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1 地域医療連携に貢献する仮想化ストレージソリューション デル株式会社 公共ソリューション本部 公共ソリューション本部 システムコンサルティング部 シニアマネージャー 小野 ストレージビジネス本部 ストレージ・デベロップメントシニアマネージャー 重冨 2012 1

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地域医療連携に貢献する仮想化ストレージソリューション

デル株式会社

公共ソリューション本部

公共ソリューション本部 システムコンサルティング部 シニアマネージャー

小野 誠

ストレージビジネス本部 ストレージ・デベロップメントシニアマネージャー

重冨 徳

2012 年 1 月

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目次

1. はじめに

1.1. 地域医療連携の取り巻く現状 P3

1.2. 地域医療圏毎の地域医療データバンクから、将来の医療ナショナルデータバンクへ P3

2. 地域医療連携における、IT インフラシステムの位置づけ P3

3. 仮想化ストレージ 技術情報

仮想化ストレージ デル EqualLogic の概要と特長

3.1. 仮想化ストレージ P4

3.2. スケールアウト P5

3.3. 自律型ストレージ P5

3.4. パフォーマンスロードバランス P6

3.5. オールインワン P7

3.6. セルフインストール P7

自動レプリケーション

3.7. 自動レプリケーションの構成 P7

3.8. 自動レプリケーションのプロセス P8

3.9. 高速フェールバック P9

3.10. SANHQ を使用したレプリケーションのモニタリング P9

4. 地域医療データバンクにおける仮想化ストレージ、デル EqualLogic 活用メリット

4.1. 地域医療データバンクの概要 P10

4.2. 地域医療データバンクのストレージ要件 P11

4.3. 地域医療データバンクの EqualLogic による想定構成 P11

5. まとめ

5.1. 仮想化ストレージを活用した地域医療連携システム P12

5.2. 今後の実証実験に向けて P12

6. 参考文献

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1. はじめに

1.1. 地域医療連携の取り巻く現状

現在わが国では、医療費抑止政策、地域の患者の必要以上の高度医療をもとめて中核病院への集中

化、また、医療従事者の深刻な不足や確保難、特に救急医療、周産期医療、僻地医療の不足・偏在化が

急速に進んでおり、医療再建に向けた改革が大きな課題である。

地域医療連携とは、地域の医療機関が自ら施設の実情や地域医療状況に応じて、医療の機能分担や

専門化を進め、診療所と病院、中核病院と相互に円滑な連携を図り、住民が地域で継続性のある適切な

医療を受けられるようにするものである、患者を中心として、地域全体でより質の高い継続性のある医療

を提供する「地域完結型医療」の提供をはかる仕組みである。厚生労働省では“どこでもマイ病院”や“シー

ムレス”な医療連携のガイドラインを打ち出し地域医療連携への取り組みを促進している。

地域医療連携基盤を作る大切な要素は、IT ネットワークであり、患者を中心として、IT システムで診療

情報を共有し、診療所と病院いずれであっても、より質の高い継続性のある医療を提供する為のエコシス

テムを提供するものである。情報をデータ化することで、診療所と病院、中核病院、また自宅や介護施設

やリハビリセンターなど、一切場所を問わずに医療情報の共有化を図れるということになる。

いままで、同じ人物の患者であっても、診療所、病院、中核病院がそれぞれ異なるカルテを持ってバラ

バラの医療情報が保管されていたのが、地域医療圏の診療所・病院どこに行っても、同じ患者であれば、

同じ医療情報が記されたカルテを参照することが不可能ではなくなることを意味する。たとえ異なる病院で

あっても処方・検査・画像等の臨床情報の共有化・一元管理が可能な仕組みが提供される。

現在では、大学病院や中核病院、自治体や医師会などが主導的役割を担って、地域医療圏毎に、地

域医療圏の実情に応じた地域医療連携が行われ始めている、たとえば、長崎県で運用されている「あじさ

いネットワーク1

」や和歌山県の伊都医師会中心の「ゆめ病院」などが有名な例としてあげられる。

1.2. 地域医療圏毎の地域医療データバンクから、将来の医療ナショナルデータバンクへ

医療崩壊が進む地方部は人口が分散している傾向にあるため、面積当たりの人口が少なく、公共交通

網も都市部ほど発達していない。公共交通網を考慮しつつ実質的な医療圏域を踏まえた広域で地域医療

圏ネットワークが必要である。そしてその1つの医療圏域を1つの公立病院の中核病院や大学病院がそ

の地域の中核機能を担っていることも多いであろう。

ただし、中核都市近郊や大都市近郊の都市部は公共交通網が発達しており、患者は、都道府県や市

区町村を越えた行政府単位を越えて、患者は診療所と病院、中核病院を移動し複数の重なった地域医療

圏にできる。たとえば、埼玉県の居住者が、勤務先の東京の病院にかかることも多い。このように地域医

療圏は必ずしも一つで完結しないことも多い。そのため、ひとつの地域医療圏だけでなく、複数の地域医

療圏をネットワークの構築で構築し、最終的には全国の地域医療圏をネットワークで接続し、日本国民が

ひとつのデータバンクとして、「医療ナショナルデータバンク」として共有し医療連携を図ることが、今後重

要となると考える。

2. 地域医療連携における、IT インフラシステムの位置付け

前述で記した通り、地域医療連携をネットワークでつなぎ、患者を中心として、IT システムで診療情報を

1 長崎地域医療連携ネットワークシステム協議会 URL:http://www.ajisai-net.org/ajisai/index.htm

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共有し、診療所と病院、中核病院いずれであっても、より質の高い継続性のある医療を提供するとなると、

IT システムが非常に重要になる。患者を中心として、地域全体でより質の高い継続性のある医療を提供

する「地域完結型医療」の提供するためには IT システムは、無くてはならないものである。

IT システムとひとくくりにいっても多岐にわたるものである。たとえば、診療所と病院、中核病院の間で

情報を伝達するための「ネットワーク」、医療情報(データ)を格納して保管するための「サーバ」や「ストレ

ージシステム」、医療システムでたとえると処方・検査・画像等の臨床情報を参照するための電子カルテな

どといった「様々なソフトウェアやアプリケーション」、複数の IT システムを効率的に運用するための施設

「データセンター」などで構成されるものである。

本レポートでは、IT システムのなかでも、医療情報(データ)を保管するための「ストレージシステム」に

注目する。 医療機器の高性能化、進化に伴うデータ量の増加、並びに震災対策、バックアップ用途のデ

ータ冗長化の需要が高くなり管理するべきデータ量は近年飛躍的に増加すると考えられている。 IT 投資

全体の 20-30%がストレージシステム、データ運用管理、に使われており IT システムをよりコストパフォー

マンスのよいシステムにする為に最優先で考えなければならないシステムの一つになっている。病院内の

ストレージシステム、データ運用管理は、今後地域医療連携を見据えたシステムになる必要がありよりオ

ープンで標準技術の利用を念頭にシステム、プロセスを構築することを推奨する。

このような用途に使用するストレージソリューションとして最新のテクノロジーを搭載したデルのイコール

ロジック2

(EqualLogic)「仮想化ストレージ」がある。地域医療連携の中でこの仮想ストレージテクノロジー

がいかにストレージシステムを効率化し、運用、管理を簡素化するのか、利用方法の提言を行う。

3. 仮想ストレージ 技術情報

仮想化ストレージのデル EqualLogic の概要と特長

3.1. 仮想化ストレージ

近年仮想化テクノロジーの進化と共に民間企業を中心にサーバの仮想化が進められている。医療機

関内でもサーバ乱立を避け、仮想化技術を使った資産の削減、集中管理する傾向がある。そのようにサー

バ環境が仮想化され、動的にリソースを変更できる仮想化環境においては、ストレージ側も仮想化され、

サーバ同様に動的にリソース変更できる仮想化環境が理想的であると考える。

サーバからストレージへのアクセス経路を動的に変更可能であれば、サーバ追加、ストレージ追加を

行っても、設定変更をサーバ、ストレージ双方に実施する必要はなく高い拡張性と柔軟性を保てる、ひいて

は医療機関内部の管理を超え、医療連携することで想定されるデータ増加にも対応可能であると考える。

デル EqualLogic PS シリーズは、この機能を実現するにあたり、iSCSI を採用、プロトコルレベルで経路

の動的変更を可能としている。

2 デル イコールロジック:http://www.dell.com/downloads/jp/products/eql/dell_eql_catalogue.pdf

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たとえ患者数が減少しても、医療機器の高性能化、治療データのデジタル化、地域医療連携、BCRP などの要因

を考えると将来的にサーバ増設が見込まれているケースが多い。 増加されると考えられるサーバに対

応するストレージテクノロジーとして従来から実績のある FC-SAN によるストレージ環境においては、サ

ーバ追加時のサーバとストレージポート間の経路は完全に固定化されているため、各ストレージポート

間でリソースの利用率を平準化しにくくストレージの帯域の柔軟な拡張性がネックになる、といった課題

が運用管理者の悩みの元であった。

しかしながら、仮想化ストレージであるデル EqualLogic を導入した仮想化環境では、デル

EqualLogicが採用する iSCSIによるリダイレクション機能により、物理サーバとストレージポート間の経

路を動的に変更することが可能な為、すべてのストレージポートでの利用率を自動で平準化することが

可能であり、運用管理者の負荷を軽減する効果が期待できる。

つまりサーバ環境下においては仮想化ストレージを採用することにより、サーバ追加時の柔軟なスト

レージリソース配分が適切な形で提供され運用効率を高めることが可能である。

iSCSI Initiator は唯一設定されている仮想 IP アドレスに対して I/O 毎にログインを実施.

認 証 後 、Initiator へI/O を実施すべき最適な

認 証 後 、Initiator は指定された物理 ド

これまでの仮想化環境の課題

仮想ストレージ採用後の効果

垂直統合環境では物理サーバとストレージポート間の経路が固定化されているため、各ストレージポートリソース間で利用率を柔軟に平準化しにくい。故にサーバ仮想化のメリットを生かしきれない。

水平分割環境では物理サーバとストレージポート間の経路が iSCSI が持つリダイレクション機能により動的に変更されるため、すべてのストレージポートでの利用率が平準化する。

図 1

図 2

図 2

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3.2. スケールアウト

デル EqualLogi PSシリーズは、ストレージ増設(容量追加)と同時に、ストレージの性能を決定付け

る 3 要素(帯域/キャッシュ/ディスクドライブ数)をリニアにスケールアウトします。また、サーバからのア

クセスが仮想化されている為、ストレージ側の変更をサーバ側に意識させることなくストレージ増設が可

能です。

3.3. 自律型ストレージ

2 台以上のデル EqualLogic に分散配置されたボリュームのデータは、アクセス性能やアクセス状況

により、最適なストレージ環境を実現するためにデータを自動的に再配置する。

サーバからは何処にデータが格納されているかといった情報を意識することなく、透過的に常にアク

セス可能な状態となっていることが必要である。

デル EqualLogic PS シリーズは、この機能を実現するにあたり、ページアーキテクチャを採用し、格

納されたボリュームをページ単位に分割して、自動的な分散・最適化配置を行い、動的なボリューム管

理を可能としている。

さらに、SASやSATAなどの異なるディスクアレイの混在を構成でき、また、RAIDポリシー(RAID10、

RAID50、もしくはRAID5)の異なるアレイの混在も可能ある。

この場合、ストレージプール内の各アレイは異なるI/O特性を持つことになるが、各ボリュームのI/Oパタ

ーンを自動的に分析し、数分後には最適化を行う。これにより、アプリケーションの特性に適したアレイ

にボリュームを再配置することで、常に自律的な「パフォーマンスの最適化」ならびに「ディスクI/Oの平

準化」を実現する。

図 3

図 4

図 3

図 4

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3.4. パフォーマンスロードバランス

デル EqualLogic PS シリーズでは、ロードバランサー機能の拡張によって、インテリジェントな最適化

配置を実施可能。筐体間/内での遅延に基づくコールドデータとホットデータの交換を行い最適配置 。

本数違いのメンバーを同一プールで運用することも可能である。

デル EqualLogic PS シリーズは、下記の 3 つのロードバランサー機能により最適化配置を実現する。

1) Network Load Balancer (NLB):リダイレクション機能により、グループ IP アドレス内の各メンバー

に分散配置されているデータへのアクセスを行う。

2) Capacity Load Balancer (CLB):Pool 内の各メンバーの容量利用率がほぼ均等になるように容量

のロードバランスを行う。

3) Automatic Performance Load Balancer (APLB):HDD モデル、RAID タイプおよび各メンバーの

負荷によってデータへのアクセス性能(I/O 遅延)に違いが生じる。APLB はデータの配置によるデ

ータへのアクセス性能のばらつきを最小化するために、ホットデータとコールドデータのリバランス

(最適再配置)を行い、遅延の均等化を行う。I

3.5. オールインワン

すべての デル EqualLogic アレイにはオプションライセンス無しで、すべてのエンタープライズクラス

の拡張機能が含まれており、たとえば、スナップショット、クローン、レプリケーション、フルセットのソフト

ウェア ― Group Manager、SAN Headquarters (SANHQ)、Host Integration Toolkits (HIT) が利用

できる。ビルトインのスナップショット機能は、素早いファイル復旧、ファイルやボリューム復旧用のクロ

ーン、ディザスタリカバリ(災害復旧、DR)対策の整備に役立つレプリケーションをサポートする。

3.6. セルフインストール

医療機関の場合データを管理するだけの人材はおらず兼任する場合が多い、デル EualLogic の場合

は運用管理者自身で、GUI を使い比較的容易に、権限に応じてデル EqualLogic のメンバー追加や

RAID 構築からボリューム作成、スナップショット設定、レプリケーション設定などが出来き、運用管理者

自身による迅速な設定、業務効率をアップする。

② ① ① は、複数メンバーにまたがる自

動最適化の例

② は、同一筐体内に SAS と SSDを持つハイブリット型 EqualLogicの例

図 55

図 5

図 4

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自動レプリケーション

デル EqualLogic ソフトウェアには、ストレージシステムベースのレプリケーション機能が含まれる。これ

は、自動レプリケーションと呼ばれる機能で、ボリュームをオフラインにすることなく、リモート拠点に設置さ

れたピア デル EqualLogic ストレージアレイ側にデータボリュームを複製することができる。

自動レプリケーションは、オリジナルのボリューム(または、EqualLogic グループ全体)が破壊された

り利用不能になったりしたときの対応策として利用できる、いわば、ディザスタリカバリオプションの 1 であ

る。長距離にも対応できるこの 自動レプリケーションは、ある一時点での複製を作る「ポイント・イン・タイ

ム レプリケーション」ソリューションとなる。

EqualLogic の自動レプリケーションは、非同期通信を通してプライマリおよびセカンダリレプリカ間を

結び、増分データの同期を取る。スケジュールされたレプリケーションイベントが開始すると、前回のレプリ

ケーションイベント以降、プライマリコピーに加えられたすべての変更内容を基に、リモートコピー側のデー

タを更新する。

iSCSI(IP)転送による DR コスト削減、スナップショット技術を応用したレプリケーション先での世代管理

などを実現する。また必要に応じて WAN 高速化装置との連携により、さらなる転送容量の削減を実現す

る。

3.7. 自動レプリケーションの構成

自動レプリケーションは、“1 方向”、”双方向”、 “多対1”などのレプリケーション構成をサポートする。

フェールバック時を除けば、EqualLogic のレプリケーションは、必ずプライマリグループボリュームの

データが、セカンダリグループのレプリカセットに送信されるため、常に片方向のプロセスとなる。ただし、

互助パートナー方式もサポートしており、この場合は、2 つのサイトを運用しながら、どちらか一方に災

害が起きると、他方が復旧サイトとなる。

図 7 は、様々なレプリケーションパートナーシップ方式を示したもので、図を簡潔にするため、高速フ

ェールバックパスは、「基本的なレプリケーションパートナー間のデータパス」例のみ図示しているが、実

際は、どのレプリケーション パスでも機能する。

図 6

図 6

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3.8. 自動レプリケーションのプロセス

レプリケーションできるボリューム数は、グループあたり最大 2561個で、同時レプリケーションできる

のは、グループあたり 16 個のボリュームである。1つのアレイグループに含められるレプリケーション

パートナー数も、最大 16 個となる。1つのボリュームは、一度に 1つのレプリケーションパートナーを

持つ。

自動レプリケーションでは、プライマリグループとセカンダリグループの両方に予約済みのディスクス

ペースが必要である。必要な容量は、いくつかの要因によって決まるボリューム単位で設定する値であ

る。この値で、プライマリグループにどれくらいのスペースをレプリケーションプロセス用に割り当てるの

かが決まる。一方、引き継ぎスペースとは、グループ単位で設定する値である。この値には、プライマリ

グループ側のレプリケーションパートナーから渡されるレプリカセットをセカンダリグループ上で受領、保

存するために確保しておく合計スペースを定義する。

レプリカリザーブとは、ボリュームの全レプリカ(=レプリカセット)を保存するのに、セカンダリグループ

上の引き継ぎスペースからどれくらいのスペースを割り当てるのか、ボリューム単位で決める値であ

る。

自動レプリケーション は、初回のレプリケーション時にセカンダリストレージシステム上でコピーを作

成し、2 回目以降は、変更されたデータのみ、このレプリカコピーに同期させる。レプリカとは、それが作

成された時点 (ポイント・イン・タイム)でのボリュームの内容を再現するものである。

レプリカを最初に作成する際のレプリケーションプロセスでは、ボリュームデータ全体をすべて転送し、

2 回目以降のレプリカは、前回のレプリケーションサイクルの開始時以降から、新しいレプリケーション

サイクルの開始時までに変更されたデータのみがセカンダリグループに転送される。レプリケーションプ

ロセスをスムーズに進行させるため、必要に応じてバックグラウンドで専用のボリュームスナップショット

が作成され、その後、削除される。

ボリュームレプリカセットは、論理的に次の組み合わせから構成されるものと見なせる。

図 7 図 7

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3.9. 高速フェールバック

高速フェールバックを有効にすると、プライマリグループ上のフェールバックスナップショットに保存さ

れているボリュームデータが、常に、セカンダリグループ上にある最新版レプリカのボリュームデータと

同一になるよう維持される。セカンダリグループへのフェールオーバーを引き起こすイベントが発生し、

続いてワークロードがレプリカボリュームに変更点を書き込むと、フェールバックスナップショットは、レプ

リカボリュームがセカンダリグループ上のリカバリボリュームとして動作している間に、レプリカボリュー

ムに加えられた変更点のみを複製するので、プライマリグループへのより素早いフェールバックが可能

になる。

3.10. SANHQ を使用したレプリケーションのモニタリング

SANHQ は、複数グループの EqualLogic のパフォーマンスや状態を一元的に管理するモニタリングツ

ールある。 図 9 は、SANHQ を使用してレプリケーションイベントを比較的長時間モニタリングする場

合の画面例である。SANHQ は、各レプリケーションサイクルのステータス、経過時間、転送速度を表

示する。これらの統計情報を調べて、ストレージ容量が効率的に使用されているか、レプリケーションパ

ートナー側に十分な引き継ぎスペースがあるか、また、すべてのレプリカが所定の時間内に問題なく完

了し、RPO 要件を満たせるかの確認が可能である。

図8 図 8

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4. 地域医療データバンクにおける仮想化ストレージ、デル EqualLogic 活用メリット

本章では地域医療データバンクのストレージおよびレプリケーション要件におけるデル EqualLogic の

有効性を考察する。

4.1. 地域医療データバンクの概要

地域医療データバンクのストレージ要件として、特定地域で連携を取る各医療機関に設置されているス

トレージに保存されている電子カルテなどの医療情報を地域医療データベースがあるデータセンターに

ネットワークでつなぎ、データセンター側で各医療機関から転送された医療データを地域医療データベ

ースとして一元的に集約および解析を行い、地域医療データベースを通して各医療機関にて患者の診

療情報を共有する。

図 9

図 10

図 9

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4.2. 地域医療データバンクのストレージ要件

地域医療データバンクは、下記のストレージ要件がある。

1) 地域医療データベースを利用する医療機関は、段階的に増えて行きデータ量も増加する。よって、

オンラインで迅速に増設が出来、ディスク容量の追加に伴い性能もリニアに向上して各医療機関で

のレスポンス時間やアプリケーションへの影響を最小化すること。

◆ デル EqualLogic では、3.1 章 仮想化ストレージ機能、3.2 章 スケールアウト 3.3 章 自

律型ストレージ機能で実現

2) コストパフォーマンスの観点から、異なる HDD タイプや異なる RAID のストレージを増設しても、安

定した性能を提供すること。

◆ デル EqualLogicL では、3.4 章 パフォーマンスロードバランス機能で実現。

3) 複数の各医療機関で保存されている医療情報をデータセンターに送るための機能をストレージのレ

プリケーション機能で行うこと。(多数対一)

◆ デル EqaulLogic では、4 章の自動レプリケーション機能で実現

4) 医療費抑制の観点から、サーバー・ストレージの追加や変更がオンラインで、かつ容易に行えるこ

と。また、ストレージ管理や最適化の自動化により極力運用・管理コストが低減できること。また初

期設定、ボリュームの作成からレプリケーションの運用・管理の容易に行えること。

◆ 3.5 章オールインワン、3.6 章セルフインストールでも述べたが、デル EqualLogic が持つ

GUIと自動化機能でエンタープライズクラスのストレージであるにも関わらずセルフインスト

ールが容易にできるストレージである。地域医療データバンクのストレージ運用・管理コス

トの大幅な削減が期待できる。

本レポートでは要件の詳細は割愛するが、3章・4章で述べた仮想化ストレージ デルEqualLogicは、

上記に記述した地域医療データバンクの要件に最適なストレージと判断する。

4.3. 地域医療データバンクのデル EqualLogic による想定構成

1) 各医療機関および地域医療データバンクデータセンターにデル EqualLogic を設置

図 11

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2) 各医療機関(中核病院)と地域医療データバンクデータセンター間でデル EqualLogic のレプリケ

ーション機能により一定間隔で転送

3) 地域医療データバンクデータセンター内では、データ収集用デル EqualLogic のレプリカボリュー

ムで集約し、レプリカから加工用ボリュームとしてクローンを作成。

4) 加工されたデータは、保管用のデル EqualLogic にて保存し、分析後公開される。

5. まとめ

5.1. 仮想化ストレージを活用した地域医療連携システム

これまで、地域医療圏をネットワークでつなぎ、患者を中心として、IT システムで診療情報を共有し、地

域医療圏で共有し、さらには、全国の地域医療圏をネットワークで接続し、日本国民がひとつのデータバ

ンクとして、「医療ナショナルデータバンク」として共有し医療連携を図っていくことが重要であり、かつその

目的達成のためには、医療情報を共有するため IT システムを活用することが重要であると記した。特に

重要なポイントは、医療情報をデータとして格納するため「ストレージ」である。ストレージは医療情報(デ

ータ)を格納して保管するためのだけでなく、ストレージを活用した情報共有の方法を提言した。

また、ストレージには、IT システムの要であり、ストレージが止まるとシステム全体を止めてしまうことに

なる。そのため、IT システムを止めることなくオンラインで迅速にストレージの増設、段階的に増えていく医

療情報(データ)への対応、医療情報の容量の追加に伴ってストレージ性能もリニアに向上機能を有して

いること。複数の各医療機関で保存されている医療情報をデータセンターに送るための機能をストレージ

のレプリケーション機能で行うこと。医療費抑制の観点から、安価なハードディスクや高速なディスクを組

み合せて最適化が行え、ストレージ管理や最適化の自動化により運用・管理コストを抑える観点が必要に

なる。

今回、このような機能を満たしているストレージ製品として、具体的にデルの仮想化ストレージ「デル イ

コールロジック(EqualLogic)」を用いて、全国の地域医療圏をネットワークで接続し、医療機関および地

域医療データバンクで医療情報の共有する方法「仮想化ストレージを利用した地域医療連携システム」を

提言した。

今後このような方法で全国の地域医療連携 IT システム、また「医療ナショナルデータバンク」のインフラ

システムとして高品質な医療サービスを支えるものとなると信じている。

5.2. 今後の実証実験に向けて

今回提言した IT システムと仮想化ストレージを用いて、今後実証実験を行いたいと考えている。実際に

「医療ナショナルデータバンク」をデータセンターに格納して地域の病院との間をネットワークでつなぎ、医

療情報(データ)共有し医療連携、実際に IT システムの稼働実績、性能面、今後の拡張性、また運用面を

含めて実証実験を行うことを考えている。その結果、「仮想化ストレージを利用した地域医療連携システム」

を構築する際の基準やガイダンス、IT システムのサイジングを行うことも重要であると考えている。

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6. 参考文献

地域医療連携システムの現状と今後の方向性(2011) 株式会社 シードプランニング

平成 23 年版厚生労働白書(2011) 厚生労働省 39-57 頁

TR1070 - EqualLogic PS Series Architecture - Load Balancers Dell Inc. (2011)

BP1012_EqualLogicAutoReplication Dell Inc. (2011)

© 2011 Dell Inc. ©2011 デル株式会社 All rights reserved.

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この文書の情報は、事前の通知なく変更されることがあります。

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