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テクニカルホワイトペーパー OracleおよびHP 3PAR StoreServストレージの ベストプラクティス HP StoreServ 7000/10000を含む 目次 概要 2 はじめに 2 HP 3PAR StoreServストレージの概要 2 HP 3PAR StoreServの主要概念 3 物理ディスク 4 論理ディスク 5 仮想ボリューム 5 共通プロビジョニンググループ 5 HP 3PAR StoreServでOracleを使用する際の一般的 な推奨事項 6 Linux fdiskのパーティショニング 6 Thin Suite管理ツール 10 Oracle環境でのHP 3PAR StoreServ Thin Provi sioningの使用 10 HP 3PAR Thin ConversionとOracle ASMの併用 10 HP 3PAR Thin PersistenceとOracle ASRUを使 用したオンライン領域の再利用 11 Adaptive Optimization (適応的最適化) 14 HP 3PAR Adaptive Optimizationのベストプラク ティス 14 ベストプラクティスの例: Adaptive Optimization の構成 16 Dynamic Optimization (動的最適化) 19 ビジネス継続性 20 HP 3PAR Virtual Copy 20 HP Recovery Manager 21 HP StoreOnce Backup 21 HP Data Protector 21 まとめ 22

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テクニカルホワイトペーパー

OracleおよびHP 3PAR StoreServストレージの

ベストプラクティス HP StoreServ 7000/10000を含む

目次

概要 2

はじめに 2

HP 3PAR StoreServストレージの概要 2

HP 3PAR StoreServの主要概念 3

物理ディスク 4

論理ディスク 5

仮想ボリューム 5

共通プロビジョニンググループ 5

HP 3PAR StoreServでOracleを使用する際の一般的

な推奨事項 6

Linux fdiskのパーティショニング 6

Thin Suite管理ツール 10

Oracle環境でのHP 3PAR StoreServ Thin Provi

sioningの使用 10

HP 3PAR Thin ConversionとOracle ASMの併用 10

HP 3PAR Thin PersistenceとOracle ASRUを使

用したオンライン領域の再利用 11

Adaptive Optimization (適応的最適化) 14

HP 3PAR Adaptive Optimizationのベストプラク

ティス 14

ベストプラクティスの例: Adaptive Optimization

の構成 16

Dynamic Optimization (動的最適化) 19

ビジネス継続性 20

HP 3PAR Virtual Copy 20

HP Recovery Manager 21

HP StoreOnce Backup 21

HP Data Protector 21

まとめ 22

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概要

HP 3PAR StoreServストレージには、ビジネスクリティカルなデータセンターに必要な柔軟性、効率性、および高可用性

が備わっています。HP 3PAR StoreServは、すべてのモデルをシンプルかつ強力なマルチテナントストレージとして使用

できるほか、そのシステムが管理の簡素化、ストレージ使用の効率化、シンプロビジョニング、および自律型ストレージ

階層化に対応した強力なソフトウェア製品や各種アレイ機能、さらにはHP 3PAR Peer Persistenceなどの主要な高可用

性機能に支えられています。

HP 3PAR StoreServは、拡張性の高いストレージインフラストラクチャへのOracleデータベースの統合が増加傾向にある

今日の状況に対応したシステムで、さまざまなワークロードを単一のアレイで管理することが可能です。また、マルチテ

ナンシーを考慮して構築されているため、複数のOracle環境で構成されるデータセンターにおいても、単一のHP 3PAR

StoreServアレイで高い可用性とパフォーマンスを発揮できます。各コントローラーのHP 3PAR Gen4 ASICは、I/Oがオン

ライントランザクションデータベースを処理するOracle Real Application Clusters (RAC) からのものであっても、高スルー

プットに依存する大規模データウェアハウスからのものであっても、オンザフライで最適化を実現します。さらに、リソー

ス使用率を高めるという共通の目的のもと、OracleとHP 3PAR StoreServのエンジニアが連携して、Oracleデータベース

環境のストレージ効率を向上させています。

Oracle環境では、HP 3PAR StoreServシステムによってデータセンターが統合されるため、サービスレベルを低下させる

ことなく、管理のオーバーヘッドを削減でき、HP 3PAR Thin Suiteでコストのかかるストレージの孤立化を解消するととも

に、HP Adaptive Optimization Suiteでパフォーマンスを自律的に調整することが可能です。HP 3PAR StoreServシステ

ムは、堅牢性、拡張性および豊富な機能を備えたストレージソリューションが必要なOracleインストール環境に最適の製

品です。

はじめに

Oracleインストール環境には、さまざまなレベルのサービス/信頼性要件が含まれる場合がありますが、ほとんどの環境

では通常、高い可用性、パフォーマンス、および耐障害性が求められます。これらの要件の多くには、ホストで利用可能

なテクノロジーで対応できますが、このようなテクノロジーを活用すると、アプリケーションの処理に使用すべきホストの

オーバーヘッドが大幅に増加することが少なくありません。そこでHPでは、HP 3PAR StoreServ製品の各種機能を活用

して、非常に厳しい企業ニーズに対応しながら、Oracleホストのオーバーヘッドの大部分をオフロードする方法をお勧め

しています。

HP 3PAR StoreServとOracle環境を統合する際のベストプラクティスを取り上げた本書では、最適な情報に基づいた設

計が行えるよう、ソリューションのアーキテクチャーや実装に関する図解を交えて、これらの統合環境を技術的に説明し

ます。本書のベストプラクティスは、さらに的を絞った各種ガイドを参考に作成されており、HP 3PAR StoreServソリュー

ションをベースとした最適なOracle環境の構築に役立ちます。

対象読者: 本書の内容は、Oracleデータベース環境の設計と導入に携わるソリューションアーキテクト、データベース管

理者、およびシステム管理者を対象としています。

HP 3PAR StoreServストレージの概要

図1に示すように、HP 3PAR StoreServは、現代のデータセンターの各種ニーズに確実に応える製品です。幅広いモデ

ル展開で、非常に要求の厳しい仮想/クラウド/IT-as-a-Service (ITaaS) 環境に求められる効率性とアジリティ (俊敏性)

を実現するHP 3PAR StoreServは、ストレージの管理時間を短縮し、これまでより低コストで多くの機能を提供するうえ、

パフォーマンスや将来の拡張性を損なうこともありません。また、HP 3PAR StoreServは、中小企業 (SMB) だけでなく、

大規模なグローバル企業のニーズにも対応可能な共通アーキテクチャーを備えた業界初の製品ファミリであるため、環

境の規模にかかわらず、小規模から開始でき、拡張する際にも手間のかかるアップグレードが必要ありません。

HP 3PAR StoreServファミリには、エンタープライズクラスのHP 3PAR StoreServ 10000とミッドレンジのHP 3PAR StoreS

erv 7000があります。HP 3PAR StoreServ 7000システムは、革新的なHP 3PAR StoreServ製品ラインをミッドレンジに拡

張し、魅力的な価格で業界トップクラスのパフォーマンスと機能を実現した製品で、HP 3PAR StoreServファミリに「Thin

Built In」を搭載したHPは、シン機能をアレイハードウェアに統合した最初のストレージベンダーとしての地位を維持して

います。これらのシステムに採用されているHP 3PAR Gen4 ASICは、高いサービスレベルを維持しながら、シンプルな

方法により、オンザフライでストレージを最適化する、きわめて効率的なシリコンベースのエンジンを提供します。

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図1. HP 3PAR StoreServファミリ

HP 3PAR StoreServの主要概念

HP 3PAR StoreServは、従来のストレージアレイにいくつかの改善を加えた製品で、アレイ内のすべてのドライブリソー

スを効果的に活用することにより、これまでより少ないハードウェアで高いパフォーマンスを実現し、コストの削減に貢献

します。

HP 3PAR StoreServストレージアレイは、パフォーマンスと可用性を最適化するよう設計された冗長ハードウェアとデー

タ構造を組み合わせたもので、図2に示すように、3層のスタックとみなすことができます。

物理ディスクとチャンクレット: 物理ディスクは、HP 3PAR StoreServストレージアレイの基盤となるハードウェア層です。

物理ディスクはアレイ内に構成されると、「チャンクレット」と呼ばれる小さく均等なサイズの割り当てにフォーマットされ

ます。

チャンクレットと論理ディスク: 論理ディスク (LD) は、RAIDセットに配置されたチャンクレットの集合体です。

論理ディスクと仮想ボリューム: 仮想ボリュームは、論理ディスクから作成されます。仮想ボリュームの構成は、共通

プロビジョニンググループ (CPG) によって指定されます。

これらの構造の詳細については、以降のページを参照してください。

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図2. HP 3PAR StoreServアレイのハードウェアおよびデータ構造

物理ディスク

HP 3PARオペレーティングシステムは、物理ディスクを「チャンクレット」と呼ばれる複数の均等なサイズの割り当てに分

割します。チャンクレットのサイズは、HP 3PAR StoreServ 10000およびStoreServ 7000が1GB、F-Classが256MBとなっ

ており、各チャンクレットは、独自の小容量ディスクとして表示することが可能です。

HP 3PAR StoreServでは、RAIDセットはドライブ全体ではなく、アレイ全体の個々の物理ドライブ上にあるチャンクレット

で構成され、物理ドライブ上の異なるチャンクレットを、RAIDレベルが異なるボリュームに使用できます。

RAIDレベル

HP 3PAR StoreServには、チャンクレットベースのアプローチが採用されているため、すべてのRAIDレベルを同じ物理ド

ライブ上で共存させ、各ボリュームに最適なRAIDレベルを適用することが可能です。HP 3PAR StoreServがサポートす

るRAIDタイプは次のとおりです。

RAID 10 (RAID 1)

RAID 50 (RAID 5)

RAID Multi-Parity (MP) またはRAID 6

これらのRAIDレベルの大半は、すべてのストレージベンダーから何らかの形式で提供されていますが、HP 3PAR Store

Servにおいては、RAID保護がスピンドルレベルではなくチャンクレットレベルで行われるという点が大きく異なります。HP

3PARアレイでは、ストレージ管理者の選択に応じて、ディスクケージ全体がオフラインになった場合でもアレイの可用性

を維持できるようにチャンクレットが選択されます。

RAID 5のパフォーマンス

HP 3PAR StoreServには、HP 3PAR ASIC、バッテリバックアップ式のメモリキャッシュ、およびスピンドルの競合を緩和

するワイドストライピングが採用されているため、HP 3PAR StoreServアレイでは、RAID 5で従来のアレイのRAID 1に匹

敵するパフォーマンスを実現できます。実際のところ、特定のワークロードにおいては、RAID 5でRAID 1を超えるパ

フォーマンスが得られる場合もあります。

これにより、レガシーストレージアーキテクチャーのRAID 5に特有のパフォーマンスへの影響を最小限に抑えることがで

きます。また、HP 3PAR StoreServでは、ライトバックキャッシュにより、パリティグループ全体に書き込みが行えるように

なるまでシーケンシャル書き込みを収集できるため、ディスクのI/Oトラフィックが減り、バックエンドのボトルネックも解消

されます。なおRAID 5は、読み取り操作が主体のボリュームにも適しています。

CPGでの指定に

従って、仮想

ボリュームを論理

ディスクから作成

チャンクレットをRAID

セットと呼ばれるパリ

ティ保護グループに

グループ化

論理ディスクはRAID

セットの行

ドライブケージは

物理ディスクを含む

(ファイバーチャネル

など)

ディスク領域は1GB

のチャンクレットで

割り当て

仮想ボリューム

RAIDセット RAIDセット RAIDセット

チャンクレット チャンクレット チャンクレット

チャンクレット チャンクレット チャンクレット

物理ディスク

CPG:

デバイスタイプ: FC

デバイスRPM: 10K

RAIDタイプ: RAID 1

セットサイズ: 2データ

ステップサイズ: 256KB

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RAID 5のベストプラクティス

HP 3PAR StoreServでは、さまざまなニーズに対応できるよう、パリティブロック (n+1) ごとにデータブロック数を選択でき

ます。RAID 5では3+1がデフォルトになっていますが、2+1~8+1までの値が選択可能です。「n」の値が大きくなるとスト

レージ効率も高くなりますが、ランダム書き込みのパフォーマンスが低下する可能性があります。

論理ディスク

論理ディスク (LD) とは、RAID保護セットのチャンクレットの行を指します。論理ディスクは、仮想ボリュームにマッピング

され、仮想ボリューム内の論理ディスクのサイズと数は、ボリュームのプロビジョニングおよびサイズ要件によって異なり

ます。

仮想ボリューム

仮想ボリュームは、ホストに表示可能な唯一のデータ層で、ホストへのエクスポート後にのみ表示されます。仮想ボ

リュームはそれぞれ、256MB~16TBまでのあらゆるサイズで構成でき、HP 3PAR StoreServには、フルプロビジョニング

された仮想ボリューム (FPVV) と、シンプロビジョニングされた仮想ボリューム (TPVV) の2種類があります。

共通プロビジョニンググループ

共通プロビジョニンググループ (CPG) は、HP 3PAR StoreServの管理およびレポート機能の基盤となるもので、仮想ボ

リュームにおいてCPGのリソースを共有し、オンデマンドで領域を割り当てることができます。CPGでは、論理ディスク領

域のマッピングを通じて、領域を自動的に拡張することが可能です。

CPGは、次のような仮想ボリュームの属性の多くを、ボリュームの作成時に事前定義します。

RAIDレベル (RAID 5、RAID 6など)

RAIDセットのサイズ

物理ドライブタイプ

ドライブ速度

可用性 (ハードウェアのフォールトトレランスレベル)

その他の属性

特定のCPGを使用して仮想ボリュームを作成すると、その仮想ボリュームにはCPGで指定したプロパティが含まれます。

可用性

CPGで指定したRAIDレベルと物理ドライブタイプの組み合わせにより、ボリュームのサービスレベルと可用性レベルが

決定されます。可用性はハードウェアのフォールトトレランスのレベルを指し、障害発生時にどのような状態になるかを

意味します。たとえば、ケージレベルの可用性を持つボリュームでは、ドライブケージ全体の障害に対応できます。

プロビジョニング

CPGは、論理ディスク容量を自動的にプロビジョニングし、プール化された論理ディスク容量に対するきめ細かな共有ア

クセスを可能にします。

CPGには、CPG論理ディスクプールから領域を引き出す、フルプロビジョニングされた仮想ボリューム (FPVV) とシンプロ

ビジョニングされた仮想ボリューム (TPVV) の両方が含まれます。

CPGでは、ボリュームに対して事前に論理ディスクを割り当てるのではなく、複数のボリュームで論理ディスクのバッ

ファープールを共有できます。たとえば、TPVVでユーザー領域が不足している場合は、そのTPVVに関連付けられたCP

G内の論理ディスクから新しいリージョンをマッピングすることで、TPVVに追加容量が自動的に割り当てられ、大規模な

割り当て済みの未使用領域がなくなります。

フルプロビジョニングされた仮想ボリューム (FPVV) では、容量は自動的に追加されず、作成時に割り当てられます。こ

のように割り当て戦略が異なっても、同じCPG内でTPVVとFPVVを共存させることができます。

デフォルトでは、CPGは、利用可能な論理ディスク領域が設定されたしきい値を下回った場合、新しい論理ディスクを自

動拡張するよう設定されています。論理ディスクの初期バッファープールは、マッピングボリュームのエクスポートされた

仮想容量の一部で開始され、アプリケーションの書き込みで必要になった場合に合わせて自動的に拡張されます。

Oracle環境におけるCPGの構成に関するベストプラクティス

Oracle環境では、CPGはOracleデータベースを保存する仮想ボリュームの作成に使用されます。Oracle環境用にCPGを

構成する場合は、次のガイドラインに従ってください。

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CPGの数と種類を決定する際に、以下について考慮してください。

o CPGの可用性設定で、ハードウェアのフォールトトレランスのレベルを決定する。

o 非常に高いパフォーマンスが必要な仮想ボリュームには、ソリッドステートドライブを構成したCPGを

使用する。

o ほとんどアクセスすることのないアーカイブredoログには、ニアライン (NL) ドライブをRAID 6で構成し

たCPGが最適である。

o Oracleデータファイルには、ファイバーチャネル物理ディスクを構成したCPGが最適なデフォルトであ

る。

o Oracle Automatic Storage Manager (ASM) ディスクグループのすべてのメンバーは、同じCPGに属し

ている必要がある。

各Oracleデータベースで使用するストレージ領域のレポーティングにCPGを使用します。

実際の本番環境でCPGを作成する場合は、さまざまなグループの主要属性を幅広く表すCPG名を使用することで、ス

トレージ管理者が長期的に環境を維持できるようになります。

HP 3PAR StoreServでOracleを使用する際の一般的な推奨事項

HP 3PAR StoreServは、Oracleホストにストレージの冗長性とパフォーマンスオプションを提供し、冗長性は、Oracle AS

Mの冗長性機能を使用するのではなく、アレイレベルで最高に発揮されます。Oracle環境の設計時には、次の点を考慮

してください。

オペレーティングシステムの詳細、マルチパスソフトウェアの仕様、およびアレイポートの構成については、HP 3PAR

StoreServの実装ガイド (英語) をご覧ください。

外部冗長性オプションでOracle ASMディスクグループを作成します。これにより、アレイで利用可能なボリュームを維

持する作業が軽減されます。

NLドライブから作成されたASMディスクグループにアーカイブログを置くようにします (可能な場合)。I/Oのレイテンシ

が問題になる場合は、ホットテーブルをソリッドステートディスク (SSD) のディスクグループにパーティショニングします。

OracleデータファイルにRAID 5を使用します。HP 3PAR StoreServでは、RAID 5はRAID 1のパフォーマンスに匹敵し

ます。HP 3PAR StoreServのRAIDの詳細については、HP 3PAR StoreServのRAIDに関するホワイトペーパー (英語)

をご覧ください。

HP 3PAR Virtual Copyをバックアップや複製で使用する場合は、データファイルとアーカイブログを別のボリュームに

配置する必要があります。また、制御ファイルは、アーカイブログやデータファイルとは異なるボリュームに配置してく

ださい。

HP 3PAR StoreServアレイでは、複数のボリュームをコンシステンシーグループに配置することができます。このよう

なグループ化により、仮想コピーの作成時に、スナップ操作で同時刻 (same point-in-time) での書き込み一貫性を維

持できるようになります。また、HP Virtual CopyやRemote Copyを使用するときに、ASMディスクグループ内のすべて

のボリュームをHP 3PAR StoreServの同じコンシステンシーグループに配置すると、ボリュームを同時刻のイメージで

コピーできるようになります。

Linux fdiskのパーティショニング

オンライントランザクション処理 (OLTP) を行うなど、最適なランダム書き込みパフォーマンスが必要な環境では、ディス

クパーティションをRAIDセットに合わせる必要があります。

背景

HP 3PARアレイを含むすべてのRAIDデバイスでは、書き込み後に新たなパリティを計算するオーバーヘッドが発生しま

す。2つのRAIDセットにまたがる1回の書き込みでは、2回のパリティ計算が必要になりますが、Linuxディスクパーティショ

ンをHP 3PARのRAIDセットに合わせると、RAIDパリティ計算の回数が減り、パフォーマンスが向上します。

ベストプラクティスの例:Linux fdiskのパーティショニング

図3 (以下) は、Linuxのパーティションが31.5KiBでオフセットされているために、1MiBのOracleの書き込みが、HP 3PAR

StoreServの3つのRAIDセットにまたがっている様子を示しています。このような不均衡が発生した場合は、1回のOracle

の書き込みにつき、3つのRAIDセットでパリティを再計算する必要があります。

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図4では、Linuxのパーティションが1つのRAIDセットと同じサイズのオフセット (512KiB) で作成されています。これにより、

Oracleの書き込みがRAIDセットの境界に合わせて調整されるため、パリティの再計算は2回で済み、ランダム書き込み

のパフォーマンスを20%も向上させることができます。

図3. RAIDセットに合わせていないパーティションテーブル

図4. RAIDセットに合わせたパーティションテーブル

手順

RAIDのデータチャンクレットの数にステップサイズを乗算して、ディスクパーティションの最適なオフセットを決定してから、

そのオフセットで最初のOSのディスクパーティションを作成します。

1. HP 3PAR StoreServ Management Consoleで、仮想ボリュームの[Set Size (セットサイズ)]と[Step Size (ステップサ

イズ)]を確認します。たとえば、図5では、セット内に4つのデータチャンクレットがあります。

2. データチャンクレット数にステップサイズを乗算し、データストライプのサイズ (バイト数) を求めます。たとえば、この

例のステップサイズは131,072バイト (128KiB x 1,024) で、データストライプは524,288バイト (4 x 131,072) となります。

1MiB Oracle書き込み

RAIDの計算は3回

Linuxディスクパーティション (31.5KiBオフセットから開始)

512KiB RAIDセット 512KiB RAIDセット 512KiB RAIDセット 512KiB RAIDセット

1MiB Oracle書き込み

RAIDの計算は2回

Linuxディスクパーティション (512KiBオフセットから開始)

512KiB RAIDセット 512KiB RAIDセット 512KiB RAIDセット 512KiB RAIDセット

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図5. HP 3PAR StoreServ Management Console

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3. コマンドfdisk –lu <デバイスファイル>を使用して、パーティションの割り当てユニットを特定します。図6に示すように、

値は512バイトとなります。

4. 次に、データストライプ内のパーティションユニット数を計算します。たとえば、524,288/512 = 1,024となります。

5. 次に、fdiskを–uオプションで実行します。計算されたオフセットで最初のパーティションを作成します (図7)。

図6. fdiskの割り当てユニット

図7. オフセットでのパーティションの作成

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Thin Suite管理ツール

HP 3PAR Thin Suiteは、シンストレージを管理する包括的なツールセットです。HP 3PAR Thin Suiteソフトウェアには、以

下が含まれます。

Thin Provisioning — 必要なときにのみストレージ容量を使用できるようにする機能

Thin Conversion — レガシーなファット容量を効率的なシン容量に変換する機能

Thin Persistence — シン容量を長期間にわたってスリムな状態に維持する機能

これらの各ソフトウェアツールは、Oracle環境で役立ちます。

Oracle環境でのHP 3PAR StoreServ Thin Provisioningの使用

HP 3PAR Thin Provisioningでは、専用の物理ストレージを割り当てることなく、大容量の仮想ボリューム (VV) を作成で

き、サーバーからボリュームへのデータ書き込み時にのみ、アレイは物理的にディスク領域を割り当てます。

シンプロビジョニングのベストプラクティス

HP 3PAR Thin Provisioningを使用して、ストレージ領域の使用率を最適化します。Oracle環境では、この機能を次のよう

なケースで使用すると、最大限のメリットが得られます。

自動拡張可能な表領域。表領域の拡張が必要になると、自動拡張機能により、Oracle ASM管理データファイルが拡

張されます。シンプロビジョニングされたボリュームで、このような自動拡張可能なデータファイルを使用すれば、拡張

に合わせてディスク領域をデータベースに割り当てることができます。

ただし、表領域を拡張するOracleのプロセスではI/Oが集中的に発生するため、ファイル拡張時にデータベースのパ

フォーマンスが低下する可能性があります。

ベストプラクティス: Oracleが追加する領域の増分を増やすことで、パフォーマンスが影響を受ける回数を減らします

(CREATE TABLESPACEコマンドのAUTOEXTEND ON NEXTパラメーター)。データファイルが急増している場合はaut

oextendの設定値を大きくし、データの増加速度が遅い場合は値を小さくします。

アーカイブログの格納先としてのASMディスクグループ。Oracle ASMとHP 3PAR Thin Provisioningを組み合わせるこ

とで、ASMアーカイブログの格納先を拡張できます。アーカイブログの格納先が一杯になると、Oracleデータベースに

アクセスできなくなります。

ベストプラクティス: OracleアーカイブログをシンプロビジョニングされたASMディスクグループに配置すると、基盤とな

るストレージのセルフチューニングが可能となり、ログ切り替え操作の予期しない増加に対応できます。レベル0の

バックアップ後にアーカイブログを削除し、Oracle ASM Storage Reclamation Utility (ASRU、後述) を使用して、古い

ログに割り当てられていたストレージを解放します。

シンプロビジョニングの使用が適さないケース

HP 3PAR Thin Provisioningは、どのワークロードやアプリケーションにも推奨されるというわけではありません。次の例

では、シンプロビジョニングの使用が最適ではないかもしれないケースを説明しています。

ファイルシステム上にあるデータファイル。ファイルシステムのフォーマット時に、基盤となるボリュームの拡張全体が

書き込まれます。これにより、TPVVで領域全体がプロビジョニングされ、シンプロビジョニングの効果がなくなります。

ファイルシステムの使用率が高いシステム。ファイルシステムやASMディスクグループが一杯の場合、シンプロビジョ

ニングのメリットが減少します。たとえば、使用率が80%を超えるASMディスクグループやファイルシステムは、シンプロ

ビジョニングに適しておらず、フルプロビジョニングされた仮想ボリュームを使用してデータを保持する方が効率的な

場合もあります。

「自動拡張」モードではないOracleデータファイル。Oracleデータベースは、表領域の作成時に、フォーマット情報を

データファイルに書き込みます。これは、使用率の高いファイルシステムをプロビジョニングした場合と同じ効果があり、

プロビジョニングされるストレージとデータベースサイズの比率によっては、効率が低下することもあります。

HP 3PAR Thin ConversionとOracle ASMの併用

HP 3PAR Thin Conversionでは、フルプロビジョニングされた仮想ボリューム (FPVV) からシンプロビジョニングされた仮

想ボリューム (TPVV) にデータを移行することにより、ストレージ効率を大幅に向上させることができます。

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背景

HP 3PAR StoreServアレイのゼロ検出機能により、TPVVにゼロではないデータのみが移行され、TPVVはホストOSに見

せることでFPVVとスワップされますが、このプロセスでは、OracleでソースのFPVVへのI/Oを停止し、ボリュームのス

ワップ時にデータを使用できないようにする必要があります。

次の手順が行えるようにメンテナンスウィンドウのスケジュールを設定します。

1. OracleプロセスのFPVVへのアクセスを停止し、ホストからFPVVをエクスポートします。

2. FPVVの物理コピーを新たに作成されたTPVV上に作成します。

3. TPVVをホストにエクスポートします。

4. ホストOSでボリュームを構成します。

5. 必要に応じて、Oracleプロセスを再開します。

FPVVからTPVVへのデータ移行に関するベストプラクティス

UNIXのddコマンドまたは同様のユーティリティを使用して、FPVVの未使用領域にゼロを書き込みます。ゼロが書き

込まれたストレージ領域は、FPVVからTPVVへの移行から除外されます。ゼロ書き込みを開始するための正確な

オフセットの計算方法は、実装によって異なります。

TPVV上でFPVVの完全なコピーを作成することを検討します。FPVVには、ゼロは書き込まないでください。次に、T

PVVをFPVVにスワップし、ディスクグループをオンラインに戻します。

TPVVを減らすには、以降で説明するOracle ASRUを使用します。ASRUは、未使用領域を手動でゼロにするよりも

安全なオプションです。ディスクグループのサイズを削減するなどの適切な準備段階を経ずにOracle ASMのボ

リュームにゼロを書き込むと、ディスクグループが破損します。

ホストベースのユーティリティか、またはHP 3PARのPhysical Copy機能を使用して、データをTPVVにコピーします。

その物理コピー作成後に、プロモートし、FPVVとスワップします。

HP 3PAR Thin PersistenceとOracle ASRUを使用したオンライン領域の再利

OracleのソリューションとHP 3PAR StoreServを使用すれば、シンプロビジョニングされた環境の (割り当て済みの) 未使

用ASMディスク領域を再利用して、Oracle Database 11gR2環境のストレージ効率を向上させることができます。

背景

こうしたストレージ効率の拡張は、最近導入された次の2つのイノベーションによって可能となっています。

Oracle ASM Storage Reclamation Utility (ASRU) — Oracle ASRUは、ドロップされたデータベースやデータファイルに

一度割り当てられたストレージのかなりの割合を再利用できるようにするスタンドアロンユーティリティです。領域の再

利用に効果的で、HP 3PAR StoreServおよびThin Provisioningと併用できるASRUは、ASMディスクをコンパクト化し、

フリー領域へのゼロ書き込みを行い、ASMディスクを元のサイズに変更します。ASRUでは、1つのコマンドで、これら

のタスクを中断なくオンラインで実行できます。このユーティリティの詳細については、Oracle社が提供するASRUと3P

ARのホワイトペーパー (英語) をご覧ください。

HP 3PAR Thin Persistence — HP 3PAR Thin Persistenceソフトウェアは、ゼロ書き込みを検出し、シンプロビジョニン

グされたボリューム内の未使用領域に関連する容量を中断なく排除します。HP 3PAR Thin Persistenceでは、HP 3P

AR StoreServシステムのHP 3PAR Gen4 ASICに備わっている独自の組み込み型ゼロ検出機能を活用します。

ベストプラクティスの例: ドロップされたOracle 11gR2データベースからのストレージの再利用

Oracle ASRUおよびHP 3PAR StoreServシステムを使用したストレージの再利用の例として、500GBのTPVVを8個使用

して、HP 3PAR StoreServ 10400ストレージシステム上に4TBのOracle ASMディスクグループ (‘TP_R5_FC_OLTP_DAT

A’) を作成しているとします。

図8のOracle ASM のクエリは、3つのOracle 11gR2データベースが、ASMディスクグループ内の利用可能なストレージで

ある4,096,000MBのうち、71% (2,935,092MB) を最初に使用していることを示しています。また表1は、初期データベース

構成を示したものです。

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図8. Oracle ASMディスクグループ’TP_R5_FC_OLTP_DATA’のディスク使用率の例

表1. Oracle ASMディスクグループ’TP_R5_FC_OLTP_DATA’のデータベース構成

データベース名 サイズ

db5 1TB

db7 512GB

db8 512GB

Oracleで使用されていない領域を再利用するには、次の手順を実行します。

1. HP 3PAR StoreServ CLIで、次のコマンドを実行して、TPVVのゼロ検出を有効にします。

cli% setvv –polzero_detect <仮想ボリューム名>

2. 図9に示すように、HP 3PAR StoreServ CLIコマンドのshowvvを使用して、HP 10400ストレージシステムの物理スト

レージを表示します。

図9. HP 10400ストレージシステムの物理ストレージでCLIコマンドのshowvvを使用

3. 512GBのデータベースdb8は、Oracleでドロップされています (db8のドロップは、この例には表示されていません)。

図10に示すように、Oracle ASMのクエリにより、データベースdb8に割り当てられた領域がASMのフリー領域に戻さ

れたことを確認します。

図10. 512GBのデータベースがドロップされた後のOracle ASMディスクグループ’TP_R5_FC_OLTP_DATA’におけるディスクの使用状況

4. showvvを再度使用して、HP 10400ストレージシステム上の物理ストレージの割り当てを表示します。図11に示すよ

うに、物理ストレージの割り当てにはほとんど変更はありません。

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図11. HP 10400ストレージシステムの物理ストレージでshowvvを使用

5. 図12に示すように、RHEL 6.2ホストでASRUを実行します。これにより、HP 10400ストレージシステム上で、TPVV (ゼ

ロ検出有効) から未使用領域が再利用されます。

図12. ホストでのASRU実行によるHP 10400ストレージシステム上の未使用領域の再利用

6. ASRUの実行が完了したら、図13に示すように、HP 10400ストレージシステム上のストレージの再利用状況を確認

します。

図13. 再利用後のHP 3PAR V-Classストレージシステム上の物理ストレージ

この例では、189,442MBのストレージが問題なく再利用されたことを示しています。ASRUを使用しない場合は、最初にdb

8に割り当てられたすべての領域が、このボリュームグループで孤立化しますが、ASRUを実行すれば、3分の1以上の領

域が他のアプリケーションで使用可能になります。このように、HP 3PAR StoreServのゼロ検出機能を有効にしてASRU

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とシンプロビジョニングを使用すれば、孤立化したストレージを解放できるため、Oracle環境のライフサイクル全体にわ

たってストレージリソースの使用効率を向上させることができます。

Adaptive Optimization (適応的最適化)

ビジネスにおいては、ストレージ階層を活用してストレージアレイを最適化し、Oracleデータベースのトランザクション時

間を制御できるIT環境が求められています。これは大部分のアプリケーションにも当てはまりますが、とりわけ、データ

ベースが特定のストレージの最適化を必要とする複数の混合ワークロードを実行するOracle環境では重要です。

混合ワークロードは、複雑なデータベース環境にパフォーマンスの課題をもたらす可能性があります。たとえば、OLTP

ワークロードでは、最もアクティブなデータとアイドルデータを、それぞれ最高速の階層と最低速の階層に配置すること

がきわめて重要で、これにより、(データベースバッファーキャッシュの調整など) Oracleのチューニングパラメーターだけ

では調整できないデータベースのI/Oに関連するレイテンシを制御できます。一方、意思決定支援システム (DSS) の

データベース環境では目的が異なり、利用可能なストレージ階層を効果的に活用することにより、管理者が最小の時間

枠でクエリを実行することが求められます。

HP 3PAR Optimization Suiteソフトウェアを使用すれば、アクセス頻度の高いデータを最高速の階層に移動し、頻度の

低いデータを低速の階層に移動することができます。この最適化スイートは、HP 3PAR Adaptive Optimization、Dynamic

Optimization、およびSystem Tunerソフトウェアの強力な機能を1つのスイートにまとめた製品で、ストレージレベルの最

適化のかなりの部分をHP 3PAR StoreServシステムで行うことを可能にします。また、Adaptive Optimizationにより、混

合ワークロードに関連するさまざまな要件があっても、運用環境が自律的にチューニングされるため、I/Oパフォーマン

スのニーズが非常に複雑に組み合わさっている状態でも、最適なパフォーマンスを得ることができます。

HP 3PAR Adaptive Optimizationのベストプラクティス

ポリシー主導型のサービスレベルを確立し、サブボリュームレベルでデータ移動を実行できる機能を使用すれば、パ

フォーマンスを柔軟にチューニングすることが可能です。ビジネスニーズの変化にすばやく対応できるイネーブラーとし

て機能し、アプリケーションのライフサイクル全体にわたってサービスレベルを最適化するHP 3PAR Adaptive Optimizati

onソフトウェアは、サブボリュームのパフォーマンスをインテリジェントに監視し、ユーザーの指定したポリシーを適用して、

中断を伴うことなく自律的にデータを移動させることで、サービス品質 (QoS) のニーズの変化にきめ細かなレベルで対

応します。このソフトウェアでは、Adaptive Optimizationの複数のプロファイルをサポートしているほか、階層化/非階層

化アプリケーションボリュームを共存させることができるため、幅広いアプリケーションを単一のアレイに柔軟に統合する

ことが可能です1。

背景

HP 3PAR Adaptive Optimizationソフトウェアは、次のようなアレイ内のあらゆるドライブに対応します。

SSD — ソリッドステートディスク (小容量、高パフォーマンス)

FC — ファイバーチャネルディスク (中容量、中パフォーマンス)

NL — ニアラインディスクまたはストレージ (大容量、低パフォーマンス)

「階層」とは、ドライブタイプやRAIDタイプを組み合わせたCPGを指し、HP 3PAR AOでは、自律的なサブボリュームのき

め細かな階層化によってコストとパフォーマンスを最適化して、最適なドライブ階層を使用します。

Adaptive Optimizationには、2つ以上の階層が必要で、ユーザーは2つ (最小) または3つ (最大) のストレージ階層 (0、1、

2で識別) を、次の構成のデータ移行に割り当てることができます。

Tier 0: 最高速

Tier 1: 中速

Tier 2: 最低速

図14は、HP 3PAR Adaptive Optimizationのアーキテクチャーを図解したもので、各種のドライブと、それらのドライブから

一般的なボリュームにチャンクレットがどのようにマッピングされるかについて示しています。ここでは、SSDチャンクレッ

トで構成されるRAIDセットがTier 0の論理ディスクにマッピングされ、NLストレージチャンクレットで構成されるRAIDセット

がアクセス頻度の低いTier 1の論理ディスクに割り当てられています。

1 階層化とAdaptive Optimizationのベストプラクティスの詳細については、Oracleデータベースの自律型階層化に関するホワイトペーパー (英語) をご覧く

ださい。

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図14. HP 3PAR Adaptive Optimizationのアーキテクチャー

Adaptive Optimizationの実装

階層化を行うには、HP 3PAR Adaptive Optimizationで次のことを行う必要があります。

1. アレイ内のすべてのリージョンについて、アクセス履歴データを収集します。

2. データを分析し、階層間を移動させるボリュームのリージョンを決定します。

3. CPG (階層) 間でリージョンを移動するよう、アレイに指示を出します。

4. ユーザーに、Adaptive Optimizationの効果を示したレポートを提供します。

別途ライセンス供与されるHP 3PAR System Reporterは、パフォーマンスと領域に関する詳細なデータをHP 3PAR Stor

eServから定期的に収集してデータベースに保存し、分析した結果に基づいてレポートを生成します。このSystem Repor

terを使用すれば、リージョンレベルのパフォーマンスデータを収集し、階層化分析を実行して、アレイにリージョン移動コ

マンドを発行できるため、ストレージレベルの最適化を行うことが可能です。

階層化とデータ移動

図15は、HP 3PAR Adaptive Optimizationによるサブボリュームレベルでの自律型階層化とデータ移動を図解したもので、

ここでは、複数の仮想ボリュームが、Oracle ASMディスクグループに設定されたOracleデータファイルを構成しています。

ホストサーバー

仮想ボリューム (VV) Tier 0論理ディスクの

リージョンにマッピング

されたアクセス頻度の

高いボリューム部分 例: 500GBの

仮想ボリューム

論理ディスク (LD)

Tier 1論理ディスクの

リージョンにマッピング

されたアクセス頻度の

低いボリューム部分

論理ディスクの

RAIDセットにストリップ

された約4,000の

リージョン 2つのRAIDセット

(RAID 1)

4つのRAIDセット

(RAID 5、3+1)

AO構成

物理ディスク

SSD NL FC

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図15. Adaptive Optimizationによるサブボリュームレベルでの自律型階層化とデータ移動

HP 3PAR Adaptive Optimizationでは、仮想ボリュームが考慮されることはなく、属している仮想ボリュームとは無関係に

リージョンが分析され、移動されます。

ベストプラクティスの例: Adaptive Optimizationの構成

HP 3PAR System Reporterを使用して、Adaptive Optimizationを構成します。1つのHP 3PAR StoreServアレイに対して

複数のAO (Adaptive Optimization) 構成を定義することができ、各構成は、最適化が必要な関連のホストやアプリケー

ションに一致します。図16は、構成設定の例を示したものです。

注記: これは、HP 3PAR StoreServ 10000 (3.1.1ファームウェア) の例です。

Tier 0 - SSD

Tier 1- FC

(Oracleデータファイル)

Tier 2 - NL

(Enterprise SATA)

HP 3PAR Adaptive

Optimization

サブボリュームレベルでの

自律型階層化とデータ移動 リージョン

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図16. HP 3PAR Adaptive Optimizationの構成設定

階層パラメーターの選択

1. システムを選択します。

2. 各階層のCPGを選択します。

3. [Tier Size (階層サイズ)]を選択します。階層は、CPGによって定義され、階層のコストとパフォーマンスのすべての

特性 (RAIDレベル、使用ディスク数、ディスクタイプ、速度など) が、CPGの設定によって決定されます。ユーザーは

各階層で利用可能な最大領域も制御できます。

[Tier Size (階層サイズ)]の設定は、アルゴリズムが各階層内で使用する領域のサイズを制限します。[Tier Size (階

層サイズ)]のフィールドを、999999 (無制限の階層サイズ) に設定します。なお、Adaptive Optimizationでは、CPGで

指定されている警告やハード制限に加えて、このサイズ制限が遵守されます。

4. [Date (日付)]、[Week Day (曜日)]、[Hour (時間)]、[Measurement Hours (測定時間)]などのスケジュールを指定しま

す。ユーザーは、Adaptive Optimization構成がOLTPやDSSのワークロードの中で実行されるスケジュールと、実行

時間に先立つ測定時間を指定できます。これにより、データ移動に伴ってオーバーヘッドが増加しても問題がない

時間 (ピーク時以外など) にデータ移動のスケジュールを設定でき、また、[Schedule (スケジュール)]と[Measureme

nt Hours (測定時間)]の設定により、特定のデータベースのワークロードに合わせてAOのポリシーをきめ細かく

チューニングすることが可能になります。

[Measurement Hours (測定時間)]の制御は、1日を通して常に高いパフォーマンスが求められることのないアプリ

ケーションの場合特に重要です。たとえば、営業日の最初の数時間 (月曜日~金曜日の午前8時~11時) にのみ

高いパフォーマンスが求められ、残りの時間には (必ずしもアイドル状態ではないとしても) 特にパフォーマンスが

重要な要素とはならないOracle OLTP環境を考えてみてください。1日をとおしてアプリケーションを測定した場合、

階層化アルゴリズムは重要ではない時間帯のパフォーマンスも含むため、その日の重要な時間帯のパフォーマン

スが最適ではなくなる可能性がでてきます。

このシナリオで最善の結果を得るには、月曜日~金曜日の午前11時にHP 3PAR Adaptive Optimizationを実行する

ようにスケジュールを設定し、[Measurement Hours (測定時間)]を3時間~4時間にします。そうすれば、このOLTP

のワークロードについて、重要な時間のパフォーマンスのみが測定されるようになります。

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注記

[Measurement Hours (測定時間)]でもヒステリシスを制御できます。測定時間を

X時間に設定すると、その間のリージョンの移動は1回のみとなり、階層間で複数

回の移動が行われないようになります。

5. [Mode (モード)]を選択します。モード構成は、次の3つの値のいずれかに設定できます。

– Performance (パフォーマンス) — リージョンをよりパフォーマンスの高い階層に移動させることに重点が置かれま

す。

– Cost (コスト) — リージョンをよりコストの低い階層に移動させることに重点が置かれます。

– Balanced (均等) — パフォーマンスとコストのバランスを保ちます。

モード構成パラメーターは、階層化分析アルゴリズムの基本的なフローを変更するのではなく、アルゴリズムで使用

する特定のチューニングパラメーターを変更します。

6. Adaptive Optimizationを動的に無効にするには、[Configuration Active (構成アクティブ)]をfalseに設定し、再度有

効にするには、[Configuration Active (構成アクティブ)]をtrueに設定します。なお、falseに設定した場合、分析と

データ移動のみが無効になるだけで、System Reporterによるリージョンカウンターのサンプリングは停止されませ

ん。

注記

Adaptive Optimizationは、リアルタイムでは実行されないため、データ配置を最

適化する前の3時間以上のリージョン密度情報が必要です。

AOのベストプラクティス

HP 3PAR System Reporter (別途ライセンスが必要) を使用して、リージョンレベルのパフォーマンスデータを収集し、

階層化分析を実行して、アレイにリージョン移動コマンドを発行します。

AO構成レベルで、容量制限を設定しないでください。HP 3PAR System ReporterのポリシーでAO構成を作成する場

合は、各階層の値に999,999GiB (999TiB) を入力します。これにより、HP 3PAR OSのプロビジョニングでCPG拡張サ

イズを制御できるようになり、管理者によるソリューションの管理がはるかに容易になります。

AOでSSDを使用する場合は、SSDの最大95%を使用するSSD CPG構成を作成します。これにより、最高のパフォーマ

ンススループットを得ることができます。

SSDは小容量デバイスです。SSD CPGへの領域の割り当ては少しずつ行い、貴重なSSDストレージが過度に割り当

てられないようにします。

CPGの拡張サイズを変更し、SSD CPGの拡張量を減らします。できる限り低い値を使用し、たとえば、次のようにコン

トローラーノードペアにつき8GBを設定します。

ORA-T400-GC08 cli% setcpg -sdgs 16G SSD-R5-CPG

AO構成で使用されるすべてのCPGの可用性が同レベルであることを確認します。これにより、別階層へのデータの

移行後に、SLA (サービスレベルアグリーメント) の可用性要件が満たされていることを確認できます。

CPGに拡張制限を設定しないでください。警告しきい値が必要な場合は、割り当て警告 (割合 (%) に基づく警告) では

なく、拡張警告 (容量に基づく警告) を設定します。

同じAO構成のポリシー内では、次の組み合わせが可能です。

– SSD、FC、およびNL

– SSDおよびFC

– FCおよびNL

同じポリシー内で異なるRAIDレベルを使用できます。

SSDとNLのみを含む構成は、推奨されません。

SSDのCPGではRAID 5を使用し、サポートされる最小の拡張増分を使用してください (コントローラーノードペアあたり

8GB)。

FCディスクのCPGではRAID 5を使用し、デフォルトの拡張増分を適用してください。

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NLディスクのCPGではRAID 6を使用し、デフォルトの拡張増分を適用してください。

ほぼすべての100TiBデータに対して、異なるAO構成とそれに関連するCPGを作成する必要があります。AOでは、AO

構成あたり最大125TiBのデータをサポートします。

最適化したい処理の間にのみ測定が行われるようAOのポリシーを設定し、データの移動に伴ってオーバーヘッドが

増加しても深刻な影響がない時間 (ピーク時以外など) にデータ移動のスケジュールを設定します。HP 3PAR Adaptiv

e Optimizationでは、各ポリシーを順番に実行しますが、移動の必要なデータは同時に計算されます。

高レベルのパフォーマンスを必要とするOLTPのワークロードでは、次のようにカスタマイズされたAO構成を使用します。

– 利用可能なすべてのストレージ階層をできる限り使用する

– 各階層に999,999GBを使用するよう設定する

– アクティビティの多い期間が終了した時点ですぐに実行する

– アクティビティの多い期間のみをカバーする[Measurement Hours (測定時間)]を指定する

– [Mode (モード)]を[Performance (パフォーマンス)]に設定する

ほとんどのOracleデータベースでは、[Mode (モード)]を[Balanced (均等)]にします。

HP 3PAR Adaptive Optimization (AO) は、Oracleデータベースのオンラインredoログファイルをホストするボリューム

には推奨されません。

Dynamic Optimization (動的最適化)

HP 3PAR Dynamic Optimization (DO) は、オプションのライセンス機能で、ストレージ管理者がアプリケーションやインフ

ラストラクチャの要件の変更に合わせて、ストレージボリュームのRAIDレベルに関連するサービスレベルを中断なく変更

することを可能にします。このソフトウェアを使用すれば、管理者は、ボリュームへのアクセスを妨げることなく、仮想ボ

リュームのパフォーマンスを向上させることができます。

背景

RAIDレベルとディスクタイプは共通プロビジョニンググループによって定義され、RAID 1セットまたはSSDで構成される高

速のCPGは、特に重要なストレージ資産です。Dynamic Optimizationは、異なるCPGに仮想ボリュームを移動することに

より、仮想ボリュームのサービスレベルを変更します。HP 3PAR StoreServでは、DO (Dynamic Optimization) によってC

PGに柔軟にデータを配置できるため、データを特定の構成に永続的に固定することなく、現在のサービスレベル要件を

満たすことが可能です。

図17 は、Oracleデータベースへのボリュームの作成後に、Dynamic Optimizationによって、そのボリュームのサービスレ

ベルがどのように選択されるのかを示しています。たとえば、異なるRAIDセットサイズと同様に、FCからSerial ATA (SAT

A) に変更することが可能で、この操作を実行しても、ボリュームに影響はありません。また、通常のデータベース処理を

実行しながら、変更を行うこともできます。これにより管理者は、不正確なパフォーマンス情報が提供されている場合や、

Oracle Enterprise Manager (OEM) で、プロビジョニングされたリソースを十分に活用できていないか、または過度に使用

しているボリュームが示された場合に、効率的にサービスレベルを変更できます。

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図17. Dynamic Optimizationによるボリュームレベルでのデータ移動

Dynamic Optimizationの一般的なベストプラクティス

DOが望ましいケースには、一般的に次の4つがあります。

ハードウェアアップグレード後のボリュームレイアウト変更 - 既存の仮想ボリュームは、ボリューム作成時に存在して

いたリソースのみを使用するため、ケージやディスクを追加してストレージサーバーをアップグレードすると、元のボ

リュームレイアウトは最も効果的なものではなくなりますが、DOによって仮想ボリュームのレイアウトを変更すれば、

新しいハードウェアを有効活用できます。

ボリュームのRAIDレベルの変更 — 異なるRAIDレベルにはそれぞれの容量要件が存在し、パフォーマンスも異なるた

め、管理者は要件の変更に合わせてボリュームのRAIDタイプを変換しなければならない場合があります。

ボリュームの可用性レベルの変更 — 仮想ボリュームの可用性は、フォールトトレランスのレベルを決定します。たとえ

ば、ケージレベルの可用性を持つボリュームでは、RAIDセットで別のドライブケージのチャンクレットを使用することに

より、ドライブケージの障害に対応できますが、アプリケーションやビジネスの要件が変わると、既存の仮想ボリュー

ムの可用性を変更することが望ましい場合もあります。

ボリュームのサービスレベルの変更 — DOには、特定のボリュームのRAIDと可用性のレベルを中断なく変更できるう

え、ボリューム作成時に適用されたボリュームパラメーター (ディスクフィルタリングパラメーターなど) を変更できると

いうメリットもあります。

ベストプラクティスの例:Oracle環境におけるDynamic Optimizationの使用

Oracle環境でDOを活用するには、SLAなどのデータを同じASMディスクグループに配置します。Dynamic Optimizationで

は、ボリューム全体が移行されるため、移行データの粒度はASMディスクグループのレベルになります。

DOを使用してASMディスクグループを移行する方法としては、次のような例があります。

1. 低速/低コストのNLディスクを使用して、月末処理のときにのみアクセスするデータを含むOracle ASMディスクグ

ループを保存します。

2. 月末の集約的な処理に備えるため、DOを使用してOracle ASMディスクグループを高速でコストの高いRAID 1の

ファイバーチャネルCPGに移行します。

3. 処理が完了し、月次データにアクセスする必要がなくなったら、DOを使用してデータをアーカイブのNL CPGに戻し

ます。

ビジネス継続性

HP 3PAR StoreServには、Oracle環境のビジネス継続性を維持するHP 3PAR Virtual CopyやHP 3PAR Recovery Mana

ger for Oracleなどの機能が数多く含まれています。

HP 3PAR Virtual Copy

HP 3PAR Virtual Copyソフトウェアを活用すれば、データのポイントインタイム (PIT) コピーが瞬時に作成されるため、組

織における (Oracleをはじめとする) あらゆるアプリケーションデータの共有と保護が簡素化され、コストも抑制されます。

HP 3PAR Dynamic Optimization

ソリッドステート

ドライブ (SSD)

ファイバーチャネル

(FC)

ニアラインドライブ

(SATA)

ボリュームレベルでのデータ移動

リージョン

RAID 10 RAID 50 RAID 60

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Oracle環境でのVirtual Copyの使用に関するベストプラクティス

仮想コピーを別の場所にマウントし、バックアップ、テスト、またはレポーティングデータベースを作成します。

OracleのホットバックアップモードとVirtual Copyのコンシステンシーグループを組み合わせて、ASMディスクグループ

やファイルシステムのメンバー間でデータベースの書き込みの一貫性を確保します。

HP 3PAR Virtual Lockソフトウェアを使用して、スナップショットのデータ保持スケジュールを確保します。

HP Recovery Manager

HP 3PAR Recovery Manager Software for Oracleは、OracleおよびOracle RACデータベースのスナップショットを自動的

に作成して管理する、非常に効率的なソリューションです。このソフトウェアでは、アプリケーション一貫性がある数百も

のPITスナップショットを予約なしで処理できるため、迅速なオンラインリカバリが実現します。

Oracle環境でのRecovery Managerの使用に関するべストプラクティス

Oracle PITスナップショットを作成し、管理します。

他のOracleデータベースインスタンスにスナップショットイメージを提示します。

操作性の高いホストのグラフィカルユーザーインターフェイス (GUI) からイメージを管理します。

迅速かつシンプルな方法でOracleデータベースを既知の時点までリカバリします。

Recovery Managerを使用して、Oracle本番サーバーのリカバリをはじめとする、その他の操作を高速化します。

詳細については、「HP 3PAR Recovery Manager for Oracle - Overview & Features (HP 3PAR Recovery Manager for O

racle - 概要と機能)」(英語) をご覧ください。

HP StoreOnce Backup

HP StoreOnce Backup Systemは、Oracleデータベースの重複排除バックアップで高いコストパフォーマンスを実現しま

す。ディスクベースのHP StoreOnce Backup Systemを使用すれば、複数のデータベースのバックアップを単一のラック

マウントデバイスで自動化および統合し、メディア操作時のエラーを削減して信頼性を向上させることができます。また、

リモートオフィスやディザスタリカバリサイトなどの環境がある場合は、このシステムを使用して中央のデータセンターや

リモート施設にデータを複製できます。

Oracle環境でのHP StoreOnceの使用に関するべストプラクティス

ビジネスクリティカルなOracleデータベースでは、異種のバックアップターゲットを拡張性の高いHP StoreOnce Backu

p Systemに移行または統合します。

StoreOnceシステムに移行して、I/O集約型のバックアップ/ビジネスアプリケーション、さらには同じストレージアレイを

共有するその他のアプリケーションでみられる競合やパフォーマンスの問題を緩和します。

既存のプロセスやポリシー、およびOracle RMANスクリプトを新しいプラットフォームで使用します。

物理テープが使用されている既存のプロセスを維持しながら、仮想テープライブラリ (VTL) を使用して、ディスク-トゥ-

ディスクのバックアップ環境に移行できます。

最近提供を開始したHP StoreOnce Catalystを使用して、データのバックアップとリカバリをさらに高速化します。

HP StoreOnceの詳細については、http://www8.hp.com/us/en/products/data-storage/data-storage-products.html?co

mpURI=1225909 (英語) をご覧ください。

HP Data Protector

HP Data Protectorは、ハードウェアベースの統合型データ保護ソリューションで、インテリジェントなデータ管理アプロー

チを通じて、エッジからデータセンターに至るまで、さらには物理、仮想、クラウド環境全体にわたってデータを意味ベー

スでシームレスに保護し、有効に活用します。3ヶ所 (アプリケーションソース、バックアップサーバー、およびターゲットデ

バイス) での重複排除が可能な柔軟性を備えたHP Data Protectorを組織で活用すれば、インフラストラクチャの総コスト

を最小限に抑えながらも、非常に要求の厳しいビジネスSLAに対応することができます。このソリューションは、メディア

デバイスと直接データをやり取りできるだけでなく、スケジュール設定、メディア管理、ネットワークバックアップ、監視、対

話型のバックアップなどにも対応しています。

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Oracle環境でのData Protectorの使用に関するべストプラクティス

HP Data Protectorは、メディア管理ライブラリ (MML) 経由で、OracleのRMANバックアップユーティリティと緊密に連携

させ、完全に統合することが可能です。MMLは、OracleのファイルデータをHP Data Protectorで読み取り/書き込み可

能にするルーチンセットです。

メディア管理ソフトウェアをテストするには、sbttestユーティリティを使用します。このユーティリティでは実際のバック

アップは実行されませんが、MMLとの通信を試行して、ソフトウェアが正しく機能しているかどうかを判断します。

HP Data Protectorの詳細については、http://www8.hp.com/us/en/software-solutions/software.html?compURI=1175640

(英語) をご覧ください。

まとめ

HP 3PAR StoreServシステムは、Oracle環境に適した柔軟で可用性の高い構成を実現できる設計になっており、HP 3P

AR Thin Suite製品を使用すれば、ストレージ領域の使用が効率化されます。また、Adaptive OptimizationとDynamic Op

timizationでストレージを柔軟にチューニングすることで、管理者はSLAの変更にシームレスに対応できるようになり、Thi

n Conversionは、さまざまな戦略に基づいて、フルプロビジョニングされたボリュームをシンプロビジョニングボリュームに

移行することを可能にします。

シンプロビジョニングとOracleの自動拡張機能を組み合わせると、領域の割り当てが合理化され、ストレージの設置面

積をタイムリーに拡張できます。さらに、業界に変革をもたらすOracle ASRUユーティリティを活用すれば、Oracle環境で

不要になった領域が解放され、取り残されたストレージに割り当てられたオーバーヘッドを解消します。きわめて変化の

はげしいビジネス環境のニーズにも対応でき、優れた柔軟性とパフォーマンスを備えた最適なOracle環境の実現に、本

書のベストプラクティスをぜひご活用ください。

詳細情報

HP 3PAR StoreServとOracleの詳細については、次のリンクを参照してください。

3PAR/Linux Implementation Guide (英語)

HP 3PAR System Reporter 3.1.0 Software User's Guide (英語)

3PAR Adaptive Optimizationデータシート (日本語)

3PAR Dynamic Optimizationデータシート (日本語)

Autonomic Storage Tiering with Oracle 11gR2 Databases on HP 3PAR T-Class and V-Class Storage Systems

(英語)

Simplified Database Storage Management That Lowers Management Costs And Yields High Storage Utilization

(英語)

Oracle ASM Storage Reclamation Utilityと3PAR Thin Persistenceの連携による高いストレージ使用率の維持

(日本語)

Oracle Automatic Storage Managementとシン・プロビジョニングを使用した再利用 (日本語)

HP 3PAR StoreServストレージ

HP 3PAR StoreServ Storageシリーズ (日本語)

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