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新しいpH応答性リポソームを用いた高活性がんワクチン開発
研究責任者 :
弓場英司 (大阪府立大学大学院 工学研究科 助教) コーディネータ:
阿部敏郎 (大阪府立大学 産学官研究推進連携センター 副オフィス長)
新技術説明会(A-STEP探索タイプ) 2012/02/10(Fri.) 1
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研究背景①~樹状細胞を用いるがん免疫治療
CTL: 細胞障害性T細胞
免疫治療の達成のために、外来タンパク質を効率良く細胞内に導入できるデリバリーシステムが求められている 免疫治療の達成のために、外来タンパク質を効率良く細胞内に導入できるデリバリーシステムが求められている
●樹状細胞による免疫反応の活性化ルート
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研究背景②~樹状細胞への抗原デリバリーシステムの先行技術
ナノ粒子 (PLGA、g-PGAなど)
フロイント完全アジュバント(CFA)
…動物実験で最も高い免疫誘導機能
投与部位への炎症惹起
→ヒトへの適用は不可
水酸化アルミニウムゲル(Alum)
…臨床でヒトにも用いられている リポソーム
・pH応答性リポソーム ・膜融合リポソーム(センダイウイルスベクター)
●樹状細胞の細胞内部への抗原運搬を指向したリポソーム
高効率な細胞内導入
高い細胞性免疫・抗腫瘍誘導機能
ウイルス由来タンパク質→安全性
細胞内エンドソームの弱酸性pHに応答した膜融合・不安定化
低い免疫誘導機能
Nature Reviews Drug Discovery 4, 145-160 (2005). http://www.dnavec.co.jp/en/technology/technology1.html
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研究背景③~pH応答性ポリマー修飾リポソーム
● 種々の側鎖構造を有するカルボキシル基修飾ポリグリシドール2,3)
ポリマー修飾リポソームによるカルセインデリバリー
SucPG MGluPG
1) K. Kono et al., Biochim. Biophys. Acta, 1325, 143-154 (1997).
2) N. Sakaguchi et al., Bioconjugate Chem., 19, 1040-1048 (2008).
3) E. Yuba et al., Biomaterials, 31, 943-951 (2010).
4) E. Yuba et al., Journal of Controlled Release, 149, 72-80 (2011).
● 種々の主鎖構造を有するポリグリシドール誘導体4)
本研究開発技術 :
がん免疫を強力に誘導できる抗原運搬システム
~多分岐型pH応答性ポリマー修飾リポソーム
本研究開発技術 :
がん免疫を強力に誘導できる抗原運搬システム
~多分岐型pH応答性ポリマー修飾リポソーム
1)
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研究開発成果①~本研究で用いたpH応答性ポリマー 5
pH応答性化 リポソームへの固定化部位
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研究開発成果②~ポリマーの脂質膜との相互作用 6
重合度の高い多分岐型ポリマーほど酸性環境でより強力に膜と相互作用
同程度の重合度を持つリニアポリマーよりも速やかに膜の不安定化を促進
pH 6.0
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研究開発成果③~ポリマー修飾リポソームの調製 7
多分岐ポリマーの修飾によって、リニアポリマーよりも高い性能を有するpH応答性リポソームが調製できた
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FITC-OVAの樹状細胞内部へのデリバリー
重合度の高い多分岐型ポリマーほど効率良く細胞に取り込まれ、細胞内部へのFITC-OVAのデリバリーを達成
研究開発成果④~リポソームの細胞による取り込み 8
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研究開発成果⑤~細胞における免疫誘導 9
多分岐ポリマー修飾リポソームは樹状細胞の細胞質への抗原デリバリーによって、MHC class
Ⅰを介した抗原提示を誘導
細胞性免疫の誘導
(がん免疫に重要)
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研究開発成果⑥~生体内における免疫誘導 10
●多分岐ポリマー修飾リポソームの皮下投与によって抗原特異的な細胞性免疫を誘導
●CFAとほぼ同等の活性
●多分岐ポリマー修飾リポソームの皮下投与によって抗原特異的な細胞性免疫を誘導
●CFAとほぼ同等の活性
脾臓のCTL活性(LDH assay)
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11 研究開発成果⑦~がん生着抑制実験
皮下投与 経鼻投与
●多分岐ポリマー修飾リポソームの皮下投
与によって腫瘍の生着を完全に拒絶した
●経鼻投与においても、他免疫群に比べて
有意な腫瘍成長抑制効果を示した
●様々な投与経路で免疫誘導可能
腫瘍を完全に拒絶!
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12 研究開発成果⑧~がん免疫の誘導
●ポリマー修飾リポソームの皮下投与によって腫瘍の縮退・消失が見られた
腫瘍体積 生存曲線
腫瘍が消滅!
75%のマウスが長期に渡り生存!
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• ウイルス由来成分を用いず、食品添加物として使用されているポリマーや脂質など、生体適合性の高い材料のみを使用して抗原デリバリーシステムを開発した。
• 本研究で開発したリポソームは、樹状細胞の内部に抗原タンパク質を運搬でき、抗原特異的な免疫を誘導することができた。
• しかも、現在動物実験で使用されている中で最も強力なワクチンアジュバント(CFA)とほぼ同等の免疫誘導機能を達成した。
• がんの生着を完全に抑制し、固形がんを消滅させるほど強力な抗腫瘍免疫を誘導した。
新技術の特徴、従来技術、競合技術との比較 13
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• 本技術の適用により、安全性が高く、しかも効果の高いワクチンアジュバントが開発でき、がん免疫治療のための抗原運搬システムとしての利用が期待される。
• 抗原特異的な免疫を誘導できることから、がんワクチンだけでなく、感染症用のワクチン担体としても利用できる。
• また、細胞内への運搬が必要な核酸・タンパク質といった生理活性分子のためデリバリーシステムとしての利用も考えられる。
想定される用途 14
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• 担癌マウスモデルにおいて、固形腫瘍を縮小させ、多くのマウスでは消滅させることすらできた。しかし、一部のマウスで腫瘍の再増殖が見られ、腫瘍を全てのマウスで完全に消滅させることができるよう、リポソームの性能向上が必要である。
• 今回はニワトリのタンパク質をモデル抗原として用いているため、マウスに対して高い抗原性が得られている可能性がある。マウス由来のがん抗原を用いた場合でも同じ結果が得られるかを調べ、本キャリアの汎用性を検証する必要がある。
• 汎用性が確認できた上で、本技術の実用化に向けて、より大型動物での評価が必要である。
実用化に向けた課題 15
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• 発明の名称 :pH応答性リポソーム
• 出願番号 :特願2011-103692
• 出願人 :公立大学法人大阪府立大学
• 発明者 :弓場英司、田島直樹
河野健司
本技術に関する知的財産権 16
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1.がんワクチン:製薬会社、化学会社(ポリマー等原料) がん免疫の誘導、予防薬
2.がんの治療薬:製薬会社、化学会社(ポリマー等原料) 固形がんを消失させるほどの強力な免疫誘導機能
3.新興・重篤感染症予防薬:製薬会社、化学会社(ポリマー等原料) 抗原特異的な免疫を誘導
4.がんワクチンとしての性能評価:製薬会社
大型動物での評価や、汎用的な抗原を用いた評価
実用化
想定される技術移転 17
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お問い合わせ先
研究責任者 :
弓場英司 (大阪府立大学大学院 工学研究科 助教) Tel&Fax: 072-254-9913
E-mail: [email protected]
コーディネータ:
阿部敏郎 (大阪府立大学 産学官研究推進連携センター 副オフィス長) Tel: 072-254-7943 Fax: 072-254-9874
E-mail: [email protected]
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