oracle enterprise manager cloud control 12c:oracle enterprise

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Oracleホワイト・ペーパー 20119Oracle Enterprise Manager Cloud Control 12cOracle Enterprise Managerを使用した Oracle WebLogic Serverの管理

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Page 1: Oracle Enterprise Manager Cloud Control 12c:Oracle Enterprise

Oracleホワイト・ペーパー 2011年9月

Oracle Enterprise Manager Cloud Control 12c:Oracle Enterprise Managerを使用したOracle WebLogic Serverの管理

Page 2: Oracle Enterprise Manager Cloud Control 12c:Oracle Enterprise

Oracle Enterprise Manager Cloud Control 12c Oracle Enterprise Managerを使用したOracle WebLogic Serverの管理

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概要 ..................................................................................................................................... 1

はじめに .............................................................................................................................. 1

膨大なスクリプト ............................................................................................................... 3

Enterprise Managerを使用したWebLogic Serverの管理 .................................................... 3

事前定義された予防的な監視と診断 .................................................................................. 3

包括的なシステムの監視と通知 .................................................................................... 4

リクエストの監視 .......................................................................................................... 5

複合アプリケーション・ダッシュボード ...................................................................... 6

ビジネス・トランザクションの管理 ............................................................................. 7

Middleware Diagnostics Advisor .................................................................................. 10

アプリケーション・コンポーネントの依存関係とパフォーマンス ............................. 11

JVMの診断 ................................................................................................................... 12

構成および変更管理 ......................................................................................................... 14

検出と資産追跡の自動化 ............................................................................................. 15

構成変更の検出 ............................................................................................................ 15

構成の比較とプロビジョニング .................................................................................. 16

標準に対するコンプライアンスの実現 ....................................................................... 17

ライフ・サイクル管理と運用の自動化 ............................................................................ 17

テストから本番へのクローニング ............................................................................... 17

クラスタのスケールアウト ......................................................................................... 18

Java EEアプリケーションのデプロイ ........................................................................ 18

Support Workbench ..................................................................................................... 18

結論 ................................................................................................................................... 19

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Oracle Enterprise Manager Cloud Control 12c Oracle Enterprise Managerを使用したOracle WebLogic Serverの管理

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概要

オラクルの統合エンタープライズIT管理製品ラインであるOracle Enterprise Managerは、業界初の包括

的クラウド・ライフ・サイクル管理ソリューションです。Oracle Enterprise Managerが提供するビジ

ネス主導型のIT管理機能を使用すると、アプリケーションからディスクに至るまで、エンタープライ

ズ・クラウド環境と従来型のオラクルIT環境を簡単に設定、管理、サポートできるようになります。 Enterprise Managerを利用することで、次の利点が得られます。

• ビジネス上の観点から管理を実行することで、Oracle Fusion Applicationsを含む従来型アプリ

ケーションとクラウド・アプリケーションで最高のサービス・レベルを達成できます。

• Oracleスタックとエンジニアド・システムに対するインテリジェント管理を実現する最善のソ

リューションによって、IT管理への投資から最大の収益を得ることができます。

• オラクルのナレッジベースと顧客環境がリアルタイムで統合されているため、他に例を見ない顧

客サポートが実現します。

はじめに

企業が世界的に競争し、ビジネスやテクノロジーの変化に適応していくには、俊敏性を備える必要

があります。この目標を達成するため、多くの大規模なIT組織が、Oracle WebLogic ServerなどのJava

EEアプリケーション・サーバーとOracle Fusion Middlewareテクノロジーを含む柔軟な統合ソ

リューションを実装してきました。このようなテクノロジーによって形成されるWebベースまたは

モバイルのエンタープライズ・アーキテクチャは、分散アプリケーションや複雑なエンド・ツー・

エンドのビジネス・プロセスおよびサービスのオーケストレーションをサポートします。

これらの標準ベースの柔軟な環境では、新規のビジネス・アプリケーションやサービスを、大幅に

短い期間と少ないリソースで開発できます。Java EEプラットフォームやクラウド・プラットフォー

ム上に構築されたアプリケーションでは、企業にとってもっとも重要なビジネス・サービスが実行

される傾向があり、多くの場合、膨大な数のユーザーに信頼できるサポートを提供し、常に高いサー

ビス・レベル要件を満たすことが求められます。

その生産性と財政面での利点によって、これらのアプリケーションは、次第に、所有者の日常的な

企業運営に欠かせないものとなりました。これらのミッション・クリティカル・アプリケーション

が処理する複雑なビジネス・サービスは、財務トランザクションをとりまとめるプロセスから、保

険見積を作成し、分析するWebサービスまで、多岐にわたります。このようなアプリケーションの

所有者にとって、アプリケーションの可用性とパフォーマンスを高く維持することが不可欠です。

しかし、このクラスのアプリケーションの管理は単純な作業ではないため、テクノロジー・スタッ

ク全体だけでなく、テクノロジーから実際のビジネス・サービスへのマッピングを監視できるソ

リューションが必要になります。

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Oracle Enterprise Manager Cloud Control 12c Oracle Enterprise Managerを使用したOracle WebLogic Serverの管理

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Oracle WebLogic ServerとOracle Fusion Middlewareは、ミッション・クリティカルなJava EEアプ

リケーション、SOAアプリケーション、ミドルウェア・アプリケーション向けに、ランタイム・エ

ンジンおよびプラットフォームを提供します。このホワイト・ペーパーでは、Oracle WebLogic Server

上に配置されたエンタープライズ・アプリケーションを実行中のIT管理者が直面するいくつかの一般

的な問題について、その概要を説明します。また、Oracle Enterprise Manager Cloud Controlが提供

する単一の管理コンソールを使用してエンド・ツー・エンドのアプリケーション環境を管理するこ

とによって、管理コストがどのように削減されるかについても説明します。

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Oracle Enterprise Manager Cloud Control 12c Oracle Enterprise Managerを使用したOracle WebLogic Serverの管理

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膨大なスクリプト

これまで、多くのWebLogicアプリケーション管理者が、さまざまな言語で記述されたコマンドライ

ン・スクリプトを使用して、ほとんどの管理および監視要件を処理しようと試みてきました。これ

らのスクリプトを作成し、保守するには、スクリプト言語だけでなく、WLSTやその他の主要スクリ

プトAPIを理解している専門家が必要でした。概して、これらのスクリプトが監視と管理に成功した

のは全体的なアーキテクチャとデプロイメントの一部に過ぎず、可視性は不十分で、総合的な可視

性とプロセスには多数の問題がありました。特に、WebLogicシステム環境が拡大されるにつれ、テ

スト環境から本番環境への移行やWebLogicクラスタ・サイズの自動的な調整など、構成管理とライ

フ・サイクル管理のアクティビティで問題が生じていました。

スクリプト保守の必要性やスクリプトを作成した専門家が組織を去る可能性があることに加えて、

スクリプトを使用して監視と診断をどこまで掘り下げることができるか(リアルタイムJMXメト

リックのみで、構成変更とパフォーマンスの変化に相関関係はない)に関してはいくつかの大きな

問題があります。さらに、ライフ・サイクル管理と構成管理に関する課題も残っています。そして、

WLSメトリックと管理アクティビティをその他の依存システム・コンポーネントに関連付ける方法

が提供されていません(データベース、Oracle Service Bus、Oracle Coherence、OS/ホスト、その他の

ミドルウェア・コンポーネントに対するドメイン間の依存性や多層間の相関関係など)。

このように可視性が欠如しているだけでなく、スクリプトの作成と保守に多大な労力が費やされることから、

大多数のシステム環境では、これらのスクリプトを長期的に使用することが不可能になっています。

Enterprise Managerを使用したWebLogic Serverの管理

Oracle WebLogic Serverはアプリケーションの外部インタフェースを提供するだけでなく、日常的に

ビジネス・ロジックの大半を処理しているため、このアプリケーション・サーバーを管理するには、

監視および管理に対して、エンド・ツー・エンドの幅広い視点が必要です。一般に、これは、フロ

ントエンド・プロセスに対するトランザクションを完了するために、プレゼンテーションとビジネ

ス・ロジックの両方を処理し、RMIやWebサービス、その他のリモート呼出しを介して相互通信する

管理対象サーバーの複数のクラスタになります。管理者がこれらのWebLogic Serverを(多数の大規

模配置でも2つのクラスタのみの場合でも)適切に管理するには、パフォーマンスやサービス・レベ

ル、構成、エラー/例外処理、パッチ適用、一般的なアプリケーションのライフ・サイクル・アクティ

ビティ(スケールアウト、WebLogicドメインまたはJava EEアプリケーションのプロビジョニング)

を追跡管理する必要があります。この後のセクションでは、Oracle Fusion Middleware配置の中心とな

るOracle WebLogic Server向けにOracle Enterprise Managerが提供する包括的な管理ソリューションに

ついて詳しく説明していきます。

事前定義された予防的な監視と診断

Oracle Enterprise ManagerでWebLogic Serverドメインが検出されると、Oracle Enterprise Managerは事前定義

された一連のステータスおよびパフォーマンス・メトリックを使用して、即座に環境の監視を始めます。

これらのメトリックは、WebLogic Serverやそこにデプロイされたアプリケーション、またJDBC接続プー

ルやデータソースなどのリソースから、これらのドメインに配置されたFusion Middlewareまたは

Coherenceクラスタまでにおよびます。管理者は、コンソールで提供されるカスタマイズ可能な各種パ

フォーマンス・サマリー・ページから、これらのメトリックをリアルタイムまたは履歴情報として確認

します。また、複数のドメインを含むWebLogicドメイン・グループを定義することで、可用性、パフォー

マンス、構成、潜在的な問題領域を、少ないクリックでまとめて監視できます。

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Oracle Enterprise Manager Cloud Control 12c Oracle Enterprise Managerを使用したOracle WebLogic Serverの管理

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図1 - Enterprise Manager 12c Cloud Controlでは、カスタマイズ可能なパフォーマンス・サマリー・ページを使用して管理者が独自のダッシュボー

ドを作成できます。

包括的なシステムの監視と通知

Oracle Enterprise Managerには一連の包括的な監視および通知機能が含まれているため、管理者はアプ

リケーション・スタック全体におよぶITの問題を事前に検出し、対応できます。Enterprise Managerでは新しく検出されたターゲット向けに標準監視機能が提供されていますが、管理者はそれぞれの

データセンター要件に合わせて、これらの監視設定をカスタマイズできます。監視対象になってい

るその他のWebLogicドメイン/クラスタ/サーバー、ホスト、アプリケーション配置ターゲットに関し

ては、ターゲットのメトリック履歴に簡単にアクセスできるため、管理者は通常のメトリック値の

範囲に基づいて、適切なしきい値を決定できます。

データセンターに固有の監視条件がある場合、メトリック拡張を使用して、管理者が監視対象ター

ゲットに新しいメトリックを定義できます。アラートに対し既知の修正ソリューションがある場合、

アラートが検出されると自動的に実行される修正処理スクリプトをセットアップしてその問題を自

動的に解決するように設定できます。さらに、アラート履歴にも容易にアクセスできるため、同じ

アラートが以前に発生した際にどのような措置が講じられたかを確認できます。

管理者は監視テンプレートを作成することで、管理するすべてのWebLogic ServerドメインとOracle Fusion Middlewareに簡単にしきい値を指定することができ、環境全体で一貫した監視を実現できます。

しきい値を一度指定するだけで、Oracle Fusion Middlewareのターゲットまたはターゲット・グループ

全体にテンプレートが適用されます。さまざまなターゲット・タイプに対する一連の監視テンプレー

トをテンプレート・コレクションにまとめて管理グループと関連付けておくと、複数ターゲットに

わたる監視設定の実装がEnterprise Managerによって完全に自動化されます。たとえば、WebLogicター

ゲットまたはアプリケーション配置ターゲットが管理グループに追加された時点で、このグループ

に関連付けられた監視設定がターゲットに自動的に適用されるため、ターゲットに対する監視設定

プロセスが合理化および簡素化されます。

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Oracle Enterprise Manager Cloud Control 12c Oracle Enterprise Managerを使用したOracle WebLogic Serverの管理

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監視が有効化され、監視対象ターゲットで発生したイベントが検出されると、これらのイベントに

対する通知が適切な管理者に送信されます。通知には、電子メールやページングによる通知、カス

タム・スクリプトの実行、SNMPトラップの送信などがあります。また、管理コネクタを使用して、

(重要なイベントに基づく)インシデントに対するヘルプデスク・チケットをオープンしたり、イベ

ント情報をその他のサード・パーティの管理システムに送信したりすることもできます。さらに、

ターゲットの計画保守期間をサポートするため、ブラックアウト機能が提供されています。この機

能を利用すると、管理者は一時的にターゲット監視を停止することで、保守期間中に誤ったアラー

トが発生することを回避できます。

リクエストの監視

最近のアプリケーションにおいて、多層間にわたるWebアプリケーションのパフォーマンスを監視し、

リクエストの負荷分散を可視化することは絶対不可欠です。Oracle Enterprise Managerはこのようなリ

クエスト・コール・パスを自動的に検出し、これらの動的かつ柔軟なアプリケーション・インフラ

ストラクチャを可視化することで、集計されたリクエスト監視メトリックとコール・パス・トポロ

ジの詳細情報からインスタンス・レベルのトランザクション・トレースまで、Webサービス・インフ

ラストラクチャ全体にわたるあらゆる情報を提供します。管理者はこれらのアプリケーションの状

態とサービス・レベルを維持するために、サービス・レベルのしきい値を任意のレベルで設定し、

違反が発生した場合は必要なアラートを即座に送信して、業務とアプリケーションをサポートでき

ます。

Oracle Enterprise Managerは、すべてのリクエストのパフォーマンス・メトリックと重要な統計情報を

表示するダッシュボードを提供します。リクエスト・ダッシュボードは、応答時間に基づいてパ

フォーマンスがもっとも低いリクエストを特定し、潜在的なボトルネックをただちに管理者に警告

します。また、管理者は特定のリクエストに対する2つの期間を並べて、パフォーマンスとスループッ

トを素早く比較できます。管理者は、それぞれのトランザクションに対してフローのトポロジ・

ビューを確認し、コール・パスのコンテキスト内でボトルネックを特定できます。トポロジのコー

ル・パスは、ミドルウェア層やデータベース層から収集された実行時のトランザクション・メトリッ

クを使用して動的に生成されます。これにより、管理者は、関連システム・コンポーネント間での

リクエスト・トラフィックの全体像をはるかに簡単に把握できるようになり、識別されたメトリッ

クに依存するコンポーネント・モデルにドリルダウンできるようになります。このようなツールが

ない場合、管理者はエラーの発生しやすい非定型の手作業に依存してエントリ・ポイントを特定し、

重要なリクエスト内のボトルネックを診断せざるを得ません。この場合、顧客へのビジネス・サー

ビスの損失につながる場合があります。

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Oracle Enterprise Manager Cloud Control 12c Oracle Enterprise Managerを使用したOracle WebLogic Serverの管理

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図2 - 自動的にトランザクション・リクエストのサーバー使用量分析を検出し、リクエスト・コール・パス内のボトルネックを特定します。

複合アプリケーション・ダッシュボード

Enterprise Manager Cloud Controlの複合アプリケーション・ダッシュボードは、複合アプリケーション

全体で、サービス・レベルと重要なコンポーネント・レベルの両方のメトリックを完全に可視化し

ます。複合アプリケーションは、通常、Java EEコンポーネントとSOAコンポーネントに加えて、お

そらくその他の主要なミドルウェア・テクノロジー(Oracle Coherence、Oracle Service Busなど)およ

びデータベースで構成されます。そのため、アプリケーション・ヘルスの主要インジケータを含む、

アプリケーション全体に対応した単一のダッシュボード・ビューと、事前予防的にボトルネックを

特定する簡単な診断機能を提供することが非常に重要です。

サービス・テストを設定して合成トランザクションを作成すると、複合アプリケーションの事前予

防的な監視にサービス・レベルを追加して、これらのサービス・テストの状態を追跡できます。JVM、

WebLogic Server、アプリケーション配置、ホストのメトリックが一目で確認できる上、これらの層

で発生する可能性のあるすべてのアラートまたはポリシー違反を追跡するインシデント・コンソー

ルが提供されます。さらに、多くの監視対象ターゲット・タイプに対応し、ダッシュボードに追加

できる特別なリージョンを使用することで、ユーザーの望むとおりにダッシュボードをカスタマイ

ズして、任意のメトリックおよび同数の監視または診断リージョンを追加できます。

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Oracle Enterprise Manager Cloud Control 12c Oracle Enterprise Managerを使用したOracle WebLogic Serverの管理

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図3 - 通常、多層のコンポーネントで構成される複合アプリケーション全体で、すべてのコンポーネント、層、サービスを完全に可視化します。

ビジネス・トランザクションの管理

管理者が、環境に何が配置されているか、アプリケーションとサービスがどのように相互接続され

ているか、また、システム内のビジネス・フローはどうなっているかを把握していないということ

は、管理に必要な基本情報を欠いていることになります。自力での管理を支援するため、Oracle Enterprise Managerはアプリケーション・コンポーネントやコンポーネント間の依存性を検出し、プ

ラットフォームの異なる複数のサーバーにまたがる標準Webアプリケーションと複合アプリケー

ションに対する包括的な概観図を提供します。Oracle Enterprise Managerのビジネス・トランザクショ

ン管理機能によって提供されるアプリケーション・マップを見ると、重要な情報が一目で確認でき

るため、運用スタッフはアプリケーション・トポロジや重要なコンポーネント、ネットワーク・ホッ

ト・スポット、そして不正なアプリケーションを識別できます。これらは、環境内の変更を管理す

る際、適切な決定を行うために必要な情報です。

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Oracle Enterprise Manager Cloud Control 12c Oracle Enterprise Managerを使用したOracle WebLogic Serverの管理

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図4 - WebアプリケーションとWebサービスに対して、アプリケーションのサービス・レベル関係が個別トランザクション・レベルで特定および追跡

されます。

このような"常時監視"の検出機能は、実行時環境での進行中の変更や更新をいち早く反映します。シ

ステムはすべてのコンテナ、デプロイメント、関連メタデータに含まれるサービス・コンポーネン

トを自動検出し、サービス・コンポーネントが更新されるたびに絶え間なく変更を追跡します。

またOracle Enterprise Managerはサービスの依存性と関係を継続的に検出することで、アプリケーショ

ンについて徹底した洞察を提供し、依存性管理を支援します。これらの依存性は、アプリケーショ

ン・コンポーネントのライブ・インタラクションを使用してマッピングされます。すべてのWebアプ

リケーションとサービス間のグローバルな依存性マップは、個別サービスに対するローカル依存性

マップで補完されます。管理者は、複数の複合アプリケーションからなるサービス・ネットワーク

全体を確認することも、個別のコンポーネントや業務レベルで依存性を確認することもできます。

Oracle Enterprise Managerはアプリケーション・インタラクションのリアルタイム・ビューを提供する

ことから、実行時アプリケーションの現状と設計目標を調整するために役立ちます。

エンド・ツー・エンドのパフォーマンス追跡、可用性とサービス・レベルの管理

Oracle Enterprise Managerはシステム・トラフィックをリアルタイムで監視することで、実行中トラン

ザクションのライブ・ビューを提供し、各アプリケーション・コンポーネントの動作を管理者に知

らせます。また、スループット、可用性、応答時間、および障害などの極めて重要な実行時データ

の豊富なスナップショットを、ビジネス・トランザクションとビジネス・ユーザーのコンテキスト

内で、さまざまな時間間隔で提供します。

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Oracle Enterprise Manager Cloud Control 12c Oracle Enterprise Managerを使用したOracle WebLogic Serverの管理

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Oracle Enterprise Managerは、異種環境全体のサービス、トランザクション、ビジネス・プロセスに対

して包括的なサービス・レベル管理を実現することで、予測可能性、可視性、制御機能を提供しま

す。また、SOAPサービスおよびXMLサービスからほとんどすべてのアプリケーション・サービスや、

JSP/サーブレット、EJB、Plain Old Java Object(POJO)などのレガシー・コンポーネントまでにおよ

ぶ、あらゆる種類のアプリケーション・サービスを監視します。Oracle Enterprise Managerは、事実上、

あらゆる分散アプリケーション・サービスで利用できます。

Oracle Enterprise Managerはメッセージ交換とアプリケーション起動(同期および非同期)を継続的に

監視することで、アプリケーション・コンポーネントの稼働状態に関するデータを収集し、関連す

るビジネス・トランザクションの上位の構成体に対してこの動作を関連付けます。Oracle Enterprise Managerは、Webアプリケーション(通常、JSP、サーブレット、ADFやJSFなどの標準MVCフレーム

ワークをフロントエンドに持つ)、SOAP Webサービス、REST Webサービスなどの主要なアプリケー

ション・サービスに対する可視性を、EJB、POJO、JMSキュー・コンポーネントなどの基盤となる実

装コンポーネントや、データベース問合せに対して拡張します。

Oracle Enterprise Managerを使用すると、ユーザーは次の利点を得られます。

• 別々のビジネス・セグメントに対して各種のSLAを定義できます。

• ビジネス基準に基づいて、サービス使用の優先順位を付けられます。

• もっとも価値のあるユーザー(顧客やパートナーなど)に焦点を合わせることができます。

• ピーク時に最高のサービス品質を実現できます。

• 個別のサービスに加えてプロセスやトランザクションなどのコンポジットに対してSLAを定義

し、監視できます。

ビジネス・ユーザーについて知ることは、ビジネス・トランザクションを実行するシステムを理解

し、制御するために欠かせない側面です。Oracle Enterprise Managerはサービスを消費しているユー

ザーを表示し、これらのコンシューマをSLA主導のサービス品質に対してセグメント分けします。詳

細な使用状況分析とレポーティングが長期的にサポートされているため、組織は傾向と収益機会を

割り出すことができます。

トランザクション診断と根本原因分析

Oracle Enterprise Managerは、各種の予期せぬ技術的例外やビジネス条件をリアルタイムで検出し、警

告し、修正するために高度な機能を提供します。Oracle Enterprise Managerを使用すると、アプリケー

ションのサポート要員はメッセージのコンテンツやコンテキスト(到着時間、メッセージ・タイプ、

顧客ID、部品番号など)に基づいてトランザクションを素早く検索し、問題になっているトランザ

クションを見つけ、迅速に問題の根本原因を見極めることができます。また、すべてのメッセージ

または相関するアプリケーション起動を調査することで、あらゆる異常を全面的なコンテキストか

ら理解できます。これらの機能を通じて、Oracle Enterprise Managerは、実行時の問題の診断にかかる

時間を数時間から数分へと大幅に短縮します。

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Oracle Enterprise Manager Cloud Control 12c Oracle Enterprise Managerを使用したOracle WebLogic Serverの管理

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図5 - Webサービスやアプリケーション内のその他の重要エンティティに対してトランザクションをトレースするOracle Enterprise Managerの機能

によって、ビジネス・トランザクションの観点から完全な可視性が提供されるため、根本原因分析を簡単に実行できます。

ユーザーは素早くドリルダウンして、トランザクション障害やその他の予期せぬ状況の根本原因を

見つけることができるため、平均修復時間が大幅に短縮されます。Oracle Enterprise Managerの根本原

因分析機能は、トランザクションのストールやステップの欠如、障害、アプリケーション例外など

のビジネス・トランザクションにありがちな幅広い問題だけでなく、間違ったデータ値や境界条件

などの低レベルの問題にも対応しています。また柔軟性を備えているため、ユーザーにとって重要

な条件を定義できます。その上で、Oracle Enterprise Managerは例外イベントが発生する瞬間を待機し

ながら、システム全体を流れるすべてのトラフィックを監視します。

複雑なトランザクションの場合、上記を実現することは難しい場合があります。通常、アプリケー

ション・チームには、広く分散したログ・ファイルから情報を選び出す以外の選択肢はほとんどあ

りません。Oracle Enterprise Managerは障害や例外条件に自動的にタグ付けしながら、すべての参加コ

ンポーネントから自動的にメッセージを集計して系統立てることで、この問題を解決します。トラ

ンザクションに対してコンテキストを考慮に入れたリアルタイムの可視性が得られるため、問題の

再現、分析、修復に役立つ詳細情報がアプリケーションのサポート・チームに提供されるとともに、

運用担当者が容易かつ迅速に問題のコンポーネントを特定できるようになり、結果的に平均修復時

間が大幅に短縮されます。

Middleware Diagnostics Advisor

Oracle Enterprise ManagerのMiddleware Diagnostics Advisor機能は、コンポーネント間の依存性、コン

ポーネントの構成、パフォーマンス・メトリック(履歴およびリアルタイム)に対するフル・スタッ

クの分析を組み合わせて、診断結果を提供します。この診断結果は通常のメトリックにとどまらず、

現実的な推奨事項を提供します。診断結果の生成には、リクエスト処理時間(Middleware Diagnostics Advisorのデフォルトでは5秒)などのユーザー設定しきい値を関連付けたアルゴリズムが使用されま

す。このアルゴリズムは、さまざまな層でのメトリックと合わせて構成を分析し、潜在的な根本原

因を特定し、問題解決の迅速化を目的とした推奨事項を指摘します。

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Oracle Enterprise Manager Cloud Control 12c Oracle Enterprise Managerを使用したOracle WebLogic Serverの管理

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たとえば、フロントエンドのJSP/サーブレット・ページのリクエスト処理時間が増加し、警告または

クリティカル・レベルのしきい値に達しているサーバーや、JDBC接続プールの待機成功率などの重

要なデータソース・メトリックが増加しているサーバーを分析する場合、自動的にメトリックが関

連付けられます。次に、実際のJDBC接続プール・サイズとデータベース構成を使用して、特定のデー

タソースに対するJDBC接続プール・サイズの増加を推奨する診断結果を生成するかどうかが決定さ

れます。診断結果の詳細にはリンクが直接提供されているため、問題のWebLogicドメインの構成を

素早く解決できます。EJBの動作やスレッド・ロックなどの一般的な問題に関連した主要な調査結果

によって、総解決時間が短縮されるため、運用チームはクリティカルなビジネス・アプリケーショ

ンのサービス・レベルを容易に維持できるようになります。

図6 - Middleware Diagnostics AdvisorのSQL実行診断結果は、アプリケーションに影響を与えるパフォーマンスの低いSQLの詳細分析に加えて、

SQLの分析とチューニングを進めるためのリンクを提供します。

アプリケーション・コンポーネントの依存関係とパフォーマンス

Java EEメタデータは複雑かつ抽象的になる場合があり、この複雑さは新しいフレームワークの導入

とともに増加していきます。サーブレット、JSP、ADF、EJBなどの各種アプリケーション・コンポー

ネントと下層にあるSQLコール間の相互依存関係をマッピングするには、これらの関係を定義するメ

タデータを理解することが重要です。Oracle Enterprise Managerは、インフラストラクチャ内の各種コ

ンテナから自動収集されたメタデータに基づいてJava EEアプリケーションをモデル化し、標準Java EEコンポーネントだけでなくポートレット(WSRP、JSR-168)やBPELなどの非標準Javaコンポーネ

ントに基づくビューを構築します。これらのメトリックは、トップダウン・コンテキスト向けに提

供された複数のエントリ・ポイントとURIマッピングに基づいて、また下位レベルではメソッド・レ

ベルのコール・グラフやコンポーネント階層の観点から体系化されます。

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Oracle Enterprise Manager Cloud Control 12c Oracle Enterprise Managerを使用したOracle WebLogic Serverの管理

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Oracle Enterprise Managerを使用すると、管理者はJSP、サーブレット、ポートレット、Webサービス

などの上位コンポーネントと、EJBコールやJDBCコールなどの、これらのサービスを支える下層Java EEコンポーネントとの間にある依存性と関係を素早く確認できます。次の図は、あるサーブレット

とその下層コンポーネントに対する呼出し回数を示しており、このURIコンテキストのフローに対す

るイメージを提供します。同じ画面内で、管理者は関連付けられた円グラフや表の遅延分析メトリッ

クから、各コンポーネントに費やされた時間を確認できます。次に、管理者は各クラスまたはコン

ポーネントにドリルダウンし、最初の呼出し元のコンテキストに基づいて、その動作を明らかにす

ることができます。Java EEアプリケーションに含まれる多数のコンポーネントはコンテキストが重

要な共有コンポーネントと考えられるので、これは特に有用な機能です。

図7 - コンテキストに基づく、コンポーネントの依存関係、遅延分布、SQLパフォーマンスの分析

管理者は、URIリクエストを、コンテキスト内で呼び出されるSQLやストアド・プロシージャにまで

文字どおりトレース・ダウンできるので、トップレベルのコンポーネントからデータベースまでに

およぶ真のエンド・ツー・エンドの可視性を得ることができます。このパフォーマンス・データは

アプリケーション・パフォーマンスの問題の根本原因を特定する際の決定的なデータであり、この

データを利用することで、管理者は、分析対象期間におけるURI応答時間の遅延の原因となるクラス

またはSQLを特定できるようになります。Java EEアプリケーション内のどこに問題があっても即座

にこれを突き止めるこの機能は、問題の診断と解決にかかる時間を大幅に節約します。

JVMの診断

Oracle Enterprise Managerはアプリケーション・インフラストラクチャ内のあらゆるJVMを詳細に診断

することで、実際のスレッド・スタックまたはその他の一般的なJVMの問題に対する洞察を即座に

提供します。Oracle Enterprise Managerの詳細な診断機能はネイティブ・レベルで機能するため、パ

フォーマンス・オーバーヘッドが極めて低く(1%未満)抑えられています。このため、24時間365日のリアルタイム本番診断に適しています。

Page 15: Oracle Enterprise Manager Cloud Control 12c:Oracle Enterprise

Oracle Enterprise Manager Cloud Control 12c Oracle Enterprise Managerを使用したOracle WebLogic Serverの管理

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多層間の診断

Oracle Enterprise Managerは、Javaスレッドに対するデータベース・セッション(とその逆)を相互に

関連付け、可能な場合はアプリケーション運用、開発者、DBAの観点から多層間分析を行います。

管理者は、JVMに含まれるすべてのアクティブ・スレッドのステータスとコール・スタックを確認

できます。また、ユーザー・リクエストのコンテキストに含まれるスレッドを確認することもでき

ます。特定のスレッドがデータベース・ロックを待機している場合、管理者はこのスレッドがスタッ

クしているJavaコード行や、実行しようとしているSQL、および表ロックの原因となっているSQLを突き止めることができます。データベース管理者が表ロックを解除するために必要な手順を実行す

ると、スタックしていたスレッドが実行を継続します。このようなネイティブ監視機能がない場合、

問題のある個所を正確に突き止めるには何時間も何日もかかる可能性があり、おそらく、その頃に

は実行コンテキストが失われているでしょう。

図8 - Oracle Enterprise ManagerのJVM診断機能を使用した、多層間の問題の検出

差分ヒープ分析

Oracle Enterprise Managerを使用すると、管理者はヒープ・ダンプを取得し、クラスを分析してメモリ

消費を把握できます。管理者は、異なる2つの時点で取得されたヒープ・ダンプに対して、簡単に差

分ヒープ分析を実行できます。Oracle Enterprise Managerにはサイズが増加しているクラスやフィール

ドが表示されるため、メモリ・リークの原因を素早く特定できます。Oracle Enterprise Managerを使用

しない場合、メモリ・リークの検出には多大な労力が費やされ、保守コストが上昇し、アプリケー

ション・サービス・レベルが低下します。

Page 16: Oracle Enterprise Manager Cloud Control 12c:Oracle Enterprise

Oracle Enterprise Manager Cloud Control 12c Oracle Enterprise Managerを使用したOracle WebLogic Serverの管理

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図9 - ライブおよび履歴でのヒープの詳細分析と異なる期間の比較

診断スナップショット

将来的に、緊急テストが終了した場合やオフサイト・ロケーションで実行している場合に後から分

析するには、多くの場合、本番環境で素早く診断を取得することが非常に重要になります。Oracle Enterprise Managerの診断スナップショット機能を利用すると、1つ以上のサーバーに対して、JMSの状態(スレッド、ガベージ・コレクション、メモリ、CPU)とすべてのWebLogicログを関連付ける

スナップショットを素早く取得できます。これらのスナップショットを別のOracle Enterprise Manager Cloud Controlまたは直接Oracle Supportに対してエクスポートすると、構成およびその他の収集情報を

補足して、Oracle Enterprise ManagerのSupport WorkbenchでのSRトラッキング機能を補完できます。

その結果、運用チームが手早く問題を修正するためのアクションを起こす前に、いつでもその環境

の状態のスナップショットを取得できるようになります。これにより、根本原因を特定して問題に

対する恒久的な修正を作成するために、後から分析用に使用するスナップショットが確保されます。

構成および変更管理

本番アプリケーション環境でのパフォーマンス低下問題の多くが、未承認の構成変更によって引き

起こされています。Oracle WebLogic Serverとその他のアプリケーション・サーバーを使用している

組織は、常日頃、すべてのサーバー配置で構成を管理し、コンプライアンス標準を適用することに

苦労しています。Oracle Enterprise Managerは包括的な構成管理機能を提供することで、顧客がIT資産

の価値を最大化し、ITサービスの品質を向上し、IT管理コストを削減し、ITコンプライアンス要件を

満たすように支援します。

Page 17: Oracle Enterprise Manager Cloud Control 12c:Oracle Enterprise

Oracle Enterprise Manager Cloud Control 12c Oracle Enterprise Managerを使用したOracle WebLogic Serverの管理

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検出と資産追跡の自動化

従来、IT環境全体の資産と構成項目を追跡するには、資産と構成を把握している鍵となる人物や、

時間のかかる非定型処理、およびエラーが発生しやすい手動処理のスプレッドシートに頼る必要が

ありました。対照的に、Oracle Enterprise ManagerはOracle WebLogic Serverだけでなく、基盤となるハー

ドウェアやオペレーティング・システムに関する詳細な構成情報を自動的に収集します。Oracle WebLogic Serverや基盤オペレーティング・システムに対して、どの構成項目を収集するかを指定し

た構成のテンプレートやブループリントは標準で提供されていますが、IT要員が必要とする適切な

構成項目のみを収集するようにカスタマイズすることもできます。定期的に収集される情報には、

次のようなものがあります。

• Oracle WebLogic Serverソフトウェアのインストール情報(適用されたパッチを含む)

• Oracle WebLogic Serverの構成パラメータ(ポート、JVM情報、JDBCリソースとJMSリソース、起

動クラスと停止クラス)と構成ファイル

• オペレーティング・システムのパッチ、カーネル・パラメータ設定、インストールされているパッ

ケージ

• ハードウェア・コンポーネント(CPU、メモリ、ストレージ、ネットワーク・デバイスなど)

構成変更の検出

Oracle Enterprise Managerは、アプリケーションからハードウェアに至るまでのスタック全体に長期的

な構成変更の追跡機能を提供しているため、管理者は特定の構成に対する2つの時点の間でのすべて

の変更を容易に監視できます。この機能を利用すると、ユーザーは、以前は問題なく機能していた

にもかかわらず、突然、許容可能なレベルでは稼働しなくなった環境に適用された変更を素早く確

認できます。さらに、運用チームは構成比較テンプレートを使用して、環境のニーズに合った有意

義な比較を定義できます。たとえば、運用チームはWebLogicのconfig.xmlファイルに含まれるJVMメ

モリなどの設定には敏感であるかもしれませんが、サーバー間でのポートやホスト情報の違いは、

おそらく重要性が低いため、ないがしろにしている可能性があります。

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Oracle Enterprise Manager Cloud Control 12c Oracle Enterprise Managerを使用したOracle WebLogic Serverの管理

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図10 - 有意義な構成変更を定義することで、WebLogicドメインやサーバー間での構成のずれに関する重要な問題を適切に絞り込みます。

Oracle Enterprise Managerは、構成変更履歴の追跡に加えて、リアルタイムでの変更検出を可能にしま

す。変更管理システムとの統合を通じて、構成変更が承認されているかどうかが通知されます。リ

アルタイム変更の検出によって、監査証跡が自動化されるとともに、コンプライアンス違反の発見

にかかる時間が最小化されます。

構成の比較とプロビジョニング

システム構成を標準のベースラインに保ち、発生した構成変更を認識することで、Oracle Enterprise Managerは、組織が"構成のずれ"を減らし、計画した変更の実施の有無および実施された場合の日時

を確認できるように支援します。Oracle Enterprise Managerが提供する一連の比較機能を利用すると、

管理者は、開発、テスト、本番というアプリケーション・ライフ・サイクル全体を通じて、素早く

簡単に構成の相違点を特定できます。さらに、管理者は既存の構成からベースラインを作成してお

き、この絶対基準の構成を使用したり、現在のシステムで1対1または1対多の比較を臨時に、または

スケジュール設定して、実行したりできます。

環境間での構成の相違が不意に検出された場合、Oracle Enterprise Managerを使用して、これらの環境

が一致するように構成をプロビジョニングできます。これによって、管理者が構成の問題解決に費

やす時間が削減されます。

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Oracle Enterprise Manager Cloud Control 12c Oracle Enterprise Managerを使用したOracle WebLogic Serverの管理

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標準に対するコンプライアンスの実現

SOX、ITIL、PCIなどの標準を遵守しながら、独自のビジネス標準に準拠することは難題です。Oracle Enterprise ManagerにはOracle WebLogic Server向けの事前定義ポリシーが付属しており、ユーザーが独

自のポリシーとグループを定義することもできるため、各種の規制や標準に対するコンプライアン

スを素早く実証できます。

Oracle Enterprise Managerは、パフォーマンス・メトリックと同じような方法でこれらのポリシーの違

反を追跡します。また、WebLogic Server向けのベスト・プラクティスおよび推奨パッチを定義した

Oracle Guardianポリシー・シグネチャが含まれているため、環境を最適化し、保護するために、通知

ルールを適用し、違反に修正アクションを割り当てることができます。たとえば、開いているポー

トが検出された場合に自動的にこのポートを閉じる修正アクションを定義したり、Oracle Exalogic Elastic Cloudシステム上でWebLogic Serverが稼働している場合に、Oracle Enterprise Managerを利用し

て基本的な最適化がすべて有効化されていることを確認したりできます。

図11 - 標準に対するコンプライアンス・レベルを示すダッシュボード

ライフ・サイクル管理と運用の自動化

管理者は、Oracle Fusion Middlewareソフトウェアを手動でインストールして構成することにリソース

を費やすよりも、より戦略的な取組みに時間とコストをかけたいと考えるでしょう。これを実現す

るため、Oracle Enterprise Managerは、Oracle WebLogicドメインのクローニングや既存WebLogicクラ

スタのスケールアウトなどの一般的なプロビジョニング操作を自動化することで、このような重要

なデータセンター処理を簡単かつ効率的でスケーラブルなものにしました。その結果、運用リスク

が軽減され、所有コストが削減されています。

テストから本番へのクローニング

一般に、WebLogicアプリケーションをサポートするための新規環境を作成するには、エラーの発生

しやすい手動によるインストール手順や構成手順がいくつも必要になります。Oracle Enterprise Managerでは、事前に定義された、カスタマイズ可能なデプロイメント・プロシージャを使用するこ

とで、必要な労力と時間をごくわずかに抑えてこの作業を遂行できます。このようなデプロイメン

ト・プロシージャでは、一連の階層型手順を通じて、既存のWebLogicドメイン環境が新しいハード

ウェア・セットにクローニングされます。独自のビジネス要件を満たすため、このような事前定義

手順を編集または無効化したり、デプロイメント・プロシージャに新しいステップやカスタム・ス

クリプトを追加したりすることができます。

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Oracle Enterprise Manager Cloud Control 12c Oracle Enterprise Managerを使用したOracle WebLogic Serverの管理

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デプロイメント・プロシージャを実行する際、管理者は、ドメイン名や管理コンソールの資格証明、

ポート番号、JDBCデータ・リソースなどの構成設定を指定できます。クローニング処理が完了する

と、新しく作成されたWebLogic環境が検出されて自動的にコンソールに追加され、一元化された管

理と監視が実現されます。

クラスタのスケールアウト

増え続けるビジネス需要に対応するため、最近のデータセンターではリソースの増強と再配置を迅

速に実行する必要があります。Oracle Enterprise Managerを使用すると、管理者は、Oracle WebLogicのドメインやクラスタに管理対象サーバーを追加して、迅速にスケールアウトを実行することで、

アプリケーション負荷の増大に対応できます。

Java EEアプリケーションのデプロイ

複数ドメインにわたるJava EEアプリケーションを管理するため、Oracle Enterprise Managerにはソフ

トウェア・ライブラリ内にJava EEアプリケーション(earファイルおよびwarファイル)を保管する

機能が含まれています。このソフトウェア・ライブラリには、これらのアプリケーションのバージョ

ンが複数格納されており、エンタープライズ環境やクラウド環境にまたがる複数ドメインに対して、

同時に素早いデプロイを実行できます。すべてのデプロイにおいて、デプロイメント・プランを利

用して、データソースやJMS構成、およびその他のアプリケーション向けデプロイメント基準を作成

できます。どのような時間枠でもアプリケーションのスケジュールを設定でき、追跡と監視が自動

的に実行されるレベルまで自動化が実施されます。同様に、特定のJava EEアプリケーションを複数

ドメインに対してアンデプロイすることもできます。最後に、問題が発生してロールバックが必要

になった場合は、Oracle Enterprise Managerのソフトウェア・ライブラリに保管されている以前のアプ

リケーションを選択し、元のバージョンのアプリケーションを再デプロイするだけで対応できます。

Support Workbench

Oracle Fusion Middlewareに問題が発生し、IT組織だけではこれを解決できない場合は、Oracle Supportに支援を要請する必要があります。Oracle Supportがより素早く問題の優先順位を付けられるように

するには、問題の診断に必要な情報を提供することが重要です。Oracle Enterprise ManagerはOracle Fusion Middleware向けのSupport Workbenchを提供することで、診断データの収集プロセスを簡素化し

ます。このセルフサービス型のツールを利用すると、非常に短時間かつ最小限の労力で、最初の障

害の診断データを収集し、サポート・リクエスト番号を取得し、診断データをOracle Supportにアッ

プロードできるため、Oracle Supportの協力が必要とされるOracle WebLogic Serverの問題を解決する

までの時間が短縮されます。

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Oracle Enterprise Manager Cloud Control 12c Oracle Enterprise Managerを使用したOracle WebLogic Serverの管理

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結論

現在、ますます多くのIT組織が、Java EEアプリケーション、SOAアプリケーション、複合アプリケー

ション、およびクラウド・コンピューティングを導入することで、異種アプリケーションを迅速に

接続し、変わり続けるビジネス要件を満たすようになっています。このようなアプリケーションは

先例のない柔軟性や俊敏性を提供するとは言え、その管理は困難になる一方です。この新しい種類

のアプリケーションを効果的に管理するには、新しい種類の管理ソリューションが必要です。Oracle Enterprise Managerが提供する新たなアプローチを採用すると、システム・スタック全体を対象とした、

もっとも包括的な管理ソリューションを使用することで、Oracle WebLogicの管理者はビジネス上の

優先事項に集中し続けられるようになります。その結果、Oracle WebLogic ServerおよびOracle Fusion Middleware上に構築された高度なアプリケーションの管理労力およびコストが削減されます。

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Oracle Enterprise Manager Cloud Control 12c: Oracle Enterprise Managerを使用した Oracle WebLogic Serverの管理 2011年9月 著者:Glen Hawkins Oracle Corporation World Headquarters 500 Oracle Parkway Redwood Shores, CA 94065 U.S.A. 海外からのお問い合わせ窓口: 電話:+1.650.506.7000 ファクシミリ:+1.650.506.7200 www.oracle.com

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