医療等へのアクセスの確保

情報通信技術(ICT)による診療支援や医療情報の共有化

医療機関へのアクセス確保

ドクターヘリ等の活用

へき地保健医療に係る具体的対策

今後のへき地保健医療体制の整備・充実に向けた

アプローチ

アクセスの確保

地医療を行う医師,医療機

の提供を受ける住民

連携した取

●へき地を有する市町

関,大学,医療関係団体等へき地医療関係者

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Page 2: へき地保健医療に係る具体的対策 › uploaded › attachment › 13673.pdf①キャリアパス・キャリアデザインの構築業務 ・安心して勤務・生活できるキャリアパス・キャリアデザインの構築

1 へき地保健医療対策の目標

「県内のどこで暮らしていても適切な医療を受けられる体制の構築」

2 へき地保健医療に係る具体的対策

(1)医師等確保対策の推進

○ これまで,取り組んでいる医師確保対策を引き続き,実施するとともに,県と広

島県地域医療推進機構(仮称)とが連携して,新たな取組を着実に実施する。

① 広島県地域医療推進機構(仮称)の設立・運営

県,市町,大学,広島県医師会等が参画した新たな枠組みとして「広島県地域医

療推進機構(仮称)」を平成23(2011)年度に設立し,医師の確保や人材育成,

医師の配置調整などの医師確保対策等を総合的かつ機動的に行う。

《 広島県地域医療推進機構(仮称)の概要 》

1 設立趣旨

地域医療を担う医師の養成・確保を図るため,広島大学医学部「ふるさと枠」や岡山

大学「地域枠」の設置等により中長期的な医師確保に取り組んでいる。今後,こうした

医師が,安心して地域医療に従事し,引き続き県内への定着につながるよう,義務年限

内の適正配置のための調整機能や医師の育成をバックアップするための環境づくりなど

を担う,新たな仕組みが必要となってくる。このため,県,市町,大学,県医師会等で

構成する「広島県地域医療推進機構(仮称)」を設置し,広島県独自の医師の確保・育成

等を総合的かつ機動的に推進する。

2 役 割

不足する地域や診療科などへのふるさと枠卒業医師等の配置調整に加え,県外医師,

女性医師,定年後の医師の就業に向けた支援,地域の医療機関の連携による人材育成,

広島の魅力ある地域医療情報の発信など,医師の就業促進に向けた取組を推進する。

3 参画団体 県,市町,広島大学,広島県医師会等

4 設立時期 平成23(2011)年度

〔 主な業務 〕

① 医師確保や医師の配置調整

② 医師等の人材育成,研修機能の充実

③ 医師等の離職防止などの体制づくり

④ 広島の魅力ある地域医療の情報発信による医師の定着,県外からの医師の流入

に向けた環境づくりなど

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Page 3: へき地保健医療に係る具体的対策 › uploaded › attachment › 13673.pdf①キャリアパス・キャリアデザインの構築業務 ・安心して勤務・生活できるキャリアパス・キャリアデザインの構築

【広島県地域医療推進機構(仮称)の事業内容案】

[医師確保対策等]

項 目 機 能 現時点での機構事業内容案

①キャリアパス・キャリアデザインの構築業務

・安心して勤務・生活できるキャリアパス・キャリアデザインの構築

(対象:自治医科大学卒業医師,広島大学ふるさと枠・岡山大学地域枠卒業

医師等 ※広島大学,広島県医師会,県,市町,関係医療機関等と

連携して行う。)

・「地域医療支援会議」(広島大学,広島県医師会,県,市町等で構成)での検討医師の

派遣調整 ②医師配置調整業務

・「医師支援会議」(広島大学,広島県医師会,県,市町等で構成)の設置・調整

(対象:自治医科大学卒業医師,広島大学ふるさと枠・岡山大学地域枠卒業

医師,広島県医師育成奨学金貸与医師の県内医療機関等への派遣・

配置)

・医師・医療機関等の意向把握

③求職者・求人者間のあっせん業務

・有料職業紹介業による求職登録医師と求人登録医療機関との個別調整

(対象:女性医師等,プラチナ世代の医師,県外からのIターン・Uターン

医師など,県内で地域医療に従事することを希望する医師や,機構

での職業紹介を希望する県内外の医師など)

・あっせん調整相談員の配置,医師・医療機関等の意向把握

医師派遣・

支援機能

医師の勤

務する医

療機関の

あっせん,

調整 ④県外医師の県内招致や県内外の医師のリクルート支援業務

・ふるさとドクターネット広島等を活用した県外医師の県内招致活動

・県内外の医師のリクルート支援

⑤地域医療セミナーの実施業務

・地域医療セミナーの実施(広島大学医学部「地域医療システム学講座」,

県,市町等との連携)

⑥初期臨床研修病院の支援

・県内の初期臨床研修病院のネットワーク会議の開催

・県内初期臨床研修病院と連携した県外でのPR活動

⑦基幹病院等複数の医療機関の連携による研修システムの開発,実施支援業務

・県内の複数の医療機関が連携・協力した,不足する診療科や高度医療にお

ける医師育成「研修プログラム(後期臨床研修・専門医育成研修)」に係る

総合調整窓口業務

・周産期母子医療センター医師の研究・研修支援事業 など

人材育成・

研修機能

魅力ある

人材育成

システム

の整備

⑧新人看護職員研修のサポート業務

・新人看護職員が国のガイドラインに沿った新人研修を受講できるように県

及び広島県看護協会と連携し,病院等の自主的な取組を支援。

医師の定着

促進機能・

地域医療の

サポート

機能

医師等の

離職防止

支援など

の体制づ

くり

⑨女性医師の育児期間等への対応等,離職防止業務

・女性医師の短時間勤務導入促進支援

・ベビーシッター等活用支援

・相談窓口設置など

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項 目 機 能 現時点での機構事業内容案

常勤医師

の支援

⑩プラチナ世代の医師(勤務医を退職する団塊世代の医師等)等を地域医療に向

ける仕組みつくり

(代診や専門外の医療分野の診療応援など,常勤医師を支援する仕組み構築)

・プラチナ世代の医師等の事前登録

・医療機関・市町との連絡調整

市町・住民

の取組へ

の支援

⑪地域医療を考える市町・住民の取組への県等と連携した支援

・地域医療の維持・確保に係る地域住民の理解・協力の促進のための市町等

の取組を支援

広島県へ

き地医療

支援機構

の事務局

機能

⑫「広島県へき地医療支援機構」の事務局業務

・「広島県へき地医療支援機構」の事務局機能を機構に設置

・専任担当官(医師)の配置

・へき地医療支援に係る企画・総合調整

⑬情報収集業務

・機構の事業実施に当たっての調査や分析・評価

・関係者との連携を行うための意見交換

・地域医療情報の収集・分析・データ整理 情報収集・

情報発信

機能

情報収集・

情報発信 ⑭情報発信業務

・県内外の医療従事者や県民に対する広報,啓発・情報提供

・ふるさとドクターネット広島による県内外医師等への情報発信 など

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② へき地医療を担う医師の動機付けとキャリアパスの構築

ア 医師の育成過程等におけるへき地医療への動機付け

自治医科大学卒業医師並びに広島大学医学部ふるさと枠及び岡山大学医学部地

域枠の卒業医師の県内定着率を上げるための取組を推進する。

(ア)自治医科大学卒業医師

義務年限修了後も県内のへき地医療機関等の公立・公的医療機関に引き続

き勤務を希望するよう,医師の育成・定着に主眼を置いた処遇改善や派遣先

の調整を行う。

a 後期臨床研修の取扱い

これまで,自治医科大学卒業医師の後期臨床研修を1年間としていたが,

平成22(2010)年度から,後期臨床研修を2年間とする場合も選択で

きることとし,その場合,基本的には1年目を義務期間内(有給),2年目を

義務期間外(無給)とするが,後期臨床研修終了後に,県内の医療機関に勤

務する場合には,2年間を義務期間外(有給)とする。

〔実施例〕平成22(2010)年4月から,自治医科大学卒業医師1名が

後期臨床研修2年目を県立広島病院の臨床腫瘍科で行っている。

b 研修機会の確保

特に公立・公的病院に派遣される場合,研修機会の確保が困難となってい

るため,派遣市町等に対して,派遣協議書へ「研修機会の確保」を明記する。

c 専門医の取得促進

低限,義務年限内の内科認定医の取得に加え,後期臨床研修等を活用し

て,希望する専門診療科の研修等も促進する。

(イ)広島大学医学部ふるさと枠及び岡山大学医学部地域枠の学生等

○ 広島大学医学部寄附講座「地域医療システム学講座」により,

・ 広島大学医学部ふるさと枠の学生の定期セミナーを,2週間に一回実施す

る(平成22(2010)年6月から実施)。

・ 広島大学医学部医学科6年生に「地域医療学」講義を実施する(平成22

年4月から実施)とともに,広島大学医学部医学科5年生に対して,へき地

医療拠点病院(安芸太田病院,庄原赤十字病院,神石高原町立病院)での地

域医療実習を実施する(平成22(2010)年5月から実施)。

○ 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科「地域医療人材育成講座」により,

・ 岡山大学医学部医学科地域枠の学生も含め,医学科1年生に対して,地域

医療学の講義を実施する(平成22(2010)年7月から実施)。

・ 岡山県内の病院・診療所6医療機関において,医学科1年生を対象(9名

参加)に,地域医療実習を実施する(平成22(2010)年9月に実施)。

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(ウ)地域医療セミナーの実施

○ 広島大学医学部ふるさと枠学生,岡山大学医学部地域枠学生,自治医科大

学学生及び広島県医師育成奨学生など,地域医療を志す医学生を対象に,中

山間地域の医療現場を体験・学習する「地域医療セミナー」を開催し,地域

医療の特性や魅力について理解を深め,将来の広島県の地域医療を支える人

材を育成する。

イ 安心して勤務・生活できるキャリアパスの構築

○ 大学,県医師会,県,市町,関係医療機関等が連携して,地域医療を志す医

師(自治医科大学卒業医師,ふるさと枠卒業医師等)が安心して勤務・生活で

きるキャリアパス・キャリアデザインの構築を行い,地域医療を担う医師の確

保と定着を促進する。

○ 具体的には,大学でのキャリアパス・キャリアデザインの構築とともに,「広

島県地域医療推進機構(仮称)」において,大学,県医師会,県,市町等が連携

した地域医療支援会議(仮称)を活用して,地域医療を志す医師(自治医科大学

卒業医師,ふるさと枠卒業医師等)が安心して勤務・生活できるキャリアパス・

キャリアデザインを作成する。

③ へき地等の医療機関に従事する看護職員の確保

○ 看護職員全体の確保と資質向上を図るため,「看護師等養成の充実・強化」,

「再就業促進」,「離職防止」,「専門医療等への対応(資質向上)」を柱にした施

策を継続実施する。

○ 県北地域唯一の県立三次看護専門学校において,引き続き地域医療に貢献でき

る人材を養成していく。

○ 再就業の促進が図られるよう,ハローワークと連携し,就業相談事業を実施す

るとともに,市町と連携し,未就業の潜在看護職員の掘り起こしを行い,病院等

への就業を支援する。

○ 新人看護師等の離職防止対策として,新人看護職員研修の体制整備を図ると

ともに,子育てをしながら働きやすい職場環境整備に取組む。

○ 助産師については,「助産師緊急確保対策事業」として,助産師資格取得を支

援する修学資金貸与事業及び医療機関が自らの看護職員に助産師の資格を取得

させる場合の代替要員雇用経費への支援を平成 21(2009)年度から 3年計画で

実施している。 終年である平成 23(2011)年度に事業の効果検証を行う。

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(2)医療連携体制の強化

① へき地医療支援機構の機能強化

ア 「広島県へき地医療支援機構」の運営体制

へき地医療支援機構が担う役割の更なる充実・強化を図るため,運営体制を見

直し,県,市町,大学,県医師会等が連携して新たに設置する「広島県地域医療

推進機構(仮称)」にへき地医療支援機構の業務を行わせることとする。

【広島県へき地医療支援機構の業務】

広島県地域医療推進機構(仮称)

の業務 広島県へき地医療支援機構の業務

○ キャリアパス・キャリアデザインの構築 ● へき地で勤務する医師のキャリアパスの構築

○ 医師配置調整業務

● へき地医療拠点病院における医師・歯科医師

等の派遣登録業務及び当該人材のへき地診療所

等への派遣業務に係る指導・調整

● へき地医療拠点病院に対する医師派遣の要請

● へき地医療機関へ派遣する医師を確保するド

クタープール機能

● 総合的な診療支援事業の企画・調整

○ 求職者・求人者間のあっせん業務

● 就職の紹介あっせん,就職相談,その他就職

に関する情報提供

○ 基幹病院等複数の医療機関の連携

による研修システムの開発,実施支援

● へき地医療従事者に対する研修計画・プログ

ラムの作成

○ 情報収集業務 ● へき地における地域医療の分析

○ 情報発信業務

● へき地保健医療情報システムのデータ登録,

更新及び管理

● へき地医療拠点病院の活動評価

● へき地医療拠点病院における巡回診療の実施

に関すること

「広島県へき地医療支援調整監」の配置

総合的なへき地診療支援事業の企画・調整のほか,現場の医師と県・市町の間の

パイプ役となり,現地視察や市町の首長や医療機関の院長との意見交換等も行う

「広島県へき地医療支援調整監」を専任配置する。

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広島県へき地医療支援機構と県立広島病院地域医療支援センター

【広島県へき地医療支援機構】

◎設置場所 県立広島病院

〔事務局〕県立広島病院地域医療支援センター

○へき地医療支援調整監

(県立広島病院地域医療支援センターに所属)

〔業務〕

・へき地医療支援機構が実施する事業の企画・立案

・へき地医療拠点病院が実施する個別事業についての

指導・助言

・運営委員会等の運営に関する調整

・関係機関との連絡・調整

・その他,へき地医療を支援するために必要な業務

代診医の派遣や診療支援など「へき地医療拠点病院」としての役割も担う。

運 営 委 員 会 ○構成 ・へき地診療所又は無医地区等を有する市町

・へき地医療拠点病院

・広島大学

・広島県医師会

・広島県歯科医師会

・広島県看護協会 等の代表者

業務

・支援機構の運営

・事業に関する協議,検討

現 行

【県立広島病院地域医療支援センター】[事業実施を強化]

◎県立広島病院地域医療支援センター医師を配置

〔業務〕

○代診医の派遣や診療支援などを行う。(へき地医療拠点病院の役割を引き続き担う。)

○ドクタープール機能

○県立広島病院からの独自の医師派遣 など

【広島県へき地医療支援機構】[企画・立案を強化]

◎設置場所 広島県地域医療推進機構(仮称)

〔事務局〕広島県地域医療推進機構(仮称)事務局

○ へき地医療支援調整監(専任担当官)を配置

〔業 務〕

・へき地医療支援機構が実施する事業の企画・立案

・へき地医療拠点病院が実施する個別事業についての

指導・助言

・運営委員会等の運営に関する調整

・関係機関との連絡・調整

・その他,へき地医療を支援するために必要な業務

運 営 委 員 会 ○構成 ・へき地診療所又は無医地区等を有する市町

・へき地医療拠点病院

・広島大学

・広島県医師会

・広島県歯科医師会

・広島県看護協会 等の代表者

業務

・支援機構の運営

・事業に関する協議,検討

平成23(2011)年度以降

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② へき地医療拠点病院の機能強化

ア へき地医療拠点病院の相互連携体制の構築

○ へき地医療拠点病院を「県北地区」,「芸北地区」,「沿岸部地区」の各ブロッ

クにグルーピングし,相互連携体制を強化する。その際に,必要に応じて,新

たにへき地医療拠点病院の指定等を行い,運営費補助等の支援を行う。

○ また,他のへき地医療拠点病院やへき地診療所等の医師等医療従事者の研修,

代診医の派遣を行うなど,他のへき地医療拠点病院のバックアップ機能を担う

といった必要に応じたへき地医療拠点病院の機能分担を行う。

○ 今後,へき地医療拠点病院の指定要件や指定の見直しを検討するとともに,

必要に応じて,国に指定要件等の見直し(例えば,他のへき地医療拠点病院へ

の医師派遣などの人的支援を指定要件に加える等)を要望する。

安芸高田

東広島

府 中

神石高原

三 次

北広島

安芸太田

江田島

竹 原

広 島

福山・府中

備 北

廿日市

福 山

大崎上島

世 羅

尾 道

庄 原

三 原

府中海田

熊野

尾 三

広 島

広島西

広島中央

芸北地区

県北地区

沿岸部地区

安芸高田

東広島

府 中

神石高原

三 次

北広島

安芸太田

江田島

竹 原

広 島

福山・府中

備 北

廿日市

福 山

大崎上島

世 羅

尾 道

庄 原

三 原

府中海田

熊野

尾 三

広 島

広島西

広島中央

芸北地区

県北地区

沿岸部地区

48

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イ へき地医療拠点病院への支援の充実

○ 現在,一部のへき地医療拠点病院で行っているへき地の民間診療所への代診

医の派遣に対しても,へき地医療拠点病院運営事業の対象とする。

③ へき地診療所の拡充

無医地区等において診療所を運営する医療法人等を,市町の要望に応じて,新た

にへき地診療所と位置づけ,設備整備事業及び運営事業の対象とする。

④ 医療機関の再編・連携強化

中山間地域における医療提供体制の危機的状況を改善し,医療機能の充実強化に

向けて,医療機能の集約化,重点化とともに,連携の促進等地域の取組を支援する。

ア 公立世羅中央病院と三原市立くい市民病院の集約化・再編

世羅・久井地域における医療機能を維持するため,三原市立くい市民病院は,

平成22(2010)年4月に世羅中央病院企業団と経営統合した後,病床

(45床)を公立世羅中央病院へ移し,無床診療所として再編する。

再編後の世羅中央病院企業団くい診療所(仮称)は,世羅中央病院と連携して

在宅医療を推進する役割を担う。

公立世羅中央病院は,現在の110床を155床に増床し,増床分は救急医療

等急性期対応の病床とする。

イ 府中地域の医療機能の強化

府中市立府中北市民病院と厚生連府中総合病院の連携強化による医療機能の強

化を支援するとともに,機能に応じた病院体制の整備を推進する。

⑤ 瀬戸内海巡回診療船「済生丸」の建造

老朽化した瀬戸内海巡回診療船「済生丸」の新船建造事業に対し,岡山県,香川

県,愛媛県及び広島県の4県共同で支援し,離島における住民への医療提供を維持

するとともに,地域医療に従事する医師の研修機会の確保を図る。

⑥ 過疎対策事業の推進

過疎地域自立促進特別措置法の改正により,平成22(2010)年度から,ハ

ード事業に加え,市町が行う地域医療の確保などのソフト事業に対して,過疎対策

事業債の活用が可能となるなど,中山間地域の医療を財政面から支える仕組みが,

さらに充実をしており,市町による地域医療確保のための取組を促進する。

(3)へき地等の歯科医療体制の確保

○ 「へき地医療拠点病院」を通じた,無歯科医地区等への巡回診療などにより,

へき地等の歯科医療体制を確保する。

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○ 「在宅歯科診療設備整備事業」や「在宅歯科医療連携室整備事業」などを活用

し,無歯科医地区で特に必要とされている在宅歯科診療を推進する。

○ 中山間地域の歯科医師は高齢化していることから,歯科医師の確保に努めると

ともに,高齢者の在宅口腔ケア等を担う歯科衛生士をはじめ,必要な歯科医療従

事者の確保に努める。

(4)高度医療等へのアクセスの確保

① 情報通信技術(ICT)による診療支援や医療情報の共有化

ア 遠隔医療情報システム等の活用

現在,へき地医療拠点病院の一部とへき地診療所に整備している遠隔医療情

報システムの活用を促進するため,遠隔医療情報システムの改善に向けた検討

を行う。

例えば,現在のインターネット環境においては,地域の各医師が行っている

取組(診療のワンポイントアドバイス等)や,各地域で開催されている勉強会

をビデオ撮影したものを,ネットワークサーバーにアップロードするような

on-demand タイプの方式も,地域で従事する医師の支援には有効であると考え

られる。

イ 中山間地域医療情報ネットワークの改善

現在,救急医療情報ネットワークシステムのコンテンツとして整備している

「中山間地域医療情報ネットワーク」については,「ふるさとドクターネット広

島」のコンテンツに移行し,一体的に運営することとし,情報更新を逐次的確

に実施する。

② 医療機関等へのアクセス確保

自家用車の利用が困難な高齢者等に対し,市町等が主体となって行う医療機関

等への効果的・効率的なアクセス確保の取組を促進していく。

③ ドクターヘリ等の活用

中山間地域の医療機関等から都市部

の高度専門医療を担う基幹医療施設へ

の救急搬送等に対応するため,現行の

消防防災ヘリコプターを活用した「広

島県ドクターヘリ的事業」の実施とと

もに,新たに医療専用のドクターヘリ

を導入し,広域的な救急医療体制を構

築していく。

50

救命救急センター

広島西

広 島

備 北

広島中央

二次保健医療圏名二次保健医療圏境界

福山・府中

尾 三広島市民病院

広島大学病院

県立広島病院

呉医療センター

福山市民病院

広島西

広 島

備 北

広島中央

二次保健医療圏名二次保健医療圏境界二次保健医療圏名二次保健医療圏境界

福山・府中

尾 三広島市民病院

広島大学病院

県立広島病院

呉医療センター

福山市民病院

厚生連廣島総合病院(H23年度予定)

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3 へき地等の医療提供体制を構築する各主体の役割

(1)県の役割

○ 県内全体を見据え,県民に適切に医療が提供される体制を確保するため,医師

確保対策等に取り組むとともに,広域的な調整を行う役割を担う。

○ へき地における医療提供体制の確保に向けて,平成23(2011)年度設置予

定の広島県地域医療推進機構(仮称)において,市町を含め県内医療関係者との

密接な連携の下,積極的な医師確保対策を推進するとともに,効果的な医師配置

などに取り組む。

○ 広島大学ふるさと枠卒業医師や自治医科大学卒業医師など地域医療を担う医師

の育成と医療現場への効果的な配置,県内への定着率の向上に努める。

○ 制度的な課題への対応のため,地域の実情を踏まえた国へ働きかけを行う必要

がある。

(2)へき地を有する市町の役割

○ 地域医療の確保は,住民が地域に住み続け生活を送っていく上での基本となる

ものであることから,市町においては,まちづくりの一環として,地域医療の確

保に取り組む必要がある。

○ 市町は,住民に も身近な主体であり,住民が安心して医療が受けられるよう

に,地域の医療機関などと連携して,医師をはじめとする医療スタッフの確保に

努めるなど,地域医療を主体的に維持していくことが必要である。

○ へき地医療を担う医師が,充実した勤務をすることができる生活環境や勤務環

境を整え,地域へ医師の定着を促進するとともに,医師がスムーズに仕事ができ

るなど,円滑な医療提供体制の確保や,生活習慣病やがんなどの早期発見と早期

治療のための健康診査やがん検診など保健予防の必要性と効果について,地域住

民への啓発を行うことも必要である。

○ 高齢社会の進展に伴い,医療機関への移動手段を持たない高齢者等に対して,

交通環境の整備を行い,移動手段の確保を支援していく必要がある。

(3)へき地医療を担う医師,医療機関,大学,医療関係団体等へき地医療関係者の

役割

○ へき地医療を担う医師像として,総合的な診療能力を有し,プライマリ・ケア

を実践できる,いわゆる総合医など地域医療人材の育成に取り組むとともに,ス

ムーズな病診・病病連携のためのネットワークづくりを行う。

○ また,多職種が連携してへき地医療を担うチーム医療を推進するため,必要な

医療従事者の確保・育成に努める。

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Page 13: へき地保健医療に係る具体的対策 › uploaded › attachment › 13673.pdf①キャリアパス・キャリアデザインの構築業務 ・安心して勤務・生活できるキャリアパス・キャリアデザインの構築

(4)医療の提供を受ける住民の役割

○ 地域の医療を守るため,へき地における医療機関の重要性・必要性を理解する

とともに,市町や勤務医等と一緒に,医療機関を維持するために必要な方策や取

組について考え,実践する。

○ 各種健康診査やがん検診を積極的に受診するなど,生活習慣病やがんの予防・

早期発見・早期治療のために,積極的な取組を行う。

住 民(受療者)

●地域医療体制確保のための理解と協力

●医療機関を維持するための方策・取組みの実践

●生活習慣病やがんの予防・早期発見等への取組

住 民(受療者)

●地域医療体制確保のための理解と協力

●医療機関を維持するための方策・取組みの実践

●生活習慣病やがんの予防・早期発見等への取組

県●医師確保対策など医療提供体制の確保

●必要に応じた広域調整●地域医療推進機構(仮称)や大学等と連携した地域医療を担う医師の育成と適正配置

●地域の実情を踏まえた国への働きかけ

県●医師確保対策など医療提供体制の確保

●必要に応じた広域調整●地域医療推進機構(仮称)や大学等と連携した地域医療を担う医師の育成と適正配置

●地域の実情を踏まえた国への働きかけ

市 町●まちづくりの一環としての地域医療の確保

●地域の医療機関と連携した医療スタッフの確保

●地域における医師の定着促進●地域医療体制確保や保健予防

の取組に関する住民啓発●移動手段の確保

市 町●まちづくりの一環としての地域医療の確保

●地域の医療機関と連携した医療スタッフの確保

●地域における医師の定着促進●地域医療体制確保や保健予防

の取組に関する住民啓発

●移動手段の確保

医師,医療機関,大学,医療関係団体等へき地医療関係者●総合医など地域医療人材の育成●病診・病病連携のためのネットワークづくり

●多職種が連携したチーム医療の推進のための医療従事者の確保・育成

医師,医療機関,大学,医療関係団体等へき地医療関係者●総合医など地域医療人材の育成●病診・病病連携のためのネットワークづくり

●多職種が連携したチーム医療の推進のための医療従事者の確保・育成

へき地等の医療提供体制を構築する各主体の役割

住 民(受療者)

●地域医療体制確保のための理解と協力

●医療機関を維持するための方策・取組みの実践

●生活習慣病やがんの予防・早期発見等への取組

住 民(受療者)

●地域医療体制確保のための理解と協力

●医療機関を維持するための方策・取組みの実践

●生活習慣病やがんの予防・早期発見等への取組

県●医師確保対策など医療提供体制の確保

●必要に応じた広域調整●地域医療推進機構(仮称)や大学等と連携した地域医療を担う医師の育成と適正配置

●地域の実情を踏まえた国への働きかけ

県●医師確保対策など医療提供体制の確保

●必要に応じた広域調整●地域医療推進機構(仮称)や大学等と連携した地域医療を担う医師の育成と適正配置

●地域の実情を踏まえた国への働きかけ

市 町●まちづくりの一環としての地域医療の確保

●地域の医療機関と連携した医療スタッフの確保

●地域における医師の定着促進●地域医療体制確保や保健予防

の取組に関する住民啓発●移動手段の確保

市 町●まちづくりの一環としての地域医療の確保

●地域の医療機関と連携した医療スタッフの確保

●地域における医師の定着促進●地域医療体制確保や保健予防

の取組に関する住民啓発

●移動手段の確保

医師,医療機関,大学,医療関係団体等へき地医療関係者●総合医など地域医療人材の育成●病診・病病連携のためのネットワークづくり

●多職種が連携したチーム医療の推進のための医療従事者の確保・育成

医師,医療機関,大学,医療関係団体等へき地医療関係者●総合医など地域医療人材の育成●病診・病病連携のためのネットワークづくり

●多職種が連携したチーム医療の推進のための医療従事者の確保・育成

へき地等の医療提供体制を構築する各主体の役割

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