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NTT技術ジャーナル 2017.1166
RKB毎日放送㈱(RKB),NTT西日本九州事業本部,NTTは,₂₀₁₇年 ₇ 月₂₆日にRKB創立₆₅周年イベント「シーサイドももち花火ファンタジアFUKUOKA」のパブリックビューイングを熊本県益城町で開催しました.本パブリックビューイングでは,NTTが開発した「サラウンド映像合成技術」をライブイベントで初めて導入しました.本技術は複数配置した4Kカメラの映像からワイド映像をリアルタイムに合成することができ,通常のTVサイズより広視野角による高精細映像を実現します.パブリックビューイングに参加された益城町 ・ 広安西小学校の生徒と保護者の方 (々約₂₀₀名)は,高さ 4 m,幅₁₀�mのスクリーンに映し出された,超ワイドな花火の映像に,あたかも自分自身が花火イベント会場にいるかのように高臨場感ライブ中継をお楽しみいただきました.
■パブリックビューイング実施概要複数台の4Kカメラ(多眼カメラシステム)で撮影した花火イベントの映像を,NTT西日本の通信回線と,NTTの「サラウンド映像合成技術」を用いて,パブリックビューイングの会場となる「広安西小学校体育館」に
おいてライブ中継しました(図).会場には,花火大会全体を撮影した4Kシングル映像
(高さ 4 m,幅 ₅ mのスクリーンに投射)と,超ワイド映像を同時に映し出し,会場を包み込むような映像表現を実施しました.「サラウンド映像合成技術」は,イマーシブテレプレゼンス技術「Kirari !」を構成する技術の ₁ つです.視野角₁₈₀度以上かつ縦横方向に複数配置した4Kカメラ映像をリアルタイムに合成(横 ₈ ×縦 ₁ ,横 4 ×縦 ₂ など)する技術です.この技術により,観客席も含めた広大な競技会場全体の映像など,包み込まれるかのような高精細サラウンド映像をリアルタイムにつくることが可能です.■各社の役割(₁) RKB・ �「シーサイドももち花火ファンタジアFUKUOKA」および本パブリックビューイングの企画運営・ �4Kカメラによる映像伝送システムの提供 ・ 構築 ・運用
(₂) NTT西日本・ �本パブリックビューイングの企画検討 ・ 運営(イベ
〈多眼カメラシステム〉 〈花火イベント会場撮影〉4Kカメラ①4Kカメラ① 4Kカメラ②4Kカメラ②
4K×N
ビューイング会場ビューイング会場(複数台の4Kカメラ映像を合成)(複数台の4Kカメラ映像を合成)
図 パブリックビューイング実施概要
RKB×NTTグループ コラボレーション成果RKB毎日放送とNTT西日本 ・ NTT,「シーサイドももち花火ファンタジアFUKUOKA」のパブリックビューイングを熊本県益城町で実施
NTT技術ジャーナル 2017.11 67
ント構成)・ �4K複数映像の伝送用ネットワークの提供 ・ 構築 ・運用
(3) NTT・ �本パブリックビューイングの企画検討 ・ 運営(技術的観点)・ �「サラウンド映像合成技術」のシステム提供,構築 ・運用
■今後の予定RKBは,本パブリックビューイングを通じて,4K中継技術 ・コンテンツ制作のノウハウを蓄積することで,将来的な移行が予定されている4K ・ 8K放送への対応を進めていきます.
NTT西日本は,本パブリックビューイングを通じて,4K中継ノウハウを蓄積することで,放送局に対する提案につなげていきます.また,NTT西日本およびNTTは本件で得られた知見を
「サラウンド映像合成技術」の実用化に活かしていきます.
◆問い合わせ先NTTサービスイノベーション総合研究所 企画部広報担当TEL 046-859-2032E-mail randd lab.ntt.co.jpURL http://www.ntt.co.jp/news2017/1707/170721a.html
「迅速かつ正確な報道」と「文化的で高品質な番組コンテンツの供給」による地域貢献が我々放送事業者の使命です.地デジ化から10年が経過し,4K放送実現への取り組みが始まったばかりという,新たなステップへ踏み出そうとしている段階にあります.RKB毎日放送でも4Kコンテンツの試験的な撮影・制作等に取り組んでいますが,生番組制作に向けての技術的な課題も明らかになってきました.
今回の共同実験のお話しをいただき,当社だけでは困難な4K伝送という課題解決への糸口が見つかるのではいう期待とともに,大きな災害に見舞われた熊本県益城町の方々に良質なコンテンツがお届けできるのではないかと考えました.
花火の映像は,圧縮画質確認に適した「難しい」映像ですが,今回,HEVC4Kコーデック(NTTエレクトロニクス社製)の性能とIP回線での安定的な伝送の確認も行うことができました.
一方,複数映像リアルタイム合成を,リハーサルなし一発勝負の花火で実現するには並大抵ではないご苦労があったと思いますが,事前準備を重ね見事成功された研究所の皆様に敬意を表します.
MMT(MPEG Media Transport)技術を用いた複数ストリームの同期配信技術に関しては,Mpeg2-systemsを使い続けてきた我々にとっても非常に興味深いものです.今回,実用に近い環境での実験が成功したことで,放送分野においてもMMT技術を活用した製品が早期に実用化されることを期待します.
今後も「地域貢献」「高品位なコンテンツ」をキーワードにNTTグループの皆様との取り組みを進めていきたいと強く希望いたします.
「シーサイドももち花火ファンタジアFUKUOKA」での取り組みについて
梅嵜 貴史RKB毎日放送 編成戦略局 メディア戦略部 兼 技術局
パートナ紹介パートナ紹介
NTT技術ジャーナル 2017.1168
「離れた会場であってもあたかもその場にいるような感動を伝えるにはどうすれば良いか」NTT西日本ではこれまで,気球イベント・野球・祭りなどのパブリックビューイングに積極的に取り組
んできました.ただ,現場の臨場感をうまく伝えることは難しい課題でした.「シーサイドももち花火ファンタジアFUKUOKA」パブリックビューイングでは,熊本の子どもたちに
福岡の花火会場の臨場感を共有すべく,NTT西日本は映像配信ネットワークの構築運用とイベントの企画運営を担いました.
映像配信ネットワークは,1 Gbit/sのビジネスイーサワイド2回線とフレッツVPNワイドを組み合わせた構成とし,4Kサラウンドを含めた複数ストリーム映像をリアルタイム配信しました.
イベント企画にあたっては,花火の臨場感をいかに伝えるか,どうすれば演出効果を高められるかなどを関係者で何度も検討を重ねました.当日はその甲斐もあり,高さ4 mにもなる2つの巨大なスクリーンに映し出される鮮明で大迫力の花火映像と,身体に響き渡る音響に圧倒され,会場の子どもたちからは拍手と感嘆の声があがっていました.
サラウンド映像合成技術・高速大容量ネットワーク・撮影技術・イベント演出など各社の知恵やノウハウが集結することで,感動を伝えるパブリックビューイングが実現できたと感じています.
今回の取り組みを踏まえ,高臨場感で付加価値の高いパブリックビューイングなどを通じ,感動を届けることができる映像配信ビジネスの展開を進めていきます.
ネットワークで感動を伝えたい
土井 俊介NTT西日本 ビジネス営業本部 クラウドソリューション部
担当者紹介担当者紹介
我々のチームでは,臨場感の高いパブリックビューイング(PV)の実現をめざし「サラウンド映像合成技術」の研究開発を行っています.今回初めてライブ配信を行いましたが,適用にあたり花火イベント特有の課題がありました.本技術では,別々に撮影した映像の視差などを補正しうまく合成するために,撮影画角を確定したうえで合成用のパラメータ生成を行います.イベント中の限られた時間の中で,いかにこれらの作業を完了させるかがポイントでした.
撮影画角については,さまざまな大きさ・高さで打ち上がる花火を臨場感のある合成映像として提示するにはどのように撮影するのが良いか,PV演出担当者様に具体化いただきました.我々は,それを実現するために机上計算によるズームや仰角でカメラを設置後,本番直前まで建造物などを目印に繰り返し調整しました.パラメータ生成については,他のイベントの花火映像を参考に,打ち上げタイミングをとらえてパラメータ計算できるような対処や運用フローの効率化を行いました.以上により,本番開始後実際の花火を使って,最終的な撮影画角の調整とパラメータ生成を短時間で完了させ,予定どおり,熊本会場で迫力のある花火を鑑賞いただくことができました.
今回,RKBの皆様をはじめ関連各社の協力によって,臨場感のあるサラウンド映像を実現できたと思います.今後さまざまな分野に本技術を適用できるよう,今回得られた知見を研究開発に活かしていきたいと思います.
「サラウンド映像合成技術」の花火イベントへの適用について
佐藤 孝子NTTサービスエボリューション研究所 ナチュラルコミュニケーションプロジェクト
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