qbdアプローチへの 品質工学の適用と その課題 - nihsqbdアプローチへの...
TRANSCRIPT
Qトリオ導入
変化への適応手段
将来的な規制要件化への対応
• 今後求められることを知る
高機能製剤の製品開発
• 製品への深い理解
コスト削減の要求
• 工程への深い理解
収率向上、安価な原料、グローバル生産・・・
6
Qトリオが求めていること
Q8:つくりこまれた品質
Q9:品質に影響するリスクの管理
Q10:体系的な品質保証システム
大半は企業がすでに行っていること。
従来からの活動を「明確化」「体系化」し、 評価しやすい形にする。
7
「Qトリオ イニシアチブ」
部門横断的なグローバルプロジェクトチーム
複数のサブチームからなる
医薬品品質システム
品質リスクマネジメント
ナレッジマネジメント
PAT
技術移管
デザインスペース
8
具体的な取り組み
Q8
パイロットテーマでのQbDアプローチの実践 QbDマニュアルの制定 PATマニュアルの制定 各種ソフトウェアの選定と導入 他
Q9 リスク管理手順の標準化 治験薬開発、技術移転へのQRMの導入 他
Q10 グローバル「質」保証ポリシーの制定 研究部門及び工場の品質マニュアルの制定 業務手順書への落とし込み 他
9
「品質工学」とは?
技術開発を効率的に行う技法
直交表の使用など、「実験計画法」に類似した 手順で進める
実験計画法 品質工学
狙い
・効率のよい実験方法を計画する
・実験結果を適切に解析する
・品質を不安定にする要因を調べる
・「頑健な」システムを構築する
手法 ・影響の高いパラメータの抽出 ・バラツキの把握
・バラツキの低減 ・目標値への落とし込み
11
「バラツキ」に対する考え方
故意にバラつく条件で実験を行い、 まずバラツキをなくす。
x1 x2 X3 0 入力(x) 0 x1 x2 x3
y1
y3
y2
出力
(y)
: 誤差因子A : 誤差因子B : 誤差因子C
2段階設計
1段階設計
15
事例1:腸溶性コーティング
主薬を含有する顆粒に、腸溶性ポリマーをコーティング
0
20
40
60
80
100
0 60 120 180
Time [min]
Dis
solv
ed [
%]
16
事例1:腸溶性コーティング
信号因子:溶出時間、出力:溶出率
誤差因子:溶出試験液pH(4水準)
制御因子:・1因子2水準+7因子3水準(L18直交表)
18
制御因子 水準1 水準2 水準3
A スプレーガン口径(mm) 0.8 1.2 -
B 給気風量(Nm3/min) 1.0 1.2 1.4
C 吸気温度(℃) 40 45 50
D 注液速度(g/min) 13 15 17
E スプレーエア量(NL/min) 75 85 95
F スプレーガン高さ(cm) 10 15 20
G 液中固形分濃度(%) 13.2 10.0 7.8
H 液中アルコール濃度(%) 少 中 多
事例1:腸溶性コーティング
溶出試験結果
0
20
40
60
80
100
0 20 40 60
Dis
so
lve
d (
%)
Time (min)
0
20
40
60
80
100
0 20 40 60
Dis
so
lve
d (
%)
Time (min)
0
20
40
60
80
100
0 20 40 60
Dis
so
lve
d (
%)
Time (min)
0
20
40
60
80
100
0 20 40 60
Dis
so
lve
d (
%)
Time (min)
pH 6.9
pH 7.2
pH 7.0
pH 7.1
19
事例1:腸溶性コーティング
解析結果(要因効果図)
20
6
8
10
12
14
16
18
1 2 1 2 3 1 2 3 1 2 3 1 2 3 1 2 3 1 2 3 1 2 3
A B C D E F G H
SN
ra
tio
(d
b)
1
2
3
4
5
6
7
8
1 2 1 2 3 1 2 3 1 2 3 1 2 3 1 2 3 1 2 3 1 2 3
A B C D E F G H
Se
nsitiv
ity (d
b)
バラツキへの影響度合い
溶出プロファイルへの影響度合い
ガン口径
給気風量
給気温度
注液速度
スプレーエア
ガン高さ
固形分濃度
溶媒濃度
事例1:腸溶性コーティング
各パラメータの「溶出プロファイル」「バラツキ」への影響度合いを一度に把握。
パラメータ 一因子実験 品質工学
溶出 バラツキ 溶出 バラツキ
ガン口径 ? ? Mid. Mid
給気風量 ? ? High High
吸気温度 ? ? Mid Low
注液速度 High? ? High Low
スプレーエア ? ? High High
ガン高さ High? ? Mid Mid
液濃度 ? ? Mid Low
溶媒濃度 High? ? High High 21
事例2:OD錠の処方設計
一般的に、打錠工程のスケールアップ時には打錠速度が上がり、圧縮時間が短くなる。
圧縮時間が短縮されても、錠剤硬度に 影響の出ない処方・製造条件とは?
22
圧縮時間の短縮↓
錠剤硬度の低下↓
硬度が低下しないよう、打錠圧上昇↑
口腔内崩壊時間延長↑
事例2:OD錠の処方設計
各因子とアウトプットの関係
スケールアップによりターンテーブルの回転速度が上がっても、硬度を一定にするには?
23
処方・製造条件 打錠圧(X) 錠剤硬度(Y)
ターンテーブル
回転速度
事例2:OD錠の処方設計
信号因子:打錠圧、出力:錠剤硬度
誤差因子:ターンテーブル回転数
制御因子:・11因子2水準(L12直交表)
24
制御因子 水準1 水準2
A 結晶セルロース グレード KG-802 UF-711
B 結晶セルロース量(%) 5 15
C L-HPC量(%) 5 15
D 崩壊剤量(%) 2.5 7.5
E 滑沢剤 グレード A B
F 滑沢剤量(%) 1.5 2
G 造粒時品温(℃) 低い 高い
H 1回目混合時間(min) 1 5
I 2回目混合時間(min) 1 5
J - - -
K - - -
事例2:OD錠の処方設計
解析結果(要因効果図)
25
24
26
28
30
32
34
36
38
1 2 1 2 1 2 1 2 1 2 1 2 1 2 1 2 1 2 1 2 1 2
A B C D E F G H I J K
SN
比(d
b)
A:MCC grade
B:MCC ratio (%)
C:LH33 ratio (%)
D:Crospovidone ratio (%)
E:Mg-St grade
F:Mg-St ratio (%)
G:FBG temp. (℃)
H:Mixing1 time (min)
I:Mixing2 time (min)
J:error 1
K:error 2
-38
-37
-36
-35
-34
1 2 1 2 1 2 1 2 1 2 1 2 1 2 1 2 1 2 1 2 1 2
A B C D E F G H I J K
感度
(db
)
A:MCC grade
B:MCC ratio (%)
C:LH33 ratio (%)
D:Crospovidone ratio (%)
E:Mg-St grade
F:Mg-St ratio (%)
G:FBG temp. (℃)
H:Mixing1 time (min)
I:Mixing2 time (min)
J:error 1
K:error 2
<バラツキに影響のある因子> 滑沢剤グレード、造粒時品温、 1回目混合時間
<硬度に影響のある因子> 結晶セルロース量、L-HPC量
バラツキへの 影響度合い
硬度への 影響度合い
品質工学の検討を通じて
パラメータ選択の妥当性が向上
コントロールできない因子の影響も加味した上で、複数の選択肢から処方・パラメータを設定できる
頑健なシステム
ラボスケールの段階からコマーシャルスケール 以降を意識した処方・製造法となる
27
QbDアプローチへの適用
実験計画法(DOE)との使い分け
品質工学・・・研究初期に適する
多因子の影響を一度に把握
コントロールできない要因に対して頑健に
実験計画法・・・研究後期に適する
主効果と交互作用を正確に把握
リスクの高いパラメータに対してピンポイントでの実験
適切な手法を適切な段階で用いる
28
QbDを実践する上での課題
ガイドラインの「向こう側」を見る
有効・安全で高品質の医薬品を提供するために
従来から培ってきたことの活用
変えること、変えないことの見極め
達成したいことの理解と手順への落とし込み
手順の背景となる考え方への深い理解と共有
30
最後に
患者さんへの思いは同じ
QbDを議論の材料として、当局と企業のあるべき姿を共有する。
「こうすればいい」から「こうしたい」への転換
どうすれば「有効」「安全」「高品質」な医薬品で あることを説明できるか、真剣に考える。
32