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7

Ⅰ 日本語基礎文型運用練習

8

1. 丁寧体と普通体の表現

要点の整理

 日本語基本動詞や形容詞の活用と文型の運用練習に入る前に、まず、動詞や形容詞の活用と、丁寧体と普通体を復習

しておきましょう。

丁寧体と普通体

 ★ 動詞の場合

 書きます      書く          食べます      食べる

 書きません     書かない        食べません     食べない

 書きました     書いた         食べました     食べた

 書きませんでした  書かなかった      食べませんでした  食べなかった

 します       する          来 (き )ます      来 (く )る

 しません      しない         来 (き )ません     来 (こ )ない

 しました      した          来 (き )ました     来 (き )た

 しませんでした   しなかった       来 (き )ませんでした  来 (こ )なかった

 ★ イ形容詞

 寒いです      寒い          良 (い・よ )いです   良 (い/よ )い

 寒くないです    寒くない        良 (よ )くないです   良 (よ )くない

 寒かったです    寒かった        良 (よ )かったです   良 (よ )かった

 寒くなかったです  寒くなかった      良 (よ )くなかったです 良 (よ )くなかった

 ★ ナ形容詞と名詞

 雨/元気です         雨/元気だ    

 雨/元気で (は )ないです    雨/元気で (は )ない    

 雨/元気でした        雨/元気だった       

 雨/元気で (は )なかったです  雨/元気で (は )なかった 

9

練習1 

  (例) あります     ありません     ありました     ありませんでした

  (1) います                                    

  (2) 寝ね

ます                                    

  (3)          起お

きません                         

  (4)                    食た

べました               

  (5)                              読よ

みませんでした

  (6)                    吸す

いました               

  (7)          しません                          

  (8) 聞き

きます                                   

  (9)                              見み

ませんでした

  (10)                    掃そう

除じ

します                

例題2 

  (例) 大おお

きいです    大きくないです   大きかったです   大きくなかったです

  (例) 有ゆうめい

名です     有名ではないです  有名でした     有名ではなかったです

                   

  (1) やさしいです                                 

  (2)          楽たの

しくないです                       

  (3)                    高たか

かったです              

  (4)                              寒さむ

くなかったです

  (5)                    難しかったです             

  (6)          安やす

くないです                        

  (7) いいです                                   

  (8) にぎやかです                                 

  (9)          親しんせつ

切ではないです                      

  (10)                    静しず

かでした              

  (11)                              上じょう

手ず

ではなかったです

  (12) 元げん

気き

です                                   

10

練習3 

  (例)  書か

かない     書きます   書く       書いて      書いた

Ⅰグループ(五段動詞)

  (1)           歩ある

きます                            

  (2)           行い

きます                           

  (3)           急いそ

ぎます                           

  (4)           消け

します                           

  (5)           立た

ちます                           

  (8)           死し

にます                            

  (7)           飛と

びます                           

  (8)           休やす

みます                           

  (9)           入はい

ります                           

  (10)           会あ

います                           

Ⅱグループ(一段動詞)

  (11)           入い

れます                           

  (12)           教おし

えます                           

  (13)           止と

めます                           

  (14)           かけます                           

  (15)           知し

らせます                          

  (16)           つけます                           

  (17)           伝つた

えます                           

  (18)           遅おく

れます                           

  (19)           見み

ます                            

  (20)           落お

ちます                           

Ⅲグループ(変格動詞)

  (21)           します                            

  (22)           結けっこん

婚します                          

  (23)           勉べんきょう

強します                          

  (24)           来き

ます                            

  (25)           見み

て くる                          

11

練習4 例のように余白部に動詞の活用形を書いてください。

  (例) 書きます   書く       書かない     書いた      書かなかった

Ⅰグループ(五段動詞)

(1)                            働いた             

(2)          行く                               

(3) 泳ぎます                                      

(4)                                     脱がなかった

(5) 出します                                      

(6)                   貸さない                    

(7) 勝ちます                                      

(8)                            立った             

(9)                   死なない                    

(10) 飲みます                                      

(11)          読む                               

(12) 困ります                                      

(13)                            取った            

(14) 吸います                                       

(15)                                     会わなかった

Ⅱグループ(一段動詞)

(16) 見せます                                      

(17)          食べる                              

(18)                   起きない                    

(19)                            借りる            

(20)                                     上げなかった

(21) 与えます                                      

Ⅲグループ(変格動詞)

(22) 努力します                                     

(23)                                     訪問しなかった

(24)                            来た              

(25)          持ってくる                            

12

例題5 

(1) 1)〜 10)について、活用表を完成させてください。

  例) 大おお

きい      大きくない      大きかった     大きくなかった

  例) 新しんせん

鮮だ      新鮮ではない     新鮮だった     新鮮ではなかった

  1)                     美うつく

しかった              

  2) おもしろい                                   

  3)          重おも

くない                          

  4)                               うれしくなかった

  6)          きれいではない                      

  7)                     危き

険けん

だった             

  8)          ハンサムではない                      

<名詞>

  9) 雨あめ

だ                                     

  10)                     明あした

日ではない            

  

(2) 1)〜 10)について、例)のように連体形と「て形」を書いてください

  例) 大おお

きい  →  大きい  +N  / 大きくて

  例) 新しんせん

鮮だ  →  新鮮な  +N  / 新鮮で

  1)      →       +N  /            

  2)      →       +N  /            

  3)      →       +N  /               

  4)      →       +N  /           

  5)      →       +N  /               

  6)      →       +N  /       

  7)      →       +N  /             

  8)      →       +N  /       

  9)      →       +N  /               

  10)      →       +N  /           

13

練習6  

(例) 1) 毎まいにち

日  2) お酒さけ

  3) 飲の

みます

<普通の会話>

A  :李リー

さんは 毎1)

日 お2)

酒を 飲3)

みますか?

李  :→はい、飲3)

みます。

    →いいえ、ほとんど 飲3)

みません。

<フレンドリー会話>

A  :李リー

さんは 毎1)

日 お2)

酒を 飲3)

む?

李  :→うん、飲む。

    →ううん、ほとんど 飲3)

まない。

(1) 1) 毎まいにち

日       2) 食しょく

事じ

   

   3) 作つく

ります

(2) 1) 毎まいばん

晩       2) テレビ 

   3) 見み

ます

(3) 1) 毎まいあさ

朝       2) 朝あさ

ご飯はん

 

   3) 食た

べます

(4) 1) 毎まいしゅう

週       2) 部へ

屋や

  

   3) 掃そう

除じ

する

(5) 1) 毎まいとし

年       2) 年ねんがじょう

賀状 

   3) 書か

きます

(6) 1) 毎まいにち

日       2) 新しんぶん

聞  

   3) 読よ

みます

(7) 1) ときどき     2) その 店みせ

に  

   3) 行い

きます

(8) 1) いつも      2) ラジオ 

   3) 聞き

きます

(9) 1) 毎まいしゅういっかい

週一回     2) 洗せんたく

濯  

   3) します

(10) 1) 一いちにち

日に三さんかい

回    2) 歯は

   

   3) 磨みが

きます

14

練習7 

(例) 1) 昨さくばん

晩  2) テレビ  3) 見み

ます

<普通の会話>

A  :昨1)

晩 テ2)

レビ を 見3)

ましたか?

B  :→はい、見3)

ました。

    →いいえ、見3)

ませんでした。

<フレンドリー会話>

A  :昨1)

晩 テ2)

レビを 見3)

た?

B  :→うん、見3)

た。

    →ううん、見3)

なかった。

(1) 1) 昨きのう

日        2) 作さくぶん

文    

   3) 書か

きます

(2) 1) 今け

朝さ

        2) 朝あさ

御ご

飯はん

   

   3) 食た

べます

(3) 1) 昨さく

夜や

        2) お酒さけ

    

   3) 飲の

みます

(4) 1) おととい      2) その ニュース

   3) 聞き

きます

(5) 1) 先せんしゅう

週        2) 家や

賃ちん

   

   3) 払はら

います

(6) 1) 去きょねん

年        2) パソコン  

   3) 買か

います

(7) 1) 昨さくばん

晩        2) 復ふくしゅう

習    

   3) します 

(8) 1) 先せんげつ

月        2) その 映えい

画が

  

   3) 見ます

(9) 1) 先せんしゅう

週の 月げつ

曜よう

日び

   2) テスト   

   3) します

(10) 1) 先せんげつ

月の 二ふつ

日か

に   2) 会かい

議ぎ

    

   3) 開ひら

きます 

15

練習8 

(例) 1) 日に

本ほん

語ご

の 勉べんきょう

強   2) 難むずか

しいです    

   3) おもしろいです 

<普通の会話>

A  :先せんせい

生、お久ひさ

しぶりです。お元げん

気き

でしたか。

先せんせい

生 :ええ、おかげさまで。 

    ところで 日1)

本語の 勉強は どうですか。

A  :そうですね。難2)

しいですが、お3)

もしろいです。

<フレンドリー会話>

A  :先せんせい

生、お久ひさ

しぶり。元げん

気き

先せんせい

生 :うん、おかげさまで。 

    ところで 日1)

本語の勉強は どう?

A  :そうだね。難2)

しいが、お3)

もしろいよ。

(1) 1) 大だいがく

学の 勉べんきょう

強    2) 楽たの

しいです

   3) 学がく

費ひ

が 高たか

いです

(2) 1) 日に

本ほん

の 生せいかつ

活    2) 便べん

利り

です  

   3) 忙いそが

しいです

(3) 1) 日に

本ほん

の 食た

べ物もの

   2) おいしいです

   3) 高たか

いです

(4) 1) 日に

本ほん

の 家いえ

     2) きれいです 

   3) 狭せま

いです

(5) 1) 日に

本ほん

語の 先せんせい

生   2) 親しんせつ

切です 

   3) こわいです

(7) 1) 今いま

の 仕し

事ごと

     2) おもしろいです 

   3) 給きゅうりょう

料が 安やす

いです

(8) 1) 結けっこんせいかつ

婚生活      2) 幸しあわ

せです 

   3) 生せいかつ

活が 大たいへん

変です

16

練習9 

(例) 1) 靴くつ

   2) 軽かる

いです

   3) 丈じょう

夫ぶ

です

<普通の会話>

A  :いい 靴1)

ですね。

B  :ええ、軽2)

いですし、それに とても 丈3)

夫ですよ。

A  :そうですか。靴1)

は 丈3)

夫なのが 一番ですね。

<フレンドリー会話>

A  :いい 靴1)

だね。

B  :ええ、軽2)

いし、それに とても 丈3)

夫だよ。

A  :そう。靴1)

は 丈3)

夫なのが 一番だよ。

(1) 1) 旅りょこう

行かばん   2) ポケットが 多おお

いです

   3) 軽かる

いです

(2) 1) 辞じ

書しょ

      2) 便べん

利り

です 

   3) 例れいぶん

文が 多おお

いです

(3) 1) 服ふく

       2) 色いろ

が いいです     

   3) 機き

能のうてき

的です

(4) 1) カメラ     2) 小ちい

さいです       

   3) 性せいのう

能が いいです

(5) 1) 魚さかな

       2) 安やす

いです        

   3) 新しんせん

鮮です

(6) 1) 仕し

事ごと

      2) 給きゅうりょう

料が 高たか

いです  

   3) おもしろいです

(7) 1) パソコン    2) デザインが いいです 

   3) 操そう

作さ

が 簡かんたん

単です

(8) 1) アパート    2) 部へ

屋や

が きれいです  

   3) 静しず

かです

17

例題 10 

(1) 彼かれ

に 会あ

います             

  1) 彼に     なければ なりません  

  2) 彼に     なくても いいです   

  3) 彼に     ないで ください    

  4) 彼に     ください        

  5) 彼に     います         

  6) 彼に     も いいです      

  7) 彼に     は いけません     

  8) 彼に     方ほう

が いいです       

(2) 日に

本ほん

語ご

で 話はな

します

  1) 日本語で     なければ なりません

  2) 日本語で     なくても いいです 

  3) 日本語で     ない 方ほう

が いいです

  4) 日本語で     いただけませんか

  5) 日本語で     います

  6) 日本語で     も いいです

  7) 日本語で     は いけません

  8) 日本語で     方ほう

が いいです

(3) 電でん

話わ

を かけます          

  1) 電話を     なければ なりません 

  2) 電話を     います        

  3) 電話を     なくても いいです  

  4) 電話を     方ほう

が いいです    

  5) 電話を     ないで ください   

  6) 電話を     も いいです     

  7) 電話を     ください       

  8) 電話を     は いけません    

18

2.「こ・そ・あ・ど」の表現

 物    場所   方向・場所  人・物    様子・種類

 これ   ここ   こちら    この+N   こんな+N それ   そこ   そちら    その+N   そんな+N あれ   あそこ  あちら    あの+N   あんな+N どれ   どこ   どちら    どの+N   どんな+N

要点の整理

 会話や作文で一番問題になるのは、現場指示の「こ・そ・あ」(例題1〜 4)よりも、話題の中の何「いつ・どこ・だれ・

何…」を指す文脈指示の「こ・そ・あ」(例題5〜 10)でしょう。日本語の指示語は三分割、英語や中国語は二分割となっ

ていまから、あなたの国の指示語と使い方が異なる点もあるでしょうが、

先ずは「あなたの話=<そ>」「私の話=<こ>」「どちらも知っている話=<あ>」と使い分けられればいいでしょう。

例題を解きながら使い方を学んでください。

 * 「こ・そ・あ」の基本図

 * 「こ・そ・あ・ど」の体系

19

例題1 

A :田た

中なか

さん、それは (2)

なん/どれ)ですか。

田中:( a )ですか。

A :はい、そうです。

田中:( b )は 電でん

子し

辞じ

書しょ

です。 

(1) 1)は正しい方を選んでください。

(2) (a )(b )の中に入る適当なものはどれですか。

  ① これ       ② それ

  ③ この       ④ その

例題2

子 :お母さん、それ、取と

って くれない?

母 :( a )って (1)

どれ/どっち)?

子 :( b )に ある 消け

しゴムだよ。

母 :ああ、( c )ね。

(1) 1)は正しい方を選んでください。

(2) (a )〜(c )の中に入る適当なものはどれですか。

  ① これ       ② それ

  ③ ここ       ④ そこ

例題2<解説>

「どれ」と「どちら」

 「どれ」は三つ以上の限られた範囲の物事や人

の中から、一つを選んだり指したりするときに

使う疑問詞ですが、「どちら」は二つの物事や人

の中から何か一つを指したりするときに使う疑

問詞です。「どっち」より丁寧な言い方になりま

す。

 コーヒーと紅茶とどちらにする?

 どちらでもいいよ。

 どちらがお兄さんですか。

 そのため、例題2の(1)の1)のような場合、

例題1<解説>

「何」と「どれ」

 「なに(なん)」は名前がわからなかったり、

不明な物事を指す疑問詞です。

 お名前は何とおっしゃいますか。

 何が食べたい?

 人間にとって幸せとは何か。

 「どれ」は三つ以上の限られた範囲の物事や人

の中から、一つを選んだり指したりするときに

使う疑問詞です。

 この中でどれが一番好き?

20

例題3 

A :田た

中なか

さん、( a )に 見み

える 建たてもの

物は 何なん

ですか。

田中:えっ?(1)

どの/どんな) 建物ですか。

A :ほら、あの 建物です。

田中:ああ、( b )は 国こっかい

会議ぎ

事じ

堂どう

です。

(1) 1)は正しい方を選んでください。

(2) (a )(b )の中に入る適当なものはどれですか。

  ① そこ        ② あそこ

  ③ それ        ④ あれ

例題4 

李 :もしもし、( a )は 田た

中なか

先せんせい

生の お宅たく

ですか。

先生:はい、田中ですが、( b )様さま

でしょうか。

李 :李リー

です。今いま

、ソウルから 国こくさいでん

際電話わ

を かけて い

   す。実じつ

は 出しゅっちょう

張で、明あした

日から 一いっしゅうかん

週間ほど ( c )

   に 行い

く ことに なったんですが、できれば そ

   間あいだ

に 先生に お会あ

いしたいと 思おも

いまして お電

話   しました。

田中:もちろん いいですよ。それで、(1)

いつ/何なんにち

日) 会

い   ましょうか。

李 :先生の ご都つ

合ごう

の いい 日ひ

で けっこうです。

田中:じゃ、( d )に 着つ

いたら、電話を ください。

李 :はい、わかりました。

(1) 1)は正しい方を選んでください。

(2) (a )〜(d )の中に入る適当なものはどれですか。

  ① こちら       ② そちら

  ③ あちら       ④ どちら

例題3<解説>

「あれ」と「あそこ」

 「あれ」は事物や人を指す指示語、「あそこ」

は場所や方角を指す指示語ですが、「あそこ」に

は以下のように建物を指す使い方もあります。

 あそこ(=あの場所)はトイレです。

 あそこ(=あの店)の方が安い。

 あそこ(=あの家)にはお金がある。

 これは「これーここ」「それーそこ」にも当て

はまることです。

例題4<解説>

「こ・そ・あ」は距離と無関係

 長距離電話での「こ/そ/あ」の現れ方が問題ですが、「こ」は自分に近いところ、「そ」は相手に近いところということがわかっていないと、「もしもし、あちらは田中先生のお宅ですか」といった間違いが起こります。「あ」は二人から離れたところですから、注意しましょう。

21

例題5 

A :( a )は 君きみ

にだけ 話はな

すんだけど、・・・。

B :うん、(1)

何なに

/どう)?

A :実じつ

は ( b ) 春はる

から ほかの 会かいしゃ

社に 移うつ

ろうと

   思おも

うんだ。 

B :( c )は いいけど、もう 会社は 決き

まってるの?

A :うん、○○商しょう

事じ

に 内ないてい

定してる。

(1) 1)は正しい方を選んでください。

(2) (a )〜(f )の中に入る適当なものはどれですか。

  ① これ        ② それ

  ③ この        ④ その

例題6 

店てんいん

員:あのう、お客きゃく

さん、すみません。( a )は 店みせさき

   ですから、車くるま

を 止と

めないで いただけませんか。

A :でも、この 店みせ

で 買か

い物もの

を したいんですが、

   (1)

どこ/どれ)に 車を 止めたら いいですか。

店員:店みせ

の 裏うら

に 駐ちゅう

車しゃ

場じょう

が ありますから、( b )を

   ご利り

用よう

ください。

(1) 1)は正しい方を選んでください。

(2) (a )〜(c )の中に入る適当なものはどれですか。

  ① ここ        ② そこ

  ③ あそこ       ④ どこ

例題5〜7<解説>

文脈指示の「こ・そ」

 話の内容を指す「こ/そ/あ」が存在します。

これを文脈指示の「こ・そ・あ」と言います。

① 「そ」の世界

 文脈指示の「そ」は、一般には相手が先に話

したことを指すと考えていいでしょう。また、

自分が未知のことも「そ」になります。

A:孫さんが李君と結婚すると聞きました。

B:えっ?それはほんとうですか。

② 「こ」の世界

 

 文脈指示の「こ」で一番大切なのは自分が話

したことを「こ」で指す用法です。

A:実は、近く社長が交代するらしいですよ。

 

B:えっ?ほんとうですか。

A:ええ、でも、この話はしばらく秘密にして

  くださいね。

 また、何か話を切り出すとき 冒頭に置かれる

後方指示の「こ」があります。

A:これは人事部の人から聞いた話なんですが。

B:何ですか。教えてください。

A:実は、近く社長が交代するらしいです。 

22

例題7 

A :あのう、先せんせい

生、今いま

 お時じ

間かん

、よろしいでしょうか。

先生:いいですよ。何なに

(1)

か/が) あったんですか。

A :ええ、父ちち

が 急きゅう

に 入にゅう

院いん

して、しばらく 国くに

へ 帰かえ

   なければ ならなくなったんです。

先生:( a )は 大たいへん

変ですね。もう 事じ

務む

所しょ

に 連れんらく

絡し

ま   したか。

A :いいえ、( b ) 話はなし

は まだ (2)

誰だれ

に/誰にも) 

   話はな

して いません。

先生:じゃ、( c )ことを すぐ 事務所に 連絡して

 

   ください。

(1) 1)2)は正しい方を選んでください。

(2) (a )〜(c )の中に入る適当なものはどれですか。

  ① これ        ② それ

  ③ この        ④ その

例題8 

A :先せんぱい

輩、紹しょう

介かい

します。私わたし

の 姉あね

です。

幸子:はじめまして、姉の 幸さち

子こ

です。

   弟おとうと

が いつも お世せ

話わ

に なって います。

先輩:いいえ、(1)

こちら/そちら)こそ。せっかくの 

   機き

会かい

ですから、いっしょに 食しょく

事じ

でも しませんか。

A :いいですね。以い

前ぜん

 先輩と よく 行い

った ( a )

    駅えきまえ

前の 寿す

司し

屋や

は (2)

どう/どんな)ですか。

先輩:そうだね。( b )なら 味あじ

も いいし。

(1) 1)、2)は正しい方を選んでください。

(2) (a )(b )の中に入る適当なものはどれですか。

  ① その       ② あの

  ③ そこ       ④ あそこ

例題7<解説>

「こ」(心理的共有)

 (c)は文法的には「そ」はもちろん使えます

が、日本人なら 99%「こ」を使うことでしょう。

 「こ」には相手と話し合っているなかで、その

ことが自分自身にとっても身近で、しかも関係

が深いことだと感じたときに使う心理的な共有

の「こ」が存在します。

 例えば、例題7のCでは「こ」を使った方が

二人の気持ちの結び付きが現れます。「そ」を使

うと、他人事のように聞こえてしまいます。

例題8〜 10 <解説>

文脈指示の「あ」

 文脈指示の「あ」は両者がよく知っている既

知の事柄を指すと考えればいいでしょう。二人

にとっては説明の必要のない共有経験や共通の

事柄は「あ」で指します。

A:担任だった田中先生は、今もあの学校に

  いらっしゃるのかなあ。

B:あの先生はもう辞められたそうだよ。

 これ以外に、回想の「あ」がありますが、「あ」

が指すのはいつも過去のことです。

A:あのころは楽しかったなあ。

B:あの頃って?

A:学生時代のことだよ。

23

例題9

A :(1)

そんな/そんなに) 飲の

んで 大だいじょうぶ

丈夫ですか。

先輩:( a )くらい 大丈夫だよ。今きょう

日は 久ひさ

しぶりの

   再さいかい

会だから、じゃんじゃん 飲もう。

A :相あい

変か

わらず お酒さけ

が 強つよ

いですね。先せんぱい

輩は ( b )

   ころと 少すこ

しも 変か

わって いません。

先輩:(2)

そんな/そんなに) ことは ないよ。もう 五ご

十じっさい

   を 過す

ぎたんだから。

(1) 1)〜2)は正しい方を選んでください。

(2) (a )(b )の中に入る適当なものはどれですか。

  ① この       ② その

  ③ あの       ④ どの

例題 10 

A :この 前まえ

の コンサートは よかったね。

B :うん、すごく よかった。それで、君きみ

は ( a )

後あと

、   (1)

どう/どんな) したの?

A :菊きく

屋や

って おでん屋や

に 寄よ

って 飲の

んでたんだ。 

B :もしかして、( b ) 店みせ

って 歌か

舞ぶ

伎き

町ちょう

の 菊屋?

A :そうだけど。

B :( c )は 僕ぼく

も なじみの 店なんだよ。

   どう?( d )から 菊屋に 飲みに 行い

かない?

(1) 1)は正しい方を選んでください。

(2) (a )〜(c )の中に入る適当なものはどれですか。

  ① その        ② あの

  ③ そこ        ④ あそこ

(3) (d )の中に入る適当なものはどれですか。

  ① これ        ② それ

  ③ あれ        ④ どれ

例題9〜 10 <解説>

時を指す「こ・そ・あ」

 「こ=今」と考えればよく、「これから」は「今

から」、「これまで」は「今まで」と同じ意味に

なります。

 「あ」は過去に両者が共有した時を表し、「あ

の頃は楽しかったねえ」「うん、あの頃にもう一

度戻りたいよ」のようにに使われます。

 「そ」は過去・未来に関係なく話題となった時

を表します。例えば「昨年、上海に行きました。

その時、・・・」といえば過去の時、「来年上海

に行きます。その時、・・・」といえば未来の時

を表します。

24

3. 勧誘と申し出の表現

よく使う文型

  [ます]形:〜ましょう

  [ます]形:〜ましょうか          

  [ます]形:〜ませんか

  名詞   :〜は どうですか

  普通形  :〜んですが、どうですか

  使役形  :〜 (さ )せて ください

要点の整理

 * 勧誘・申し出の表現の使い分け

 人を誘うときの代表的な表現は「〜ましょうか」と「〜ませんか」ですが、「〜ましょう/〜ましょうか」は相手もそ

れを望んでいると思うときに使う誘いの言葉で、多くの場合は相手の事情や状況を察して好意から申し出る時の表現で

す。

 例えば次の例ですが、一緒に歩きながら相手が疲れた様子を見て言います。

 A :疲れましたか。

 B :ええ、ちょっと。

 A :じゃ、近くの喫茶店で少し休みましょうか。

 B :ええ。

 一方、「〜ませんか」は相手の意向がわからないときに使う言葉で、もっとも一般的な誘いの表現といえます。

 A :今夜、何か予定がありますか。

 B :いいえ、特にありません。

 A :でしたら、いっしょに映画を見に行きませんか。

 B :ええ、いいですよ。

フレンドリー会話    普通の会話         フォーマル会話

〜(よ)う           〜ましょう             お〜しましょう

〜(よ)うか          〜ましょうか            お〜しましょうか

〜ない?            〜ませんか             お〜に なりませんか

〜は どう?          〜は どうですか          〜は いかがですか

〜んだけど、どう?       〜んですが、どうですか       〜んですが、いかがですか

〜(さ)せてよ         〜(さ)せて ください       〜(さ)せて くださいませんか

〜(さ)せて くれない?    〜(さ)せて もらえませんか    〜(さ)せて いただけませんか

25

例題1 

(例) 食しょく

事じ

に 行い

<普通の会話>

A :いっしょに 食事に 行きませんか。

B :ええ、いいですよ。行きましょう。

<フレンドリーな会話>

A :いっしょに 食事に 行かない?

B :うん、いいよ。行こう。

(1) 踊おど

(2) お酒さけ

を 飲の

(3) 映えい

画が

を 見み

に 行い

(4) 図と

書しょかん

館で 勉べん

強きょう

する

(5) テレビを 見み

(6) テニスを する

(7) 温おんせん

泉に 入はい

る 

(8) 駅えき

まで 帰かえ

(9) 明あした

日の ことを 相そうだん

談する 

(10) 向む

こうの 島しま

まで 泳およ

 

例題1〜2<解説>

「〜(よ)うか」と「〜ない?」

 フレンドリー会話では「〜ましょうか」は「〜

(よ)うか」、「〜ませんか」は「〜ない?/〜な

いか」のように変わります。なお、「〜ないか」

意向形の作り方の復習

 書 か ない    話 さ ない

   き ます      し ます

   く         す

   こ う       そ う

 食べ ない     見 ない

    ます       ます

    る        る

    よう       よう

 する    → しよう

 来[く]る → 来[こ]よう

26

例題2 

(例)  お茶ちゃ

を 入い

れる

<普通の会話>

A :お茶を 入れましょうか。

B :ええ、お願ねが

いします。

<フレンドリーな会話>

A :お茶を 入れようか。

B :うん、お願い。

<フォーマルな会話>

A :お茶を お入れしましょうか。

B :ありがとうございます。じゃ、 お願いします。

(1) 荷に

物もつ

を 持も

(2) 駅えき

まで 送おく

(3) 仕し

事ごと

を 手て

伝つだ

(4) 明あした

日まで 待ま

(5) お金かね

を 貸か

(6) ビールを つぐ

(7) この ことを 彼かれ

に 伝つた

える 

(8) 英えい

語ご

で 説せつめい

明する

(9) 東とう

京きょう

を 案あんない

内する

(10) 会かいしゃ

社に 連れんらく

絡する

例題2<解説>

「〜ましょうか」と「〜ましょう」

 自分が何らかの行為をしたい気持ちを相手に

伝えるのが申し出です。通常は「(私が)〜(よ)

うか/ましょうか」や「(私が)〜お〜しましょ

うか」<敬語>の形で相手の意向を打診します

が、積極的に申し出るときは「〜ましょう」と

何もつけずに使います。ただし、「〜ましょう」

は使い方を誤ると、行為の押しつけになります

から、相手が 100%受け入れると確信できると

きにだけ使いましょう。

 なお、この申し出は相手に応じて三種類に使

い分ける必要があります。

<フレンドリー会話≒目下・親しい友人>

 お茶を入れようか。

<通常の会話≒同等・親しくない人>  

 お茶を入れましょうか。

<フォーマル会話≒目上>   

 お茶をお入れしましょうか。

 ただし、「〜ましょうか」と「〜ませんか」は

対等な立場での誘いなので、目上や上司には「〜

(は/でも)いかがですか」や、「〜んですが、いっ

しょにいかがですか」が一般的です。「お〜にな

りませんか」や、敬語を使った「召し上がりま

せんか」なども使われますが、使用度は低いで

しょう。 

27

例題3

A :明あした

日の 日にちよう

曜日び

、何なに

か 予よ

定てい

が ある?

B :(1)

うん/ううん)、別べつ

に ないけど。

A :だったら、いっしょに 釣つ

りに (  A  )?

B :(2)

うん/ううん)、いいよ。 

A :じゃ、僕ぼく

の 車くるま

で (  B  )か。

   朝あさ

、7時じ

に 迎むか

えに (  C  )から。

B :わかった。待ま

ってる。

(1) 1)2)は正しい方を選んでください。

(2) (A)〜(C)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 行く         ② 行かない

  ③ 行きません      ④ 行こう

例題4 

A :もう 昼ひる

ご飯はん

(1)

を/でも) (  A  )か。

B :いいえ、まだ (  B  )。

A :では、いっしょに 食しょくじ

事(2)

を/でも) (  C  )

B :ええ、いいですよ。そう (  D  )。  

(1) 1)2)は正しい方を選んでください。

(2) (A)(B)の中に入る適当なものはどれですか。

① 食べましょう     ② 食べません

③ 食べて いません   ④ 食べました

(3) (C)(D)の中に入る適当なものはどれですか。

① しましょう      ② しません

③ して いません    ④ しました

 

例題3<解説>

誘いの受け方

 誘いを受け入れるときの「うん、いいよ」は

遠慮のいらない友人間や仲間内で使われる言い

方です。

 「ええ、いいです」最も一般的な言い方ですが、

目上には使わない方がいいでしょう。以下、目

上の人や上司から誘われたときの丁寧な応え方

を挙げておきます。なお、③は少し遠慮の気持

ちがあるときに使います。

① ええ、喜んで。

② ありがとうございます。ぜひ〜たいと思い

  ます

③ ありがとうございます。でも、よろしいん

で  すか

 

例題4<解説>

〜でも〜ませんか

 誘いの表現であることは同じなのですが、「を」

と「でも」の違いが現れます。

A:コーヒーを飲みませんか。

B:ごめんなさい。紅茶ならいいですが、コー

  ヒーは飲みたくありません。

A:コーヒーでも飲みませんか。

B:そうですね。じゃ、私は紅茶をいただきます。

 「コーヒーでも」は「例えばコーヒーでも」の

意味ですから、飲み物の中の一つを例として取

り上げて誘っています。逆に、「コーヒーを」で

はコーヒー以外の飲み物はだめになってしまい

ます。ですから、日本人は断定を避ける気持ちで、

「〜でも〜ませんか」を使うのです。

28

例題5 

A :もう こんな 時じ

間かん

だ。電でんしゃ

車が なくなるから、 

   そろそろ (  A  )よ。

B :そうだね。この 間あいだ

、 おごって もらったから、

   今きょう

日は 僕ぼく

に (  B  ) くれ。

A :いいの?じゃ、遠えんりょ

慮なく。

(1) (A)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 帰かえ

る          ② 帰れ

  ③ 帰ろう         ④ 帰らない

(2) (B)の中に入る最も適当なものはどれですか。

  ① おごって        ② おごられて

  ③ おごらせて       ④ おごり

例題6

主人:何なに

も ございませんが、どうぞ 召め

し上あ

がって

   ください。

客 :ありがとうございます。 

主人:○○さん、ビールを お飲の

みに (  A  )か。

客 :ええ、少すこ

しなら。

主人:じゃ、(  B  )。

客 :これは、どうも。 

(1) (A)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① なります      ② なりましょう

  ③ なりません     ④ なりました

(2) (B)の中に入る最も適当なものはどれですか。

  ① つぎます      ② おつぎしましょう

  ③ つぎませんか    ④ おつぎしませんか

例題5<解説>

私に〜(さ)せてください

 申し出の表現には、「〜させてくれ」の他にも、

「私に〜(さ)せて - ください/いただけません

か」などがありますが、責任や任務や仕事を自

分が積極的に引き受けたいときによく使われる

表現です。

 今日は私におごらせてください。

 部長、その仕事を私にやらせていただけませ

ん か。

 なお、この表現は許可を求めるときにも使わ

れますが、それは「依頼と許可」の項を参照し

てください。

例題6<解説>

何もございませんが、・・・

 日本人の自宅に招かれて食卓には豪華な料理

がたくさん並べてあるのに、「何もございません

が、どうぞたくさん召し上がってください」と

食事を勧められて戸惑う外国の方が多いようで

す。これは、「あなたの口に合う料理は何もない

かもしれませんが、どうぞ」という謙譲表現で、

相手が目上の人や外国の人となると、余計にそ

の気持ちが強くなります。

 これと同類のものとして「粗茶ですが、どうぞ」

とか「ほんのお口汚しですが、どうぞ」「つまら

ないものですが、どうぞ」などがあります。

「どうぞ」の世界

 「どうぞ」は、本来、相手に何かの行為を促す

語で、依頼するときにも、許容するときにも、

相手に何かを勧めるときにも使われます。

 次の方、どうぞ。 <促し>

 さあさあ、中へどうぞ。 <勧め>

29

例題7 

A :部ぶ

長ちょう

、今こん

夜や

 何なに

か ご予よ

定てい

が おありですか。

部長:ううん、別べつ

に ないけど。

A :僕ぼく

たち これから 飲の

みに (1)

行い

く/行こう)と 

思おも

っ   て いるんですが、 よろしければ (  A 

 )。

部長:いいね、つきあうよ。 

(1) 1)は正しい方を選んでください。

(2) (A)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① いっしょに 行きましょう

  ② いっしょに 行きませんか

  ③ いっしょに どうですか

  ④ ごいっしょに いかがですか

例題8

A :あのう、おばあさん、お荷に

物もつ

 (  A  )。

老人:(  B  )。でも、 そんな ことを して 

   いただいては・・・。

A :遠えんりょ

慮なさらないで ください。 

老人:そうですか。じゃ、お言こと

葉ば

に 甘あま

えて。

(1) (A)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① お持も

ちしませんか    

  ② お持ちしましょうか

  ③ 持って あげましょうか 

  ④ 持って さしあげましょうか

(2) (B)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① ごめんなさい      

  ② ありがとうございます

  ③ お願ねが

いします      

  ④ ご迷めいわく

惑じゃ ありませんか

例題8<解説>

「〜てさしあげましょうか」

「お〜しましょうか」

 私が傘がなくて困っているのを見て、ある学

生が「私の傘を貸してさしあげましょうか」と

親切に申し出てくれました。私は「しまった!」

と思いました。実はこの「〜てあげる」は本人

に対して直接使うと、「あなたのために特別に〜

してあげる」という恩恵を与える語感になって、

相手が反発してしまう恐れがあります。「〜てあ

げる」を「〜てさしあげる」と敬語を使っても、

その押しつけがましさは消えません。

 例題8の(A)もそうですが、ここは「お〜し

ましょうか」か「お〜いたしましょうか」と謙

譲表現を使えばよかったのです。

 この「〜てあげましょうか/〜てさしあげま

しょうか」は、本人に対して直接言うと、好意

の押し売りになってしまいますから、要注意で

例題7<解説>

ごいっしょに、いかがですか

 「〜んですが、ごいっしょにいかがですか」や

「〜は、いかがですか」は目上の人を誘うとき

の常套表現です。「〜ましようか」「〜ませんか」

よりはるかに丁寧で、相手の意向を第一に尊重

する表現になりますから、ぜひ覚えて使ってく

ださい。

「お暇ですか」は目上に禁句

 相手の都合を尋ねるとき、同僚や友人なら「今

夜、暇ですか」でいいのですが、「暇」という語

は「何もすることがない」暇人という語感で、「暇」

と言う言葉を目下からと言われると、むっとす

る場合がほとんどでしょう。目上や上司には「今

夜、ご都合はいかがですか」とか、「今夜、何か

ご予定がありますか」が適切です。

30

4. 依頼と許可の表現

よく使う文型  

  て形    :〜てください

  [ない]形  :〜ないで ください 

  原形/ない形:〜ように して ください         

  て形    :〜ても いいです

  て形    :〜ては いけません

  使役形   :〜 (さ )せて もらえませんか

要点の整理

 * 依頼表現の使い分け

  相手が家族や友だちのときはフレンドリーな言い方が自然で、「ねえ、ちょっと待って」とか「ちょっと待ってくれ

ない?」のように言うのが普通です。「〜てください」という言い方はお店などで「店員さん、それを見せてください」

のように使われますが、指示に近い言い方ですから、目上の人に使うと失礼になります。相手が知らない人や目上の時は、

「あのう、少し待っていただけませんか」とか「少々 お待ちください」のように敬語表現を使いましょう。

 * 許可の表現で気をつけること

 「〜てもいいです」は上位者が下位者に許可を与えるような語感があるので、日常会話では、許可するときは「ええ、

どうぞ」が一番多く使われます。

 また、断るときも「〜てはいけません」という命令口調を避けて、「すみませんが、〜から/ので〜ないでください」

のように言うか、理由を述べて「すみませんが、〜ので」のように理由だけ言うのが普通です。理由を述べたくないと

きは「すみませんが、ちょっと・・・」でもかまいません。

  この席に座ってもいいですか。

→ ×ええ、いいです  → ○ええ、どうぞ。

 フレンドリー会話     普通の会話      フォーマル会話

 〜て             〜て ください      〜て くださいませんか

 〜て くれ          〜て くれませんか    〜て いただけませんか

 〜て くれない?       〜て もらえませんか   〜て いただけないでしょうか

 〜て くれないか                    〜て いただきたいんですが

 〜て もらえない?

31

例題1 

(例) それを 見み

せます

<普通の会話>

A :ちょっと すみませんが・・・。

B :はい、何なん

ですか。

A :それを 見せてください。

B :ええ、いいですよ。

<フレンドリー会話>

A :ちょっと 悪わる

いけど・・・。

B :うん、何?

A :それを 見せてくれない?

B :うん、いいよ。

<フォーマル会話>  

A :あのう、ちょっと すみませんが・・・。

B :はい、何ですか。

A :それを 見せていただけませんか。

B :はい、いいですよ。

(1) 電でん

話わ

を 貸か

します          

(2) この 荷に

物もつ

を 預あず

かります      

(3) カメラの シャッターを 押お

します  

(4) 席せき

を 代か

わります          

(5) ドルを 円えん

に 換か

えます       

(6) もう 少すこ

し 大おお

きい 声こえ

で 話はな

します 

(7) もう 一いち

度ど

 言い

います        

(8) もっと ゆっくり 歩ある

きます     

(9) もっと わかるように 説せつめい

明します       

(10) ここに 地ち

図ず

を 書か

きます      

(11) 灰はいざら

皿を 取と

ります       

(12) テープの 音おと

を 大おお

きくします

例題1<解説>

「て形」と「ない形」の作り方

 ★ 五段活用の動詞

 五段活用の動詞の「ない」形や「て」形は、「書

かないー書きますー書くー書いて」のように、

そのまま連続させて口調で覚えるのが一番早い

方法です。

    か ない     が ない 

  書 き ます   泳 ぎ ます  

    く        ぐ      

    い て      い で     

 ★ 一段活用の動詞

 <「ー i- る」動詞><「ー e- る」動詞>動

詞の 99%は、一段活用の動詞ですが、「走る/

入る/要る/知る/帰る/切る」など一部例外

の五段活用の動詞がありますから、これだけ別

に覚えましょう。

 <「ー i- る」>  <「ー e - る」>

     ない      ない

  起き ます    寝 ます

     る       る

     て       て     

 ★ 変格活用の動詞「する」と「来る」

 しない→します→する→して   

 来[こ]ない→来[き]ます→来[く]る→

  来[き]て

相手によって変わる依頼表現

 相手によって言い方が変わることを待遇表現

と言いますが、その代表例が依頼表現です。

32

例題2 

(例) 1) 窓まど

を 開あ

けます   2) 寒さむ

いです

<普通の会話>

A :窓を 開けても いいですか。

B :すみませんが、寒いですから、 

   開けないでください。

<フレンドリー会話>

A :窓を 開けても いい?

B :ごめん、寒いから、開けないでくれない?

<フォーマル会話>

A :窓を 開けても よろしいでしょうか。

B :申し訳ございませんが、寒いですから、 

   開けないでいただけませんか。

(1) 1) 部へ

屋や

に 入はい

ります        

   2) 部へ

屋や

が 汚よご

れて います

(2) 1) ここで タバコを 吸す

います   

   2) 小ちい

さい 子こ

供ども

が います

(3) 1) この ことを みんなに 話はな

します  

   2) まだ 結けつろん

論が 出で

て いません  

(4) 1) この パソコンを 使つか

います   

   2) 今いま

、使し

用ようちゅう

中です

(5) 1) ここに 自じ

転てん

車しゃ

を 置お

きます   

   2) 店みせさき

先です  

(6) 1) この 資し

料りょう

を コピーします     

   2) 部ぶ

外がい

秘ひ

の 資し

料りょう

です

(7) 1) 電でん

気き

を 消け

します        

   2) まだ これから 勉べんきょう

強します

(8) 1) この 席せき

に 座すわ

ります  

   2) 連つ

れが まもなく 来き

ます

例題2<解説>

許可(個人的判断)の応答

 許可表現は個人の判断で許可するときにも、

法律・規則・社会常識などから考えて当然認め

られていると思うときも使えます。

 例題2のように、個人の事情や判断で許可す

るときは「ええ、どうぞ」、断るときは「すみま

せんが、〜から〜ないでください」のように言

うのが普通です。

A:田中さん、部屋に入ってもいいですか。

B:→ ええ、どうぞ。

  → すみません。今、入浴中ですから、

    ちょっと待ってください。

 ただし、例外があります。例えば、親が子に

言うときや、医者が患者に忠告するときや、教

師が学生を叱るときなど、指導監督の立場にあ

るものが目下に指示するときには、「〜てもいい」

や「〜てはいけない」が使われます。

A:お母さん、テレビを見てもいい?

B:→ ええ、見てもいいわよ。

  → いいえ、見てはいけません。宿題を先

33

例題3 

(例) 1) ここで タバコを 吸す

います 

   2) 駅えきこうない

構内は 禁きんえん

煙です

<普通の会話>   

A :ここで タバコを 吸っては いけません。

B :どうしてですか。

A :駅構内は 禁煙ですから。

<フレンドリー会話>

A :ここで タバコを 吸っては いけない。

B :どうして?

A :駅構内は 禁煙だから。

(1) 1) この 手て

紙がみ

を 読よ

みます  

   2) 娘むすめあて

宛の 手て

紙がみ

です     

(2) 1) ここで 泳およ

ぎます       

   2) 危き

険けん

です

(3) 1) 明あした

日 授じゅぎょう

業に 遅おく

れます    

   2) 試し

験けん

が あります

(4) 1) 図と

書しょかん

館で おしゃべりします  

   2) 人ひと

の 迷めいわく

惑に なります

(5) 1) 工こうじょうない

場内で 写しゃしん

真を 撮と

ります  

   2) 撮さつえいきん

影禁止し

です

(6) 1) 髪かみ

を 長なが

く 伸の

ばします    

   2) この 学がっこう

校の 校こうそく

則です

(7) 1) 車しゃない

内で 携けいたいでん

帯電話わ

を 使つか

います 

   2) 他ほか

の 人ひと

の 迷めいわく

惑に なります

(8) 1) 嘘うそ

を つきます        

   2) 人ひと

の 信しんらい

頼を 失うしな

います

(9) 1) この ことを 人ひと

に 話はな

します 

   2) 企き

業ぎょう

機き

密みつ

です 

(10) 1) そこに 触さわ

ります 

   2) ペンキ塗ぬ

りたてです   

例題3<解説>

許可(社会的判断)の応答

 初級の教科書によく出てくるこのような会話

例があります。

A:ここに座ってもいいですか。

B:→ はい、座ってもいいです。

  → いいえ、座ってはいけません。

 これは大変誤解を招く例文です。既に述べた

ように、日常の個人的な会話でこの表現が使わ

れることはないからです。

 この「〜てもいい」「〜てはいけない」が使わ

れるとしたら、例題3のように、法律・規則・

社会常識などから考えて許可されているか、ど

うかについて、相手に情報を伝えるときです。

A:この公園でサッカーをしてもいいですか。

B:→ はい、してもいいですよ。

34

例題4 

配はいたついん

達員:宅たくはいびん

配便です。こちらに 印いんかん

鑑を (  A  )。

A  :サインで かまいませんか。

配はいたついん

達員:はい、(  B  )。 

(1) (A)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① どうぞ       ② ください

  ③ もらえませんか   ④ お願ねが

いします

(2) (B)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① いいです      ② かまいません

  ③ けっこうです    ④ わかりました

  

例題5 

A :ちょっと 消け

しゴム、貸か

して (  A  )?

B :うん、(  B  )。

A :ついでに 辞じ

書しょ

も お願ねが

い。

B :悪わる

いけど、今いま

 使つか

ってるから、終お

わるまで

   ちょっと  (  C  )。

(1) (A)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① ください      ② くれ

  ③ くださいませんか  ④ くれない

(2) (B)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① いいです      ② わかりました

  ③ どうぞ       ④ いいよ

(3) (C)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 待ま

て        ② お待ちください

  ③ 待って       ④ 待って ください

  

例題4<解説>

「〜で/て -いいですか」の形

 「これ」や名詞にゆく「〜でいいです」や、「〜

ていいですか」という「も」のない形も使われ

ます、この場合、語感としては依頼というよりも、

相手の承認を求める表現になります。

A:明日で(も)いい?/入って(も)いい?

B:うん、いいよ。

「お願いします」と「けっこうです」

 「ください」より「お願いします」の方が丁寧

な言い方です。また、(B)に「いいです」を使うと、

許可を与える語感になりますが、「けっこうです」

は「こちら(私)は問題ありません」という同

意の表現になります。

 お客相手の会話で使う「お願いします」「けっ

こうです」を覚えておきましょう。

例題5<解説>

 

「〜てくれ」と「〜てくれない?」

 「〜てくれ」は男性専用の話し言葉で、依頼と

いうよりも要請・指示に近い言い方になります。

親しい友だちや目下の人に使うのは許されます

が、通常は男の上司が部下に仕事の指示をする

ときなどに使う言葉です。

 その点、「〜てくれない?」は男女に関係なく

親しい友人や同僚間や目下に対する依頼に使え

る話し言葉です。ただし、目上の人には使えま

せんから、注意してください。

 なお、この「〜ていただけませんか/〜ても

らえませんか」など、「〜ませんか(→ない?)」

がついた依頼表現は、意味上、許可を求めてい

る場合も多く、その場合の返事は目上やあまり

親しくない相手には「ええ、どうぞ」、親しい同

僚や目下「うん、いいよ」のように答えるのが

普通です。このように依頼と許可は連続した表

現で、場面によって応答の仕方は変わってきま

35

例題6 

 木村:ごめんください。隣

となり

の 木き

村むら

ですが、・・・。

A :あっ、木村さん、少しょうしょう

々 (  A  )。 

   あのう、何なに

か ご用よう

でしょうか。

木村:申もう

し訳わけ

ありませんが、私わたし

の 家いえ

には 赤あか

ん坊ぼう

が お

   ますので、ステレオの 音おと

を 少すこ

し 小ちい

さくして

   (  B  )。

A :あっ、すみません。すぐ 小さく します。

(1) (A)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 待ま

って       ② 待って ください

  ③ 待たせて ください ④ お待ちください

(2) (B)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① ください      ② くれない

  ③ もらえませんか   ⑤ いただけないでしょう

例題7 

A :あのう、課か

長ちょう

、お願ねが

いが あるんですが、…。

課長:うん、何なに

A :朝あさ

から どうも 具ぐ

合あい

が 悪わる

くて、それで、申もう

し訳わけ

   ありませんが、今きょう

日は (  A  )。

課長:そういえば 顔かおいろ

色が 悪わる

いね。 (  B  )。

(1) (A)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 早そうたい

退しても いいですか 

  ② 早退して くださいませんか

  ③ 早退させて ください  

  ④ 早退させて いただけませんか

(2) (B)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① かまわないよ      ② けっこうだよ

  ③ 大だいじょう

丈夫ぶ

だよ       ④ どうぞ 

例題6<解説>

依頼から始まる日本人の苦情

 日本人が苦情を言ったり抗議をするときは、

ほとんどの場合、最初は穏やかな依頼口調から

始まります。常に穏便に解決したいという心理

が働くからです。

 外国の方はそれを知らないことが多く、最初

から強い口調で抗議に入ったり、逆に日本人か

ら穏やかな依頼口調(微笑していることも多い)

で言われたとき、その怒りや抗議の感情が理解

できず、失敗することになるのです。

 苦情を言われたときは、「すみません」と相手

に迷惑をかけたことをまず詫びるのが日本式で

す。反論したいときは、「すみませんでした。で

も、〜」のように柔らかく自分の事情や立場を

訴えますが、自分が悪いときは弁解しない方が

いいですね。

例題7<解説>

丁寧な依頼は「あのう」から

 「あのう」は、相手の注意を自分に向けさせる

呼びかけの語ですが、同時に依頼する気持ちを

遠慮がちに伝えます。そして、この一言で、聞

き手の日本人は何か困っていることがあるんだ

ろうと瞬間に察知してくれます。逆に「あのう」

のない依頼は、時として無遠慮な語感を相手に

与えてしまう可能性があります。

「〜(さ)せてください」の用法

 「使役形+てください/ていただけませんか

…」も許可を求める表現ですが、何らかの義務

や責任が伴っているときの言い方です。「〜ても

いいですか」は私的な許可の求め方、「〜(さ)

せてください/いただけませんか…」は公的な

許可の求め方と言ってもいいでしょう。ですか

ら、会社で部長としての公的立場からの判断を

36

5. 義務と勧告の表現

よく使う文型

  [ない]形  :〜なければ なりません

  [ない]形  :〜なくても いいです 

  た形/ない形:〜方が いいです

  た形     :〜ら いいです   

  た形     :〜ら どうですか

  原形     :〜べきです

要点の整理

 * 相手の義務を表すときの使い分け

 * 「〜なければならない」(義務)の表現で気をつけること

 「〜なければなりません」は相手に向けられるときは実質的な命令に近づきますから、目下から目上に対しては使わな

い言葉です。そのため、相手が同僚であっても、普通は「〜てください/〜方がいいです」のような依頼表現を使います。

相手が目上であれば、「〜方がいいと思います」や「〜ていただけませんか」のような言い方になるでしょう。

  A  :このことは今日中に決めなければなりませんか。

  B  :ええ、今日中に決めてください。   <依頼>

      ええ、今日中に決めた方がいいです。 <勧告>

 * 「〜方がいい」(勧告)の表現で気をつけること

 「〜方がいいです」は広く勧告に使われる表現ですが、この表現も、そのまま目上に使うと大変失礼になりますから、

日本人はほとんどの場合、「〜たらいかがですか」と提案の表現を使います。仮に使うとしても、「〜方がいいと思いま

すが、・・・」や「〜方がいいんじゃないでしょうか」のように婉曲な言い回しをします。

 フレンドリー会話      普通の会話      フォーマル会話

 〜なければ ならない        〜なければ なりません     *〜方が いいと 思います 

 〜なければ いけない        〜なければ いけません     *〜たら いかがですか

 〜なくては ならない        〜なくては なりません     *〜て いただけませんか

 〜なくては いけない        〜なくては いけません     

 〜なきゃ(ならない/いけない)

 〜なくちゃ(ならない/いけない)

 〜なきゃ だめだ

37

例題1 

(例) 作文を 提出します      

<普通の会話>

A :作文を 提出しなければ なりませんか。

B :→ええ、提出した方が いいですよ。

   →いいえ、提出しなくても いいですよ。

<フレンドリー会話>

A :作文を 提出しなきゃ ならない?

B :→うん、提出した方が いいよ。

   →ううん、提出しなくたって いいよ。

    

(1) 今日 残業します        

(2) 10 時までに 戻ります      

(3) 病院へ 行きます        

(4) 日本語で 書きます      

(5) 靴を 脱ぎます        

(6) 親に この ことを 伝えます 

(7) 歌手は 声が いいです  

(8) 部屋は 広いです

(9) ペンの 色は 黒です

(10) 日本語教師は 日本人です 

(11) 社長に 知らせます       

(12) 家賃は 安いです  

(13) 今日中に 仕上げます     

(14) ワープロで 打ちます 

(15) 車は 日本製です  

例題1<解説>

形容詞や名詞との接続の仕方

 ほとんどの初級教材では取り上げられていな

いのですが、形容詞や名詞とも「〜なければな

らない」「〜なくてもいい」は結びつきます。ま

た、使用度も高いので覚えておきましょう。

<イ形容詞>

 部屋は広くなければなりませんか。

  → はい、広くなければなりません。

  → いいえ、広くなくてもいいです

<ナ形容詞>

 結婚相手はハンサムでなければなりませんか。

  → はい、ハンサムでなければなりません。

  → いいえ、ハンサムでなくてもいいです。

<名詞>

 保証人は日本人でなければなりませんか。

  → はい、日本人でなければなりません。

  → いいえ、日本人でなくてもいいです。

口語形について

「〜なければ」と「〜なきゃ」

 実際の日本人の会話では、口語形が多く使わ

れます。初級の教科書では出てこないので、日

本人の話を聞いたときわからないということに

ならないように、ここで覚えておきましょう。

  行か なければ ならない    

     なきゃ  ならない/なんない  

    

  帰ら なければ ならない    

     なきゃ  ならない/なんない 

「〜ても」と「〜たって」

 「〜ても」の口語形は「〜たって」になります。

  食べ ても いい

     たって いい

38

例題2 

(例) 1) 道に 迷う         

   2) 交番で 尋ねる 

<普通の会話>   

A :道に迷ったら、どう したら いいですか。

B :交番でたずねたら どうですか。

<フレンドリー会話>

A :道に迷ったら、どう したら いい?

B :交番でたずねたら どう?

<フォーマル会話>

A :道に迷ったら、どう したら よろしいでしょうか。

B :交番でたずねたら いかがですか。

(1) 1) 単語の 意味が わからない

   2) 辞書を 引く   

(2) 1) お金が 足りなくなる    

   2) 友だちに 借りる

(3) 1) 一人で できない       

   2) 他の 人に 協力して もらう

(4) 1) 天候が 悪い        

   2) 中止する

(5) 1) 電話番号が わからない   

   2) 電話帳で 調べる

(6) 1) 断られる            

   2) その 時は あきらめる

(7) 1) 値段が 高い        

   2) 買うのを やめる

(8) 1) 約束までに 間に 合わない  

   2) 事情を 言って 謝る

例題2<解説>

「〜たらどうですか」

「〜たらいいです」

  「〜たらどうですか」も「〜たらいいです」も、

いくつかある選択肢の中から話者がいいと思う

もの取り上げて、相手に提案する表現です。 

「〜たらいい」は単独で使うと「〜方がいい」と

同じように断定的な語感になるので、「〜と思い

ます」や「〜でしょう」、「〜んじゃないですか」

などをつけて使う場合がほとんどです。なお、「〜

たらどうですか」の丁寧な言い方が「〜たらい

かがですか」で、「〜ですか」よりも「〜でしょ

うか」を使えば、更に丁寧さが増します。

 なお、会話では「〜たらどう?」「〜たらいか

39

例題3 

A :椎茸は 嫌いなんです。(  A  ) いいですか。

B :いいえ、何でも (  B  ) なりません。 

   食べ物の 好き嫌いを (  C  )よ。  

(1) (A)(B)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 食べても        ② 食べたら

  ③ 食べなくても      ④ 食べなければ

(2) (C)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① したら いいです   

  ② したら どうですか

  ③ しなくても いいです

  ④ しては いけません

例題4  

A :結けつろん

論は 今きょうじゅう

日中に (  A  )。

B :ええ、(  B  ) 方ほう

が いいです。

   先せんぽう

方は 返へん

事じ

を 急いそ

いで いますから。 

(1) (A)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 出だ

さなければ なりませんか

  ② 出だ

して くださいませんか

  ③ 出だ

したら どうですか

  ④ 出だ

したら いいですか

(2) (B)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① そうする      ② そうした

  ③ そうして      ④ そうしない

 

例題3<解説>

「〜てはいけない」のグループ

 色々ある禁止表現を整理しておきましょう。

 遅刻してはいけない

  →遅刻はいけない

  →遅刻しちゃだめだ

  →遅刻してはならない

  →遅刻するな

  →遅刻するんじゃない

 「〜んじゃない」は語尾を上げて言うと推量に、

語尾を下げて強く言うと禁止表現になります。

 遅刻するんじゃない?

 =おそらく遅刻するだろう。

 遅刻するんじゃない。(↓)

 =遅刻してはいけない。

例題4<解説>

(そうした/その)方がいいです

 会話では相手が一度言ったことを、もう一度

繰り返さなくてもわかりますから、「そ」で相手

の話の内容を取り上げて、「そうした/その+方

がいいです」と言えば十分です。

 明日早く起きた方がいいですか。

  →ええ、そうした方がいいです。

  →ええ、その方がいいです。

 彼には言わない方がいいですか。

  →ええ、そうした方がいいです。

  →ええ、その方がいいです。

 ただし、形容詞や名詞の時は「その方がいい

です」しか使えません。

 安い方がいいですか。

  →ええ、その方がいいです。

 明日の方がいいですか。

  →ええ、その方がいいです。

40

例題5 

上司:二人への お祝いは 何に (  A  )と 思う?

B :結婚祝いなら、実用的な 物が いいでしょう。

上司:でも、もう 買って いたら 困るからねえ。

B :でしたら、商品券に (  B  )。

(1) (A)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① したら いい    ② したら どう

  ③ した 方が いい  ④ しなければ ならない

(2) (B)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① したら よろしいです   

  ② したら いかがですか

  ③ しなくても いいです  

  ④ しなければ なりません

例題6 

妻 :一時過ぎよ。もう (  A  )。

夫 :君は 先に (  B  )よ。僕は この 書類を

   明日までに (  C  )から。 

(1)  (A)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 休んで ください   ② 休んだら いいわ

  ③ 休んだら どう    ④ 休やす

む べきだわ 

(2) (B)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 寝た 方が いい   ② 寝たら いい

  ③ 寝なければ ならない ④ 寝ね

る べきだ

(3) (C)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 仕上げなければ ならない 

  ② 仕し

上あ

げる べきだ

  ③ 仕上げたら いい   

  ④ 仕上げた 方が いい

   

例題5<解説>

「〜にしたらどうですか」

「〜にしたらいいです」

 この会話例のように、「〜にしたらどうですか」

や「〜にしたらいいです」は、相手にどうした

らいいか意見述べたり、提案する文型になりま

す。 ただし、「〜にしたらいいです」は断定口

調になるので、目上の人やあまり親しくない人

には「〜にしたらどうですか」の方が適切です。

A:いろいろありますが、どれにしたらいいと

  思いますか。

B:これにしたらどうですか。

 なお、「〜方がいい」は二者択一なので、対比

させるべきAとBが前提になければ、不自然で

すから、ここでは使えません。

例題6<解説>

「〜なければならない」

「〜べきだ」

 「〜べきだ」は「一般に、そうすることが当然

の義務だ」という判断を表していて、相手に直

接行為を命令するときには使えません。

 また、「〜べきだ」は他者に当然の義務を伝え

るものですから、自分自身がしなければならな

いことには使えないという制約があります。

A:ごめん。今日は結婚記念日なので、

B:早く帰らなければならない(×帰るべきな)

  んだ。

41

例題7 

A   :六畳で 家賃が 三万円ぐらいの 部屋は あ

りませんか。

不動産屋:駅に (  A  ) なりませんか。

A   :いいえ、(  B  ) いいです。 

不動産屋:日当たりが (  C  ) いいですか。

A   :いいえ、やはり 日当たりが よくて、お風呂

も (1)

ある/あった) 方が いいです。

不動産屋:お客さん、三万円で 風呂付きは とても 無

理ですよ。四万円台の 物件なら ひとつ あり

ますが、賃貸契約には 保証人が 必要です。

A   :あのう、保証人は 日本人(2)

でなければ/でな

くても) なりませんか。 

不動産屋:いいえ、日本人(3)

でなければ/でなくても) か

まいません。

A   :じゃ、その 部屋を 見せて ください。

(1) 1)〜3)は正しい方を選んでください。

(2) (A)(B)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 近ければ        ② 近くなければ

  ③ 近くても        ④ 近くなくても

(3) (C)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① よければ        ② よくても

  ③ よくなければ      ④ よくなくても

例題7<解説>

  「(N/形)なければならない/

  なくてもいい」が使われるとき

 この会話例のように部屋探しのような会話場

面では、「(N/形)なければならない/なくて

もいい」の形がよく使われます。

中級の義務や勧告の表現

 ここでは参考までに取り上げておきます。覚

えられたら覚えてください。

〜に越こ

したことはない(勧告)

 「〜に越したことはない」は「〜することが最

善である」という語感になります。つまり、「〜

方がいい」を”better”の選択と言うなら、「〜

に越したことはない」は”best”の選択という

ことになります。ただし、「〜に越したことはな

い」は動詞のときは原形<辞書形>接続です。

 行った 方がいい。

 行くに 越したことはない。

 行かない 方がいい。

 行かないに 越したことはない。

「〜ことだ」(勧告)

 「〜ことだ」は特定の相手に向けられたときは

「〜することが大切だ」という意味の勧告の表現

になります。

 

 朝早いんだから、早く寝ることだ。

 ≒朝早いんだから、早く寝た方がいい。

「〜ものだ」(義務)

 相手に意見を述べるときの「〜するものだ」

は「〜するべきだ」と置き換えられる表現にな

ります。ただし、「〜するべきだ」よりも柔らか

い説得口調になります。

 約束は守るものだ。

 ≒約束は守るべきだ。

 ≒約束は守らなければならない。

 

42

6. 形容詞と比較の表現

よく使う文型

  〜は〜より〜ですか

    はい、〜は〜より〜です

    いいえ、は〜ほど〜では ありません

  〜と〜と、どちらが〜ですか

    〜の方が〜です   

  〜(の中)で〜が一番〜ですか

    〜が〜一番〜です 

  〜ほど(⇄ぐらい)〜はないです

    〜が〜一番〜です 

  〜より、むしろ〜方が いいです 

    

    要点の整理

 ★ 形容詞文の基本型は「〜は〜が〜です」

 主題には「は」、その部分や要素を取り上げるときは「が」がつくのが普通です。「好き・嫌い・得意・苦手…」

の「が」は対象を表していますが、形容詞文は「〜は〜が+形容詞」が基本です。

   東京は 物価が 高いです。        彼は 演歌が 好きです。

       人口が 多いです。               得意です。

 ★ 形容詞の 「て」形による文の連結

   孫さんはやさしいです。そしてきれいです。 → 孫さんはやさしくて、きれいです。

   李さんは親切です。そして頭がいいです。  → 李さんは親切で、頭がいいです。

 ★ 形容詞の副詞用法

 <イ形容詞> 速い   → 速く 走る        遅い  → 遅く 来た

 <ナ形容詞> きれいな → きれいに 掃除する    上手な → 上手に 話す

 ★ 形容詞の名詞用法

 <イ形容詞>  長い  → 長さを 測る       重い  → 重さが 10 キロある

 <ナ形容詞>  大切な → 基本の 大切さ      重要な → 問題の 重要さ

43

練習1 

(例) 1) そこ       2) ところ  

   3) 駅えき

に 近ちか

いです  4) 便べん

利り

です

A :そ1)

こは どんな と2)

ころですか。

B :そうですね。駅3)

に 近くて、とても 便4)

利な 

   と2)

ころですよ。 

(1) 1) 金キム

さん       2) 人ひと

   

   3) 頭あたま

が いいです   4) 親しんせつ

切です

(2) 1) その 娘さん    2) 人ひと

   

   3) かわいいです    4) かしこい

(3) 1) その 人      2) 人ひと

   

   3) 狡ずる

いです      4) けちです

(4) 1) 木き

村むら

さん      2) 方かた

   

   3) ハンサムです    4) 背せ

が 高たか

いです

(5) 1) 東とうきょう

京        2) 町まち

   

   3) 人じんこう

口が 多おお

いです  4) にぎやかです

(6) 1) 富ふ

士じ

山さん

       2) 山さん

   

   3) 美うつく

しいです     4) 一いちばん

番 高たか

いです

(7) 1) あなたの 故ふるさと

郷   2) ところ 

   3) 静しず

かです      4) 景け

色しき

が いいです

(8) 1) その レストラン  2) 店みせ

   

   3) 安やす

いです      4) おいしいです

(9) 1) その カメラ    2) 物もの

   

   3) 小ちい

さいです     4) 性せいのう

能が いいです

(10) 1) その 映えい

画が

     2) 作さくひん

   3) おもしろいです   4) 楽たの

しいです

例題1<解説>

形容詞の活用

 否定形の時、「〜ないです→〜ありません」「〜

なかったです→〜ありませんでした」という形

もありますが、ここでは普通形との関係で覚え

やすいように、「〜ないです」「〜なかったです」

の形を取り上げました。

 ★ イ形容詞の活用

 <丁寧体>       <普通体>

 寒‐いです       寒い   

 寒‐くないです     寒‐くない 

 寒‐かったです     寒‐かった

 寒‐くなかったです   寒‐くなかった  

   ♦           ♦

 寒‐くて        寒く‐て

 良[よ/い]‐いです   良[よ/い]‐い

 良[よ]‐くないです   良[よ]‐くない

 良[よ]‐かったです   良[よ]‐かった

 良[よ]‐くなかったです 良[よ]‐くなかった

   ♦           ♦

 良[よ]‐くて      良[よ]‐くて

 ★ 名詞・ナ形容詞の活用

 <丁寧体>       <普通体>

 雨‐です         雨‐だ

 雨‐ではないです     雨‐ではない    

 雨‐でした        雨‐だった

 雨‐ではなかったです   雨‐ではなかった 

   ♦           ♦

 雨‐で          雨‐で

 元気‐です        元気‐だ

 元気‐ではないです    元気‐ではない 

 元気‐でした       元気‐だった

44

練習2 

<例> 1) その 山やま

  2) 高たか

いです  3) 富ふ

士じ

山さん

A :そ1)

の 山は 高2)

いですか。

B :ええ、高2)

いですよ。

A :そ1)

の 山と 富3)

士山と、どちらが 高2)

いですか。

B :もちろん 富3)

士山の 方が 高2)

いですよ。

A :そうですか。 

B :ええ、 そ1)

の 山は 富3)

士山ほど 高2)

くないです。

(1) 1) 野や

球きゅう

        2) おもしろいです

   3) サッカー

(2) 1) 英えい

語ご

        2) 難むずか

しいです

   3) 日に

本ほん

語ご

(3) 1) 田た

中なかせんせい

先生      2) 厳きび

しいです

   3) 中なかむらせんせい

村先生

(4) 1) 今きょう

日        2) 寒さむ

いです

   3) 昨きのう

(5) 1) お父とう

さん      2) 背せ

が 高たか

いです

   3) あなた

(6) 1) その 町まち

      2) にぎやかです

   3) 新しんじゅく

宿

(7) 1) ソウルの 夏なつ

    2) 暑あつ

いです

   3) 東とうきょう

(8) 1) そこの ラーメン  2) おいしいです

   3) この 店みせ

(9) 1) その カメラ    2) 性せいのう

能が いいです

   3) この カメラ

例題2<解説>

比較を表す会話の応答

(1) 〜は〜より〜です

A:日本語は韓国語より難しいですか。

B:はい、日本語は韓国語より難しいです。

 上の質問文に対する肯定の答え方は、「はい、

〜は〜より〜です」が基本です。

(2) 〜は〜ほど〜ないです

 日本語は韓国語より難しいですか。

 → いいえ、日本語は韓国語ほど難しくない

   です。

 「〜は〜より〜ですか」質問文への否定の答え

方として、この「いいえ、〜は〜ほど〜ないです」

が一番多く使われます。「いいえ、日本語は韓国

語より難しくないです」の形は、会話ではほと

んど使われません。

 「日本語は韓国語より難しくないです」が現れ

るのは、次のような会話での応答です。

A:日本語は韓国語より難しくないですか。

B:→ はい、日本語は韓国語より難しくない

    です。

  → いいえ、日本語は韓国語より難しい

    です。

(3) 〜の方が〜です

A:天ぷらと刺身と、どちらがおいしいですか。

B:→ 天ぷらの方がおいしいです。

  → どちらもおいしいです。

  → どちらもおいしくないです。

45

練習3 

(例) 1) 一いちがつ

月    2) 二に

月がつ

  

   3) 寒さむ

いです  4) 一いちねん

   5) (いつ/どこ/だれ/何)から選びます。

A :一1)

月と 二2)

月と どちらが 寒3)

いですか。

B :そうですね。 二2)

月の 方が 寒3)

いです。

A :じゃ、一4)

年で い5)

つが 一番 寒3)

いですか。

B :やはり 二2)

月が 一番 寒3)

いです。 

(1) 1) 七しちがつ

月       2) 八はちがつ

月   

   3) 暑あつ

いです     4) 一いちねん

(2) 1) 土ど

曜よう

日び

      2) 日にちよう

曜日び

  

   3) 暇ひま

です      4) 一いっしゅうかん

週間の 中なか

(3) 1) 子こ

供ども

の 頃ころ

    2) 今いま

    

   3) 幸しあわ

せです     4) 今いま

までの 人じんせい

(4) 1) 大おおさか

阪       2) 東とうきょう

京   

   3) 人じんこう

口が 多おお

いです 4) 日に

本ほん

(5) 1) 銀ぎん

座ざ

       2) 新しんじゅく

宿   

   3) にぎやかです   4) 東とうきょう

(6) 1) お母かあ

さん     2) お父とう

さん

   3) 怖こわ

いです     4) 家か

族ぞく

(7) 1) 金キム

さん      2) 李リー

さん 

   3) 若わか

いです     4) この クラス

(8) 1) 読どっかい

解       2) 作さくぶん

文 

   3) 難むずか

しいです    4) 日に

本ほん

語ご

(9) 1) さしみ      2) 天てん

ぷら 

   3) おいしいです   4) 日に

本ほん

の 食た

べ物もの

(10) 1) 韓かんこくりょうり

国料理     2) タイ料りょう

理り

 

   3) 辛から

いです     4) 世せ

界かい

の 料りょう

理り

例題3<解説>

最上級を表す会話の応答

(1) 〜(の中)で〜が一番〜ですか

A:日本でいつが一番寒いですか?

B:二月が一番 寒いです。

A:どこが一番寒いですか?

B:北海道が一番寒いです。

 食べ物・果物・飲み物・スポーツ・乗り物な

ど同種のものから、一番のものをひとつ選ぶと

きは、「<〜で/〜の中で>、(何/いつ/どこ

/だれ/どれ)が一番〜です」という形が使わ

れます。この場合、「〜で」も「〜中で」も使え

ます。 しかし、「世界・日本・東京…」のよう

な所在地や「今まで・最近・学生時代…」のよ

うな期間のように空間的・時間的な範囲を表す

場合は「〜の中で」を使いません。

 逆に、選択肢をA、B、Cと取り上げたとき

は「A、B、C<の中で>(何/いつ/どこ/

だれ/どれ)が一番〜です」のように、「〜の中

で」が使われ、「〜で」が使えません。

(2) 〜と〜と〜と、〜が一番〜ですか

 この課では取り上げませんでしたが、「AとBとC

と、〜が一番〜ですか」「〜と〜と〜の中で、〜が 

一番〜ですか」のように、三つ以上から一つを選ぶ形

もあります。三つ以上を特定して、その中から選ぶと

きは「〜の中で」が基本型です。 

A:日本酒とビールとウイスキーと(⇄の中で)、

  どれが一番好きですか。

B:日本酒が一番好きです。

46

例題4 

A :東京は 北京( a ) 寒いですか。

B :いいえ、 東京は 北京( b ) (  A  )。

(1) (a )(b )の中に入る適当なものはどれですか。

  ① が         ② より

  ③ ほど        ④ の方が

(2) (A)の中に入る適当なものはどれですか。 

  ① 寒いです      ② 寒くないです

  ③ 寒かったです    ④ 寒くなかったです

例題5 

A :あなたと お父さんと、 (1)

どれ/どちら)が 背が

   高いですか。

B :私( a ) が 高いです。

A :(2)

どの/どんな) くらい 高いですか。

B :父( b ) 五センチ( c ) 高いです。 

(1) 1)2)は正しい方を選んでください。

(2) (a) 〜(c) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① が         ② ほど

  ③ より        ④ の方

例題4<解説>

「AはBほど〜ない」

「BはAより〜」

 東京は北京ほど寒くない。

 北京は東京より寒い。

 「東京は北京ほど寒くない」の「ほど」は程度を表

す助詞のため、「北京の気温には達しない程度だ」と

いう気持ちを表しています。

 一方、「北京は東京より(10 度ほど)寒い」は数値

的な比較を頭に置いて、判断を下しています。

 通常の会話は「東京はどうか」が話題で、温度

差まで問題にしていませんから、「AはBより〜です

か」の否定の答えは、「いいえ、AはBほど〜ないです」

が一般的です。

  

例題5<解説>

〜は〜より<数量>ほど〜

 単なる比較ではなく、実際にどの程度違うか

を具体的に述べるときの文型です。この「ほど」

は概数表現なので、なくてもいいのですが、日

本人は一般的に断定的言い方を避けますから、

会話ではつけた方がいいでしょう。

 私は父より五センチ高い。

 →私は父より五センチほど高い。

 なお、「数量+ほど」は概数を表しますが、「ほ

ど」は数量や程度の上限を示す働きがあります。

「くらい」は基準を示す働きがあります。ですか

ら、以下のような違いが生じます。

<多くても 10 日≒十日以内>

 十日ほど留守にします。

< 9〜 11 日=十日前後>

 十日ぐらい留守にします。

47

例題6 

A :今まで(1)

で/の中で) 一番 うれしかったことは 

   なんですか。

B :(  A  ) うれしかった ことは 今の 大学に

   合格したことです。あの とき( a ) うれしかっ

   た ことは ありません。

(1) 1)は正しい方を選んでください。

(2) (A)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① なん       ② なにも

  ③ なんでも     ④ なによりも

(3) (a )の中に入る適当なものはどれですか。

  ① こそ       ② だけ

  ③ しか       ④ ほど

例題7 

A :家族の ( a ) 誰が 一番 怖いですか。

B :うん、そうですね、(  A  ) 母が 怖いですね。

   怖いと 言う( b )、(1)

ずっと/むしろ) うるさ

い   と 言った ( c ) 正確なのですが、 (  B

  )   嫌なのは 「勉強しなさい、 勉強しなさい」と、

顔を   見るたびに 言われる ことです。

(1) 1)は正しい方を選んでください。

(2) (a )〜(c )は正しい方を選んでください。

  ① より       ② 中で

  ③ ほど       ④ 方が

(3) (A)(B)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① いつよりも    ② どこよりも

  ③ 何よりも     ④ 誰よりも

例題6<解説>

(疑問詞)よりも〜

 「どれよりも/だれよりも/誰よりも」のよう

に、疑問詞に「〜よりも」がつくと、最上級を

表す表現になります。

 君が誰よりも(=一番)好きだ。  

 君が来てくれたことが、 何よりも(=一番)

  うれしい。 

〜ほど(⇄ぐらい)、〜は〜ない

 「〜ほど(/ぐらい)〜は〜ない」文型は、「他

の<誰よりも/何よりも/どこよりも…>、〜

だ」と、程度が最高であることを表します。

 誰でも自分の家ほど(⇄ぐらい)いいところ

は ない。

 家族ほど(⇄ぐらい)大切なものはない。

例題7<解説>

「〜より、むしろ」と「〜より、ずっと」

 「Aより、ずっとB」は「Aに比べて、はるか

にBの方が〜」という比較表現ですが、「Aより、

むしろB」は「AとBを比較して、Bの方が適

切だ」或いは、「Aよりも、Bの方を選ぶ」とい

う選択表現です。

 日本では一月よりも、ずっと二月の方が寒い。

 日本では一月よりも、むしろ二月の方が寒い。

 上の例ではどちらも使えますが、A、Bが全

く異種のことを対比させて、選択する場合は

「ずっと」が使えません。A、Bに共通する何か

がなければ、その程度は比較できないからです。

 彼は学者というより、むしろジャーナリスト

 と言った方がいいね。

 あんな男と結婚するより、むしろ死んだ方が

 いい。

48

        

7. 希望と感情の表現

よく使う文型

  名詞   :(私は)〜が ほしいです

          →(Aさんは)〜を ほしがっています

  [ます]形 :(私は〜を)〜たいです/(私は〜が)〜たいです

          →(Aさんは)〜を〜たがっています

  て形   :(私は〜に〜を)〜て ほしいです/もらいたいです  

  

 

    

要点の整理

 日本語の感情表現が英語や中国語と異なるのは、日本語の「〜ほしい」「〜たい」を含む感情形容詞の全てが一人称形

容詞で、そのままでは第三者の感情を表すことはできないことです。そのため、外見からの判断を述べる「〜がる/〜がっ

ている」や、様態の「〜そうだ」などをつけなければなりません。

 ★ 「〜がっている」と「〜がる」

 第三者(特定・個人)の現在の感情を述べるときは「〜がっている」を使いますが、「感情形容詞+がる/がっている」

は他動詞に変わりますから、対象を表す助詞は「が→を」へと変わります。

 一方、 「感情形容詞+がる」は不特定多数を表す「人々/若者/老人/男・・・」などにつき、その一般傾向や性向

を表します。特定個人を表す名詞と結びつくときは、本人の習性や傾向を表します。

  

  私は お人形が 欲しいです。

  A子は お人形を 欲しがって います。

  女の子は(だれでも) お人形を 欲しがります。<一般傾向>

  A子は いつも お人形を 欲しがります。   <本人の習性・傾向>

 ★ 第三者の感情を表す他の言い方

 「〜がっている」以外に、三人称・個人の感情を伝えるときの一番よく使われるのが様態の「〜そうだ」ですが、この

他に以下のような間接的な表現が使われます。

 

   田中さんは とても うれしそうです。     <視覚推量>

             うれしがっています。   <様子や態度からの印象>

             うれしい そうです。   <伝聞>

                  らしいです。  <情報による推量>

                  ようです。   <感覚推量>

                  んです。    <説明>

49

例題1

 (1) 希望の「〜たい」

 例) 見る  →  見たい →  見たがっている

<五段動詞>

 1) 書く  →   たい →    たがっている

 2) 泳ぐ  →   たい →    たがっている

 3) 返す  →   たい →    たがっている

 4) 持つ  →   たい →    たがっている

 5) 死ぬ  →   たい →    たがっている

 6) 遊ぶ  →   たい →    たがっている

 7) 読む  →   たい →    たがっている

 8) 帰る  →   たい →    たがっている

 9) 歌う  →   たい →    たがっている

<一段動詞>

 1) 食べる →   たい →    たがっている

 2) 教える →   たい →    たがっている

 3) 覚える →   たい →    たがっている

 4) 降りる →   たい →    たがっている

 5) 見る  →   たい →    たがっている

<変格動詞>

 1) する  →   たい →    たがっている

 2) 勉強する→   たい →    たがっている

 3) 来る  →   たい →    たがっている

(2) 感情形容詞

 例) 悲しい  → 悲しがっている → 悲しそうだ

 1) 苦しい  →   がっている →   そうだ

 2) 痛い   →   がっている →   そうだ

 3) 寂しい  →   がっている →   そうだ

 4) うれしい →   がっている →   そうだ

 5) 恥ずかしい→   がっている →   そうだ

 6) 羨ましい →   がっている →   そうだ

例題1<解説>

感情形容詞と「〜たい」

 形容詞は形状や状態を表す形状形容詞と、人

間の感情や感覚を表す感情形容詞に分かれます。

ここで取り上げたのは感情形容詞の使い方、つ

まり日本語の感情表現で、希望の「〜たい」や「ほ

しい」もその中に含まれます。

 <形状形容詞>

 赤い/浅い/厚い/高い/詳しい/遠い/激

しい/早い/広い/細い/丸い……

 <感情形容詞>

 痛い/羨ましい/苦しい/うれしい/悲しい

/悔しい/恥ずかしい/ほしい/〜たい…

 なお、「寂しい/忙しい」などは、文脈によっ

ては両方の使い方があります。

  夜の公園は寂しい。      (状態)

  手紙が来ないので、寂しいです。(感情)

 (2)のように、第三者の感情はは様子からの

判断や推量でしか語れないという日本人の自他

意識が、言語からも伺われるわけです。こうし

50

練習2 

(例) 1) いい 天てん

気き

だ 

   2) どこかへ 遊あそ

びに 行い

く  

李リー

  :い1)

い 天気ですね。 

金キム

  :ええ、ど2)

こかへ 遊びに 行きたいですね。

李リー

  :そうですね。 

(1) 1) お腹なか

が 空す

いた  

   2) 何なに

か 食た

べる    

(2) 1) 喉のど

が 渇かわ

いた   

   2) 何なに

か 飲の

む   

(3) 1) ちょっと 疲つか

れた 

   2) 少すこ

し 休やす

む    

(4) 1) この店みせ

は 高たか

い  

   2) 他ほか

の 店みせ

で 買か

う    

(5) 1) もう 時じ

間かん

が 遅おそ

   2) 早はや

く 帰かえ

る  

(6) 1) 明あした

日は 試し

験けん

だ  

   2) 学がっこう

校を 休やす

む 

(7) 1) おいしい お酒さけ

だ  

   2) もう 一いっぽん

本 注ちゅうもん

文する    

(8) 1) ここは うるさい 

   2) 静しず

かな 場ば

所しょ

に 行い

く 

(9) 1) きれいな 公こうえん

園だ  

   2) のんびり 散さん

歩ぽ

を する

(10) 1) 桜さくら

の 季き

節せつ

だ    

   2) どこかへ 花はな

見み

に 行く   

例題1<解説>

私の希望を表す基本文

① (私)は Nが ほしいです

 「ほしい」は希望を表す感情形容詞ですが、名

詞と接続して希望表現を作ります。

 私は  いい辞書  が ほしいです。

     カメラ

     ともだち 

② (私)は Nを/が 〜たいです

 「〜たい」は動詞の[ます]形に接続して、イ

形容詞を作ります。教科書では対象を「が」「を」

のどちらも使えると書いてある場合が多いので

すが、「水が飲みたい」のような生理的・本能的

な欲求の場合を除いては「〜を〜たい」の方が

多く使われます。「〜が〜たい」には制約があり

ます。

 私は 京都へ      行き  たいです。

    カメラを(⇔が) 買い

    日本語を(⇔が) 勉強し

 「〜が〜たい」が使えない場合を考えてみま

しょう。先ず、「を」格が人の場合、必ず「〜を

〜たい」です。そうしないと、主語との混同が

起こるからです。

 彼を(×が)ほめてやりたい。

 君を(×が)抱きしめたい。

 

 第二に、動作の方に焦点がある場合です。

 手を(×が)洗いたい。

 部屋を(×が)掃除したい。

 ゴミを(×が)捨てたい。

 「〜が〜たい」は通常は「何が〜たいですか」

「どんなNが〜たいですか」という質問の応答に

現れます。つまり、「〜が〜たい」文は対象その

51

例題3

A :君きみ

が 今いま

、一いちばん

番 (  A  ) ものは 何なに

B :僕ぼく

の 日に

本ほんじん

人の 友とも

だち(1)

が/は) 一いちばん

番 ほしいよ。

A :お金かね

は (  B  ) の?

A :ううん、もちろん お金かね

(2)

を/も) ほしいさ。

(1) 1)2)は正しい方を選んでください。

(2) (A)(B)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① ほしい       ② ほしがる

  ③ ほしくない     ④ ほしがらない

例題4

A :彼と けんかを したの?

B :ええ、彼とは もう 絶交よ。

A :彼、ちょっと 言い過ぎたので、君に (  A  )

   と 言ってたよ。

B :嫌よ。もう 二度と 顔(1)

が/を) (  B  )わ。

(1) 1)は正しい方を選んでください。

(2) (A)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 謝りたい      ② 謝りたくない

  ③ 謝りたがる     ④ 謝りたがって いる

(3) (B)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 見たい       ② 見たくない

  ③ 見たがる      ④ 見たがらない

例題3<解説>

希望表現(否定疑問文)の応答

否定疑問文の応答では、次のようになります。

 あなたは車が欲しくないですか。

  はい、ほしくないです。

  いいえ、ほしいです。

 この仕事をやめたくないんですか。

  はい、やめたくないです。

  いいえ、やめたいです。

例題4<解説>

〜を(⇄は)〜たくない

 文末が「〜たくない」と否定の時、「〜は〜を

〜たくない」か、「〜は〜は〜たくない」と強調

した言い方が使われます。

  私は 酒が 飲みたいです。

 →私は 酒を 飲みたくない。

 →私は 酒は 飲みたくない。

 例題2の解説でも述べたように、「〜は〜が〜

たいです」の用法は本能的・衝動的欲求のよう

な場合を除けば、「〜は〜を〜たいです/たくな

いです」が普通です。

 使い分けが面倒なときは、「〜は〜を〜たいで

す/たくないです」を使っておく方が無難でしょ

う。

52

例題5

A :日本での 生活には もう 慣れましたか。

B :ええ。でも、やはり 外国での 一人暮らしは 

   (  A  )ね。

A :そう 言えば、「息子から 全然 連絡が ない」と、

   あなたの 国の ご両親も (  B  )よ。

(1) (A)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① さびしいです  

  ② さびしがって います

  ③ さびしがります 

  ④ さびしそうです

(2) (B)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① さびしいかったです

  ② さびしがって いました

  ③ さびしがりました

  ④ さびしそうでした

例題6

A :彼、今度の 期末試験は クラスで 第一位だった

   そうだね。とても (  A  )よ。

B :うん、僕にも その ことを (  B  )よ。

A :彼って すぐ (  C  )傾向が あるからね。

(1) (A)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① うれしかった  ② うれしい そうだ

  ③ うれしがった  ④ うれしがって いた

(2) (B)(C)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 得意だ     ② 得意がる

  ③ 得意がった   ④ 得意がって いた

  

  

例題5<解説>

目上に使わない「〜がっている」

 「〜がっている」は相手の態度や様子を直接的

に描写する表現で、友人や目下の人に対しては

まだ許されますが、目上の人に対して使うと失

礼な言い方になります。ですから、日本人は目

上に対してはこうした直接的表現を避けようと

します。 例えば、以下のようです。

× 先生はうれしがっていました。

 →先生はうれしそうでした。

 →先生はうれしいようでした。

 もう一つ文法的に注意することは、「感情形容

詞+がる」は他動詞に転化するので、「対象+を」

となりますが、様態の「そうだ/ようだ/らしい」

は「対象+が」のままだということです。

 先生は李君の合格を うれしがっている。

 先生は李君の合格が うれしそうだ。

例題6<解説>

「〜がる」と「〜がっている」

 「〜がる」は一般傾向や個人の習性をあらわし

ますが、「〜がっている」はいつも個人の眼前の

外見や様子を表します。この点が様態の「〜そ

うだ」と類似した点ですが、「〜そうだ」は自分

の視覚印象、「〜がっている」は相手の様子の直

接的な描写ですから、少し違います。

 もし、「〜がる」と「〜がっている」の使い分

けがわかりにくければ、「<今>〜がっている」

「<いつも>〜がる」と覚えるといいでしょう。

53

例題7

A :君に (  A  ) 物が あるんだけど。

B :いいよ、何?

A :これ、君が (  B  ) 記念切手じゃない?

B :あっ、これ、 探してたんだよ。 

A :僕には 切手を 集める 趣味は ないから、 

   君が (  C  )なら あげるよ。 

(1) (A)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 見たい       ② 見せたい

  ③ 見せたがって いる ④ 見せて ほしい

(2) (B)(C)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① ほしい       ② ほしがった

  ③ ほしかった     ④ ほしがって いた

例題8 

A :李君って カラオケの マイクを 握ると、周りが 

   (  A  )のに、何曲も (  B  )ので、

   困って しまうよ。

B :でも、 李君も 君の ことを 「音痴の くせに、 

   マイクを 握ったら (  C  )」と 笑ってたよ。

(1) (A)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 迷惑な        ② 迷惑だ

  ③ 迷惑がる       ④ 迷惑がって いる

(2) (B)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 歌いたい       ② 歌って ほしい

  ③ 歌いたがる      ④ 歌いたがって いる

(3) (C)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 離したい       ② 離したくない

  ③ 離したがる      ④ 離したがらない

例題7〜8<解説>

従属句の中の希望表現

 主語が第三者でも過去文・引用句・従属句(連

用修飾句/連体修飾句)の中では今まで述べた

ような文法的な制約はなくなります。

<過去>

 劉さんは子どもの頃が懐かしかった。

<引用>   

 劉さんは子どもの頃が懐かしいと言った。

<連用修飾句(時・理由・仮定・目的)> 

 劉さんは子どもの頃が懐かしくて、故郷の友

 達に手紙を書いた。 

<連体修飾句> 

 劉さんは子どもの頃の懐かしい思い出を小説

 に書いた。 

 その場合、その人の感情を直接表すときは何

もつけず、様子を表すときは「〜がる」や「〜がっ

ている」などをつけるという使い分けが必要と

なります。ここが日本語の感情表現の一番難し

いところでしょう。

 例えば、例題7の(A)(B)は連体修飾句、(C)

は仮定(「〜なら」)を表す連用修飾句です。そ

の際、(B)は見たり聞いたりして受けた印象や

様子を、(C)は相手の今の感情を表しています。

 また、例題8では、(A)(「〜のに」)、(B)(「〜

ので」)が理由を表す連用修飾句です。(A)は周

りの人たちの様子を描写しているとすぐわかり

ますが、(B)はそのときの李君の様子か、李君

の習性かという選択が問題になります。

54

8. 意向と試みの表現

よく使う文型

  原形/ない形:〜つもりです。

  意向形   :〜(よ)うと 思います/思っています

  意向形   :〜(よ)うと します/しています

  意向形   :〜(よ)うにも〜られません

  て形    :〜て みます

  て形    :〜て みせます      

要点の整理

 ★ 「〜つもりだ」と「〜(よ)うと思う」

 「〜つもりです」は既に準備もあるし、確定的な意志があることを表します。一方、「〜ようと思う」は将来、変わる

可能性もあるような現在の一時的な心境を表します。

 例えば下例のように「〜つもりです」と「〜ようと思っています」を使い分けるといいでしょう。

   A子さんとは 結婚を 前提に 交際しているんですか。

    → ええ、来年の春、結婚するつもりです。   <すでに準備がある確定意志>

    → ええ、来年の春、結婚しようと思っています。<変わる可能性ある今の心境>

 なお、「思う」は一人称動詞なので、第三者の意向を表すときは「〜と思う」は使えません。この種の動詞には「思う

/考える/感じる」などがありますが、これらの動詞は「私は〜と思う/思っている」「彼(第三者)は〜と思っている」

のように覚えてしまった方が早いでしょう。

   鈴木さんは A子さんと いつ 結婚するんですか。 

    → 鈴木さんは 来年の 春に 結婚しようと 思っています(×と思います)。

 ★ 「〜てみる」と「〜(よ)うとする」

 「〜てみる」は意志性の動詞につくと、「〜かどうか、テストする」という意味を表します。一方、「〜(よ)うとする」

は何かの行為をしようと試みることを意味し、動作が行われる直前の状態を表します。注意して欲しいのは、「〜てみる」

と「〜(よ)うと思う」と「〜(よ)うとする」は完了形になったときも、次のような違いがあることです。

   お風呂に 入ってみた。    (入浴行為は完了した)

   お風呂に 入ろうと 思った。 (入浴行為なし、頭の中だけの想念)

   お風呂に 入ろうと した。  (入浴行為は未完了のままの直前状態)

 

55

例題1 

(例) 1) 来年、就職する 

   2) 大学院に行く

<普通の会話>

A :来年、 1)

就職するつもりですか。

B :いいえ、 1)

就職しないつもりです。

A :じゃ、どう する つもりなんですか。

B : 2)

大学院に 行こうと 思って います。

<フレンドリー会話>

A :来年、 1)

就職するつもり?

B :ううん、 1)

就職しないつもり。

A :じゃ、どう する つもり?

B : 2)

大学院に 行こうと 思ってる。

(1) 1) 彼と 結婚します     

   2) 慎重に 考えます 

(2) 1) 来年、 国へ 帰ります  

   2) 日本に 残ります 

(3) 1) 彼に 頼みます     

   2) 自分の 力で します

(4) 1) 今の 会社に 残ります 

   2) 独立します 

(5) 1) ワープロを 買います  

   2) 友だちに 借ります

(6) 1) ボーナスを 貯金します 

   2) 車を 買います 

(7) 1) 会議で 方針を 決めます

   2) 少し 様子を 見ます

(8) 1) お父さんの 会社を 継ぎます

   2) 音楽の 道を 進みます 

例題1<解説>

「〜(よ)う」の使い方

  「〜(よ)う」は自分自身に向けられるとき

は、今の話者の心を表す独り言やつぶやきにな

ります。

 さあ、もう少しだ。がんばろう。

 行こうかなあ、どうしようかなあ。

 また、この「〜(よ)う」は相手に向けられ

ると勧誘になります。この「〜(よ)う」は、「休

みましょう→休もう」のように考えるとわかり

やすいでしょう。

 (私が)窓を開けましょうか。

 → (私が)窓を開けようか。

 (私たちが)少し休みましょう。

 → (私たちが)少し休もう。

 注意して欲しいのは、意向形は単独では、自

分の意向を他者に伝えることができないことで、

必ず「〜と思う/と思っている」をつけなけれ

ばなりません。

  なお、初級ではこの動詞の「〜(よ)う」

の形は意向形として勉強するのですが、正しく

は未然形で、意志も推量も表します。

 例えば、物が主語の自動詞や状態動詞(ある・

いる・できる・わかる・要る)や可能形につく「〜

(よ)う」の形は全て「〜するだろう」と同じ意

味を表します。 

56

例題2 

(例) 1) 彼に 相談する  

   2) 「今 時間が ない」って 断られる

<普通の会話>

A : 1)

彼に 相談してみましたか。

B :いいえ、 1)

相談しようと したら、

   「2)

今 時間が ない」って 断られたんです。

A :そう だったんですか。

<フレンドリー会話>

A女: 1)

彼に 相談してみたの?

B男:ううん、 1)

相談しようとしたら、

    「2)

今 時間が ない」って 断られたんだ。

A女:そう だったの。

(1) 1) 彼女を デートに 誘う    

   2) そこに 他の 人が 来る 

(2) 1) 上野公園に 行く 

   2) 雨に 降られる 

(3) 1) 田中さんに 頼む    

   2) 「忙しいから 後に して くれ」と 言われる

(4) 1) 納豆を 食べる

   2) 腐った 臭いが する 

(5) 1) その テレビドラマを 見る 

   2) 息子に チャンネル 取られる

(6) 1) 新しい パソコンを 使う  

   2) ソフトが 入って いない

(7) 1) その 温泉に 入る

   2) そこは 男女混浴だ

(8) 1) 観光船に 乗る

   2) 定員オーバーで 下ろされる

例題2<解説>

「〜(よ)うと思う」

「〜(よ)うとする」 

 「〜(よ)うとする」は何かの行為をしようと

試みることを意味し、多くの場合、直前の状態

を表しています。

 例えば、以下の例ですが、「〜(よ)うと思う」

と「〜(よ)うとする」は次のような違いがあ

ります。

 お風呂に入ろうと思った。(行為はまだ試みら

 れていない)

 お風呂に入ろうとした。(行為はもう試みられ

 ている)

 例えば、「お風呂に入ろうと思った」は「風呂

に入るつもりだ」と場面は同じで、脳裏の出来

事ですから、まだ食事をしている状態かもしれ

ません。しかし、「お風呂に入ろうとした」は食

事も終わり、服も脱いでお風呂場で片足をお湯

に入れる直前を表しています。つまり、「〜(よ)

うとする」は行為が寸前の状態に達しています。

 注意して欲しいのは、「〜(よ)うとした」と

完了形になっても、行為は完了していないこと

です。多くの場合、「〜(よ)うとしたが、しか

し〜」とか「〜(よ)うとしたら、〜」のように、

時や条件を表す文の中で使われます。

57

例題3

先生:来年は 卒業ですが、どう する (  A  )か。

A :最初は 大学に 進学する (  B  )が、 今は

   コンピューターの 専門学校に (  C  ) と 

(1)

思   います/思って います)。

(1) 1)は正しい方を選んでください。

(2) (A)(B)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① つもりです    ② つもりは ありません

  ③ つもりでした   ④ つもりでは ありません

(3) (C)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 行く       ② 行った

  ③ 行ける      ④ 行こう

例題4

A :いらっしゃいませ。

B :一ヶ月ほど 海外を (  A  )んですが、 長く

   歩いても 疲れにくい 靴は ありませんか。

A :でしたら、この 品は いかがですか。

B :(  B  ) いいですか。

A :ええ、 どうぞ。

(1) (A)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① する つもりだ  

  ② すると 思って いる

  ③ しようと 思って いる

  ④ して みる

(2) (B)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 履いても     ② 履こうと しても

  ③ 履いて みても  ④ 履こうと 思っても

例題3<解説>

「〜(よ)うと思う」

「〜(よ)うと思っている」 

  日本人は自分「私」の意志を表すとき、「〜

(よ)うと思います/思っています」のように言

います。主語が「私」の場合はどちらを使って

もいいのですが、「〜ようと思っています」を使

うと、話者の現在の心境が強調されます。そして、

「私は〜(よ)うと思います」は以前から思って

いたことに使うでしょう。

 簡単に言えば、「今/今は」などの副詞といっ

しょに使う場合は「〜(よ)うと思っている」

が適切です。

例題4<解説>

「〜てみる」の使い方に注意

 「〜てみる」は「〜かどうか、〜てみる」と覚

えるのが一番いいでしょう。常に「いいかどう

かをテストする」という意味が含まれています。

 この「〜てみる」は比較的軽い気持ちでする

行為なので、例えば、「彼女と結婚してみる」の

ように使うと、「駄目なら取り替える」というこ

とになりますから、大変な誤解を招くことにな

ります。

58

例題5

A :李君が 二度と 君に (  A  )と、凄く 怒っ

   て いたよ。謝った 方が いいんじゃないの?

B :絶対 嫌だね。

A :どうしても (  B  )の?

B :自分が 悪くないのに、(  C  )ね。

(1) (A)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 会う つもりだ 

  ② 会わない つもりだ

  ③ 会う つもりだった

  ④ 会う つもりでは なかった

(2) (B)(C)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 謝る つもりな   

  ② 謝らない つもりな

  ③ 謝る つもりは ない

  ④ 謝る つもりでは ない

例題6 

A :この ことは 誰にも (  A  )んだけど、 

   君にだけは 話して (1)

おく/おこう)と 思って。

B :何?  

A :実は この 四月に 会社を やめようと (2)

思って

   いる/して いる)んだ。

B :えっ? 

(1) 1)2)は正しい方を選んでください。

(2) (A)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 言わない つもりな

  ② 言う つもりだった

  ③ 言わない つもりだった

  ④ 言う つもりでは なかった 

 

  

例題6<解説>

「〜つもりだ」と「〜つもりだった」

 「〜つもりだった」と完了形になると「〜予定

(⇄考え)だったが、しかし・・・」という意味

を表します。この文型は、「〜するつもりだった

が、〜しなかった」「〜しないつもりだったが、

〜した」と覚えましょう。

 話すつもりだったが、顔を見ると話せなくなっ

 た。

 話さないつもりだったが、やはり君だけには

話 しておくよ。

 また、「〜つもりではなかった」という形が

あり、「〜と考えていたのに、(つい/うっかり)

〜てしまった」と不本意な結果になったことを

表します。後悔や残念な感情が強く表れる表現

です。

 話すつもりではなかったが、うっかり話して

例題5<解説>

「〜ないつもりだ」と「〜つもりはない」

 「〜つもりだ」の否定表現には「〜ないつもり

だ」と「〜つもりはない」の二つの形があります。

 この場合、「〜ないつもりだ」は何%かは「〜

するかもしれない」可能性がありますが、「〜つ

もりはない」は 100%の全面否定で、「〜するか

もしれない」可能性を一切否定しています。

 彼にはもう会わないつもりだ。

 彼にはもう会うつもりはない。

 ですから、例題5の(B)(C)は二つを使い分

けた方がいいでしょう。例えば、「絶対に」とか

「決して」と呼応させるときは、「〜つもりはない」

が適切です。

59

例題7

A :万引き犯人が (  A  )ので、 腕を つかんで

   (  B  ) んですが、男は 私の 手を 振りきっ

て   逃げたんです。  

警官:それから どうしましたか。

A :すぐ 後を 追いかけたんですが、逃げられて

   しまいました。

(1) (A)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 逃げた        ② 逃げて みた

  ③ 逃げようと 思った  ④ 逃げようと した

(2) (B)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 捕まえる つもりだった   

  ② 捕まえて みた

  ③ 捕まえようと 思った   

  ④ 捕まえようと した

例題8

母 :大学受験が 近いのに、 いくら 言っても、 息子は

   少しも (  A  )んです。

先生:授業も 上の空なので、私も 心配して いました。

   今日 授業が 終わってから、彼と (  B  )。

(1) (A)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 勉強する つもりは ない

  ② 勉強したくない 

  ③ 勉強しようと 思わない

  ④ 勉強しようと しない

(2) (B)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 話す つもりです  ② 話そうと 思います

  ③ 話そうと します  ④ 話して みます

例題7<解説>

「〜した」と「〜(よ)うとした」

 「〜した」と「〜(よ)うとした」の違いは、

例題7の場面を想像するとわかりやすいでしょ

う。

 つまり、「逃げた」「逃げようと思った」「逃げ

ようとした」はどんな違いがあるかということ

です。それを時間の順に並べると次のようにな

ります。

 男は逃げようと思った。<考えた>

  ↓ 

 男は逃げようとした。 <試みた>

  ↓ 

 男は逃げた。     <し た>

 「逃げようと思う」は頭の中で生じた考えです

から、「逃げようと思った」と完了形になっても、

行為は開始されていません。

 「逃げようとする」は試みですが、「逃げよう

とした」と完了形になっても、動作は逃げる直

前か途中の状態で、行為は完了していません。

例題8<解説>

「〜(よ)うと思わない」

「〜(よ)うとしない」

 「〜(よ)うと思う」の否定が「〜(よ)うと(は

/も)思わない」で、「〜(よ)うとする」の否

定が「〜よ)うと(は/も)しない」です。

 「〜(よ)うと思わない」と「〜(よ)うとし

ない」を比較すると、「〜(よ)うと思わない」

は単なる考えですが、「〜(よ)うとしない」ははっ

きり拒絶の態度を表しています。つまり、行為

や実際の態度が問題なら、「〜(よ)うとしない」

になります。これは「思う」と「する」の違い

から発生したものです。

 食べようと(は)思わない。

  ≒「食べたくない」気持ち

 食べようと(は)しない。

  ≒食べることを拒絶する態度

60

9. 可能と難易の表現

よく使う表現

  原形    :(〜は〜を〜)ことが できます

  可能形   :(〜は〜が)〜られます

  原形/ない形:〜わけには いきません

  [ます]形  :〜やすいです

  [ます]形  :〜にくいです

  [ます]形  :〜づらいです     

要点の整理

 ★ 可能表現

 「〜は〜を〜ことができる」も「〜は〜が〜られる」も、能力、条件、技術習得の結果に関係なく、広く可能であるこ

とを表せます。可能形、すなわち可能動詞は「できる」と同じ状態動詞ですから、助詞は「を→が」へと変わることに

注意しましょう。

 なお、可能形は人が主語となる動作性の動詞から作られます。対の自・他動詞がある場合、他動詞から可能形が作ら

れます。

   私は 英語を 話すことが できます。   私は 車を 運転することが できます。

   私は 英語が 話せます。         私は 車が 運転できます。

 「〜わけにはいかない」は、何か周囲の事情があってできないという意味を表す文型で、動詞の否定形と結びついたと

きは「〜しなければならない」と同じ義務・必然を表すようになります。なお、この文型は個人的事情や能力が理由で

できないことには使えません。

  宿題が残っているから、遊びに行くわけにはいかないんだ(⇄遊びに行けないんだ)。

  歯が痛くて、食べられない(×食べるわけにはいかない)。 

 ★ 難易の表現

 「〜にくい」「〜やすい」は、「食べます→食べやすい/食べにくい」のように、動詞の[ます]形と接続して、イ形容

詞を作ります。

 問題は「〜にくい」と「〜づらい」の違いですが、困難な理由が対象の側にあるのが「〜にくい」、話者自身の側(肉体的・

心理的理由)にあるのが「〜づらい」です。

   道が滑って、歩きにくい。       

   足に肉刺ができて、歩きづらい。

   字が小さくて、黒板の字が見にくい。  

   眼鏡を忘れたので、黒板の字が見づらい。

61

例題1 

(例) 1) お金を 貸します

   2) 家賃の 支払いが まだです

A : 1)

お金を 貸してもらえないかなあ。

B :悪いけど、 2)

家賃の 支払いが まだなので、 

    1)

貸すわけには いかないんだよ。

(1) 1) 彼の 高校の 成績を 教えます   

   2) プライバシーに 関係する ことです

(2) 1) もう 一週間 返済を 待ちます  

   2) 私も お金が 必要です  

(3) 1) 私の かわりに 残業します    

   2) 今日は 他の 用事が あります 

(4) 1) 車を 運転します

   2) お酒を 飲んで います

(4) 1) その 資料を 見せます

   2) 内部資料です

例題2 

(例) 日程を 決めます

A :昨日 日程を 決めることが できた?

B :ううん、昨日は 日程が 決められなかったけど、

   今日中に 決めないわけには いかないね。

(1) レポートを 書き上げます

(2) 切符を 予約します

(3) 結論を 出します

(4) 資料を コピーします

(5) 鈴木さんに 会います

例題1〜2<解説>

可能形と「ら」抜き言葉

 「読むことができる」は可能形「読める」を使っ

て表せます。なお、動詞の中には可能形が作れ

ない動詞がありますが、基本的には人が主語と

なる動作性の動詞から作られます

   か ない      ない    

 書 き ます   食べ ます     

   く         る

   け る       られる/*れる

 します → する → できる     

 来ます → 来る → 来られる/*来れる

 なお、*印の「食べられる→食べれる/見ら

れる→見れる」の形を「ら」抜き言葉と言い、

急速に普及しています。その理由としては、一

段動詞の可能形と受身形は同形で区別しにくい

ことが考えられ、一種の言葉の進歩が進行して

いるのではないかと考えられます。しかし、国

語学界ではまだ認められていません。

「〜するわけにはいかない」

「〜しないわけにはいかない」

 「〜わけにはいかない」は、必ず何か周囲の事

情があり、個人の意志ではどうしようもない事

態を表します。

 なお、「〜するわけにはいかない」と「〜しな

いわけにはいかない」は次のように考えるとわ

かりやすいでしょう。

  行くわけにはいかない。  

  ≒(事情があって)行くことができない。

  行かないわけにはいかない。

  ≒(事情があって)行かなければならない。

62

例題3

(例)  1) その 辞典    2) ひく

    3) 字が 小さい

A : 1)

その 辞典は 2)

ひきやすいですか。

B :いいえ、 3)

字が 小さ過ぎて、 2)

ひきにくいです。

(1) 1) その 薬      2) 飲む

   3) 苦い

(2) 1) その パソコン   2) 使う 

   3) 操作が 複雑だ

(3) 1) その 靴      2) はく 

   3) 重い

(4) 1) 日本        2) 生活する

   3) 物価が 高い

(5) 1) その 万年筆    2) 書く 

   3) ペン先が 硬い

(6) 1) その魚       2) 食べる

   3) 小骨が 多い

(7) 1) あの 人      2) 話す 

   3) 気むずかしい

(8) 1) その 料理     2) 作る 

   3) 調理法が 難しい

(9) 1) その 参考書    2) わかる 

   3) 説明が むずかしい

(10) 1) その ワープロ   2) 打つ 

   3) 画面が 小さい

例題3<解説>

「〜にくい」と「〜やすい」

 「〜にくい」は「〜するのが難しい」という意

味ですが、対象に対する客観的な評価で、文脈

によって、いい評価にも悪い評価にもなります。

<悪い評価>

 カタカナ語は覚えにくいです。     

 あなたの字は汚くて、読みにくいですね。

<いい評価>

 この自転車は壊れにくい。       

 この服は防水加工で汚れにくいです。 

 「〜やすい」は「〜するのが易しい」、「よく〜

する(性質や傾向)がある」という意味を表し

ますが、文脈によっていい評価にも悪い評価に

もなります。

<いい評価>

 軽くて歩きやすい靴ですね。       

 

63

例題4

A :この 魚、 ちょっと 変な 臭いが するなあ。

   でも、よく 焼いたら (  A  )だろう。

B :やめた 方が いいよ。梅雨の 季節は 物が 腐

   ( a )し、食中毒を 起こし( b )からね。

(1) (A)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 食べやすい    ② 食べにくい

  ③ 食べられる    ④ 食べづらい

(2) (a )(b )の中に入る適当なものはどれですか。

  ① やすい      ② いい

  ③ にくい      ④ づらい

例題5

A :日本に 来て 一年だね。もう、だいぶ 日本語が

   (  A  )ように なった?

B :いいえ、まだ だめです。日本人が 普通に 話し

て   いる 会話が よく (  B  ) んです。

A :日に

本ほん

人じん

同どう

士し

で 話す ときは、かなり 速はや

いから、

   慣れないと、(  C  )かも しれないね。 

 (1) (A)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 話す        ② 話そう

  ③ 話せる       ④ 話される

(2) (B)(C)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 聞き取りやすい   ② 聞き取りにくい

  ③ 聞き取らない    ④ 聞き取れない

例題4<解説>

「〜やすい」と「〜いい」

 「〜やすい」の類義語に「〜いい」があり、口

語ではよく使われています。

 「〜やすい」は「〜するのが易しい」「よく〜

する(性質や傾向)がある」という意味を表し

ますが、文脈によっていい評価にも悪い評価に

もなります。 しかし、「〜いい」は常にいい評

価なので、以下のように悪い評価のときは使え

ません。

 軽くて歩きやすい(⇄いい)靴   

 わかりやすい(⇄いい)授業。

 変わりやすい(×いい)天気。 

 物が腐りやすい(×いい)季節。 

 

例題5<解説>

〜ようになる

 「〜ようになる」は「〜状態になる」意味です

から、状態や習性などの変化を表します。

 その場合、可能形や「わかる」のような状態

動詞につくときは状態変化、「食べる/飲む/吸

う…」などの動作性の動詞につくときは習性・

習慣の変化と考えればいいでしょう。

<状態の変化>

 早く日本語が話せるようになりたいです。

 毎日練習したので、500 メートル泳げる

よう になった。

 <習性・習慣の変化>     

64

例題6

編集長:君の 字は 汚くて、 読み( a )ねえ。それに

    僕は 老眼だから、 もっと 大きい 字でないと、

    読み( b )よ。

A  :すみません。すぐ 書き直して きます。 

編集長:(  A  )だけ 急いで くれ。

(1) (a )(b )の中に入る適当なものはどれですか。

  ① やすい       ② いい

  ③ にくい       ④ づらい

(2) (A)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① する       ② しない

  ③ できる      ④ できない

例題7 

課かちょう

長:今きょう

日が 娘むすめ

の 大だいがく

学の 合ごうかくはっぴょう

格発表でね。心しんぱい

配で じっ

   として ( a ) よ。もう 娘むすめ

から 電でん

話わ

が 入はい

って

   いい はずなんだが、「居い

ても 立た

っても ( a )」

   とは この ことだね。

A :親おや

なら 誰だれ

でも (  A  ) は いられない もの

で  すよ。

(1) (a )(b )の中に入る適当なものはどれですか。

  ① いる       ② いない

  ③ いられる     ④ いられない

(2) (A)の中に入る適当なものはどれですか

  ① 心配する     ② 心配しない

  ③ 心配して     ④ 心配しないで

例題6<解説>

「〜にくい」と「〜づらい」

 「〜にくい」と「〜づらい」は類義語です。し

かし、「〜にくい」は客観的状態を述べる表現で、

「〜づらい」は話者の肉体的・心理的理由で「〜

するのが難しい」ことを表す表現です。

 つまり、「〜にくい」は対象に原因・理由があ

り、「〜づらい」は話者自身に原因・理由がある

と考えればいいでしょう。

 (字が汚いから)ー客観状態が理由ー

  →読みにくい。

 (老眼だから)ー肉体的理由ー

  →読みづらい。

 心理的な理由で使われる「〜づらい」の例と

しては次のようなものがあるでしょう。

 お世話になった人の頼みだから、断りづらい。

 

例題7<解説>

「〜て(は)いられない」

「〜ないで(は)いられない」

 「〜ている」を可能形にしたのが「〜ていられ

る」ですが、この「〜ていられない」「〜ないで

はいられない」は、自分で抑えられない自然に

わき上がる感情を表します。

 試験が近いので、遊んでいられない。

 暑くて、寝ていられない。

 おかしくて、笑わないではいられなかった。

 こんな嫌な日は、酒でも飲まないではいられ

 ない。

 

65

例題8 

A :今夜あたり 一杯 やらない?

B :悪い。今日中に 仕上げなければ ならない 仕事

が   残ってて、(  A  )わけには いかないんだ。

A :それじゃ、その 仕事を (  B  ) わけには い

か   ないね。じゃ、次の 機会に。

(1) (A)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 帰る       ② 帰らない

  ③ 帰れる      ④ 帰れない

(2) (B)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 終わる      ② 終わらない

  ③ 終わらせる    ④ 終わらせない

例題9

A :部長、誠に (  A  ) ことなんですが、今月の 

給   料から 10 万円ほど 前借り (  B  ) でしょ

うか。

課長:そんな こと、とても 無理だね。

A :そこを 部長の お力で、 なんとかして いただく

   (  C  )でしょうか。

(1) (A)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 言いやすい    ② 言いにくい

  ③ 言えない     ④ 言うわけには いかない

(2) (B)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① する       ② しない

  ③ できる      ④ できない

(3) (C)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① ことが できる  ② ことは できない

  ③ わけでは ない  ④ わけには いかない

例題8〜9<解説>

「〜(ら)れない」

「〜わけにはいかない」

 「〜(ら)れない」は広範囲に使えますが、「〜

するわけにはいかない」は必ず「そうできない

周囲の事情があって〜できない」ので、自分の

能力や肉体的な理由でできないときには使えま

せん。

 私は韓国語が話せない。

 私は韓国語を話すわけにはいかない。

 上例で言えば、「話せない」は普通は自分が勉

強したことがない、つまり能力の問題です。し

かし、「話すわけにはいかない」は周囲の事情で

すから、「相手の人が韓国語がわからないから」

とかの別の理由が背景にあります。

 一般に、例題8の(A)のような断りのときは

「帰れないんだ」というより、相手に事情を伝え、

「〜するわけにはいかない」を使った方が相手に

申し訳ないという気持ちが伝わります。

 また、「〜しないわけにはいかない」は二重否

定で、ほとんど「〜しなければならない」と同

じ意味を表しますが、例題8の(B)のように、

「そうするしかない」という残念な感情や不本意

な感情が強く表れます。

 なお、例題9の(c) は「なんとかしていただ

けないでしょうか」ということもできますが、

課長の立場や事情を考慮して、遠慮がちに頼む

としたら、「〜わけにはいかないでしょうか」と

婉曲な言い回しになるのが日本人です。

 なお、「〜ことはできないでしょうか」は文法

的には成立しますが、このような場合や、フォー

マルな会話では丁寧に依頼する「〜わけにはい

66

10. 推量や断定、婉曲の表現

よく使う文型

 <推量>

  普通形<N/ナ形ーだ>    :〜かもしれません

  普通形<N/ナ形ーだ>    :〜だろう/〜でしょう

  普通形<Nーの/ナ形ーな>  :〜はずです

 <断定>

  普通形<Nーな/ナ形ーな>  :〜のです/〜んです

  普通形<Nーの・な/ナ形ーな>:〜わけです

  普通形<Nーの・な/ナ形ーな>:〜わけが ありません

  普通形<Nーの/ナ形ーな>  :〜はずが ありません

 <婉曲>

  普通形<Nーの・な/ナ形ーな>:〜わけでは ありません

要点の整理

 ★ 「〜はずだ」の否定形

 「〜はずだ」は何か根拠がある時に使う知的推量で、可能性は 95%〜 98%と高いでしょう。その否定形は「〜ないはずだ」

と「〜はずがない」がありますが、「〜ないはずだ」は「〜ない可能性が 95%〜 98%」で、「〜はずがない」は「〜する

可能性は 100%ない」という全面否定です。この「〜はずがない」は「〜わけがない」を使っても表せます。

 ★ 「〜のだ」と「〜わけだ」

 「〜のだ/〜んだ」は単に事実を伝えるのではなく、話者にとっては既知・既定の情報に立って、事情・理由や状況の

説明をすることにあります。詳しい用法は例題の解説でします。

   A:震えていますが、寒いんですか。<既知:相手の寒そうな様子を見て、事情を尋ねる>

   B:ええ、 風邪を ひいたのかも しれません。

 「〜わけだ」は因果関係や状況などから考えて、そうなるのは当然の結果だという気持ちを表します。

   A:ええ、彼はアメリカに五年住んでいたんですよ。   B:なるほど、上手なわけです(⇄んです)ね。

 また、「そうなる<道理・理由>は 100%ない」という断定の「〜わけがない」や、部分否定や婉曲な否定を表す「〜

けではない」という慣用文型を作りますが、詳しい用法は例題3の解説でします。

67

例題1

(例) 1) 暑あつ

いです

   2) 冷れいぼう

房れいぼう

が 止と

まっています 

<普通の会話>

A :ずいぶん 1)

暑いと 思いませんか。

B :もしかして、冷2)

房が 止まっているかも しれません

   ね。

<フレンドリー会話>

A :ずいぶん 1)

暑いと 思わない?

B :もしかして、冷2)

房が 止まっているかも しれないね。

(1) 1) 寒さむ

いです       

   2) 暖だんぼう

房が 入はい

って いません      

(2) 1) 甘あま

いです       

   2) 砂さ

糖とう

を 入い

れ過す

ぎました   

(3) 1) 安やす

いです       

   2) 偽にせもの

物です   

(4) 1) 冷ひ

えます       

   2) 雪ゆき

に なります  

(5) 1) 遅おそ

いです 

   2) 電でんしゃ

車に 乗の

り遅おく

れました  

(6) 1) ゴルフが 上じょうず

手です  

   2) プロです

(7) 1) まずい ラーメンです 

   2) スープに 問もんだい

題が あります

(8) 1) 時じ

間かん

が かかります  

   2) 注ちゅうもん

文を 忘わす

れて います

(9) 1) 道みち

が 混こ

んで います  

   2) 時じ

間かん

に 間ま

に 合あ

いません

(10) 1) 彼かのじょ

女は やせました   

   2) ダイエットして います

例題1<解説>

普通形接続について

 普通形接続という場合、問題になるのはナ形

容詞と名詞の時で、動詞とイ形容詞は変わりま

せん。しっかり復習しておきましょう。 

 書く 

 書かない          

 書いた      

 書かなかった  

 高い

 高くない       + だろう

 高かった         かもしれない

 高くなかった       らしい

 元気   

 元気ではない   

 元気だった     

 元気ではなかった 

 雨   

 雨ではない   

 雨だった     

 雨ではなかった 

 書く 

 書かない          

 書いた      

 書かなかった  

 高い

 高くない       

 高かった       + はずだ

 高くなかった       わけだ

              らしい

 元気な   

 元気ではない   

 元気だった     

 元気ではなかった 

68

例題2

(例) 1) 冷れいぼう

房れいぼう

が 壊こわ

れて います 

   2) 暑あつ

いです

A :冷1)

房が 壊れて いるらしいですよ。 

B :冷1)

房が 壊れて いるんですか。

   どおりで、暑2)

いわけですね。 

(1) 1) 塩しお

を 入い

れすぎました   

   2) しょっぱいです

(2) 1) 手て

続つづ

きが 複ふくざつ

雑です   

   2) 時じ

間かん

が かかります

(3) 1) JRで 人じんしん

身事じ

故こ

が ありました   

   2) 駅えき

が こんで います

(4) 1) 李リー

君くん

、 先せんせい

生に 叱しか

られました    

   2) 元げん

気き

が ありません

(5) 1) 彼かれ

、 A子こ

さんと 結けっこん

婚します     

   2) うれしそうな 顔かお

を して います

(6) 1) 彼かのじょ

女、 大だいがくじゅけん

学受験が 一いっしゅうかんご

週間後です  

   2) がんばって います

(7) 1) 台たいふう

風が 接せっきん

近して います    

   2) 風かぜ

が 強つよ

いです

(8) 1) 停ていでん

電です  

   2) 電でん

気き

が つきません

(9) 1) 彼かれ

は アメリカに 留りゅうがく

学して いました

   2) 英えい

語ご

が 上じょうず

手です

(10) 1) 彼かれ

、 学がくせい

生時じ

代だい

に 柔じゅうどう

道を やって いました

   2) 体たいかく

格が いいです

                   

     

                  

例題2<解説>

「〜の(⇄ん)だ」への接続

 「〜のだ」や「〜のに」「〜ので」のように、「の」

に接続するときは、いつも以下のように、「N+

なのだ/ので/のに」のようになります。

 書く 

 書かない          

 書いた      

 書かなかった  

 高い

 高くない       

 高かった       + のだ

 高くなかった       

 元気な   

 元気ではない   

 元気だった     

 元気ではなかった 

 雨な   

 雨ではない   

 雨だった     

 雨ではなかった 

「〜わけだ」の接続について

 「〜わけだ」の接続は、動詞とイ形容詞、ナ形

容詞の場合、「〜のだ」と同じですが、名詞の時

は「Nのわけだ」と「Nなわけだ」の両形が使

われています。

 ただし、名詞接続の「〜わけだ」が使われる

ことはとても少ないでしょう。

69

例題3 

A :今こん

夜や

は ずいぶん 冷ひ

えますね。 

B :ええ、もしかしたら 明あした

日は (  A  )よ。

A :たぶん そう ( a )ね。

(1) (A)の中に入る適当なものはどれですか。

① 雪ゆき

でしょう     ② 雪ゆき

かもしれません

③ 雪ゆき

の はずです   ④ 雪ゆき

だと 思います

(2) (a )の中に入る適当なものはどれですか。

  ① でしょう       ② かもしれません

  ③ はずです       ④ わけです

例題4

A :李リー

君くん

、慌あわ

てて 教きょうしつ

室を 飛と

び出だ

して 行ったけど、

   いったい どう (1)

する/した)( a )?

B :青い 顔を してたから、もしかして 何なに

か (2)

ある

/   あった)( b )ね。

A :うん、ちょっと 心配だね。

(1) 1)2)は正しい方を選んでください。

(2) (a )(b)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① だろう        ② んだろう

  ③ かもしれない     ④ のかもしれない

例題3<解説>

副詞と推量表現の呼応

 副詞と推量表現はしばしば呼応します。その

代表例を挙げておきますから、そのまま覚えま

しょう。なお、重複があるのは、副詞の意味の

広がりを表しています。

 もしかして/もしかしたら

   〜かもしれない

   〜んじゃない?/〜んじゃないか

 たぶん/おそらく

   〜だろう

   〜んじゃない?/〜んじゃないか

 きっと/間違いなく

   〜だろう

   〜はずだ

 

例題4<解説>

「〜のだろう」

「〜のかもしれない」

 「〜んです」の機能は既知・既定事実にたって、

事情・理由や状況の説明を求めることにありま

す。これは「〜のだろう/〜のかもしれない」

と推量になったときも同じです。

 例えば「君も疲れただろう」は相手が疲れて

いるかどうか不明ですが、「君も疲れたんだろう」

は実際に相手の疲れた様子を見て話しています。

 なお、 「いったい〜んだろうか」は眼前にあ

る既に発生した事態の意味や、理由や事情がわ

からなくて、不審に思う気持ちを表します。

 いったいどこへ行ったんだろうか。

70

例題5

A :ずいぶん 遅いなあ。この 運行表では、バスは 

   10 時発の ( a )が、どう した( b )?

B :うん、そろそろ 来ても いい ( c ) が、おそら

く   道が (1)

こむ/こんで いる)( d )。

(1) 1)は正しい方を選んでください。

(2) (a )〜(d)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① だろう       ② んだろう

  ③ はずだ       ④ かもしれない

例題6 

A女:どう した( a )? 

B男:財布を 落として しまった( b )。

   どこで (1)

落とす/落とした)( c )?? 

   たぶん 電車の 中だ( d )んだけど、…。

A女:だったら、すぐ 落とし物の 届けを した方が 

   いいわよ。もしかしたら 誰かが 届けて くれて

    いる( e )から。

(1) 1)は正しい方を選んでください。

(2) (a )〜(c)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① の        ② んだ

  ③ んだろう     ④ かもしれない

(3) (d )〜(e)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① だろう      ② かもしれない

  ③ と 思う     ④ はずだ

例題5〜6<解説>

「〜だろう」と「〜はずだ」

 「〜だろう」と「〜はずだ」はどちらも予想や

推量に使われますが、この会話例の「10 時発の

はず(=予定)」のように、「はず」が予定を表

している場合は「〜だろう」が使えません。

 また、「〜はずだ」は常に「そうなってほしい」

という期待の感情が込められた推量です。一方、

「〜だろう」や「〜かもしれない」は単なる推量

で、期待の感はありません。ですから、 ⅱ の

ように、期待感を込めて使う推量は「〜はずだ」

が一番適切なのです。

「〜だろう」と「〜んだろう」

 「〜だろう」は未知・未定の事柄に広く使われ

る推量表現ですが、眼前に何か発生した事態が

あって、その既定事実から、そうなった事情や

理由を推量するときは「〜んだろう」が使われ

ます。「〜んだろう」のわかりやすい例を挙げて

おきます。

A:彼、学校を休んだね。

B:なにか、用事があったんだろう。

A:最近よく雨が振るね。

B:もう梅雨に入ったんだろう。

「〜んだ」と「〜の」

 「〜の/〜の?」は、本来は「〜んです/〜ん

ですか」に相当する女性言葉でしたが、最近の

男性は「〜の/〜の?」を使うこともあります。

 ただし、(b)に男が「〜の」を使うと、女っ

ぽくなるので、おかまかと誤解を生むかもしれ

ません。

 寒いんです

  → 寒いんだ     (男)   

  → 寒いの      (女)    

 行くんですか 

  → 行くの?/行くのか(男) 

  → 行くの?     (女)  

71

例題7

A :あそこを 女の 子と 腕を 組んで 歩いて いる

   の、 もしかして 李君( a )?

B :人違いよ。彼、明日が 大学受験の ( b )から、

   のんびり デイトを してる( c )わ。

A :いや、間違いなく あれは 李君だ。

(1) (a)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① だろう       ② かも しれない

  ③ と 思う      ④ じゃ ない

(2) (b)(c)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① はずだ       ② わけだ

  ③ わけが ない    ④ わけでは ない

例題8

A :李君、遅いね。約束を 忘れて いる( a )。

B :そんな ( b )よ。「必ず 行く」と 電話が

   あったんだから、きっと 来る( c )。

A :でも、 少し 遅すぎない? 

B :あっ、 来た! 

李 :ごめん。時間どおりに 着く ( d )んだが、

   JRの 事故で、遅れちゃったんだ。

(1) (a)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① んだ        ② だろう

  ③ んだろう      ④ んじゃないか

(2) (b)〜(d)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① はずだ       ② はずは ない

  ③ はずだった     ④ はずでは ない

例題7〜8<解説>

〜んじゃない(か)

 「〜じゃないか」は語尾の「か」を上げて言え

ば疑問になり、下げて言えば断定したり、既定

事実を確認する表現となります。

 もしかして李君じゃないか(↑)。<疑問>

 李君じゃないか(↓)。こんにちは。<確認>

 一方、「〜んじゃないか」の形は、常に推量の

気持ちが含まれていて、「たぶん〜だろう」に近

い意味になります。

 李君なんじゃないか(↑)。

  ≒たぶん李君いだろう。

「〜わけがない」

「〜わけではない」

 「〜わけがない」は「そうなる<道理・理由>

は 100%ない」と断定的に可能性を否定する表

です。ほとんどの用例が「〜はずがない」を使っ

て表せます。しかし、「道理がない、不当だ」と

いった道義的・社会的責任を問題にする場合は

「〜わけがない」の方が自然です。

 なお、「〜ないわけがない」は二重否定で、「必

ず〜する/だ」という断定になります。

 彼にできる -わけがない/はずがない。

   (≒決してできない)。

 彼にできない -わけがない/はずがない

   (≒必ずできる)。

 いくら生活に困っても、盗みをしていいわけ

 がない(?はずがない)。<道理がない>

 なお、「〜わけではない」は部分否定や婉曲な

否定を表す慣用文型です。

 できないわけではないが、あまりしたくない

 んだ。<婉曲な否定>

 梅雨のシーズンでも、毎日雨が降るわけでは

 ない。<部分否定>

72

11. 経験と例示の表現

よく使う文型

 <経験>

  た形    :〜ことが あります

  原形/ない形:〜ことが あります

  た形    :〜ものです

 <例示>

  た形           :〜り〜たり(します/です)

  普通形<Nー×/ナ形ー×>:〜とか〜とか

  普通形<Nー×/ナ形ー×>:〜やら〜やら

  普通形<Nー×/ナ形ー×>:〜なり〜なり

要点の整理

 ★ 「〜した -ことがある」と「〜した -ものだ」

 「〜した -ことがある」は過去の経験を表す文型です。一方、 「〜する/〜しない -ことがある」は、現在も時々起こっ

ている出来事を表します。

   その店には (以前) 行った ことが あります。

   その店には (今も時々) 行くことが あります。

 「〜した - ものだ」は「昔の教師というのは、もっと威厳があったものだ」のように過去回想の表現ですが、過去の習

慣的な経験を表すときにも使われます。

   昔の 教師というのは、もっと 威厳が あった ものだ。<過去回想>

   学生時代は よく この 店に 来た ものだ。<過去の経験>

 ★ 「〜たり〜たりする」

  この「〜たり〜たり」は既に起こったこと(動作や事態)を取り上げ、その例示するのが主な機能です。なお、「〜

たり〜たりします」の他にも「〜たり〜たりです(←だ)」の形も使われます。

   

 ★ 「〜とか〜とか」と「〜やら〜やら」と「〜なり〜なり」

 「〜とか〜とか」はいくつかあるなかの代表例を取り出す機能を持ちます。「〜やら〜やら」は思いつくままに例を挙げ、

「そのほかにも色々」を強調します。

 一方、「〜なり〜なり」は列挙したものから一つを選択するときに使う助詞で、「〜でも〜でも、どちらでも」という

意味を表します。例題3の解説を参照してください。

73

例題1 

(例) 1) 休みの 日は どんな ことを しますか

   2) 本を 読みます、 買い物に 行きます

A :休1)

みの 日には どんな ことを しますか。

B :そうですね。本2)

を 読んだり、買い物に 行ったり

   します。

(1) 1) 夏休みには どんな ことを しますか  

   2) 海に 泳ぎに 行きます、 山に 登ります

(2) 1) 昨日は 何を しましたか 

   2) 部屋の 掃除を します、 洗濯を します

(3) 1) 魚は どうやって 食べますか

   2) 煮ます、 焼きます

(4) 1) バスの 中で どんな ことを しましたか

   2) カラオケで 歌います、 クイズを します

(5) 1) 野菜の 値段は どうですか 

   2) 高いです、 安いです 

(6) 1) そちらの 気候は どうですか 

   2) 暑いです、 寒いです

(7) 1) 仕事の 方は どうですか

   2) 暇です、 忙しいです

(8) 1) 試験の 成績は どうですか

   2) いいです、 悪いです

(9) 1) 最近 仕事は 順調ですか 

   2) うまく 行きます、 行きません

(10) 1) 日本語の 勉強は 楽しいですか。

   2) 楽しいです、 苦しいです 

例題1<解説>

「〜たり〜たり」の様々な形

 同類の語を並べたり、反対の語を並べたり、

肯定と否定を並べたり、いろいろな形が現れま

す。

 <同類の語を並べる例>

 食べたり 飲んだり

 泣いたり 笑ったり

 歩いたり 走ったり

 

 <反対の語を並べる例>

 行ったり 来たり

 降ったり やんだり

 良かったり 悪かったり

 <肯定と否定を並べる例>

 行ったり 行かなかったり

74

例題2 

(例) 1) 相撲を 見に 行きます 

   2) テレビで 見ます

<普通の会話>

A :相1)

撲を 見に 行ったことが ありますか。

B :いいえ、ありません。テ2)

レビで 見たことは あり

   すが、 鈴木さんは?

A :今も 時々 見1)

に 行くことが あります。

(1) 1) お寿司を 作ります       

   2) 食べます    

(2) 1) 木村さんに 会います       

   2) 電話で 話します  

(3) 1) 歌舞伎を 見ます        

   2) 写真で 見ます    

(4) 1) 秋葉原の 電気街へ 行きます  

   2) 話で 聞きます     

(5) 1) スキーを します        

   2) テレビで 見ます    

(6) 1) 海釣りに 行きます       

   2) 川で 釣りを します

(7) 1) インドを 旅行を します    

   2) したいと 思います

(8) 1) 鯨を 食べます         

   2) おいしいと 聞きます

(9) 1) 冬山に 登ります        

   2) 一度 登りたいと 思います

(10) 1) 今の 会社を 辞めたいと 思います

例題2<解説>

「〜したことがある」

「〜することがある」

 「た形+ことがある」は過去の経験を表す文型

です。回数を明示していないときは、通常は一

回性の経験で、習慣的な過去の経験には「〜し

たものだ」が使われます。

 富士山に登ったことがあります。

 一度、その人に会ったことがあります。

 それは何ですか。見たことがありません。

 「動詞・原形/ない形+ことがある」は、現在

も時々起こっている経験や出来事を表します。

 冷蔵庫の中の物も腐ることが ありますよ。

 その店には、今も時々行くことがあります。

 朝御飯を食べないこともあります。

 なお、形容詞の用例もあるので、参考までに

例だけ挙げておきます。

75

例題3 

(例) 1) 電話番号が わかりません 

   2) 電話帳で 調べます

   3) 電話局に 聞きます

A :電1)

話番号が わからない んですが、・・・。

B :それなら、電2)

話帳で 調べるとか、 3)

電話局に 聞く

   とか したら どうですか。

(1) 1) お金が ありません   

   2) アルバイト をします

   3) お金を 借ります

(2) 1) 歯が 痛いです  

   2) 鎮痛剤を 飲みます

   3) 歯医者に 行きます 

(3) 1) 食事を 作る 時間が ありません    

   2) 弁当屋で 買います

   3) 出前を 取ります 

(4) 1) 暇で する ことが ありません

   2) 音楽を 聞きます

   3) 本を 読みます

(5) 1) この 言葉の 意味が わかりません    

   2) 辞書で 調べます

   3) 先生に 聞きます    

(6) 1) 今の 仕事に 興味が 持てません   

   2) 転職します

   3) 独立して 仕事を 始めます

(7) 1) 仕事が 間に 合いません 

   2) 人に 頼みます

   3) 手伝って もらいます

(8) 1) パソコンの 使い方が わかりません 

   2) 説明書を 読みます

   3) 誰かに 教わります

例題3<解説>

「〜とか」「〜やら」「〜なり」

「〜とか〜とか」と「〜やら〜やら」

 「と→とか」「や→やら」と考えることができ

ます。ただし、「と」と「や」は名詞にしかつき

ません。

 机の上に 本と 鉛筆が ある。

 →机の上に 本とか 鉛筆とかが ある。

 机の上に 本や 鉛筆などが ある。

 →机の上に 本やら 鉛筆やらが ある。

 ここから、「〜とか〜とか」が代表例を取り出

すのに反し、「〜やら〜やら」は「そのほかにも

色々」を強調するという違いが生まれます。

「〜とか〜とか」と「〜なり〜なり」

 この「〜とか」の会話例は、「〜やら」は使え

ませんが、「〜なり」を使うことができます。

 ただし、「〜とか〜とか」は例えばこんな例が

ありますよという例示で、特に相手に選択を求

めていませんが、「〜なり〜なり」を使うと選択

を求める表現になります。

 例えば、以下の例文のようにはっきりどちら

かの選択を求めるときには、「〜とか〜とか」が

使えなくなります。

 お茶なりコーヒーなり、お好きな方をどうぞ。

 電話をするなり、電報を打つなりして、早く

  連絡した方がいい。

 この選択の「〜なり〜なり」は「〜か、(或い

は/または)〜か」を使って表せます。

 電話をするか、(或いは/または)電報を打つ

 かして、早く連絡した方がいい。

76

例題4 

A :冷蔵庫に 入れて おいても、物は (  A  ) 

   ことが ありますから、気を つけた 方が いい

で   すね。

B :そうですね。私も 飲もうと 思って、牛乳の 栓

を   開けたら、(  B  ) ことが あります。 

A :あまり 冷蔵庫を (  C  )しない ことですね。

(1) (A)(B)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 腐る         ② 腐った

  ③ 腐って いる     ④ 腐って いた

(2) (C) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 過信したり      ② 過信するとか

  ③ 過信するやら     ④ 過信するなり

例題5

 A :日本を 代表する 料理って どんな 物ですか。

B :寿司( a ) 天ぷら( a )が 有名ですが、

   (  A  ) ことが ありますか。

A :いいえ、まだ (  B  )ことが ありません。

A :この 店は 和食なら 何でも ありますから、 

   寿司( b ) 天ぷら( b )、 お好きな 物を 

注   文して ください。

(1) (a )(b )の中に入る適当なものはどれですか。

  ① と           ② とか

  ③ やら          ④ なり

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 食べる         ② 食べた

  ③ 食べた         ④ 食べなかった

 

例題4<解説>

「〜することがある」

「〜したことがある」

 「〜したことがある」は過去の経験ですが、「〜

することがある」は今も「ときどき」繰り返し

ている出来事に使います。

 会話では、「今も〜することがある」「以前〜

したことがある」と使い分けるといいでしょう。

単独で使われる「〜たり」

 注意してほしいのは「〜たり」は(C)のよう

に、単独でも使われることです。

 その場合も、文面では例示されていなくても、

その他にも例があることを暗示しています。

 未成年者がタバコを吸ったりしてはいけない。

 (お酒も飲んではいけませんが、〜)

例題5<解説>

「〜とか〜とか」

「〜なり〜なり」

  例題6は代表例を取り出す「〜とか〜とか」か、

選択肢を取り上げる「〜なり〜なり」かという

問題です。

 この「〜なり〜なり」は名詞につく場合は「〜

でも〜でも」も使える表現で、「〜でも」よりも

やわらかく丁寧な言い方になります。丁寧さを

順番に挙げると以下のようになります。

<はっきりした二者択一>

 お茶かコーヒーか、お好きな方をどうぞ。

<例えば〜のどちらか>

 お茶でもコーヒーでも、お好きな方をどうぞ。

 お茶なりコーヒーなり、お好きな方をどうぞ。

77

例題6 

A :昨さく

夜や

は 歌うた

う( a ) 踊おど

る( a )、 楽たの

しい 

忘ぼうねん

年   会かい

だったよ。それに、料りょうり

理も 大好物の 海鮮だっ

た   から、僕ぼく

に とっては (  A  )だったよ。

B :そこで どんな 料りょうり

理が 出で

たの?

A :鯛たい

( b ) えび( b )、 豪ごう

華か

な 海うみ

の 幸さち

   ずらりと 並なら

んで いて、食べきれなかったよ。

(1) (a )(b )の中に入る適当なものはどれですか。

  ① と           ② とか

  ③ やら          ④ なり

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 立た

ったり 座すわ

ったり ② 似に

たり 寄よ

ったり

  ③ 願ねが

ったり かなったり ④  踏ふ

んだり 蹴け

った

例題7 

A :お宅たく

の 息むす

子こ

さんは 水すいえい

泳の 選せんしゅ

手だそうですね。

    いつから 水すいえい

泳を 始はじ

めたんですか。

B :息むす

子こ

は 子こ

供ども

の 頃ころ

 体からだ

が 弱よわ

くて、風かぜ

邪ぜ

を 引ひ

   (1)

とか/やら) お腹なか

を 壊こわ

す(2)

とか/やら)で、よく

   病びょういんがよ

院通いを (  A  ) が、 担たんとう

当医い

の 先せんせい

生が 

    水すいえい

泳が 体からだ

に いい とおっしゃるので、…。 

A :それで 水すいえい

泳を 始はじ

めたんですか。

B :ええ。でも、初はじ

めは 水みず

が 怖こわ

い(3)

とか/やら)先せんせい

   が 厳きび

しすぎる(4)

とか/やら) 言い

って、嫌いや

がって 

い   たんです。

(1) 1)〜4)は正しい方を選んでください。

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① することが あります  ② するものです

  ③ したことが あります  ④ したものです

  

例題6<解説>

「〜とか〜とか」

「〜やら〜やら」

 例題6の(a)(b) や、例題7の 1)2) は「〜

とか」か「〜やら」かが問題ですが、他にも色々

あるような場合は、「〜やら」ですね。「〜とか」

は特に代表例を取り立てるときに使います。

「〜たり〜たり」の慣用表現

 「〜たり〜たり」はいくつかの慣用表現を作り

ますから、以下のものは覚えておきましょう。

 立ったり座ったり:落ち着かない様子

 踏んだり蹴ったり:重ねて被害を受けること

 似たり寄ったり:ほとんど違いがない

 願ったりかなったり:希望どおりの事態

例題7<解説>

話の引用は「〜とか〜とか」

 3)4)は話の引用です。このように発話を引

用するときは、常に「〜とか」が使われます。

「〜したものだ」

「〜したことがある」

 「〜したことがある」は回数を明示していない

ときは、一回の経験を表します。

 (A) は過去回想の表現で、反復された事柄を

述べていますから、「〜したものだ」が適切です。

「しばしば/よく/いつも」のような副詞といっ

しょに使うのはは「〜したものだ」と覚えてお

くといいでしょう。

78

12. 引用と伝言の表現

よく使う文型

  普通形<Nー(だ)/ナ形ー(だ)>:〜と 言います

  原形/ない形           :〜ように 言います

  普通形<Nー(だ)/ナ形ー(だ)>:〜と 思います  普通形<Nー×/ナ形ー×>    :〜か

  普通形<Nー×/ナ形ー×>    :〜か どうか

要点の整理

 ★ 直接引用文と間接引用文

 直接引用は発話内容をそのまま引用しますから、「です/ます」体でも何でもいいですし、「ね/よ」のような終助詞も、

命令文や依頼文もそのまま引用できます。この場合、通常は引用符(「 」)を用います。しかし、会話では間接引用が普通で、

その場合、引用句は普通体<終止形>になります。

   李さんは「日本は物価が高いですね」と言いました。<直接引用>

   李さんは日本は物価が高いと言いました。     <間接引用>

 なお、命令文や依頼文を引用するときの「〜する - ように/〜しない - ように」の用法を覚えましょう。丁寧な会話

ではこちらの方が多く使われます。

   「お酒をやめろ」と言いました。       

   → お酒をやめるように(と)言いました。 

   「タバコを 吸うな」と言いました。

   → タバコを吸わないように(と)言いました。

   「帰ったら 電話を ください」と 言って いました。       

   → 帰ったら 電話して くれと 言って いました。      

   → 帰ったら 電話して くれる(くださる)ように(と) 言って いました。 

 ★ 疑問文の引用

 疑問詞がある場合は(「疑問詞)〜か」、疑問詞がない場合は「〜かどうか」と覚えればいいでしょう。

   李さんは いつ 国に 帰りますか。

   → さあ、 いつ 国に 帰るか、わかりません。

   あの 人は 結婚して いますか。

   → さあ、結婚して いるか どうか、知りません。

79

例題1 

(例) 1) 治なお

ります

   2) 手しゅじゅつ

術を します 

A : 1)

治なお

るでしょうか。

B : 2)

手しゅじゅつ

術を すれば、 1)

治なお

ると 思おも

います。

(1) 1) 間ま

に 合あ

います      

   2) タクシーを 拾ひろ

います

(2) 1) 一いっしゅうかん

週間で できます       

   2) 急いそ

ぎます 

(3) 1) この パソコンは 直なお

ります       

   2) 修しゅうり

理に 出だ

します

(4) 1) 仕し

事ごと

が 見み

つかります       

   2) 職しょくしゅ

種を 選えら

びません

(5) 1) 大だいがく

学に 合ごうかく

格できます      

   2) 努どりょく

力します

(6) 1) 先せんぽう

方は 待ま

って くれます  

   2) 事じじょう

情を 話はな

します

(7) 1) あの チームに 勝か

てます 

   2) 実じつりょく

力が 出だ

せます

(8) 1) 冬ふゆやま

山は 危あぶ

なくないです  

   2) 準じゅんび

備を きちんと します

(9) 1) 解かいけつ

決の 方ほうほう

法が あります

   2) みんなで 考かんが

えます

(10) 1) 私わたし

に 使つか

えます   

   2) 説せつめいしょ

明書を 読よ

みます

例題1<解説>

「〜と思う」と「〜と思っている」

 「〜と思う」は頭の中で考えている内容の引用

ですから、引用句はいつも普通体で、「です/ま

す」体や「ね/よ」のような終助詞は現れません。

 注意してほしいのは、「〜と思う」文の主語は

いつも発話者=私(質問文では相手=あなた)

だということです。第三者の気持ちを表したい

ときは「〜と思っている」しか使えません。

 このような一人称動詞には「思う/考える/

感じる」などがありますが、これらの動詞は「私

は〜と思う/思っている」「彼(第三者)は〜と

思っている」のように覚えてしまった方が早い

でしょう。

A:あなたは日本語は難しいと思います(⇄

  思っています)か。

B:はい、私は日本語は難しいと思います(⇄

   思っています)。

A:李さんは日本語が難しいと思っています

  (×思います)か。

B:はい、彼は難しいと思っています (×思い

  ます)。

 「〜と思う」は推量の気持ちも表しますが、こ

の場合、「〜だろう」よりも確信に近い表現にな

ります。

80

例題2 

(例) 1) 遅ち

刻こく

します    2) 時じ

間かん

を 守まも

ります

<普通の会話>

A :どうして 彼は あんなに 遅刻するんでしょう?

B :時間を 守るように 言ったら どうですか?

A :いつも 遅刻するな、 時間を 守れと 言ってるん

   ですけどね。

<フレンドリー会話>

A :どうして 彼は あんなに 遅刻するんだろう?

B :時間を 守るように 言ったら どう?

A :いつも 遅刻するな、 時間を 守れと 言ってるん

   だけどね。

(1) 1) 何なん

でも 人ひと

に 頼たよ

ります   

   2) 自じ

分ぶん

で やります

(2) 1) 途とちゅう

中で あきらめます   

   2) 最さい

後ご

まで やり抜ぬ

きます

(3) 1) 早はやくち

口で しゃべります   

   2) もっと ゆっくり 話はな

します

(4) 1) 無む

駄だ

遣づか

いを します    

   2) 節せつやく

約します 

(5) 1) 長ながでん

電話わ

を します     

   2) 用ようけん

件だけ 話はな

します

(6) 1) 人ひと

の 陰かげぐち

口を 言い

います   

   2) 本ほんにん

人に 直ちょくせつ

接 言い

います

(7) 1) 学がっこう

校を さぼります    

   2) きちんと 学がっこう

校に 来き

ます

(8) 1) 車くるま

の スピードを 出だ

します  

   2) 制せいげん

限速そく

度ど

を 守まも

ります

(9) 1) 乱らんぼう

暴な 言こと

葉ば

遣づか

いを します 

   2) 言こと

葉ば

に 注ちゅうい

意します

(10) 1) すぐ 怒おこ

ります      

   2) がまんします

                   

例題2<解説>

命令形と禁止形

 五段動詞は「エ段」がそのまま命令形で、一

段動詞は「ーろ」をつけた形が命令形になりま

す。禁止形は動詞の種類に関係なく「原形+な」

の形です。

 なお、会話で命令形や禁止形を不用意に使う

と、人間関係を壊してしまいます。会話で使わ

れるとしたら、上位者が下位者を叱ったり、軍

隊や工場やスポーツの訓練などで、上司や監督

が指示する場合でしょう。しかし、最近、会社

でも上司が部下に仕事の指示をするのに命令や

禁止形を使うことはほとんどなくなりつつあり

ます。

 例外があるとすれば、「がんばれ!」のように

相手を励ますときや、「危ない。触るな!」「逃

げろ」のような緊急事態のときや、「止まれ!」「右

折禁止!」等の交通標識などの表示です。

 

 書 き ます    食べ ます  

   く な        る な

   け          ろ  

 する→ しろ→ するな    

 来[く]る→ 来[こ]い→来[く]るな

依頼文や命令・禁止文の引用

<命令>

 電話を‐しろと    

→電話を‐するように

 電話を‐するなと

→電話を‐しないように

<依頼>

 電話を‐してくれと   

→電話を‐するように

→電話を‐してくれるように

 電話を‐してくださいと 

81

例題3 

(例) 1) 鈴すず

木き

さんは どこに 泊と

まる 予よ

定てい

ですか

   2) 車くるま

で 行い

きますか 

A : 鈴木さんは どこに 泊まる 予定なんですか。

B :さあ、どこに 泊まる 予定か、 知りません。

A :じゃ、車で 行くんですか。

B : 車で 行くか どうか、それも 僕は 知りません。

(1) 1) パーティーは いつ 開ひら

きますか 

   2) 学がっこう

校で 開ひら

きますか

(2) 1) 鈴すず

木き

さんは いつ 帰かえ

りますか 

   2) 今いま

、 会かいしゃ

社に いますか

(3) 1) そこは どんな 町まち

ですか  

   2) にぎやかですか

(4) 1) その 絵え

は いくら しましたか 

   2) 高たか

かったですか 

(5) 1) 今こん

度ど

の 会かい

議ぎ

は いつに なりますか

   2) 来らいしゅうちゅう

週中に 開ひら

きますか

(6) 1) 誰だれ

が この机つくえ

を 壊こわ

しましたか 

   2) この クラスの 人ひと

ですか

(7) 1) 金キム

さんは 卒そつぎょうご

業後 どうしますか

   2) 帰き

国こく

しますか

(8) 1) それは どこで 売う

っていますか

   2) 新しんじゅく

宿で 売う

って いますか

(9) 1) 彼かれ

は 誰だれ

に お金かね

を 借か

りましたか

   2) 李リー

さんですか

(10) 1) 何なに

が 事じ

故こ

の 原げんいん

因ですか  

   2) 酔よ

っぱらい運うんてん

転ですか

例題3<解説>

疑問文の引用

 疑問文が文中にある文を間接疑問文と言いま

す。疑問詞がある場合は(「疑問詞)〜か」、疑

問詞がない場合は「〜かどうか」と覚えればい

いでしょう。なお、動詞やイ形容詞はそのまま

普通形に変えて引用すればいいのですが、名詞

とナ形容詞の時は「だ」がつきません。

 名詞    :   ×       か

 動詞・形容詞:普通形<ナ形ー×>  かどうか

<疑問詞がある場合>

A:どこが故障しましたか。

B:どこが故障したか、まだわかりません。

A:期末試験は何日か、知っていますか。

B:いいえ、知りません。

<疑問詞がない場合>

A:おいしいかどうかは、食べてみればわかり

  ますよ。

B:そうですね。

A:その人はきれいな人ですか。

B:さあ?きれいかどうか、知りません。

82

例題4 

A :この 果物、 どんな 味が するんですか。

B :どんな 味(1)

か/かどうか)、 食べた ことが ない

   ので わかりませんが、 おいしい(2)

か/かどうか)

は   食べて みれば わかりますよ。

A :味は どうですか。 

B :奇妙な 味で、私は あまり (  A  )ね。

(1) 1)2)は正しい方を選んでください。

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

① おいしいと 思います

② おいしかったと 思います

③ おいしくないと 思います

④ おいしいとは 思いません

例題5

A :日に

本ほんじん

人は 二に

回かい

 お礼れい

を 言い

うって 聞き

いて いますが、ほ

ん   とうですか。

B :ええ、一いち

度ど

目め

は その 場ば

で、二に

度ど

目め

は 次つぎ

に その 人ひと

   会あ

った ときに、 「先せんじつ

日は どうも ありがとうございまし

た」   ( a )、「この間あいだ

は どうも ごちそうさまでした」( b

 )    言います。

(1) 下線部の「〜って」と同じものはどれですか。

  ① 私わたし

は 李リー

って 言い

います。          

  ② 「援えんじょこうさい

助交際」って どういう 意い

味み

ですか。  

  ③ 彼かれ

、 早わ

稲せ

田だ

大だいがく

学に 合ごうかく

格したんだって。   

  ④ 木き

村むら

さんって 方かた

から 電でん

話わ

が ありました。

(2) (a )(b )の中に入る適当なものはどれですか。

  ① と          ② とか

  ③ という        ④ って

例題4<解説>

「〜ないと思う」

「〜とは思わない」

 「〜と思う」が含まれる会話では、以下のよう

な応答になるのが普通です。

A:おいしいと思いますか。

B:→ええ、おいしいと思います。

  →いいえ、おいしいとは思いません。

A:おいしくないと思いますか。

B:→ええ、おいしくないと思います。

  →いいえ、おいしいと思います。

 「〜とは思わない」は基本的には相手が予想し

たり期待している事実と異なるときに使う否定

表現です。これ以外にも、「あんな奴にできると

は思わない」のように、相手を非難・蔑視する

気持ちで使うときは「〜とは思わない」です。

 例題5<解説>

「〜って」の整理

 「〜って」は「〜と/〜という/〜というのは」

の全てを表せる口語形です。

* 〜というN(⇄って/⇄っていう)

 山田って(=という)人から電話があったよ。

* 〜というN(⇄って/⇄っていう)

 合格したって(=という)知らせ

* 〜というのは(⇄って/⇄ってのは)

 東大って(=というのは)、東京大学の略だ。

* 〜ということだ/〜とのことだ(⇄って)

 明日は雨が降るんだって(=とのことだ)。

〜とか〜とか言う

 複数の発言内容を引用するときは、「〜とか〜

とか言う」の形になります。

 李さんは、いつも家賃が高いとか、部屋が狭

い とか不満を言っています。

83

例題6

先せんせい

生:李リー

君くん

が 帰かえ

ったら、すぐ 事じ

務む

室しつ

に (  A  ) 

   伝つた

えて くれる?

A :はい、 わかりました。・・・(李リー

君くん

が 帰かえ

って きて)・・・

A : 李リー

君くん

、先せんせい

生が すぐ 事じ

務む

室しつ

に 来て くれって

   (1)

言い

った/言い

ってた)よ。

李リー

 :ありがとう。それで 何なん

の 用よう

事じ

(2)

か/かどうか)

   (3)

言い

った/言い

ってた)?

A :ううん、それは (4)

聞き

かない/聞き

いてない)。 

(1) 1)〜4)は正しい方を選んでください。

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 来こ

いと        ② 来く

るなと

  ③ 来く

るように      ④ 来こ

ないように

例題7 

李 :もしもし、私、○○企画の 李と 申しますが、木村

   専務を お願いします。

秘書:申し訳ございません。木村は ただ今 席を 外して

   おりますが、何か 急の ご用件でしょうか。

李 :いいえ、急用という ほどの ことでは ありません

   が、お戻りに なられましたら、会社の 方に 電話

   を (  A  ) お伝えいただけないでしょうか。

・・・(木村専務が帰ってきて)・・・

秘書:○○企画の 李様から お電話が ありまして、会社

   の 方に 電話して ほしい (  B  )。

(1) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① くれと       ② くださいと

  ③ くれるよう     ④ くださるよう

(2) (B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① と言いました    ② と言っていました

  ③ とのことでした   ④ とおっしゃっていました

例題6〜7<解説>

依頼文を引用する

「〜ように」と「〜ないように」

 「〜と」は直接的な引用なので、「〜てくれと

言っていた/〜しろと言っていた/〜するなと

言っていた」などの言い方は友だちとのフレン

ドリー会話でしか使われていません。

 一方、「〜ように」を使うと間接的になり口調

も和らぎます。日本ではたとえ部下への指示で

あっても「李君に部長室に来いと伝えてくれ」

と言うことは少なく、「李君に部長室に来るよう

に伝えてくれ」と言うのが普通です。

「〜と言っていた」

「〜とのことだった」

 伝言の内容を伝えるとき、フレンドリー会話、

フォーマル会話の区別なく、最も一般的に使わ

れているのは「〜とのことだ/〜とのことでし

た」です。「〜と言っていた/〜とおっしゃって

いた」はフレンドリーな会話や、プライベート

な私的な会話では使われますが、会社やビジネ

ス会話の場面ではほとんど使われません。

 なお、「〜とのご伝言がありました/〜とのご

伝言でした」は、秘書などが使うもっと改まっ

た言い方になります。

<フレンドリーな会話>

 李君、先生がすぐ事務所に来い(⇄来てくれ)

 と言っていた(⇄とのことだった)よ。

 李君、先生がすぐ事務所に来るように言って

い た(⇄とのことだった)よ。

<フォーマルな会話>

 課長、社長がすぐ事務所に来てくれとのこと

で した(⇄とのご伝言でした)。

 課長、社長がすぐ事務所に来るようにとのこ

と でした(⇄とのご伝言でした)。

84

13. 自動詞と他動詞の表現

よく使う文型

  (人)が (対象物)を <他動詞>します

  (対象物)が <自動詞>します

要点の整理

 ★ 自動詞と他動詞の基本的な使い分け

 ひとつの現象は行為者(人)に焦点をあてるか、

対象物(物・こと)に焦点を当てるかで、二通りの

表現が可能です。例えば、あなたが李さんの行為に

注目すると、それが他動詞文です。「窓ガラスがどう

なったか」に注目すると、自動詞文です。

   (李さんが) 窓ガラスを 割りました。

         窓ガラスが 割れました。

 ★ 他動詞と自動詞の文末表現

 他動詞は人の行為ですから、つまり意志や感情が

存在します。ですから、「〜たいです/〜てください

/〜なければなりません/〜てもいいです/〜方が

いいです」など意志や感情を表す文型と結びつきます。

    辞書を 買いたいです。

        買わなければなりません。        

        買ってください。

 しかし、自動詞は「物/こと」が主語ですから、意志も感情も存在しません。

    雨が 降りたいです。(??)

       降るつもりです。(??)

 ただし、例外があります。それは「歩く/走る/笑う/泣く・・・」のような「人」が主語になる自動詞が一部あるからで、

この場合は意志や感情を表す文型と結びつくことができます。この区別が、「〜ている」や「〜ておく」「〜てある」な

どの文型を理解する基本となります。

    あなたは 寝たいですか。

         寝てください

         寝なければなりません。

 

動作する人

対象物

見る人

85

よく使う文型

  (人)が (対象物)を <他動詞>します

  (対象物)が <自動詞>します

要点の整理

 ★ 自動詞と他動詞の基本的な使い分け

 ひとつの現象は行為者(人)に焦点をあてるか、

対象物(物・こと)に焦点を当てるかで、二通りの

表現が可能です。例えば、あなたが李さんの行為に

注目すると、それが他動詞文です。「窓ガラスがどう

なったか」に注目すると、自動詞文です。

   (李さんが) 窓ガラスを 割りました。

         窓ガラスが 割れました。

 ★ 他動詞と自動詞の文末表現

 他動詞は人の行為ですから、つまり意志や感情が

存在します。ですから、「〜たいです/〜てください

/〜なければなりません/〜てもいいです/〜方が

いいです」など意志や感情を表す文型と結びつきます。

    辞書を 買いたいです。

        買わなければなりません。        

        買ってください。

 しかし、自動詞は「物/こと」が主語ですから、意志も感情も存在しません。

    雨が 降りたいです。(??)

       降るつもりです。(??)

 ただし、例外があります。それは「歩く/走る/笑う/泣く・・・」のような「人」が主語になる自動詞が一部あるからで、

この場合は意志や感情を表す文型と結びつくことができます。この区別が、「〜ている」や「〜ておく」「〜てある」な

どの文型を理解する基本となります。

    あなたは 寝たいですか。

         寝てください

         寝なければなりません。

 

13. 自動詞と他動詞の表現

86

例題1 

(例) ヒーターが つく       

 → ヒーターを ( つける )    

A :もう ヒーターが つきましたか?

B :いいえ、 まだです。

A :じゃ 早く ヒーターを つけて ください。

(1) ビールが 冷える        

 → ビールを (         )  

(2) テレビが 直る        

 → テレビを (         )  

(3) お金が 集まる        

 → お金を  (         )  

(4) 行き先が 決まる       

 → 行き先を (         )  

(5) 会議が 始まる        

 → 会議を  (         )  

(6) 部屋が 片づく        

 → 部屋を  (         )  

(7) 子供が 起きる         

 → 子供を  (         )  

(8) パンが 焼く          

 → パンを  (         )  

(9) 結論が 出る          

 → 結論を  (         )  

(10) お茶が 入りる          

 → お茶を  (         )  

例題1<解説>

よく使う対の他動詞・自動詞

 <他動詞>     <自動詞>

開(あ)ける    開(あ)く 

上(あ)げる    上(あ)がる

集(あつ)める   集(あつ)まる

入(い)れる    入(はい)る

動(うご)かす   動(うご)く

生(う)む     生(う)まれる

売(う)る     売(う)れる

起(お)こす    起(お)きる

落(お)とす    落(お)ちる

下(お)ろす    下(お)りる

変(か)える    変(か)わる

かける       かかる

片(かた)づける  片(かた)づく

乾(かわ)かす   乾(かわ)く

聞(き)く     聞(き)こえる 

決(き)める    決(き)まる

切(き)る     切(き)れる

消(け)す     消(き)える 

壊(こわ)す    壊(こわ)れる

下(さ)げる    下(さ)がる

閉(し)める    閉(し)まる

育(そだ)てる   育(そだ)つ

建(た)てる    建(た)つ

出(だ)す     出(で)る

つける       つく

続(つづ)ける   続(つづ)く

釣(つ)る     釣(つ)れる

止(と)める    止(と)まる

取(と)る     取(と)れる

直(なお)す    直(なお)る

残(のこ)す    残(のこ)る

乗(の)せます   乗(の)ります

始(はじ)める   始(はじ)まる

冷(ひ)やす    冷(ひ)える

87

例題2 

(例)  1)冷房を つける      

    2)冷房が ( つく )   

A :誰か 冷房を つけてください。

B :私が つけましょう。

A :冷房が つきましたか。

B :はい、つきました。

(1) 1) 暖房を 入れる        

   2) 暖房が (       )    

(2) 1) ドアを 閉める        

   2) ドアが (       )    

(3) 1) 窓を 開ける         

   2) 窓が  (       )    

(4) 1) シャッターを 下ろす    

   2) シャッターが (       ) 

(5) 1) テレビを 直す       

   2) テレビが (       )   

(6) 1) 火を 消す         

   2) 火が (       )     

(7) 1) タクシーを 止める      

   2) タクシーが (       )  

(8) 1) 金さんを 起こす      

   2) 金さんが (       )   

(9) 1) 彼に 電話を かける     

   2) 電話が (       )    

(10) 1) 荷物を 動かす       

   2) 荷物が (       )   

例題2<解説>

「が」自助詞と「を」他動詞

 よく使う対の自他動詞は表に載せておきまし

たが、これ以外にも相当数あります。

 一番いい覚え方は、「〜が見える」「〜を見る」

のように最初から助詞の「が」「を」といっしょ

に覚えていくことです。そうすれば瞬間に自他

動詞の区別が付きますし、口頭会話のときも反

射的に助詞が浮かんできます。

自動詞と可能形が同形の動詞

 自動詞と可能形が同じものがあります。

 この はさみは よく 切れる。

 この はさみは <鉄が> 切れる。

 可能文には「対象=鉄」が存在しますが、自

動詞文には「対象+が」が存在しません。可能

文の基本型は以下のようです。

 可能文:(主語)は(対象)が〜(ら)れる

動詞例

   他動詞   自動詞   可能形

   釣る    釣れる   釣れる

   売る    売れる   売れる

   折る    折れる   折れる

   取る    取れる   取れる

   割る    割れる   割れる

   脱ぐ    脱げる   脱げる

   解く    解ける   解ける

   抜く    抜ける   抜ける

   書く    書ける   書ける 

   焼く    焼ける   焼ける

   切る    切れる   切れる

   裂く    裂ける   裂ける

   解く    解ける   解ける

88

例題3 

夫おっと

  :先せんせい

生、まだ (  A  ) か。

看かん

護ご

婦ふ

:お父とう

さん、(1)

落お

ち着つ

いて/落お

ち着つ

けて) ください。

    まもなく (  B  ) よ。

赤あか

ん坊ぼう

:おぎゃあ おぎゃあ。

看かん

護ご

婦ふ

:おめでとうございます。 元げん

気き

な 男おとこ

の 赤あか

ちゃん

    ですよ。

(1) 1)は正しい方を選んでください。

(2) (A)(B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 生う

みます     ② 生う

まれました

  ③ 生う

まれます    ④ 生う

まれません

例題4 

A :李リー

君くん

が 来こ

ないから、会かい

議ぎ

を (  A  )にも

   始められないなあ。 

B :彼、「会かい

議ぎ

が (  B  )のは いつも 一いち

時じ

間かん

   ぐらい (1)

遅おく

れる/遅おく

らす)んだから」って 昨きのう

   言い

ってたから、(2)

遅おく

れて/遅おく

らして)くる つもりじゃ

   ない?

A :でも、他ほか

の メンバーは もう (3)

集まって/集めて)

   いるんだし、これ 以いじょう

上 会かい

議ぎ

を (4)

遅おく

れる/遅おく

らす)

   わけには いかないよ。

(1) 1)〜4)は正しい方を選んでください。

(2) (A)(B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 始はじ

める       ② 始はじ

まる

  ③ 始はじ

めよう      ④ 始はじ

まろう

例題3<解説>

「生む」「生まれる」の笑い話

 教え子の中に日本の女性と結婚した中国の青

年がいました。いわゆる学生結婚で、私は親代

わりとして列席しました。

 さて、その彼がある日私に電話をかけてきま

した。そして興奮した声で、「今日、子供を生み

ました、子供を生みました」と興奮して、大喜

びで報告してくれました。それを聞いて、私は

電話口で大笑いをしました。

 「はっはっは、男の君に子供が生めるの?

 こんなときは子供が生まれたというんだよ」

 でも、実は笑えない笑い話でした。中国語に

は自動詞と他動詞の区別がはっきりしないので、

このような間違いがしばしば起こるのです。

例題4<解説>

「意向形」は意志動詞から

 (A) は「(意向形)にも〜(ら)れない」とい

う文型の一部ですが、これは「〜しようと試み

てもできない」という意味を表しています。

 さて、「雨が降れる」「雨が降ろう<意志>」

が成立しないのは、主語が非情物の動詞、つま

り意志や感情のない「物」しか主語に取れない

無意志動詞だからです。

 意向形や可能形は「人」が主語になる意志動

詞から作られます。他動詞は全て意志動詞です

が、「歩く・走る・寝る」などの「人」が主語に

なる自動詞も含まれます。

 〜を 始める

    始めよう

    始められる

 〜が 始まる

   *始まろう

   ×始まれる

 

89

例題5 

A :あっ、しまった!タバコの 火で 畳たたみ

(1)

が/を) 

   (  A  )。

B :何なに

を してるの。早はや

く 火ひ

(2)

が/を) (  B  )よ。

   火か

事じ

に (3)

なる/する)じゃないの。

A :ああ、危あぶ

ない ところだった。 

(1) 1)〜3)は正しい方を選んでください。

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 焦こ

げて いる   ② 焦がして いる

  ③ 焦がせて いる  ④ 焦がされて いる

(3) (B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 消き

えて      ② 消け

して

  ③ 消け

せて      ④ 消け

させて

例題6 

ガイド:みなさん、右みぎ

の 方ほう

(1)

が/を) (  A  ) くだ

さ    い。お城しろ

(2)

が/を) (  B  )か。 

みんな:は〜い。

ガイド:あれが 皇こうきょ

居です。中なか

には 展てんじじょう

示場が あって、

    日に

本ほん

の 古こ

代だい

の 品しなじな

々(3)

が/を) (  C  )。

    まもなく バスは 皇こうきょまえ

居前に 停ていしゃ

車します。 

(1) 1)〜3)は正しい方を選んでください。

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 見み

て       ② 見み

せて

  ③ 見み

えて      ④ 見み

られて

(3) (B)(C) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 見み

ます      ② 見み

せます

  ③ 見み

えます     ④ 見み

られます

例題6<解説>

「〜が見える」と「〜が見られる」

 自然に目に入ってくる状態が「見える」(自動

詞)です。

 ほら、あそこに富士山が見えるよ。

 彼女は目が見えない。

 「方法・手段や条件があれば<見る>ことが可

能」であるのが「見られる」(可能形)です。

 上野動物園に行けば、パンダが見られる。

 顕微鏡で、細菌が見られる。

 なお、「〜つもりだ/〜てください/〜たい…」

などの意志・依頼・希望などの表現は、他動詞

と「人」が主語になる一部の自動詞にしかつき

ません。

例題5<解説>

自動詞・他動詞の使い分け

 教室で自動詞と他動詞を教えるとき、私はラ

イターと紙を用意します。そして、紙に火をつ

けます。そして、先ず、燃えている紙を放置して、

自然に消えるのを待ちます。そして、「火が消え

ました」と言います。次に、燃えている紙を「危

ない」と言いながら、足で踏んで消します。そ

して、「私は火を消しました」と言います。

 「最初のとき、あなたは何を見ましたか」と聞

くと、「紙です」と返事が返ります。「二番目の

とき、あなたは何を見ましたか」と聞くと、「先

生です」と返事が返ります。実はこれが自動詞

と他動詞の日本人の使い分けなのです。つまり、

人の動作に注目して、それを表したいのなら他

動詞です。対象物の状態に注目して、それを表

したいのなら自動詞です。また、「人」には意志

や感情がありますが、「物」にはありません。で

すから、「〜てください」や「〜たい」など依頼

や希望の表現は、人の動作を表す動詞(他動詞

と一部の自動詞)にしかつかないのです。

90

例題7 

A :お茶ちゃ

(1)

が/を) (  A  )か。

B :ええ、 お願ねが

いします。

・・・(しばらくして)・・・

A :さあ、 お茶ちゃ

(2)

が/を) (  B  )。どうぞ。

B :いただきます。

(1) 1)2)は正しい方を選んでください。

(2) (A)(B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 入はい

りましょう   ② 入い

れましょう

  ③ 入い

れました    ④ 入はい

りました

例題8

A :もう 街まち

に ジングルベル(1)

が/を) (  A  ) 

   季き

節せつ

に なったね。 

B :うん、もうすぐ クリスマスだからね。

A :近ちか

くに ロックの 生演奏(2)

が/を) (  B  )

   店みせ

は ないかなあ?

B :確たし

か 駅えきまえ

前に あったと 思おも

うけど。

A :じゃ、 今いま

から いっしょに 行い

かないか。

B :いいよ。僕ぼく

も ロック(3)

が/を) (  C  )のは

   久ひさ

しぶりだから。 

(1) 1)〜3)は正しい方を選んでください。

(2) (A) 〜(C) の中に入る適当なものはどれですか。

① 聞き

く ② 聞き

こえる

③ 聞き

ける ④ 聞き

かれる

例題7<解説>

お茶が入りました。どうぞ。

 お茶は自分で「入る」ことはできませんから、

中国語や英語のように他動詞を使って「お茶を

入れました。どうぞ」と言ってもいいはずですが、

日本人は「お茶が入りました。どうぞ」と自動

詞を使います。

 他動詞を使って「(私が)お茶を入れました」

と言うと、行為者=「私」が文脈に浮かび、「私」

の意志が強調されますから、相手に対する好意

の押しつけになると感じるのが日本人の感覚で

す。「私」を語らず「自然にそうなった」ように

語るのは、相手が遠慮しないようにという配慮

とも言えます。

例題8<解説>

「〜が聞こえる」と「〜が聞ける」

 自然に耳に入ってくる状態は「聞こえる」(自

動詞)です。

 街からロック音楽が聞こえる。

 隣の部屋から母の声が聞こえた。

 人が「しようと試みれば<聞く>ことが可能」

なら「聞ける」(可能形)ですから、「聞ける」

が使われるのは、何か特別な状況下にある音や

声で、そうしようと試みなければ聞くのが困難

な場合です。一般に可能形は「<能力><条件

><状況><方法>があって、行為が実現でき

る」ことを表します。

 この店でロック音楽が聞ける。

 久しぶりに電話で母の声が聞けた。

 例えば、「母の声が聞こえる」は自然に耳に入っ

てきたことを表しますが、「母の声が聞けた」は

何かの事情で長く母親と連絡できなくて、久し

ぶりにお母さんに電話したときでしょう。

91

14.「する」と「なる」の表現

よく使う文型

 <変化>  イ形容詞ー[い]- :〜く します/〜く なります

  ナ形容詞ー[な]- :〜に します/〜に なります

  名詞       :〜に します/〜に なります

  動詞の原形/ない形:〜ように します/〜ように なります

  [ない]形     :〜なく なります

 <決定・予定>

  動詞の原形/ない形:〜ことに します/して います

  動詞の原形/ない形:〜ことに なります/なって います

要点の整理

 ★ 「〜ようにする」と「〜ようになる」

 「〜ようにする」は「〜状態にする」が原義ですが、そこから「〜ように努力する」という意味も表すようになります。

「〜ようにしてください」は「〜ように努力してください」という意味なので、丁寧な依頼表現としても使われますが、

主に継続的な努力を要請する表現になります。

 「〜ようになる」は「〜状態になる」意味ですから、状態や習性などの変化を表します。その場合、可能形や「わかる」

のような状態動詞につくときは能力や条件の変化、「食べる/飲む/吸う…」などの動作性の動詞につくときは習性・習

慣の変化と考えればいいでしょう。

   早く 日本語が 話せるように なりたいです。      <能力や条件の変化>

   彼女は 最近、タバコを 吸うように なりました。    <習性・習慣の変化>

 ★ 「〜ことにする」と「〜ことになる」

 「〜ことにする」は自己の意志で決定することに使い、「〜ことになる」は自己の意志に関係のない集団や組織の決定や、

自然の成り行きを表します。

 「〜ことにしている」は自分で決めた予定や自分の習慣を、「〜ことになっている」は集団が決めた予定や規則・風俗

を表すようになります。

  <〜ことにしている>

   明日 行く ことに している。        <自分自身で決めた予定>

   健康のために 早起きする ことに している。 <自分の習慣>

  <〜ことになっている>

   (会社の命令で、)明日 行く ことに なっている。     <会社で決めた予定>

   葬式には 黒い服を 着る ことに なっている。      <風俗・慣習>

   ここでは 写真は 撮っては いけない ことに なっている。<法律・規則>

92

例題1 

(例1) 1) 部屋が 汚い   2) 掃除する

A : 1)

部屋が 汚くなりましたね。

B :そうですね。 2)

掃除しましょうか。

B :ええ、 そう しましょう。

(1) 1) 昼休みの 時間  2) 食事に する

(2) 1) もう 夜     2) 帰る

(3) 1) 作業が 大変だ  2) 応援を 頼む 

(4) 1) 少し 暇だ    2) 一服する 

(5) 1) だいぶ 古い   2) そろそろ 取り替える 

(6) 1) 寒い       2) 暖房を 入れる 

(7) 1) 空気が 悪い   2) 窓を 開ける

(8) 1) 暗い       2) 道を 急ぐ

 

(例2) 1) 会費が 高い    2) 参加者が いない 

A :会費を 高くしませんか。

B :でも、会費を 高くしたら、

   参加者が いなくなるんじゃないですか。

(1) 1) 仕事は 明日 

   2) 期限に 間に 合わない

(2) 1) 服装が 自由だ

   2) 規律が 保てない 

(3) 1) 集合時間が 早い 

   2) みんなが 集まれない

(4) 1) 時給が 安い  

   2) みんなが 働かない 

(5) 1) 味が 辛い    

   2) 子供が 食べられない

例題1<解説>

「する」と「なる」

接続の形

  暖か い            

     くする

     くなる 

             

  きれい な

      にする

      になる

  医者 だ

     にする

     になる

  話す  ×

     ようにする

     ようになる 

意味と用法

 「する」「なる」は形容詞・名詞とも結びつき

ますが、「(〜く/〜に/〜ように)する」は他

動詞文型を、「(〜く/〜に/〜ように)なる」

は自動詞文型を作ると覚えておきましょう。

 父親が 息子を 医者にした。      

     息子が 医者になった。     

93

例題2 

(例1) 日本語で 手紙を 書く

A :もう、日本語で 手紙が 書けますか。

B :いいえ、 まだです。

A :でも 努力すれば、書けるように なるでしょう。

(1) 日本の 新聞を 読みます

(2) 刺身を 食べます

(3) パソコンを 使います

(4) 500 メートル 泳ぎます

(5) ピアノを 弾きます

(例2) 1) タバコを 吸います  

    2) 大学に 入ります

A :いつから タバコを 吸うようになりましたか。

B :大学に 入ってからです。

(1) 1) お酒を 飲みます   

   2) 会社に 勤めます

(2) 1) お化粧を します   

   2) 高校を 卒業します

(3) 1) 真面目に 働きます

   2) 子供が できます

(4) 1) 早起きします    

   2) ジョギングを 始めます

(5) 1) 眼鏡を かけます   

   2) 二年前です

例題2<解説>

〜ようになる

 前に来る動詞はほとんど可能形ですが、「〜よ

うになる」は「〜状態になる」意味ですから、

状態や習性などの変化を表します。その場合、

可能形や「わかる」のような状態動詞につくと

きは状態変化、「食べる/飲む/吸う…」などの

動作性の動詞につくときは習性・習慣の変化と

考えればいいでしょう。

<状態の変化>

 毎日練習したので、500 メートル泳げるよう

に なった。

 早く日本語が話せるようになりたいです。 

 

<習性・習慣の変化>

 彼女は最近、タバコを吸うようになりました。

94

例題3 

(例1) 1) この 夏休みに どこに 行きますか 

    2) 北海道に 行きます    

   A :こ

1)

の 夏休みに どこに 行くか 決めましたか。

B :北2)

海道に 行くことに しました。 

(1) 1) 母の 日の プレゼントに 何を 買いますか 

   2) 花を 買います   

(2) 1) いつ 国へ 帰りますか      

   2) 来週 帰ります   

(3) 1) 何時に 出発しますか    

   2) 明日の 朝 出発します   

(4) 1) その 翻訳を 誰に 頼みますか   

   2) 誰にも 頼みません    

(5) 1) 今度の 連休に どこに 行きますか 

   2) どこへも 行きません  

(例2) 1) どこに 行きますか  

    2) 奈良に 行きます。 

A :昨日の 会議で、ど1)

こに 行くか 決まりましたか。

B :奈2)

良へ 行くことに なりました。

(1) 1) 乗り物は 何で 行きますか

   2) バスで 行きます  

(2) 1) 会費を いくらに しますか     

   2) ひとり 三千円に します    

(3) 1) 企画書を いつまでに 仕上げますか   

   2) 今週中に 仕上げます    

(4) 1) 来賓に 誰を 呼びますか  

   2) 誰も 呼びません    

(5) 1) どこから お金を 借ります     

   2) どこからも 借りません

                   

例題3<解説>

「〜ことにする」と「〜ことになる」

接続の形

 動詞:原形/ない形 + ことに する

             ことに なる

意味と用法

 「〜ことにする」は自己の意志で決定すること

に使い、「〜ことになる」は自己の意志に関係の

ない集団や組織の決定や、自然の成り行きを表

します。

 (この件は急ぐから、)明日行くことにする。

 

 (会社の命令で、)明日行くことになった。 

 

 A:飲み物は何にしますか。

 B:コーヒーにします。

  

 A:会議はいつになりましたか。

95

例題4 

(1)

妻 :夜に (1)

する/なる)と、寒く (2)

する/なる)から、

   ジャケットを 持って 行ったら どう? 

夫 :うん、そう(3)

する/なる)。

   帰りが 遅く(4)

する/なる)時は、電話するよ。

(2)

妻 :私が 帰る までに、 部屋を きれいに (4)

して/

   なって) おいてね。

夫 :うん、 わかった。

      ・・・(妻が帰ってくる)・・・

妻 :部屋が ちっとも きれいに (5)

して/なって) い

な   いじゃないの。 ほんとうに 掃除は したの?

夫 :したよ。文句ばかり 言うんだったら、 自分で 

   したら いいじゃないか。

妻 :家事分担は 結婚前の 約束よ。今に (6)

して/なっ

   て) よくも そんな ことが 言えるわね。

(3)

妻 :もう 少し テレビの 音を 大きく (7)

して/なっ

   て) くれないか。

夫 :これ 以上 大きく(8)

したら/なったら) 近所迷惑

   よ。最近は 騒音問題に みんな 敏感に(9)

して/

   なって) いるから、すぐ 苦情が来るわよ。

妻 :ああ、いつに (10)

したら/なったら)、こんな アパー

   ト暮らしから 抜け出せるんだろう。

(4)

夫 :やっと 貯金が 500 万円に (11)

した/なった)ね。

妻 :でも、家を 買う 頭金には 少し 足りないわ。

夫 :じゃ、中古住宅に (12)

しない/ならない)か。

妻 :駄目よ。家は 一生の 買い物だから、新築が 買

   る ように (13)

なる/する)まで 辛抱しましょうよ。

例題4<解説>

「〜する」と「〜なる」の使い分け

 例えば、「きれいにする」と「きれいになる」

を比べてみましょう。「きれいにする」は人為、「き

れいになる」は自然な変化です。

 わかりやすい例を挙げると、女の人が鏡に向

かってお化粧したり、きれいな服を着たり、装

飾品をつけたりして外出することがありますが、

これは「きれいにする」です。

 女の子が子供から少女へ、少女から娘さんへ

と成長し、次第に美しくなっていったのなら、「き

れいになる」です。

 うちの娘、きれいにして出かけたけど、デイ

ト かな?

 最近、あの娘さんはきれいになったね。

 また、「〜する」は動作主=「人」の意志があ

る行為に焦点があり、「〜なる」は対象=「人・物・

こと」の状態変化に焦点があります。

 テレビの音が大きくなった。

 私はテレビの音を大きくした。

 四季の移り変わりや自然現象は、もともと「人

の意志」に関わりのないことですから、そもそ

も「〜なる」しか使えません。

 春に なる。

 もうすぐ 二十歳に なる。

 雨が 雪に なった。

96

例題5

A  :私たち この 度 B子さんと 結婚する (1)

こと

    に しました/ことに なりました)。 

    今後とも よろしく お願いします。

同僚1:・・・パチパチパチ(拍手の音)・・・

    おめでとう。

    それで、もう 式の 日取りは 決まったの?

A  :ええ、 来年の 三月に。 

    その 時は、みなさん、ぜひ お越しください。

同僚1:もちろん 行くよ。みんな、今夜 前祝いに 二

人を 囲んで、いっぱいやる (2)

ことに しない/

    ように しない)か?

同僚2:賛成!それにしても、早く ふたりの 二世の 

    顔が 見たいなあ。

B  :・・・(顔を赤くして、うつむく)・・・

A  :はい、皆さんの ご期待に そえる(3)

ことに し

    す/ように します)。

同僚2:はっはっは。がんばるんだね。

同僚3:でも、子供を 作るのは 簡単だが、育てるのは

    大変だからなあ。

B  :それなんです。もう 少し 給料が 上がって、

    広い 部屋に 住める(4)

ことに ならない/よう

    ならない)と・・・。 

同僚1:やはり、女性の 方が 現実的だなあ。 

例題5<解説>

「〜ようになる」と「〜ことになる」

 「〜ようになる」は「事態が変化し、しだいに

〜なる」と状態変化を述べますが、「〜ことにな

る」は「〜に決まる」<決定>の意味の他に「必

然的に〜なる」ことも表します。

 いずれ、自分の愚かさに気づくようになるだ

 ろう。<変化>

 いずれ、自分の愚かさに気づくことになるだ

 ろう。<必然>

「〜ようにする」と「〜ことにする」

 「〜ようにする」は「〜ように努力する」とい

う意味ですから、努力目標を表すと考えればい

いでしょう。「〜ことにする」は確定的な決定事

項で、曖昧さがありません。

 タバコは吸わないようにする。<努力>

 タバコは吸わないことにする。<決定>

結婚することになりました

 「結婚することになりました」については、自

分たちの意志で結婚するのだから「〜ことにす

る」が正しいのではないかという質問を多く受

けます。

 さて、日本人もフレンドリーな会話では「結

婚することにした」と使いますし、それでいい

のです。しかし、日本では結婚は家と家が親戚

になるということが重要な意味を持っています

から、公式の結婚披露宴の招待状では「〜こと

になりました」が使われています。そして、「結

婚することになりました」には、「双方の両親も

快く二人のを承諾してくれて」という暗黙の意

味が込められています。

 もし、この会話例のような場で「結婚するこ

97

例題6 

A :日本に 来て 半年に (1)

します/なります)ね。 

   日本語は だいぶ (2)

話す/話せる)(  A  )か。

B :ええ、 おかげさまで。 簡単な 日常会話なら、

   (3)

する/できる)(  B  )。

(1) 1)〜3)は正しい方を選んでください。

(2) (A)(B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① ことに しました

  ② ことに なりました

  ③ ように しました

  ④ ように なりました

例題7 

A :最近、 体の 調子は いかがですか。 

B :毎朝 ジョギング(1)

する/できる)(  A  )から、

   体調も よく (2)

し/なり)、風邪も (  B  )。

A :それは よかったですね。

(1) 1)2)は正しい方を選んでください。

(2) (A)(B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① ように して   ② ように なって

  ③ ことに して   ④ ことに なって

(3) (B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 引かない ように しました 

  ② 引かなく しました

  ③ 引かなく なりました

  ④ 引かない ことに なりした

例題6<解説>

「話すようになる」

「話せるようになる」

 「話すようになる」が使われる場面を考えてみ

ると、何かの事情で「話そうとしなかった」者が、

何かを契機に話し始めたときです。

 犯人はやっと殺人の動機を話すようになった。

 「話せるようになった」は能力の修得や状況や

条件が整って可能になるということですから、

「話せるようになる」には以下のように二とおり

があるでしょう。

 子供は、普通三歳になると、親の話が分かる

よ うになる。<能力>

 戦後、民主主義国家になったので、何でも自

由 に話せるようになった。<条件> 

例題7<解説>

「〜ようにした」と「〜ことにした」

 例題7の(A) が「〜ようになって」か、「〜

ようにして」か、「〜ことにして」かが問題ですね。

 わかりやすく考えましょう。「〜ようになる」

は状態変化、「〜ようにする」は努力、「〜こと

にする」は決定です。

 とすれば、「〜ようにした/〜ようにしてから」

(=努力した)を使っても「〜ことにした/〜こ

とにしてから」(=決定した)を使っても、Aさ

んが実際に現在ジョギングしているかどうかは

不明になります。それは、まだ脳裏の世界だか

らです。

 しかし、「〜ようになった/〜ようになって」

なら、以前はしていなかったが、現在はジョギ

ングしていることがはっきりしています。

 このように、「〜ようにした」「〜ことにした」

98

例題8

先生:明日は 社会見学で ディズニーランドに 行く 

日   だが、バスは 学校前を 予定どおり 9時に 

出発   する (  A  ) から、絶対 遅刻しないこと。

遅れ

   たら、バスに (1)

乗る/乗れない)(  B  ) よ。

 

学生:は〜い。僕たち、社会見学が 終わった 後で、食

   放題の 店で 食事を する (  C  ) んです

が、   先生も ごいっしょに いかがですか。

先生:うん、僕も (2)

参加する/参加しない)(  D  )よ。

  (1) 1)2)は正しい方を選んでください。

(2) (A) 〜(D) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① ことに する    ② ことに して いる

  ③ ことに なる    ④ ことに なって いる

例題9

A :ああ、(  A  )!年を 取ると、何を やっても

   根気が (  B  )よ。  

B :僕もさ。昨年 胃の 手術を して から、ちょっ

と   無理を しても、すぐ (  C  )んだ。 

A :お互い、年は とりたくないねえ。

(1) (A)(C) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 疲れた 

  ② 疲れて いる

  ③ 疲れる ことに なった

  ④ 疲れる ように なった

(2) (B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 続けなかった   ② 続かなかった

  ③ 続けなく なった ④ 続かなく なった

例題9<解説>

「疲れる」と「疲れるようになる」

 動詞の中には「疲れる・太る・痩せる・直る・

治る・衰える・年を取る…」などのように、そ

れ自身が状態変化を表す変化動詞があります。

 あ〜あ、疲れた。ちょっと休もう。

 薬を飲んだら、風邪が治った。

 この場合、「疲れる+ようになる」のように「〜

ようになる」をつけると、長い期間そうでなかっ

た継続状態や習慣が、何かの理由で別の継続状

態や習慣に変わったという意味を表すようにな

ります。時代や年単位で状態変化をとらえた表

現と言っていいでしょう。

 胃の手術をしてから、ちょっと仕事をしても

 すぐ疲れるようになった。

 以前、結核は死の病と言われたが、現代では

治 療をすれば治るようになった。

例題8<解説>

「〜ことにしている」

「〜ことになっている」

 決定を表す「〜ことにする」と「〜ことになる」

の違いは、あなたが決定者かどうかにあります。

「〜ことにしている」が個人(私的なグループも

含む)の予定や個人の習慣を表し、「〜ことになっ

ている」が会社や学校などの予定や規則、法律、

慣例などを表すのも、「〜ことにする」「〜こと

になる」の違いから生まれたものです。

 (A) のようにに学校行事や、会社の会議で決

まった公的な事項は、仮に会議にあなたが参加

していても、「〜ことになる」を使うのが普通で

す。日本人にとって「公=所属する会社や団体」

は、「私」から独立した存在と考えられているか

らで、その決定は「〜ことになっている」を使

うと覚えておけばいいでしょう。

 なお、(C) のように主語が私個人でなく、「僕

たち」複数でも、自分たちが共同で決定した場

合は、「〜ことにしている」を使います。

99

15.「~ている」の表現

よく使う文型

  他動詞ーて形 - :(〜が〜を)〜て います

  自動詞ーて形 - :(〜が)〜て います

要点の整理

 ★ 動作の「〜ている」

 他動詞のほとんどは継続動詞で、その「〜ている」形は進行中の継続動作を表します。これを<動作の「ている」>

と呼ぶことにしましょう。この他動詞の時間的な流れを見ると、以下のようになります。

          書く<未来>→書いている<現在の動作>→書いた<完了> 

 しかし、「服を着る/靴を履く」などの身につける動作を表す瞬間動詞は例外で、「着る<未来>→着ている<現在の

動作>→着た<完了>→着ている<現在の状態>」のように、現在の動作も状態も表します。

 ★ 状態の「〜ている」

 自動詞の多くは現象や状態を表す無意志性の動詞です。そのほとんどは瞬間動詞で、一部の例外はありますが、「動作

完了の結果、眼前に現れている状態」を表します。これを<「状態の「ている」>と呼びましょう。この自動詞の時間

的な流れを見ると、以下のようになります。

       (人が)死んだ<過去>→死んでいる<現在>→死ぬ<未来> 

 ただし、自動詞の中には「歩く/走る/笑う/泣く・・・」のような人が主語になる動作性の自動詞や、「降る/輝く

100

例題1 

(例) 1) 本を 読みます   

   2) テレビを 見ます  

A :今、何を して いますか。

B :今まで 1)

本を 読んでいましたが、 

   今は 2)

テレビを 見ています。

(1) 1) 音楽を 聴きます    

   2) 掃除します       

(2) 1) 日本語を 勉強します 

   2) コーヒーを 飲みます  

(3) 1) 部屋を 片づけます    

   2) 料理を 作ります   

(4) 1) 親に 電話を かけます

   2) 洗濯します       

(5) 1) 食事を します    

   2) 皿を 洗います     

(6) 1) 本棚を 整理します

   2) 横に なります

(7) 1) 窓ガラスを 拭きます  

   2) 洗濯物を 干します  

(8) 1) 近くを 散歩します    

   2) 読書を します     

(9) 1) 勉強します       

   2) 少し 休みます     

(10) 1) 手紙を 書きます  

   2) ご飯を 食べます

例題1<解説>

動作の「〜ている」

 ここで取り上げてあるのは、他動詞や人が主

語の動作性自動詞です。これらの動詞の「ている」

形は継続動作を表します。

「今まで〜ていた」「今〜ている」

 この「〜ていた」はある時点まで継続してい

た動作を表しますが、現在に視点を置けば、「今

まで〜ていた」と覚えるといいでしょう。

101

例題2

(例) 1) 録音します  

   2) テープレコーダーが 故障します

A : 1)

録音することが できましたか。

B : 2)

テープレコーダーが 故障していて、

   1)

録音することが できませんでした。

(1) 1) 食べます        

   2) 腐ります         

(2) 1) 定刻に 着きます  

   2) 道が 混みます      

(3) 1) 彼と 連絡を 取ります 

   2) 出かけます       

(4) 1) 彼の 家を 探します 

   2) 住所が 変わります   

(5) 1) 会議に 出席します   

   2) 風邪を 引きます    

(6) 1) 金君に 会います   

   2) 外出します      

(7) 1) 中に 入ります      

   2) 鍵が かかります     

(8) 1) パソコンを 使います 

   2) ハードディスクが 壊れる     

(9) 1) 練習に 参加します    

   2) 仕事で 疲れます    

(10) 1) 目的地まで 行きます  

   2) 橋が 壊れます   

例題2<解説>

状態の「〜ている」

 ここで取り上げてあるのは、物が主語になる

自動詞で、これらの動詞の「ている」形は「〜

した結果、現在残っている状態」を表します。

日本語の動詞の過去・現在・未来

 動詞の原形はそのままでは未来か習慣的な行

為しか表すことしかできません。そのため「〜

ている」形が発達したのですが、「ある/いる/

わかる/できる(可能形)/要る」という五つ

の状態動詞を除く全ての動詞の「〜ている」形は、

動作か状態か習慣かにかかわらず、現在を表し

ます。つまり、「ている」形こそ日本語の現在形

なのです。

 現在形=〜ている形

 (今)テレビを見ている。 <現在・動作>

 (今)テレビが壊れている。<現在・状態>

 (毎日)テレビを見ている。<現在・習慣>

 未来形=原形    

 (明日)テレビを見る。  <未来・意志>

 (毎日)テレビを見る。  <現在・習慣>

102

例題3

(例) 食事を する

A :もう 食事を しましたか。

B :いいえ、まだ して いません。

(1) 李君は 来る

(2) 宿題が 終わる 

(3) 先生に 電話を する

(4) あの 映画を 見る

(5) この ことを 田中さんに 話す

(6) 先生に 電話を かける

(7) 入学願書を 送る

(8) 新しく 買った 辞書を 使う

例題4

(例) 1) 病院に 勤めます

   2) アメリカに 行きます  

A :鈴木さんは 今 どうしていますか。

B :一年前までは 1)

病院に 勤めていましたが、 

   今は 2)

アメリカに 行っています。

(1) 1) 京都に 住みます   

   2) 名古屋で 暮らします 

(2) 1) 中国に 留学します    

   2) 日本に 帰ります   

(3) 1) 大学院で 勉強します  

   2) 高校の 教師を します  

(4) 1) 大阪で 働きます   

   2) 田舎で 農業を します   

(5) 1) 看護婦を します    

   2) 退職します       

     

例題3<解説>

「まだ〜ない」と「まだ〜ていない」

 ある日本の初級教材に以下のような会話例が

出ていました。

A:もう昼ご飯を食べましたか。

B:いいえ、まだ食べません。

 「ている」形を習っていないので、不自然を承

知でこのような例文を作ったのでしょうが、「ま

だ食べません」では否定意志が表れて、「まだ食

べる意志がない」という意味になります。

 「もう〜ましたか」に対しては「今、どうなの

か」を答えなければなりません。日本語では一

般動詞の現在形は「〜ている」形ですから、「い

いえ、まだ〜ていません」答えるべきですね。

A:もう昼ご飯を食べましたか。

B:いいえ、まだ食べていません。

例題4<解説>

「〜まで〜した」と「〜まで〜していた」

 動作動詞の場合、「〜まで〜した」と「〜まで

〜していた」の二つの形が現れます。

 昨日、10 時まで 勉強した。

 昨日、10 時まで 勉強していた。

 「(時)まで〜した」は特定のある時点に終了

した動作を表し、話題の焦点は<時>にありま

す。 「(時)まで〜していた」はある時点まで

継続していた動作を表し、話題の焦点は<動作

>にあります。それを「〜に〜した」と併せて

図示したのが以下の図です。

103

例題5

A :橋(1)

が/を) (  A  )ね。

B :うん、先日の 洪水で (  B  )んだ。

(1) 1)は正しい方を選んでください。

(2) (A)(B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 壊した      ② 壊れた

  ③ 壊して いる   ④ 壊れて いる

例題6 

夫 :ただいま。

妻 :お帰りなさい。

夫 :ああ 寒い。 お酒を 一本 つけて くれないか。

妻 :今、ちょうど お酒を (  A  )ところよ。

   ちょっと 待って。

夫 :早く 頼むよ。

妻 :お待たせ。

夫 :あれ、 少しも (  B  )ぞ。

妻 :いつも 酒は 人肌って (  C  )じゃないの。

夫 :こんな 寒い 日は 熱燗が いいんだよ。

(1) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 暖めた      ② 暖まった

  ③ 暖めて いる   ④ 暖まって いる

(2) (B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 暖めない     ② 暖まらない

  ③ 暖めて いない  ④ 暖まって いない

(3) (C) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 言う       ② 言った

  ③ 言って いる   ④ 言って ある

例題5<解説>

眼前の状態は「(自動詞)ている」

 「自動詞+ている」は自然状態で、台風のよう

な自然現象の結果を述べるには自動詞を使って、

「壊れている」でなければなりません。

 先日、台風で橋が壊れた。

      ↓

 現在、橋が壊れている。

例題6<解説>

「暖めていない」と「暖まっていない」

 「私」「あなた」や、相手に説明しなくてもわ

かることは、会話ではどんどん省略されます。

 「暖めていない」は他動詞で、今動作が行われ

ていないことを表します。「暖まっていない」は

自動詞で、お酒の今の状態を表します。(B) は

どちらが適切ですか。

「〜と言う」と「〜と言っている」

 (C) は習慣を述べるとき、動詞の原形(辞書形)

を使うか、「ている」形を使うかという問題です。

 Aさんはいつも文句を言う。

 Aさんはいつも文句を言っている。

 「〜を言っている」は現在も反復されている行

為を表しますが、「〜を言う」は「〜傾向がある

/性格だ」という意味になります。

 習慣を表すとき、原形を使うか、「ている」形

を使うか迷ったら、「特性・傾向」は原形、反復

行為は「ている」形と使い分けましょう。

 彼は毎晩酒を飲む。(=悪習)

 彼は毎晩酒を飲んでいる。(=反復)

  

104

例題7 

A :今 何を (  A  )の?

B :今 さっきまで 宿題を (  B  )んだけど、

   ちょっと 疲れたから、(  C  ) ところなんだ。

   何か 用?

A :うん、進学の ことで (  D  )ことが あって、

   相談に 来たの。

B :じゃ、もう ちょっとで 宿題も (  E  )から、

   それまで コーヒーでも 飲みながら、(  F  )

   くれない?

A :うん、 わかった。

(1) (A)(B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① する       ② した

  ③ して いる    ④ して いた

(2) (C) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 休む       ② 休んだ

  ③ 休んで いた   ④ 休んで おいた

(3) (D) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 悩む       ② 悩んだ

  ③ 悩んで いる   ④ 悩んで いた

(4) (E) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 終わる      ② 終わった

  ③ 終わって いる  ④ 終わって いた

(5) (F) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 待って      ② 待たせて

  ③ 待って いて   ④ 待って おいて

例題7<解説>

「待ってください」

「待っていてください」

 「待ってください」は「ちょっと待ってくださ

い」のように相手を制止する場合か、「2〜3分

待ってください」のように比較的短い時間の待

機か、「明日まで待ってください」「次の機会を

待つ」のように、期待する事態の出現を望む場

合に使います。待つ場所は必ずしも特定されて

いません。

 一方、「待っていてください」は「<今から>

引き続き、<その場で>待ち続ける」ことを相

手に依頼するときに使います。そこには話者が

比較的長いと感じる時間があり、待つ場所は特

定されています。

 ですから、「(いつ)まで(どこ)で」と指定

している場合は、「待っていてください」が使わ

れると覚えましょう。

105

16.「~てある」と「~ておく」の表現

よく使う文型

  他動詞ーて形 - :〜て あります

  他動詞ーて形 - :〜て おきます

要点の整理

 「〜ておく/〜てある」は希に「歩く/走る/寝る/遊ぶ」などの動作性の自動詞につくこともありますが、基本的に

は他動詞につきます。

 ★ 〜ておく

(1) 準備行為の「(人)が〜を〜ておく」(=事前に〜ておく)

  今晩パーティーがありますから、(事前に)部屋を掃除しておきます。

(2) 状態保持、保存・放置の「(人)が〜を〜ておく」(=そのまま〜ておく)

  「ドアを閉めましょうか」「夫が帰ってきますから、(そのまま)開けておいてください」

  言いたい奴には言わせておけばいい。

 ★ 〜てある

(1) 人為状態の「(物)が〜てある」

 「自動詞+ている」は自然・物理状態、「他動詞+てある」は人為状態と言うことができます。「(誰か)が窓を開けた

→窓が開けてある」のように「を→が」と変わりますが、よく使われるのは「置く/貼る/書く/載せる/掛ける/並

べる/立てる…」のような行為の結果が見える他動詞です。

  お皿が 並べて ありますね。お客が 来るんですか。

  玄関に 花が 飾って ありました。

(2) 準備完了の状態「(人)は〜を〜てある」

 「〜ておいた」結果の状態が「〜てある」で、準備が終わった状態を表します。よく使われるのは「教える/伝える/

覚える/話す/頼む/読む/払う/選ぶ/研究する/準備する/用意する…」のような結果が目ではとられない動詞で、

この場合、「(人)は〜を〜てある」と覚えておくといいでしょう。

  私は 学生たちに 受験の 注意事項を 話して おいた。<準備完了>

  → 私は 学生たちに 受験の 注意事項を 話して ある。 <準備が完了した状態>

106

例題1 

(例) 切符を買う

A :切符を 買っておきましたか。

B :ええ、買っておきました。

A :もう、買ってあるんですか。じゃ、大丈夫ですね。

(1) アナンさんに 知らせる

(2) 宿題を する

(3) チケットを 予約する

(4) 食器を 並べる

(5) 掃除を する

(6) 明日の 予定を みんなに 伝える

(7) 窓の 鍵を かける

(8) 食事の 支度を する

(9) 先生に 電話を かける

(10) 材料を 用意する

動詞の種類と使い分け

        現在の動作   現在の習慣   現在の状態    準備・状態保持

 他動詞    〜ている    〜ている    〜てある      〜ておく                        (人為・意図)                          自動詞㈵   〜ている    〜ている    〜てある      〜ておく (主語=人)                  (人為・意図)

 自動詞㈼     ×       ×     〜ている        × (主語=物)                  (自然・不明)

例題1<解説>

準備の「ておく」と「てある」

 ここでは、事前準備の「〜ておく」の会話例

が取り上げられていますが、「〜ておいた」結果、

そこに存在する状態が「〜てある」なので、客

観的には同じ事柄を表しています。

 窓を閉めておいた。

    ↓

 (今)窓が閉めてある。

 ビールを冷蔵庫に入れておいた。

    ↓

 (今)ビールが冷蔵庫に入れてある。

 ただし、準備を完了させた行為を強調するの

が「〜ておいた」、その結果どうかという状態に

焦点を置いたのが「〜てある」です。

107

例題2

(例) 1) 窓を開ける   2) 寒い  

   3) 閉める

A : 1)

窓を 開けましょうか。

B : 2)

寒いですから、 3)

閉めてあるんです。

A :ああ、 それじゃ、 3)

閉めておきましょう。

(1) 1) 電気を 消す    2) もう少し 勉強する

   3) つける

(2) 1) 窓を 閉める    2) 換気している 

   3) 開ける

(3) 1) 冷房を 入れる   2) それほど 暑くない

   3) 消す

(4) 1) 食器を 片づける  2) まだ 食べていない

   3) その ままに する

(5) 1) この資料を 捨てる 2) 後で 必要に なる 

   3) 残す

(6) 1) ビールを 出す   2) まだ 冷えていない

   3) 冷蔵庫に 入れる

(7) 1) この工具を しまう 2) これから 使う  

   3) そこに 置く

(8) 1) この写真を はがす 2) 記念の 写真   

   3) 貼る

例題2<解説>

保持の「ておく」と「てある」

 ここでは、状態保持・放任の「〜ておく」の

会話例が取り上げられています。

 眼前の状態を誰かが目的や理由があってそう

した結果だと感じるときは「他動詞+てある」

で表します。状態表現なので、「(誰か)が窓を

開けた→窓が開けてある」のように「を→が」

と変わりますが、この表現は「〜が〜てある」

と覚えるといいでしょう。よく使われるのは「置

く/貼る/書く/載せる/掛ける/並べる」の

ような行為の結果が見える他動詞です。

 単純化していえば、「自動詞+ている」は自

然・物理状態、「他動詞+てある」は人為状態を

表すと言うことができます。例えば、ドアが開

いた状態を見て、「ドアが開いています」と言う

か、「ドアが開けてあります」と言うかが問題に

なりますが、単なる状態や意図が不明の時は「ド

アが開いています」のように「自動詞+ている」

を使えばいいでしょう。「ドアが開けてあります」

を使うのは、あなたが「お客が来るから」「換気

のために」のように、それが意図的行為の結果

=人為状態だと感じた時です。

 お皿が並べてありますね。誰か来るんですか。

 玄関に花が飾ってありました。

108

例題3

A :鈴木さんに 明日の 会議の ことを (  A  )

   (1)

いました/おきました)か。

B :ええ、電話で (  A  ) (2)

います/あります)。

A :じゃ、田中さんには?

B :あっ、うっかりしました。これから すぐ

   (  A  ) (3)

おきます/あります)。

(1) 1)〜3)は正しい方を選んでください。

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 知って      ② 知らせて

  ③ 知って いて   ④ 知られて

例題4 

A :ビールは どう しましたか。

B :まだ (  A  )ので、冷蔵庫に (  B  )が、

   すぐ 飲みますか。

A :いいえ、まだ 飲みませんから、

   そのまま (  C  ) ください。

(1) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 冷えない     ② 冷やさない

  ③ 冷えて いない  ④ 冷やして いない

(2) (B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 入れて います  ② 入って います

  ③ 入れて おきます ④ 入れて あります

(3) (C) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 冷えて いて   ② 冷やして いて

  ③ 冷えて おいて  ④ 冷やして おいて

例題4<解説>

「入っている」と「入れてある」

 「入る」(自動詞)には、そもそも「てある」

はつきません。

 「入れる」(他動詞)を例に考えると、以下の

ように推移します。(B) は、「ビールを冷やす」

目的があって入れたのですから、「入れてある」

ということになります。

 ビールを入れる

    ↓

 ビールを入れている

    ↓<動作の「ている」>

 ビールを入れた

    ↓<動作の完了>

 ビールが入れてある

     <状態の「てある」>

 なお、「冷える」は自動詞、「冷やす」は他動

詞です。

 

例題3<解説>

「知る」と「知らせる」

 「知る」は特殊な動詞で文末で述語として用い

るとき、常に「ている」形が使われ、「〜を知り

ますか」「〜を知ります」の形がありません。た

だし、否定形や過去形はそのまま使えます。

A:Aさんを知っています(×知ります)か。

B:→ええ、知っています(×知ります)。

  →いいえ、知りません。

 「知らせる」は情報や知識を他者に伝えること

を表す他動詞で、相手(=〜に)が現れます。「〜

に〜を知らせる」と覚えておきましょう。

 

 私は 母の死を 知った。

 私は 母の死を 妹に 知らせた。

109

例題5

A :そろそろ みんなが 来る頃だけど、もう 食器が

   (  A  )?

B :うん、さっき 僕が (  B  )よ。

A :じゃ、あとは みんなが 来るのを (  C  )

   だけだね。

(1) (A)(B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 並んで いた  ② 並べて いた

  ③ 並べて ある  ④ 並べて おいた

(2) (C) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 待つ      ② 待って いる

  ③ 待って おく  ④ 待って ある

例題6 

A  :歩道に 車が (  A  )わ。駐車違反も いい

    とこね。警察に 連絡しようかしら。

B  :そこまで しなくても いいよ。(  B  )よ。

運転手:いや、ごめんなさい。ちょっと そこで 買い物

を    (  C  )もので。

A  :こんな ところに 車を (  D  )なんて、

    通行人の 迷惑ですよ。

(1) (A)(D) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 止まって いる  ② 止めて いる

  ③ 止めて ある   ④ 止めて おく

(2) (B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 放れ       ② 放って いろ

  ③ 放って おけ   ④ 放って あれ

(3) (C) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① した       ② して いた

  ③ して おいた   ④ して あった

例題5<解説>

「(物)が〜てある」

「(人)が〜を〜ておく」

 「並べる/飾る/置く/のせる/立てる/掛け

る/貼る…」などの動詞を設置動詞といいます

が、必ず設置場所が存在し、対象物に加えた行

為の結果が外に現れます。このように結果がそ

のまま目で見える動詞の場合は、「(場所)に(物)

が〜てある」文になります。

 壁にカレンダーが貼ってある。

 テーブルに食器が並べてある。

 「〜ておく」文は常に「「(人)が〜に〜を〜て

おく」と行為者が主語として現れます。ですから、

(A)(B) は助詞に注目すればできるでしょう。

例題6<解説>

放置・放任の「〜ておく」

 「〜ておく」は大きくは事前準備の「〜ておく」

と、状態保持の「〜ておく」に分かれますが、

状態保持は文脈によっては放置・放任の意味に

転化します。それが次の例です。

<事前準備>

 暑いからから、ドアを開けておきましょう。

 <状態保持>    

 暑いから、そのままドアを開けておいてくだ

さ い。  

<放置・放任>

 ドアを開けておくと冷房が利かないから、す

ぐ 閉めて。

 この会話例で言えば、(B)(D)は放置・放任の「〜

ておく」です。

110

例題7

夫 :あっ!万年筆が ない。 僕は 確かに ここに

   置いて ( a ) はずなのに。

妻 :万年筆なら、引き出しに しまって ( b )わよ。

夫 :僕が 使って ( c ) 物に 勝手に 触るなよ。

妻 :そんなに 言うんだったら、自分で 整理整頓して

   ( d ) ことね。 いつも 私に (  A  )

   おいて、文句を 言うんじゃないわよ。

(1) (a )〜(d )の中に入る適当なものはどれですか。

  ① いる        ② いた

  ③ おく        ④ おいた

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 片づけて      ② 片づいて

  ③ 片づけられて    ④ 片づけさせて

例題8 

夫 :ポストを 見たら、君に 手紙が (  A  )

   から、 持って 来たよ。

妻 :誰からかしら?あら、 お兄さんからだわ。

   「小包で みかんを 送って ( a ) から、

   ふたりで 食べて くれ」だって。

夫 :でも、 まだ 小包は (  B  )よ。

妻 :たぶん 明日には (  C  )と 思うわ。 

(1) (a )の中に入る適当なものはどれですか。

  ① いた        ② おく

  ③ おいた       ④ ある

(2) (A) 〜(B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 来る        ② 来た

  ③ 来て いた     ④ 来て いなかった

例題7<解説>

〜(さ)せておく

 使役形は行為の強制ですが、消極的強制から、

誘発、消極的な容認へ、更に放置・放任へと意

味は拡大していきます。

<強制>

 兄は妹に部屋を掃除させた。

<誘発>

 その作品は人々に環境問題の重要さ を考え

させた。

<放置・放任>

 父は子供たちにやりたいことをやらせた。 

   

 「〜ておく」は事前準備の意味を表すほかに、

状態保持や放置・放任の意味も表しますが、そ

の許容・放置・放任の意味をはっきりさせるの

が「使役形+ておく」文型です。

 好きなようにやらせておこう。

 言いたい奴には言わせておけ。

例題8<解説>

「来ている」と「来ていた」

 移動動詞の「行く・来る・帰る・戻る・着く…」

は自動詞で、また瞬間動詞で、その「〜ている」

形は「椅子が壊れている」と同じように現在の

状態を表します。時間の推移は、次のようです。

 四月に日本へ来た。<到着>  

   ↓ 

 今、日本へ来ている。

 「〜ていた」は過去のある時点に視点を置いて、

そのときまでの継続動作(継続動詞≒他V)か、

状態(瞬間動詞≒自V)を表します。

 問題(A) は、「ポストを見た」時に視点を置

いて、その時にポストの中に手紙・小包があっ

たことを述べていますから、今の状態を述べる

「来ている」は使えません。また、「来た」はポ

ストの中を見たとき、ちょうど郵便配達の人が

来たことになります。

111

17. 連体修飾の表現

よく使う文型

  普通形<Nーの/ナ形ーな>:〜名詞/〜こと

  普通形<Nーな/ナ形ーな>:〜の(が・を・に…)

  普通形<Nーな/ナ形ーな>:〜のは〜ことです

  普通形<Nー×/ナ形ー×>:〜というのは(⇄って)〜ことです

  普通形<Nー×/ナ形ー×>:〜というのは(⇄って)〜意味です/略です

要点の整理

 ★ 名詞句<連体修飾句>を作る「の」「こと」

 花瓶を 壊したの(×こと)は 誰ですか。

 彼が 走って来るの(×こと)が 見えました。

 バスが 来るの(×こと)を 待ちましょう。

 宿題が あったの(⇄こと)を 思い出しました。

 日本語を 教えるの(⇄こと)は むずかしいです。

 行くこと(×の)を 命じます。

 具体的で行為や五感でとらえられる対象は「の」、内容や

抽象的な事柄になると「こと」になるのですが、簡単に言え

ば、行為は「の」、内容は「こと」と使い分けます。

 ×印以外のケースは「の」も「こと」もどちらも使えます

が、下の例のように、「〜のは難しい」は自分の体験を、

「〜ことは難しい」は「誰にとっても、〜は難しい」と一般

に成立するを述べるという違いが生じることがあります。

  何事も継続するのは 難しい。

  何事も継続することは 難しい。

 ★ 「助詞+の」の形

 「〜での/〜への/〜からの/〜までの/〜との…」などの「格助詞+の」の形があります。下に例を挙げておきますが、

注意するのは、「〜にの」の形はなく、全て「〜への」となることです。

 東京で過ごした日々  → 東京での毎日

 母に書いた手紙    → 母への(×にの)手紙

 父から来た手紙    → 父からの手紙

 京都まで行く運賃   → 京都までの運賃

111

例題1 

(例) 1) 白い セーターを 着ます

   2) 背が 高いです  

A :鈴木さんは どの 方ですか。

B :ほら、白1)

い セーターを 着た あの 背2)

が 高い

   方ですよ。

(1) 1) 眼鏡を かけます      

   2) 髪が 長いです      

(2) 1) ちょっと 太ります     

   2) 小柄です(N/ナ形)    

(3) 1) やせます          

   2) 目が 大きいです    

(4) 1) ひげを 生やします     

   2) 顔が 丸いです     

(5) 1) 紺の 背広を 着ます    

   2) 大柄です(N/ナ形)

(6) 1) 帽子を かぶります     

   2) 青い シャツ

(7) 1) スニーカーを はきます   

   2) 短い 髪

(8) 1) 縞の ネクタイを します  

   2) ハンサムです

(9) 1) 黒い ズボンを はきます  

   2) スマートです

(10) 1) 真珠の ネックレスを します

   2) きれいです   

例題1<解説>

服装や外見を語る

 ここで取り上げられているのは着脱動詞とい

われ、この「服を着る/靴を履く/帽子をかぶる」

などの身につける動作を表す動詞のような瞬間

動詞は現在の動作も状態も表します。

 着る<未来>→着ている<現在の動作>

 →着た<完了>→着ている<現在の状態>

 そのため、服装を洗わすときには、「た」形も

「ている」形も使うことができます。

 白いセーターを着た背が高い人。

112

例題2 

(例) 1) 日本語を 話します 

   2) 日本語で 書きます

A :日本語を 話すのは 簡単ですが、 

   日本語で 書くのは 難しいことですね。

B :ほんとうに そうですね。

    

(1) 1) 何事も 始めます     

   2) 続けます    

(2) 1) 人に 言います     

   2) 自分で します     

(3) 1) 日本語が 読んで わかります   

   2) 聞いて わかります 

(4) 1) 文法を 覚えます    

   2) 使います      

(5) 1) 子供を 作ります    

   2) 育てます   

(6) 1) お金を 貯めます    

   2) 上手に 使います

(7) 1) 人の 真似を します  

   2) 自分で 作り出します

(8) 1) 人を 批判します    

   2) 説得します

(9) 1) 人の 作品を 批評します

   2) 自分が 書きます

(10) 1) 人の 後ろを 歩きます 

   2) 人の 一歩 前を 進みます

例題2<解説>

「〜のは難しい」

「〜ことは難しい」

 一般に「の」は行為や五感の対象、「こと」は

内容や事柄に使われています。

 しかし、110 pの表のように、知覚動詞(常

に「の」)と抽象的な思考を表す動詞(常に「こ

と」)の間にある多くの動詞や形容詞は、どちら

も使える場合が多いでしょう。例えば、例題2

の会話例も「こと」が使えます。

 では、次の文はどこが違うのでしょうか。

 日本語を教えるのは難しい。

 日本語を教えることは難しい。

 この場合、「〜のは難しい」は自分の個人的体

験を相手に伝えていますが、「〜ことは難しい」

は一般的に日本語教育は難しいという客観説明

になります。つまり、「の」は行為や五感の対象

=具体的・経験的・感覚的、「こと」は内容や事

柄=抽象的・理論的的・知性的ということにな

ります。ですから、どちらも使えるといっても、

相手に与える印象は変わります。

 また、次の例のように意味が全く変わってし

まう場合もないわけではありません。

<話す行為≒の>

 母に話すのを忘れました。

 =うっかりして、母に話さなかった。

<話す内容≒こと>

 母に話すことを忘れました。

113

例題3 

(例) 1) きもい 

   2) 意味

   3) 気持ちが 悪い

<普通の会話>

A :きもいというのは どういう 意味ですか。 

B :若者言葉で、気持ちが 悪いという 意味です。

<フレンドリー会話>

A :きもいって どういう 意味? 

B :若者言葉で、気持ちが 悪いって 意味だよ。

    

(1) 1) セクハラ

   2) 意味    

   3) 女性に 対する 性的な 嫌がらせ   

(2) 1) 援助交際 

   2) こと     

   3) 少女が 売春して お金を もらう     

(3) 1) チョウ(超) おもしろい

   2) 意味     

   3) 若者言葉で、非常に おもしろい   

(4) 1) 自己チュウ(中)

   2) こと     

   3) 自己中心主義の 略で、 自分の こと しか

     考えない

(5) 1) メル友 

   2) 意味     

   3) Eメールで 連絡を 取り合っている 友だち

(6) 1) ムカつく 

   2) こと     

   3) 生理的に 不快で、吐き気を 感じる  

例題3<解説>

定義文の基本型

 これらの文型は定義文と言われますが、主語

部の内容や意味を解説するときに使われます。

 この「〜というのは」の口語形は「〜って」

ですが、「〜について説明すれば」という意味を

表しています。

(1) 〜というのは(⇄って)〜ことだ

 週刊誌というのは、週に一回発行される雑誌

 のことだ。

 不法就労というのは、ビザなしでその国に滞

 在して働くことです。

 

(2) 〜というのは(⇄って)〜意味だ

 立入禁止というのは、「入ってはいけない」と

 いう意味です。

 「かかあ天下」というのは、奥さんの方がご主

 人より強い家庭という意味です。

 

(3) 〜というのは(⇄って)〜略だ

 東大というのは、東京大学の略だ。

 JAL というのは、日本航空の略号です。

現代の若者言葉

 ここで取り上げたのは、現代若者言葉や現代

語ですが、これ以外にもいろいろあります。例

えば「援助交際」は略して「エンコン」と言わ

れていますし、「気持ち悪いが、可愛い」という

意味の「キモカワ」、わざと日焼けして黒い顔に

白いメークをした「ガングロ(顔黒)」、「格好が

悪い」という意味の「ダサい」・・・

114

例題4

A :僕(1)

が/は ) 呼んだ( a )(2)

が/を ) 聞こえなかっ

   たの?

B :ごめん。オリンピックへの 出場を かけた 韓国

   の バレーボールの 試合で、日本(3)

が/は ) 苦戦

   て いる( b )(4)

が/を) 見て いると、つい 

   奮して しまって。

(1) 1)〜4)は正しい方を選んでください。

(2) (a )(b )の中に入る適当なものはどれですか。

  ① の        ② こと

  ③ もの       ④ ところ

例題5

A :あそこに 高い ビル(1)

が/は ) 建って いる

   ( a )(2)

が/は ) 見えますか。

B :ええ、ずいぶん 立派な 建物ですね。 

A :あれが 都庁です。東京で 一番 高い( b )が

   あの 建物です。

B :そうですか。あの 都庁(3)

が/は ) 建った( c )

   (4)

が/は ) いつですか。

B :およそ 五年前です。 

(1) 1)〜4)は正しい方を選んでください。

(2) (a )〜(c )の中に入る適当なものはどれですか。

例題4〜5<解説>

知覚動詞は常に「の」

 「見る・見える/聞く・聞こえる/感じる…」

などを知覚動詞といいますが、行為、五感でと

らえられる具体的な対象は「の」で名詞化します。

この場合、「こと」は使えません。

 〜のを見る/〜のが見える

 〜のを聞く/〜のが聞こえる

 これが「知る・忘れる・覚える…」のような

動詞になってくると、行為・五感の対象とも、

内容・事柄とも解釈できるようになるので、「の」

も「こと」がどちらも使えるようになります。

 

名詞句中の主語は「が」

 これは名詞句だけでなく、時・理由・仮定な

どを表す副詞句にも言えることですが、「従属句

中の主語は<が>」となるということです。こ

れについては、「は」と「が」の項で詳しく取り

上げます。

 これは <子供が読む本> です。

 <私が見たの>は 田中さんです。

物や人を表す「の」

 「の」は「人・物」の代わりにも使われます。

これ以外にも、「これは私のです」の「の」のよ

うに「〜の物」を表したりしますが、これらは

どれも実質名詞の用法になります。

 花瓶を壊したの(⇄人)は誰ですか。

 腐ったの(⇄物)は捨ててください。

115

例題6 

A :さあ、パーティの 準備も 終わりましたね。後は

   みんな(1)

が/は ) 来る( a )(2)

が/を ) 待つだ

   ですね。

B :ええ。でも、みんな(3)

が/は ) 来る( b )(4)

が/は )

   ちょっと 遅いとは 思いませんか。

(1) 1)〜4)は正しい方を選んでください。

(2) (a )(b )の中に入る適当なものはどれですか。

  ① の        ② こと

  ③ もの       ④ ところ

例題7 

A :バスが 来ませんねえ。

B :ええ、私たちが ここに 来た( a )(1)

が/は )

   5時半ですからもう 30 分も 待って いる

   ( b )に なりますね。

A :講演会(2)

が/は ) 始まる( c )(3)

が/は ) 6時

半で   すから、急がないと、間に 合いませんよ。

B :じゃ、 歩いて いく ( d )に しませんか。

・・・講演会会場に着いて・・・

A :たった 今、始まった ( e )ですよ。

B :間に 合って よかったですね。

 (1) 1)〜3)は正しい方を選んでください。

(2) (a )〜(e )の中に入る適当なものはどれですか。

  ① の         ② こと

  ③ もの        ④ ところ

例題6〜7<解説>

「の」と「こと」の境界

 一般に「の」は行為や五感の対象、「こと」は

内容や事柄に使われています。

 しかし、「こと」の慣用句や「考える/信じる

/思う」のような思考や知的な行為を除けば、

実際は「の」が使えますから、「こと」より用法

は広いと考えることができます。

<行為であることは鮮明>

 私が話したの(×こと)は、一回だけだ。

<行為・内容の両解釈が可>

 私が話したの(⇄こと)は、日本の文化につ

い てだ。

 会話では、日本語に慣れるまで、以下の「こと」

や「ところ」の慣用句以外は、「の」を使うよう

にしておけばいいでしょう。

「こと」の慣用文型

 「こと」を使った慣用的な文型は「の」を使う

ことができません。整理のために、「こと」を使っ

た文型をあげておきます。

 〜ことがある

 〜ことができる

 〜ことにする

 〜ことになる

 〜のは〜ことだ

「ところ」の慣用文型

 「ところ」には時を表す慣用文型があります。

それは以下のようなものですが、この場合、「と

き」は使われません。

 今/これから〜するところだ

 

 今〜ているところだ

 今/たった今〜したところだ 

116

18. 時の表現

よく使う文型

  て形           :〜てから

  た形           :〜後(で)

  原形           :〜前(に)

  原形           :〜まで/〜までに

  普通形<Nーの/ナ形ーな>:〜とき(に)

  普通形<Nーの/ナ形ーな>:〜間/〜間に

  普通形<Nーの/ナ形ーな>:〜うち/〜うちに

要点の整理

 ★ 「〜するとき」と「〜したとき」

 動作には<直前ー進行中ー完了ー直後>のプロセスが存在します。そのため、「〜する‐とき」は直前、或いは同時並

行を表し、「〜した‐とき」は直後を表します。

   ご飯を食べるとき、「いただきます」と言います。   <食事の前に =直前>  

   ご飯を食べるとき、はしを使います。         <食事中に =並行> 

   ご飯を食べたとき、「ごちそうさまでした」と言います。<食事の後で =直後>

 ★ 「〜てから」と「〜後で」

 「AてからBする」の場合は「A後でBする」に変えられますが、「AてからBしない<行為がない>」や「Aてから、ずっ

とBだ<継続状態>」の時は「〜後で」が使えなくなります。

   彼はインドに行ってから(×行った後で)、一度も連絡がありません。<行為なし>

   妻が死んでから(×死んだ後で)、ずっと一人暮らしです。     <継続状態>

   戦争が終わってから(×終わった後で)、もう五十年が過ぎました。 <時の経過>

 ★ 「〜する前に」と「〜するまで」

  「〜前に」は広く「〜する以前」を表します。それは、五分前でもいいですし、一年前でもかまいません。「〜まで」

は時間的な範囲の限界を表す表現です。「AまでBする」は「時間Aになるまで、ずっと継続する行為B」を表しますが、

「AまでにBする」は「時間Aになる以前に完了する行為B」を表します。例題4の解説を参照してください。

 ★ 「〜ている間」と「〜ているうち」

 「〜間/〜うち」はその期間中ずっと継続する動作を、「〜間に/〜うちに」はその期間内に完了した動作を表します。

時間を問題にしたのが「〜間」で、状態変化を問題にしたのが「〜うち」です。動作動詞と接続するときは「ている」形、

117

例題1

(例) 1) 電車を 降ります  2) 傘を 忘れません

A :電車を 降りるとき、傘を 忘れないでください。

B :はい、わかりました。

(1) 1) 部屋に 入ります   

   2) ノックを します

(2) 1) 出かけます     

   2) 戸締まりを 忘れません

(3) 1) 暇です       

   2) 遊びに 来ます

(4) 1) 授業です     

   2) 雑談を しません

(5) 1) 荷物が 多いです 

   2) タクシーを 使います

(例) 1) 彼に 会います

   2) この 書類を 渡します

A :彼に 会ったとき、この 書類を 渡してください。

B :はい、わかりました。

(1) 1) 中野駅に 着きます

   2) 電話を します

(2) 1) 火事が 起こります

   2) この 非常口から 逃げます

(3) 1) お酒を 飲みます 

   2) 車を 運転しません

(4) 1) お腹を 壊します 

   2) この 薬を 飲みます

(5) 1) 何か あります  

   2) 私に 連絡します 

例題1<解説>

「〜とき」の表現

 他動詞や「歩く・走る・会う…」などの「人」

が主語になる自動詞の場合、その動作には<直

前ー進行中ー完了ー直後>のプロセスが存在し

ます。こうした動作動詞の「原形+とき」は動

作の直前、或いは並行動作を表します。

 動詞「食べる」を例にとって考えてみましょう。

これら継続性の動作動詞の「ている」形は動作

が進行中であることを表しますから、「食べてい

るとき」は進行中の動作のある時を「点」でと

らえ、そのとき起こったことを表します。

 そのため、「〜ているとき」は「食べる」直前

の動作や、「食べる」動作と並行して行われる動

作を表すことができません。学習者の誤文が多

く起こるところなので、しっかりマスターしま

しょうね。

 <食事の前>

 ○ 食事をするとき、手を洗う。

 × 食事をしているとき、手を洗う。

 <食事中>

 ー並行動作ー

 ○ 食事をするとき、箸を使う。

 × 食事をしているとき、箸を使う。

 ー事態発生ー

 ○ 食事をしているとき、友だちが来た。

 <食事の後>

 ○ 食事をしたとき、食器を片づける。

 × 食事をしているとき、食器を片づける。

118

例題2 

(例1) 1) 李リー

さんが 来き

ます  2) 出で

かけます

A :李1)

さんが 来るまで 待ま

ちましょうか。

B :ええ、李1)

さんが 来てからの 方ほう

が いいですね。

(1) 1) 夜よ

が 明あ

けます  

   2) 出しゅっぱつ

発します

(2) 1) 安やす

く なります 

   2) 買か

います 

(3) 1) ビールが 冷ひ

えます

   2) 飲の

みます   

(4) 1) みんなが 集まります

   2) 決き

めます 

(5) 1) 先せんせい

生が 来き

ます 

   2) 会か1

議ぎ

を 開ひら

きます

(例2) 1) 電でんしゃ

車に 乗の

ります     

    2) かばんの 中なか

身み

を 確かくにん

認します

 A :電

1)

車に 乗った後あと

で、気き

が ついたんですか

B :ええ、失敗しました。乗1)

る前まえ

に、必かなら

ず  か2)

ばんの 

   中身を 確認しなければ なりませんね。

  

(1) 1) 電でんしゃ

車を 降お

ります    

   2) 網あみだな

棚の 上うえ

を 見み

ます       

(2) 1) 薬くすり

を 飲の

みます     

   2) 説せつめいしょ

明書を よく 読よ

みます 

(3) 1) 手て

紙がみ

を 出だ

します    

   2) 宛あて

名な

を 確かくにん

認します    

(4) 1) 洗せんたく

濯を します     

   2) ポケットの 中なか

を 確たしか

かめます  

(5) 1) 答とうあんよう

案用紙し

を 提ていしゅつ

出します  

   2) 名な

前まえ

を チェックします

例題2<解説>

「〜てから」と「〜後で」

 「AてからB」も「A後でB」も、「A(先)

→B(後)」の関係を表しますから、同じように

使える例が多くあります。しかし、「〜後で」に

は「Nの後で」と動詞の「た」形接続の形があ

りますが、「〜てから」には動詞の「て」形接続

しかありません。

 ご飯を食べてから、お風呂に入ります。

=ご飯を食べた後で、お風呂に入ります。

=ご飯の後で、お風呂に入ります。

 ところが両者には用法上の違いがあって、「A

てからBする」の例は「A後でBする」に変え

られますが、「AてからBしない<行為がない>」

や「Aてから、ずっとBだ<継続動作>」の時

は「〜後で」が使えなくなります。つまり、「A

後でB」はAが完了後に、何か一回性の行為や

事態Bが発生する場合にだけ使えるのです。

<継続動作>

 ○ ご飯を食べてから、ずっと勉強している。

 × ご飯を食べた後で、ずっと勉強している。

<行為なし>

 ○ 彼とは卒業してから、会っていない。

 × 彼とは卒業した後で、会っていない。

「〜するとき」と「〜する前」

 「AするときB」も「Aする前にB」も、動作

Aの開始以前を表します。

 しかし、「AするときB」が後件Bで表せるの

は動作の直前に行われることに限られます。一

方、「Aする前にB」は直前も、動作のずっと以

前のことも表せます。

 ○ 寝る前に、歯を磨きなさい。

 × 寝るときに、歯を磨きなさい。

 ○ 死ぬ前に、一度インドに行きたいです。

 × 死ぬときに、一度インドに行きたいです。

119

例題3 

(例1) 1) 人が 話します 

    2) 黙って 聞きます

 A :人

1)

が 話して いるうち(⇄間)は、黙2)

って 聞い

   ください。

B :はい、わかりました。

(1) 1) 子供が 寝ます  

   2) 静かに します

(2) 1) 私が 勉強します 

   2) 邪魔を しません

(3) 1) 日本に います 

   2) 日本の 習慣に 従います

(4) 1) 20 歳に なりません

   2) タバコを 吸いません

(5) 1) 学生です    

   2) しっかり 勉強します

(6) 1) 値段が 高いです  

   2) 買いません  

(例2) 1) 花が 散りません  2) 花見に 行きます

 A :花

1)

が 散らないうち(⇄間)に、花2)

見に 行った方

   いいですよ。

B :そうですね。

(1) 1) お客が 来ません   2) 掃除を します

(2) 1) 売り 切れません   2) 早く 買います

(3) 1) わすれません     2) メモを します

(4) 1) 明るい        2) 家に 帰ります

(5) 1) 朝です        2) 仕事を 済ます

(6) 1) 夏休みです      2) 復習します 

例題3<解説>

「〜間」と「〜うち」

 「間」も「うち」も、長い時間帯や期間に関係

するので、状態動詞(ある・いる・わかる・できる・

要る)や形容詞はそのまま原形でかまいません

が、動作動詞につくときは「ている形」と接続

することに注意しましょう。

 「〜うちに」は「〜の状態の間に 〜する」と

いう意味を表す表現で、「〜間(あいだ)に」と

ほぼ同義表現ですが、状態変化に関心をおいた

のが「〜うち」で、時間を問題にしたのが「〜間」

です。

 例えば、この例題の会話例はどれも「間」が

使えます。しかし、次のような例文では「うち」

の方が自然です。

 鉄は熱いうち(?間)に打て。

 人は知らず知らずのうち(?間)に、年を取る。

 逆に「間」が自然で、「うち」が不自然なとき

も起こります。

 いつも2時過ぎ過ぎから4時の間(×うち)

120

例題4 

(1) 「まで」と「までに」

1) 10 時(まで/までに) 家に 帰らなければ なりませ

  ん。    

2) 郵便局は 何時(まで/までに)ですか。  

3) 10 時(まで/までに) 待って います。 

4) 10 時(まで/までに) 来て ください。

5) 子供が 帰ってくる(まで/までに)、 食事の 支度

  済ませます。

(2) 「間」と「間に」

1) 私が 留守の (間/間に) 電話が かかって きた。

2) 私が 留守の (間/間に)、この 鍵を あずかって

  おいて ください。 

3) ソウルに いる (間/間に)、この ホテルに 泊ま

  って います。

4) ソウルに いる (間/間に)、 キムチの 作り方を

  覚えたいです。

5) 電話を して いる (間は/間に)、ちょっと 静か

  して ください。

(3) 「うちは」と「うちに」

1) 車を 運転して いる (うちは/うちに)、眠くなっ

  きた。    

2) 運転して いる (うちは/うちに)は、 脇見を し

  は いけない。

3) 熱い (うちは/うちに) 触らないで ください。 

4) 熱い (うちは/うちに) 召し上がって ください。

5) 彼は 話が 終わらない (うちは/うちに)、部屋を

  出て いった。

例題4<解説>

「まで」と「までに」

 その刻限まで継続している動作は「〜まで」で、

その刻限以前に終了している動作は「〜までに」

です。「〜まで、ずっと<継続>」、「〜までに<

完了>」と覚えましょう。なお、「10 時までに」

は「10 時」を含みません。しかし、「9時 59 分

59 秒」はOKです。図解すると以下の通りです。

「間(は)/うち(は)」

「間に(は)/うちに(は)」

 その期間、継続している動作は「〜間」で、

その期間内に発生し完了した動作は「〜間に」

です。「〜間、ずっと<継続>」、「〜間に<完了

>」と覚えましょう。「うち」と「うちに」の関

係も同じです。図解すると以下の通りです。

121

例題5 

A :日本人は 家を (  A  ) とき、「行って きま

   す」と 言います。

B :家に (  B  )ときは どう 言うんですか。

A :「ただいま」と 言います。 

(1) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 出る       ② 出て いる

  ③ 出た       ④ 出て いた 

(2) (B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 帰る       ② 帰って いる

  ③ 帰った      ④ 帰って いた

例題6

先生:授業が 終わって ( a )、 何か 用事が ある?

A :いいえ、ありませんが、・・・。

先生:じゃ、授業が 終わった( b )、職員室に 来て。

A :あのう、 先生、 何か・・・。

先生:詳しくは (  A  ) とき、 話しましょう。

   それと、(  B  ) とき、 パスポートも 持っ

て    きて ください。

    (1) (a )(b )の中に入る適当なものはどれですか。

  ① に        ② から

  ③ とき       ④ 後で

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 会う       ② 会った

  ③ 会って      ④ 会って いる

(3) (B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 来る       ② 来た

  ③ 来て       ④ 来て いる

例題5〜6<解説>

「〜するとき」と「〜したとき」

ー瞬間動詞の場合ー

 「行く・来る・帰る・寝る・起きる・出る…」

のような瞬間動詞の場合、<直前ー完了ー直後

>のプロセスになり、<進行中>がありません。

 では、(A) の「家を出る」、(B) の「家に帰る」

はどうなるでしょうか。図解しておきます。

例えば、下の例文です。

 ○ 家に帰るときタクシーを使った。

 × 家に帰ったときタクシーを使った。

 「帰るとき」は会社から家までの帰る途中も表

せますから、「帰るときタクシーを使った」は成

立しますが、「帰ったとき」は帰宅直後ですから

成立しません。

 例題5の(B)、例題6の(B) はこの例を参考

に解いてください。

122

例題7

妻 :お客が みえる( a ) 帰って 来るから、私が

   買い物に (1)

行く/行っている)(  A  )、掃除を

   して おいて。それ( b ) 食器の 準備も お願

   いね。今夜は 中華料理に するつもりよ。

夫 :わかった。中華は 暖かい (  B  ) おいしいか

   ら、お客が 来て( c )、作った 方が いいね。

(1) 1)は正しい方を選んでください。

(2) (a )〜(c )の中に入る適当なものはどれですか。

  ① から        ② 後で

  ③ 前に        ④ までに

(3) (A)(B)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 間が        ② 間に

  ③ うちが       ④ うちに

例題8

A :ご主人とは どこで 知り合ったんですか。

B :会社に (  A  )(1)

とき/間)、同じ 課でした。

   最初は ただの 友だちだったんですが、(  B  )

   (2)

うち/うちに)、なんとなく 結婚しようか という

   ことに なって・・・。

(1) 1)2)は正しい方を選んでください。

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 勤める       ② 勤めた

  ③ 勤めて       ④ 勤めて いた

(3) (B)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① つきあう      ② つきあった

  ③ つきあって いる  ④ つきあって 

例題7<解説>

「こそあ」と時の表現

 以下の形はそのまま覚えてください。

 その/この/あのーとき

 その/この/あのー後で

 その/この/あのー前に

 その/この/あのー間

 その/この/あのーうち

 それ/これ/あれーから

 それ/これ/あれーまで

例題8<解説>

「〜とき」と「〜間」

1) どちらも成立する例

 ○ 子供が寝ているときに、掃除をする。

 ○ 子供が寝ている間に、掃除をする。

 この場合、「間に」を使うと、「子供が寝ている」

時間帯を使って、「掃除をする」という意味にな

ります。

 

2) 「間に」が成立しない例

 ○ 散歩しているときに、李君に会った。

 × 散歩している間に、李君に会った。

 「Aの間にB」は、「A(散歩)が始まってか

ら終了するまでの時間帯」を問題にしています

から、散歩中のある時点(時刻)に起こったこ

とだけが焦点の時、「間」は不自然です。

3) 「ときに」が成立しない例

 × しばらく会わない時に、大きくなったね。

 ○ しばらく会わない間に、大きくなったね。

 2)の逆の例ですが、「会わなかった」長い時

間帯が問題の文では、時点(日時)を問題にす

る「とき」は使えません。

123

例題9

A :父が (  A  ) (1)

から/後で)、母は 私たちの

   ために、毎日 夜も (  B  )(2)

間 /うち)から

   野良仕事に 出て、日が 暮れる (3)

まで/までに) 

   働いて、私たちを 育てて くれました。

B :お母さんは ご苦労なさったんですねえ。

A :ええ、ですから、母が 元気な (4)

うち/うちに)

   恩返しを したいと 思っています。

 (1) 1)〜4)は正しい方を選んでください。

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 亡くなる      ② 亡くなって

  ③ 亡くなった     ④ 亡くなって いる

(3) (B)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 明ける       ② 明けない

  ③ 明けた       ④ 明けて いる

例題 10

A :「鉄は 熱い(1)

うちに/うちは ) 打て」という こ

   わざが あるが、 外国語は 若い(2)

あいだ/あいだ

に )   身に つけて おいた 方が いいよ。 

B :はい。

A :若い(3)

うちに/うちは ) いくらでも 時間が ある

   と 思うのだが、いつの( a )にか 年を 取っ

   しまうものだ。「後悔、 先に 立たず」 だからね 

  (1) 1)〜3)の中に入る適当なものはどれですか。

(2) (a )の中に入る適当なものはどれですか。

  ① とき        ② うち

  ③ あいだ       ④ ま

例題9<解説>

「間」と「うち」の使い分け

 「間」は純粋に「期間」を意味しています。一

方、「うち」は「〜状態が継続する間」を意味し

ていて、状況や状態の変化を前提に、その範囲

内を表しています。

1) 期間に焦点

 ○ 留守の間、よろしくお願いします。

 ? 留守のうち、よろしくお願いします。

 上例は、期間に話者の焦点があると理解する

のが自然ですから、「間」が適切です。

2) 状態に焦点

 ? 冷めない間に召し上がってください。

 ○ 冷めない間に召し上がってください。

 上例は「料理がまだ暖かい状態」と状態面に

関心があると理解するのが自然ですから、「うち」

が適切です。 

例題 10 <解説>

「間(あいだ)」と「間(ま)」

 「間」は「あいだ」と読むときと、「ま」と読

むときがあります。「あいだ」は比較的長いと感

じる時間・期間に使います。「ま」は隙間(空間)

や合間(時間)を意味しますから、心理的には

あわただしく短いと感じる時間や瞬間を表しま

す。

 例えば「しばらく見ない間(あいだ/ま)に

大きくなったね」のようにどちらも使える例が

ありますが、話者が会わなかった時間をどう感

じているかの違いがあります。

 なお、常に「ま」と読まれる「(まだ)〜間が

ある/〜する間も惜しむ/間を見て〜する/見

る間に〜する/〜して間もない/間もなく〜す

る/〜する間もない/いつの間にか/瞬く間に

/あっという間に」や、慣用表現の「間がいい

/間が持たない/間が抜ける/間が悪い/間に

合う/間に合わない/間を持たす/間をおく」

124

19. アスペクトの表現

よく使う文型

  原形/ている形/た形   :〜ところ

  原形/た形        :〜ばかり

  普通形<Nーの/ナ形ーな>:〜まま

  [ます]形         :〜始めます/〜出します

  [ます]形         :〜続けます

  [ます]形         :〜終わります/〜やみます

  [ます]形         :〜切ります

  [ます]形         :〜ながら

  て形           :〜て いきます

  て形           :〜て きます

  て形           :〜て しまいます

要点の整理

 ★ 「〜したところ」と「〜したばかり」

 「〜したところ」は動作が完了した直後の場面ですが、

「〜したばかり」は「〜が終わってから、まだあまり時

間が経っていない」と感じれば使えます。

 

 ★ 「〜始める」と「〜出す」/「〜終わる」と「〜止む」

 「〜始める」「〜終わる」はは意志性の継続動詞について、動作の開始・終了を表します。しかし、動詞の中には「降る・

鳴る・吹く・鳴く…」などの自然現象や、「泣く・笑う・怒る・はにかむ・照れる・慌てる…」などの感情・生理などを

表す無意志動詞があり、これらの動詞の場合、現象の発生や開始を表すときは「〜出す」、終了を表すときは「〜やむ(止む)」

が使われます。なお、「〜出す/〜やむ」は人為的・意志的なことではないので、「〜しなさい/〜てください/〜つもりだ」

などの意志表現は使えません。

 ★ 「〜てくる」と「〜ていく」

 「〜てくる」は「持ってくる/買ってくる」のように本来の「移動動詞として使われる他に、変化・発生・継続を表す

場合があります。「〜ていく」も「本を持って行く」のように本来の移動動詞として使われる他に、変化の進行や消滅を

表す用法が派生します。動詞例は例題4を参照してください。

 ★ 「〜ながら」と「〜まま」

 「AながらB」は動詞の[ます]形に接続して、主動作Aと並行し

て、動作Bをすることを表します。

 「AままB」は「Aの状態でBする」という意味で、動詞の完了形

(「た」形)だけでなく、名詞や形容詞とも接続します。

125

例題1 

(例1)  コーヒーを 入い

れます

A :これから コーヒーを 入れるところですが、 

   ご一いっしょ

緒に いかがですか。

B :ありがとうございます。じゃ、遠えんりょ

慮なく。

(1) 食しょく

事じ

を します     

(2) 飲の

みに 行い

きます   

(3) 記き

念ねんしゃしん

写真を 撮と

ります 

(4) 花はな

見み

に 出かけます   

(5) 忘ぼうねんかい

年会を 開ひら

きます

(例2) 支し

度たく

を します

A :木き

村むら

さんは、もう 出で

かけましたか。

B :いいえ、今いま

、支し

度たく

を して いるところです。

(1) 資し

料りょう

のコ ピーを します

(2) ワープロを 打う

ちます  

(3) 部ぶ

長ちょう

と 打う

ち合あ

わせを します

(4) 書しょるい

類を 整せい

理り

します     

(5) 契けいやくしょ

約書を 作つく

ります

(例3) 田た

中なか

さんは 帰かえ

ります

A :もう 田中さんは 帰ったんですか。

B :ええ、たった 今、帰ったところです。

(1) 準じゅん

備び

は できます    

(2) 仕し

事ごと

は 終お

わります       

(3) 原げんこう

稿は 書か

き上あ

がります

(4) 飛ひ

行こう

機き

は 着つ

きます

(5) みんなは 出しゅっぱつ

発します

例題1<解説>

「〜ところ」の世界

 「ところ」は本来場所を表す名詞ですが、やが

て「場面」も表すようになります

 。この「ところ」は意味的には「ちょうど〜

の場面」を表します。この「ところ」を中心に

構成された形は、動作が今どのような過程にあ

るかを表すもので、呼応する副詞との関係を見

ると以下のようになります。

<動作の開始直前>

 今/今から/これから 〜 するところだ

 

<動作が進行中>

 今          〜 ているところだ

<動作の完了直後>

 今/たった今     〜 したところだ 

126

例題2

(例1) 1) 歩ある

く  2) タバコを 吸す

A :歩1)

きながら、タ2)

バコを 吸わないでください。

B :はい、これから 気き

を つけます。

(1) 1) 食しょく

事じ

を する 

   2) 新しんぶん

聞を 読よ

(2) 1) 料りょう

理り

を 作つく

る 

   2) 他ほか

の 仕し

事ごと

を する

(3) 1) テレビを 見み

   2) 勉べんきょう

強する

(4) 1) 脇わき

見み

する   

   2) 車くるま

を 運うんてん

転する

(5) 1) タバコを 吸す

   2) パソコンを 使つか

(例2) 1) 靴くつ

を 履は

く  2) 畳たたみ

の 上うえ

に 上あ

がる

A :靴1)

を 履いたまま、畳2)

の 上に 上がっては

   いけませんよ。

B :はい、わかりました。

(1) 1) パジャマ      2) 外そと

を 歩ある

(2) 1) 旅たびさき

先で、 生なま

     2) 水みず

を 飲の

(3) 1) 電でん

気き

を つける   2) 外がいしゅつ

出する

(4) 1) 帽ぼう

子し

を かぶる   2) お辞じ

儀ぎ

を する

(5) 1) 肘ひじ

を つく     2) 食しょく

事じ

を する

例題2<解説>

「〜ながら」と「〜まま」

(1) 〜ながら

  動詞[ます]形 + ながら〜する

 この「〜ながら〜する」はその時その場の同

時並行動作ばかりでなく、長い時間帯の中で並

行して行われた動作も表せます。いくつか例文

をあげておきます。なお、「〜ながら」の書き言

葉が「〜つつ」ですが、会話ではほとんど使わ

れません。

 散歩しながら、話をしましょう。

 音楽を聴きながら、勉強する。

 彼は働きながら、大学へ行った。

 彼は銀行に勤めながら、作曲活動もしている。

(2) 〜まま

  名詞: の     + まま〜する

  動詞:た形/ない形   ままだ

 この「〜まま」は「〜の状態を変えないで」

という意味を表す語で、「〜した‐まま〜する」

は「〜した。そのままの状態で〜する」という

意味を表します。

 座ったまま、話をします。

 靴のまま、畳に上がらないでください。

 この町は今も昔のままですね。

 彼女は化粧しないまま、出かけた。

 形容詞や動詞の原形に接続する「〜まま」も

あるのですが、初〜中級では<N+のまま>と

127

例題3 

(例1) 作文を 書き上げる

A :もう、作文を 書き上げてしまいましたか。

B :いいえ、まだです。

   これから 書き上げようと 思って います。

(1) その 本を 読む       

(2) 宿題を 済ませる      

(3) ゴミを 捨てる   

(4) この 課の 単語を 覚える     

(5) 夕食を 食べる   

(例2) 1) 宿題  2) 家に 忘れて くる

A :宿題は どうしたの?

B :うっかり、家に 忘れて きてしまったんだ。

(1) 1) その 傷   

   2) 包丁で 切る

(2) 1) この 花瓶  

   2) 落とす

(3) 1) 昨日の 試験     

   2) 名前を 書くのを 忘れる

(4) 1) 今朝    

   2) 降りる 駅を 乗り過ごす 

(5) 1) その ズボン   

   2) ペンキ塗りたての ベンチに 座った 

例題3<解説>

「〜てしまう」と「〜てしまった」

(1) 〜てしまう

 「〜てしまう」は文脈によって様々な意味を表

しますが、「食べる/飲む/話す…」などの動作

性の動詞につくと「完全に〜し終わる」という

動作終了の意味を、「驚く/慌てる/忘れる…」

などの無意志性の動詞につくと「完全に〜する

/全部〜する」という意味を表します。

 

 500 ページもある本を一日で読んでしまった。

 嫌なことは忘れてしまった方がいいよ。

(2) 〜てしまった

 また、多くは「(うっかり/つい)〜てしまっ

た」の形で使われますが、不本意の結果や後悔

の感情を表すようになります。特に使役形や受

身形につく場合は不本意の表現が多くなります。

128

例題4 

(例1) 1) 出る  2) 人が こむ

A :そろそろ 出1)

た方が いいですよ。

B :大丈夫ですよ。もっと 人2)

が 込んできたら、 

   出れば いいんですから。

(1) 1) 買う         2) 安くなる

(2) 1) 洗濯する       2) 汚れる

(3) 1) 冬物の 服を 出す  2) 寒くなる 

(4) 1) 火を 止める     2) 柔らかくなる 

(5) 1) 布団を しまう    2) 曇る

(例2) 1) 会話が 上手に なる  2) 練習する

A :だいぶ 会1)

話が 上手に なりましたか。 

B :それが 少しも 上1)

手に ならないんです。 

A :そんなに 心配しなくても いいですよ。 

   練2)

習していく うちに、上1)

手に なりますから。

(1) 1) 日本語が 上達する   

   2) 勉強する

(2) 1) 仕事に 慣れる     

   2) やる

(3) 1) パソコンの 操作が わかる

   2) 使う 

(4) 1) 奥さんの 病気が 回復する

   2) 治療する 

(5) 1) やせる          

   2) ダイエットする

例題4<解説>

「〜てくる」と「〜ていく」

(1) 「〜てくる」

 「〜てくる」の特徴は常に過去から現在(話者

の立つ時点)への継続・変化ですす。

 ① 発生・出現:「起こる/(考えが)浮かぶ

   /溢れる/現れる…」など出現動詞

 突然、黒い雲が現れてきた。

 その話を聞いて、怒りが湧いてきました。

 ② 変化 :「ーなる/疲れる/増える/(夜

   が)明ける/太る…」など現象動詞

 しだいに夜が明けてきた。

 だんだん太ってきました。

 ③ 継続 :「生きる/暮らす/続ける/勤め

   る/勉強する…」など継続動詞

 私たち夫婦は今まで助け合ってきました。

 今まで我慢してきたが、もう我慢できない。

(2) 「〜ていく」

 「〜ていく」の特徴は、常に現在(話者の立つ

時点)から未来への継続・変化です。

 ① 変化 :「ーなる/疲れる/増える/(夜

   が)明ける/太る…」など現象動詞

 農村の人口がだんだん減っていきます。

 空がしだいに暗くなっていった。

 ② 継続 :「生きる/暮らす/続ける/勤め

   る/勉強する…」など継続動詞

 都会で生きていくのは大変だ。

 やっていくうちに、わかってくるよ。

 ③ 消滅 :「死ぬ・消える・滅ぶ…」などの

   現象を表す動詞

 街の灯が一つまた一つと消えていった。

 多くの王国が生まれ、そして滅んでいった。

129

例題5

A :あっ、 靴の ( a )、 部屋に 上がらないで く

だ  さい。

B :すみません。一週間前に 日本に (1)

来る/来た)

   ( b ) で、まだ 日本の 習慣が よく わからな

く   て、・・・。

(1) 1)は正しい方を選んでください。

(2) (a )(b)の中に入る適当なものはどれですか。

  ① ところ       ② ばかり

  ③ まま        ④ ながら

例題6

先生:まもなく バスが 出発しますから、集まって くだ

   さい。

A :あのう、先生。李君が お土産を 買いに 行った

   ( a )、 (1)

まだ/もう) 帰って きません。

先生:バスは (2)

まだ/もう) 出発する( b ) に なっ

て   いるのに、困った 李君だねえ。 

(1) 1)2)は正しい方を選んでください。

(2) (a )(b )の中に入る適当なものはどれですか。

  ① とき        ② ところ

  ③ ばかり       ④ まま 

    

例題5<解説>

「〜したところ」と「〜したばかり」

A:食事に行かない?

B:ごねんね。食べたばかりなの。

 これはよく交わされる会話ですが、この「〜

したばかり」は「〜が終わってから、まだあま

り時間が経っていない」と感じれば使えますか

ら、それは年月単位のこともあります。「食べた

ところ」が使われるとしたら、テーブルの前か、

食堂の前でしょう。

 「10 分前/昨日/先週/去年…」のような過

去のある時点を表す語といっしょに使うのは「〜

したばかり」と覚えておくといいでしょう。

 今年、就職したばかりだ。

 戦争は二年前に終わったばかりだ。

例題6<解説>

「〜したばかり」と「〜するばかり」

 「〜したばかりだ」は「〜が終わってから、ま

だあまり時間が経っていない」状態を表します

が、「〜するばかりだ/〜するばかりになってい

る」は、「〜する準備がすべて終わって、いつで

もできる状態」を表します。

 果樹園のリンゴは赤く実り、収穫を待つばか

り だ。 

 荷造りも終わり、もう運び出すばかりになっ

て いる。

130

例題7 

A :こんばんは。李君、いますか? 

・・・返事がない・・・

B :電気が ついた( a )だけど、いないようだね。

A :ドアの 鍵が かかって いない。たぶん、近くに

   買い物にでも 行ってるんだろう。

A :そうだね。じゃ、部屋に (  A  )、テレビでも

   見( b )、待ってようか。

(1) (a )(b )の中に入る適当なものはどれですか。

  ① ところ       ② ばかり

  ③ まま        ④ ながら

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 上がって      ② 上がりながら

  ③ 上がった まま   ④ 上がった 後で

例題8

A :昨日は 満員電車の 中で、 突然、 子供が 泣き

   ( a )、 困って (  A  )わ。

B :それで どう したの?

A :泣き( b ) くれないから、しかたなく 次の 

駅   で 降りたの。 

    (1) (a )(b )の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 始めて       ② 出して

  ③ 終わって      ④ やんで 

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① いく        ② くる

  ③ しまう       ④ しまった

例題7<解説>

「〜したまま〜する」

「〜したまま〜しない」

 「Aしたまま、Bする」は動作Aはすでに完了

した状態で、その状態を変えないで動作Bを行

う場合に使います。

 口を開けたまま、寝ている。

 座ったまま、話します。

 「Aしたまま、Bしない」は「Aした状態で、

その後、期待している次の動作Bがない」とき

に使われます。多くは失望や非難の感情を表す

でしょう。

 日本に行ったまま、帰ってこない。

 お金を借りたまま、帰さない。

例題8<解説>

「〜出す」と「〜やむ」

 「〜出す」や「〜やむ」が使われるのは、自然

現象や生理現象、感情など人間の意志と無関係

に生じることです。

 雨が降り出した(×始めた)。

 A君は突然怒りだした(×始めた)。

 風が吹きやんだ(×終わった)。

 子供が泣き止んだ(×終わった)。

 「泣き始める」「泣き終わる」という言葉がな

いわけではありませんが、それは人為的に演技

している場合で、故意が表れてしまいます。

 

131

例題9 

A :ゴミ問題が 深刻に なって ( a )ね。

B :これから 人口は もっと 増えて ( b ) から、

   もっと 深刻に なるね。

A :ゴミを 出さないように する 工夫が 一番 大切

   だろう。

B :うん、町中に ゴミが 溢れるように (  A  )

   では 手遅れだからね。

(1) (a )(b )の中に入る適当なものはどれですか。

  ① いる        ② くる

  ③ きた        ④ いく

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① なった ところ   ② なって から

  ③ なった ばかり   ④ なった まま

例題 10 

A :どうしたんだ。青い 顔を して。

B :胃薬と 間違えて、 (1)

つい/うっかり) 下剤を 飲

   んで ( a ) んだ。あっ、また トイレに 行きた

く   なって ( b )!

A :はっはっは。

    (1) 1)2)は正しい方を選んでください。

(2) (a )(b )の中に入る適当なものはどれですか。

  ① いく        ② きた

  ③ しまう       ④ しまった

例題 10 <解説>

「〜てしまった」の用法

 「〜てしまった」は「完全に〜し終わった」と

いう意味を表したり、後悔の感情を表したりし

ます。副詞の「つい」や「うっかり」は不本意・

後悔の「〜てしまった」と呼応しますから、「つ

い〜てしまった」「うっかり〜てしまった」と最

初から覚えておいた方が早いでしょう。

「つい」と「うっかり」

 「つい」は自然にそうなってしまうことを表し

ますが、一方、「うっかり」は本人の不注意で失

敗したときに使います。下の例で言えば「つい」

は習慣や習性で自然に寝過ごしてしまったので

すが、「うっかり」は不注意から寝過ごして失敗

したという意味になります。

 つい(/うっかり)寝過ごしてしまった。

しかし、次の例には「うっかり」が使えません。

 つい(×うっかり)涙が溢れてきた。

例題9<解説>

「〜てきた」と「〜ていく」

 「〜てきた」は常に過去から現在(話者の立つ

時点)への継続・変化を表します。一方、 「〜

ていく」の特徴は、常に現在(話者の立つ時点)

132

20. 原因と理由の表現

よく使う文型

  普通形<Nーだ/ナ形ーだ>:〜から

  普通形<Nーな/ナ形ーな>:〜ので

  て形           :〜て

  普通形<Nーの/ナ形ーな>:〜ために

  普通形<Nーの/ナ形ーな>:〜おかげで

  普通形<Nーの/ナ形ーな>:〜せいで

  普通形<Nーな/ナ形ーな>:〜のに

  普通形<Nーの/ナ形ーな>:〜くせに

要点の整理

 ★ 「〜から」「〜ので」「〜て」の使い分け

 「から/ので/て(Nで)」は異なる原因・理由の世界を分担していて、後件で何を表すかで違ってきますが、会話で

「使い分け略表」の◎を使うようにすればいいでしょう。

 ★ 「〜ために」「〜おかげで」「〜せいで」        「〜ために」は客観的に因果を説明する表現で、個人的な事柄で使われることは少なく、自然現象や社会現象の説明に

多く使われます。一方、「〜おかげで」「〜せいで」は話者の感情が強く表れる表現で、「〜おかげで」はいい結果が発生

した場合に使われ、感謝の気持ちが現れます。「〜せいで」は悪い結果が発生したときに使われ、非難や残念な気持ちが

現れます。

「から/ので/て」の使い分け略表

      人為   ←   動作性   ⇔   状態性  →  自然・必然発生

 文末  意志・推量表現  未来表現  確定表現  可能表現  感情発生  形容詞表現                                    〜てください   〜する   〜た    できる   心配した  うれしい       〜だろう     〜ない   〜ている  わかる   安心した  寂しい

 から    ◎       ◎     △     △     ?     ?                     理由強調

 ので    △       △     ◎     ◎     △     △      制約あり          客観説明

 て     ×       ×     △     ○     ◎     ◎

133

例題1 

(例) 1) 学がっこう

校を 休やす

みました  

   2) 頭あたま

が 痛いた

かったです

A :どうして 学1)

校を 休んだ んですか。

B :頭)

が 痛かったので、 学1)

校を 休みました。

 → 頭)

が 痛かったから、学1)

校を 休んだんです。 

 → 学1)

校を 休んだ のは、頭2)

が 痛かったからです。

(1) 1) 電でんしゃ

車が 止と

まって います 

   2) 事じ

故こ

が ありました

(2) 1) 彼かれ

は 国くに

へ 帰かえ

りました  

   2) お父とう

さんが 病びょう

気き

です

(3) 1) 彼かれ

に 頼たの

みました    

   2) 他ほか

に 頼たの

める 人ひと

が いませんでした

(4) 1) 会かいしゃ

社を 辞や

めました   

   2) 仕し

事ごと

に 興きょう

味み

が 持も

てませんでした

(5) 1) 車くるま

が 通とお

れません    

   2) 工こうじちゅう

事中です

(6) 1) 私わたし

に 言い

いませんでした 

   2) 心しんぱい

配を かけたくなかったです

(7) 1) 進しんがく

学を あきらめました 

   2) 入にゅうがくきん

学金の 準じゅん

備び

が できませんでした

(8) 1) 意い

見けん

を 言い

いませんでした

   2) 言い

っても 無む

駄だ

だと思おも

いました

(9) 1) 結けっこん

婚を 断ことわ

りました    

   2) 性せいかく

格が 好す

きに なれませんでした

(10) 1) こんなに 時じ

間かん

が かかります

   2) 手て

続つづ

きが 複ふくざつ

雑です

例題1<解説>

理由の強調文

(1) 〜のは〜からです

 「事故があったので、電車が遅れました」は倒

置・強調して「電車が遅れたのは、事故があっ

たからです」と言うことができますが、この原因・

理由の倒置強調文では「〜(の)は〜からです」

が定型で、「〜のは〜のでです」の形はありませ

ん。

 明日試験なので、今勉強しています。

 →今勉強しているのは、明日試験だからです。

(2) 〜から〜んです

 普通は「〜ので」や「〜て」を使って表す原因・

理由文でも、「他でもなく、〜の理由で」と強調

するときは「〜から」に変わります。この原因・

理由の強調文は、多くの場合「文末が「〜んです」

となりますから、「〜から〜んです」(更に強調

た「〜からこそ〜んです」)と覚えておくといい

でしょう。

134

例題2 

(例) 1) 来く

る    2) 約やくそく

束する

A :彼は  1)

来 ましたか。

B :いいえ、 2)

約束したのに、来 なかったんです。

A :ほんとうに 困こま

った 人ひと

ですねえ。

(1) 1) お金かね

を 返かえ

す      

   2) 昨きのう

日が 約やくそく

束の 日ひ

(2) 1) お金かね

を 払はら

う      

   2) 品しなもの

物を 受う

け取と

(3) 1) 病びょういん

院に 行く      

   2) ひどい 熱ねつ

(4) 1) 謝あやま

る         

   2) 自じ

分ぶん

が 悪わる

(5) 1) 昨きのう

日の 試し

験けん

が できる  

   2) こんなに やさしい 問もんだい

題だ

(6) 1) タバコを やめる    

   2) 医い

者しゃ

が 止と

める

(7) 1) 彼かのじょ

女と 結けっこん

婚する    

   2) 婚こんやく

約する

(8) 1) 約やくそく

束の 物もの

を 持も

ってくる 

   2) あれほど 頼たの

(9) 1) ちゃんと 宿しゅくだい

題を して くる

   2) あんなに 厳きび

しく 叱しか

(10) 1) みんなの 仕し

事ごと

を 手て

伝つだ

う 

   2) いつも 暇ひま

例題2<解説>

逆接の「〜のに」

 「〜が/〜けれども」は対立関係があると思え

ば広く使えますが、「〜のに」は「〜ので、当然

そうなるはずだが、しかし〜」という因果関係

が背後にあります。ですから、話者の失望・残念・

後悔・不可解・不満などのマイナスの感情が常

に発生します。

 約束したから、来るでしょう。 

 ⇔ 約束したのに、来ません。

 高い料理なので、おいしいです。 

 ⇔ 高い料理なのに、おいしくないです。

135

例題3 

(1) A :顔色が 悪いね。

   B :うん、風邪を (引いたから/引いて)、 少し

      熱が あるんだ。

(2) A :危険(だから/なので)、 機械に 触っては

      いけません。

(3) A :どうして 会社を 辞めたんですか。

   B :辞めたのは 給料が 安かった(から/ので)

      です。

(4) A :明日は 晴れる でしょうか。

   B :星が 出て (いるから/いて)、晴れるだろう

      と 思います。

(5) A :学校まで バスで 通学して いるんですか。

   B :いいえ、(近いので/近くて)、歩いて 通って

      います。

(6) A :先生に (お会いできたので/お会いできて)、

      うれしいです。

   B :いえ、 こちらこそ。 

(7) A :困った ところを 助けて (いただいたので

      /いただいて)、ほんとうに ありがとうござ

      いました。

   B :いいえ、 どういたしまして。

(8) A :何か あったんですか。

   B :ええ、人身事故(で/だから) JR中央線が

      止まって いるんです。

(9) A :この 問題は (1)

難しくて/難しいですから)、

      よく 考えてください。

   B :先生、僕には (2)

難しくて/難しいですから)、

      全然 わかりません。

(10) A :あんまり 帰りが (1)

遅いから/遅くて)、心配

      してたんだよ。

   B :心配を (2)

かけたので/かけて)、ごめん。

例題3<解説>

 「から/ので/て」の使い分け略表(132 P)

を参照しながら、以下の解説を読んでください。

(1) 「〜から」の用法

 文末が動詞の原形(=未来形)や「〜だろう

/〜つもりだ」などの意志・推量・未来などの

表現のときは「〜から」が一番自然です。逆に、

文末が可能表現や形容詞表現など状態性の述語

のときには不自然になるのが「から」の特徴です。

    

 今授業中だから、静かにしてくれ。

 疲れたから、休みたい。

 約束したのだから、来るでしょう。

(2) 「〜ので」の用法

 「〜ので」は文末が「〜した/〜している」と

既定表現になる場合がほとんどです。なお、依

頼や希望の表現に「〜ので」を使うと、とても

丁寧な響きがしますし、敬語といっしょに使わ

れることが多くなります。ただし、「〜しなさい

/〜しろ/〜するな」などの命令や禁止表現に

は「〜ので」は使えません。

 昨日は寒かったので、風邪をひきました。

 明日試験なので、今勉強しています。

 貯金が貯まったので、パソコンを買った。

(3) 「〜て」の用法

 「〜て(で)」は人間の自然にわき上がる感情や、

状態や現象の発生を表すときに多く使われます。

文末で「ありがとう」「すみません/ごめんなさ

い」や「うれしい・悲しい・寂しい」などの感

情形容詞や、形容詞表現が使われるときは、「〜

て」が一番自然です。人間が意志でコントロー

ルできない自然・必然の世界は「〜て」の世界

といえるでしょう。

 あなたに会えて、うれしいです。

 桜が咲いて、きれいですねえ。

 昨日は暑くて、寝られませんでした。

 なお、「〜て」の文では、後件で「〜てくださ

い/〜なければなりません/〜たいです」や、「〜

でしょう/〜かもしれません」などの意志・推

量表現が一切表せません。

136

例題4

A :李君、どうしたんだろう?もうすぐ バスが 出発

   する 時間な(1)

ので/のに)、まだ 来ないね。

B :(  A  )、来る はずだよ。

    ・・・(C君が 駆けてくる)・・・

C :(  B  )、ごめん。 

(1) 1)は正しい方を選んでください。

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 約束して     ② 約束したので

  ③ 約束したから   ④ 約束したのに

(3) (B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 遅くなって    ② 遅くなったので

  ③ 遅くなったから  ④ 遅くなっったのに

例題5 

妻 :今日は 天気が (  A  )、布団を 干しましょ

   よ。起きて ちょうだい。

夫 :昨日は 帰りが 遅かった(1)

ので/んだから)、せめ

   て 日曜日ぐらい ゆっくり 寝させて くれよ。

妻 :どうせ、 いつもの 連中と 麻雀でしょ。

夫 :違うよ。会社の つきあい(2)

で/だから)、 遅くなっ

   たと 言っただろ。  

(1) 1)2)は正しい方を選んでください。

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① よくて      ② いいので

  ③ いいから     ④ いいために

例題4<解説>

「〜から」「〜ので」と推量表現

 文末が「〜だろう/〜かもしれない/〜はず

だ」のような推量表現になるとき、「〜から」が

一般的です。「〜ので」もありますが、次の例を

見てください。

 星が出ているから(⇄ので)、明日は晴れるだ

ろ う。

 約束したのだから(?ので)、彼は来るだろう。

 自然現象や誰でもそう考えるような確定事実

の時は「〜ので」も使われますが、人為的な行

為になると、実際はどうなるかわからないとい

う不確定さを増しますから、「〜ので」が使いに

くくなるのです。

例題5<解説>

「〜から」「〜ので」と意志表現

 「〜から」は理由を主観的に取り上げる表現で、

文末で自由に意志表現が使えます。

 しかし、「〜ので」は話者の主観以前に存在し

ている因果関係を客観的に説明する表現ですか

ら、命令・禁止のような強い意志表現はもちろ

んですが、「〜たい/〜ほしい」(希望)や「〜(よ)

う/〜つもりだ」(意志)などの表現に使っても

不自然になることが多くあります。

 危ないから(×ので)、触るな!

 時間がないから(×ので)、急げ!

 ご両親が心配するから(?ので)、早く帰った

 方がいいよ。

 もう遅いから(?ので)、帰ろう。

 つまり、「〜ので」は話者の個人の判断や感情、

意志など主観・恣意の世界を表すにはふさわし

くないのです。

 逆に 2)のように、文末が過去形になるとき

は「〜ので」や「〜て(で)」が自然になります。

137

例題6 

先生:今きょう

日も また 遅ち

刻こく

だね。

A :すみません。中ちゅうおうせん

央線で 事じ

故こ

が (  A  )、遅おく

   ました。

先生:事故( a ) 遅れた(1)

んだから/んだったら)、し

   たが ない(2)

けど/のに )、そんなに 毎日 事故は

   ない(3)

んだから/んだったら)、いつも 遅刻する

   理り

由ゆう

には ならないよ。 

(1) 1)〜3)は正しい方を選んでください。

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① あったから     ② あったので

  ③ あるために     ④ あったのに

(3) (a )の中に入る適当なものはどれですか。

  ① で         ② なので

  ③ だから       ④ なのに

例題7 

A :その 冷蔵庫、 どうしたの?

B :燃えない ゴミの 日に 捨てて (1)

あって/あった

   から)、もらって きたんだ。 

A :まだ 使える 物(2)

なのに/のくせに )、どうして

   捨てるんだろう? 

B :部屋が (  A  )、置く ところが (3)

なくて/な

   いから)、新しい 物を 買ったら 捨てるしか な

い   んじゃない?

(1) 1)〜3)は正しい方を選んでください。

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 狭くて       ② 狭いので

  ③ 狭いから      ④ 狭いのに

例題7<解説>

「〜て〜から/ので、〜」

 理由を二つ以上並べるときの基本型は、「〜て

〜から、〜」と「〜て〜ので、〜」です。「〜から」

か「〜ので」かは、文末表現によって決まります。

○ この問題は難しくて、時間もかかるから、

  一番最後にしましょう。 

○ 風邪を引いて 頭が痛かったので、昨夜

  は早く寝ました。

「〜のに」と「〜くせに」

 「〜くせに」は機能上は「〜のに」と同じです

が、非難・軽蔑・反発の感情を強く表します。

 彼は金持ちなのにけちだ。<残念・失望>

 彼は金持ちのくせにけちだ。<非難・蔑視>

 さて、「〜のに」は用法上制約はありませんが、

「〜くせに」は、物が主語になれない、同一主語

文でしか使えないという制約があります。

 家賃が高いのに(×くせに)、トイレもない。

 例えば、2)は異主語文ですから、「〜くせに」

が使えません。

例題6<解説>

謝罪に「〜から」は禁句

 「〜から」と「〜ので」の違いが大きな語感の

差を生む場合があります。例えばこの会話例よ

うに謝るときの理由に「〜から」を使うと、理

由を強調しすぎるので、「私は少しも悪くない。

悪いのは事故のせいだ」というニュアンスが生

まれます。人に謝るとき「〜から」は禁句です。

 今日は、どうして遅刻したんですか。

 →事故があったから、電車が遅れました。

   <悪いのは事故で私に責任はない>

 →事故があったので、電車が遅れました。

   <客観的に因果を説明>

138

例題8 

A :大学受験が (  A  )、うちの 子は 勉強を

   (1)

しないで/しなくて )、困って います。

B :勉強を (2)

しないで/しなくて )、何を して いる

   ですか。

A :テレビゲームばかり して います。

(1) 1)2)は正しい方を選んでください。

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 近いから     ② 近いのに

  ③ 近いけど     ④ 近くても

例題9

A :最さいきん

近は 会社の 仕事が (  A  )、新しんぶん

聞を 読よ

   時間も ありません。 

B :大変ですね。

A :ええ。昨きのう

日も 家いえ

に 帰かえ

ったのが 12 時じ

過す

ぎで、風

   にも (1)

入らないで/入らなくて) 寝て しまいまし

   た。 

B :日に

本ほん

では 朝ちょうしょく

食も (2)

取らないで/取らなくて)、会かいしゃ

   に 行い

く サラリーマンが 多おお

いと 聞き

きましたが、

   ほんとうですか。

A :ほんとうです。それに 有ゆうきゅうきゅうか

給休暇も 自じ

由ゆう

に (3)

取れ

   いで/取れなくて)、家か

庭てい

サービスを する 時じ

間かん

   ないのが 実じつじょう

状です。

(1) 1)〜3)は正しい方を選んでください。

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 忙しいから    ② 忙しいために

例題8〜9<解説>

「〜ないで」と「〜なくて」

 動詞には「〜ないで」と「〜なくて」という

二つの形がありますが、この用法の違いを理解

するには、動詞の「て形」とは何かを先に見て

おいた方がいいでしょう。

 単純化して言えば、動詞の「て形」は「〜て、

そして」と「〜て、それから」と「〜て、それで」

に分かれます。

<〜て、そして〜:並列・同時など>

 昨夜は友達と飲んで、騒いだ。 

<〜て、それから〜:継起>  

 昨夜は友達と飲んで、家に帰った。

<〜て、それで〜:理由> 

 昨夜は友達と飲んで、二日酔いになった。

 「〜て」と「〜ないで」「〜なくて」の関係ですが、

次のように整理するとわかりやすいでしょう。

<〜ないで=〜て、そして>

 ご飯を食べないで、牛乳を飲んだ。

<〜ないで=〜て、それから>

 ご飯を食べないで、学校へ行った。

<〜なくて=〜て、それで>

 ご飯を食べなくて、病気になった。

「〜て」と可能表現

 文末が可能表現でも「〜られない」と否定形

の場

合は状態性が強いので、「〜て」が多くなります。

 しかし、「〜られる」と肯定の場合は、「〜て」

が使えない場合が生じ始めます。

 字が汚くて(⇄汚いので)、読めない。

 練習したので(⇄練習して)、今は 10k キロは

泳 げるようになりました。 

 練習したので(×練習して)、今は 10k キロは

泳 げます。

 高かったので(×高くて)、買わなかった。

 嘘をついたので(×言って)、叱った。

 こうして徐々に「〜ので」の世界に移行する

139

例題 10 

A :おはよう。昨夜 飲み過ぎた( a )、今朝は 頭あたま

   ズキズキするよ。 

B :そんなに お酒が 強くない( b )、調子に 乗っ

   て 飲む( c )よ。 

(1) (a )(b )の中に入る適当なものはどれですか。

  ① ために       ② おかげで

  ③ せいで       ④ くせに

(2) (c) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① ためだ       ② おかげだ

  ③ せいだ       ④ からだ

例題 11 

母親:( a )、息むす

子こ

も 志し

望して いた 大学に 無ぶ

事じ

 

合ごうかく

格できました。全て 先生の ( b )です。

先生:いえいえ、本ほんにん

人の 努ど

力りょく

の たまものですよ。

母親:いいえ、合格できたのは 先生の ご指導が あっ

   (  A  )です。お礼の 言葉も ありません。 

(1) (a )(b )の中に入る適当なものはどれですか。

  ① ため        ② おかげ

  ③ おかげさまで    ④ せい

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① ため        ② せい

  ③ ので        ④ から

例題 10 〜 11 <解説>

「〜ために」

「〜おかげで」「〜せいで」

(1) 接続の形

 名詞 :   の     + ため(に)

 動・形:普通形<ナ形ーな>  おかげで

                せいで 

* 動詞の時は「〜過ぎる」や状態動詞「ある・

いる・できる・わかる・要る」を除いて、

完了形(た形)接続になります。

(2) 基本的な使い分け

 「〜ために」は客観的に因果を説明する表現で、

個人的な事柄で使われることは少なく、自然現

象や社会現象の説明に多く使われます。新聞や

報道、各種アナウンスなどで、多く用いられる

現です。例えば、以下のような個人的な事柄を

明するときは「〜ので」を使うべきで、「〜ため

に」は不自然です。

 昨日は頭が痛かったので(?ために)、学校を

 休んだ。

 「〜おかげで」「〜せいで」は話者の感情が強

表れる表現で、「〜おかげで」はいい結果が発生

した場合に使われ、感謝の気持ちが現れます。

「〜せいで」は悪い結果が発生したときに使われ、

非難や残念な気持ちが現れます。例えば同じこ

とでも、「〜おかげで」を使うか、「〜せいで」

使うかで、全く意味が異なってきます。

 台風のために、電車が 止まった。    

  <客観・中立・無感情>

→ 台風のおかげで、電車が 止まった。

   <会社が休みになってうれしい>

→ 台風の せいで、 電車が 止まった。 

   <会社に行けなくて、とても困った>

140

21. 目的の表現

よく使う文型

  [ます]形         :〜に(行きます/来ます/帰ります…)

  Nーの/動詞の原形・ない形:〜ために

  動詞の原形・ない形    :〜ように

  N/動詞の原形+の    :〜に(いい/必要だ/使う…)

  Nーの/動詞の原形・ない形:〜には

要点の整理

 ★ 目的の「〜ために」と原因・理由の「〜ために」

 名詞の時は、目的か原因・理由かは文脈からしかわかりませんが、動詞の場合は「〜するために」は目的を表し、「〜

したために」は原因・理由を表します。

 家を買うために<目的>、貯金している。

 家を買ったために<理由>、ローンの支払いで苦しんでいる。

 ★ 「〜ために」と「〜ように」の使い分け

 前後同一主語文では、「(他動詞/人

が主語になる自動詞+ために」、「(わ

かる/できる&可能形/「もの」が主

語の自動詞/〜ない<否定形>)+よ

うに」と覚えればいいでしょう。

 なお、前件・後件が異主語文の場合

は、前の動詞の種類に関係なく「〜よ

うに」を使います。

 ★ 目的・用途・手段を表す「〜(の)に」

 「名詞+に/原形+のに」の形が目的や用途を表す場合があります。後に続くのは状態性の述語で、主なものをあげる

と、「動詞:使う/役に立つ/(お金や時間が)かかる/要る」「形容詞:いい/よくない/悪い/便利だ/必要だ/簡単だ」

などです。

   辞書は 外国語の勉強    に必要です。

       外国語を勉強するの

   スポーツは 健康     にいいです。 

         健康を保つの

        同一主語文   異主語文

意志動詞 +  〜ために    〜ように

無意志動詞+  〜ように    〜ように

141

例題1 

(例) 1) 公こうえん

園    2) 散さん

歩ぽ

A :今きょう

日は いい 天てん

気き

ですね。

B :ええ、 そうですね。 どこか お出で

かけですか。

A :ええ、 公1)

園へ 散2)

歩に 行きます。 

B :そうですか。 行ってらっしゃい。

A :じゃ、 行ってきます。

(1) 1) デパート    

   2) 買か

い物もの

(2) 1) 先せんせい

生の お宅たく

 

   2) 遊あそ

(3) 1) 海うみ

      

   2) 釣つ

(4) 1) 空くうこう

港     

   2) 友とも

だちを 迎むか

える

(5) 1) 奥おく

多た

摩ま

    

   2) ハイキング

(6) 1) 上うえ

野の

公こうえん

園   

   2) 桜さくら

を 見み

(7) 1) 図と

書しょかん

館    

   2) 本ほん

を 借か

りる

(8) 1) 郵ゆうびんきょく

便局    

   2) 手て

紙がみ

を 出だ

(9) 1) 市し

民みんかいかん

会館   

   2) コンサートを 聴く

(10) 1) 近ちか

くの 喫きっさてん

茶店

   2) コーヒーを 飲の

例題1<解説>

「〜に行く」と「〜ために行く」

 [ます]形:食べに 行く/来る/帰る

 名詞   :食事に 行く/来る/帰る

 <N/[ます]形+に」>が使われる動詞には、

「行く・来る・帰る・戻る・出る・出かける・寄

る・向かう・入る…」などの移動動詞があります。

   

142

例題2

(例) 1) お金かね

を 貯た

めて います  

   2) 家いえ

を 買か

います   

A :何なん

の ために お1)

金を 貯めて いるんですか。

B :家2)

を 買うために、お1)

金を 貯めて いるんです。

A :そうですか。

(1) 1) 一いしょうけんめい

生懸命、 働はたら

いて います 

   2) 家か

族ぞく

の 生せいかつ

活   

(2) 1) 資し

料りょう

を コピーして います  

   2) 明あした

日の 会かい

議ぎ

    

(3) 1) お酒さけ

を 飲の

みます 

   2) 一いちにち

日の 疲つか

れを とります  

(4) 1) 日に

本ほん

に 来き

ました   

   2) 進すす

んだ 技ぎ

術じゅつ

を 学まな

びます      

(5) 1) 経けいざいがく

済学を 学まな

びます

   2) 祖そ

国こく

の 発はってん

展に 貢こうけん

献します   

(6) 1) 日本に 留学します。

   2) 日本語の 通訳に なります。

(7) 1) アメリカへ 行い

きます  

   2) 英えい

語ご

を 勉強します     

(8) 1) 毎まいにち

日 プールに 通かよ

って います

   2) 体からだ

を 鍛きた

えます   

(9) 1) 政せい

治じ

家か

に なります 

   2) 世よ

の中なか

を 変か

えます    

(10) 1) この 非ひ

常じょう

ベルは あります

   2) 火か

事じ

や 地じ

震しん

が 起お

こった 時とき

     

例題2<解説>

目的の「〜ために」

 名詞: の   + ために 〜 する

 動詞: 原形

 前後異主語文では常に「〜ように」となりま

すから、「〜ために」と「〜ように」の使い分け

が必要なのは、同一主語文のときです。その場

合、「意志動詞+ために」「無意志動詞+ように」

が基本的な使い分けです。

 他動詞       + ために

 人が主語の自動詞

 可能形/わかる   + ように

 物が主語の自動詞

 ない形

 (私は)病気を治す(=他動詞)ために薬を飲

 む。

 (私は)病気が治る(=自動詞)ように薬を飲

 む。

 (私は)大学に行く(=「人」が主語の自動詞)

 ために、貯金をしている。

 (私は)大学に行ける(=可能形)ように、貯

143

例題3

(例1) 1) 日に

本ほん

の 新しんぶん

聞を 読よ

む  

    2) 毎まいにち

日、 漢かん

字じ

を 勉べんきょう

強して いる  

A :もう 日1)

本の 新聞が 読めますか。

B :いいえ、 まだですが、読1)

めるように、毎2)

日、 漢字

   を 勉強して います。

(1) 1) 日にほんりょうり

本料理を 何なん

でも 食た

べる

   2) 努ど

力りょく

して いる

(2) 1) ワープロを 打う

つ    

   2) 毎まいにち

日、 練れんしゅう

習して いる

(3) 1) 会かい

議ぎ

を 始はじ

める     

   2) 今いま

、 準じゅん

備び

を 急いそ

いで いる

(4) 1) パソコンの 操そう

作さ

 をする 

   2) これから 勉べんきょう

強する

(例2) 1) よく わかります  

    2) ゆっくり 話はな

します

A :よ1)

く わかるように、ゆ2)

っくり 話してください。

B :はい、 わかりました。

(1) 1) はっきり 見み

えます   

   2) 大おお

きい 字じ

で 書か

きます

(2) 1) 風が よく 通ります     

   2) 窓を 開けます

(3) 1) 遅刻しません   

   2) 少し 早めに 家を 出ます

(4) 1) 風か

邪ぜ

を ひきません  

   2) 気き

を つけます

例題3<解説>

目的の「〜ように」

 動詞:原形/ない形 + ように 〜する

 前後同一主語文の場合の使い分けは、前項で

取り上げました。 

 前後異主語文の場合は行為者(主語)が第三

者のためにする行為は目的と言うよりも、「〜よ

うになってほしい」と思ってする希望の行為で

すから、常に「〜ように」が使われます。つまり、

日本語では行為者が直接、自分のためにする行

為にしか、「〜ために」は使わないのです。

 老人が食べられるように、(私は)肉を柔らか

 く煮ました。

 子供が勉強するように、(父は)勉強部屋を 

 作った。

 この目的の「〜ように」は「〜状態になるた

めに」を表していて、「〜ないように」は「よく

ない状態になることを回避するために」と同じ

意味になります。

 遅刻しないように、早く行きましょう。

 忘れないように、手帳に書いておきます。

144

                  

例題4 

(1)

A :成田 11 時到着の 予定ですが、空港に 迎え(2)

に/

   めに) 来て いただませんか。

B :かしこまりました。

(2)

A :この バザーは 何(1)

に/のために) 行われて い

   んですか。

B :日本に いる 留学生(2)

に/のために) 送る 奨学

   金を 集める(3)

ため/よう)です。

(3)

A :何か 体(1)

に/のに) いい ことを してる?

B :うん、体を 鍛える(2)

ために/ように)、毎週 三回

   プールに 通ってる。それと、栄養が 偏らない

   (3)

ために/ように)、 食生活にも 注意してるよ。

(4)

先生:みなさん、忘れ物が ない(1)

ために/ように)、 身の

   回りの 品を 確かめて ください。念の (2)

ために

   /ように) 言って おきますが、帰りの バスが

   ここを 出発するのは 2時ですから、それに 間に

   合う(3)

ために/ように)、戻って きて ください。

学生:は〜い。

(5)

先生:ある 実業家が 「夢を 実現する(1)

には/のに)、

   夢を 見続ける ことだ」と 言いましたが、いい 

   言葉ですね。 

A :先生、人生に 成功する(2)

には/のに) 必要な 条

   というのは 何でしょうか。

先生:成功する(3)

には/のに)、才能だけでなく 運も 必

要   でしょうが、夢を 持ち続ける 強い 意志が 必

要   でしょうね。

例題4<解説>

(1)「〜に行く」と「〜ために行く」

 移動動詞には<[ます]形+に+行く/来る

/帰る…>が普通ですが、「〜ために」が使える

場合もあります。それは特別な目的であること

を強調したいときで、日常生活での通常の行為

には使われません。

 舞子の写真を撮りに(→撮るために)京都へ

 行った。

 昼ご飯を食べに(×ために)食堂に行った。

 本場の中華料理を食べに(→食べるために)、

 香港に行った。

(2)「(人)に」と「(人)のために」

 混同が生じやすいのは、「〜に〜を<他V>」

のときです。「留学生に」は対象ですが、「留学

生のために」は目的で、「留学生のために、国際

交流協会に奨学金を送る」のように、対象が別

の場合も生じます。

 

(4)「〜(の)に」と「〜には」

 「〜(の)に」は後件に「使う/役に立つ/(お

金や時間が)かかる/要る」「いい/よくない/

悪い/便利だ/必要だ/簡単だ…」などの状態

性の語が来ますが、「〜(の)に」は用途・手段・

方法に重点があります。ですから、目的を表し

ているとも解釈できる場合は「早起きは体に(⇄

のために)いい」のように、「〜ために」が使え

ますが、用途・手段しか表さない文では「〜た

めに」が使えなくなります。

 会社に行くのに(×ために)、いつも 自転車

 を使っている。

 「〜には」は「〜ためには/〜のには」の省略

形で、会話ではこちらの方が多く使われます。

 事業を始めるには(⇄のには)、金が要る。

 勝つには(⇄ためには)、手段を選ばない。

145

例題5 

A :あのう、電話が 遠いんですが、(  A  )(2)

ため

   /ように)、 もっと 大きい 声で  話して いた

   だけませんか。 

B :はい、 わかりました。

(1) 1)は正しい方を選んでください。

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 聞く      ② 聞き

  ③ 聞こえる    ④ 聞ける

例題6 

A :昔むかし

から 「子し

孫そん

の (1)

ために/ように) 美田を 残のこ

   な」という ことわざが ありますね。

B :親の 財産を 当てに すると、子供は 努力する

   大切さを 忘れて しまうから、そう (  A  )

   (2)

ために/ように)という 教訓だね。

A :子供の 独立心を (  B  )(3)

には/のに)、その

   方が いいかも しれませんね。

B :とはいえ、教育(4)

に/のために) かかる お金だけ

   親として 準備して おいて やらねばねえ。

(1) 1)〜4)は正しい方を選んでください。

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① なる      ② ならない

  ③ する      ④ しない

(3) (B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 育つ      ② 育てる

  ③ 育てる     ④ 育てた

                  

例題5<解説>

 「電話が遠いんですが」

 丁寧な電話での会話では「声が小さくて、聞

こえません」といった相手に責任があるような

直接的な言い方を避けて、まるで電話局に問題

があるように「電話が遠いんですが、・・・」と

言います。ビジネス会話では特に大切な言い回

しですから、覚えておきましょう。

異主語文では「〜ように」

 文脈から考えても「声が小さくて、聞こえない」

と解釈するのが自然なのですが、それ以外にも

文法問題が存在します。それは、前件の主語は

<声>、後件(「〜ていただけませんか」)の主

語は「あなた」で、前後異主語文だからです。

例題6<解説>

「〜ないように」と「〜ないために」

 「〜ないように」と「〜ないために」は、前件

が意志性のときは、どちらも使える場合が多い

でしょう。

 遅刻しないように(⇄ために)、早く家を出た。

 事故を起こさないように(⇄ために)、安全運

 転をした。

 しかし、前件が状態性に近づくと「〜ないた

めに」が使えなくなってきます。

 子供が目を覚まさないように(×ために)、静

 かに歩く。

 コーヒーが冷めないように(×ために)、ポッ

 トに入れた。

 風邪を引かないように(×ために)気をつけ

て ください。

 2)も「忘れない=そうしない」と状態性なの

で、「〜ないために」が使えない例ですが、「〜

ないように」は「〜ないために」よりも広範に

使えます。

 

146

22. 条件の表現

よく使う文型

  原形・ない形       :〜と

  た形           :〜たら

  仮定形          :〜ば

  普通形<Nー×/ナ形ー×>:〜なら

  普通形<Nーな/ナ形ーな>:〜んだったら

  て形           :〜ても

要点の整理

 ★ 仮定条件と既定条件

                             

 ★ 「と・ば・たら・なら」の使い分け略表

           

        一般成立     個別成立    既定・過去   意志・希望   推量・予想

        (〜する)     (〜する)    (〜した)    (〜つもりだ)    (〜だろう)

  と      ○        ?      ○       ×      ?

      ー事実・習慣ー                      

  たら     ?        ○      ○       ○      ○

  ば      ○        ?      ×       △      ○

      ー一般論・判断ー                   ー制約ありー

  なら     ?        ○      ×       ○      △

 左図のように、仮定形「〜ば」と「〜

と」「〜たら」の一番の違いは、「〜ば」

は仮定条件しかなく、既定条件が表せ

ないことです。つまり、「〜ば」の後

件では完了形(「た形」)が使えせん。

 「〜と」「〜たら」は仮定条件も既定

条件も表せますが、「〜と」は必然で

文末で意志表現が使えないなどの制約

があります。文末との関係で整理した

のが、下図ですが、例題1〜4の解説

も参照してください。

147

例題1

 (例) 1) 雨

あめ

が 降ふ

ります   2) 行い

きます

A  :もし 雨1)

が 降ったら やめますか。 

B  :いいえ、私は たとえ 雨1)

が 降っても、

    行2)

きたいです。

(1) 1) 給きゅうりょう

料が 安やす

いです    

   2) その会かいしゃ

社に 勤めます   

(2) 1) 高たか

いです         

   2) その品しな

を 手て

に 入い

れます 

(3) 1) 危き

険けん

です         

   2) その山やま

に 登のぼ

ります     

(4) 1) 雨あめ

です          

   2) 予よ

定てい

通どお

り 決けっこう

行します

(5) 1) 天てんこう

候が 悪わる

いです     

   2) 出で

かけます

(6) 1) 親おや

が 賛さんせい

成しません    

   2) 結けっこん

婚します   

(7) 1) 実じつげん

現が 困こんなん

難です     

   2) 最さい

後ご

まで やり抜ぬ

きます 

(8) 1) 金キム

さんが 来こ

ません    

   2) 会かい

議ぎ

を 始はじ

めます 

(9) 1) みんなが 反はんたい

対します   

   2) 自じ

分ぶん

の 意い

見けん

を 変か

えます

(10) 1) 合ごうかく

格の 可か

能のう

性せい

が ありません

   2) 受じゅけん

験します     

例題1<解説>

条件の「〜たら」

   雨が  降った     ら

       降らなかった

   値段が  高かった    ら

        高くなかった 

   元気/雨  だった    ら

         でなかった

 「〜たら」は個別的・偶発的に成立すること

や、意志・希望のような人為的な世界を表しま

す。また、「〜たら」は推量にも使われますが、

実際の会話では推量には「〜ば」の方が多く用

いられています。文末で人間の意志や感情に関

係する文末表現(助動詞)を使うときは「〜たら」

と覚えればいいでしょう。

 (もし)ボーナスが出たら、 

  →パソコンを買います (未来)

  →パソコンを買ってください(依頼)

  →パソコンを買いましょう(意志)

  →パソコンを買いたいです。(希望)

  →パソコンを買った方がいいです。(提案)

  →パソコンを買うだろう。(推量)

逆説の「〜ても」

 「〜ても」は広く条件の逆説を表します。仮定

条件の逆説は「たとえ〜ても」、既定条件の逆説

は「いくら〜ても」と覚えておきましょう。

  <仮定条件>

  (もし)雨が降ったら、行きません  

⇔ (たとえ)雨が降っても、行きます

  (もし)安かったら、買います    

⇔ (たとえ)安くても、買いません

  <既定条件>

148

例題2 

(例) 1) 卵たまご

を 食た

べます 

   2) 体からだ

に 湿しっしん

疹が 出で

ます

   3) 医い

者しゃ

に 相そうだん

談します

A  :ご相そうだん

談したい ことが あります。

相そうだんいん

談員:はい、 何なん

でしょうか。

A  :卵を 食べると、体に 湿疹が 出るんですが、

    どう したら いいでしょうか。

相そうだんいん

談員:でしたら、医者に 相談したら どうですか。

(1) 1) 夏なつ

に なります    

   2) 食しょくよく

欲が なくなります

   3) 病びょういん

院で 検けん

査さ

を 受う

けます

(2) 1) 花か

粉ふん

の 季き

節せつ

に なります

   2) 花かふんしょう

粉症で 目め

が 痛いた

くなります

   3) しばらく この 漢かんぽうやく

方薬を 飲の

みます

(3) 1) 主しゅじん

人は 酔よ

います    

   2) 私わたし

に 暴ぼうりょく

力を 振ふ

るいます  

   3) 弁べん

護ご

士ご

に 相そうだん

談します

(4) 1) 夫おっと

は 給きゅうりょう

料が 入はい

ります

   2) すぐ 競けいりん

輪や 競けい

馬ば

に 使つか

います

   3) 家か

計けい

の ことを 二ふた

人り

で 話はな

し合あ

います

(5) 1) うちの 息むす

子こ

は 叱しか

ります

   2) 反はんこうてき

抗的に なって 暴あば

れます

   3) しばらく 様よう

子す

を 見み

ます

(6) 1) 毎まいにち

日 夜よる

に なります

   2) うちの 前まえ

の 道どう

路ろ

を 暴ぼうそうぞく

走族が 走はし

ります

   3) 警けいさつ

察に 連らんらく

絡します

例題2<解説>

条件の「〜と」

   雨が  降る    と

       降らない  

   値段が  高い    と

        高くない

   元気/雨  だ    と

         でない

 条件の「〜と」(「原形・ない形」+と)は習

慣や必然的結果・確定事実を表します。「〜と」

は<いつもする>ことか、<必ずそうなる>こ

とを表すと覚えておくといいでしょう。

<習慣>

 彼は家に帰ると、パソコンに向かっている。

<自然現象>

 春になると、暖かくなります。

<客観事実>    

 右に曲がると、駅があります。

<既定・過去>    

 日が沈むと、急に寒くなった。

<発見>     

 家に帰ると、手紙が来ていた。

意志表現ができない「〜と」

 なお、「〜と」は必然・確定事実の世界なの

で、依頼「〜てください」や義務「〜なけれな

なりません」や勧告「〜方ががいい」や希望「〜

たいです」や勧誘「〜ませんか/〜ましょうか」

など、人間の意志や感情に関係する文末表現を

使うことができません。

 ボーナスが出ると 

  × パソコンを買おう。    (意志)

  × パソコンを買ってください。(意志)

149

例題3

(例1) 1) 時じ

間かん

に 間ま

に 合う   

    2) タクシーを 使つか

A :鈴すず

木き

さん、時1)

間に 間に 合いませんよ。

鈴すず

木き

:大だいじょうぶ

丈夫です。タ2)

クシーを 使えば、間1)

に 合います。

A :でも、タ2)

クシーを 使っても、たぶん 無む

理り

ですよ。

(1) 1) 私わたし

は 歩ある

ける     2) 少すこ

し 休やす

(2) 1) 財さい

布ふ

が 見み

つかる   2) よく 探さが

(3) 1) この 病びょう

気き

は 治なお

る  2) 手しゅじゅつ

術を する

(4) 1) 使つか

い方かた

が わかる   2) 説せつめいしょ

明書を 読よ

(5) 1) 私わたし

には できる    2) 練れんしゅう

習する

(6) 1) 解かいけつ

決方ほうほう

法が ある   2) みんなで 考かんが

える

(例2) 1) 給きゅうりょう

料が 高たか

い  

    2) 生せいかつ

活できる

A :給1)

料が 高い 方ほう

が いいですか。

B :そうですね。生2)

活できれば、給1)

料は 高くなくても

   かまいません。

(1) 1) 病びょういん

院へ 行い

く    2) 熱ねつ

が 下さ

がる

(2) 1) 冷れいぼう

房を 止と

める   2) 寒さむ

くない

(3) 1) 電でん

池ち

を 交こうかん

換す   2) まだ 使つか

える

(4) 1) Aさんを 招しょうたい

待する 2) 親した

しくない

(5) 1) 会かい

議ぎ

に 出で

る    2) 忙いそが

しい

(6) 1) 明あした

日、来く

る     2) 都つ

合ごう

が 悪わる

例題3<解説>

条件の「〜ば」

   ま なければ      なければ

 読 む        食べ る

   め ば         れば

 する→すれば→しなければ

 くる→くれば→こなければ

 美し い     静か だ

    ければ   雨  であれば/なら

    くなければ    でなければ

 仮定形「〜ば」は、頭や心の中で描く想像や

想念の世界です。そのため、実際に発生したこ

と(=既定事実)が表せません。いつも「もし

= if」の世界なのです。つまり、後件の文末で

完了形(「た形」)が使えないのです、

 新幹線は京都駅に

  ○ 着くと/着いたら

  × 着けば       

 5分間停車した。

「〜ば」と意志表現

 「〜ば」は前件が状態性の「ある/いる/でき

る/可能形」や形容詞の時は、「〜たら」と同様

に後件で意志・依頼・義務や希望などが使えま

すが、動作性の意志動詞の時には使えません。

 <意志表現が使えないとき>

 田中さんに会ったら(×会えば)、よろしくお

 伝えください。

 宝くじが当たったら(×当たれば)、世界旅行

 がしたいです。

 <意志表現が使えるとき>

 お金があったら(⇄あれば)、家を買いたい。

 

150

例題4

(1)

A :あのう すみません。

   東京駅には どう (  A  ) いいで しょう

か。

B :あそこに 信号が 見えますね。そこを 右へ 

   曲がって、まっすぐ (  B  )、 東京駅です。

  ① 行くと       ② 行ったなら

  ③ 行けば       ④ 行くなら

(2)

A :君が 悪いんだから、李君に (  A  ) どう?

B :(  B  ) 許して くれないと 思うけど、…。

A :それでも 謝るべきだと 思うね。

  ① 謝ると       ② 謝ったら

  ③ 謝れば       ④ 謝っても

(3)

教師:この 課について、何か 質問が (  A  )、

   何でも どうぞ。

学生:ありません。

教師:(  B  )、授業は これで 終わります。

  ① あると       ② ないと

  ③ あれば       ④ なければ

(4)

放送:この 新幹線は 京都駅に (  A  )、5分間

   停車いたします。お乗り換えの お客様は、お忘れ

   の ないよう お願いいたします。

A :京都に (  B  )、まず、民宿を 探そう。

  ① 着くと       ② 着けば

  ③ 着いたら      ④ 着いても

例題4<解説>

(1)事実の「〜と」と判断の「〜ば」

 (B)に「行けば」を使うと、「もし〜ば、〜(と

思う)」と仮定(判断)になり、確定事実にはな

りませんから、道案内になりません。

(2)疑問詞の位置と「ば」「たら」

 「A ばB」文の焦点は前件Aにあるため、疑

問詞が前件に来るときには「〜ば」が使えます

が、後件に来るときには使えません。その点、「A

たらB」は制約なく使えます。

 どうしたら(⇄すれば)いいですか?

 いつ行ったら(⇄行けば)いいですか? 

 明日にしたら(×すれば)、どうですか?

 

(3) 「〜と」「〜ば」と意志表現

 (A)は「どうぞ(〜てください)」と意志表現

がありますから、「〜と」は使えません。問題は(B)

ですが、文末の「終わります」が教師の意向を

表している点に注意しましょう。「〜と」は意向

や意志を表すことができませんが、「〜ば」は前

件が状態性の述語の時は、文末で意向や希望を

表すことができます。

(4) 「〜と/〜ば/〜たら」の違い

 (A)には文法的には以下のどれも使えますが、

電車のアナウンスはどう言ったでしょうか。結

論から言うと、「〜と」です。

 JRは定刻できちんと決まって動いています。

つまり、確定事実ですから「〜と」の世界です。「〜

たら」を使うと、一回性の事柄ですから、その

電車に限ってそうなるという意味に変わります。

問題は「〜ば」ですが、「〜ば」は常に「もし〜

ば、〜」という想定条件ですから、「〜ば」を使

うと、乗客はこの新幹線が京都駅に着くかどう

か、不安になってしまいます。

151

例題5

1.

A :(1)

もし/たとえ) 宝くじで 一億円が (  A  )、

   どう しますか。

B :そうですね。まず 家を 買いますね。

(1) 1)は正しい方を選んでください。

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 当たれば      ② 当たると

  ③ 当たったら     ④ 当たっても

2.

A :A大学の 試験、難しくて 全然できませんでした。

先生:(1)

いくら/たとえ) A大学が (  A  )、B大学

   もあります。最後まで あきらめては いけません。

(1) 1)は正しい方を選んでください。

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① だめだと      ② だめだったら

  ③ だめなら      ④ だめでも

3.

A :この 公園は (1)

もし/×) 春に (  A  )、 

   桜が 咲いて、 とても きれいですよ。

B :機会が (  B  )、その 頃 来たいですね。

(1) 1)は正しい方を選んでください。

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① なって       ② なると

  ③ なったら      ④ なれば

(3) (B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① あって       ② あると

  ③ あれば       ④ あるなら

例題5<解説>

1.「もし」と「たとえ」

 「もし」はまだどうなるかわからない仮定的な

事態を想定する副詞で、「〜もし〜たら/ば/な

ら」のように呼応します。「もし」は確定事実や

必然的に発生する事柄を述べる「〜と」とは呼

応しないことに注意しましょう。

 この「もし」に対応するのが逆説の「たとえ

〜ても」で、仮定条件の逆説を表します。

A:もし、明日雨が降ったら、中止にしますか。

B:いいえ、たとえ雨が降っても、予定通り行

い  ます。

2.「たとえ」と「いくら」 

 「たとえ〜ても」は、まだ起こっていない仮定

条件の逆説です。一方、「いくら〜ても」「どん

なに〜ても」は主に既定条件の逆説に使われ、

もう起こったことを条件にしています。

<まだ読んでいないが、わからない>

 =たとえ読んでも、わからない。

<何度も読んだが、わからなかった>

 =いくら読んでも、わからない。

 (2)のA大学に合格するかどうかは不明の事

柄ですから、「いくら〜ても」は誤文です。

3.確定事実に「もし」は不可 

 いつも必ずそうなる事実や習慣的に繰り返さ

れることは「〜と」の世界です。「〜ば」も使え

ますが、その場合、推量判断や願望が強く現れ

てきます。

 春になると、暖かくなる。

 =客観・必然事実 

 春になれば、暖かくなる。

 =そうなるだろう、そうなって欲しい

 一般的に言って、確定事実の世界を表す「〜と」

の前に「もし」はきません。

152

例題6

母 :家に (  A  )、すぐ テレビの 前に 座って、

   ほんとうに 困った 子ね。試験前に (1)

なって/な

   ると)、 (2)

後悔したが/後悔しても)、遅いのよ。

子 :この 番組が (  B  )、すぐ 始めるよ。

(1) 1)2)は正しい方を選んでください。

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 帰ると       ② 帰ったら

  ③ 帰れば       ④ 帰るなら

(3) (B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 終わると      ② 終われば

  ③ 終わったら     ④ 終わるなら

例題 7

A :諦めていたんですが、 (1)

もし/×) A大学を 受け

   て (  A  ) 合格したので、うれしくて…。

先生:おめでとう。ほんとうに よかったね。

A :運が よかったんです。

先生:ううん、(2)

いくら/たとえ) 運が (3)

よければ/よく

て   も)、実力が (  B  )、合格できなかったと 

僕   は 思うよ。

(1) 1)〜3)は正しい方を選んでください。

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① みると       ② みれば

  ③ みたら       ④ みるなら

(3) (B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① あると       ② ないと

  ③ あれば       ④ なければ 

例題6<解説>

習慣・反復現象は「〜と」

 習慣を表すときに一番よく使われるのが「〜

と」です。「〜たら」を使うと一回性の出来事に

なるので、習慣や反復現象には使えません。

 天気がいいと、僕はいつも公園を散歩します。

 彼は家に帰ると、パソコンに向かっている。

 彼はいつも食事時間になると、やってくる。

例題7<解説>

「〜と〜した」と「〜たら〜した」

 (A)は文末が「合格した」と完了形になって

いますから、「〜ば/〜なら」はそもそも使えま

せん。思い出して欲しいのは「〜と」は習慣性・

反復性の事柄に使い、「〜たら」は一回性の事柄

に使うということです。同じ既定過去の表現で

も、この違いは受け継がれます。事実だけ述べ

るのが「〜と〜した」、意外感や驚きが現れるの

が「〜たら〜した」です。

 日が沈むと、急に寒くなった。

 トンネルを抜けると、そこは雪国だった。

 薬を飲んだら、熱が下がった。

 彼の家に行ったら、あいにく留守だった。

「〜なければ」と「〜ないと」

 (B)は「〜と」と「〜ば」かという問題です。

間違いなく、例外なく生じることであれば「〜と」

でもいいのですが、文末で「〜だろう/〜はず

だ/〜と思う」などの推量判断を表す表現と呼

応しているときは「〜ば」以外にありません。

   

153

例題8

李 :じゃ、みんな、お先さき

に 失しつれい

礼。

A :李さん、帰かえ

るの? (  A  )、私わたし

も 一いっしょ

緒に 帰る

   から、ちょっと 待ま

って。この 書しょるい

類を 課か

長ちょう

   (  B  )、 すぐ 戻って くるから。

李 :いいよ。そうだ!課長の ところへ (  C  )、

   ついでに この 企き

画かくあん

案も 渡して きて くれ。

(1) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① すると       ② それでは

  ③ そうしたら     ④ それなら

(2) (B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 渡すと       ② 渡せば

  ③ 渡したら      ④ 渡すなら

(2) (C) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 行くと       ② 行けば

  ③ 行ったたら     ④ 行くんだったら

例題9

A :来年、韓国へ 旅行に 行く 予定なんだ。

B :韓国へ (  A  )、下関から フェリーボートに

  乗ったら どう?

A :でも、僕、旅行日程が 10 日しか ないんだ。

B :そうか。時間が (  B  )、やはり 飛行機だね。

(1) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 行くと       ② 行ったら

  ③ 行けば       ④ 行くなら

(2) (B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① ないと       ② なければ

  ③ なかったら     ④ ないなら

例題8<解説>

「〜なら」だけの用法

 (A)(C)は会話で一番よく使われる「〜なら」

です。この「〜なら」は相手から聞いたことや、

相手の様子を見て知ったことなど、相手から得

た情報を条件にする用法で、これは「〜なら」

だけが持つ用法です。これは「〜と/〜ば/〜

たら」で表すことができません。なお、「〜なら」

の話し言葉が「〜んだったら」で、用法は同じ

です。

A:ちょっと買い物に行ってきます。

B:買い物に行くなら(=んだったら)、この手

  紙を出してきてください。

例題9<解説>

「〜したら」と「〜するなら」

 「〜と/〜ば/〜たら」は前件が成立した後で

起こることを後件で表すので、後件で前件以前

のことや前件と同時に成立することを表すこと

ができません。「原形+なら」はそれができます。

    

 ご飯を食べるなら(×食べたら)、

 →<その前に>手を洗いなさい。   

 ご飯を食べるなら(×食べたら)、

 →<その時に>箸を使いなさい。

 ご飯を食べたなら(=食べたら)、

 →<その後で>食器を片づけなさい。

 上海へ行くなら、船が一番安いですよ。

  =日本から上海まで船に乗る場合

 上海へ行ったら、船が一番安いですよ。

  =上海に着いてから船に乗る場合

 また、後件で事前の動作を表すときも「〜す

るなら」しか使えません。

 船で上海に行くなら(×行ったら)、予約した

 方がいいですよ。

154

23.「ようだ・そうだ・らしい」の表現

よく使う文型

  普通形<Nーの/ナ形ーな>:〜ようです

  普通形<Nー×/ナ形ー×>:〜みたいです

  普通形<Nー×/ナ形ー×>:〜らしいです

  [ます]形/形容詞の語幹  :〜そうです<様態>

  普通形<Nーだ/ナ形ーだ>:〜そうです<伝聞>

要点の整理

 ★ 日本人の感覚推量の世界

 「〜ようだ」(様態)の用法

 「〜ようだ」は多くの用法をもっていますが、五感や感触を

判断材料に直感判断を述べる用法があります。

   (触って)このお風呂、ぬるいようです。

   (なめて)少し味が濃すぎるようです。

   (臭って)これ、腐っているようですよ。

   (身内の感覚)寒気がします。風邪をひいたようです。

 「〜らしい」の用法

 「〜らしい」は外部情報に基づく推量で、聴覚による推量は「〜らしい」が一番よく使われます。なお、伝聞情報に基

づく推量判断は「〜らしい」しか使えません。その場合、「〜によると〜らしい」の形で現れます。

   道路が濡れているね。昨夜、雨が降ったらしい(⇄ようだ)。 

   医者の話では、どうやら手術しても治らないらしい(×ようだ)。

   新聞によると、どうも近く消費税が値上げされるらしい(×ようだ)。

 「〜そうだ」(様態)の用法

 様態の「〜そうだ」は主として視覚的印象(外見からの判断)を述べる助動詞ですが、視覚でとらえられない動詞に

ついたときは漠然とした予想・予感の世界や、極限の整理・心理状態を表すようになります。

   あっ、危ない!枝が折れそうだ。   <視覚・直前>

   元気そうで、安心しました。     <視覚・様子>

   ああ、寒い。風邪をひきそうだ。   <予感>

   お母さん、お腹が空いて死にそうだよ。<生理状態>

155

例題1 

(例1) 1) 顔かおいろ

色が 悪わる

いです 

    2) 胃い

の 調ちょう

子し

が よくないです

A :山やま

田だ

さん、顔1)

色が 悪いようですね。

B :ええ、胃2)

の 調子が よくないらしいんです。

(1) 1) ずいぶん 勉べんきょう

強して います

   2) 東とうきょうだいがく

京大学を 受じゅけん

験します

(2) 1) 今きょう

日、 会かいしゃ

社に 来き

て いません

   2) 昨さく

夜や

、 酒さけ

を 飲の

み過す

ぎました

(3) 1) 機き

嫌げん

が 悪わる

いです    

   2) 上じょう

司し

と 口こうろん

論に なりました

(5) 1) 休やす

みが 多おお

いです    

   2) 身からだ

体を 壊こわ

して います

(6) 1) やせました      

   2) ダイエットして います

(例2) 1) かわいい お嬢じょう

さんです

    2) お人にんぎょう

A :か1)

わいい お嬢さんですね。

B :ええ、 まるで お2)

人形のようです。

(1) 1) 硬かた

い パンです

   2) 石いし

(2) 1) 人ひと

で いっぱいです

   2) 芋いも

を 洗あら

います

(3) 1) 美うつく

しい 景け

色しき

です

   2) 夢ゆめ

の 世せ

界かい

に います

(4) 1) よく 寝ね

て います

   2) 死し

んで います

(5) 1) 六ろくがつ

月なのに 暑あつ

いです

   2) 真ま

夏なつ

例題1<解説>

 名詞 :   の   + ようだ

 動・形:普通形<ナ形ーな>

 なお、「〜ようだ<終止形>」はナ形容詞と同

じように、「〜ような+名詞<連体形>/〜よう

に+動詞・形容詞<連用形>」と活用します。

 お人形のようだ    <終止形>

 お人形のような女の子 <連体形>

 お人形のように可愛い <連用形>

様態の「〜ようだ」

 「〜だろう/〜かもしれない」は知的な推量で

すが、この「〜ようだ」は必ず五感や感触でと

えられる状況が眼前にある感覚推量です。

 そして、「〜ようだ」は広く「〜ように感じる」

世界に使えます。なお、視覚には様態の「〜そ

だ」、聴覚には「〜らしい」が使えますが、触覚・

味覚・嗅覚や、自分の体について自分自身で感

たことも「〜ようだ」しか使えません。

 もちろん、これら感覚推量に「〜だろう/〜

もしれない」などの表現は使えません。

 これ、少し味が辛いようだ(×だろう)。

 私は最近肥ったようだ(×だろう)。

 どうも風邪を引いたようだ(×だろう)。

比況の「〜ようだ」

 「〜ようだ」には、例2のように比況・比喩の

用法があります。これはほとんど類似している

という意味を表すもので、「まるで〜ようだ」と

覚えるといいでしょう。

 まるで夢の世界にいるようです。 

 まるで氷のように冷たい手。

 まだ十一月なのに、真冬のような寒さですね。

156

例題2 

(例) 1) 台たいふう

風は来る  2) 天てん

気き

予よ

報ほう

  

A :台1)

風は 来そうですか。

B :ええ、 天2)

気予報によると、来1)

るそうですよ。

(1) 1) 係かかりちょう

長は 今ことし

年、 昇しょうしん

進する

   2) 社しゃない

内の 噂うわさ

     

(2) 1) あの 二ふた

人り

は 結けっこん

婚する   

   2) 山やま

田だ

さんから 聞き

いた 話はなし

   

(3) 1) この 参さんこうしょ

考書は 役やく

に 立た

つ  

   2) 使つか

って いる 学がくせい

生の 話はなし

     

(4) 1) 景けい

気き

が 回かいふく

復する     

   2) 経けいざいきかくちょう

済企画庁の 発はっぴょう

(5) 1) この パソコンは 使つか

いやすい  

   2) 店みせ

の 人ひと

の 話はなし

(6) 1) 野や

菜さい

は 値ね

上あ

がりする   

   2) 今け

朝さ

の ニュース

   

様態の「そうだ」の世界

   現在          過去    未来     

                          

形容詞  状態動詞    〜した    〜する   

     〜ている   〜ていた

そうだ  そうだ      ×     そうだ    <見える事態>視覚からの印象

     ー 直前 ー  (おいしい・枝が折れる・〜たい)

  

 ×   そうだ      ×     そうだ    <見えない事態>予感・直感

                          (できる・誰かが来る・寒くなる)

様態の「〜そうだ」は常に現在か未来の事柄しか表せませんから、過去の事柄を述べるときは「〜

ようだ」か「〜らしい」を使わなければなりません。

× 昨夜、雨が降りそうだ。

○ 昨夜、雨が降ったらしい。 (外部情報から)

例題2<解説>

伝聞の「〜そうだ」

 名詞 :   だ   + そうだ

 動・形:普通形<ナ形ーだ>

  雨が降るそうだ。

  李君は元気だそうだ。 

  このリンゴはおいしいそうだ。

様態の「〜そうだ」

 動詞 :[ます]形  +  そうだ

 形容詞:[ーい/ーな] 

 「〜ない→なさそうだ/いい→よさそうだ」

 様態の「〜そうだ」は名詞や「きれいな/赤

い/美しい」のような外観そのものを表す形容

詞とは接続しません。

  雨が降りそうだ。

  李君は元気そうだ。 

  このリンゴはおいしそうだ。

 この用法については、下の表、及び例題3〜

157

例題3 

(1)

A :今日は 朝から にこにこと うれし( A )けど、

   何か いい ことが あった( B )ね。

B :うん、C子さんから ラブレターの 返事が 来た

   んだ。まるで 夢を 見て いる( C )。

  ① ようだ       ② そうだ

  ③ らしい       ④ そうな

(2)

A :ノックを しても、 返事が ないよ。

B :どこかに 出かけて いる( A )ね。 

A :でも、電気が ついた ままだから、たぶん すぐ

   帰って くる( B )。

  ① そうだ       ② ようだ

  ③ らしい       ④ だろう

(3)

A :○○銀行が 倒産し( A )という 噂だけど、君、

   聞いてる?

B :うん。どうやら その 話は 事実( B )よ。 

  ① そうだ       ② ようだ

  ③ らしい       ④ だろう

(4)

A :よく 降るねえ。今日も 雨が やみ( A )ね。

B :そうだね。それに 朝の ニュースに よると、大

型   台風が 来る( B )。

A :そうか。また 嫌な 週末に なり( C )ね。

B :うん。今週も また 楽しみに して いた 釣り

   行け( D )。

  ① そうだ      ② そうに ない

  ③ そうだった    ④ そうでは ない

例題3<解説>

(1)視覚「〜そうだ」

 「うれしそうだ」のように、形容詞についた「〜

そうだ」は視覚による印象を表します。場面に

よっては「〜ようだ」も使えますが、「〜ようだ」

は全感覚を動員した察知で、見た感じをそのま

ま言うのは「〜そうだ」の世界です。

 また、目で見える動作・作用を表す動詞につ

「〜そうだ」は動作や変化が生じる直前の状態を

表します。この場合、「〜ようだ」は使えません。

 今にも枝が折れそうだ(×折れるようだ)。

(2) 聴覚「〜らしい」

 (2)の(A)は「〜ようだ」か「〜らしい」

が問題ですが、「〜らしい」主として聴覚情報に

基づく推量か、不確かな間接情報です。(A)は

声がしないのですから、聴覚情報はありません。

(3)「たぶん」と「どうやら」

 「たぶん」は知覚推量で「〜だろう」と呼応し

ますが、「どうも」と「どうやら」は、「何とな

〜と感じる」という感覚推量を表す副詞で、「〜

ようだ/〜そうだ/〜らしい」と呼応ます。

 どうも(⇄どうやら)ほんとうらしい。

 どうも(⇄どうやら)風邪を引いたようだ。

 どうも(⇄どうやら)雨になりそうだ。

(4)様態の「〜そうだ」の否定形

 様態の「〜そうだ」の否定形は、動詞の時は「〜

そうにない/〜そうもない」、形容詞の時は「〜

なさそうだ/〜そうではない」の両形が使われ

ます。試験頻出問題なので注意しましょう。

  降りーそうだ 

 →降りーそうにない/そうもない

  おいしーそうだ  

 →おいしーくなさそうだ/そうではない

  元気ーそうだ   

 →元気ーではなさそうだ/そうではない

158

例題4

A :あまり 人が 集まって いませんね。

B :ええ、まだ 半数も 集まって (  A  )し、

   会議は しばらく (  B  )ね。

(1) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① いないようです   ② いないそうです

  ③ いなさそうです   ④ いないらしいです

(2) (B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 始まるそうでは ないです

  ② 始まりそうでは ないです

  ③ 始まらないそうです

  ④ 始まりそうも ないです

例題5

A :友だちの 話では、この 店の ケーキは とても

   (  A  )よ。 入って みない?

B :うん、 いいけど。・・・(店の中で)・・・

A :わあ、 ほんとうに (  B  ) ケーキ! 

   これなら、 いくつでも (  C  )わ。

B :よく そんなに 食べられるねえ。僕は 見み

て い

   だけで、げっぷが (  D  ) なるよ。

(1) (A)(B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① おいしそう     ② おいしいそう

  ③ おいしそうな    ④ おいしそうに

(2) (C) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 食べるそうだ    ② 食べそうだ

  ③ 食べられるそうだ  ④ 食べられそうだ

(3) (D) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 出るそうに     ② 出そうに

  ③ 出るように     ④ 出るらしく

例題4〜5<解説>

様態の「〜そうだ」の世界

(1)視覚判断の「〜そうだ」

 例題5の(B)のように、見た印象を述べる「〜

そうだ」は、一番大切な様態の「〜そうだ」の

法ですが、例題3の解説を参照してください。

(2)予感・予想の「〜そうだ」

 この「〜そうだ」は、知的推量の「〜だろう

〜かもしれない」と違って、勘による印象を述

る点に特徴があり、「どうして?」と聞かれても

理由が説明できない直感です。

① 状態性の動詞+そうだ

 僕にもできそうだ。

 このあたりに隠してありそうだ。

 いくつでも食べられそうだ。

 「ある・いる・できる・わかる・要る」や可能

形などの状態動詞、「〜ている/〜てある」よう

な状態を表す動詞につくと、現在の事柄につい

の不確かな漠然とした予感や予想を表します。

② 動作性の動詞+そうだ

 誰か来そうだ。

 明日は行けそうだ。

 会議はまだ始まりそうもない。

 動作性の動詞につくと、例題4、例題5の(b)

のように、将来の事柄について、漠然と「〜そ

なるだろう」という予感や予想を表します。

③ 生理感覚の動詞+そうだ

 心理的或いは生理的に我慢できない極限状態

で、多くは例題5のDのように、マイナスの事

159

例題6

A :寒気が する。どうも 風邪を (  A  )。

B :顔色も 悪いわね。・・・(額に手を当てる)・・・

   かなり 熱も (  B  )ね。ニュースに よると、

   悪性の インフルエンザが はやって (  C  )

   から、気を つけた 方が いいわよ。

(1) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 引いたそうだ     ② 引きそうだ

  ③ 引いたようだ     ④ 引いただろう

(2) (B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① あるだろう      ② ありそうだ

  ③ あるようだ      ④ あるらしい

(3) (C) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① いるそうだ      ② いそうだ

  ③ いるようだ      ④ いるらしい

例題7

A :○○先せんせい

生って、いつも Gパンに Tシャツで、遅刻

   しても うるさくいわないし、日本人 (  A  )

   日本人だね。

B :聞いた 話では、他の 先生とは うまく いって

   いない (  B  )よ。

B :でも、僕から 言えば、 一番 先生 (  C  )

   先生は ○○先せんせい

生だね。

(1) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① みたいで ない    ② ようで ない

  ③ らしくない      ④ そうに ない

(2) (B)(C) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① みたいだ       ② ようだ

  ③ らしい        ④ かもしれない

例題7<解説>

接尾語の「〜らしい」

 推量の助動詞「〜らしい」と同形の接尾語「〜

らしい」があります。この接尾語「〜らしい」

は名詞にしかつきませんが、「〜の特徴を十分に

備えている/いかにも〜にふさわしい」という

意味を表します。例えば、以下の文は単独では

助動詞「〜らしい」か、接尾語「〜らしい」か

の区別は付きません。

 あの人は男らしい。

 外見から男だと思うのなら助動詞「〜らしい」

ですが、「勇敢でたくましくて、真の男だ」と性

質や性格・特徴を述べるのなら、接尾語「〜ら

しい」です。接尾語「〜らしい」の例文を挙げ

ておきます。

 男らしい男/女らしい女

 正月らしい雰囲気

 春らしい気候

 学生らしくしなさい

 日本人らしくない日本人

例題6<解説>

触覚・身体感覚は「〜ようだ」

 視覚は様態の「〜そうだ」、聴覚は「〜らしい」

が主に分担していますが、「〜ようだ」は広く「〜

ように感じる」世界に使えます。

 なお、(A) は分の体について自分自身で感じ

いること、(B) は触覚ですから、「〜ようだ」し

使えません。

 ただし、以下のように、文脈を抜きにすれば、

「〜らしい」を使う場合があります。

 私は最近肥ったようだ(→らしい)。

 どうも風邪を引いたようだ(→らしい)。

 もし、「〜らしい」を使うとしたら、人から言

160

24. 受身の表現

よく使う文型

  〜は〜に(〜を)〜られます

  〜が〜られます

  〜は〜によって〜られます

  

要点の整理

 ★ 他動詞文から作られる受身文

1) 「〜は〜を〜する」他動詞文から作られる受身文

  先生は 私を  叱りました。      先生は 私を  ほめました。

→ 私は  先生に 叱られました。   → 私は  先生に ほめられました。

2) 「〜は〜に〜を〜する」他動詞文から作られる受身文

  課長は 私に  残業を 頼みました。

 → 私は  課長に 残業を 頼まれました。

3) 「〜は〜の(身体の一部/持ち物)を〜する」他動詞文から作られる受身文

       <体の一部分>                    <持ち物>

  隣の人が 私の   足を 踏んだ。         弟は 私の カメラを 壊しました。

→ 私は   隣の人に 足を 踏まれた。      → 私は 弟に カメラを 壊されました。

4) 他動詞文から作られる特殊な間接の受身文

 他者の間接的な行為ですが、そのことによって自分自身が被害を受けたと感じるときに使われる間接の受身文です。

    隣の人が 自宅の前に ゴミを 捨てた。

→私は 隣の人に 自宅の前に ゴミを 捨てられた。

 ★ 自動詞文から作られる受身文

 自動詞の受身文はあまり使わない言語圏も多いですが、日本語では「雨が降る」のような自動詞文からも受身文が作

られます。この自動詞の受身文は被害の感情を強く訴えるもので、通常は間接的に被害を受けた話者=「私」で、「〜は

〜に〜られる」受身文になります。

     赤ん坊が 泣きました。

→ 私は 赤ん坊に 泣かれて、困りました。

161

例題1 

(例1) 課か

長ちょう

が あなたを 叱しか

った

A :あなたは 課長に 叱られたそうですね。

B :ええ、でも、どうして 叱られたのか、

   よく わからないんです。

(1) みんなが あなたを 笑わら

った

(2) 部ぶ

長ちょう

が あなたを パーティに 招しょうたい

待した

(3) みんなが あなたを 社しゃいんりょこう

員旅行の 幹かん

事じ

に 推すいせん

薦した

(4) みんなが その社しゃいん

員を 嫌きら

っている

(5) 話はなし

に よると、 彼かれ

が 先さき

に あなたを 殴なぐ

った

(例2) 1) 雨あめ

が 降ふ

    2) びしょぬれに なった 

  A :昨

きのう

日は 大たいへん

変だったそうですね。

B :ええ、雨に 降られて、びしょぬれに なりました。

(1) 1) 従じゅうぎょういん

業員が 休やす

む        

   2) てんてこまいだった     

(2) 1) 夜よ

中なか

に 赤あか

ん坊ぼう

が 泣な

く    

   2) 寝ね

られなかった  

(3) 1) 突とつぜん

然、 女にょうぼう

房が 病びょう

気き

で 倒たお

れる 

   2) ほんとうに 困こま

った   

(4) 1) 強ごうとう

盗が 入はい

る          

   2) 現げんきん

金や 貴きちょうひん

重品が 盗ぬす

まれた

(5) 1) 前まえ

の 車くるま

が 急きゅう

に 止と

まる    

   2) 衝しょうとつ

突事じ

故こ

に なった

例題1<解説>

受身形の作り方

 「する→される」を除けば、受身形は「ない」

形から作られると覚えておくと便利でしょう。

なお、受身形=受身動詞は全て一段動詞です。

       

  書 く        見 る

    か ない       ない

      れる       られる

  する → される       

  来る → 来られる

他動詞文から作られる受身文

(1) 「〜は〜を〜する」他動詞文から

 「を」格を主語にした「〜は〜に〜られる」受

身文になります。多くは被害の感情を表します

が、「ほめられる」のような例外もあります。

 私は先生にほめられました。

 彼は車にひかれて、死にました。 

(2)「〜は〜に〜を〜する」他動詞文から

 「に」格=人を主語にした「〜は〜に〜を〜ら

れる」受身文が普通です。

 良子さんは李君に結婚を申し込まれました。

 私は母に厳しく礼儀作法を教えられました。

自動詞文から作られる受身文

 日本語では「雨が降る」のような自動詞文か

ら「私は雨に降られて、困りました」のような

受身文が作られます。この受身文は被害の感情

を強く訴えるもので、通常は間接的に被害を受

けた話者=「私」です。

 私は 雨に 降られた。

 李君は 子供に 死なれた。

 犯人に 逃げられた。

 従業員に 休まれた。

162

例題2 

(例) 弟おとうと

が 私わたし

のカメラを 壊こわ

A :今きょう

日は 機き

嫌げん

が 悪わる

いですね。

   どうしたんですか。

B :弟おとうと

に カメラを 壊こわ

されてしまったんです。

(1) 誰だれ

かが 私わたし

の 財さい

布ふ

を 盗ぬす

んだ  

(2) 妹いもうと

が 私わたし

の お菓か

子し

を 食た

べた

(3) 誰だれ

かが 私わたし

の 傘かさ

を 間ま

違ちが

えた  

(4) 友ともだち

達が 私わたし

の 辞じ

書しょ

を 持も

って行い

った

(5) 犬いぬ

が 私わたし

の 手て

を 咬か

(噛)んだ    

(6) 姉あね

が 私わたし

の 眼めがね

鏡を 壊こわ

した

(7) 兄あに

が 私わたし

の 時と

計けい

を なくした 

(8) 隣となり

の人ひと

が 私わたし

の 足あし

を 踏ふ

んだ

(9) お母かあ

さんが 私わたし

の 日にっ

記き

を 読よ

(10) 妻つま

が 私わたし

の 大たいせつ

切な 書しょるい

類を 捨す

てた

 「もの」「こと」が主語になる非情の受身文

 この「もの」「こと」が主語になる「〜が〜られる」文は、客観的に事実を伝える受身文で、「非

情の受身」と呼ばれています。行為者=「誰に」を問題にしない受身文で、新聞報道のような事実

の客観的叙述に多く使われます。

 <物が主語>                   <ことが主語>

 まもなく 年賀はがきが 発売される。       事実が 明らかに された

 会議が 開かれる。                人権が 尊重される 社会

 新型インフルエンザの ウイルスが 発見された。  生命が 脅かされている

 人工衛星が 打ち上げられた。           爆撃で 施設が 破壊された

例題2<解説>

「〜のNを〜する」他動詞文の受身

 学習者が一番間違えやすいのが、この「〜は

〜の(身体の一部/持ち物)を〜する」他動詞

文から作られる受身文です。

  隣の人が私の足を踏んだ。<体の一部分>

 

  弟は私のカメラを壊しました。<持ち物>

 例えば、上の文を受身文にしなさいと言うと、

ほとんど 99%、次のようにします。

   

× 私の足は 隣の人に 踏まれた。

× 私のカメラは 弟に 壊されました。

 しかし、日本語では「(人)のN」の形の他動

詞文は所有者(人)が主語となります。 

  私は 隣の人に 足を 踏まれた。

  私は 弟に カメラを 壊されました。

 ただし、これは身体の一部や持ち物のときで、

それ以外は下の例のように、そのまま目的語を

163

例題3 

1.

A :さっきから 1)

誰だれ

か(1)

が/に) つけられて いるよう

   だ。振ふ

り返かえ

っては いけないよ。相手(2)

が/に) 気

   くからね。

B :どうやら 僕ぼく

たち(3)

は/に) 尾行されて いるよう

   ですね。

(1) 1)〜3)は正しい方を選んでください。

(2) 下線部を元の能動文に戻してください。

       が       を つけて いる。   

2.

A :先生(1)

が/に) この 資料の コピー(2)

を/に) 頼

   まれたんだけど、 手伝って くれないか。

B :うん、 いいよ。君(3)

が/に) 頼まれたのは どれ?

A :これなんだ。

(1) 1)〜3)は正しい方を選んでください。

(2) 下線部を元の能動文に戻してください。

      が     に       を 頼んだ。

3.

A :昨日は すごい 雨でしたね。

B :ええ、私も 取引先へ 行く 途中で 雨(1)

が/に)

 

   降られて、鞄の 中の 大切な 書類までが びしょ

   ぬれに なりました。

(1) 1)は正しい方を選んでください。

(2) 下線部を元の能動文に戻してください。

       が       て。   

例題3<解説>

受身文の主な基本型

 よく使われる形を六つ取り上げておきます。

<直接の受身>ー「を」格を主語にするー

 先生が 私を 叱った。

→私は 先生に 叱られた。

 みんなが 私を 代表に 選んだ。

→私は みんなに 代表に 選ばれた。

 個性を 尊重する。

→個性が 尊重される。

<間接の受身>ー別に主語をたてるー

 雨が 降った。

→私は 雨に 降られた。

 犬が 私の 手を 咬んだ。

→私は 犬に 手を 咬まれた。

 母が 私に 仕事を 頼んだ。

→私は 母に 仕事を 頼まれた。

「〜に<自動詞>られる」文

 この「〜に<自動詞>れれる」は、自分では

防ぎようのない事態に直面して、多くは迷惑を

受けたと感じたときに使われるはなはだ心理的

な受身文です。

 使われる自動詞の多くは人が主語になる自動

詞か、「雨が降る/風が吹く」などの自然現象を

表す自動詞です。

 私は 雨に 降られた。

 犯人に 逃げられた。

 この「雨に降られた」も「雨」を人格的に扱っ

ているー自然現象を神の意志と考える神道など

の影響ーのであって、人格化できない物が主語

の自動詞から受身文は作られません。

164

例題4

A :今朝は 電車の 中で、 ひどい 目に あったわ。

   足(1)

に/を) 踏まれたり、痴漢(2)

に/を) お尻

   (3)

に/を) (  A  )。

B :それで、その 痴漢を どうしたの?

(1) 1)〜3)は正しい方を選んでください。   

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 触ったり       ② 触られたり

  ③ 触られさせたり    ④ 触れたり

(3) 下線部を元の能動文に戻してください。

        が         を 触ったり

例題5

A :アメリカ大陸は コロンブス(1)

に/によって) 発見

   されたと、どの 歴史の 本にも 書いて あるけ

ど、

   元々 原住民が 住んで いたんだから、この 記

   は 少し おかしいよ。

B :歴史は、いつも 勝者(2)

に/によって) (  A  )

   きたんだよ。

(1) 1)2)は正しい方を選んでください。

(2) 下線部を元の能動文にしてください。

       が       を 発見した。 

(3) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 書いて       ② 書かれて

  ③ 書けて       ④ 書かせて 

例題5<解説>

「〜によって〜られる」文

 「〜に〜られる」受身文と「〜によって〜られ

る」受身文は用法がかなり異なります。

(1) 歴史上の事柄や、真理を述べるとき

 米大陸はコロンブスによって発見された。

 「阿Q正伝」は 魯迅に よって 書かれた。

 問題1)2)は、この用法になります。

(2) 手段や材料、原因を客観的に述べるとき

 宗教によって救われる人々も多い。

 人は環境によって左右される。 

 (2)の例文の場合、「〜で〜られる」も使え

ますが、抽象名詞のときは、「〜によって〜られ

る」が自然で、材料や道具などの具体物のとき

例題4<解説>

「〜のNを」他動詞文の受身

 外国人学習者が一番間違えやすいのが、この

「身体の一部」「持ち物」を表す「〜が(人)の

Nを〜した」文から作られる受身文です。

 形をしっかり覚えておきましょう。

<体の一部>

 痴漢が 私の お尻を 触った。

→私は 痴漢に お尻を 触られた。

<持ち物>

 誰かが 私の 財布を 盗んだ。

→私は 誰かに 財布を 盗まれた。

165

例題6

1.

A :プラスチック(①

から/で) 作つく

られた 箸はし

は 嫌いや

だな。

B :私わたし

もよ。話はな

しは 変か

わるけど、プラスチックは 何

   (③

から/で) 作られて いるか 知し

ってる?

A :もちろん 石せき

油ゆ

さ。

(1) 1)2)は正しい方を選んでください。

(2) 下線部を元の能動文に戻してください。

  プラスチック(  )       箸 

2.

A :成績が 優秀なので、○○さん、国(1)

から/に) 奨

   金を 支給されることに なったそうだよ。

B :よかったね。でも、 ちょっと 羨ましいよ。

(1) 1)は正しい方を選んでください。

(2) 下線部を元の能動文に戻してください。

     が ○○さんに      を      。

   

例題7

A :例の 少年(1)

に/を) 主婦が (  A  ) 事件の

   ニュースを 見た?

B :うん、近所に 住む 男子高校生が 犯人だったらし

   いわね。

A :「お金を 奪おうと したら、主婦(2)

に/が) 騒がれ

   たので、(  B  )」と 供述して いるそうよ。

(1) 1)2)は正しい方を選んでください。

(2) (A)(B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 殺した      ② 殺せた

  ③ 殺された     ④ 殺させた

例題6<解説>

材料「〜で」と原料「〜から」

 製品の材料が一見してわかる場合は「で」、製

品を見てもわからない原料は「から」と覚えて

おけばいいでしょう。

 ただし、「酒は米から(→で)作られる」のよ

うに、「で」も「から」も使われている場合があ

ります。それは日本人にとってお酒の原料が米

であることは自明のことで、製品と原材料との

変化の大きさを意識しないからです。

「〜から〜られる」文

 元の文が「(人)が(人)に〜を〜する」文の

場合は「から」が使えます。動詞例とすれば、「習

う・教える・教わる・(電話を)かける・頼む…」

などです。

 課長は 私に 残業を 頼んだ。

→私は 課長に 残業を 頼まれた。

→私は 課長から 残業を 頼まれた。

 元の文が「(人)が(人)を〜する」の場合を

考えてみると、「殴る・蹴る・踏む・刺す・殺す

…」のような直接的な行為には「から」が使え

ません。「から」が使えるのは、「愛する・褒める・

慕う・尊敬する・笑う・誘う…」のような動詞や、

「〜と言う・〜と思う・〜と呼ぶ・〜と考える…」

のような引用の「と」がつく動詞です。つまり、

(人=A)と(人=B)の間に距離がある間接的

行為は「に」も「から」も使えると言うことが

できるでしょう。

 先生は 李君を 褒めた。   

→李君は 先生に 褒められた。

→李君は 先生から 褒められた。

 人々は 彼を 天才と 言う。

→彼は 人々に 天才と 言われる。

→彼は 人々から 天才と 言われる。

 なお、例題6の2のように、行為主が「人」

でなく「国・会社・学校…」のような組織のと

きは「から」しか使えません。

 国は 彼に 国民栄誉賞を 贈った。

→彼は 国から 国民栄誉賞を 贈られた。

166

25. 使役と使役受身の表現

よく使う文型

  〜は〜に〜を〜させます

  〜は〜を〜させます

  〜は〜に〜させます

  

要点の整理

 ★ 他動詞文から作られる<に>使役文

 他動詞の使役文は「〜は〜に〜を〜(さ)せる」が基本型となります。一般に「<に>使役文」と呼ばれます。

       子供が 薬を 飲む。

   母親は 子供に 薬を 飲ませる。

 使役というのは、一般には他者に「〜するように強制する」ということですが、それ以外にも許容や放任、誘発など

かなり広い意味の広がりがあります。

   兄は妹に部屋を掃除させた。          <強制>

   その作品は人々に環境問題の重要さを考えさせた。<誘発>

   父は子供たちにやりたいことをやらせた。    <許容・放任>

 ★ 自動詞文から作られる<を>使役文

 自動詞の使役文は「〜は〜を〜(さ)せる」が基本型で、一般に「<を>使役文」と呼ばれます。

      妹が 泣いた。

   兄が 妹を 泣かせた。       

 「歩く/走る/行く/来る/帰る」や「驚く/悩む/笑う/泣く/喜ぶ/悲しむ/苦しむ」などの感情や感覚を表す動

詞などが多く使われますが、意味は強制、許容・放任、誘発と広がりを持っています。

   遅いので、子供たちを寝させた。 <強制> 

   彼はみんなを笑わせた。     <誘発>

   父は子供を自由に遊ばせている。 <許容・放任>

 ただし、「〜を歩く/〜を通る/〜を走る」「〜を離れる/〜を降りる/〜を出る」のような移動動詞は通過する場所

や離れる場所を「ーを」で表しますが、この場合は「を」の重複を避けて「<に>使役文」になります。

       乗客が バスを 降りる。

167

例題1 

(例1) 1)仕し

事ごと

を 手て

伝つだ

う   2)山やま

田だ

君くん

 

A :大たいへん

変そうですね。仕1)

事を 手伝いましょうか。

B :ありがとう。でも 山2)

田君に 手1)

伝わせますから、

   結けっこう

構です。

(1) 1)食しょっ

器き

を 洗あら

う     2)妻つま

       

(2) 1)部へ

屋や

を 掃そう

除じ

する   2)子こ

供ども

(3) 1)荷に

物もつ

を 持も

つ     2)息むす

子こ

      

(4) 1)資し

料りょう

を コピーする  2)部ぶ

下か

(5) 1)ゴミを 捨す

てる    2)娘むすめ

  

    

(例2) 1) もう遅おそ

い     2) 子こ

供ども

たちが 寝ね

 A :もう 遅いですから、

   子供たちを 寝させたら どうですか。

B :そうですね。そう しましょう。

(1) 1) まもなく お昼ひる

だ 

   2) 従じゅうぎょういん

業員が 休きゅうけい

憩する

(2) 1) いい 天てん

気き

だ  

   2) 子こ

供ども

が 外そと

で 遊あそ

(3) 1) 学がくせい

生が 疲つか

れている

   2) 椅い

子す

に 座すわ

(4) 1) 今きょう

日は クリスマスだ

   2) 部ぶ

下か

が 早はや

めに 帰かえ

(5) 1) 危あぶ

ない       

   2) 子こ

供ども

が 道みち

の 右みぎがわ

側を 歩ある

例題1<解説>

使役形の作り方

 使役形は「ない形」から作ります。「書か‐な

い→書か‐せる」「食べ‐ない→食べ‐させる」

のように、五段動詞は「ーせる」、一段動詞は「ー

させる」がつきます。

 なお、「〜(さ)せる」の他に、短形の「〜(さ)

す」も使われます。

         

  書か ない    食べ ない 

     せる       させる

     す        さす

  する → させる/さす

  くる → こさせる/こさす

使役の受身形の作り方

 使役文を受身文に変えた形を、使役の受身文

と言います。

  部長は 私に  歌を 歌わせた。

→ 私は  部長に 歌を 歌わせられた。

 まず、使役の受身形(「〜せられる」)の作り

方を学びましょう。なお、サ行を除く五段動詞

には「〜さす」という短形があり、会話では短

形の方がよく使われます。

         

  書か せる →せられる        

     す  →される 

  話さ せる →させられる(サ行)

     す  → ×        

  食べ させる→させられる

     さす → ×

  する→ させる →させられる

168

例題2 

(例) 1) 病びょういん

院に 行い

く    2) 早く 帰る

 A :あのう、すみませんが。

B :はい、何なん

でしょうか。

A :病院に 行きたいんですが、 

   早く 帰らせていただけませんか。

B :わかりました。いいですよ。

(1) 1) メールを 送おく

る  

   2) パソコンを 使つか

(2) 1) 会かいしゃ

社に 連れんらく

絡する      

   2) 電でん

話わ

を 使つか

(3) 1) 明あした

日、 進しんがくせつめいかい

学説明会に 参さん

加か

する  

   2) 一いちにち

日、 休やす

(4) 1) 友ゆうじん

人の お見み

舞ま

いに 行い

く  

   2) 少すこ

し 早はや

く 帰かえ

(5) 1) 記き

念ねん

に する

   2) 写しゃしん

真を 撮と

(6) 1) 山やま

田だ

さんに 会あ

う    

   2) 帰かえ

って くるまで、 ここで 待ま

(7) 1) 会かいしゃ

社に この 資し

料りょう

を 送おく

る   

   2) コピーする

(8) 1) 契けいやく

約の 件けん

で、 至し

急きゅう

、 ご相そうだん

談する   

   2) 六ろく

時じ

頃ごろ

、 会かいしゃ

社に 伺うかが

(9) 1) 何なに

か 協きょうりょく

力する  

   2) 私わたし

が 資し

金きん

の 一いち

部ぶ

を 出だ

(10) 1) 予よ

定てい

どおり 会かい

議ぎ

を 始はじ

める       

   2) みんなが 準じゅん

備び

を 急いそ

例題2<解説>

〜(さ)せてください

 この「〜(さ)せてください」は動詞の使役

形と受給表現が結びついた形で、相手に許可を

求める表現を作ります。「〜させてください」以

外にも、「〜させてもらえませんか/〜させてい

ただけませんか」などの形が使われますが、そ

の作られ方を見ると以下のようです。

<他動詞文>

 私が パソコンを 使う。

→(あなたが) 私に パソコンを 使わせる。

→(あなたが) 私に パソコンを 使わせて 

  ください。

 その仕事を私にやらせていただけませんか。

 この件は、少し考えさせてください。

<自動詞文>

 私が ここで 働く。

→(あなたが) 私を ここで 働かせる。

→(あなたが) 私を ここで 働かせて 

 ください。

169

例題3 

1.

A :後で 私(1)

に/を) パソコンを (  A  ) くだ

   さいませんか。

B :いいですよ。すぐ 作業(2)

が/を) 終わらせますか

   ら、ちょっと 待って ください。

(1) 1)2)は正しい方を選んでください。

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 使って       ② 使われて

  ③ 使わせて      ④ 使わせられて

2.

夫 :ぐずぐずしないで、早はや

く 出で

かけようよ。

妻 :そんなに 私(1)

が/を) 急いそ

がせないでよ。

夫 :だって、田た

中なか

さんを (  A  ) 悪わる

いよ。

(1) 1)2)は正しい方を選んでください。

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 待ったら      ② 待たれたら

  ③ 待たせたら     ④ 待たせられたら

3.

A :危ないですから、子供たち(1)

に/を) 道路の 右側

   (2)

に/を) (  A  ) 方が いいですよ。 

B :そうですね。

(1) 1)は正しい方を選んでください。

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 歩いた       ② 歩かれた

  ③ 歩かせた      ④ 歩かせられた

例題3<解説>

使役文の基本型

 この会話文には使役文の基本型が含まれてい

ますが、復習を兼ねて、元の文と使役文を書い

ておきましょう。

<他動詞文→使役文>

 私が パソコンを 使う。

→(あなたが) 私に パソコンを 使わせる。

→ 私に パソコンを 使わせて ください。

<自動詞文→使役文>

 作業が 終わる。

→(私が) 作業を 終わらせる。

 私が 急ぐ。

→(あなたが) 私を 急がせる。

→ 私を 急がせないで。

 田中さんが 待つ。

→(僕たちが) 田中さんを 待たせる。

→ 田中さんを 待たせたら

<移動動詞(自動詞)文→使役文>

 子供たちが 道路の 右側を 歩く。

→(あなたが) 子供たちに 道路の 右側を 

 歩かせる。

170

例題4

父 :野球部に 入ったそうだな。

子 :うん。でも、僕たち 新入部員は いつも 先輩(1)

   /に) ボール拾い(2)

が/に) (  A  )、グラン

   の 掃除を (  B  )で、つまらないよ。

父 :最初は そうなのさ。そのうち (  C  )よ。

(1) 1)2)は正しい方を選んでください。

(2) (A)(B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① したり       ② させたり

  ③ させられたり    ④ させて くれたり

(3) (C) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 練習する      ② 練習させる

  ③ 練習させらる    ④ 練習させて くれる

例題 5

A :今日は 帰りが 早いわね。

B :うん、頭が ズキズキ 痛かったので、課長(1)

が/に)

   頼んで、早く (  A  )んだ。

A :いつも 遅くまで 会社(2)

が/に) (  B  ) い

   んだから、こんな ことも あって いいわよ。

(1) 1)2)は正しい方を選んでください。

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 帰った       ② 帰られた

  ③ 帰らせた      ④ 帰らせて もらった

(3) (B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 働いて       ② 働かれて

  ③ 働かされて     ④ 働いて あげて

例題4〜5<解説>

「〜せる」と「〜せてくれる」

 「〜させて(あげる・くれる・もらう)」は動

詞の使役形と受給表現が結びついた形で、許容・

許可の表現を作ります。

 早く 帰らせて あげる。

         もらう。

         くれる。

 例えば、例題4の(C) や、例題5の(C) に「〜

させる」を使うと強制された気持ちが、「〜させ

てくれる/〜させてもらう」を使うと好意や感

謝の気持ちが表れることになります。

 ですから、文脈によって使い分ける必要があ

ります。

使役の受身「〜せられる」

 使役の受身文の意味は強制から自発・誘発ま

であります。使役文と使役の受身文は視点の違

いなのですが、使役の受身文を使うと、使役文

よりも「強制される」という強い被害の感情や、

自然にわき上がる感情などが強く現れるように

なります。

<強い被害や迷惑の感情>       

  部長は 私に  酒を 飲ませた。 

→ 私は  部長に 酒を 飲ませられた。

 母に嫌いなピーマンを食べさせられた。

 歌は苦手なのに、部長に無理に歌わされた(⇄

 歌わせられた)。

<自然にわき上がる感情>

  その本は 私を   感動させた。   

→ 私は   その本に 感動させられた。

171

例題6

夫 :どんな 講演の 内容だったんだい?

妻 :とても (  A  ) 講こうえん

演だったわ。親(1)

が/に)

   言われるままに 勉べんきょう

強する いい 子の 方が、む

   ろ 非行に (  B  ) 傾向が あるんだって。

夫 :要するに、君きみ

みたいな 教きょういく

育ママが 子供(2)

に/を)

   非行に (  C  )って ことじゃないか。

(1) 1)2)は正しい方を選んでください。

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 考える       ② 考えられる

  ③ 考えさせる     ④ 考えさせられる 

(3) (B)(C) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 走る        ② 走られる

  ③ 走らせる      ④ 走らせられる

例題7

夫 :昨さく

夜や

は 部ぶ

長ちょう

に カラオケに (  A  )ね。

   部長の 下へ

手た

な 歌を 何なんきょく

曲も (  B  )、無む

理り

矢や

   理り

 (  C  )で、まいっちゃったよ。

妻 :それにしては、ずいぶん 御ご

機き

嫌げん

だったわね。

(1) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 誘って      ② 誘われて

  ③ 誘わせられて   ④ 誘って もらって

(2) (B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 聞いたり     ② 聞かれたり

  ③ 聞かせたり    ④ 聞かされたり

(3) (C) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 歌ったり     ② 歌われたり

  ③ 歌わせたり    ④ 歌わされたり

例題7<解説>

「〜せられる」と「〜される」

 「〜される」は「〜せられる」の短形と説明す

ることが多いのですが、元々は、日本語の使役

形には「〜させる」と「〜さす」の両形があり、

「〜さす」から作られるのが「〜される」です。

 歌う →歌わせる →歌わせられる

 歌う →歌わす  →歌わされる

 「する・来る」、一段動詞、サ行五段動詞(話す・

消す…)には「〜される」の形がないことに注

意しておきましょう。つまり、活用すると「〜

さされる」となる形がありません。

例題6<解説>

ー自然にわき上がる感情ー

「〜せる」と「〜せられる」

 (A) は「考えさせる」と「考えさせられる」

かが問題ですが、「自然にわき上がる感情」を表

す使役形です。日本語では、使役形は強制よりも、

この自発・自然な感情を表すことに多く使われ

ます。

 さて、日本語は受け手の立場で発想すること

が多く、この場合でも主語を「受け手=私」にもっ

てきて、「考えさせられる」と受身表現になるの

が普通です。これは「お茶が入りました」のよ

うに他動詞表現よりも自動詞表現を好み、「あな

たを好く」と他動詞を使うより、「あなたが好き

だ」と形容詞を使うこことも共通します。

 例えば、以下のように両方の表現が可能な場

合、日本人なら下の表現を使うでしょう。

 その映画は私を感動させた。

 私はその映画に感動させられた。

 

172

26. 授受の表現

よく使う文型

  

要点の整理

 基本的には恩恵や利益の授受を表して、「私」を軸とした体系と考えていいでしょう。また日本語の受給表現は敬語と

共通する待遇表現の一種で、上下関係や「内と外」によっても使い分けられています。注意してほしいのは、日本語で

は身内=家族には敬語は使わないことです。

 ★ 「〜は〜に〜を〜てあげる」文

 主語は「与え手」で、「に」格は受け手となります。

   私は 息子に  英語を教えて やりました。  

   私は 友だちに 英語を教えて あげました。  

   私は 部長に  英語を教えて さしあげました。

 ★ 「〜は〜に(⇔から)〜を〜てもらう」文

 主語は「受け手」で、「に/から」格は「与え手」となります。

   私は 親に(⇔から) 辞書を送って もらいました。

   私は 先生に(⇔から) 辞書を送って いただきました。

 ★ 「〜は〜に〜を〜てくれる」文

 この文型では主語は「与え手」で、「に」格は受け手となります。注意すべきは「に」格は常に「私」(私に属する人=家族)

になることです。

   父は 私に 日本語を 教えてくれました。

   先生は 私に 日本語を 教えてくださいました。

173

例題1 

(例1) 1) 妹いもうと

    2) 靴くつ

を 買か

A :妹1)

さんの 誕たんじょうび

生日に どんな プレゼントを 考かんが

えて

   いますか。

B :妹1)

には 靴2)

を 買って (やろう/あげよう)と

   思おも

って います。

(1) 1) 父ちち

 

   2) ウイスキーを プレゼントする

(2) 1) 弟おとうと

 

   2) 図と

書しょ

券けん

を 送おく

(3) 1) 母はは

 

   2) 温おんせん

泉に 連つ

れて いく

(4) 1) 姉あね

   2) ハンドバッグを 買か

(例2) 1) 先せんせい

生 

    2) 何なに

か 手て

作づく

りの 品しな

を 送おく

A :先1)

生に どんな お礼れい

を したら いいでしょうか。

B :そうですね。何2)

か、 手作りの 品を 送って 

   (あげた/さしあげた)らいいんじゃないですか。

(1) 1) 日に

本ほん

の 友ゆうじん

人   

   2) 国くに

の 料りょう

理り

を 作つく

って ごちそうする    

(2) 1) 担たんにん

任の 先せんせい

生   

   2) 品しなもの

物よりも、 お礼れい

の 手て

紙がみ

を 書か

く 

(3) 1) 保ほしょうにん

証人の 方かた

   

   2) 韓かんこく

国に 招しょうたい

待する

(4) 1) お世せ

話わ

に なった 上じょう

司し

   2) 韓かんこく

国の 民みんげいひん

芸品を プレゼントする

例題1<解説>

「〜に〜を〜てあげる」の基本図

 図示すると以下のようになります。

 この「〜てあげる」文では、「AさんがBさん

174

例題2 

(例1) いろいろと 教おし

える      

A :先せんじつ

日は いろいろと 教えていただきまして、 

   どう お礼れい

を 言い

ったら いいか・・・。

B :いいえ、気き

に しないで ください。

(1) 困こま

った ところを 助たす

ける     

(2) 空くうこう

港まで 送おく

る 

(3) 東とうきょう

京を 案あんない

内する

(4) 息むす

子こ

に いい 仕し

事ごと

を 紹しょうかい

介する   

(5) わざわざ 忘わす

れ物Mの

を 届とど

ける

(例2) 1) ラジオを 直なお

す    2) 李君

 A :あなたが 自

分ぶん

で ラ1)

ジオを 直した んですか。

B :→いいえ、李君が 直1)

して (くれた/くださった)

    んです。

   →いいえ、李君に 直1)

して (もらった/いただいた)

    んです。

(1) 1) 英えいぶん

文で 手て

紙がみ

を 書か

   2) 友とも

だち 

(2) 1) この 料りょう

理り

を 作つく

   2) 母はは

 

(3) 1) パソコンを 買か

う 

   2) 父ちち

(4) 1) アルバイトを 探さが

   2) 保ほしょうにん

証人の方かた

(5) 1) ワープロを 打う

   2) 先せんせい

例題2<解説>

「〜に〜を〜てもらう」の基本図

 図示すると以下のようになります。

 この「〜てもらう」文では、「AさんがBさん

に〜をてあげる」(A⇄B)も成立します。

 李君は田中さんに時計を買ってもらった。

 李君は先生に作文を直していただいた。

「〜に〜を〜てくれる」の基本図

 図示すると以下のようになります。

175

例題3

A :もし ほしかったら、君(1)

が/に) この パソコン

   あげようか。

B :ほんとう!私が (  A  ) いいの?

A :うん、いいよ。父(1)

が/に) 新しいのを 買って

   くれたから、もう 要らないんだ。

(1) 1)2)は正しい方を選んでください。  

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① あげても      ② くれても

  ③ もらっても     ④ もらえても 

例題4

子 :ただいま。 お腹が 空いて 死に そうだよ。

父 :もう カレーライスが 作って あるよ。

子 :えっ?お父さん(1)

が/に) 作って (  A  )の?

父 :そうだよ。

子 :お父さん(2)

が/に) 料理を 作って もらうのは

   久しぶりだなあ。

父 :お母さんが 病気の ときぐらい、女房(3)

が/に)

   孝行を して (  B  )とね。

(1) 1)〜3)は正しい方を選んでください。 

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① あげた       ② もらった

  ③ くれた       ④ くださった

(3) (B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① あげない      ② さしあげない

  ③ もらわない     ④ くれない

例題3〜4<解説>

家族では敬語を使わない

 テレビを見ていると、たまに「母が買ってく

ださいました」のように、敬語が使われている

ことがあります。

 しかし、これは格式ある家族、資産家の家族

など限られた世界の話で、一般的ではありませ

ん。相手が親でも祖父祖母でも、家族間では敬

語を使わないのが日本語の世界です。

 この点が韓国語との違いでしょうが、それは

日本語の敬語は年長者かどうか、目上かどうか

よりも、親密か疎遠かという心理的な距離感が

優先される言語だからです。 

夫は妻にどう言ったら?

 「子供にプレゼントを買ってやる」は問題ない

と思いますが、夫は妻に対してどう言うかが問

題です。

 妻にプレゼントを買ってやる。

 妻にプレゼントを買ってあげる。

 以前は「妻に買ってやる」が普通でした。こ

こには結婚観ー家父長制のなごりーが存在して

いるのですが、最近の若い夫婦は「買ってあげる」

を使っているようですね。そこで、ここでは例

題4の(B)に「〜てやる」の選択肢を入れませ

んでした。

「〜てくれる」と「〜てもらう」

 「〜てくれる」と「〜てもらう」は同じ授受関

係を表すことができます。しかし、「〜てくれる」

は相手が自発的にした行為で、「〜てもらう」は

相手に依頼し、その結果相手がした行為です。

 例えば下の例のような違いが現れます。

 「ねえ、ちょっと教えてくれない?」

 「うん、いいよ」

 → 私は友達に教えてもらった。

 「大変そうだね。教えてあげようか」

 「うん、お願い」

 → 友達は私に教えてくれた。

176

例題5

A :先生、大学(1)

に/から) 奨学金が (  A  ) 

   ことに なりました。

先生:それは よかったね。

A :その 他に、大学が 無利子で 入学金を 貸して

   (  B  ) ことに なったんです。

(1) 1)は正しい方を選んでください。  

(2) (A)(B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① あげる       ② くれる

  ③ もらう       ④ もらえる 

例題6

夫おっと

 :ただいま。風邪の 具ぐ

合あい

は どう?

妻つま

 :私わたし

(1)

に/の ために) 帰かえ

って きて くれたの?

   心配して (  A  ) ありがとう。

   できたら、夕ゆうしょく

食の 支し

度たく

も して (  B  )?

夫おっと

 :OK。僕ぼく

(2)

に/の ために) 任まか

せて (  C  )。

(1) 1)2)は正しい方を選んでください。 

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① あげて       ② もらって

  ③ くれて       ④ もらえて

(2) (B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① ください      ② もらわない

  ③ くれ        ④ もらえない

(3) (C) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① くれ        ② もらえ

  ③ ください      ④ やれ

例題6<解説>

(〜に?/〜ために?)〜てくれる

 「(〜に/〜ために)〜を〜てくれる」の「に」

は受け手、「ために」は目的ですが、1)には「に」

が使えません。逆に、2)は「ために」が使えま

せん。

 それは、動詞の性格と関係していて、「帰る」

のような自動詞はそもそも対象や相手の「に」

を取らない動詞だからです。一般に「行く・来る・

帰る」や自動詞の場合は「〜ために」となります。

 また、他動詞の場合、「〜に」か「〜ために」

かで用法の違いが生じることがあります。

 例えば、「Aさんのために」は以下のように直

接の受け手がAさんとは限らない場合がでてき

ます。

 私はAさんのために、(Aさんに)パソコンの

 使い方を教えてあげた。

例題5<解説>

(〜に?/〜から?)〜てもらう

 物や言動、知識などが移動すると考えられる

場合には「に/から」の両方が成り立ちます。

 親に(⇄から)辞典を買ってもらう。

 先生に(⇄から)英語を教えていただいた。

 ただし、以下のような単なる代理行為の場合

は「〜から」が使えません。

 父に(×から)英語で手紙を書いてもらう。

 父に(×から)英語の手紙を読んでもらう。

 なお、例題5のように、与え手が人でなく、

国や学校、会社のような組織の場合は、つねに「〜

から」が使われます。

177

例題7

 A :この前

まえ

、君きみ

(1)

が/に) おごって もらったから、

   今きょう

日は 僕ぼく

(2)

が/に) 何なに

か (  A  )。

B :ずいぶん 景けい

気き

が いいんだね。

A :うん、冬ふゆ

の ボーナスを 出だ

たんだ。

B :じゃ、遠慮なく お言葉に (  B  )よ。

(1) 1)2)は正しい方を選んでください。

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① おごって あげる  ② おごって もらう

  ③ おごって くれ   ④ おごらせて くれ

(3) (B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 甘えて くれる   ② 甘えて もらう

  ③ 甘えさせて くれる ④ 甘えさせて もらう

例題8 

 え〜、ただ 今いま

、司し

会かい

の 方ほう

から ご紹しょうかい

介 (  A  ) 

李と 申もう

します。先ま

ず、私わたし

の ような 者もの

を 講こう

師し

として

お呼よ

び (  B  ) 主しゅさいしゃ

催者の 皆みなさま

様に 心から お礼れい

 申

し上あ

げます。

 さて、今きょう

日の 私に (  C  ) テーマは 「日に

本ほん

の 

国こくさい

際化か

に ついて」で ございますが、・・・

(1) (A)(B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① になった      ② いただいた

  ③ さしあげた     ④ くださった

(2) (C) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 与えられた     ② さしあげた

  ③ くださった     ④ いただいた

  

例題7<解説>

「〜てあげる」と「〜させてくれ」

 (B)は「おごってあげる」と「おごらせてく

れ」のどちらが適切かという問題になるでしょ

う。「〜てあげる」は常に恩恵や好意を相手に与

える立場に立った言い方なので、もし、面と向

かってそう言われたら、ほとんど人はむかっと

するでしょうね。このような場合は、積極的な

申し出の「〜させてください」が適切で、その

方が当然のお返しという気持ちが表れ、相手も

受け入れやすくなります。

 例えば、次の例もそうです。

客 :箸を落としちゃったんだけど、・・・。

店員:はい、ただいま       。

    × 取り替えてさしあげます。

    ○ お取り替えします。 

例題8<解説>

「与える」と「あげる」

 「与える」と「あげる」、「受ける」と「もらう」

は意味が似ていますが、用法に違いがあります。

<与える」と「あげる」>

 福祉のバザーのために、服や本をあげた(×

与 えた)。

 テレビが子供に与える(×あげる)影響は大

き い。

<受ける」と「もらう」>

 クイズが当たって、賞金をもらった(×受け

 た)

 台風で大きな被害を受けた(×もらった)。

 「あげる・もらう」は恩恵の表現ですが、「与

える・受ける」は感情を入れないで客観的な事

実を述べるときに使います。そして、これが一

番大切ですが、「影響・被害」や会話文の「テー

マ」(C)のような抽象的な言葉が目的語の時は

「与える・受ける」を使うことです。

178

27. 敬語と丁寧語の表現

よく使う文型

  お/ご -[ます]形:〜します/〜いたします

  お/ご -[ます]形:〜に なります/〜なさいます

  お/ご -[ます]形:〜ください/〜いただけませんか

  

要点の整理

 ★ フォーマル会話とフレンドリー会話

(1) 身内

 家族や親しい友だちや同僚の間で交わされる

フレンドリー会話の世界です。使われるのは口

語普通体で、「ます・です」体も敬語も使われま

せん。「ね/よ/わ」などの終助詞や、省略形が

頻繁に使われます。

  A :今夜の パーティに 行く? 

  B :うん、行くよ。  

(2) 内

 学校や会社など所属集団内での会話です。そこでは集団の秩序を維持するための上下関係が存在しています。そのため、

友だちや同僚の間で交わされるフレンドリー会話の世界と、先輩や上司や目上に対する「敬語&ます・です」体のフォー

マル会話が混在する世界です。日本では先輩や上司にはフォーマル会話を使うと覚えておきましょう。

  A :今夜の パーティに いらっしゃいますか。 

  部長:うん、その つもりだよ。 

  A :B君、君も 行く?

  B :うん、行くよ。

(3) 外

 「外」は「疎」とも言いますが、初めてあった人や、よく知らない人のように、疎遠な人に対しては、相手が子供の場

合は別ですが、年齢や地位がどうかに関係なく、「敬語&ます・です体」のフォーマル体が使われます。更に丁寧な「ご

ざいます」体などの丁重語を使うのが、顧客・お客に対するビジネス&フォーマル会話の世界です。

  A :今夜の パーティに いらっしゃいますか。 

  B :ええ、まいります。 

179

よく使う敬語動詞一覧表

      普通            尊敬           謙譲

   する            なさる          いたす

   来[く]る         いらっしゃる       まいる

                 おいでになる       伺[うかが]う

                 お見[み]えになる     

                 お越[こ]しになる

   行[い]く         いらっしゃる       まいる

                 おいでになる       伺[うかが]う

   〜てくる/ていく      〜ていらっしゃる     〜てまいる

   いる            いらっしゃる       おる

                 おいでになる

   〜ている          〜ていらっしゃる     〜ておる

   知[し]っている      ご存[ぞん]じです    存[ぞん]じ上[あ]げている

   飲[の]む/食[た]べる  召[め]し上[あ]がる  いただく

   言[い]う         おっしゃる        申[もう]す

   見[み]る         ご覧[らん]になる    拝見[はいけん]する

   〜てみる          〜てご覧[らん]になる     ×

   見[み]せる           ×         お目[め]にかける

                              ご覧[らん]に入れる

   着[き]る         お召[め]しになる       ×

   訪[たず]ねる          ×         伺[うかが]う

   尋[たず]ねる          ×         伺[うかが]う

          思[おも]う           ×         存[ぞん]じる

   聞[き]く            ×         伺[うかが]う/承[うけたまわ]る

                              拝聴[はいちょう]する

    会[あ]う            ×         お目[め]にかかる

   借[か]りる           ×         拝借[はいしゃく]する

   わかる              ×         承知[しょうち]する/かしこまる

   引[ひ]き受[う]ける      ×         承知[しょうち]/かしこまる

180

よく使う丁寧語

 普通     丁寧

こっち      こちら

そっち      そちら

あっち      あちら

どっち      どちら

だれ       どなた

どこ       どちら

どう       いかが

いくら      いかほど

ちょっと     少々[しょうしょう] 

ほんとうに    誠[まこと]に

すぐ       早急[さっきゅう]に

いい       よろしい/けっこうだ

わたし      わたくし

あなた      あなたさま/おたく

みんな      みなさま

奥[おく]さん  奥[おく]さま

手紙[てがみ]   お手紙[てがみ]

便[たよ]り   お便[たよ]り

今日[きよう]   本日[ほんじつ]

明日[あした]  明日[みょうにち]

昨日[きのう]   昨日[さくじつ]

あさって     明後日[みょうごにち]

おととい     一昨日[いっさくじつ]

去年[きょねん]  昨年[さくねん]

おととし     一昨年[いっさくねん]

ゆうべ      昨夜[さくや]

さっき      さきほど 

これから     これより

いま       ただいま

このあいだ    先日[せんじつ]

今度[こんど]  この度[このたび]

さようなら    失礼[しつれい]します

例題1

(例1) タクシーを 呼よ

李リー

  :タクシーを (お/ご)呼びいたしましょうか。

鈴すず

木き

 :すみません。お願ねが

いします。

(1) 傘かさ

を 貸か

す   

(2) 駅えき

まで 送おく

(3) 荷に

物もつ

を 持も

つ    

(4) 手て

伝つだ

(5) 住じゅうしょ

所を 教おし

える   

(6) 山やま

田だ

専せん

務む

に 連れんらく

絡する

(7) この 町まち

を 案あんない

内する 

(8) もう 一いち

度ど

、説せつめい

明する

(例2)  山やま

田だ

専せん

務む

と 会あ

鈴すず

木き

 :山田専務と (お/ご)会いに なりましたか。

李リー

  :はい、(お/ご)会いしました。 

           

(1) 部ぶ

長ちょう

を 駅えき

まで 送おく

る       

(2) 先せんせい

生に 手て

紙がみ

を 渡わた

(3) 社しゃちょう

長に 伝つた

える           

(4) 教きょうじゅ

授を パーティに 呼よ

ぶ  

(5) お客きゃくさま

様を 空くうこう

港まで 見み

送おく

る      

(6) 会かいちょう

長に 連れんらく

絡する

(7) みなさんを 別べっしつ

室に 案あんない

内する     

(8) 校こうちょう

長に その 件けん

を 質しつもん

問する

181

例題2 

(例1) 伝つた

える  → 伝つた

えていただけませんか

         → お伝つた

えいただけませんか

    説せつめい

明する → 説せつめい

明していただけませんか

         → ご説せつめい

明いただけませんか

(1) 知し

らせる     

(2) 答こた

える

(3) 話はな

す       

(4) 送おく

る 

(5) 教おし

える      

(6) 連れんらく

絡する

(7) 電でん

話わ

する

(8) 指し

導どう

する

(例2)  今こん

夜や

の パーティに 来く

李リー

  :今夜の パーティに いらっしゃいますか。 

鈴すず

木き

 :はい、まいります。  

(1) 先せんせい

生の お宅たく

に 行い

く         

(2) ビールを 飲の

(3) 明あした

日は 会かいしゃ

社に いる         

(4) 刺さし

身み

を 食た

べる  

(5) A 画が

伯はく

の 絵え

を 見み

る        

(6) 木きむらしゃちょう

村社長を 知し

って いる 

(7) その ことを 教きょうじゅ

授に 言い

う       

(8) テニスを する

182

例題3 ( )には「お」か「ご」を入れ、(/)は正しい

     方を選んでください。

1.

A :失礼ですが、(①)名前は 何と (1)

おっしゃいます/

   申します)か。

B :李と (2)

おっしゃいます/申します)。

A :(②)勤めは (3)

どこ/どちら) ですか。

B :○○商事です。

2.

 (①)客様に (②)迷惑を (かけて います/おかけし

ております)。ただ今 JR中央線は 車両事故の ため、

全線

ストップして ( います/おります)。なお、復旧には 相

時間が (かかる/おかかりする)と 思われますので、(③)

急ぎの 方は 総武線に (④)乗り換えください。 

3.

店員:いらっしゃいませ。

   (①)注文は 何に (1)

します/なさいます)か。

A :メニューを 見せて くださいませんか。

店員:はい、こちらに (2)

あります/ございます)。

   (②)決まり(3)

しましたら/に なりましたら)、

   (③)呼びください。

A :あのう、水を お願いします。

店員:(4)

ええ/はい)、(5)

今/ただ今) (④)持ち(6)

いたしま

   /なさいます)。

・・・(しばらくして)・・・

A :じゃ、この 中華料理の フルコースを ください。

店員:(7)

ええ/はい)。あのう、(⑤)飲み物は (8)

どう/いか

   が) (9)

します/なさいます)か。

A :じゃ、紹興酒を 一本 ください。

例題3<解説> 

「お・ご」の例外

 「お」は和語、「ご」は漢語につけて用いるの

が普通の形ですが、例外もかなりあります。

①「お+漢語」の例

 お電話・お料理・お食事・お時間・お勉強・

お写真・お医者さん・お元気・お約束・お掃除・

お知恵・お弁当・お菓子お荷物…

 これらは日常生活でよく使う語で、日本人の

中では漢語古代の外来語(という意識がなくなっ

た語と言えるでしょう。

②「お+カタカナ語」の例

 おソース・おビール・おトイレ・おジュース・

おズボン…

 カタカナ語には「お」をつけないのが普通で

すが、一部の名詞には使われています。

③「ご」+和語

 「ごゆっくり・ごもっとも」など少数。

お客との応対マニュアル

 店員のお客との応答は絶対敬語の世界と言っ

ていいでしょう。以下、ビジネスでよく使われ

る丁寧な表現を取り上げておきます。

 さようなら →失礼[しつれい]します

 すみません →申[もう]しわけありません

 すみませんが→恐れ入りますが

 そうです  →さようでございます

 いいです  →けっこうです

 あります  →ございます

 です    →でございます

 いいですか →よろしいでしょうか

 どうですか →いかがでございましょうか

 できません →いたしかねます

 わかりました→かしこまりました

183

例題4

A :今日の パーティに ○○先生は (  A  )か。

B :ええ、 大丈夫だと (  B  ) います。

   まもなく (  C  )と 思いますが、・・・。

(1) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 出席します     ② ご出席します

  ③ ご出席いたします  ④ ご出席なさいます 

(2) (B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 聞いて       ② お聞きに なって

  ③ 伺って       ④ 拝聴して

(3) (C) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① まいる       ② 伺う

  ③ いらっしゃる    ④ お目に かかる 

例題5

A :あのう、△△商事の 李と 申しますが、

   木村部長は (  A  )か。

B :あいにく 木村(1)

×/部長)は ただ 今 会議中

   (2)

です/で ございます)が、 何か・・・。

A :あのう、 実は (3)

すぐ/至急) ご相談(4)

したい/に

   なりたい) ことが (5)

ありまして/ございまして)

   (  B  )のですが、・・・。

(1) 1)〜5)の中に入る適当なものを選んでください。

(2)  (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① います       ② いらっしゃいます

  ③ おります      ④ まいります

(3) (B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① まいった      ② いらっしゃった

  ③ お越しに なった  ④ お出でに なった

例題4<解説>

話題の第三者に対する敬語

 実際の会話では自分と相手(聞き手)の他に

話題の第三者が登場する場合があります。例え

ば、この会話例を図示すると以下のようになる

でしょう。

例題5<解説>

身内に尊敬語は使わない日本語

 日本語では顧客や取引先など「外」の人との

会話では、自分の会社の人は同僚でも社長でも、

全て「内」ですから、「内」の人に尊敬語は使い

ません。特に社外の人との会話では、社長でも

呼び捨てにします。

取引先:田中社長はいらっしゃいますか。

秘書 :申し訳ございません。田中はただ今外

出    しております。

ビジネス会話と「ございます」体

 「ございます」体が最もよく使われるのはビジ

ネス会話の世界で、顧客への応対や受付での応

対はほとんどが「ございます」体です。

 紳士服売る場は四階でございます。

 田中様でございますか。

184

例題6

A :部長、こんな ところで お会い(1)

する/に なる)

   とは 思いませんでした。今日は (2)

奥さん/奥様)

   と、どこか お出かけ(3)

しました/でした)か。

部長:うん、孫の 誕生日の プレゼントを 買いにね。

A :はじめまして。部長には いつも (  A  )

   (4)

おります/います)。

婦人:いいえ、こちらこそ。

(1) 1)〜 4)の中に入る適当なものを選んでください。

(2) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① お世話して    ② お世話に なって

  ③ お世話なさって  ④ お世話に いたして

例題7

A :ただ 今、この度 国民栄誉賞を 受賞なされました

   ○○教授が 式典会場に (  A  )。みなさん、

   拍手で (  B  )。

先生:(  C  )、どうも すみません。

(1) (A) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① きました     ② まいりました

  ③ 来られました   ④ お見えに なりました

(2) (B) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 迎えよう     ② 迎えましょう

  ③ お迎えしましょう ④ お迎えに なりましょう

(3) (C) の中に入る適当なものはどれですか。

  ① 遅れて      ② 遅れまして

  ③ お遅れして    ④ お遅れに なって

例題6<解説>

私生活にも残る社内の上下関係

 日本では私生活でも会社内の上下関係が守ら

れています。それが社宅のなかの奥さんたちの

関係にも反映し、主人の地位の上下によってラ

ンク分けが行われていることも少なくありませ

ん。

 ここではその是非は論じないとして、知って

おく必要はあるでしょう。

部下の妻:奥様、どこかおでかけですか。

部長の妻:ええ、ちょっと買い物に。

例題7<解説>

敬語体の不統一は避ける

 「来られる」も「お見えになる」も「来る」の

尊敬語として使われますが、「〜(ら)れる」は

敬語動詞や「お〜する<謙譲形>/お〜になる

<敬語形>)に比べると一段低い敬意を表しま

す。

 会話にも文体の統一があって、会話全体が敬

語動詞や敬語形が使われていますから、(A) も

敬語のレベルを揃えて敬語動詞を使った方が自

然になります。

「お〜する」がない動詞

 (C) は「お遅れして」を選んだ人も多いので

はないでしょうか。しかし、この「遅れる」の

ように「お〜する/いたす」の形がない動詞が

あるのです。

 「お〜する/いたす」はほとんどの他動詞や、

「〜に会う/〜に尋ねる…」のように対象の「に」

格をとる自動詞に使うことができます。しかし、

「咲く・降る・吹く」などの自然現象を表す動詞

や、「終わる・死ぬ・始まる」などの自動詞には

ありません。「お〜する」の形がない動詞の例と

して、自動詞では「歩く・遊ぶ・急ぐ・起きる・

帰る・困る・立つ・着く・できる・出る・通る・

185

186

Ⅱ 「てにをは」の運用練習

187

例題1 存在や「ある」の表現でよく使う助詞

(1)

A :今日は 僕が 何(①) 料理を 作ろう。

B :え?ほんとう?何を 作って くれるの?  

A :冷蔵庫の 中(②) 何(③) ある?

B :牛肉(④) タマネギ(⑤) ジャガイモなど(⑥) 

   あるわ。 

A :じゃ、今夜の 夕食は カレーライスに しよう。

(2)

A :ごめんください。誰(①) いますか。

B :返へん

事じ

が ありませんね。

A :ええ、誰(②) いないようです。

(3)

A :君きみ

(①) 相そうだん

談(②) あるんだけど。

B :いいよ。 何なに

(4)

A :○○の コンサートが あるんだけど、行い

かない?

B :いいよ。その コンサートは どこ(①) あるの?

A :××会かいかん

館(②) 7時じ

からだけど。

B :その ××会かいかん

館は どこ(③) あるの?

A :中なか

野の

駅えき

の 北きたぐち

口から すぐの ところだよ。

(5)

A :昨さく

夜や

、近きんじょ

所(①) 火か

事じ

(②) あったんだ。

B :へえ、それは 大たいへん

変だったねえ。

A :うん、消しょうぼうしゃ

防車が すぐ 駆か

けつけて、火ひ

は 消け

した

   んだけど、僕ぼく

の 家うち

(③)も 類るいしょう

焼の 恐おそ

れ(④)

   あったので、 一いち

時じ

は 避ひ

難なん

してたんだ。

1、格助詞の使い方

 

例題1<解説>

「ある」の色々な用法

1、〜に〜がある

 存在する物を表す「ある」。

 教室に 何が ありますか。 

 → 教室に 机や 椅子などが あります。

 「いる」の意味で使われる「ある」。

 昔々、ある所におじいさんおばあさんがあり

ま した。

 特別の地位や環境にいることを表す「ある」。

 理事長の 職に ある。

 病の 床に ある。

 「持つ/備える」の意味で使われる「ある」。

 彼は 政界に 影響力が ある。

 私に いい 考えが ある。

2、〜が〜にある

 「〜が〜に(ある/いる)」文は存在地を表す

文です。焦点は場所にあります。

 黒板は どこに ありますか。 

 → 黒板は 教室に あります。

3、〜で〜がある

 この中で一番注意しなければならないのは、

「〜で〜がある」文です。これは「〜で〜が起こっ

た」「〜で〜が行われる」の意味で使われていま

すから、動作の行われる場所を「で」で表します。

 この「ある」は「起こる」(発生)、「行われる

/開かれる」(開催)の代わりに使われています

から、動作動詞の用法になります。

  踏切で事故があった。    <発生>

  台湾で大きな地震があった。 <発生>

  この会場で試験がある。   <開催>

  北京で国際会議がある。   <開催>

 

188

例題2 時や場所の表現でよく使う助詞

(1)

A :あなたは いつも 何時(①) 寝ますか。 

B :だいたい 12 時(②) 寝ます。

(2)

A :一日(①) どの くらい タバコを 吸いますか。

B :だいたい 一日(②) 一箱ぐらいです。

(3)

A :あなたは どこ(①) 日本語を 勉強しましたか。

B :私は 韓国の 日本語学校(②)二年間(③) 勉強

し   ました。

(4) 

A :それは ワープロですね。

B :ええ、今年の 誕生日(①) 新宿(②) 父に 買っ

   て もらいました。

(5) 

先生:1時(①) 予定が 入って いるので、今日は 午

前   中(②) 授業を 終わります。

学生:わ〜い。やった! 

(6)

A :どこ(①) 具ぐ

合あい

が 悪わる

いの?

B :うん、胃い

が 痛いた

くて。

A :病びょういん

院(②) 診み

て もらった 方が いいよ。

(7)

A :郊こうがい

外(①) 一いっ

戸こ

建だ

ての 新しんちく

築の 家いえ

を 買か

われたそ

   うですね。

先せんぱい

輩:うん。でも ローンで 首が 回らないよ。

A :いつ(②) お宅たく

(③) お邪じゃ

魔ま

しても よろしいで

す   か。

先せんぱい

輩:うん、いいよ。それで、いつ(④) 来く

る?

                        

例題2<解説>

時と場所に関係する「に」と「で」

「に」の用法   

1、動作の起こる時を表す「に」

  

 学校は何時に始まりますか。

 寝る前に、歯を磨きましょう。

2、存在する場所や状態発生地を表す「に」

1) 存在する場所を表す

 李君はどこにいますか。

 郵便局はどこにありますか。

2)  状態発生地を表す

 道ばたに花が咲いている。

 私はソウルに住んでいます。

3)基準を表す「に」

 一度に二つのことはしない方がいい。

 一日に何時間ぐらい復習をしますか。

「で」の用法 

1、 動作の行われる場所を表す「で」

 子供たちが公園で遊んでいる。

 この川で泳いではいけません。

2、 時間・期間を限定する「で」

189

例題3 移動の表現でよく使う助詞

(1)

 この 飛行機は 成田(①) 午前 10 時(②) 出発し、

香港(③) 経由して、広州(④) 12 時(⑤) 到着します。

 

(2)

A :あのう、 すみませんが、 新宿駅(①)は どう 行っ

   たら いいでしょうか。

B :この 道(②) まっすぐ 行くと、交差点(③) 

出   ますから、そこ(④) 右(⑤) 曲がって くだ

さい。   しばらく 歩くと、 歩道橋が ありますから、

 それ   (⑥) 渡って 、それから・・・

A :あのう、 私は まだ 日本語が よく わかりませ

   ん。すみませんが、この 手帳(⑦) 地図を 書い

て   いただけないでしょうか。

(3)

A :日曜日に 私の 家に 遊び(①) 来ませんか。 

B :ええ、喜んで。先生の お宅まで どう やって 

   行ったら いいんですか。

B :新宿駅 (② ) 山手線(③) 乗ります。それから

   渋谷駅(④) 降りて、井の頭線(⑤) 乗り換えます。

A :それから どうしますか。

B :久我山駅(⑥) 下車して、 北口の 改札口(⑦)

   出ると、すぐ 左側に 公衆電話が ありますから、

    もう一度 そこから 電話して ください。 

B :じゃ、お昼ごろ 吉祥寺駅(⑧) 着くように 行き

   ます。

 

例題3<解説>

移動表現での「に」と「を」

<基本表現>

 バスに 乗ります ⇔ バスを 降ります。

 教室に 入ります ⇔ 教室を 出ます。

 東京に 着きます ⇔ 東京を 離れます。

 駅やバス停など乗り降りが行われる場所は

「で」で表しますが、電車・バス・飛行機などの

乗り物に乗るときは「〜に」、降りるときは「〜

を」を使います。

               

  新宿駅で 電車に 乗ります。

  渋谷駅で 電車を 降ります。

移動表現と主な動詞表

<出発地>を:離れる・出る・去る・降りる・

出発する

<移動地>を:通る・歩く・走る・飛ぶ・泳ぐ・

散歩する・進む・下る・上る・曲がる・

回る・渡る

<目的地>に:着く・乗る・入る・近づく・集まる・

あがる・届く・落ちる・沈む・行く・来る・

帰る

190

例題4 引用の表現でよく使う助詞

(1)

A :金さんは 何時に 来る(①) 言いましたか。

B :6時ごろ 行く(②) 言いましたが、もう 6時半

   ですね。でも、 まもなく 来る(③) 思いますよ。

A :金さんは 何で 来る(④) 思いますか。 

B :たぶん、電車で 来る(⑤) 思います。

(2)

A :納豆って おいしいの?

B :おいしい(①)どう(②)は、食べて みれば わ

   るよ。

A :一度だけ 食べて みたんだけど、気持ちが 悪くて、

   食べられなかったんだ。日本人は どうして あん

   物が 好きなの(③)、僕には 理解できないよ。

(3)

A :パソコンを 買おう(①) 思ってるんだけど、どれ

   が いい(②)、 迷ってるんだ。

B :何に 使いたいの(③)が 問題よ。 

(4)

A :あの 看板に 何(①) 書いて あるんですか。

B :「土足禁止」です。靴の まま 上がっては いけな

   (②)いう 意味です。

(5)

 遠くに 標識が 立って いたが、 アナンさんは その

例題4<解説>

色々な引用

1、「〜という」のグループ

① 〜というN

 山田という人から電話がありました。

② 〜というN

 合格したという(⇄って/⇄っていう)知ら

 が届いた。

  

③ 〜というのは〜ことだ/意味だ/略だ

 「再見」というのは、中国語で「また会いましょ

 うという意味です。

 東大というのは東京大学の略だ。

④ 〜ということだ/〜とのことだ

 明日は雨が降るということだ。

2、「〜と思う」のグループ

 明日は雨が降ると思います。<推量・婉曲> 明日行こうと思います。<意向>

3.(疑問詞)〜か、〜

 李君がいつ国に帰るか、教えてください。

 どこが故障したか、まだわかりません。

4.〜かどうか、〜

 彼女が結婚しているかどうか、知りません。 おいしいかどうかは、食べてみればわかるよ。

191

例題5 可能や受身、使役表現でよく使う助詞

(1)

A :どの くらい お酒(①) 飲めるの?

B :ビールなら 四、五本は 飲めるよ。お酒(②) 飲

   ないと、日本人との つきあいで 困るからね。

(2)

A :今日の テストは どうでしたか。

B :昨夜、友だち(①) 遊びに 来られて、全然 勉強

   (②) できなかったんです。きっと 明日は 先生

   (③) 叱られるでしょうね。

(3)

A :部長室(①) 呼ばれて いたようだけど、部長(②)

   何か 言われたのか。

B :うん、 昨日、 お客と 口論に なったんだが、お客

   (③) 多少の 無理を 言われても、我慢できないよ

   うでは 一人前じゃないって、部長(④) 怒鳴られ

   たよ。

(4)

A :彼かれ

、 また 今日も あんなに 酔よ

っぱらっちゃって

   あれじゃ、酒さけ

(①) 飲んで いるのか、酒さけ

(②) 飲

   まれているのか、 わからないね。

B :奥おく

さん(③) 逃げられてから、いつも ああ なん

   よ。

(5)

A :木村、そろそろ マイク(①) 他の 人(②) 回せ

   よ。

B :じゃ、私(③) 歌わせて ください。 

例題5<解説>

可能、受身、使役文の整理

 この項は、可能、受身、使役の各項を参照し

てください。

 

192

例題6 助詞と一緒に覚える動詞・形容詞文 80

 これらの動詞や形容詞は決まった助詞がつきますので、助詞と一緒に覚えるのが一番の早道です。

  <感情発生の原因の「〜に」>

01) 飢え( ) 苦しむ 人々が 多くいる。      

02) 物価の 高さ( ) 目を 丸くした。       

03) 彼の 頑固さ( )は あきれるね。        

04) 彼( )は がっかりしたよ。          

05) 余りの 変化( ) 目を 見張った。        

  <感覚の「〜が -する」>

06) これ 変な 臭い( ) しますよ。

07) 叫び声( ) した。              

08) 寒気( ) します。              

09) 行く 気( ) しません。

10) 妙な 味( ) するね。 

  <職業・形や色の「〜を -している」>      

11) お父さんは どんな 仕事( ) して いるの?

12) 父は 医者( ) しています。

13) それは どんな 色( ) して いたの?     

14) この 陶器は 美しい 形( ) している。

15) 大きな 目( ) した 可愛い 子 

  <場所・出現地を指す「に」>           

16) 電車( ) 飛び乗る。             

17) 150 万年前、 人類は 地球上( ) 現れた。    

18) 一言も 口( ) 出さなかった。         

19) 彼の 右( ) 出る 者は いない。

20) 好物と いえば、 寿司が 頭( ) 浮かぶ。 

21) 汚い 言葉を 口( ) しては いけない。

22) 他人の こと( ) 口を 挟むな。

23) 美しい 山々が 目( ) とびこんだ。

24) 欲しかった 本が 手( ) 入った。

25) パソコンの 技術を 身( ) つける。     

    

193

  <方向の「に」>

26) あの 角を 右( ) 曲がって ください。

27) 右( ) 見えるのが 東京駅です。

28) 私の 家は 海( ) 面して いる。

29) 大きい 世界( ) 目を 向けるように。

30) 目を 外( ) 転じる。

  <目的の「に」>

31) この 温泉は 病気治療( ) 利用されて いる。

32) 夫の ため( ) 心を 込めて 料理を 作る。

33) 今度の 日曜日、 釣り( ) 行きませんか。

  <比較の対象の「に・と」>

35) 娘は 母親( ) 似て いる。

36) 今日の 君は いつも( ) 違うね。

37) 僕の 車は 君の( ) 同じ トヨタだ。

38) 無法状態( ) 等しい 有り様だった。

39) あの 子は お父さん( ) そっくりですね。

40) 君は お兄さん( ) 瓜ふたつですね。

  < 基準の「に」>

41) 私の 家は 駅( ) 近いです。

42) 日本人は、 よく 働き蜂( ) 喩えられる。

43) 相手チーム( ) 10 対5で 勝った。

44) 期待( )反して、 私たちの チームは 負けた。

45) やっと 司法試験( ) 合格した。

46) 勝敗( ) 拘るな。

47) あなた( ) できない はずが ない。

48) 君は 慎重さ( ) 欠けて いる。

49) 彼女は 音楽の 才能( ) 恵まれて いる。

50) 中国は 資源( ) 富んだ 国だ。

  <対象を指す「に」>

51) 彼は 花子さん( ) 好意を 抱いて いる。

52) 彼は パソコン( ) 熱中して いる。

53) 彼は 麻雀( ) 夢中だ。            

194

54) サラ金( ) 金を 借りる。(「から」も可)    

55) 日本の 生活( ) もう 慣れましたか。

56) 環境は 人間の 性格( ) 影響を 与える。

57) レポート( ) ざっと 目を 通す。

58) 神( ) 誓って 嘘は つかない。

59) 人( ) 頼っては いけない。         

 

60) 他人( ) 迷惑を かけては いけない。

  <状態・割合の「に」>           

61) 直角( ) 交わる。              

62) 上下( ) 振動する 地震が 一番 恐い。

63) うつ伏せ( ) 倒れて いた。         

64)  仰 向 け( )  な っ て  く だ さ い。

65) 苦境( ) 陥る。               

66) 万( ) 一つの 可能性も ない。

67) 価格( )  5%の 消費税が つく。

  <移動・経過の「を」>

68) 月は 地球の 周り( ) 回っている。

69) 楽しい 時間( ) 過ごす。

70) 国( ) 離れる。

  <動作の相手の「と」>

71) 彼女( ) 別れて、 もう 3年に なる。

72) 彼女( ) 結婚したのは 3年前です。

73) 家族( ) いっしょに 旅行する。

74) 君( )は この ことで 議論したくない。

75) 弟( ) 兄が 喧嘩を して、 弟が 勝った。

  <引用の「と」>

76) 息子を 「太郎」( ) 名づけた。

77) 彼が 真犯人だ( )は、 思いも しなかった。

78) 何だろうか( )、 箱を 開けて みた。

79) その 話は、 彼の 作り話だ( ) 見て いる。

80) 景気は 回復する( ) 見られて いる。

195

2、「は」と「が」

例題1 

 むかし むかし ある ところに、 おじいさんと おば

あさん(1)

は/が) いました。おじいさんと おばあさん

(2)

に/には) 子供(3)

は/が) いませんでした。

 ある日、おばあさん(4)

は/が) 川へ 洗濯に 行くと、 

大きな 桃(5)

は/が) どんぶりこ どんぶりこと 流れて

 きました。 おばあさん(6)

は/が) その 桃を 拾って

 帰りました。おじいさん(7)

は/が) 帰ってきたので、お

ばあさん(8)

は/が) 早速、桃を 切りました。

 すると 桃(9)

は/が)ぱっと 割れて、中から かわいい

男の 子(10)

は/が) 出て 来ました。おじいさんと おば

あさん(11)

は/が)、その 子(12)

は/が) 桃から 生まれたので、

「桃太郎」という 名前を つけました。

例題2

(1)

A :あそこに 高い ビルが 建って いるの(1)

は/が)

   見えますか。

B :ええ、あの 建物(2)

は/が) なんですか。

(2)

A :来年、日本に 留学したいと 思って いるんです。

B :その 話はなし

(1)

は/を) ご両りょうしん

親も 知し

って いますか。

A :いいえ、この 話はなし

(2)

は/を) 両りょうしん

親(3)

に/には) まだ

   話はな

して いません。

(3)

A :あなた(1)

は/が) 日に

本ほん

語ご

(2)

は/が) 上じょう

手ず

ですね。

   どこ(3)

で/では) 勉べんきょう

強しましたか。

B :日に

本ほん

語ご

(4)

は/を) 韓国(5)

で/では) 勉べんきょう

強しました。

A :韓国(6)

で/では) どの くらい 勉べんきょう

強しましたか。

B :半年です。

例題1〜2<解説>

 未知の「が」と既知の「は」

 主語「が」で表された文は事実・現象文と言

われます。「は」の機能は話題提示で、話者が相

手に説明したいことを中心に取り立てて、説明

文を作ります。

 つまり、「〜は」で取り立てた文は、「(主題)

は+説明」となります。また、「は」は主語以外

にも、文のいろいろな要素につくことができま

す。その際注意しなければならないのは、「が/

を」は「は」に変わりますが、その他の格助詞「に

/と/で/から/まで/へ」などは、「+は(例:

には/とは…)」の形になることです。

< 事実・現象文 >

 昨日、新宿で私が父にプレゼントを買った。

< 説明・解説象文 >

→私は、昨日新宿で父にプレゼントを買った。

→プレゼントは、昨日新宿で私が父に買った。

→昨日は、新宿で私が父にプレゼントを買った。

→新宿では、昨日私が父にプレゼントを買った。

→父には、昨日新宿で私がプレゼントを買った。

 そのため、相手が知らない事実を伝えるとき

は「が」、そして一旦相手に伝えた事実について

説明を加えるときは「は」が現れます。

 例題1では、1)3)5)8)10)は未知情報ー

新事実を伝えるーで、2)6)8)11)は既知情報ー

説明を加えるーとなります。問題は9)ですが、

「桃」は読者にとって既知ですから「は」はもち

ろん使えます。「が」を使うと、新事実を伝える

ことになるので読者には驚きや意外な感情が発

生します。

 なお、4)7)12)は、それぞれ「〜と」「〜

ので」「〜ので」という条件や理由を表す句中の

196

例題3

(1)

A :公園の 桜(1)

は/が) 実に きれいですねえ!

B :ええ、桜(2)

は/が) 日本の 国花なんですよ。

(2)

A :あっ、雨(1)

は/が) 降って いる。

B :じゃ、出かけるの(2)

は/が) 小降りに なってから

   に しましょう。・・・(しばらくして)・・・

A :まだ 雨(3)

は/が) 降って いますか。

B :いいえ、もう 雨(4)

は/が) やんだようです。

(3)

A :今夜(1)

は/が) 星(2)

は/が) きれいだねえ。

B :ええ、 ほんとう。ほら、あそこに 北極星(3)

は/が)

   光って いるわ。

例題4

(1)

A :李リー

さん(1)

は/が) 何なん

に しますか?

李リー

 :僕ぼく

(2)

は/が) 定ていしょく

食で いいです。

A :定食も 何なんしゅるい

種類か ありますが、どれ(3)

は/が)

   いいですか?

李リー

 :一番 安いので いいです。

(2)

A :これ(1)

は/が) どなたの 傘ですか。

B :田中さんのです。

A :李さんの(2)

は/が) どれですか。

B :あの 黒い 傘(3)

は/が) そうです。

(3)

A :明日の パーティに(1)

は/が) 誰(2)

は/が) 参加

   るんですか。

B :参加するの(3)

は/が) 李君と 孫さんです。

例題3<解説>

眼前の現象は「〜が」 

 眼前の現象を描写したり、相手が知らない未

の情報を最初に伝えるときは「主語+が」とな

ます。

 (眼前の現象描写)

  ほら見て。富士山が見えるわ。

 (相手に新提示する内容) 

  誰も行ける人がいなければ、私が行きます。

 

 ただし、「〜が+自V」自動詞文でも、どちら

も知っている現象・事実について質問したり応

たりするときは「が→は」へ変化します。

例題4<解説>

疑問詞の位置と「が」と「は」

 疑問詞が述部にくれば「は」、主語部にくれば

「が」となりますが、これは音声面でも現れ、疑

問詞のある部分は文の重点部ですから高く強く

発話されます。

 「〜は」解説・説明文

 「〜が」事実・現象文

197

例題5

(1)

A :東京と ソウルと、どちら(1)

は/が) 寒いですか。

B :ソウルの 方(2)

は/が) 寒いです。 

(2)

A :新宿と 銀座と 渋谷と、どこ(1)

は/が) 一番 に

   やかですか。

B :新宿(2)

は/が) 一番 にぎやかです。

(3)

A :日に

本ほん

(1)

で/では) 一番 寒い 地ち

方ほう

(2)

は/が) どこ

   ですか。

B :一番 寒いの(3)

は/が) 北ほっかいどう

海道です。

(4)

A :英語(1)

は/が) 中国語より 難しいですか。

B :いいえ、英語(2)

は/が) 中国語ほど 難しくないと

   思います。漢字が ありませんから。

例題6

(1)

A :李さん(1)

は/が) アルバイトを して いますか。

李 :いいえ、クラスの ほとんど(2)

は/が) して いま

   が、私(3)

は/が) して いません。

(2)

A :君の お兄さん(1)

は/が) スキーの 国体選手だと

   聞いたけど、君も スキー(2)

は/が) 上手なの?

B :ううん、スケート(3)

は/が) できるけど、スキー

(4)

   /が) あまり 得意じゃないんだ。君は?

A :くやしいけど、スキー(5)

は/も) スケート(6)

は/も)

   できないんだ。 

例題6<解説>

対比・強調の「は」

 通常は「〜は〜が、(しかし)〜は〜」という

形を取ります。前件と逆の事柄を後件で述べる

のが特徴で、対比・強調の「は」と呼ばれています。

 すき焼きは好きですが、刺身は好きではあり

 ません。

 明日はいいですが、今日は都合が悪いです。

例題5<解説>

比較文の「は」と「が」

 比較文で現れる応答は、そのまま応答の形を

覚えておけば問題ありません。

 日本料理は中華料理よりおいしいですか。

 →はい、日本料理は中華料理よりおいしい

  です。

 →いいえ、日本料理は中華料理ほどおいしく

ないです/おいしくありません。

 日本料理と中華料理と、どちらがおいしい

 ですか。

 →中華料理の方がおいしいです。

  

 世界の料理の中で、何が一番おいしいですか。

 →中華料理が一番おいしいです。

198

例題7

(1)

A :君(1)

は/が) 川端康成(2)

は/が) 書いた 本を 

   んだ ことがある?

B :うん、「雪国」を 読んだ こと(3)

は/が) ある。

(2)

A :昨日 李君(1)

は/が) かわいい 女の 子と 腕を

   組んで 歩いて いるの(2)

は/を) 見たよ。

B :嘘だろ。 

(3)

A :お父さん(1)

は/が) おいくつですか。

B :父(2)

は/が) 私(3)

は/が) 三歳の とき、亡くな

   りました。 

(4)

A :父(1)

は/が) 病気なので、私(2)

は/が) 国に 帰

   ことに しました。

B :そうですか。残念です。

(5)

A :今日は お父さん(1)

は/が) いらっしゃらないんで

   すか。

B :ええ、父(2)

は/が) 休みに なると、いつも 釣り

   に 行くんです。

(6)

B :李さん、ようこそ。

A :あのう、先生(1)

は/が) ご在宅ですか。

B :あいにく 主人(2)

は/が) 出かけて いますが、

   間もなく 戻って くると 思います。

A :じゃ、私(3)

は/が) 先に 用事を 終わらせてから、

   もう 一度 伺いますので、・・・。

B :そうですか。じゃ、主人(4)

は/が) 戻りましたら、

   そう 伝えて おきます。

例題7<解説>

複文の中の「は」と「が」

① 従属句中の主語はいつも「Bが」

 文中に従属句(連体修飾句や連用修飾句<時・

理由・条件>)を含む文を複文といいますが、

②③の例外を除いて、「AはBが〜」のように大

きい主語は「は」、小さい主語は「が」となるの

が普通です。「従属句の主語B=が」となると覚

えればいいでしょう。

② AB同一主語の場合は「Bが」を省略

 同一主語文の時は小さい主語Bが省略される

ことが多いでしょう。

  私は最近忙しくて、(私が)新聞を読む時間

もない。

③ 未知の事実を伝える「Aが Bが〜」

 「誰がどうしたのか」など相手が知らない事実

を最初に伝える場合は、主文の主語が「が」に

ります。ただし、相手が知っていると思えば「は」

となりますから、状況によって変化します。

 最近、あなたは帰りが早いですねえ。

199

例題8

A :弟おとうと

さん(1)

は/が)、もう 大だいがく

学を 卒そつぎょう

業したの?

B :うん、弟(2)

は/が) 卒業して、今いま

、アメリカ(3)

に/

   は) 留学してるよ。

A :アメリカ(4)

には/に)、何なんねん

年ぐらい いる 予よ

定てい

B :予定(5)

は/が) 二年だけど、弟(6)

から/からは) 

   日 手て

紙がみ

(7)

は/が) あって、 「僕(8)

は/が) こち

   で 就しゅうしょく

職したいと 思って いるから、もっと い

   ことに なるかも しれない」と 言ってたなあ。 

A :就職先(9)

は/が) 見つかると いいわねえ。

B :うん、弟(10)

は/が) むこうに いる 間あいだ

に、アメリ

   (11)

へ/へは) 遊びに 行こうと 思おも

ってるんだ。

例題9

(1)

A :中国と 日本を 比べたとき、どんな 生活習慣の

   違い(1)

は/が) ありますか。

B :そうですね。例えば、中国人(2)

は/が) 調理した魚

(3)

   /を)食べますが、生の魚(4)

は/を) あまり 食べ

ま   せん。また、中国(5)

で/では) 車(6)

は/が) 道

の    右側を 走りますが、日本(7)

で/では) 左側を

 走り   ます。

(2)

李 :木村さん(1)

は/が) 英語(2)

は/が) 話せますか。

木村:いいえ、読める こと(3)

は/が) 読めるんですが、

   話すの(4)

は/が) 苦手です。

李 :それでは これからの 時代(5)

は/が) 困るんじゃ

   ないですか。

例題8<解説>

「は」それとも「が」

 例題8で問題となる箇所を取り上げます。

 まず、3)ですが、「アメリカに留学している

ということは、当然初めて話すことですから、

未知情報です。しかし、4)の「アメリカ」は

既知情報に変わります。

 6)7)はAに初めて話すことですから、未

知情報です。つまり、未知かどうかは文全体の

内容に関係します。

 なお、9)自動詞文ですが、同時に条件句(「〜

と」)中の主語ですから「が」となります。

 同様に、10)は時を表す句(「〜間)」の主語

ですから、「が」となります。

例題9<解説>

対比・強調の「は」

 対比・強調文は「〜は〜が、〜は〜」が基本

型ですが、いろいろな変化があります。例えば、

次のような例です。

 彼の能力は認めるが、性格が好きになれない。

 また、この「は」は動詞や形容詞の強調形も

作ります。この「〜ことは〜が、(しかし)〜」

の形は、よく使われる中級文型なので覚えてお

きましょう。

 美しいことは美しいが、しかし〜

 できることはできるが、しかし〜

 知らないことはないが、しかし〜

 さ対比・強調の「〜は〜が、〜は〜」文では「は」

の箇所に強勢のイントネーションが現れれ、「は」

を強く高発話されます。

 今日 は 駄目だが、明日 は いい。

200

例題 10 

A :大たいへん

変なんだ。手て

を 貸か

して くれ。

B :どうしたの? 

A :田た

中なか

さん(1)

は/が) 急きゅう

に おなか(2)

は/が) 痛いた

   言い

い出だ

して。

B :それで 田中さん(3)

は/が) 今いま

 どこに いるの?

A :田中さん(4)

は/が) 今、保ほけんしつ

健室で 横よこ

に なって

   いるけど、大変な 苦くる

しみようなんだ。

B :もしかしたら、盲もうちょうえん

腸炎かも しれないから、救きゅうきゅうしゃ

急車

   を 呼よ

んだ 方ほう

(5)

は/が) いいわ。

A :わかった。じゃ、 僕ぼく

(6)

は/が) 電でん

話わ

するから、

   君(7)

は/が) すぐ 保健室に 行い

って くれ。

例題 11

A :昨日の 地震(1)

は/が) 怖かったですね。

B :ええ、私(2)

は/が) 寮に いましたが、 本棚の 

物   (3)

は/が) 落ちて きたり、 家(4)

は/が) ぐら

ぐら   揺れたり、あんな 怖い 経験を したの(5)

/が)、   生まれて 初めてでした。 

A :先生(6)

は/が) どうしましたか。

先生:はっはっは、私(7)

は/が) 日本人ですから、地震

(8)

   /には) 慣れて います。あなたの 国(9)

で/では)

   地震(10)

は/が) ありませんか。

A :いいえ、ありますが、あんなに 大きい 地震(11)

   を) まだ 知りません。

例題 11 <解説>

事実を伝える「が」 

説明する「は」

 この会話の「昨日の地震」は共通体験であり、

文中になくても既知情報です。ここではポイン

トだけを記しておきます。

1)既知、どちらも体験している

2)「私」と「あなた」は会話では既知

3)未知、自動詞

4)未知、自動詞

5)「〜のは〜だ」文

8)既知、後件に疑問詞

7)「〜から」理由文だが、同一主語文

8)既知、説明する

9)既知、否定文では「は」が表れる

10)既知、説明を求める

11)既知、否定の答えには「は」が表れる

例題 10 <解説>

新事態を知らせる「が」

 緊急事態が発生したときの会話です。

1)未知、相手に新事態を知らせる

2)形容詞文

5)「〜方がいい」は慣用文型

6)「〜から」理由句中の主語

7)「〜から」理由文の全体の主語

 「田中さんが急にお腹が痛いと言い出して」と

いう相手に未知の情報を知らせるときの「〜が」

に注目してください。相手に新事態の発生を伝

えるときは、必ず「〜が」です。

201

例題 12 

A :あのう、人じん

事じ

課か

の 木き

村むら

さんに お会あ

いしたいんで

   が・・・。

受うけつけ

付:失礼ですが、どちら様でしょうか。

A :私(1)

は/が) 木村さんに 保証人を して いただ

   いて いる 李と 申します。

受うけつけ

付:あいにく、木村(2)

は/が) ただ 今いま

 会かいぎ

議中ちゅう

ですが、

   何なに

か 急きゅうよう

用で ございましょうか。

A :いえ、急用という ほどの ことでは ないんです

   が、少し ご相そうだん

談したい こと(3)

は/が) ございま

   して。それで、会議(4)

は/が) 何なん

時じ

(5)

に/には) 

   終お

わるでしょうか。

受付:会議(6)

は/が) 五時(7)

に/には) 終わると 思おも

   すが、何か 伝でんごん

言(8)

は/が) おありでしたら、お伝

   えして おきますが・・・。

A :では、李(9)

は/が) 来き

たと お伝つた

えください。

受付:かしこまりました。

例題 13 

 先日 学生たちと いっしょに 河口湖に 一泊旅行に

行った。河口湖(1)

は/が) 富士山の ふもとに ある 湖

で、温泉と ブラックバス釣りで 有名だ。

 僕たち(2)

は/が) 泊まったの(3)

は/が) ○○ホテルだ。

学生たち(4)

は/が) 和風の 部屋に 泊まるのも 浴衣を

着るのも 初めてで、僕(5)

は/が) 学生たち(6)

は/が) 

浴衣に 着替えるのを 手伝って やらなければ ならな

かった。

 その ホテル(7)

は/には) 天然温泉の 露天風呂(8)

は/

が)あった。学生たち(9)

は/が) お風呂の 中でも 大

例題 12 <解説>

相手の立場に立った「は」と「が」

 難しい箇所に解説を入れておきます。

3)「〜に〜がある」文

5)疑問詞に「は」はつかない

7)解説部参照

8)条件を表す従属句中の主語

9)解説部参照

 7)は未知情報なので「に」でもいいのですが、

「〜には」を使うのが普通です。この「〜には」

は相手が期待・予想していると思う時刻と現実

の会議が終わる時刻を対比させた、極めて心理

的な対比・強調の表現になります。

 9)は受付嬢にとっては当然既知ですが、李君

が伝言を伝えたい木村さんにとっては未知の事

柄ですから、「が」となります。

 

例題 13 <解説>

「〜のは」「〜のを」文

 まず、「の」を含む文の基本形を覚えておきま

しょう。

 〜が〜のは〜だ

  李君が泳ぎに行ったのは伊豆の海です。

 〜が〜のが〜<自動詞>する

  李君が泳いでいるのが見えた。

 〜は〜が〜のを〜<他動詞>する

  私は李君が泳いでいるのを見た。

1)既知、説明

2)〜3)「〜が〜のは〜だ」文

5)〜6)「〜は〜が〜のを〜する」文

6)未知、読者の知らない事実

7)既知、説明

  

202

 昔々 ある 村( )、早く 両親( ) 亡くなって、 

ひとり( ) 暮らし ている 若者( ) いた。

 若者( ) さびしい 毎日( )奉公に 励んで、貯め

た お金( ) 小さな 水田( ) 買った。人一倍 よく

 働く 若者( )、心を こめて 水田の 世話を して、

 秋( )は みごとな 稲( ) 水田一面( ) 実らせた。

 黄金色( ) 稲( ) 穂( ) 重そうに 揺れて い

るの ( ) 眺めながら、若者( ) ふと 「稲( )こん

なに よく実ったのに、 私( ) 誰( ) 暮らしたら 

よいだろう」( )、 独り言( ) 言った。よそ( ) 家( )

 奉公ばかり して きた 若者( )、 嫁( ) もらえな

いまま 暮らして いたのである。

 すると、 どこから ともなく、 女( ) きれいな 声

( ) 聞こえて きた。

 「私( ) 一緒に 暮らすのよ」

 若者( ) 驚いて あたり( ) 見回した。 しかし、

どこ( )も 人( ) 姿( ) 見えない。 若者( )

 試しに もう 一度 言って みた。

 「誰( ) 暮らしたら いいのかい?」

 「私( ) 一緒に 暮らすのよ」

 それでも 誰だ( ) わからない。

 「誰( )だい?」

 「私( )よ」

最短距離の助詞のマスター法

 助詞を入れながら、「たにしの女房」が読めま

したか。教室で習った文章をこのようにして使

えばいいのです。特別な問題集は必要ありませ

ん。そして、この方法が一番確実に早く日本語

の助詞をマスターする方法です。

本     文

 昔々 ある 村に、 早く 両親が 亡くなっ

て、 ひとりで 暮らしている 若者が いた。

 若者は さびしい 毎日を 奉公に 励んで、

 貯めた お金で 小さな 水田を 買った。

 人一倍 よく 働く 若者は、 心を こめて

 水田の 世話を して、

秋には みごとな 稲を 水田一面に 実らせ

た。 黄金色の 稲の 穂が 重そうに 揺れ

て いるのを 眺めながら、 若者は ふと 

「稲は

こんなに よく実ったのに、 私は 誰と 暮ら

したら よいだろう」と、独り言を 言った。

 よその 家で 奉公ばかり して きた 若

者は、嫁を もらえないまま 暮らして いた

のである。

 すると、 どこから ともなく、 女の きれ

いな 声が 聞こえて きた。

 「私と 一緒に 暮らすのよ」

 若者は 驚いて あたりを 見回した。 し

かし、 どこにも 人の

姿が 見えない。 若者は 試しに もう 一

度 言って みた。

 「誰と 暮らしたら いいのかい?」

 「私と 一緒に 暮らすのよ」

 それでも 誰だか わからない。

 「誰とだい?」

 「私とよ」

3、助詞総合

「たにしの女房」(金素雲訳)よりー 

(格助詞を取り上げました。助詞を入れて音読してください)

203

 何度 くり返しても、 やはり 同じ 返事( ) 返っ

くるので、声( ) 聞こえる あたり( ) 目を 皿の

 ように して 探して みると、そこ( )は 一匹の

 たにし( ) いた。

 「これ( ) おかしいぞ」

 若者は 不思議な 気が して、 その たにし( ) 

家( ) 持って 帰り、水がめ( ) 底( ) 入れて 

おいた。

 明くる日( ) 夕方、 若者( ) 仕事( ) 終えて

 帰ると、 今( )( ) 見た こともない ごちそう( )

 お膳( ) 一杯 おいて

あった。 若者( ) 首を 傾げながらも、 それ( ) 

おいしく 食べた。 次の 日( ) 次の 日( )、 疲

れて 帰って くる 若者( )、 すばらしい ごちそう

( ) 待って いた。

 「誰( ) こんな こと( ) して くれるのだろう?」

 どうしても 知りたくなった 若者( )、 ある日、 仕

事( ) 行くふりをして、 隠れて 様子( ) うかがっ

て いた。 すると、水がめ( )( ) たにし( ) 出

て きたかと 思うと、 瞬く 間に きれいな 娘( )

 なって、 ご飯( ) 炊き始めた。 それ( )見た 

若者( ) 辛抱できずに かけよって 頼んだ。

 「私( ) 一緒に 暮らしましょう」

 何度 くり返しても、 やはり 同じ 返事が

 返って くるので、

声が 聞こえる あたりを 目を 皿の よう

にして 探して みると、そこには 一匹の 

たにしが いた。

 「これは おかしいぞ」

 若者は 不思議な 気が して、 その たに

しを 家に 持って 帰り、 水がめの 底に 

入れて おいた。

 明くる日の 夕方、 若者が 仕事を 終えて

 帰ると、 今まで 見た

こともない ごちそうが お膳に 一杯 おい

て あった。 若者は 首を 傾げながらも、 

それを おいしく 食べた。 次の 日も 次

の 日も、 疲れて 帰って くる 若者を、 

すばらしい ごちそうが 待って いた。

 「誰が こんな ことを して くれるのだろ

う?」

 どうしても 知りたくなった 若者は、 ある

日、 仕事に 行くふりをして、 隠れて 様子

を うかがって いた。 すると、水がめから

 たにしが) 出て きたかと 思うと、 瞬く

 間に きれいな 娘に なって、 ご飯を 炊

き始めた。 それを 見た 若者は 辛抱でき

ずに かけよって 頼んだ。

 「私と 一緒に 暮らしましょう」

 そして、 二人は 幸せに 暮らしたという。

275

解 答 編

Ⅰ部  日本語基礎文型運用練習

 1. 丁寧体と普通体の表現

例題1〜9  略

例題 10  

(1) 1)会わ 2)会わ 3)会わ 4)会って

   5)会って 6)会って 7)会って

   8)会った

(2) 1)話さな 2)話さな 3)話さな

   4)話して 5)話して 6)話して

   7)話して 8)話した

(2) 1)かけ 2)かけて 3)かけ

   4)かけた 5)かけ 6)かけて

   7)かけて 8)かけて

 

 2. 「こ・そ・あ・ど」の表現

例題1 (1) なん (2) a: ② b: ②

例題2 (1) どれ (2) a: ② b: ④ c: ①

例題3 (1) どの (2) a: ② b: ④

例題4 (1) いつ

    (2) a: ② b: ④ c: ② d: ①

例題5 (1) 何  (2) a: ① b: ③ c: ② 

例題6 (1) どこ (2) a: ① b: ② 

例題7 (1) 1) か 2) 誰にも 

    (2) a: ② b: ③ c: ③ 

例題8 (1) 1) こちら 2) どう 

    (2) a: ② b: ④ 

例題9 (1) 1) そんなに 2) そんな 

    (2) a: ① b: ③ 

例題 10 (1) どう  

    (2) a: ② b: ① c: ④  (3) d: ①

 3. 勧誘と申し出の表現

例題1〜2  略

例題3 (1) 1) ううん 2) うん 

    (2) A: ② B: ② C: ①

例題4 (1) 1) を 2) でも  (2) A: ④ B: ③

    (3) C: ② D: ①     

 

例題5 (1) ③  (2) ③

例題6 (1) ①  (2) ② 

例題7 (1) 行こう  (2) ④

例題8 (1) ②  (2) ②

 4. 依頼と許可の表現

例題1〜3  略

例題4 (1) ④  (2) ③ 

例題5 (1) ④  (2) ④  (3) ③

例題6 (1) ④  (2) ⑤

例題7 (1) ④  (2) ①

 5. 義務と勧告の表現

例題1〜2  略

例題3 (1) A: ③ B: ④  (2) ④ 

例題4 (1) ①  (2) ②    

例題5 (1) ①  (2) ②

例題6 (1) 1)あった 2)でなければ

       3)でなくても 

    (2) A: ② B: ④ (3) ④

 6. 形容詞と比較の表現

例題1〜3  略

例題4 (1) a: ② b: ③  (2) ② 

例題5 (1) 1)どちら 2)どの

    (2) a: ④ b: ③ c: ②    

例題6 (1) で  (2) ④ (3) ④

例題7 (1) むしろ  (2) a: ② b: ① c: ④

    (3) A: ④ B: ③

 7. 希望と感情の表現

例題1〜2  略

例題3 (1) 1)が 2)も  (2) A: ① B: ③

例題4 (1) ④  (2) ①  (3) ②    

例題5 (1) ①  (2) ④<△②>

例題6 (1) ④  (2) A: ④ B: ②

例題7 (1) ②  (2) A: ④ B: ①

例題7 (1) ④  (2) ③  (3) ④

276

 8. 意向と試みの表現

例題1〜2  略

例題3 (1) 思います  (2) A: ① B: ③

    (3) ④

例題4 (1) ③<「するつもりな」なら可)

    (2) ③   

例題5 (1) ②  (2) B: ② C: ③

例題6 (1) 1)おこう 2)思っている

    (2) ③

例題7 (1) ④  (2) ④

例題8 (1) ④  (2) ④

 9. 可能と難易の表現

例題1〜3  略

例題4 (1) ③  (2) a: ① b: ③

例題5 (1) ③  (2) A: ④ B: ② 

例題6 (1) a: ③ b: ④  (2) ③

例題7 (1) a: ④ b: ④  (2) ④ 

例題8 (1) ①  (2) ④

例題9 (1) ②  (2) ④  (3) ④ 

 10. 推量や断定、婉曲の表現

例題1〜2  略

例題3 (1) ②  (2) ①

例題4 (1) 1)した 2)あった  

    (2) a: ② b: ④

例題5 (1) こんでいる  

    (2) a: ③ b: ② c: ③ d: ②

例題6 (1) ①  (2) a: ② b: ③

    (2) c: ③ d: ② 

例題7 (1) ④  (2) a: ① b: ③

例題8 (1) ④  (2) b: ② c: ① d: ③

 11. 経験と例示の表現

例題1〜3  略

例題4 (1) A: ① B: ④  (2) ①

例題5 (1) a: ② b: ④  (2) ②

例題6 (1) a: ③ b: ③  (2) ③

例題7 (1) 1)やら 2)やら 3)とか

       4)とか

    (2) ④ 

 12. 引用と伝言の表現

例題1〜3  略

例題4 (1) 1)か 2)かどうか  (2) ④

例題5 (1) ①  (2) ② 

例題6 (1) 1)言ってた 2)か 

       3)言ってた 4)聞いていない

    (2) ③

例題7 (1) ④  (2) ③ 

 13. 自動詞と他動詞の表現

例題1〜2  略

例題3 (1) 落ち着いて  (2) A: ④ B: ③

例題4 (1) 1)遅れる 2)遅れて 

       3)集まって 4)遅らす  

    (2) A: ③ B: ② 

例題5 (1) 1)が 2)を 3)なる  

    (2) ①  (3) ②  

例題6 (1) 1)を 2)が 3)が

    (2) ①  (3) B: ③ C: ④ 

例題7 (1) 1)を 2)が (2) A: ② B: ④

例題8 (1) 1)が 2)が 3)を

    (2) B: ② B: ③ C: ①

 14. 「する」と「なる」の表現

例題1〜3  略

例題4 (1) 1)なる 2)なる 

       3)する 4)なる

    (2) 1)して 2)なって 3)なって

    (3) 1)して 2)したら 

       3)なって 4)なったら

    (4) 1)なった 2)しない  3)なる

例題5 1)ことになりました 2)ことにしない

    3)ようにします 4)ようにならない 

    5)します

例題6 (1) 1)なります 2)話せる

       3)できる

    (2) ④  B: ④

例題7 (1) 1)する 2)なり

    (2) ①  (2) ③ 

例題8 (1) 1)乗れない 2)参加する

    (2) A: ④ B: ③ C: ② D: ①

例題9 (1) A: ① C: ④  (2) ④ 

277

 15. 「〜ている」の表現

例題1〜4  略

例題5 (1) が  (2) A: ④ B: ②

例題6 (1) ③  (2) ④  (3) ③ 

例題7 (1) A: ③ B: ④  (2) ③

    (3) ③  (4) ①  (5) ③   

 16. 「〜てある」と「〜ておく」の表現

例題1〜2  略

例題3 (1) 1)おきました 2)あります

       3)おきます  (2) ②

例題4 (1) ③  (2) ④  (3) ④ 

例題5 (1) A: ③ B: ④  (2) 

例題6 (1) A: ③ D: ④  (2) ③ (3) ②

例題7 (1) a: ④ b: ④ c: ① d: ③  (2)

例題8 (1) ③  (2) A: ③ B: ④ C: ① 

 17. 連体修飾の表現

例題1〜3  略

例題4 (1) 1)が 2)が 3)が 4)を

    (2) a: ① b: ①

例題5 (1) 1)が 2)が 3)が 4)は  

    (2) a: ① b: ① c: ① 

例題6 (1) 1)が 2)を 3)が 4)が  

    (2) a: ① b: ①  

例題7 (1) 1)が 2)が 3)は 

    (2) a: ① b: ② c: ① d: ② e: ④

 

 18. 時の表現

例題1〜3  略

例題4 (1) 1)までに 2)まで 3)まで 

       4)までに 5)までに 

    (2) 1)間に 2)間 3)間 

       4)間に 5)間は

    (3) 1)うちに 2)うちは 3)うちは

       4)うちに 5)うちに  

例題5 (1) ①  (2) ③ 

例題6 (1) a: ② b: ④  (2) ②  (3) ①

例題7 (1) 行っている 

例題8 (1) 1)とき 2)うちに

    (2) ④  (3) ③  

例題9 (1) 1)から  2)うち

       3)まで  4) うちに  

    (2) ②  (3) ②

例題 10 (1) 1)うちに  2)あいだに

       3)うちは    

    (2) ④

 19. アスペクトの表現

例題1〜4  略

例題5 (1) 来た  (2) a: ③ b: ②

例題6 (1) 1)まだ 2)もう  

    (2) a: ④ b: ③ 

例題7 (1) a: ③ b: ①  (2) ①  

例題8 (1) a: ② b: ④  (2) ④

例題9 (1) a: ③ b: ④  (2) ②  

例題 10 (1) うっかり  (2) a: ④ b: ②  

 

 20. 原因と理由の表現

例題1〜2  略

例題3 (1) 引いて (2) だから (3) から 

    (4) いるから (5) 近いので

    (6) お会いできて (7) いただいて

    (8) で 

    (9) 1) 難しいですから 2)難しくて

    (10) 1) 遅いから 2) かけて

例題4 (1) のに  (2) ③  (3) ① 

例題5 (1) 1)んだから  2)で  (2) ③

例題6 (1) 1)んだったら  2)けど

       3) んだから

    (2) ② (3) ①

例題7 (1) 1)あったから  2)なのに

       3)ないから   

    (2) ①

例題8 (1) 1)しなくて  2)しないで

    (2) ② 

例題9 (1) 1)入らないで  2)取らないで

       3)取れなくて   

    (2) ③

例題 10 (1) a: ③ b: ④  (2) ④  

278

 21. 目的の表現

例題1〜3  略

例題4 (1) に  (2) 1) のために 2) に

    (3) 1) に 2) ために 3) ように   

     (4) 1) ように 2) ために 3) ように

 

    (5) 1) には 2) のに 3) には

例題5 (1) ように  (2) ③ 

例題6 (1) 1)ために 2)ように

       3)には 4)に  

    (2) ②  (3) ③  

 22. 条件の表現

例題1〜3  略

例題4 (1) A: ③  B: ① 

    (2) A: ②  B: ④  

    (3) A: ③  B: ④

    (4) A: ①  B: ③ 

例題5 1. (1) もし (2) ③ 

    2. (1) たとえ  (2)④  

    3. (1) ×  (2)②  (3)③

例題6 (1) 1) なって 2) 後悔しても

    (2) ①   (3) ③

例題7 (1) 1) × 2) いくら 2) よくても  

    (2) ③   (3) ④  

例題8 (1) ④  (2) ③  (3) ④

例題9 (1) ④  (2) ④  

 23. 「ようだ・そうだ・らしい」の表現

例題1〜2  略

例題3 (1) A: ②  B: ①  C: ① 

    (2) A: ②  B: ④  

    (3) A: ①  B: ③

    (4) A: ②  B: ①  C: ①  D: ② 

例題4 (1) ①  (2) ④ 

例題5 (1) A: ②  B: ③

    (2) ④   (3) ②

例題6 (1) ③  (2) ③   (3) ④  

 24. 受身の表現

例題1〜2  略

例題3 1. (1) 1)に 2)が 3)は 

      (2) 誰かが私たちをつけている。

    2. (1) 1)に 2)を 3)が 

      (2) 先生が私にこの資料のコピーを

        頼んだ。

    3. (1) に  (2) 雨が降って

例題4 (1) 1)を 2)に 3)を

    (2) ②  

    (3) 痴漢が私のお尻を触ったり

例題5 (1) 1)によって 2)によって  

    (2) コロンブスがアメリカ大陸を発見

      した。

    (3) ②

例題6 1. (1) 1)で 2)から 

      (2) プラスチックで作った箸

    2. (1) 1)から

      (2) 国は○○さんに奨学金を支給す

        る

    3. (1) 1)に 2)に 

      (2) A: ③  B: ①

 25. 使役と使役受身の表現

例題1〜2  略

例題3 1. (1) 1)に 2)を   (2) ③

    2. (1) 1)を  (2) ③

    3. (1) に 2)を   (2) ③

例題4 (1) 1)に 2)を

    (2) A: ③  B: ③  (3) ④

例題5 (1) 1)に 2)に  

    (2) ④   (3) ③

例題6 (1) 1)に 2)を  

    (2) ④   (3)  B: ①  C: ③

例題7 (1) ②  (2) ④  (3)  ④

279

 26. 授受の表現

例題1〜2  略

例題3 (1) 1)に 2)が   (2) ③

例題4 (1) 1)が 2)に 3)に

    (2) ③  (3) ①

例題5 (1) から  (2) ④  (3) ②

例題6 (1) 1)のために 2)に  

    (2) ③  (3) ④  (4) ①

例題7 (1) 1)に 2)に  

    (2) ④  (3) ④

例題8 (1) A: ②  B: ④  (2) ① 

 

 27. 敬語と丁寧語の表現

例題1      略

例題1 

 2の 1)  略

 2の 2)

 (1) いらっしゃいますか/おいでになりますか

    まいります/うかがいます

 (2) めしあがりますか

    いただきます

 (3) いらっしゃいますか

    おります

 (4) めしあがりますか

    いただきます

 (5) ご覧になりますか

    拝見します

 (6) ご存じですか

    存じ上げています

 (7) おっしゃいますか

    申します

 (8) なさいますか

    いたします

例題3 1. ①お ①お 

      1)おっしゃいます 2)申します

      3)どちら

    2. ①お ①ご ②お ③お

      1)おかけしております

      2)おります  3)かかる

    3. ①ご ②お ③お ④お 

      ⑤お ⑥お

      1)なさいます  2)ございます

      3)になりましたら  4)はい

      5)ただ今  6)いたします

      7)はい  8)いかが

      9)なさいます 

      10)かしこまりました

      11)では  12)少々

例題4 (1) ④  (2) ③  (3) ③

例題5 (1) 1)×  2)でございます

      3)至急  4)したい

      5) ございまして 

    (2) ②  (3) ①

例題6 (1) 1)する  2)奥様

      3)でした  4)おります 

    (2) ②

例題7 (1) ④  (2) ③  (3) ②

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例題3 (1) 1)が 2)は 

(2) 1)が 2)は 3)は 4)は 

    (3) 1)は 2)が 3)が

例題4 (1) 1)は 2)は 3)が 

(2) 1)は 2)は 3)が 

    (3) 1)は 2)が 3)は

例題5 (1) 1)が 2)が 

(2) 1)が 2)が 

    (3) 1)で 2)は 3)は

    (4) 1)は 2)は 

例題6 (1) 1)は 2)は 3)は 

(2) 1)は 2)が 3)は 4)は

       5)も 6)も

例題7 (1) 1)は 2)が 3)が

(2) 1)が 2)を

    (3) 1)は 2)は 3)が

    (4) 1)が 2)は

    (5) 1)は 2)は

    (6) 1)は 2)は 3)は 4)が

例題8 1)は 2)は 3)に 4)には 5)は

    6) から 7) が 8) は 9) が 10) が 

11) へ

例題9 (1) 1)が 2)は 3)は 4)は

       5)では 6) は 7) では

    (2) 1)は 2)が 3)は 4)は

       5)は 6)が

例題 10 1)が 2)が 3)は 4)は 5)が

    6) が 7) は

例題 11 1)は 2)は 3)が 4)が 5)は

    6) は 7) は 8) には 9) では 10) は

    11) は

例題 12 1)は 2)は 3)が 4)は 5)に

    6) は 7) には 8) が 9) が

例題 13 1)は 2)が 3)は 4)は 5)は

    6) が 7) には 8) が 9) は

3.助詞総合 ー原文参照ー

Ⅱ部 「てにをは」の表現

1.格助詞の使い方

例題1 (1) ① か ② に ③ が ④ や

      ⑤ や ⑥ が

(2) ① か ② も

    (3) ① に ② が

    (4) ① で ② で ③ に 

    (5) ① で ② が ③ に ④ が

例題2 (1) ① に ② に 

(2) ① に ② に

    (3) ① で ② で ③ ×

    (4) ① に ② で

    (5) ① に ② で

    (6) ① か ② で

    (7) ① に ② か ③ に ④ ×

例題3 (1) ① を ② に ③ を ④ に ⑤に

    (2) ① に ② を ③ に ④ を

      ⑤ へ/に ⑥ を ⑦ に

(3)① に ② で ③ に ④ を

⑤ に ⑥ で ⑦ を ⑧ に

例題4 (1)① と ② と ③ と ④ と ⑤ と

(2)① か ② か ③ か

    (3)① と ② か ③ か

    (4)① と ② と

    (5)① か ② か ③ と

例題5 (1)① が ② が

(2)① に ② が ③ に

    (3)① に ② に ③ に ④ に

    (4)① を ② に ③ に

    (5)① を ② に ③ に ④ に ⑤ を

例題6   略ー小見出しの助詞が解答ー

2.「は」と「が」

例題1 (1) 1)が 2)には 3)が 4)が

       5) が 6)は 7)が 8)は

       9)が/は 10) が 11) は 12) が

例題2 (1) 1)が 2)は 

(2) 1)は 2)は 3)には 

    (3) 1)は 2)が 3)で

       4)は 5)で 6)では

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