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Microsoft Office 365 Education 導入事例集 Vol.2 Microsoft Office 365 Education 導入事例集 Vol.2

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目 次MicrosoftOffice 365 Education導入事例集 Vol.2

MicrosoftOffice 365 Education導入事例集 Vol.2

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目 次MicrosoftOffice 365 Education導入事例集 Vol.2

Microsoft Office 365 Education と Active Directory フェデレーション サービス 2.0 による認証、さらにメールのログ保存を組み合わせて構築。運用時の高い安定性と万全のサポート体制で学生、教職員からも好評な学内メール システムを実現。

関東学院大学様 …………………………………………………………………… 1

運用負荷の軽減と BCP 対策を目的とした「止まらないメール システム」をMicrosoft Office 365 for Education と Active Directory のクラウド化で実現

大阪大谷大学様 …………………………………………………………………… 5

学生は可用性、教職員はセキュリティを最優先に、Microsoft Exchange Server 2010 と Microsoft Office 365 for Education によるハイブリッドなメール環境を構築

国立大学法人 徳島大学様 …………………………………………………… 9

教職員と児童、生徒それぞれに Microsoft Office 365 for Education を導入。教職員間の連携を Microsoft Lync Online で強化し、児童や生徒は ICT 授業でMicrosoft SharePoint Online を利活用

印西市教育センター様 ……………………………………………………… 13

ExchangeOnline

ExchangeOnline

ExchangeOnline

ExchangeOnline

ADFS

ADFS

ADFSハイブリッド運用

SharePointOnline

LyncOnline

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目 次MicrosoftOffice 365 Education導入事例集 Vol.2

1 万人余りの学生と教職員が使うメール サーバーを Microsoft Office 365 Education に移行。オンプレミスからクラウド型への転換の第一歩を踏み出す

國學院大學様 …………………………………………………………………… 17

学生用メール システムを Microsoft Office 365 Education に移行。最先端のクラウド サービスの活用で、学生の情報リテラシーの底上げと就業力向上を目指す。

福岡工業大学様 ………………………………………………………………… 21

ExchangeOnline

ExchangeOnline

ADFS

ADFS Hyper-V

SharePointOnline

LyncOnline

SystemCenter

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2013 年 4 月に開設した看護学部をはじめ、7 学部を擁する総合大学である関東学院大学では、2008 年からメール システムとして外部のクラウド サービスを利用してきました。しかし、メール

ボックスの容量が 1 GB で不足してきたこと、パスワード クラッキングの動きが出てきたこと、クラウド サービスにもかかわらずアップデートが行われないなどの問題から、新しいメール サービスの導入を決定。同大学の IT インフラの構築と運用を長年担ってきたパートナー企業である富士通株式会社 (以下、富士通 ) の提案で、Microsoft Office 365 Education と、富士通が構築する

オンプレミスの Active Directory フェデレーション サービス (ADFS) サーバーによる認証、および卒業生向け「生涯メール」受付フォーム、そして、メールのログ保存を連携させることにしました。2013 年 3 月から運用を開始した新しいメール サービスは順調に稼働しており、メール ボックス容量も 25 GB に拡張したことなどから、学生、教職員、卒業生など 1 万 5,000 名弱のユーザーの満足度も高くなっています。さらにマイクロソフトの技術支援で関東学院大学に最適な提案がなされ、運用も高い安定性と万全のサポート体制のもとで行われています。

導入背景とねらいメール ボックスの容量不足、パスワード クラッキングの危険性などから新しいメール サービスの導入を決定

関東学院大学は、横浜山手に 1884 年 (明治 17 年 ) に創立された横浜バプテスト神学校を源流とする歴史と伝統のある大学です。キリスト教を建学の精神とする同大学には、坂田 祐 初代院長の説いた校訓「人になれ 奉仕せよ」の精神が受け継がれています。これは「キリストの教訓をもって人たるの人格をみがき、キリストの愛の精神をもって奉仕すること」を意味しており、同大学はその精神に則り、一貫してキリストの教えに基づいた人格教育と高度な知識と技術を修めた人材の育成に力を注いできました。関東学院大学は、2013 年 4 月に理工学部と建築・環境学部、看護学部を新しく開設し、文学部、経済学部、法学部、人間環境学部の 7 学部 12 学科 11 コースの総合大学になりました。そして、横浜・金沢八景、横浜・金沢文庫、湘南・小田原の 3 つのキャンパスと KGU 関内メディアセンターで、1 万 2,000 名余の学生が学んでいます。2009 年、関東学院大学では教育研究の基盤である ICT サービスの一層の向上を目指し、学内クラウドを実現するべく IT インフラの改革に着手しました。ステップ 1 として、2010 年には分散していた教育研究系、事務系のサーバーを仮想化して統合し、仮想基幹サーバー環境を構築。そして、2011 年にはステップ 2 として、災害対策のために公式ホームページや学生ポータルなど学生や社会的に影響が大きいシステムを学外のデータセンターに移しました。さらに 2012 年にはステップ 3 として、仮想サーバーの自動貸出など、教育研究サービスにおける利便性向上を目指した学内クラウドの活用を開始しています。関東学院大学 情報科学センター運用課 課長

小糸 達夫 氏が語ります。

ソリューション概要

○プロファイル横浜山手に 1884 年 (明治 17 年 ) に創設された横浜バプテスト神学校を源流とする大学で、校訓「人になれ 奉仕せよ」のもとに、キリスト教に基づいた人格教育と高度な知識と技術を修めた人材の育成に力を注いでいます。2013 年 4 月に理工学部と環境・建築学部、看護学部を新しく開設し、文学部、経済学部、法学部、人間環境学部と併せて、7 学部 12 学科 11 コースの総合大学で、横浜・金沢八景、横浜・金沢文庫、湘南・小田原の 3 つのキャンパスと関内メディア センターで、1 万 2,000 名余の学生が学んでいます。

○ソフトウェアとサービス・ Microsoft Office 365 Education・Active Directory フェデレーション サービス

(ADFS 2.0 Rollup 2)・Microsoft SQL Server 2008 R2 Enterprise・Windows Server 2008 R2 Standard

○パートナー富士通株式会社

○メリット・ メール ボックス容量が従来の 25 倍に拡張・デバイスを選ばず、どこからでも メールや予定表が使えるなどサービス レベルと使い勝手の向上

・学生、教職員、卒業生を同一環境にしたことで運用コストの大幅削減の実現

・富士通の導入支援サービスの活用で Office 365 Education にない機能を補完

○ユーザー コメント「Office 365 Education の利用で、運用コストの大幅な削減も実現できました。導入初年度の経費は、初期費用とサポート費用を合わせても、今まで使っていたメール サービス予算の枠内で収まりました。そして、2 年目以降はサポート費用だけになるので、以前のメール サービスの半分のコストで運用できるようになり、コストを大幅に減らすことができます」

関東学院大学情報科学センター運用課課長小糸 達夫 氏

関東学院大学

関東学院大学

Microsoft Office 365 Education と Active Directory フェデレーション サービス 2.0 による認証、さらにメールのログ保存を組み合わせて構築。運用時の高い安定性と万全のサポート体制で学生、教職員からも好評な学内メール システムを実現。

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関東学院大学

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「2000 年頃から、学生や教員に対するサービスの向上のために新しいシステムを導入してきました。2009 年からの取り組みは、さらにその上にシステムを集約しプラットフォームをクラウド化することで、コストを削減しながら、よりよいサービスを提供していくことを目指しています」。

こうした中で、関東学院大学では学生と教職員、卒業生など約 1 万 5,000

名が使うメール システムについて、2008 年から外部のクラウド サービスを利用してきました。当時はフリー メールが登場し始めたばかりでしたが、管理負荷の軽減を主目的に、問い合わせへの迅速な対応などサポート体制がきちんとしていること、迷惑メールを防げること、卒業生向けに展開している「生涯メール」もオプションで使えることから、いち早く SaaS でのクラウド サービスによるメール利用に踏み切ったのです。メール サービスは利用開始から 5 年近く経過する中で、メール ボックス容量が 1 GB では足りないユーザーが多くなってきました。このほか、メール内のリンクをクリックさせ、偽の画面でパスワードを入力させることでパスワードを盗むパスワード クラックの動きも出てきました。クラウド サービスは常にアップデートされた最新の環境であることが大きなメリットですが、実際はアップデートがほとんどなく、進化もあまり見られませんでした。また、当時の「生涯メール」は 3 か月以上利用がないと ID が取り消されるという制限があり、十分に利用されるまでに至っていませんでした。

導入の経緯Office 365 Educationと認証、「生涯メール」、ログ アーカイブを連携させて提供

関東学院大学では、メール ボックス容量の大幅な拡大、使い勝手の一層の向上、「生涯メール」サービスの移行、運用コストのさらなる削減を目指し、富士通に対して新たなメール サービスの提案を依頼しました。

「富士通には、現在、いくつかの基幹システムや学生サービス関連のサーバーやアプリケーションを提供していただいています。2010 年に行ったプラットフォームの仮想化とサーバーの集約も富士通に担当していただきました。仮想化によりサーバーを集約したため、メール システムで必要な認証のしくみなどさまざまなシステムがそのプラットフォーム上で

動いています。また、メール管理上、ログからサービス向上のためにさまざまな分析を行いますし、メールの配送ログを残せることが重要なポイントでした。こうした内容についてメール サービスの構築と運用の提案を富士通にお願いしました」(小糸 氏)。

提案依頼を受けて、富士通では早速新しいメール サービスの提案検討に入りました。最初に検討したのは、Microsoft Exchange Server と

Microsoft Outlook が使える関東学院大学向けのクラウド サービスを富士通のデータ センターから提供する案でした。しかし、想定したシステムでは、メール ボックス容量の飛躍的な拡大が難しく、毎年の運用コストなどの問題から見送ることになりました。そこで次の案として、学生向けに Exchange Online プラン 1 を含む Office 365 Education が無料で利用できる「プラン A2」を使い、ログ管理が可能な専用のクラウド サービスを作り、シームレスに使えるようにしようと考えました。この案であれば、利用コストを引き下げることができ、メールの配送管理に必要なログも取得することができます。富士通株式会社 首都圏営業本部 文教統括営業部 第三営業部 マネージャー 寺下 一欣 (かずよし) 氏が語ります。

「Office 365 Education について、マイクロソフトと一緒に検討していたところ、Exchange Online では配送ログの取得が可能だということがわかりました。それならば学生と教職員のシステムを分けることなく、全員が Office 365 Education を使うことでコストを一層引き下げられます。さらに、配送ログを 1 年分ほど蓄積できるしくみは別に作って管理することも可能でした。そこで、Office 365 Education を導入してユーザー認証、「生涯メール」受付フォーム、配送ログ アーカイブを富士通が開発し、セットで利用する案を提案しました」。

2012 年 11 月、提案を受けた関東学院大学では 2013 年度から新しいメール サービスを運用開始するべく、導入を決めました。新しいサービスでは「生涯メール」にも制限がなくなり、現役の学生や教職員と同じサービスが受けられるようになることも大きなポイントです。今までの「生涯メール」は、3 か月以上利用がないと ID が取り消されるという利用上の制限があっただけでなく、学内にある卒業生データベースとは別のデータベースで管理されていたため、管理も困難でした。

関東学院大学情報科学センター運用課 課長小糸 達夫 氏

関東学院大学情報科学センター運用課荒井 修二 氏

関東学院大学情報科学センター運用課亀山 哲哉 氏

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関東学院大学

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Office 365 Education の運用開始と共に「生涯メール」の受付フォームも作ることで、卒業生への告知を増やして「生涯メール」の利用活発化が見込めるほか、データベースも 1 つにして一元的に管理することができるのです。関東学院大学 情報科学センター運用課 荒井 修二 氏が語ります。

「Exchange Online では 1 人あたりのメールの容量が今までの 25 倍の

25 GB になり、さらに、使い慣れた Office アプリケーションをクラウド上でどこからでも使えます。ユーザー サービス向上の観点からも素晴らしく、一日も早く利用できるようにした方がよいと導入を決断しました」。

提案にあたって富士通が意識したのが、今までのサポートの手厚さを活かしつつ、Office 365 Education のメリットを最大限に発揮させる高い付加価値を持った内容にすることでした。マイクロソフトの Office 365

を初めとするクラウド サービスは、他社のクラウド サービスと比較して、メールだけでなくリアル タイム コミュニケーションやファイル共有、管理などにおける付加価値が高いだけでなく、Office アプリケーションとの統合性、そして、なによりも手厚いサポートなど、グローバル レベルでの競争を背景にサービス レベルや使い勝手の向上に取り組んでいます。さらに、マイクロソフトのクラウド サービスは 99.9% の可用性で運用されていますので、高い信頼性も確保できます。

「マイクロソフトには、他のクラウド サービスにはない Office 365

Education と文教分野の専門担当チームがあり、企業としてのサポート体制が整っています。そのチームと連携することで、クラウド サービスの良さを最大限に生かしつつ、従来のオンプレミス並みの安定性やサポート レベルを確保する提案が可能になりました」(寺下 氏)。

システムの概要「スムーズな移行」を最大の目標にデータを移行。多様なユーザー環境に対応した移行手順書を作成

Office 365 Education の導入は、ユーザーがメール サービスの移行で困らないようにすることを最大の目標とし、メール データの移行、フェデレーションと「生涯メール」のしくみの構築、ユーザー向けの告知と手順

書の作成の 4 つを柱に移行プロジェクトに取り組みました。富士通株式会社 ヘルスケア・文教システム事業本部 文教第一ソリューション統括部

第一ソリューション部 永田 剛史 氏が説明します。

「まずデータの移行ですが、1 万 5,000 名のユーザーが存在するので、データを絶対に失わないようにすることに最も気を使いました。Exchange Online は IMAP をサポートしているので、今まで使っていたメール サービスのサーバーで IMAP プロトコルが使えるようにし、2013

年 1 月位から段階的に 3 月の切り替え日前後までかけてメール データを移していきました」。

ユーザー認証では、既存の Active Directory 環境を活かして、ユーザーがシングル サインオンで Office 365 Education にアクセスできるようにするために、ADFS をオンプレミス サーバーで導入しました。ADFS であれば、Office 365 Education のパスワード要件に合わない従来のパスワードでも、変更することなく高いセキュリティを確保した上で、Office

365 Education にアクセスするという安全性の高い運用が可能になります。また「生涯メール」は管理を担当する校友課と打ち合わせしながら、Web サイトを新しく作るためポータル サーバーを導入しました。さらに、教職員側とサポートを行う富士通側の双方でメール ログを見る必要があるため、Office 365 Education から取り出した送信ログを約 1 年間蓄積するデータベースを構築しました。その上で、ユーザーがスムーズに移行できるように手順書を作成しました。関東学院大学 情報科学センター運営課 亀山 哲哉 氏が語ります。

「今まで Web メールで使っていたユーザーは基本的にはそのまま使えますが、中にはアドレス帳やスケジュールなど、そのままでは移行できないデータもあります。また、自宅や大学でメール ソフトを使っているユーザーの場合には、PC の環境がそれぞれ異なります。ユーザーが自分でデータを移行するケースや、メール ソフトの設定を変更してもらうこともあります。そのために、移行作業が簡単にできるように解説した手順書を作って、切り替えに備えました」。

導入の効果と今後の展望ユーザーの満足度も高く、順調に稼働。今後は SharePoint Onlineや Lync の活用も検討

新しいメール サービスは 2012 年 11 月に富士通、マイクロソフトと契約し、その後設計と構築、移行テストを実施し、2013 年 2 月からの並行稼働期間を経て、3 月 24 日に予定通り本格運用を開始しました。メールは無料の Office 365 Education プラン A2 を利用し、富士通が仮想基盤上に構築した ADFS 2.0 サーバー、「生涯メール」受付サーバー、ログ蓄積サーバーと連携して、サービスが提供されています (図 )。

そして、富士通は、メール サービスの安定運用のために、メール配送ログの保管や問い合わせ、分析のためのメール配送ログ保管サービスと学内のほかのシステムとの接続と連携も含め、運用コスト削減を実現しつつワン ストップ対応が行える運用体制を構築しました。さらに、校友課

富士通株式会社首都圏営業本部 文教統括営業部第三営業部 マネージャー寺下 一欣 氏

富士通株式会社ヘルスケア・文教システム事業本部文教第一ソリューション統括部第一ソリューション部永田 剛史 氏

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関東学院大学

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導入についてのお問い合わせ本ケース スタディは、インターネット上でも参照できます。http://www.microsoft.com/ja-jp/casestudies/本ケース スタディに記載された情報は制作当時 (2013 年 5 月 ) のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。本ケース スタディは情報提供のみを目的としています。Microsoft は、明示的または暗示的を問わず、本書にいかなる保証も与えるものではありません。製品に関するお問い合わせは次のインフォメーションをご利用ください。■インターネット ホームページ http://www.microsoft.com/ja-jp/■マイクロソフト カスタマー インフォメーションセンター 0120-41-6755(9:00 ~ 17:30 土日祝日、弊社指定休業日を除く )※電話番号のおかけ間違いにご注意ください。*Microsoft は、米国 Microsoft Corporation および、またはその関連会社の商標です。*その他記載されている、会社名、製品名、ロゴ等は、各社の登録商標または商標です。*製品の仕様は、予告なく変更することがあります。予めご了承ください。

〒108-0075 東京都港区港南 2-16-3 品川グランドセントラルタワー

生涯メール受付サーバー

ADFS※ 2.0プロキシ(認証用)

ADFS※ 2.0 アカウント同期ツール

ログ蓄積サーバー

DMZ セグメント

教研セグメント

既存サーバー群

横浜・金沢八景キャンパス

データセンターWAN

KGU 関内メディアセンター

湘南・小田原キャンパス

横浜・金沢文庫キャンパス

関東学院大学

既存サーバー群

インターネット

Microsoft FederationGateway (MFG)(既存環境)

Active Directory

※ADFS : Active Directory Federation Services

システム構成

で行っている卒業生データベースを使ったさまざまな条件検索や管理者によるログ データベースの検索などには、Microsoft SQL Server で構築された検索ツール「Rapid Web」を導入し、業務に役立てています。

「今までのメール サービスはメールボックスの容量が 1 GB しかなかったことから、データを削除しながら使っていた先生もいました。そのため、25 GB に拡大されると告知した段階で、『とても助かります』という声が寄せられるなど、ユーザーの満足度は非常に高いと思います」(荒井 氏)。

また、スマートフォンの普及によってメールの使い方も数年前とは大きく変わってきており、ユーザーは時と場所を選ばずにメールにアクセスするようになってきています。そうした中で、Exchange Online であればさまざまなデバイスからアクセスでき、学生や教職員、卒業生はスケジュール共有やアドレス ブックなどどんな形でもスムーズに利用することができます。さらに、新しいメール サービスの利用で、運用コストの大幅な削減も実現することができました。導入初年度の経費は、初期費用とサポート費

用を合わせても、今まで使っていたメール サービス予算の枠内で収まりました。そして、2 年目以降はサポート費用だけになるので、以前のメール サービスの半分のコストで運用できるようになります。

「マイクロソフトが全面的な技術支援を約束してくれたことに大変感謝しています。お客様の要望を取り入れた提案をマイクロソフトと一緒に考えることができましたし、構築途中で必要となった技術的な支援も迅速に受けることができました。今回の経験をもとに、今後もマイクロソフトと協力しながら、Office 365 Education と富士通のサポート サービスをセットにした提案を他の大学にも広げていきたいと考えています」(寺下 氏)。

関東学院大学では、Office 365 Education について、Microsoft SharePoint

Online や Microsoft Lync のオンプレミスでの利用などを中心に今後の活用を検討中です。これらも含めて、関東学院大学では Office 365

Education を積極的に活用し、学生、教職員に対するサービス レベルを一層向上させていく考えです。

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100 年を超える歴史を誇る学校法人大谷学園の中核を担う大阪大谷大学、大阪大谷大学短期大学部は、文系の大学としては、比較的早い時期から教育の IT 化に取り組んできました。1989 年にコンピューター教室を設置して以降、4 ~ 5 年ごとにハードウェアやネットワークなどの IT インフラをリプレース。常に最新のテクノロジを取れ入れて、高い教育レベルを維持してきました。そして 2012 年、大規模な IT インフラのリプレースに合わせ、管理、運用負荷の軽減と BCP (事業継続 ) を目的にメール システムのクラウド化を実施。Office 365 for Education の導入と Active

Directory のクラウド化により、「止まらないメール システム」を構築しました。

導入の背景とねらい学内 IT インフラのリプレースと東日本大震災を機に、新しいメール システムの導入を検討

大阪大谷大学は、大乗仏教の教えである 「報恩感謝」を建学の精神とする大学です。「自立」「創造」「共生」の 3 つの教育理念を掲げて、社会に貢献できる人材の育成を行っています。2006 年にはそれまでの女子大学から男女共学制に移行。同時に薬学部も創設し、現在の学生、教職員の総数は約 4,000 名を数えます。2012 年 3 月には薬学部の第一期生が卒業を迎えましたが、国家試験の合格率も全国平均を上回り、着 と々成果が出ているところです。薬学部設立以前は、純粋な文系大学でしたが、文学や教育学、社会科学等の分野において、IT との融合を図った教授法を実践しており、他の文系大学に比べると、IT 教育への取り組みは早かったと、大阪大谷大学 人間社会学部 人間社会学科 准教授 情報教育センター センター長 中村 雅司

氏は次のように語ります。

「1989 年にはコンピューター教室を設置しました。当時は、まだ PC-98 シリーズでスタンド アロンの時代でした。1997 年にはネットワーク環境を敷設し、以後、順次拡張しながら現在にいたっています。4 ~ 5 年ごとに基幹ネットワークやコンピューター教室等のリプレースを行ってきましたが、今年度、これまでで最も大規模なリプレースを実施しました。その際にメール システムも大幅に刷新することにしたのです」。

それまでのメール システムは、学内に設置された Microsoft® Exchange Server® 2003 で運用されていました。しかし、運用管理の面で、いくつかの課題を抱えていたと大阪大谷大学 情報教育センター 情報通信係 岸上 真也 氏は説明します。

「システムが学内にあったため、何か障害があると我々が対応せざるをえません。また、メンテナンスや法定点検でシステムを一時的に停止させたり、迷惑メール対策を講じるなどの負担も大きくなっていました。Exchange Server 2003 が持つ迷惑メール対策機能とサード パーティ製のツールを組み合わせてフィルタリングしていたのですが、届くべきメールがフィルターでブロックされたり、ルールを緩くすると迷惑メールが増えたりと、その調整に苦慮していました」。

大阪大谷大学

ソリューション概要

○プロファイル大阪大谷大学は、「大乗仏教の精神」を建学の精神の根幹とする大学です。母胎となる学校法人大谷学園は、1909 年、大阪の難波別院境内に設立された大谷裁縫女学校に端を発し、2009 年には創立百周年を迎えました。2006 年に男女共学に移行し、現在は「文学部」「教育学部」「人間社会学部」「薬学部」の 4 つの学部のほか、「教育福祉専攻科」「大学院 文学研究科」を設置し、学生、教職員を合わせて約 4,000 名が、日々、勉学、研究活動に励んでいます。

○ソフトウェアとサービス・ Office 365™ for Education・ Microsoft® Exchange Online・Windows Server® 2008 R2・Active Directory®

・Active Directory® Federation Service 2.0

○パートナー・株式会社インターネットイニシアティブ・ 日本コムシス株式会社

○メリット・ 学内システムやネットワークが停止しても止まらないメール システムを構築

・ メール システムの管理や迷惑メール対策の負荷、コスト軽減

・ エンドユーザーの操作性と作業環境の向上

○ユーザー コメント「我々は決して最先端技術を望んでいるわけではありません。最先端を追い続けるあまり、ユーザー軽視になっては本末転倒ですし、発生したトラブルをフォローする管理者側の負荷も大きいからです。その点、Office 365 for Education は、旧システムである Exchange Server とは大幅な操作性の変更がないため、我々への問い合わせもほとんどありません。しかも、今回、認証基盤のクラウド化で『止まらないメール システム』を実現できました。エンドユーザーも管理者も安心して利用できるメール環境が整備できて、我々の選択は正解であったと感じています」

大阪大谷大学人間社会学部 人間社会学科 准教授情報教育センター センター長中村 雅司 氏

大阪大谷大学

運用負荷の軽減と BCP 対策を目的とした「止まらないメール システム」をMicrosoft® Office 365™ for Education と Active Directory® のクラウド化で実現

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大阪大谷大学

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さらに、震災がきっかけとなり、「止まらないメール システム」というテーマが、大きくクローズアップされてきたと中村 氏は語ります。

「新しいメール システムを検討しているとき、東日本大震災が起きました。我々に直接の被害はありませんでしたが、企業や大学でインフラが甚大な被害を受けたという報道を目の当たりにし、最悪でもプリミティブな通信手段であるメールは稼働させ続けることが、多数の学生を預かる大学の責務であると痛感しました。その結果、クラウドという選択肢が大きく浮上してきたのです」。

導入の経緯「止まらないメール システム」を念頭に、ユーザー環境の継続性を重視し Office 365 for Education を選択

IT インフラのリプレース プロジェクトは、2011 年の夏からスタートしました。コンピューター教室の機器、ネットワーク、メール システムなど、それぞれについてベンダーに技術要件が提示され、複数のベンダーから提出された提案が比較、検討されました。その結果、ネットワークおよびメール システムについては株式会社インターネットイニシアティブ (以下、IIJ) の提案が採用されました。提案のポイントについて、株式会社インターネットイニシアティブ 関西支社 技術部 プロフェッショナル サービス 1 課 テクニカル マネージャー 中 庸寛 氏は次のように説明します。

「東日本大震災の影響もあり、お客様がクラウドを強く意識されていることは分かっていました。ただ、弊社としては、あくまでも 3 つの案を同列に位置づけてご提案し、その中から最もメリットを感じていただけるものを選択していただく方法をとりました。具体的には、最新の

Exchange Server へと移行させるオンプレミス型、Google Apps、もしくは Office 365 for Education のクラウド型です」。

3 つの選択肢から、まず Google Apps が検討されました。その経緯について、中村 氏は次のように説明します。

「これまでの経験から、メールに関しては変化を好まない教職員が意外と多く、できるだけインターフェイスを変えないというような配慮をする

必要がありました。しかし、Google Apps はサービス内容やインターフェイスなどの仕様が流動的で、その点に不安を覚えました。我々は 4 ~ 5

年間隔でリプレースをしますので、その間はできるだけ環境を変えたくないのです。この点で、残念ながら Google Apps は見送ることにしました。また、本学のコンプライアンスから Google のプライバシー ポリシーに対しての懸念もありました」。

次に検討したのが、学内に設置する Exchange Server と Office 365 for

Education でした。中村 氏は、2 つの観点で Office 365 for Education

を選択したと、次のように説明します。

「第一は BCP の観点です。これまでのように学内にサーバーを置くと、災害等で学内サーバーが止まればメールも使えなくなりますので、それは避けたかったのです。第二はコストと管理の負担軽減です。ユーザー数が 4,000 名というのは、自前でサーバーを持つスケール メリットを出せるかどうか微妙なところです。であれば、外部に任せてしまった方が総合的なメリットは大きいと判断しました」。

システムを外部に置くことに対しては、セキュリティを懸念する声もありました。しかし、通信の暗号強度の高さ、国内法に準拠した運用であること、さらにマイクロソフトの堅牢なデータ センター間で二重化されることによるバックアップ体制の充実といった理由から、むしろセキュリティや信頼性は高まると説明することで、こうした声は比較的早い段階でなくなっていったのです。

システムの概要システムに加え、認証基盤もクラウド化することで、より強固な「止まらないメール システム」を整備

システム構築は、Office 365 for Education が選定された 2011 年末にスタート。構築にあたっては、Active Directory と Active Directory フェデレーション サービス 2.0 (ADFS 2.0) の認証基盤を、IIJ のクラウド基盤「IIJ

GIO」にも置きました。その理由について、岸上 氏は次のように説明します。

「従来は学内にのみ認証基盤があり、学務システムや e ラーニング システム、そしてメール システムも、この認証基盤を利用していました。し

大阪大谷大学人間社会学部 人間社会学科 准教授情報教育センター センター長中村 雅司 氏

大阪大谷大学情報教育センター 情報通信係岸上 真也 氏

大阪大谷大学薬学部 分子化学講座 教授情報教育センター 副センター長森本 正太郎 氏

大阪大谷大学情報教育センター 情報通信係 係長伊東 信樹 氏

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大阪大谷大学

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かし、『止まらないメール システム』を実現するには、Active Directory

と ADFS 2.0 をクラウド化し、学内の Active Directory と連携させる必要があると考えました」(岸上 氏 )。

また、認証基盤のクラウド化に際しては、IIJ のクラウド基盤である「IIJ

GIO」への信頼感が高かったと、株式会社インターネットイニシアティブ

関西支社 営業部 営業 4 課 小川 泰明 氏は次のように語ります。

「もともと弊社はデータセンター運営のノウハウ、実績も持っていましたので、そのインフラを利用して提供している IIJ GIO をご紹介したところ、Active Directory を動かすクラウド基盤として興味を持っていただけました」。

こうして、Active Directory のサーバーを「IIJ GIO」に置き、マスターとなる学内の Active Directory と同期するしくみを構築しました。これにより、仮に学内のシステムが停止した場合、学内の学務システム等は利用できなくなりますが、この構成を取れば IIJ GIO 上の Active

Directory で認証が行われるため、問題なく利用できます。新メール システムの導入にあたっては、旧メールの移行も実施されました。IIJ とともに移行作業にあたった日本コムシス株式会社 IT ビジネス事業本部 ソリューション部 システム ソリューション部門 山中 正明 氏は、次のように語ります。

「Exchange Server 2003 から Office 365 for Education への移行にあたっては、マイクロソフトから提供されているツールを使用しました。使い方や細かい機能については、マイクロソフトのサポートに問い合わせ、アドバイスをいただきながら作業を進めました。なお、当初は、現行環境の構成上、移行元となる Exchange Server 2003 へスムーズに接続できず難航しましたが、接続経路を切替えることでこれを回避し、スケジュール通り、学部単位で約 1 週間かけて段階的に移行を実施しました」。

メール システムだけでなく、認証基盤も含めてクラウド化するという、これまでなかったシステムにもかかわらず、IIJ と日本コムシス株式会社、そして大学関係者の協力によりプロジェクトは順調に推移。2012 年 3

月末にはメールの移行も無事完了し、新年度となる 4 月から、Office

365 for Education による新しいメール システムが稼働を開始しました。

導入の効果ユーザーの使い勝手を変えることなく、スムーズに移行。迷惑メール対策も標準機能のみで対応

今回のプロジェクトで最も重視されたのは、「止まらないメール システム」の実現でした。この点に関しては十分な成果が得られたと、大阪大谷大学 情報教育センター 情報通信係 係長 伊東 信樹 氏は次のように語ります。

「新しいメール システムの導入後、実際にネットワークを停止したことがありますが、その際にもメールは問題なく使用できました。従来、メンテナンス等で停止するときは、メールシステムを止めざるを得ないこともあり、停止日時や期間の設定、ユーザーへの告知に最大限の配慮をする必要がありましたが、こうした手間が大幅に削減されました。もちろん、災害などの緊急時のことを想定しても、当初の目的は十分に達成できたと思います」。

また、以前のシステムで課題となっていた迷惑メールも、新システムでは適切に処理されるようになりました。ただし、システム上は迷惑メール対策用のツールは導入せず、あくまで標準機能だけを利用しています。Office 365 for Education の Exchange Online は Exchange Server

2010 相当の機能を持っていますので、Exchange Server 2003 から

Exchange Server 2010 へのバージョンアップに伴うフィルタリング性能の向上の成果が出たと考えられます。メール システムのクラウド化によるエンド ユーザーへの影響について、中村 氏と大阪大谷大学 薬学部 分子科学講座 教授 情報教育センター

副センター長 森本 正太郎 氏は次のように説明します。

「メールをクラウドにしたことで、エンド ユーザーの使い方が大きく変わったということはありません。もちろん、それはいい意味です。当初から、インターフェイスを含めて、ユーザーの使い勝手をできるだけ変えない方針でしたので、ユーザーにクラウド化を意識させることなくシステム移行できたことは、有意義であったと感じています」(中村 氏 )。

「薬学部の場合ですと、いままでは大学のメールをあまり利用しない学生が多かったようです。しかし、スマートフォンが急速に浸透している時

株式会社インターネットイニシアティブ関西支社 営業部 営業 4 課小川 泰明 氏

日本コムシス株式会社IT ビジネス事業本部ソリューション部システム ソリューション部門山中 正明 氏

株式会社インターネットイニシアティブ関西支社 技術部プロフェッショナルサービス1課テクニカルマネージャー中 庸寛 氏

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大阪大谷大学

8

導入についてのお問い合わせ本ケース スタディは、インターネット上でも参照できます。http://www.microsoft.com/ja-jp/casestudies/本ケース スタディに記載された情報は制作当時 (2012 年 11 月 ) のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。本ケース スタディは情報提供のみを目的としています。Microsoft は、明示的または暗示的を問わず、本書にいかなる保証も与えるものではありません。製品に関するお問い合わせは次のインフォメーションをご利用ください。■インターネット ホームページ http://www.microsoft.com/ja-jp/■マイクロソフト カスタマー インフォメーションセンター 0120-41-6755(9:00 ~ 17:30 土日祝日、弊社指定休業日を除く )※電話番号のおかけ間違いにご注意ください。*Microsoft、Active Directory、Exchange Server、Lync、Office 365、SharePoint は、米国 Microsoft Corporation および、またはその関連会社の商標です。*その他記載されている、会社名、製品名、ロゴ等は、各社の登録商標または商標です。*製品の仕様は、予告なく変更することがあります。予めご了承ください。

〒108-0075 東京都港区港南 2-16-3 品川グランドセントラルタワー

期に今回のシステムが導入され、かつ学内システムが止まっても利用できるということで、利用する学生は確実に増えていると思います。現実に就職活動や病院、薬局等への実務実習ではメールが不可欠ですから、今回のシステムは学生にとっても非常に有益になるでしょう」(森本 氏 )。

今後の展望クラウドに置いた認証基盤をベースに、メール以外の学内システムもクラウド化を目指す

止まらないシステムへと進化した大阪大谷大学のメール システムですが、その他の学内システムのしくみは、これまでと大きく変わっていません。具体的には、学生情報やシラバス等を管理する学務システム、e ラーニング システムは、従来どおり学内の Active Directory のみにより認証されるため、完全に「止まらないシステム」とは言えない状況です。また、シングル サインオンもメール システム以外では実現されていません。次のリプレースのタイミングでは、このあたりが改善の対象になるだろうと、中村 氏は次のように将来展望を語ります。

「学務システムは教職員も学生も利用するシステムで、ポータル的な役割

ADFS※ SQL (ADFS※用) ADFS※ (プロキシ) 携帯用アクセス

VPN 共用ファイヤーウォール共用ロード バランサー

Active Directory

Forefront Online Protection for Exchangeを使用してスパムとフィッシングに対処

Office 365  Exchange Online

IIJ バックボーン

IIJ データセンター IIJ GIO

大谷大学側 システム

Office 365 向け認証基盤をIIJ クラウド上に設置

学内向け AD のレプリケーションをIIJ クラウド上に設置

インターネット

VPN

学内ロード バランサーDirectory SyncActive DirectoryOutlook Web App タブレット端末

スマートフォン携帯電話

Outlook Web App

Active Directory 側の更新時にOffice 365 側に同期

仮想仮想

100M bps 共用インターネット回線

システム図

を持っています。したがって、学務システムにサインインするだけで、メールを含めたすべてのシステムを利用できるようになれば、使い勝手は大きく向上すると思います。これは、今後の課題ですね。また、将来的には、Microsoft® SharePoint® Online や Microsoft® Lync® Online の導入、BCP の観点から、学内システムのクラウド化も検討したいと思います。ただ、学務システムは、かなりカスタマイズして作り込んでいますので、クラウド化できるかどうかは、いまの時点ではわかりません。ただ、流れとしては、できるだけ外部に任せていく方向で考えています」。

今回、クラウド上に構築された Active Directory の認証基盤は、Office

365 for Education の認証にのみ使用されています。しかし、将来、学内システムのクラウド化が進めば、クラウド上の Active Directory を統合認証基盤として活用し、メール システム以外においてもシングル サインオンも可能になるでしょう。したがって、今回のメール システムは、将来のさらなるクラウド化への布石とも言えます。メールを含む学内システムのクラウド化を検討している大学にとって、大阪大谷大学が選択した Office 365 for Education と IIJ の国内データ

センター上でクラウド化された Active Directory と ADFS 2.0 という組み合わせは、さまざまな意味で参考になると思われます。

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国立大学法人 徳島大学は大学全体の情報戦略を企画、立案する組織として「情報戦略室」を 2010 年に立ち上げました。そして、情報戦略室が策定する情報戦略を実行する組織として「情報化推進センター」を設置。以降、情報化推進センターは、さまざまな改革を実施し、学生と教職員に提供する IT サービスの向上に取り組んできました。2012 年 3 月、学内で運用してきたメール システムを Microsoft® Exchange

Server 2010 と Microsoft® Office 365™ for Education によるハイブリッドなメール

システムに刷新したのも、こうした改革の 1 つです。これにより、セキュリティ確保と

24 時間 365 日稼働の両立を実現。グローバルな研究者の育成と研究機関のグローバル化を目指す同大学にとって、重要なコミュニケーション インフラが整備されました。

導入の背景とねらいインフラとしての安定稼働と、ICT コスト削減を両立するメール システムの再構築が急務に

2010 年当時、国立大学法人 徳島大学 (以下、徳島大学 ) では、各業務を主管する部署や部局

が情報システムや機器を導入する際、他部署や部局の動向を踏まえずに調達していました。その

結果、情報システムの部分最適が浸透し、大学全体として考えると非効率的であると同時にガ

バナンス上の課題を抱えていました。そこで 2010 年 7 月、こうした調達方法を改め、情報シス

テムを大学全体で管理統制する組織として、学長直下に「情報戦略室」を設置。さらに、情報

戦略室の策定する情報戦略を実行する組織として「情報化推進センター」も設置されました。同

センターの役割について、徳島大学 特任教授 情報化推進センター ICT推進室長 松村 健 氏は

次のように語ります。

「組織改編に伴って、それまでの研究志向の強かった組織から、学内構成員への IT サービス提

供者としての立場を色濃くする組織へと改革されました。情報化推進センターの最も重要なミッ

ションは、学生および教職員への情報サービスの提供とネットワークの維持になります」(松村 氏)。

徳島大学の学生約 8,000 アカウント、教職員約 4,000 アカウントが使用する IT 関連のハード

ウェア、ソフトウェア (各部門導入システムを除く)、そこで動作するシステムをすべて提供するの

が情報化推進センターの役割です。組織改編以降、運営方法を改革しながら、徐々にサービス

向上を図ってきた同センターですが、すべてのリソースを学内で提供することは現実的ではなく

なっていたと、松村 氏は次のように説明します。

「これまでは、必要な教育環境を大学がすべて用

意し、大学の計算資源で提供してきました。しかし、

現在、その方法は現実的ではありません。たとえ

ば、ネットワークをノンストップで稼働させるため

には、学内で運用するにも限界があります。特に

メールに関しては、水や電気のようなライフライン

同然のインフラとなっていますから、止めることは

許されません。そこで、学外により良いサービスが

ソリューション概要

○プロファイル徳島大学は 1949 年に徳島市内の旧制学校 6 校を母体に創設された国立大学法人です。総合科学部、医学部、歯学部、薬学部、工学部の 5 つの理工系学部を持ち、大学院には 3 つの研究部と 7 つの教育部を設置しています。「自主と自律の精神に基づき、真理の探究と知の創造に努め、卓越した学術及び文化を継承し、世界に開かれた大学として、豊かで健全な未来社会の実現に貢献する」という理念のもと、日々、研究・教育活動を行っています。

○ソフトウェアとサービス・ Microsoft® Office 365 for Education・Microsoft® Exchange Server 2010

○パートナー日本電気株式会社

○メリット・ 学生向けは可用性、教職員向けはセキュリティを最優先したハイブリッドなメール システム

・ 24 時間 365 日稼働の実現と運用管理のコストや手間の削減

・ メール ボックスの大幅なサイズ拡張

○ユーザー コメント「大学がグローバルな研究者を育て、研究機関としてのグローバル化を目指すとき、必ず出てくる問題が IT システムの 24 時間 365 日稼働です。特に、コミュニケーション インフラとして定着しているメールを止めることは許されません。そのためには、クラウド サービスの活用が不可欠です。一方、教職員用のメール環境は、セキュリティを最優先に考える必要があります。この 2 つの要件には、Office 365 と Exchange Server を組み合わせたハイブリッドなメール システムが最適と考えています」

国立大学法人 徳島大学 教授情報化推進センター長上田 哲史 氏

国立大学法人 徳島大学

学生は可用性、教職員はセキュリティを最優先に、Microsoft® Exchange Server 2010 と Microsoft® Office 365 for Education によるハイブリッドなメール環境を構築

徳島大学 情報化推進センター

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国立大学法人 徳島大学

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あるならそれを活用し、学内のリソースとミックスして、教育環境を改善

していくことが求められたのです」(松村 氏 )。

まず最初に検討されたのが、メール システムのクラウド化でした。これま

で学内で運用されていたシステムは、セキュリティのアップデートや定期

検査等で、24 時間 365 日の稼働は困難でしたが、学外のサービスを利

用すればそれが可能となり、さらにこれまでかかっていた運用の手間やコ

ストを省くことも期待できるのです。

導入の経緯内部のセキュリティ強化のため ISMS 認証を取得しオンプレミス+クラウドのハイブリッド運用を選択

学外のサービスを利用するにあたっては、セキュリティへの十分な配慮が

必要です。そのため、情報化推進センターは、情報セキュリティ マネジ

メント システムの認証である ISMS の取得を目指しました。徳島大学 教

授 情報化推進センター長 上田 哲史 氏は次のように説明します。

「今回導入するのは、モノではなく外部のサービスですので、サービスに

対してセキュリティ要件を求めることになります。しかし、外部にセキュリ

ティを求める以上、内部のセキュリティもしっかり固めなければ意味があ

りません。そこで、ISMS 認証取得を目指すプロジェクトを立ち上げたの

です。認証は 2012 年の 3 月に取得しました。国立大学では 4 校目とな

ります」(上田 氏 )。

ただし、メール システムすべてがクラウド化されたわけではありません。

学生向けはクラウド化が選択されましたが、教職員用のシステムはオンプ

レミスが採用されました。その理由について、徳島大学 准教授 情報化

推進センター 情報基盤・セキュリティ室長 佐野 雅彦 氏は次のように語

ります。

「当初はすべてのクラウド化を検討していました。しかし、教職員のメール

には人事関連の情報、さまざまな金額の書かれた見積り情報、学生情報

や患者情報等の個人情報が含まれる可能性もあるため、不安視する声が

多かったのです。また、仕様を検討していたころ、ちょうど他社のプライ

バシー ポリシーの変更があり、メール内容がサービス提供側に利用され

るのではないかという懸念が広がりました。また、データ センターが米

国にある場合は、何らかの問題が発生した際に米国法が適用され、捜

査当局によるデータ閲覧や差し押さえが発生するのではないかという不

安が、特に学内上層部に強かったのです。そこで、機密性がそれほど求

められない学生向けのメールには可用性を優先したクラウドを、教職員

向けはセキュリティを優先して国内のデータ センターを活用したオンプレ

ミスのシステムを選択することになったのです」(佐野 氏 )。

新しいメール システムに求められる要件は仕様書にまとめられ、入札に

よってベンダーが選定されました。当初の説明会には 10 数社が参加しま

したが、厳しい選考の結果、日本電気株式会社 (以下、日本電気 ) が選

定されました。同社の提案のポイントについて、日本電気株式会社 徳島

支店 セールス マネージャー 遊道 茂 氏は次のように語ります。

「もともと弊社は、徳島大学の医学部様とのおつきあいが長く、医事シス

テムや電子カルテ システムを納入させていただいていたのですが、大学

の組織変更以降、情報化推進センター様ともおつきあいさせていただく

ことになりました。仕様から要件を検討した結果、Exchange Server と

Office 365 のハイブリッド システムがベストであると判断し、ご提案しま

した。佐野様が話されたように、クラウド サービス企業のプライバシー

ポリシー変更が話題になった時期だったのですが、マイクロソフトさんな

ら、そうしたことはないという信頼感もあって、最終的に採用させていた

だくことになりました」(遊道 氏 )。

システムの概要クラウドとオンプレミスの 2 つのシステムで、フラットなドメイン運用を実現

日本電気と徳島大学の契約は 2011 年 9 月に成立。システム構築は、

それから約 5 か月半かけて行われました。前半は要件定義をじっくり行

い、実際のシステム構築は2012 年の 1 月に入ってから着手。それから

約 2 か月という短期間でシステムを構築し、最終的には、2012 年 3 月

1 日、無事サービスインを迎えました。

システム構築にあたっては、ハイブリッドならではの検討課題が多かった

ようです。特に、Exchange Server と Office 365 の 2 つのシステムを

1 つのドメインで運用できることが求められました。日本電気とともに要

国立大学法人 徳島大学特任教授情報化推進センターICT推進室長松村 健 氏

国立大学法人 徳島大学准教授情報化推進センター情報基盤・セキュリティ室長佐野 雅彦 氏

国立大学法人 徳島大学教授情報化推進センター長上田 哲史 氏

国立大学法人 徳島大学准教授情報化推進センター情報マネジメント室長松浦 健二 氏

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国立大学法人 徳島大学

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件定義に携わった徳島大学 准教授 情報化推進センター 情報マネジメン

ト室長 松浦 健二 氏は、次のように語ります。

「教職員用の Exchange Server と学生用の Office 365 でドメインを分

けるという選択肢も考えました。実際に、他大学では教職員と学生のド

メインを分けているケースも少なくありません。しかし、従来の本学メー

ル アドレスはドメインが 40 くらいのサブドメインに分かれていて、かつ他

大学に比べてもアドレスが長いという問題がありましたので、できるだけ

短くしたかったのです。また、ドメインを同じにすることで、大学としての

一体感を出したいというねらいもありました」(松浦 氏 )。

ドメインを統一することは、システム構築にあたった日本電気にとっても、

大きなチャレンジでした。構築を担当した日本電気株式会社 文教・科学

ソリューション事業部 横川 直紀 氏は次のように語ります。

「異なるシステムにまたがるハイブリッド ルーティングを採用している例

は、世界的に見ても少ないと思います。そのため、マイクロソフトさんと

も頻繁に連絡をとりながら、慎重に構築をすすめました。テレビ会議で

打ち合わせしたこともありましたが、きめ細

やかに対応していただき、とても助かりまし

た」(横川 氏 )。

また、今回のプロジェクトでは、メール シ

ステムとは別に、Windows® 7によるネット

ブート型端末が数百台導入されました。これ

はネットワークから起動し、OS をはじめと

するソフトウェアをサーバーからダウンロー

ドして使用するシンクライアントに近い端

末ですが、Active Directory® Federation

Services (ADFS) の利用で容易にシングル

サインオンを実現できたと横川 氏は語りま

す (図 )。

「ユーザーから見ると、OS にログインすると

自動的に Office 365 にもログインされるし

くみになっています。これは、Office 365 な

らではのメリットだと思います」(横川 氏 )。

なお、システム構築にあたっては、ID の配布の仕方を考慮したと、松浦

氏は次のように振り返ります。

「今回は、オンプレミスとクラウドを含めて一様な ID を再設計したため、

サービスインの 2012 年 3 月 1 日からさかのぼって、全員に ID を配布す

る期間を十分に確保する必要がありました。配布のイベントを数回開催

し、全員に ID が行き渡ってからサービスインを迎えなければならなかっ

たのです。今回は、2 月頭から ID 配布を開始しましたので、1 か月弱と

いう短期間で配布したのですが、できれば、2 か月ほど期間があれば、もっ

と余裕をもって行えたと思います」。

導入の効果と今後の展望短期的には Exchange の機能の周知徹底、中長期的には全体の可用性が高いシステムの実現を目指す

新しいメール システム導入による効果はすぐに現れ、教職員はまずメール

削除の作業から解放されました。

「以前、事務職員はグループウェアのサイボウズのメール機能を利用してい

たのですが、メール ボックス サイズは 70 MB しかありませんでした。こ

のため、受信メールを次々に削除しないと、すぐにメール ボックスがいっ

ぱいになり、新しいメールを受信できないというトラブルが頻発していま

した。しかし、Exchange Server にしてからは、メール ボックスのサイ

ズが 1 GB になったため、多くの事務職員がメールの削除作業に追われ

ることもなくなりました」(松村 氏 )。

また、教職員が Exchange Server の操作に慣れるにつれて、スケジュー

ル機能やアドレス帳などを活用したいという声も上がってきているといい

ます。

「システム導入直後、教職員向けに講習会を何回か開きましたが、なかなか

日本電気株式会社文教・科学ソリューション事業部横川 直紀 氏

国内データ センター

インターネット

クラウド サービス

徳島大学 学内

認証サーバー

専用線

メール サーバー

教職員 約 4,000 アカウント 学生 約 8,000 アカウント

Active Directory Federation Services

図 システム構成図

日本電気株式会社 徳島支店セールスマネージャー遊道 茂 氏

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〒108-0075 東京都港区港南 2-16-3 品川グランドセントラルタワー

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5364-WI2

本ケース スタディは、インターネット上でも参照できます。http://www.microsoft.com/ja-jp/casestudies/本ケース スタディに記載された情報は制作当時 (2012 年 8 月) のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。本ケース スタディは情報提供のみを目的としています。Microsoft は、明示的または暗示的を問わず、本書にいかなる保証も与えるものではありません。製品に関するお問い合わせは次のインフォメーションをご利用ください。■インターネット ホームページ http://www.microsoft.com/japan/■マイクロソフト カスタマー インフォメーションセンター 0120-41-6755(9:00 ~ 17:30 土日祝日、弊社指定休業日を除く)※電話番号のおかけ間違いにご注意ください。

*Microsoft、Windows、Active Directory、Office 365 は、米国 Microsoft Corporation および、またはその関連会社の商標です。*その他記載されている、会社名、製品名、ロゴ等は、各社の登録商標または商標です。*製品の仕様は、予告なく変更することがあります。予めご了承ください。

国立大学法人 徳島大学

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人が集まりませんでした。しかし、導入からある程度の時間が経過し、

教職員が新しいシステムに慣れるにしたがって、講習会への参加者も徐々

に増えてきました。また、ユーザーからの問い合わせも増えてきましたの

で、今後は、こうした声を反映した FAQ を作成したり、必要に応じてトレー

ニングを実施したりして、Exchange Server の多彩な機能を広報、周知

していくことが課題だと思っています」(松村 氏)。

学生にも、Office 365 は好評です。特にメール ボックスのサイズがこれ

までの 100 MB から 25 GB に拡張されたため、通常の使い方であれば、

大学 4 年間はメールを削除しなくても問題のない容量となりました。

また、スマートフォンでの利用が容易なのも好評です。

「スマートフォンなら、標準のメール アプリの設定画面で ID とパスワード

などを入力するだけで利用できます。私も利用していますが、本当に簡単

です」(松村 氏 )。

もちろん、教職員も学生も、自分が使っているシステムがオンプレミスな

のかクラウドなのかは、まったく意識していません。ドメインも共通で、ユー

ザー インターフェイスも同じですから、教職員と学生からはひとつのシス

テムとして見えているはずです。このあたりも、オンプレミスとクラウドの

いずれにも対応できるマイクロソフトならではのメリットと言えるでしょう。

システムの今後について、松浦 氏は次のように語ります。

「今後は、BCP の観点から現在学内にある認証システムも含めて、トー

タルで本当に止まらないシステムを実現したいと考えています。たとえば、

今年の夏は節電対策として計画停電の可能性が示唆され、情報化推進セ

ンターのあるキャンパスが停電するかもしれません。一方、病院が併設さ

れている医学部のあるキャンパスは、その性格上、計画停電の対象には

なっていません。ところが、すべてのトラフィックは情報化推進センター

を経由しますので、停電にならなくても、当該キャンパスのネットワーク

は止まってしまうのです。これに対しては、何らかの対処をすべきと思い

ますが、将来的には、こうした事態が発生しないしくみを実現したいので

す」(松浦 氏 )。

今回のメール システム構築プロジェクトの根底には、コストを抑えなが

ら学生と教職員に質の高い IT サービスを提供したいという情報化推進

センターの強い使命感がありました。その結果、Exchange Server と

Office 365 のハイブリッド システムが選択されました。ハイブリッド シス

テムによる運用は、メール システムのクラウド化を検討している教育機関

だけでなく、さまざまな分野で役立つことでしょう。

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市民の約 6 割が千葉ニュータウン地区に集中する千葉県印西市では、市内の小中学校における ICT (Information and Communication Technology) 活用を重視し、さまざまな取り組みを行ってきました。そうした中で、印西市教育センターはシステムの段階的なクラウド移行を見据え、2012 年 4 月から、Microsoft Office 365 for

Educationの利用を開始。Lync Online を各学校の校長、教頭、養護教諭、事務職員同士の横の連携に利用し、SharePoint Online は教員と児童、生徒の双方で利用しています。教員は教材や指導案の作成用に使用することで、仕事の生産性向上を目指しています。一方、児童生徒は撮影した写真や原稿などを蓄積、共有し、日常的な

ICT 活用促進のために活かしています。また、クラウドの利点を活用して、運用コストの抑制、災害対策、自宅からのアクセスなども実現しました。

導入の背景とねらいセンター サーバーの運用コスト抑制が課題に浮上。災害対策、学校外からのアクセス対応も不可欠に

千葉県印西市は千葉県北西部に位置し、2010 年 3 月に印旛村および本埜村との合併をした人

口約 9 万人の自治体です。市西部の台地上には千葉ニュータウンがあり、市民の約 6 割がニュー

タウン地区に住んでいます。

市内の小中学校を支援する印西市教育センターでは、教育現場における ICT 活用を重視し、授

業、教材作成、校務処理、保護者と地域とのコミュニケーションの 4 つの領域で、さまざまな

取り組みを行ってきました。2009 年度末には校務処理システム用のセンター サーバーを教育セ

ンターに導入。教員はそれにアクセスする形で校務処理を行うようになりましたが、システムの

稼働から約 2 年、学校現場でのシステム利用が定着する中で、課題も明らかになってきました。

まず、オンプレミスのため、メンテナンスや運用にかかる時間が長くなり、コストが増加する可

能性が出てきたことです。また、2011 年 3 月に発生した東日本大震災では、センター サーバー

は被害を受けなかったものの、今後起きる可能性があるとされる巨大地震に備えた災害対策が

不可欠となりました。さらに教員は教材作成などを学校外で行うケースが多いにもかかわらず、

学校外からセンター サーバーへアクセスが許可されていないため、学校外で作業が行えないとい

う不便な状態が続いていました。印西市立内野小学校 教頭 (前 印西市

教育センター指導主事 ) 松本 博幸 氏が語ります。

「校務処理システム導入の段階でクラウドのメリットは説明されていまし

たし、私たちもそれは理解していました。しかし、当時はまだ学校現場

での事例も少なかったため、万一に備えて教材作成や指導案作成といっ

た児童や生徒の個人情報に関わらない部分から、段階的にクラウドに

移行していこうと考えました。それを念頭に、当時は校務処理システム

をセンター サーバー方式にしたのです」。

ソリューション概要

○プロファイル千葉県印西市は千葉県北西部に位置し、2010 年 3 月に印旛村および本埜村との合併をした人口約 9 万人の自治体です。市西部の台地上には千葉ニュータウンがあり、市民の約 6 割がニュータウン地区に住んでいます。印西市では教育現場における ICT 活用を重視し、授業、教材作成、校務処理、保護者と地域とのコミュニケーションの 4 つの領域で、さまざまな取り組みを行ってきています。

○ソフトウエアとサービス・ Microsoft® Office 365 for Education

・ Microsoft® Exchange Online

・ Microsoft® Lync® Online

・ Microsoft® SharePoint® Online

○パートナー企業インフォシェア株式会社株式会社インフォザイン

○メリット・ 教職員の業務生産性の向上・ Lync Online 利用による校長、教頭、養護教諭、事務職員の横のつながりの拡大

・ SharePoint Online 利用による、自宅からのアクセスも含めた、教員の教材や指導案の作成の効率化

・ SharePoint Online 利用による児童生徒の日常的な ICT 活用の促進

・ クラウド サービス導入による運用コストの抑制、災害対策の実現

○ユーザー コメント「Office 365 for Education 導入のメリットは先生たちの業務面における生産性が高まったことです。コミュニケーションの強化や情報の共有で、全体のレベルが高まり、それが子どもたちに対する教育の質の向上として、返ってきます。Lync Online で、校長、教頭、養護教諭、学校事務職員の他校との横のつながりが広がりましたし、SharePoint Online で教員の教材作成や指導案作成が効率的に行えるようになりました。また子どもたちは SharePoint Online で撮影した写真や原稿などを蓄積・共有し、日常的な ICT 活用の促進を図ることができるようになりました。マイクロソフトを信頼して、Office 365 for Education を導入したことで、災害対策やコストの抑制も含めて、期待通りの結果を出すことができて、とても満足しています」

印西市立内野小学校教頭(前 印西市教育センター 指導主事 )松本 博幸 氏

印西市教育センター

教職員と児童、生徒それぞれに Microsoft® Office 365 for Education を導入。教職員間の連携を Microsoft® Lync® Online で強化し、児童や生徒は ICT 授業で Microsoft® SharePoint® Online を利活用印西市

Inzai City

印西市立内野小学校教頭(前 印西市教育センター 指導主事 )松本 博幸 氏

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職員向けポータル サイト学校グループウェア校務支援システム文書管理システムActive Drectory®、DB 各種

教員用メール システム

教員、事務職員間のオンライン会議

教員用ポータルとICT 教育

学校図書システム

学校ホームページ システム

保護者向けメール通知システム

小学校

中学校

市教育委員会

印西市教育系ネットワーク

校務処理系システム

インターネット

図 印西市校務システム概要図

印西市教育センター

14

導入の経緯Office 製品や BPOS の延長線上であること、セキュリティや学外アクセスなどの観点から Office 365 for Education を導入

こうした考え方に基づき、印西市教育センターでは、学校現場でのコミュ

ニケーションや情報共有からクラウド サービスの利用を始めることを検

討。そして、マイクロソフトが教育機関向けに Office 365 for Education

をリリースすることを聞き、導入することに決めました。Office 365 for

Education を選んだ理由は、今まで学校現場で Office 365 の前身であ

るMicrosoft® Business Productivity Online Suite (BPOS) を使ってお

り、利用時のテクニカル サポートを高く評価していたこと、そして、今ま

で使ってきた Office 製品と BPOS の延長線上で、教職員が違和感なく

使えるという 2 つの点でした。

そして、Office 365 for Education の導入にあたって、Exchange

Online と Lync Online、SharePoint Online を利用することにしました。

「Exchange Online は自分たちでメール システムを運用するよりもはるか

に楽に使えます。また、セキュリティを確保した上で、ネット環境さえあ

れば学校の外からでも自由にアクセスできることも大きなメリットでした」

(松本 氏 )。

また印西市では 2011 年度、試験的に Lync Online の前バージョンであ

る Microsoft® Office Communicator を学校事務職員用に使用してお

り、大変好評だったという経緯があります。

当時は事務職員が各学校に 1 人しかいなかったため、業務についてわか

らないことがあっても校内で質問できる人がいない状況でした。そのため

Office Communicator を利用することで、他校の事務職員の在席状況

を確認と簡単にメッセージのやり取りもでき、わからないことを質問でき

るなど、事務職員の方々から業務効率向上の効果があるという報告があ

りました。それを踏まえて校長、教頭、養護教諭、事務職員の横のつな

がりを広げるために 今回新たに Lync Online を活用することにしたのです。

さらに SharePoint Online は教員と児童生徒の両方で利用する予定で

す。「教員に対しては授業準備のための資料や教材、毎週作成する週指

導計画 (週案 ) を SharePoint Online のサイトに置いて、必要に応じて

アクセスできるようにしようと考えました。一方で子どもたちに対しては、

日常的な ICT 活用の促進のために使いたいと考えました。現在、子ども

たちは PC 教室に行かないと PC を使えず、時間的にも空間的にも制限

されています。その制約を取り払い、自宅からもアクセスして授業の続き

ができるよう、各教室にも PC を置いて情報共有に利用しようと考えた

のです」(松本 氏 )。

システムの概要教育現場に合わせたウェブ サイトとテンプレートを開発。修正作業もオンライン上で行い、作業効率が向上

Office 365 for Education の導入は順調に進み、2012 年 4 月から、

Exchange Online は全教職員、Lync Online は校長、教頭、養護教諭、

学校事務職員、SharePoint Online は教員全員と試験運用先として選ば

れた 4 つの小学校での利用が始まりました (図 )。

導入過程で一番工夫したのは児童や生徒が使う SharePoint Online の

ウェブ サイトとテンプレートの開発です。そこでは日常的に ICT を活用で

きる環境を作るというコンセプトのもと、普段から情報の収集と発信の

活動ができることを目指しました。例えば、毎日の学校生活や学校行事

の際に、写真を撮ったり文章を書いたりして発信する。そして地域の人た

ちや親にそれを見てもらい、コメントをもらうなど交流を深めていけるよう

にするというものです。

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印西市教育センター

15

とができ、導入までのスピードも速くなりました。

株式会社インフォザイン CMSグループ ディレク

ター 永田 智孝 氏が語ります。

「従来のオンプレミスのシステムですと、わずかな

変更作業であってもセンター サーバーが設置さ

れている教育センターまで出向き、作業を行う必

要があったのですが、Office 365 for Education

はクラウド サービスですので、オンラインでアク

セスして作業ができました。そのため、変更や修

正等の作業を簡単に行うことができ、大変助か

りました」 。

導入効果と今後の展望災害時には Lync Onlineで他校との連携が可能に。職員同士の横のつながりも強化され、生産性の向上を実現

Office 365 for Education を 2012 年 4 月から利用開始。導入前にあっ

たさまざまな制約がなくなったことで、教員は自宅で仕事ができ、教職員

間の横のつながりも強くなりました。例えば、東日本大震災の時には電

話が不通になったため、他校の校長や教育委員会との、連絡が不可能

な状況に陥りました。その結果、校長は児童や生徒を学校で待機させる

のか、家に帰すのかといった判断を、他校と連携して決めることができま

せんでした。しかし、今回の導入で Lync Online が使えるようになったこ

とから、電話が使えない状況でもインスタント メッセージを活用すること

で、他校との連絡も可能になりました。

また、団塊の世代が大量定年を迎える一方で、若い事務職員や養護教

諭も増え、わからないことがある場合には Lync Online の在席情報を見

て、電話やメッセンジャーを利用して問い合わせを行う教職員も増えるな

ど、業務の生産性向上にもつながっています。

SharePoint Online の教員向けサイトには、教材と学習プログラムであ

る指導案が掲載されます。指導案は教員が自宅に持ち帰り作成するケー

スが多く、その際にグループウェア上のデータを利用できないというのが

各教員の悩みの種でした。しかし、SharePoint Online に移行したこと

で自宅でもグループウェア上にあるデータを利用した作業が可能となり、

「現在、子どもたちがブログを使用しているという学校はいくつかありま

すが、学校のサイトのブログ スペースに、日常生活の様子や総合的学

習の時間にまとめたものを投稿する形です。私たちが考えているのはそう

いうやり方ではなく、子どもたちがサイトの企画、運営も含めて、すべて

を行うというものです。サイトに記事を投稿するためにはさまざまな情報

が必要になりますので、下書き原稿や撮影した写真などを SharePoint

Online に保存し、共有します。そうすれば、子どもたちは自宅からでも

アクセスして作業ができますし、家族に相談しながら作ることもできます」

(松本 氏 )。

このような考え方に基づいて、SharePoint

Online のシステム全体と教員、児童や生徒が使

うウェブ サイトの設計をインフォシェア株式会社

が行いました。インフォシェア株式会社 代表取

締役社長 西岡 真樹 氏が語ります。

「SharePoint Online を教育用として使用するこ

とは今までにない活用法でしたので、最初は情

報量を少なくした形で始め、使い方に慣れてきた

ら機能を少しずつ追加していくという方法を取る

ことにしました。また、特に子どもたちが目的の

ファイルを簡単に見つけ出せるよう、直感的に使

えることを心がけました」。

一方、各サイトのテンプレートは株式会社インフォザインが開発を担当

しました。株式会社インフォザイン Web マーケティンググループ デザイ

ナー 林 敬子 氏が語ります。

「子どもたち向けのテンプレートは、木目を基調

にして、学年やクラス名が焼き印風に表示される

ようにし、教育現場に馴染むようなデザインにし

ました。そして、先生たち向けのテンプレートは、

Office ソフトと同じような操作の流れにすること

により、今までの延長線上で、自然に使えるよう

デザインしました」 (画面 1、画面 2 )。

また、クラウドを利用することで開発作業やテ

ンプレートの修正もオンライン上で簡単に行うこ

画面 2 SharePoint Online で構築されたウェブ サイト画面 1 各校で運用中の SharePoint サイト。撮影した写真などを SharePoint Online に保存し、共有できる

インフォシェア株式会社代表取締役社長西岡 真樹 氏

株式会社インフォザインCMSグループディレクター永田 智孝 氏

株式会社インフォザインWebマーケティンググループデザイナー林 敬子 氏

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〒108-0075 東京都港区港南 2-16-3 品川グランドセントラルタワー

導入についてのお問い合わせ

5323-WI1

本ケース スタディは、インターネット上でも参照できます。http://www.microsoft.com/ja-jp/casestudies/本ケース スタディに記載された情報は制作当時 (2012 年 5 月) のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。本ケース スタディは情報提供のみを目的としています。Microsoft は、明示的または暗示的を問わず、本書にいかなる保証も与えるものではありません。製品に関するお問い合わせは次のインフォメーションをご利用ください。■インターネット ホームページ http://www.microsoft.com/japan/■マイクロソフト カスタマー インフォメーションセンター 0120-41-6755(9:30 ~ 12:00、13:00 ~ 19:00 土日祝日、弊社指定休業日を除く)※電話番号のおかけ間違いにご注意ください。

*Microsoft、Active Directory、Exchange Online ロゴ、Lync、Lync Online ロゴ、SharePoint、SharePoint Online ロゴ、Office 365 ロゴ、OneNote、Outlook は、米国 Microsoft Corporation および、またはその関連会社の商標です。*その他記載されている、会社名、製品名、ロゴ等は、各社の登録商標または商標です。*製品の仕様は、予告なく変更することがあります。予めご了承ください。

印西市教育センター

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蓄積されている情報を活かして指導案を作成できるようになります。さら

に、児童や生徒向けの SharePoint Online では日常生活や行事の記録

を児童や生徒自身がサイトにアップロードし、共有して情報発信に活用し

ています。

「Office 365 for Education 導入の最大のメリットは、先生や職員の業

務面における生産性が高まることです。コミュニケーションの強化や情

報の共有で全体のレベルが高まり、それが子どもたちに対する教育の

質の向上として返ってきます。マイクロソフトを信頼して、Office 365

for Education を導入したことで、災害対策やコストの抑制も含め、期

待通りの結果を出すことができたことに大変満足しています。今後は

SharePoint Online と Microsoft® OneNote® を組み合わせて、テキスト

や画像、映像、音声を複数人で共有しながらひとつの作品を仕上げる

“バーチャル模造紙”としての活用や Microsoft® Outlook® を使ったスケ

ジュール管理との連携にも取り組みたいと考えています」(松本 氏 )。

印西市教育センターでは今回の導入を皮切りに、今後、校務処理システ

ムも含めて、市のポリシーに沿う形で情報を切り分け、クラウド化を進め

ていく方針です。そして、いずれ保護者が自分の子どもの情報にアクセス

できるような時代が到来することを見通して、次期システムでのクラウド

活用を図っていく考えです。

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1 万人余りの学生と教職員が使うメール サーバーを Microsoft Office 365 Education に移行。オンプレミスからクラウド型への転換の第一歩を踏み出す

2012 年に創立 130 周年を迎えた國學院大學では、1998 年の情報センター設立以来、情報環境の整備に力を入れ、メール サーバーとして、Microsoft Exchange Server を導入、学内で運用してきました。しかし、事業継続への備え、メール ボックス容量の不足への対応、サーバー運用へのリソース集中に伴うサービス提案の遅れの解消などを目的として、クラウド サービスの利用の検討を始めました。そして、複数のクラウド メール サービスを試験的に導入し、長期にわたり他社の製品と比較、検証した結果、Microsoft Office 365 Education の導入を決定しました。Office

365 は学生、教職員共に使うことを前提として、1 万人に及ぶユーザーの全データを移行。作業はスムーズに進み、2013 年 3 月からメール サービスの利用を始めました。國學院大學では今回の

Office 365 の導入をステップにしてクラウド型システムの利用を進め、事業継続への備えの一層の充実、サーバー管理業務からの解放による新サービス提案業務への移行などを実現していく考えです。

導入の背景とねらい少数要員による運用、事業継続への対応、メール容量の不足などからメール システムの学内運用が限界に

國學院大學は、明治15年 (1882年 ) に創設された皇典講究所を母体とする文系大学です。平成

24 年 (2012年 ) には創立 130 周年を迎え、「建学の精神を活かした個性ある教育と研究の実現」「日本社会の中核を担い、グローバル化する時代に貢献できる人材の育成」「國學院ブランドの確立と強化」に基づいて、より一層の個性化を図り、その特質を明確にして大学の認知度をさらに高めることを目指しています。國學院大學には、渋谷キャンパスとたまプラーザキャンパスの 2 つのキャンパスがあり、渋谷キャンパスでは文学部、経済学部、法学部、神道文化学部、大学院、法科大学院、専攻科、別科、たまプラーザキャンパスでは人間開発学部の学生が学んでいます。そして、学生の多様な志向性を尊重すると同時に、自分でも気づかない特性の発見や能力の涵養のために、「いつでも、どこでも」のシステム支援や人的支援、カリキュラム支援など、さまざまな支援策を講じています。

國學院大學では情報環境の整備にも力を入れてきました。平成 10 年 (1998 年 ) には情報センターを設立、キャンパス内のネットワークを整備し、インターネット接続、グループウェアなどを導入しました。そして、現在では、学習支援システムとして、「K-SMAPY」と呼ばれる学内ポータルや学生カルテ、学術研究情報を発信するデジタル

ミュージアム、Exchange Server を利用したパブリック フォルダーなど、多彩なシステムが学生、教職員、研究支援用として提供されています。さらに、休講情報をタッチ パネル操作で簡単に確認できる「K-PIT」と呼ぶ KIOSK 端末や電子掲示板、スマートフォン接続など、学生向けにも多様なアクセス環境を用意しています。

こうした中で、國學院大學では 1998 年にメール サーバーとして Exchange Server を導入し、情報システム課が運用してきました。Exchange

Server は 5.5 から 2000、2003、2007 へとアップ

ソリューション概要

○プロファイル國學院大學は、明治 15 年 (1882 年 ) に創設された皇典講究所を母体とする文系大学です。学生、教職員合わせて 1 万人強の同大学には、渋谷キャンパスとたまプラーザ キャンパスがあり、渋谷キャンパスでは文学部、経済学部、法学部、神道文化学部、大学院、法科大学院、専攻科、別科、たまプラーザ キャンパスでは人間開発学部の学生が学んでいます。同大学では、学生の多様な志向性を尊重すると同時に、自分でも気づかない特性の発見や能力の涵養のために、「いつでも、どこでも」のシステム支援や人的支援、カリキュラム支援などさまざまな支援策を講じています。

○導入ソフトウェアとサービス・ Microsoft Office 365 Education・ Exchange Online・ SharePoint Online・ Lync Online・ Windows Server 2008 R2

○パートナー企業富士通株式会社

○メリット・ メール データの保存容量拡大による Web 利用の利便性の大幅向上

・ 流入する迷惑メールの劇的な減少・ OS やブラウザーの対象拡大によるさまざまなデバイスでの自由な利用

・ ウイルス対策、迷惑メール対策用にかかっていた費用の削減

○ユーザー コメント「Office 365 の導入によって、メール データの保存容量が大きく拡大し、ブラウザーからの利用における利便性が大きく向上しました。また、迷惑メールは、従来アプライアンス機器でブロックしていましたが、阻止しきれない場合がありました。しかし、Office 365 に完全に移行した結果、迷惑メールが劇的に減少し、ほとんどなくなりました。さらに、OS やブラウザーの対象が広がったことで、Mac やさまざまなデバイスで自由に使えるようになりました」

國學院大學学術メディアセンター事務部情報システム課課長 兼 経済学部 兼任講師堀内 弘行 氏

國學院大學

國學院大學

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國學院大學

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グレードし、2012 年当時は 4 台の Microsoft Exchange Server 2007

を学生、教職員合わせて、約 1 万人のユーザーで利用していました。國學院大學学術メディアセンター事務部 情報システム課 課長 兼 経済学部 兼任講師 堀内 弘行 氏が語ります。

「従来、メール サーバーは情報システム課が運用してきました。しかし、要員が少ないことから、事業継続という観点で見た時に、学内での運用では限界があると判断し、2005 年の ISMS (Information Security

Management System) 認定を受けて、外部運用が可能なシステムは外部運用するという方針を定めました。また、インターネットの技術やサービスは日々進化していますが、サーバーの運用は 5 年を超える場合も多く、保守面での対応を優先するため、新しいサービスやシステムの導入は後手に回りがちでした」。

加えて、メールの利用がこの数年で大きく増えたことも要因のひとつです。当初のメール ソフトからブラウザーによる操作が中心になったことで、メールをダウンロードしないユーザーが増え、ユーザー 1 人あたりのデータ容量の不足が大きな問題になってきていました。

導入の経緯Office と操作感が変わらないこと、直感的な操作が可能なことなどから Office 365 を選定

國學院大學では、今まで運用してきたメール サーバーに 2 度大きなハードウェアの障害が発生しています。幸いにもデータの損失などユーザーへの影響はありませんでした。しかし、メール システムが授業や研究、業務の重要な手段となっている中で、高い耐障害性や 災害対策、事業継続性などの特長を持つクラウド システムは、こうした課題を解決する有効な手段だという結論にいたりました。そこで、5 年ほど前から、情報システム課が中心となって、教員も交えた情報センター委員会で、クラウド メール サービスの評価と検討を行ってきました。

長期にわたる検討の中で、複数のクラウド メール システムを検討し、絞

り込んだ2つのサービスについて、1 つは実際に導入し、もう 1 つの候補である Office 365 Education も、試用版を導入しました。そして、メール ボックスや各種の操作、管理者画面や管理機能についての評価を行い、最終的にOffice 365 を導入することになりました。Office 365 を選んだ理由について、國學院大學 学術メディアセンター事務部 情報システム課 課長補佐 後藤 幸雄 氏が語ります。

「Office 365 は、今までユーザーが使っていた Microsoft Outlook や

Exchange Server の Web メール サービスである Outlook Web Access

と大きな違いがなく、とても使いやすいと思いました。また、文系大学で文書の縦書きも多いため、Office Web Apps で Microsoft Word の縦書き表示ができるなど、利用している Office 製品と親和性が高い点も評価が高かったところです。さらに、ブラウザーから使う場合、IT が苦手な文系のユーザーでも、直観的な操作ができるユーザー インターフェイスであること、企業向けのサービスと同じものなので広告が表示されず、安心して使えることも評価しました。加えて、検討段階で、マイクロソフトから直接、サポートを受けられたことで、導入後も充分なサポートを受けられると判断しました」。

導入にあたっては、複数の SI ベンダーから提案を受けて検討し、担当ベンダーを決めることにしました。他大学ではメール システムの移行だけを行い、データはユーザーが各自で移行するケースもあるようですが、國學院大學では、データの移行もすべて一括してベンダーが行いました。1 万人に及ぶユーザーのデータ移行はわずかなミスも許されないため、ベンダーに導入経験があることが提案に参加する前提条件でした。比較検討した結果、その要件を満たし、価格面と導入計画が詳細で、安定導入できるという信頼感を持てたことから、最終的に担当ベンダーとして富士通株式会社 (以下、富士通 ) が選定されました。

システム概要と構築1 万人のデータを確実に移すため、綿密に検証を実施。トラブルや混乱なく、移行を完了

構築作業を開始したのは 2012 年 10 月のことです。そして 2013 年 1

月にはシステム課員でテスト運用を行い、春休み中でユーザーへの影響も少ない3 月にユーザー データの移行を行い、3 月下旬には全学で利用を開始しました。構築作業では富士通が全体設計、Active Directory フェデレーション サービス (ADFS) との連携や Office 365 とのユーザー同期、メール データを含むシステムの移行、環境設定を担当しました。一方、情報システム課は富士通のアドバイスを受けながら、Microsoft

SharePoint Online の構築やコンテンツ作成を行いました。

「ミスが許されない中で、検証や打ち合わせに多くの時間を割きました。そして、ツールや用意されたソフトウエアを利用できたこと、手順やマニュアルが整備されていたこと、セミナーや研修、試用環境で十分テストできたことなどから、実際の作業は少ない時間で行うことができました。また、サーバー停止を伴わずに移行と切り替えができたことで、ユーザーの混乱も全体としては想定よりはるかに少く済みました」(後藤 氏 )。

國學院大學学術メディアセンター事務部情報システム課 課長 兼 経済学部 兼任講師堀内 弘行 氏

國學院大學学術メディアセンター事務部情報システム課 課長補佐後藤 幸雄 氏

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國學院大學

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さらに、國學院大學では従来からサーバーの仮想化を実行していたため、今回必要な ADFS など認証系サーバーも仮想化することで、負荷の分散とコストの削減を実現することができました。その上で、導入のプロセスで最も配慮した点は、ユーザーの混乱や移行に伴う影響を最小限にすることでした。事前のアナウンスや情報提供を十分にすることで、学生も含めメール アドレスの変更をせず、データは完全移行する形で、切り替え前と切り替え後の変化を極力少なくするようにしました。

「情報システム課の課員は 7 名です。今回は富士通の支援もありましたが、システム関係の対応は 1 名で行い、マニュアルの作成やユーザー

サポートも他の通常業務を行いながら、実質 2、3 名で行うことができました。これも長期間にわたる Office 365 の試用や検証、構築作業に入る前に綿密な打ち合わせを行った成果だと考えています」(堀内 氏)。

Office 365 は現在スムーズに稼働しており、ユーザーは大学内に構築された ADFS サーバーと Active Directory 同期サーバーで、シングル サインオン認証され、メール サービスを利用します (図 )。特に重視しているのがセキュリティの確保です。Office 365 の管理権限は機能も豊富です。そこで、管理者の ID やパスワードの利用は厳密なルールのもとで行い、管理には特に注意すると共に、管理者以外のメール利用においても ISMS のルールに従って、重要文書は添付ファイルにパスワードを付ける形式で運用しています。

現在はメール利用が中心ですが、SharePoint Online については、アドレス帳や予定表共有の機能を使い始めており、学部の授業用、研究用のサイトの構築も 2013 年夏には開始する予定です。授業用については、掲示板でのディスカッションや情報共有機能などによって、教育効果を上げる目的に使いたいという声が教員の中から上がっています。とりわけ、Wikipedia のような情報共有スタイルは、学術や知識ベースの蓄積や共有という点で大きな可能性があると評価しています。

一方、Microsoft Lync Online については教職員間のコミュニケーションやサポートでの利用を検討しており、Office 365 のバージョンアップ後、Web ベースでの利用環境が整い次第、導入していく考えです。

導入の効果と今後の展望アプリケーションの改修費用を大幅削減。クラウド サービスの活用で情報環境の整備を推進

今回の Office 365 の導入によって、メール データの保存容量が拡大し、ブラウザーからの利用における利便性が大きく向上しました。また、迷惑メールは従来アプライアンス機器でブロックしていましたが、阻止しきれない場合がありました。しかし、Office 365 に完全に移行した結果、迷惑メールが劇的に減少し、ほとんどなくなりました。さらに、OS やブラウザーの対象が広がったことで、Mac やさまざまなデバイスで自由に使えるようになりました。

Active Directoryフェデレーション サービスプロキシ サーバー

教職員 及び 学生向けメール サービス

Active Directory ディレクトリ同期ツール

認証基盤連携とシングルサインオン

教職員及び 学生 ID

インターネット

アドレス帳共有予定表

ディスカッション

オンライン会議コミュニケーション

サポート

学内データセンター

Windows AzureActive Directory

職員 および 教員用 PC 自宅や外出先

自宅

タブレット

外出先

スマートフォン

学内 PC 演習室

Active Directoryフェデレーション サービス

図 國學院大學が採用したシステム概要図

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國學院大學

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導入についてのお問い合わせ本ケース スタディは、インターネット上でも参照できます。http://www.microsoft.com/ja-jp/casestudies/本ケース スタディに記載された情報は制作当時 (2013 年 7 月 ) のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。本ケース スタディは情報提供のみを目的としています。Microsoft は、明示的または暗示的を問わず、本書にいかなる保証も与えるものではありません。製品に関するお問い合わせは次のインフォメーションをご利用ください。■インターネット ホームページ http://www.microsoft.com/ja-jp/■マイクロソフト カスタマー インフォメーションセンター 0120-41-6755(9:00 ~ 17:30 土日祝日、弊社指定休業日を除く )※電話番号のおかけ間違いにご注意ください。*Microsoft は、米国 Microsoft Corporation および、またはその関連会社の商標です。*その他記載されている、会社名、製品名、ロゴ等は、各社の登録商標または商標です。*製品の仕様は、予告なく変更することがあります。予めご了承ください。

〒108-0075 東京都港区港南 2-16-3 品川グランドセントラルタワー

コスト面で見ると、メールのウイルス対策と迷惑メール対策にかかっていた年間費用を削減することができました。また、今までは 5、6 年に一度、メール サーバーのバージョンアップを行い、サーバーのリプレイスやアプリケーションの改修を行ってきました。Office 365 の導入でそれが必要なくなったため、年平均 300 万円ほどのコストを減らすことが可能になりました。國學院大學では、Office 365 の導入はオンプレミス主体だった同大学のシステムをクラウド型に移行していく第一歩だと考えています。そして、今回の移行が成功したことから、今後、クラウド サービスの利用を積極的に検討していく計画です。その際、マイクロソフト製品が大きな役割を果たすことを期待しています。

「文系大学で要員も少ない私たちの大学では、異なるベンダーの OS やミドルウエア、アプリケーションを組み合わせる積み木型システムだと、うまく運用されている時ならともかく、問題が起きた時の対応が困難です。その点、マイクロソフト製品は OS からブラウザー、アプリケーション、開発ツールまで提供されており、ノウハウも蓄積されているので、安心して使うことができます。今後も教育機関向けに充実した支援をお願いしたいと思います」(堀内 氏 )。

今回、Office 365 を導入することで、メール サーバーの管理負荷を大幅に軽減することができました。國學院大學では、そのリソースを学生や教職員に対する新たなサービスの検討や提案にまわし、より充実した情報環境の実現を目指していく考えです。

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学生用メール システムを Microsoft Office 365 Education に移行。最先端のクラウド サービスの活用で、学生の情報リテラシーの底上げと就業力向上を目指す。

2013 年に創立 50 周年を迎えた福岡工業大学では、情報処理センターを中心に、最先端の ICT

機器や設備の活用による、情報教育に力を注いできました。メール サーバーは学内で運用してきましたが、ヘルプ デスク業務の強化によるサービスの向上を目指して、サーバー管理業務の軽減を計画。学生用メール システムをクラウド サービスに移行することにしました。福岡工業大学では複数の SI ベンダーからの提案を比較検討した結果、SCSK株式会社が提案した Microsoft

Office 365 Education を導入することにしました。Office 365 の認証は Active Directory フェデレーション サービス (ADFS) 2.0 で行い、従来から利用していた複数の認証基盤と連携させることでシングル サインオンを実現しました。これらは Microsoft Hyper-V の仮想プラット フォーム上に構築、Microsoft System Center 2012 で統合管理されており、2013 年 9 月末から稼働を開始する予定です。

導入の背景とねらい情報教育のため、最新の IT 設備とシステムを導入。教育機関向け総合契約も活用

福岡工業大学は昭和 38 年 (1963 年 ) に創立され、今年で創立 50 周年を迎える大学です。建学の綱領として、「学徒の品性陶冶と教養の啓培・宇宙の真理探究と社会貢献・世界に雄飛する人材育成」を掲げ「For all the students~すべての学生生徒のために」を経営理念とし、「Just Do It! (即実行する)」を行動規範としています。そして、21 世紀を支える「情報」「環境」「モノづくり」の 3

つの領域で教育研究力を発揮し、一人ひとりの学生に対する丁寧な教育と学修支援、就職支援日本一を目指して、マスタープラン (中期経営計画) と各部門の PDCA による内部質保証システムを軸に活動を展開しています。同大学は理系の工学部、情報工学部、大学院工学研究科、短期大学部、そして文系の社会環境学部および大学院社会環境学研究科からなり、全学で 4,700 人余りの学生が学んでいます。卒業後に社会に貢献できる人材の育成を図っており、その教育方針や育成内容および教育・経営改善の取り組みは産業界から高く評価され、毎年の就職率や大学評価の高さとして実を結んでいます。福岡工業大学では価値ある人材には情報活用能力が欠かせないとの考えから、最先端の ICT 機器や設備の活用による、情報教育に力を注いできました。福岡工業大学 工学部 電気工学科 教授兼情報処理センター長 エクステンションセンター長 松尾 敬二 氏が語ります。

「情報教育では、常に先端的で特長あるサービスを活用していきたいと考えています。その中心的役割を担うのが情報処理センターで、教育および研究を支援する機関として、コンピューター システムの適正かつ効率的な利用を行うための全学共同利用施設として設置されています」。

情報処理センターの教育システムでは、6 教室に約 460 台の PC を配置し、ハードウェアとソフトウェアをできるだけ統一することで、操作方法の違いなどの負担を減らすと共に、教室を無駄なく運用できるようにしています (平成 25 年秋に全面刷新 )。さらに、2000 年から、マイクロソフトと「包括ライセンス契約 (現「マイクロソフト教育

ソリューション概要

○プロファイル福岡工業大学は昭和 38 年 (1963 年 ) に創立された、今年で創立 50 周年を迎える大学です。建学の綱領として「学徒の品性陶冶と教養の啓培・宇宙の真理探究と社会貢献・世界に雄飛する人材育成」を掲げ、「For all the students~すべての学生生徒のために」を経営理念とし、「Just Do It! (即実行する)」を行動規範としています。そして、21 世紀を支える「情報」「環境」「モノづくり」の 3 つの領域で教育研究力を発揮し、一人ひとりの学生に対する丁寧な教育と学修支援、就職支援日本一を目指し、マスタープラン (中期経営計画 ) と各部門の PDCA による内部質保証システムを軸に活動しています。理系の工学部、情報工学部、大学院工学研究科、短期大学部、そして文系の社会環境学部および大学院社会環境学研究科から構成され、全学で 4,700 人余りが学んでいます。

○導入ソフトウェアとサービス・ Microsoft Office 365 Education・ Active Directory フェデレーション サービス (ADFS) 2.0・ Microsoft Hyper-V・ Microsoft System Center 2012・ マイクロソフト教育機関向け総合契約 (OVS-ES)

○メリット・ 最先端のクラウド メール サービスの活用による情報リテラシーの向上

・ サーバー管理業務の負荷削減によるヘルプ デスク業務への一層の注力

・ Exchange Server と同等なインターフェイスに早くから慣れることによる就業力の向上

○パートナー企業SCSK株式会社

○ユーザー コメント「Office 365 Education はさまざまな IT サービスの中でも、とりわけ先端的なサービスで、情報教育に大きく貢献すると考えました。また Microsoft Exchange がメール インフラとして、グローカル企業 (グローバルとローカルを組み合わせた造語 ) で多くの採用実績があることから、学生が同等なユーザー インターフェイスの Office 365 Education を使うことで、就業力の向上に役立つという判断もありました」。

福岡工業大学工学部 電気工学科教授兼情報処理センター長エクステンションセンター長松尾 敬二 氏

福岡工業大学

福岡工業大学

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福岡工業大学

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機関向け総合契約 : OVS-ES)」を契約。学生、教職員ともに、Microsoft

Office など主要アプリケーションの最新バージョンを利用することが可能です。福岡工業大学情報処理センター管理課 課長 中島 良二 氏が説明します。

「20 年ほど前に学内ネットワークを整備し、教員には PC 端末を配布しました。その後、ネットワークは世代も変わり、現在では基幹部分に

10Gbps 以上の Gigabit Ethernet を利用した学内総合情報ネットワーク

システム (FITNeS) が構築されています。そして、各教室には情報コンセントが引かれ、無線 LAN、有線 LAN が自由に使えるフリー スペースでは、タブレット端末も使うことができます」。

導入の経緯「For all the students」の理念に基づき、メール システムの Office 365 移行を決定

今まで福岡工業大学では、メール システムを学生用、教職員用の双方ともオンプレミスで運用してきました。学生用メール システムは約 4,700

人の学生が教員とのコミュニケーションや就職活動、課外活動などあらゆる活動で利用する重要なインフラの 1 つです。メール システムは、メール サーバーと迷惑メール / マルウェア対策用アプライアンス サーバーのセットで運用されてきましたが、利便性の改善とサービス継続性の向上、および、運用に伴う管理負荷の抜本的な見直しが課題になっていました。福岡工業大学 情報処理センター管理課 係長 藤原 昭二 氏が語ります。

「情報処理センターで行っている業務の 50% はヘルプ デスク業務で、その割合は年々増加しています。かつてはセンター施設内で提供する情報基盤が中心だったので、教員も学生も施設を訪れて利用していました。ところが、現在では分散化と高度化によって、施設内にとどまらず、提供するサービスも増加しています。そのため、問い合わせ内容も多様化し、電話対応ではわからないことも多く、ほとんどが直接講義室や研究室に出かけることになります。また、個人所有のパソコンやスマート デバイスを、さまざまな学内サービスで活用する際の利用方法やトラブルへの対応も増加しています。よりよいサービスを提供していこうとすると、ヘルプ デスク業務が増えることは確実ですが、限られた人数の中での運用となるため、サーバー管理業務を軽減していきたいと考えました」。

そうした中で、福岡工業大学では学生向けメール システムのクラウド

サービスへの移行を決めて、2012 年 6 月頃から、導入サービスの検討を始めました。

「クラウド サービスの利用を決めたのは、最先端の IT サービスを学生に提供したいと考えたからでもあります。ですから、スマート デバイスなどの利用も含めて、学生がより有効にクラウド サービスを使えるようにするために、いかに手厚いサポートをしていくかに主眼を置いて、検討作業を進めました」 (松尾 氏 )。

そして、クラウド サービスへの移行によって、経営理念として掲げる「For

all the students~すべての学生生徒のために」に基づき、情報リテラシーの底上げや就業力の向上を実現することを目標にしました。その上で、クラウド サービスの活用とシングル サインオンでの認証や、管理系サーバーの仮想化などを主な要件として、導入にあたる SI ベンダーの選定作業に入りました。また、調達においては連携を考慮し、情報処理センター新教育システムに含む共同調達としました。選定にあたっては、ITIL (コンピューター システムの運用、管理業務に関する体系的な指針 ) のガイドラインを参考にして、まず さまざまな IT

ベンダーに RFI (情報提供依頼書 ) を出し、情報を提供してもらいました。それに基づいて、RFP (提案依頼書 ) を作成し 11 社に提案を依頼しました。最終的に 3 社に絞り込み、検討の結果、SCSK株式会社の提案がベストと判断、導入インテグレーターに選びました。SCSK株式会社 プラットフォームソリューション事業部門 九州プラットフォーム事業本部 営業第一部 営業第二課 田中 修平 氏が語ります。

「当社は 2007 年から現行システムの導入と運用管理を担当してきましたので、次期システムに必要な要件をよく理解していました。また、福岡工業大学様がマイクロソフト教育機関向け総合契約を利用していることから、学生が普段から使い慣れている Office とも親和性の高いOffice

365 Education をクラウド サービスとして提案しました。そして、サーバー仮想化の強力なプラットフォームとしてHyper-V を採用して、シングル サインオン サービスやアプリケーション管理を行うサーバーを仮想化し、その仮想サーバー群を System Center 2012 で統合管理する形としました」。

福岡工業大学情報処理センター管理課 課長中島 良二 氏

福岡工業大学情報処理センター管理課 係長藤原 昭二 氏

福岡工業大学工学部電気工学科教授兼情報処理センター長エクステンションセンター長松尾 敬二 氏

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福岡工業大学

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システム概要と構築認証基盤と ADFS の連携でスマートなシングル サインオンを実現

福岡工業大学が Office 365 Education を選んだ大きなポイントは、サービスに国内法が適用され、万一係争が発生しても国内法で対処できることと、マイクロソフトの充実したサポート サービスが受けられることでした。

「Office 365 Education はクラウド メール サービスとしては後発でしたが、急速にサービス レベルを向上させてきています。セキュリティ レベルも高く、コンプライアンス面でもしっかりした企業向けのサービスであり、導入できると考えました」(中島 氏 )。

また、Microsoft Exchange がメール インフラとして、グローカル企業 (グローバルとローカルを組み合わせた造語 ) で多くの採用実績があることから、学生が同じユーザー インターフェイスの Microsoft Exchange

Online を使うことで、就業力の向上に役立つという判断をしました。さらに、Office 365 Education と統合されて提供されるようになった

Microsoft SharePoint Online と Microsoft Lync Online にも大きな期待を寄せています。

「SharePoint Online は教員と学生の間のコミュニケーション、Lync

Online は文部科学省が進めている大学間の連携や、福岡工業大学が学術交流、学生交換協定を締結している 6 か国 14 大学との国際交流に役立つと考えています」(藤原 氏 )。

福岡工業大学では RFI の段階から、シングル サインオン サービスのより一層の拡大を方針として決めていました。そこで、Active Directory や学内無線 LAN、教職員用や学生用などさまざまな学内の認証基盤、そして全国の大学、研究教育機関などの学術情報基盤として運用されている学術情報ネットワーク (SINET4) との連携を要件としてあげていました。認証基盤について、SCSK株式会社 プラットフォームソリューション事業部門 九州プラットフォーム事業本部 営業第二部 技術二課 シニアエンジニア 春田 直樹 氏が説明します。

「私たちは複数ある認証基盤をすべて統合するという提案をしました。また BCP 対策の観点から見ると、認証基盤がオンプレミスにあるシステムでは学内の計画停電や障害の影響を受けてしまいます。そうなった場合、Office 365 Education のサービスが動いていても、認証ができず、メールを使うことができません。そこで、大学外のデータ センターにバックアップ システムを構築し、万が一大学内の認証基盤が停止しても、メール サービスを継続して利用できるようにしました」。

「複数認証基盤の統合」と「継続したメールサービスの提供」というSCSK

株式会社の提案が福岡工業大学に採用され、2013 年 1 月より導入プロジェクトが開始されました。導入プロジェクトにおいて認証基盤統合を担当した SCSK株式会社 プラットフォームソリューション事業部門 九州プラットフォーム事業本部 営業第二部 技術第二課 田上 智博 氏が当時を振り返ります。

「Office 365 Educationの機能をフルに活かすには、Active Directoryとの連携が必要です。その上でシングル サインオンを実現するためには、マイクロソフト が提供する 認証基盤ソリューション ADFS 2.0 の採用が最適と判断しました。そして、大学側からの要求仕様にあった学術認証フェデレーション

(GakuNin) は『Shibboleth』認証基盤で連携させ、学内の既存サービスには、『OpenAM』認証基盤を採用することで、それぞれに対応するサービスをネイティブに連携させました。これらすべての認証基盤は、弊社が独自構築する統合認証管理システムを中核に連携させ、1 つのサービスで認証を行えば、すべてのサービスが利用できるシングル サインオン サービスの提供が可能になりました」。

現在構築中のシステムは、Office 365 Education のクラウド メール

サービスを利用するにあたって、認証基盤を Hyper-V の仮想化プラットフォーム上で System Center 2012 によって、統合管理しています (図 )。さらに、認証基盤の一部と学生用ストレージのバックアップは SINET4

が収容されている大学外のデータセンターに構築するプライベート クラウド上で運用します。

SCSK株式会社プラットフォームソリューション事業部門九州プラットフォーム事業本部営業第二部 技術第二課 シニアエンジニア春田 直樹 氏

SCSK株式会社プラットフォームソリューション事業部門九州プラットフォーム事業本部営業第二部 技術第二課 田上 智博 氏

SCSK株式会社プラットフォームソリューション事業部門九州プラットフォーム事業本部営業第一部 営業第二課田中 修平 氏

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導入についてのお問い合わせ本ケース スタディは、インターネット上でも参照できます。http://www.microsoft.com/ja-jp/casestudies/本ケース スタディに記載された情報は制作当時 (2013 年 8 月 ) のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。本ケース スタディは情報提供のみを目的としています。Microsoft は、明示的または暗示的を問わず、本書にいかなる保証も与えるものではありません。製品に関するお問い合わせは次のインフォメーションをご利用ください。■インターネット ホームページ http://www.microsoft.com/ja-jp/■マイクロソフト カスタマー インフォメーションセンター 0120-41-6755(9:00 ~ 17:30 土日祝日、弊社指定休業日を除く )※電話番号のおかけ間違いにご注意ください。*Microsoft は、米国 Microsoft Corporation および、またはその関連会社の商標です。*その他記載されている、会社名、製品名、ロゴ等は、各社の登録商標または商標です。*製品の仕様は、予告なく変更することがあります。予めご了承ください。

〒108-0075 東京都港区港南 2-16-3 品川グランドセントラルタワー

クラウド サービス学内提供サービス

Windows AzureActive Directory

Office 365GakuNin

認証連携

学認サービス

Office Web Apps

ディレクトリ同期ツール

学内サービス

ディレクトリ認証基盤連携

認証連携MyFIT (学内 SSO サービス基盤)

認証基盤連携 認証基盤連携

ActiveDirectory

ActiveDirectory

レプリケーション

Open LDAP

Open LDAP

ActiveDirectory フェデレーション サービス 2.0Shibboleth-IDPOpenAM-IDP

OpenIG代理認証サーバー

データセンター (プライベート クラウド)

福岡工業大学 CPU室(オンプレミス)

レプリケーション

Lync Online

SharePoint Online

Exchange Online

福岡工業大学が採用したシステム概要図

導入効果と今後の展望Office 365 の機能を最大限に活かし、コミュニケーション ツールとして活用を図る

Office 365 Education によるクラウド メール サービスは、2013 年 9 月末から稼働を開始する予定です。福岡工業大学では メール サービス をよりよい状態で提供できるようにすると共に、情報教育や学部学科の授業でより効果的に活用していく計画です。その上で、SharePoint Online

や Lync Online を使った、グループ学習などの新しい教育方法にも取り組んでいきます。そして、その実績の上に、教職員用メール システムも

Exchange とクラウドによるハイブリッド システムも含めた、オンプレミスからの切り替えを視野に入れて運用していく予定です。また、今年で 13 年目になるマイクロソフトとの教育機関向け総合契約は、学生の情報活用能力の向上や資格取得に大きな力を発揮していると評価しています。

「大学で推奨ノート PC の販売を始めたのですが、当時は PC が高価で、アプリケーションの購入費用まで学生に負担させるのは無理でした。教育機関向け総合契約であれば、学生の負担も少なくて済みますし、大学に設置する PC にも導入できます。またバージョンアップにも対応できるため、常に最新版を使えます。今年度からは Office と Microsoft

Visual Studio に加えて、Microsoft Visio も使えるようになり、学生、教職員ともに大変好評で教育研究活動の発展と改善に活かされています」 (藤原 氏 )。

福岡工業大学では今後、Office 365 Education の機能を活かして、コミュニケーション ツールとしてのより一層の活用を図ると共に、オンプレミスのシステムについても、移行可能なサーバーを Windows Azure に移行させることも検討していく考えです。

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導入についてのお問い合わせ本ケース スタディは、インターネット上でも参照できます。http://www.microsoft.com/ja-jp/casestudies/本ケース スタディに記載された情報は制作当時 (2013 年 10 月 ) のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。本ケース スタディは情報提供のみを目的としています。Microsoft は、明示的または暗示的を問わず、本書にいかなる保証も与えるものではありません。製品に関するお問い合わせは次のインフォメーションをご利用ください。■インターネット ホームページ http://www.microsoft.com/ja-jp/■マイクロソフト カスタマー インフォメーションセンター 0120-41-6755(9:00 ~ 17:30 土日祝日、弊社指定休業日を除く )※電話番号のおかけ間違いにご注意ください。*Microsoft、Active Directory、Exchange Server、Exchange Server ロゴ、Lync、Lync Online ロゴ、 Office、Office ロゴ、 Office 365、SharePoint、SharePoint ロゴ、Windows、Windows ロゴ は、米国 Microsoft Corporation および、またはその関連会社の商標です。*その他記載されている、会社名、製品名、ロゴ等は、各社の登録商標または商標です。*製品の仕様は、予告なく変更することがあります。予めご了承ください。

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