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JLJfitwfttt-ti 51 (6)1842-850, 1997.

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STZhSe 9 ": 1O H 24 Hecfee

The Effect of Subgingival Mechanical Irrigation Using Ultrasonic Scaler Tip;

Clinical and Microbiological Observation.

Hisami IIatae

Department of Periodontics and Endodontics (Director: Prof. Makoto Yokota)

Kyushu Dental College, Kitakyushu, Japan

The purpose of this study was to evaluate the effect of subgingival mechanical irrigation

using ultrasonic scaler tip to periodontitis patient$ from moderate to advanced severity.

The single-rooted teeth from 7 patients with moderately advanced periodontitis were

treated with a split-mouth design. The baseline evaluation included probing pocket depth

(PPD), probing attachment level (PAL), gingival bleeding index (GBI) and plaque control

record (PCR). One site in each quadrant was sampled for the measurement of dark-ficld

microscopic analysis, subgingiva] microbial sarnpling and gingival crevicular fluid (GCF).Four quadrants were consisted of: 1 ) brushing plus water irrigation using ultrasonic scaler

tip (mechanical irrigation group), 2) brushing plus water irrigation using syringc

(irrigation-water group), 3) brushing plus O.2% ethacridine lactate (Acrinole) irrigation

using syringe (irrigation-chemical agent group), 4) brushing alone (control group).

Subgingival irrigation was repeated one time a week for 4 weeks. And then, second clinical

measurement was performed 4 weeks later.

The results indicated that PPD reductions were observed in all irrigation groups and

control group. Water irrigation using ultrasonic scaler tip was effective in reducing GBI and

the percentage of motile bacteria (spirochetes and motile rods). Furthermore, O.2%

ethacridine lactate irrigation using syringe was effective in decreasing GBI,

It was demonstrated that water irrigation using ultrasonic scaler tip had some effect in the

reduction of GBI and also the improvement of reduction in the subgingival environrrient

Therefore, it was concluded that the application of watcr irrigation using ultrasonic scaler tip

might be useful in routine periodontal treatment.

Key words: Irrigation/Ultrasonic scaler tip/Periodontitis/Inflammation

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超 音波 ス ケー

ラーの チ ッ プ に よ る洗浄効果 （波多江）

一 843一

緒 　　言

　歯周病 に よ る 歯周組織 の 破壊 は， デ ン タ ル プ ラー

ク の

示す病原 力 と宿 キ の 抵 抗力 と の バ ラ ン ス の 破綻 に よ っ て

生 じ る と 言わ れ て い る1，．そ の た め ，プ ラ

ーク の 蓄積 を抑

制 す る プ ラー

ク コ ン ト ロール は，歯周治療を 行 う に あ

た っ て 重要 な位 置を 占 め る よ うに な り，様 々 な方法や そ

の 有効 性 が 注 目 さ れ る よ う に な っ て き た．

　プ ラ ーク コ ン トロー

ル は 歯肉縁上 と歯肉縁 ドプ ラーク

コ ン ト ロール に 分類 さ れ る．歯肉縁 ヒの プ ラ

ーク コ ン ト

ロ ール は，患者 自身 で 行 う こ と が 可能 で あ る が ， 歯肉縁

ドの プ ラー

ク コ ン ト ロール は 患 者 自身 で 行 う こ と が 不 n∫

能で あ り，歯肉縁下 プ ラー

ク を ど れ だ け 除 去で き る か は

術 者 の 手 に 委ね られ る こ とに な る．

　 そ こ で 近年 ，歯肉縁 ドの プ ラーク コ ン ト ロ ール 法 と し

て 抗 菌剤に よ る ポ ケ ッ ト内洗 ts1’3）

や ，様 々 な 器材を 用 い

た ポ ケ ッ ト 内洗浄”” ）

が 試 み ら れ て い る． しか し，薬剤 の

使用 に つ い て は ア レ ル ギ ーや 耐性 菌 の 問 題 が あ り，長期

連用 は 疑 問視さ れ て い る＋；）．ま た，特 別 な 器材 を 用 い た ボ

ケ ッ ト内洗浄 は， 日常 的 に 臨床 で 使 用す る に は煩雑で あ

り，簡便 さ と い う点か ら も器材 検討 の 必要性 が あ る，

　従来か らポ ケ ッ ト 内洗浄 の 手 段 と して 用 い られ て き た

シ「

丿ン ジ 法 は，ほ ぼ 100 ％ の ポ ケ ッ ト底到 達度 が 得 られ

る と い う点 で 頻繁 に 使用 さ れ て き た ．ま た ，以 前我 々 は ，

歯石除去 の た め に頻繁 に 使 用 して い る 超 音波 ス ケ ーラー

チ ッ プ を ポ ケ ッ ト 内洗浄 に 応用 し，歯周 ポ ケ ッ ト の 改善

に 有効で あ っ た 臨 床報 告を行 っ たη

．

　 そ こ で 今回， 冂 常的 に 臨床 に 頻繁 に 使 用 され て い る シ

リ ン ジ に よ る ポ ケ ッ ト内洗浄 と，超 音波 ス ケ ーラーの 特

殊 な 使 い 方 に よ る ポ ケ ッ ト内洗 浄 との 比 較 検 討 を 行 っ

た．使用 に 際 して ，超 音波 ス ケー

ラー （Cavitrono 　3000 ，

Dentsply） に 超 音 波 ス ケ ー ラー

チ ッ プ （Cavitron’o

insert．　 TFI −10 型，　 Dentsply ）を装着 し，超 音波 ス ケー

ラー本体 の Power を最小 に 設定 した．そ うす る こ と で ，

ポ ケ ッ ト 内洗浄 を行 う際の 過度な 振幅が 抑制 さ れ，歯肉

縁 下 の 歯根や 歯石表面か ら細菌 性 プ ラー

ク を 可及 的 に 除

去す る こ と に 重 点 が 置 か れ ，物理 的擦 過 に よ る ポ ケ ッ ト

内洗浄 効果 の み が期待 さ れ る． そ の 結 果 を 臨床 パ ラ メ ー

ターと 細菌学 的変化 に つ い て 評価 し，検討 を行 っ た の で

報告す る．

材料およ び方 法

1 ．器材 特性 の 検討

1 ．使用洗浄 器材

図 1　 基 準 線 を 付 与 し た 到 達 度測定 用 の 超 音 波 ス ケ ーラーチ ッ

プ と ポ ケ ッ ト内 洗浄 ニ ード ル （a ： 超 音 波 ス ケ ーラ ーチ ップ，

b ： 歯 周 プ ローブ ，c ： ポ ケ ッ ト内 洗 浄 ニ ー ドル ）

　  超 音波 ス ケ ーラー

チ ッ プ （Cavitrol 書 30001nsert

TFI −10，　 Dentsply ）

　 こ の チ ッ プ は ，鎌形 で 先端 に い くに っ れ 細 くな り，根

面 に チ ッ プ 側 面 を 接触 さ せ て 使 用 す る よ う 考案 さ れ て い

る．

　   ポ ケ ッ ト 内洗 浄 ニ ー ドル （ク リー

ン ウ ォ ッ シ ン グ

ニ ー ドル （25G），藤沢薬 品 ）

　 こ の 洗浄 ニ ード ル は，直径が 0 ．5mm の 円筒 形 で 先端

が 閉 鎖さ れ て お り，先 端 か ら 1mm と 2mm に あ る側孔

か らの 乱水流 が ，緩 や か に 歯周 組織 に 作用 を 及 ぼ す．

　 2 ．器材 先端 の 到達度 の 評価

　被験者に 九州歯科大学付属病 院保 存科 を受診 し，成人

性 歯周 炎 と 診 断 さ れ た 者 7 名 を 選 択 し た ．被 験 歯 は，

3mm 以 L の ポ ケ ッ ト を有 す る歯 80 本 ，109部位 を 選 択

し，1 歯 に っ き 6 点 の Probing　Pocket 　Depth （PPD ）計

測 を 行 っ た ．各 ポ ケ ッ ト に 対応 す る 部位 に ，そ れ ぞ れ の

洗浄 器材 を 可及的 に 歯軸 と 平行 に 挿入 し，そ の 距離 を 記

録 し た．

　 挿入距離測定 に は，各洗浄器 材 を改 良 し，ポ ケ ッ ト測

定 に使用 した プ ローブ と 同様 に 基 準線 を っ け た も の を使

用 し た （図 1）．評価方法 は ， 器 材 先端挿 入部位 に 対応 し

て い る ポ ケ ッ ト の 深 さ に 応 じて 3，4，5，6，7mm の 5

グ ル ープ に 分け ， そ れ ぞ れ の 到達 距 離 の PPD に 対 す る

パ ーセ ン タ イ ル を 到達度 と し た ．

　 3 ．器材 の プ ラ ーク 除 去効果

　 プ ラー

ク除去判定の た め に ア ク IJ ル 板 の 作業模型 を作

製 し た． こ の 作業模型表 面 を，歯面研 磨 用 ペ ース ト （ネ

オ ポ リ ッ シ ン グ ペ ース ト

ij’X”研磨用一仕 hげ研 磨 用，ネ

オ ） を 用 い て ，歯根表 面 の 性状 に 類似 し た 粗造 な面 に 形

成 し た ．作 製 し た 作業模型 に 岸 ら （1988）ti）

の 方法 に よ

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一 844一

り 基 材 （LiquitexG”

，　 Bonny ） に 赤 色 染 色 剤 （Red

cetea ，　 Butler）お よ び 粘度調 整 剤 （フ エ キ 糊，不易） を

調合 した 人工 プ ラー

ク を塗布 した．人 工 プ ラー

ク を乾燥

さ せ ，そ の 後 10 秒間流水 ドで 保持 し た後，各洗浄器材を

用 い て 30 秒 問 プ ラー

ク の 除去 操作 を行 っ た ．そ の 後，作

業模 型 を完 全 に 乾燥 さ せ ， プ ラ ーク の 除去 率 を測定 し

た ．人 ］1プ ラーク の 除 去率 は，Anderson ら （1986）y〕

の

方法 を改良 し，実 体顕 微鏡 （× 10）下 で 作 業模型 上 の 5 ×

5mm の 測 定 範囲 に 1xlmm の ゲ ー ジ を 合 わ せ ，プ

ラー

ク が わ ずか で も存在 す る箇所 を カ ウ ン ト した． 1 っ

の サ ン プ ル に つ き 任 意 に 10 ヶ 所 測定 を 行 い ，同様 な 操

作 を繰 り返 し 10 サ ン プ ル の カ ウ ン ト を行 った．

　 11． ポ ケ ッ ト 内洗浄実験

　 1．被験者 お よ び 被験 歯

　 九州 歯科大 学付属 病院保 存科 を受 診 し，成 人性 歯周病

と 診断 さ れ た 患 者 7 名 （男性 4 名，女性 3 名，平 均年 齢

55 ．3 歳） を被験者 と した．

　全身的 に 重 篤な疾患 を 有さ ず，実験開始以 前 6 か 月 以

内 に 抗牛 物質 の 投薬 を受 け て お らず，過去 に 歯周治 療 を

受 けた こ とが な い プ ラー

ク コ ン ト ロー

ル と モ チ ベ ーシ ョ

ン に 協力 し た 患者 の み を 選 択 し た．

　 被験 歯 は，根分 岐部 や唾液 混入 に よ る 検 査項 目 へ の 影

響 を 考慮 し，上 下 顎単根歯 を 用 い た．実験 の 開始 に 先

立 っ て ，研究 の 内容 並 び に 予想 され る 効果，副作 用等 に

つ い て 被験 者 に 対 し て 十分 に 説 明 を行 い 同意 を 得 た．

　 2 ．実験 方 法 と 器 材設定

　 実験 は 次 の タ イ ム ス ケ ジ ュール に 従 っ て 行 っ た． ベ ー

ス ラ イ ン 時 よ り さ か の ぼ っ て 1 〜 3 週 間 と，実験期 間 中

を通 して 凵 腔衛 生指導 を行 っ た． また， 1 週 間に 1 回 の

間 隔で 各洗 浄法を 施行 し，臨床 パ ラ メーター

の 計測 お よ

び細 菌 の 検 体採 取 を 0 週 目と 4 週 目 に 行 っ た ，

　上 ド顎 前歯部 を 4 ブ ロ ッ ク に 分 け，全 被 験 者 の 右 側 上

顎 3 歯 を超 音 波 ス ケ ーラー

チ ッ プ に よ る 擦過 洗浄群 （以

下擦 過 洗 浄群 ），左 側上 顎 3 歯 を シ リ ン ジ に ポ ケ ッ ト内

洗浄 ニ ード ル を 用 い た 水洗浄 群 （以 ド洗浄 一水 群）， ま

た，左 側下 顎 3 歯を シ リ ン ジ に ポ ケ ッ ト内洗 浄 ニー

ドル

を 用 い た ア ク リ ノール

e液洗浄群 （以 下 洗 浄

一薬液 群 ）

お よ び石 側 下 顎 3 歯を 口 腔 衛 生 指 導 の み 行 っ た コ ン ト

ロール 群 （以 下 コ ン ト ロ

ール 群 ） と し た ，（図 2）

　洗 浄 は， 2 種 の 洗浄器 材 を用 い て ，同一一

術 者 が 1 歯 に

っ き 30 秒 間 の 時 間設 定 を行 い 施行 した．

　各器材 の 使 用 方法 に つ い て ，以 トに 示 す．

　超音 波 ス ケー

ラー

に イ ン サー

ト TFI − 10型 チ ッ プを使

用 し Power を 最小 に 設定 し て ， チ ッ プ 先端 が 可及 的 に

九州歯会誌 　第 51 巻第 6 号　1997

図 2　 各術式 の 施行 部 位

歯肉を傷 っ け る こ と が な い よ う に 歯軸方向に’断 亅

：

な ス ト

ロー

ク で 歯根 表面 の 擦過 を行 うよ うに 洗 浄 を行 った ．

　一

方， シ リ ン ジ 法 は，デ ィ ス ポー

ザ ブ ル シ リ ン ジ に ボ

ケ ッ ト 内洗浄 ニー

ド ル を装 着 し， ニー

ドル の 先端 が 確実

に ポ ケ ッ ト底 に 到達 して い る こ とを確認 しな が ら，注意

深 く使 用 し た．ま た tシ リ ン ジ に か け る 圧 力 は 被験 者 が

不 快感 や痛 み を訴 え る こ とが な い よ うに 考慮 した，

　 3 ．診査

　 実験 の 0 週 R と 4 週 目 に ド記 の 診 査を，同一

術 者 に よ

り 行 っ た ．

　 〔1｝　PPD （Probing 　 Pocket　 Depth ）

　 歯周 プ ローブ （Willams

’Pocket 　 Probe ，　 Hu 　 Friedy ）

に よ り 1mm 単位 で ，1 歯 に っ き 6点 計測 を 行 った ．

　〔2｝ PAL （Probing　 Attachment 　Level）

　 セ メ ン トー

エ ナ メ ル 境 か ら ポ ケ ッ ト底 ま で の 距 離 を歯

周 プ ローブ に よ り 1mm 単位 で ，　 PPD と 同 様 1 歯 に っ

き 6 点計 測 を行 っ た ．

　（3〕　 GBI （Gingival　 Bleeding　 Index）

　高須 ら （1981 ）L°）

の 方法 に 基 づ き， ポ ケ ッ トか らの 出

in1を ，プ ロー ビ ン グ 時 に 10秒 以 内 に 認 め ら れ た も の を 1

と し，認 め ら れ な か っ た もの を 0 と して 測定 した ，

　 （4）　 GCF （Gingival　 Crevicular　 Fluid）

　歯頚 部 を滅 菌綿 球 で 清拭 し た 後，ペ リ オ ペ ーパ ーOを

ポ ケ ッ ト入 囗 に 5 秒 間放 i し，簡易型 歯肉溝 液量 測定 器

（Pc「iotronav，　 Harco ） に よ り測定 を行 い ペ リ ォ ト ロ ン

値 と し た． こ の 操作 を 3 回行 い ，平均値 を求 め 評価を

行 った．

　（5）　PCR （Plaque 　Control　Record ）

　 11腔 衛 生 状 態 の 評 価 を O ’Leary （1972）

IL’の 方 法 に 準

じて 行 っ た．

　 4 ．細菌 学 的評 価

　 （1） 形態 学 的計測

　  算定 方法

　簡 易防湿 を 行 い ，滅菌 ペ ーパ ーポ イ ン ト を 3 本 ず っ 連

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超音 波 ス ケー

ラー

の チ ッ プ に よ る 洗浄効果 （波多江 ） 845一

続 挿入 し，30 秒 間放 置 後 ， 歯 肉縁 トプ ラ ーク を採 取 し

た．直 ち に 生 理 食 塩水 2ml 中 に 浸漬 し，試料を 60 秒 間

vortcx 　 mixer に て 撹拌 し ， 均一

な菌懸濁 液 と し，位相

差 顕微鏡 を 用 い て 細菌数 を 算定 し た．

　 菌数 の 算 定法 は Listgarten ＆ Helldcn （1978）］2 ）の

方法 を用 い ，形 態学 的 に 球 菌，桿菌，運 動性 桿 菌， ス ピ

ロ ヘ ータ ー，そ の 他 の 菌 に 分 類 し，総 菌数 お よ び 総 菌数

に 占 め る運動性 微生物 （運動性桿菌 ＋ ス ピ ロ へ 一タ ー）

の 割合 を算定 し た．計測 は 1 検体 に つ き 2 回行 い ，平 均

値を求 め た．各被験部位か ら の 試料の 採取 お よ び顕微鏡

ドで の 計測 は，同一

術 者 が 行 っ た ．

　 （2） 細 菌酵 素活性法 に よ る 細菌検査

　   細菌 の 採取

　 歯周病 原菌 で あ る PorPhyromonous 　 g加 9勿0 ‘ゴS．　 Bac −

teroides 　forsythus，　 TrePonema 　denticotctが 産生 す る 酵

素 を 特 異的 に 検 出す る 歯周病原 菌検査薬 （ベ リ オ チ ェ ッ

クO，サ ン ス タ

ー） を 用 い て細菌学的検 査を行 った． 歯

肉縁 下プ ラー

ク の 採取 は，滅 繭 ペ ーパ ーポ イ ン トを 3 本

ず っ 連続 挿入 し，30 秒 間放置後歯肉縁 ドプ ラー

ク の 採 取

を 行 っ た ．あ らか じめ 通法 に 従 い 調製さ れ た 試薬 に t 採

取 さ れ た ペ ーパ ーポ イ ン トを投入後 ， 37 ℃ で 15 分間 反

応 さ せ た ． そ の 後 ，桜 井 ら （199DLa） の報告 に 基 づ き判

定用 基準色 調 を 用 い て 陰性 （一

），陽性 （ゆ ，強陽性 （十

＋ ）に 肉眼判定 した．色調判定 は同一

術 者 に よ り行 った．

　 5 ．統 計処 理

　 統計処 理 は，paired 　t−test ，カ イ ニ 乗 検定 を 用 い た ．

結　　 果

　 1 ．器材 の 特性 実験

　 1 ．器 材 先 端 の 到達度

　ク リー

ン ウ ォ ッ シ ン グ ニ ー ドル ・25G は． 今回 診査 を

行 っ た 歯 周 プ ロー ブ と 同 じ 直径 0．5mm の も の を用 い ，

ニ ー ドル の 先 端 が 確 実 に ポ ケ ッ ト底 に 到達 す る よ うに 注

意深 く使用 した ．

　キ ャ ビ ト ロ ン 

イ ン サ ー ト TF1 −1  型 チ ッ プ 先 端 の 場

合，PPD の 深度が 3，4，5，6，7mm で そ れ ぞれ の 到 達

距 離 は 1．77 ± 0，97mm ， 3 ．19 ± 1 ．33　mm ， 4 ・36 ±

1．56mm ，5．40 ± 1，73　mm で あ っ た ．こ れ を到 達 度 に

直す と，61 ± 33 ％ t81 ± 33 ％ ，88 ± 31 ％ ，77 ＝ 24 ％，

78± 25 ％ で あ っ た．（図 3）

　 2 ．プ ラーク の 除 去率

　 シ リ ン ジ に よ る 人 工 プ ラーク の 除去 率 は 31 ＝ 6 ％ ，超

音波 ス ケ ーラーチ ッ プ 先端 を使 用 し た 際 の 除 去率 は 78

± 4 ％ で あ っ た （p ＜ 0．01），

lOOI80t

　 　 60

　 　 40肅 　20

　 　 034　 　　　 5　　　 　 6

　　PPD （mm ）

図 3　超 自波 ス ケ ーラ ーチ ッ プ 先 端 の 到 達 度

7

　 H ．被験 者 に よ る t ケ ッ ト内洗 浄実 験

　 1 ．臨床 パ ラ メー

ター

の 変化

　  　 PPD

　そ れ ぞ れ の 術式 に よ る術 前，術 後 の PPD の 変化 を 初

診時 の ポ ケ ッ トの 深 さ に 応 じて 分 類 し た （図 4a，　 b

，　 c ）．

初診 時 PPD 　 l 〜 311m の グ ル ープ で は ．全 て の 術式で

統計学的有意差 は 認 め られ な か っ た．次 に ， 初診 時 PPD

4 〜 6mm の グ ル ープ で は， コ ン ト ロー

ル 群 を 除 く全 て

の 術式 で PPD の 減少 が 認 め ら れ た （p ＜ 0．OD ．初診 時

PPD 　7　mm 以 上 の グ ルー

プ で は，擦過 洗浄群 ，洗浄一＋ 水

群 （p ＜ 0，01），お よ び 洗 浄 ＋ 薬 液 群，コ ン ト ロール 群 （p

く 0．05） で PPD の 減少 が認 め られ た ． 各群間 に統計学

的有 意差 は 認 め ら れ な か っ た．

　  　PAL

　術 後 の PAL の 獲 得量 を 図 5 に 示 す．擦 過 洗浄群 で

027 ± 1．36mm ，洗 浄 十 水 群 で 0．18 ± 1．27　mm ，洗 浄

十 薬液群 で 0．31± 1．18　mm ， コ ン ト ロール 群 で は O．03

± LO8mm で あ っ た ．各 群 間 に 統 計 学 的有 意 差 は 認 め

ら れ な か っ た ．

　   　GBI

　 術前，術後の GBI の 変化 を図 6 に 示 す．両者を比較す

る と擦過 洗 浄 群，洗浄 ＋ 薬 液群 に お い て GBI の 減 少 が

認 め ら れ た （p ＜ 0 ．05）． し か し， 洗 浄 ＋ 水群， コ ン ト

ロー

ル 群 に お い て は，GBI の 減少 傾 向 が 認 め ら れ る もの

の ，統計学的 に 有意 差 を 認 め る こ と は で き な か っ た ．各

群 間 に 統 計学的に 有意差 は 認 め ら れ な か った ．

　   GCF （ペ リ オ ト ロ ン 値）

　 GCF 実測 値平均 の 術 前術 後 の 変化 を 図 7 に 示す．4≒

て の 群 で 統訓．学 的有意 差 は 認 め られ な か っ た．

　   　PCR の 経時的推移

　 実 験 期間 中来院時毎に PCR の 診査後 ，口 腔衛生 指導

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一 846一 九州歯会誌　第 51 巻第 6 号 　1997

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D 彪 　擦過洗浄 　　

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　0 ．5 01 擦 過洗 浄 　 洗浄＋

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洗 浄＋ 薬 液 コント ロ ール 図 5 　術 前 PPD に

す

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術

後

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洗浄 ＊ 洗浄 ＋水洗 浄＋薬液

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@ ユ　 擦 過 洗 浄

　 洗 浄 ＋水　洗 浄 ＋ 薬

　 コ ン ト ロー ル 図4 　 P

の 変 化 ■；術 前　　嬲 ：

後 a ：術前PPD 　 l 〜 3m

b；術前PPD　4 〜 6mmc ：

前 PPD 　7 　 mm 以

D ＊：pく 0 ．0

C＊

掌

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｡：術

　　

：術

п v8 160140120iO

8060L4020

擦 過 洗浄　洗 浄 ＋ 水

洗 浄 ＋ 薬液　 コ ン トロ ー ル図 7 　 GCF （ペ リ オト

ン値）の 変 化 ■ ：術前 　 　 嬲： 術 後 を 行 っ た ．その結果

べ 一ス ラ イ ン 時（0 週 日） に 平均 45 ， 3 ％で あっ た

R 値 が 実験終 亅 ’時 には 平 均 26 ．1 ％ に減少し

い た．また，2 週 Rと3週目お

び1 週日と4 週 日 でPC

ﾌ減 少が 認 めら れた （ p く 0 ．05 ）． 　 1 ． 　宗

菌 学 「 「 J 変イ 匕 　   細 菌形 態 計測に よる評価

総菌 数 の 変化 を 図 8 に 示 す ． 擦過 洗 浄 群， 洗 浄 ＋ 水 群

において総菌 数 の 減 少 が 認 めら れた（ p く 0 ． 05 ）． 　次 に

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超 音波 ス ケー

ラ ーの チ ッ プ に よ る 洗浄効果 （波多 江） 一 847一

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図 8

■ ： 術 前

1

擦過洗浄 　洗浄 ＋水 洗浄 ＋ 薬液 コ ントロール

　 　　 　　　 　　 　　 　　 　＊ ・p＜ 0．05

総 菌数 の 変化

　　　 嬲 ・ 術 後

蕊100

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G 　60L

霸、。1 「．

華剣〒

戯 彪、擦過洗浄　洗 浄 ＋ 水 洗浄 ＋ 薬液 コン トロール

　 　　 　　 　　 　　　 　　 　 ＊ ：p〈 0．05

図 9 　運 動性微生 物 の 総 菌 数 に 占 め る 割 合 の 変 化 （運 動性 桿 菌

1 ス ピ ロ へ 一夕一）

■ ： 術 前　　彰勿； 術 後

　 100

遣 80如

詞　 60s

掣 　40型

昇 　 20

　 　 0擦過洗浄　洗浄＋水 洗浄 ＋ 薬液　コ ントロー」レ

図 10　ペ リ オ チ 亠ッ クSC値 の 変 化 （各 群 ノ、：： 術 前 イf ： 術 後 ）

■ ： （＋ ＋ ） 贐 ： （＋） ％ ： （一

）

す ．擦過 洗浄群 で の み 減 少 が 認 め られ た （p ＜ 0．05），

　  細 菌酵 素活性測定 法 に よ る細菌検査

　ペ リ オ チ ェッ 〆 夢判定評 価 で ，術 式 問 お よ び各術式 の

術 前術 後 の 間 に 統 計学 的 有意 差 を 認 め る こ と は で き な

か 一・ た （図 10），

考 　 　察

　 歯周治 療 に お い て 重要 な 位置 を 占め る歯肉縁 上 プ ラー

ク コ ン ト ロー

ル の 影響 に っ い て は，様 々 な 報 告 が な さ れ

て き た．そ れ に よ る と， プ ラ ーク コ ン ト ロ ール の 励行 で

PPD が 減 少 した と い う Ccrcck ら （1983）］4〕

の 報 告 や，

ポ ケ ッ ト内細菌叢 に 変化が 生 じ た と い う佃 ら （1983）’5 ）

の 報 告，ま た 歯 肉縁 上 の プ ラ ーク コ ン ト ロ ール の み で

PAL の 獲 得 が 得 ら れ た と い う横 田 ら （1988）16〕

の 報 告

か ら．細 菌 レ ベ ル の 維持 は で き て も そ れ 以 上 の 効果 を 得

る こ と は で きな い と 言 う Lindhe ら （1985）IT，

の 報告 ま

で 賛否両 論 で あ る． しか し，歯周病 の 進行 に よ り組織 の

破壊 が 増 し， ポ ケ ッ トが 深 行す る に つ れ 歯 肉縁上 の プ

ラー

ク コ ン ト ロール の み で は 限 界 が あ る こ と が 明 白 と

な って い る1S．19）

．そ こ で 重 要 に な る の が 歯肉縁 下 の プ

ラー

ク コ ン ト ロール で あ る．歯肉縁 下 に は ，歯周 病 の 原

因 と さ れ る グ ラ ム 陰性 偏性嫌 気性 の 運 動性微生物が 優位

に 存在 す る2山．そ の た め，歯周ポ ケ ッ ト内 に 存在 す る 細

菌性 プ ラー

ク を ，ど れ だ け 効 率 よ く除 去 で き る か が 歯周

治療成 功 の 重要 な 指 慓 とな る’D． こ れ ま で に も歯肉縁 下

プ ラー

ク コ ン ト ロール 法 の 手段 と し て 様 々 な 器材 や 薬剤

が 使用 さ れ て きた ．な か で も， シ リ ン ジ に よ る ポ ケ ッ ト

内洗 浄法 は 有 効 で あ る と い う報告ZZ’　L／1）

が な さ れ い る ． シ

リ ン ジ 法 で は，ほ ぼ 100％ に 近 い ポ ケ ッ ト 内到達 度 が 得

られ るた め，従 来 か ら頻繁 に用 い られ て きた ． しか し，

実 際 に は デ リケ ート な 操 作性 を 必 要 と す る 場合 もあ る．

そ こ で 今 回，我 々 は 歯周 治療 を行 う に あ た 一・ て ， 頻繁 に

歯石除去 の 手段 と し て 使用 さ れ て い る 超 音波 ス ケー

ラー

の ポ ケ ッ ト 内洗浄 の 効果 に っ い て 検討 を行 っ た ．

　今回使 用 した超 音波 ス ケ ーラーは， 日 常的に 根面 の ス

ケ ーリ ン グ を 日的 と し て 使 用 さ れ て い る ．通常 歯 石除 去

に 用 い る 場 合，Power を最大か ら最小の 範囲 内 で 設 定

し，超音波周波数 30KHz の 振動 の 強 さ （出力） を調整

して 用 い る．今回 は，超 音波 に よ る歯石除去を 期待 し な

い た め Power を最小 に 設定 し，超 音波 ス ケー

ラー

特 有

の 不快感 を 最少 に して ，根 面 の 歯 イ」 除去効 果 で は な く ，

根 面 や歯 石表面 の プ ラーク の 擦過 に よ る ポ ケ ッ ト 内洗浄

を 試 み た．Power 最小 時，わ ず か に 電 流 が 流 れ て い る状

態 で は，微 量な振幅が 生 じ て い る．しか し，こ の 運動 は，

歯石を 除 去す る に は ほ と ん ど 効果 を示 さ な い ．

　 ポ ケ ッ ト 内洗浄 の 効果 に 影響を 与え る因子 は ， 器材先

端 の ボ ケ ン ト 内到達 度 と 洗浄器材 の プ ラー

ク 除去効 果 で

あ る と 考 え ら れ る．今回使 用 した ポ ケ ッ ト内洗浄 ニ ード

ル は，直径 0，5mm で 歯周 プ ローブ と 形態 が．

致 し て お

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一 848一

り確実な ポ ケ ッ ト底到達 が 得 ら れ た ．そ れ に対 して，超

盲波 ス ケー

ラーチ ッ プ の 到達度 は ，様 々 に 変化 し た ． こ

れ は，チ ッ プ 先端 の 形態 が 洗浄 ニ ー ドル に 比 べ 太 く，ま

た テーパ が 付与 さ れ て い る た め で あ ろ う と 考え ら れ る．

特 に ，PPD が 3rnTn の 部 位 で は 到達 度 が最 も低 くな っ

て い た． こ れ は 歯肉 が ほ ぼ 健康 な部位 で あ り，歯肉 自体

が 引 き締 ま っ て い る た め，

チ ッ プ 先 端 の 挿 入 が 困 難 に

な っ た た め で あ ろ うと思 わ れ る．ま た，PPD が 4mm ，

5mrn の 部 位 で 到 達 度 は 増 して い る が ，6mm 以 上 の

PPD で は 4mm ，5mm の PPD と 比 較す る と到 達 度 は

減 少 す る 傾向 が 認 め られ た ．つ ま り，ポ ケ ッ ト内到達 度

は ポ ケ ッ トの 深 度 に 影響 さ れ る と い う こ とが 分 か った ．

　今回，被験者 を 用 い た ポ ケ ッ ト 内洗浄実験 に 先 、

’1．ち，

超 音波 ス ケー

ラーチ ッ

プ ，ポ ケ ッ ト内洗浄 ニ ードル に よ

る 人 工 プ ラー

ク の 除 去率 を 模 型 実験 に よ り 比較 し た ．そ

れ に よ る と， ポ ケ ッ ト 内洗 浄 ニー

ド ル に よ る 除 去 率 は

31 ％ ，超 昌．波 ス ケ

ーラーチ ッ プ で は 78 ％ で あ 一

♪ た ．　 こ

の よ う に ，両 者 に 有 意 な 差 が 認 め ら れ た 理 由 と して ，

ニ ー ド ル 先 端 は 直 径 0、5mm と細 く ア ク リ ル 板 と の 接

触 面積 が 狭 い た め ，柵 状 に プ ラーク が 残存 した こ と に よ

る と考 え らる．そ れ に対 し ， 超音波 ス ケーラ ーチ ッ プ で

プ ラーク 除去 効果 が 高 か っ た の は，接触面積 が広 く，わ

ず か な 振動 を 有 し て い た た め で あ る と 考 え られ る．

　 こ れ まで ポ ケ ッ ト内洗浄 に よ る様 々 な 研究 に よ り歯周

組 織 の 改 善 が 生 じ る こ と が 報告 さ れ て き t：　LU，

　！ID，　 Mac

Alpine ら （1985）24 ，は，生 理 食塩水 に よ る 8 週 間 の 洗浄

で 7，4mm の PPD が 5．2TTIrn に な り，薬剤 を使 え ば さ

ら に ポ ケ ッ トは 減少す る と 述 べ て い る．ま た，萩 原 ら

　（1988）e5〕

に よ れ ば ，滅 菌蒸留水 に よ る 加 温 式脈 動 性

ジ ェ ッ ト水 流 装置 で の 1 週 間 の 洗 浄 で PPD が 6 ．7mm

か ら 5 ．2mm に 減少 し た と報告 し て い る、ま た，超 肖．波

を 用 い た 洗 浄実験 もい くっ か 報告，t’G’　2T）

さ れ て お り，や は

り歯周組 織 の 改 善 が 生 じ た と 述 べ られ て い るが ， こ れ ら

の 実 験 で は 超 音波 洗浄 装 置 の Power 設定 が 本 研究 と異

な っ て お り，通 常 の ス ケ ー IJ ン グ効 果 も含 ま れ て い る．

ま た 前述 の 報 告 は す べ て 実 験期 間，洗浄周 期 お よ び使用

器材 や被験歯 の 選択 な ど ま ち ま ち で ，今回 の ，歯 肉縁 F

プ ラーク の 除 去 に 重 点 を 置 い た我 々 の 研 究 と単純 に 比 較

す る こ と は で き な い ．

　 今同 の 実 験 は術前 と術後の PPD の 反 応性 を，横 田 ら

　（1985）2B ｝の 報 告 に 基 づ き，初 診 時の ポ ケ ッ トの 深 さ に

よ っ て 分析 した．

　 こ の 結果 と実験 1 の 結果 と を 照 ら し合わ せ て み る と，

超 音波 ス ケー

ラーチ ッ プ 先端 の 到達 度 は 6mm 以 上 の

九州 歯会誌　第 51 巻第 6 号　 1997

PPD で 減少 し て い る の に 対 し，　 PPD の 減 少 は 7mm 以

上 の 部 位 で も生 じ て い る．っ ま り，超 音 波 ス ケー

ラー

チ ッ プ に 関 し て 言 え ば ，先 端 の 到 達 度 よ り 単位時間 当 た

りの プ ラーク除去率 の 影響 が現 れ た と 詩 え る で あ ろ う．

ま た，確実 に ポ ケ ッ ト底 に 到 達 し て い る洗 浄 ニー

ド ル と

同等 な 効果が 得 ら れ た こ とを考慮 す る と，超音波 ス ケ ー

ラ ーチ ッ プ 先端到達 度 に 関 し て は 劣 っ て は い る が ，そ の

大 ま か な操作に よ る プ ラー

ク除 去 で も治 療効果 が あ る 可

能性 が 示 さ れ た ．

　 ま た ， 重 度 の ポ ケ ッ ト で は コ ン ト ロール 群 で さ え

PPD の 有意 な 減少 が 認 あ られ た こ と か ら考察す る と，

歯肉縁 ヒプ ラ ーク コ ン ト ロール の み で も炎 症 の 消退 に よ

る 歯 肉の 退縮が 生 じて お り，こ れ は 歯肉縁 上プ ラーク コ

ン ト ロー

ル の 重 要性 を 支持す る報告L”−16〕

と一

致 す る 結果

で あ っ た．

　 ま た ，全 て の 術式 に お い て PAL の わず か な 獲得 が 得

ら れ た．特 に 擦過 洗浄群 ，洗浄・薬液群 で は、以 前 の 洗

浄 単独 の 実験？f”　’n）

と 比 較す る と，同等 もし く は そ れ 以 上

の 効 果 を示 し て い る．GCF に っ い て は 各術 式 間 に 有 意

差は 認 め ら れ ず減少傾 向 の み示 さ れ た ．こ れ は ，GCF の

測定 は 通 法 に 従 い 各群 の 最 深 ポ ケ ッ トで 行 っ た が，ペ リ

オ ペ ーパ ーの 到達距 離 に 影響 を 受 け た 可能性が う か が え

る ．ま た ，擦過 洗序群 で は GBI 減少 に 術 前，術後 間 で 有

意 差 が 認 め られ た が ，洗 浄 1 水群 で は 認 め ら れ な か っ

た． こ れ は．器材 に よ る 効果 の 違 い が 明確で ，明 らか に

根面の 擦過 に よ る プ ラーク 除去効 果 が 影響 して い る もの

と思 わ れ る．ま た 洗 浄 ＋ 薬液群 で は ア ク リ ノ ール・R

の 薬

効 が 影響 を 及 ぼ して い る と 考 え られ る． しか し，実験 終

∫後 の GBI の 残 存 は，実験 期 間 が 短 期 間 で あ っ た こ と

と ，歯 石 の 残存 に よ る もの で あ ろ う と 推測 さ れ る．今回

の 実験で は，歯根表 面 お よ び 歯 イi表面 の プ ラ ーク を itJ 及

的 に 除 去す る こ と が 目的で あ り，根 面 の ス ケ ーリ ン グ効

果を全 く意 図 し て お らず ，そ の 結果，歯 イiの 残 存 が 生 じ

GBI 減少 に 限界が あ っ た の で あ ろ う と 推察 さ れ る．以 前

の 報 Z−31．3L’1で も洗浄 単独 で は GBI の 減少 に 限 界 が あ る こ

と が 示 さ れ て い る．

　 本来， GBI や GCF は， ポ ケ ッ ト上 皮 卜．の 炎症性細 胞

の 浸潤に よ る血 管浸透 圧 の 兀進 に よ り 生 じ る．す な わ ち

GBI や GCF の 減少 は，炎症 の 消退 を表 す指標 で あ る と

い っ て 良 い ．ま た ，PPD や PAL が 過 去に 生 じ た 炎症 に

よ る 組 織 破 壊 の 程度 を示 し て い る の に 対 し，GBI や

GCF は 現 時点 で の 炎症 の 存在を示 して い る． した が っ

て ，短 期間 の 治療 に よ る 歯周 組織 の 改善 を 示 す 指標 と し

て の PPD や PAL に は 大 きな変化を捉 え る こ と は 困 難

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超 音波 ス ケー

ラー

の チ ッ プ に よ る 洗浄 効果 （波多 江）一一849−一

で あ る． しか し，今回 の 結果 で は，擦 過洗 浄群 と洗 浄 ＋

薬液 群 に 著 明 な GBI 減 少 が 認 め ら れ た こ と は，　 PPD ，

PAL の 改善傾 向 と一

致 して い た．

　従来，歯周 ポ ケ ッ ト内 の 細 菌叢 の 変化 は，歯周組織 の

改善 に 大 き な 影 響 を及 ぼ す と い われ て い る． Listgarten

と Levin ら （1981）33 ｝

は 歯 周 ポ ケ ッ ト 内 の ス ピ ロ へ一

夕 一と運 動性 桿菌 の 和 が 占 め る 割 合 を 調 べ る こ と で 歯周

病 に対す る 感受 性 を探 知 で き，歯周疾 患 の 進 行 を知 る上

で 重要 で あ る と指摘 して い る．今回，擦 過 洗 浄群 で は著

し く運 動 性微 生物 の 総 菌 数 に 対 す る 割 合 が 減 少 して い

る． こ れ は．超 音波 ス ケ ーラ ーの チ ッ プ に よ る 細 菌性 プ

ラー

ク の 物理 的擦過効 果 の 現 わ れ で あ り，歯 周 ポ ケ ッ ト

内の 環境改善 に 角’効 で あ る こ とが示 され た、また，術 前

の 総 菌数 お よ び 運 動性 微 生物 の 割 合が 以 前 の 報告3”’3b）

に

比 べ 少 な い が，こ れ は 実験 に 先 、kち 1 〜 3 週 間行 われ た

口 腔衛 生 指導 の 影響 で あ る と 思 わ れ る．

　術式 間 の 比 較 で ，擦過洗 浄群，洗浄 ＋ 薬 液群 で 他 の 2

群と 比 較 して 著明な歯周組織改善 効果を示 して い る．各

器材 の プ ラー

ク 除去 を 行 う際 の 使 用感 に っ い て は，人間

工 学 的 な面か らの ア プ ロー

チ が必 要 で あ る と思 わ れ る

が ，今回 の 研 究 で 使川 し た 超音波 ス ケ ーラーは，日 常 的

に ス ケー

リ ン グ用器材 と して 頻繁 に 用 い られ て お り，熟

練 を 要 し な い 点 で 簡 便 で あ る．ま た ，洗 浄 時 間 を 全 て の

術式 で 統一

して お り，洗浄 ＋ 水群 と 比較 す る と効 果 が 著

し く異な る こ とか ら， 先端到達 度 の 点 で は劣 っ て い る

が，単 位時 間 に 対 す る擦過 洗浄効 果 は高 か った と思 われ

る．ま た ，本体 の Power を最小に 設 定 す る こ とで 感染物

の 口 腔 内 へ の 噴霧 を ISh　ll　’．で き，超音 波 ス ケ ーラー

特有 の

不快 感 や 疼痛 を与 え る こ とが な い ． こ れ に 対 して ，洗浄

に 用 い た 洗 浄 ニ ード ル は 超 音波 ス ケ ー

ラー

に 比 較 す る と

実 際に ポ ケ ッ ト 底 まで 到達 さ せ よ う と す る と，多少繊細

な操作が要求 さ れ る．ま た ，プ ラーク除去効果を期待 し

水圧 を上 界させた場 合，疼痛発 生 の 危険性 も否定 で きな

い 噛

　 本研究 に よ り，総合 的 に み る と 短 期間 の 超 音波 ス ケー

ラ ーの チ ッ プ に よ る 擦 過洗浄 は， シ リ ン ジ に よ る 洗 浄効

果 に 匹敵 す る も の で あ り，歯 周治療 に お い て 臨床使 用 に

有利で あ る可能 性が示 さ れ た．

結　　論

　被験者 に 中等度か ら 重度 の 成人性歯周炎罹患患者を 用

い て ，超音波 ス ケー

ラー

チ ッ プ を ポ ケ ッ ト内洗浄 に 応用

し，以 前よ り頻繁に ポ ケ ッ ト内洗浄 に 用 い られ て きた シ

リ ン ジ 法 と比 較 して ，そ の 有効性 を 調 べ る 実験 を行 な っ

た．そ して，以下 の 結 論 を得 た．

　 1．洗浄単独 の 治療 で ポ ケ ッ トが 減少す る 卩∫能性 が 示

され た ．

　 2 ．歯肉縁 上 プ ラーク コ ン ト ロ

ール は 深 い ポ ケ ッ トの

減少 に 効果 を及 ぼ す こ と が 示 さ れ た．

　 3 ，擦過 洗浄群，洗浄一

薬液 群 で 術 前 に 対 す る 術後 の

GBI の 減 少 に 統計学的 有意差 が 認 め られ た．す な わ ち，

こ の 2 っ の 術 式 は炎 症 減 少 効 果 が あ る こ と が 示 唆 され

た．

　 4 ．擦過 洗浄群 に お い て ，運 動性微生 物 （運 動性桿 菌

t ス ピ ロ ヘ ーター） の 総 菌数 に 対す る割 合，お よ び総 菌

数 は 減少 し，ポ ケ ッ ト 内細 菌叢 に 変化 を 及 ぼ す こ と が 小

唆 され た，

　稿 を終 わ る に あた り，終 始 ご 懇篤 な る 御指導 と御校 閲

を 賜 り ま し た 恩 師 横田 誠 教 授 に 深 甚 な る 謝 意 を 捧 げ ま

す．ま た， こ の 研 究 に 対 し終始 懇切 な る御教示 ，御助 力

を賜 っ た 歯科保存学教室第 2 講座 の 諸 兄 に 厚 く御礼 申 し

ヒげ ま す．

引用文 献

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