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Page 1: SoCを構成するCPUコアTX System RISC¼ˆEJTAG) TLB 浮動小数点˜ ユニット SysADバスインタフェース 図5.TMPR4955Cのブロック図-最大動作周波数は400MHz,パッケージはQFP160である。Block

18 東芝レビューVol.58No.5(2003)

SoCを構成するCPUコア TX System RISCEmbedded TX System RISC Processor Core for System-on-Chip (SoC)

SPECIAL REPORTS

ドライバ�OS

アプリケーション ソフトウェア

アプリケーション ソフトウェア

アプリケーション

ソフトウェア

アプリケーション

ソフトウェア

MeP

TV

プリンタ,PPC

PDA,DVC,DSC

PPC�:普通紙複写機� PDA�:携帯情報端末� TV� :テレビ�QTAT�:短納期� STB�:セットトップボックス� eDRAM�:混載DRAM

eDRAM

IPコア�

TX RISC�SoC

アナログ

ミドルウェア�

QTAT設計�先端プロセス�

低消費電力 技術

車載情報機器

ゲーム機

インテリジェント 家電

STB

eDRAM SRAM

TX99�コア ロジック�

アナログ

アプリケーション�ソフトウェア�

東芝汎用RISC�と�

顧客カスタムSoC

図1.TX System RISCが作るSoCの世界-先端技術,IP群を駆使して作られたSoCが,OS,ミドルウェアなどのソフトウェアとともにシステムを実現する。

SoC world created by TX system RISC

関口  浩■SEKIGUCHI Hiroshi

三谷  了■MITANI Ryo

中村 雅人■NAKAMURA Masato

東芝は, 従来からRISC(縮小命令セットコンピュータ)アーキテクチャとしてMIPS(注1)を採用し,1995年から32/64ビット組込みプロセッサコアとして,TX19,TX39,TX49,TX79を市場に投入してきた。更に,上位のTX99を開発中である。これらは,SoC(System on Chip)の設計技術であるASIC(Application Specific IC)手法の IP(Intellectual Property)として整備され,当社汎用プロセッサあるいは顧客向けカスタムSoCとして多くの応用分野で使用されている。これらのプロセッサは,40MHz帯から1 GHz帯までをカバーし,命令体系は上位互換である。更に,近年,MeP(Media embedded Processor)などのデジタル音声画像処理プロセッサなどと補完的に使われ,多くのマルチメディアLSIのシステムコントローラとして,中心的な役割を果そうとしている。

Toshiba has launched the TX19, TX39, TX49, and TX79 series 32/64-bit processor family on the market since 1995 employing MISP-based reduced instruction set computer (RISC) architecture. We are also currently developing the TX99 high-end processor. Theseprocessors are available as intellectual property for application-specific IC (ASIC) design methodology and are implemented in Toshibastandard processors or customized system-on-chips (SoCs). Their speeds cover the range from 40 MHz to 1 GHz with instruction setupward compatibility.

Recently, these processors have been used for digital audio/video processing functions in devices such as the media embeddedprocessor (MeP) in a single chip, providing system control functions for various multimedia LSIs.

近年,モバイル機器に見られるシステムの小型化や低消

費電力の要求と,ネットワークやデジタル情報家電に代表さ

れる処理能力の高速化の要求に伴い,SoCの需要が高まっ

ている。このSoCは,機器の小型化,低消費電力化,高速

処理化などの異なる要求特性を応用機器ごとに最適化すべ

く,必要な機能と特性を一つのLSIに集約したもので,プロ

セッサと機能ブロックから成る。これらのプロセッサや機能

ブロックの多くは,業界標準のスペックを満たすものが使わ

れ,多くの異なるSoCで再利用できるIPの形態に整備され

ている。

また,SoCは,プロセッサや機能ブロックなどのハードウェ

アのみならず,それらのハードウェアを制御するためのソフ

トウェアや,ソフトウェア開発環境,更にはSoC搭載システム

開発のための開発環境の提供が必須である。

東芝は,このSoCのプロセッサとして,MIPSアーキテクチャ

を採用し,TX RISCプロセッサを95年以来市場に投入して

きた。以下に,当社のTX RISCコアと汎用プロセッサの特

長,及び狙うマーケットについて述べる。

TX System RISCは,ASIC設計手法のIPとして用意され,

SoCにおけるシステムコントローラとして使用される(図1)。

まえがき1 SoCに向けたTX System RISCのコンセプト2

(注1) MIPSは,MIPS Technologies, Inc. の商標。

Page 2: SoCを構成するCPUコアTX System RISC¼ˆEJTAG) TLB 浮動小数点˜ ユニット SysADバスインタフェース 図5.TMPR4955Cのブロック図-最大動作周波数は400MHz,パッケージはQFP160である。Block

SoCは,プロセッサを中心に,ダイレクトメモリアクセスコン

トローラ(DMA),割込みコントローラなどのプロセッサと密

に結合した専用機能ブロック,PCI(Peripheral Component

Interconnect)コントローラやEthernet(注2)コントローラなど

の拡張インタフェース及び通信用機能ブロック,更には,

MPEG-2(Moving Picture Experts Group-phase 2)/MPEG-4

やMP3(MPEG-1 Audio Layer 3)/WMA(Windows

MediaTM(注3)Audio)などのデジタル音声画像圧縮伸長ブロ

ックなどから,その分野に必要な機能を選び,一つにした

LSIである。多くは,当社の汎用製品として市場に投入され

るが,あるものは,顧客のカスタム製品として,その顧客特有

の機能ブロックをも入れたカスタム特有のLSIになることも

ある。これらのハードウェアを動作させるためのオペレーテ

ィングシステム(OS),デバイスドライバを用意し,分野によっ

ては,ミドルウェアやアプリケーションソフトウェアも当社が

提供している。また,システムの開発を支援するコンパイラ,

デバッガ,評価ボードなども提供している。

TX System RISCは,米国のMIPS社(MIPS Technologies,

Inc.)との契約により導入したMIPSアーキテクチャ採用の当

社オリジナルプロセッサである。低消費電力重視の32ビット

コアから,パフォーマンス重視の64ビットコア,更には64ビット

スーパースケーラアーキテクチャまで,シームレスなコアを

提供する(図2)。

19SoCを構成するCPUコア TX System RISC

また,これらのコアは,プロセスのデザインルールの各世

代において開発されており,ワンチップ化に必要なIPと同一

プロセスのコアを選択することができる。

TX System RISCにはTX19,TX39,TX49,TX79のコ

アがラインアップされており,当社は,これらのコアを組み込

んだ多くのRISCプロセッサを開発してきた。また,これ以外

に,最上位コアであるTX99コアも開発中である。

4.1 TX19ファミリー

TX19は,MIPS社の32ビットR3000ATM(注4)をベースとして

当社が開発したTX39プロセッサに,高コード効率の拡張命

令セットであるMIPS社のMIPS16TM(注5)ASE(Application

Specific Extension)を追加して,当社で独自開発した高性能

な32ビットRISCプロセッサである。

32ビットRISCコアでありながら,命令セットの一部を

16ビットに圧縮することにより,命令コードサイズを大幅に削

減できる。これはアプリケーションソフトウエアをチップに内

蔵したROMのみに格納させ,部品点数を減らしてモバイル

機器などに有効とするためである。

また,当社のCISC(複合命令セットコンピュータ)系マイコ

ンに内蔵したタイマ,DMA,AD(Analog to Digital)コンバ

ータなど各種周辺機能と同一のIPを多く内蔵させることで,

16/32ビットCISC製品からのアップグレードを容易にする。

また,割込みの応答性を高速化し,リアルタイム制御が必要

99H5量産中

開発中

計画中 99H4

79H3

79H2

49H5

49H4

49H3

49L3 49L4

39H70 MHz

167 MHz

200 MHz300 MHz

600-800 MHz

1 GHz

200-266 MHz300-333 MHz

350-400 MHz

200 MHz300 MHz

500 MHz

0.35μm 0.25μm 0.18μm 0.13μm 90 nm 65 nm

39H3

1940 MHz

133 MHz 133 MHz60 MHz

19 19A

処理性能

39H2

19A19A

49H 49H2

64ビット�スーパースケーラ�

64ビット�

32ビット�

プロセス

図2.TX System RISCコアのロードマップ- 32ビット,64ビット,64ビットスーパースケーラのコアを,0.35μmから65 nmまでの各プロセス世代において提供していく。

TX system RISC core roadmap

TX System RISCのコアラインアップ3

(注2) Ethernetは,富士ゼロックス(株)の商標。(注3) Windows Mediaは,米国Microsoft Corporationの米国及びそ

の他の国における商標。

各ファミリーの概要4

(注4),(注5) R3000A,MIPS16は,MIPS Technologies, Inc. の商標。

Page 3: SoCを構成するCPUコアTX System RISC¼ˆEJTAG) TLB 浮動小数点˜ ユニット SysADバスインタフェース 図5.TMPR4955Cのブロック図-最大動作周波数は400MHz,パッケージはQFP160である。Block

20 東芝レビューVol.58No.5(2003)

となるエンベデッドシステム向けに最適化されたプロセッサ

コアである。デジタルビデオカメラ(DVC),デジタルスチー

ルカメラ(DSC),カーオーディオ,家電製品からデジタル情報

家電,車載関連まで幅広く応用される。

TX19ファミリーには,当初開発されたTX19コアのほか

に,コード効率と割込み応答性を更に高めたTX19Aコアが

ある。

TX19ファミリーの汎用製品のロードマップを図3に示す。

各種アプリケーションソフトウェアに応じて,CAN(Control

Area Network)内蔵,モータ制御回路内蔵,タイマ本数増加,

内蔵ROM/RAM容量増加などのバリエーションがある。汎

用製品の一例として,TMP1962のブロック図を図4に示す。

TMP1941�ROM less�QFP100�

TMP19Axx�CAN, SEI

TX19xx�CAN,SEI�

TMP19Axx�Standard

TMP19xx�Standard

TMP19Axx

TMP19Axx�Standard

TX19Axx�CAN, SEI

TMP19Axx�Motor�

Control

TMP1962�Standard�CSP281TMP1940�

Standard�QFP100

TMP1942�Standard�QFP144�CSP177

TMP1920�Standard�QFP144

TC90600

TC94A33

TMP19Axx�CAN, SEI

TX19A

・モータインバータ

・DVDプレーヤ ・DVDドライブユニット

・DVC

・モータ制御  マクロ

・DSC ・カメラ

・CAN�・SEI, I2C, I2S

・Low Voltage�・Low Power

・Low end

・タイマ強化�・高速ADC�・DAC

・カーオーディオ ・エアバック

TX19

QFP�:Quad Flat Package   CSP:Chip Size Package�SEI�:Serial Expansion Interface

・大容量メモリ ・高機能タイマ

図3.TX19ファミリー製品のロードマップ-TMP1940を皮切りに,多彩な内蔵機能のバリエーションを持って進化している。

TX19 family products roadmap

��ビットインプットキャプチャ ���

��ビットアウトプットコンペア ���

��:��� �� � ���� �� �� ��� :� ���� ����� ������� :����� �� ������� �� :チャネル���:パルス幅変調 �� :全二重非同期通信

割込みコントローラ

��コントローラ���

�ビット���タイマ!���

!"ビットタイマ#��

�� $���%��

��&バス !��

クロックジェネレータ

ウォッチドッグタイマ

クロックタイマ

キーオンウェイクアップ !#本

!'ビット�コンバータ �#��

(!)コアデバッグサポートユニット

���又は

フラッシュ !�バイト

��#' *バイト

図4.TMP1962のブロック図-最大動作周波数は40.5MHz,消費電力は60mW(40.5 MHz動作時),パッケージはFBGA281(13 mm×13 mm)である。業界最大の容量である1 MバイトROMを内蔵している。

Block diagram of TMP1962

TLB� :Transfer Look-aside Buffer�EJTAG�:Enhanced JTAG (Joint Test Action Group)�

TX49/H4 コア CPU

命令キャッシュ�32 Kバイト

データキャッシュ�32 Kバイト

デバッグモジュール�(EJTAG)

TLB 浮動小数点�ユニット

SysADバスインタフェース

図5.TMPR4955Cのブロック図-最大動作周波数は400 MHz,パッケージはQFP160である。

Block diagram of TMPR4955C

4.2 TX39ファミリー

TX39は,R3000ATMをベースに当社が開発したオリジナ

ルプロセッサであり,TX System RISCの中でもっとも歴史

のあるコアである。5段のシングルパイプライン動作のコア

で,整数演算器と命令一次キャッシュ,命令データキャッシュ

を持つ。携帯機器,カーナビゲーション,普及版SOHO

(Small Office Home Office)ルータなどに採用されている。

4.3 TX49ファミリー

TX49は,64ビットアーキテクチャであるMIPS3TM(注6)を

ベースに当社が開発したオリジナルプロセッサである。5段

のシングルパイプライン,整数演算器,浮動小数点演算器,命

令一次キャッシュ,命令データキャッシュを持ち,動作周波

(注6),(注7) MIPS3,MIPS4は,MIPS Technologies, Inc. の商標。

Page 4: SoCを構成するCPUコアTX System RISC¼ˆEJTAG) TLB 浮動小数点˜ ユニット SysADバスインタフェース 図5.TMPR4955Cのブロック図-最大動作周波数は400MHz,パッケージはQFP160である。Block

21SoCを構成するCPUコア TX System RISC

組合せは,特にマルチメディア機器のような大量の音声・画

像のデジタルデータを高速に処理するシステムに対して,最

適なソリューションである。

図7は,整数演算性能に優れるTX System RISCが,

MePとの組合せによりメディア性能を向上させることを示し

ている。

今後もプロセスの進化に合わせ,TX System RISC既存

ファミリーの新しいSoCや汎用品を展開していく。また,新

しいTX99ファミリーも近い将来市場に投入される予定で,

500MHz~1GHzの高速プロセッサの要求に応えていく。

数は,200MHzから400MHzまでに到達しようとしている。

TX49ファミリーの汎用製品は,多くの周辺機能を内蔵せず

シンプルな構成としたSysADバスインタフェース仕様の製品

と,各種周辺機能を内蔵したPCIバスインタフェース仕様の

製品とに大別される。前者の代表製品として,TMPR4955C

のブロック図を図5に示す。レーザプリンタなどのOA機器

が主なターゲットとなる。

後者の例として,TMPR4938のブロック図を図6に示す。

PCIコントローラのほかに,Ethernet MAC,DMAコントロ

ーラ,SDRAM(Synchronous DRAM)コントローラ,NAND

Flashコントローラなど多彩な周辺機能を1チップ化し,省部

品化を図っている。情報家電やネットワークプロセッサに応

用される。

4.4 TX79ファミリー

TX79は,MIPS3TMにMIPS4TM(注7)整数命令と128

ビット幅SIMD(Single InstructionMultiple Data)型マルチ

メディア命令(MMI)を加え,当社が開発したオリジナルプロ

セッサである。二つの整数命令が同時に発行できる対称型

スーパースケーラアーキテクチャを採用し,すべてのデータ

パスが128ビット幅であり,二つの64ビットデータを並列に

処理する。汎用品のTMPR7901は,2チャネルのPCIバスイ

ンタフェースや,2チャネルの10/100 Mビット Ethernet

MACなどを内蔵しており,家庭用サーバなどのデジタル情

報家電に最適である。

アプリケーションソフトウェアのシステムコントロール機能

をつかさどるTXSystemRISCと,デジタル信号処理を実現

するコンフィギュラブルなマイクロコントローラであるMePの

あとがき6

関口  浩 SEKIGUCHI Hiroshiセミコンダクター社 システムLSI事業部 マイクロプロセッサ統括部長。RISCプロセッサの企画,拡販業務に従事。System LSI Div.

三谷  了 MITANI Ryo東芝エルエスアイシステムサポート(株)マイコン応用技術統括部シニアエキスパート。RISCプロセッサの応用技術業務に従事。Toshiba LSI System Support Co.,Ltd.

中村 雅人 NAKAMURA Masatoセミコンダクター社 システムLSI事業部 マイクロプロセッサ統括部主務。RISCプロセッサの企画,拡販業務に従事。System LSI Div.

高速化

TX99

TX79

TX49

TX39

TX19

TLCS-900

高性能化

整数演算の処理性能

メディア処理性能

TX49+MePTX79+MeP

TX99+MeP

図7.TX System RISCとMePの組合せ- TX System RISCは,MePと組み合わせることでメディア性能が向上する。

Combination of TX system RISC and MeP

SDRAM�コントローラ

NAND Flash�コントローラ

BOOT ROM

ROM コントローラ

DMA コントローラ

PCI�コントローラ

Ethernet MAC

割込みコントローラ

AC-Link

PIO

SPI

シリアル (UART)

タイマ

TX49/H3 コア

CPU

命令キャッシュ�32 Kバイト

データキャッシュ�32 Kバイト

デバッグモジュール�(EJTAG)

TLB浮動小数点�ユニット

AC-Link�:Audio Codec Link  SPI�:Serial Parallel Interface�PIO� :Parallel Input Output

図6.TMPR4938のブロック図-最大動作周波数は300MHz,パッケージはTBGA484である。

Block diagram of TMPR4938

MePと組み合わせたシステムソリューション5