title 間脳にlaminariaを挿入せられたる雄家鶏雛の性発育 日...
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Title 間脳にLaminariaを挿入せられたる雄家鶏雛の性発育
Author(s) 田中, 実
Citation 日本外科宝函 (1959), 28(8): 3097-3120
Issue Date 1959-09-01
URL http://hdl.handle.net/2433/207000
Right
Type Departmental Bulletin Paper
Textversion publisher
Kyoto University
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3097
間脳に Laminariaを挿入せられたる雄家鶏雛の性発育
京都大学医学部外科学教室第 1講座（指導：荒木千里教授）
田 中 実
〔原稿受付昭和34年 7月30日コ
THE SEXUAL DEVELOPMENT OF MALE CHICKENS WITH A PIECE OF LAMINARIA INSERTED IN THE DIENCEPHALON
by
MINORU TANAKA
From the !st Surgical Division, Kyoto University Medical School (Director: Prof. Dr. CmsA1"0 ARAKI)
Since precocious puberty sometimes occurs in association with tumors in the
diencephalon, I studied, in the present experiments, how the sexual development was
influenced upon b;>" the pressure or injury to the hypothalamus which was inflicted
by a piece of laminar恒 insertedin the diencephalon.
49 young male chickens of white leghorns, 1 2 months after birth and 200-600
grams in body weight, were used. In 35 cases out of 49, craniectomy was made
not to damage the sagittal as well as transverse sinuses and then a small piece of laminar恒， ahalf同 grainto a grain of rice in size, was inserted into various parts of
the brain through the dura mater.
After the operations, the general state of the health, especially the somatosexual
development of the chickens was observed, the body weight and the size of comb being measured at least once every month, until they were killed about 152 -218
days after birth.
As the criteria for the sexual and somatic maturity, the body weight, the size of comb, and the weight of the testicles were taken into consideration. Serial
sections were made in the brain and the location and the extent of the damage by
a piece of laminar旬 weredetermined exactly.
The results obtained were as follows : Among 35 cases operated upon, 3 cases presented an acceleration of the sexual
development, 20 no appreciable change, and 12 a retardation. However, there was
no伺 sein which an acceleration of both bodilyア andsexual development was noted.
1) In 3 cases in which an acceleration of the sexual development was noted,
a pretty large piece of laminaria had been inserted rather deep in the region from
the anterior commissure to the caudal part of the foramen of MoNRO near (but not into) the dorsal wall of the third ventricle. The hypothalamus beneath the piece of
laminaria had not been directly damaged but compressed and distorted. These facts
seem to show that an acceleration of the sexual development might result from
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3098 日本外科宝函第28巻第8号
indirect pressure to the dorsal part of the hypothalamus.
2) All of the six cases in which a piece of laminaria had been inserted into
the pineal region, showed a disturbance of the somatosexual development. In all these
cases, the ependyma of the third ventricle and nuclei surrounding the dorsal part
of the third ventricle, such as the nucleus habenularis, nucleus dorsolateralis and
nucleus dorsomedialis etc., had been destroyed. Also in 4 cases out of 5 in which a
piece of laminaria had been inserted into the dorsal part of the third ventricle near
the foramen of :.Immo, a retardation of the sexual development was found.
From these results, it may be considered that the so-called center of the sexual
development is also located in the dorsal part of the hypothalamus or is extended
from the ventral part to the dorsal part of the h：γpothalamus. Since it is generally accepted that the so-called sexual center is located in the ventral part of the third
ventricle, we may call the dorsal part of the hypothalamus as the secondary center
of the sexual development.
3) In 17 cases in which a piece of laminaria had been inserted rather shallow
into the striatum without accom1淵n~·ing the passage disturbance of the sinuses, no
appreciable growth anomaly was found. Also in another 3 cases, in which a piece
of laminaria had been inserted into the nucleus dorsolateralis anterior, anterior half
of the foramen of MoNRo and into the cerebellum respectively, there was no appre-
ciable change in the somatosexual development.
4) From the above-mentioned results, it may be considered that precocious
pubc1勺’ wouldoccur in the state in which the function of the primary as well前
回comlar~· sexual centers remained intact and the latter was intermittently stimulated for a long time.
I 緒 ち主TEコ
人の桧果休腫揚が時に Pubertaspraecoxを来た
す事は古く（1896年 Gutzeit）より注目されたがp そ
の後p 松果体腫疹の他に間脳部或いは下重体部に原発
した麗蕩でも Pubertaspraecoxを来たすものがあ
りp さらに脳水麗の圧迫で第3脳室底の萎縮を来たし
たもの噌眠性脳炎で間脳のおかされたものP 結核性脳
膜炎や第3脳室壁の増殖性上衣炎等によっても身体生
殖器早熟をすそす例が報告されP 又松果体腫疹でも Pu-bertas praecoxを来たすのはその一部でp 崎形腫が
多く pそれも鶏卵大位の大きさのものが多いともいう．
之等の事実より Pubertaspraecoxの発現にはp
荒木が指摘しているように比較的健在する問脳の性中
枢を慢性に刺戟するような状態を来たす事が必要なの
ではないかと推定される．
との事を実験的に確めるためにはp 間脳や松果休の
破嬢p 易U出やp 一時的な電気刺戟などでは目的が達せ
られない．
そこで 1つの試みとして私は家鶏雛の間脳に比較的
大きな Laminariaを視床下部近くまで挿入しP 視床
下；＇＇，＇，~＇こ持続的刺戟の意味で慢性的圧迫を加え，長期間
飼育した．その結果，確実な性早熟例を得ることは出
来なかったが，ただ対照例にくらべP 身体発育には特
に変化はないがp 性発育促進を来たしたらしく恩われ
るもの 3例を得た．
その他p 拝I入部位により対照とあまり性発育に変化
のないもの20例，性発育の障害されたもの12例である
以下p 実験方法及び実験成績の詳細について述べる．
2 実験材料及び実験方法
a) 実験材料
鶏冠の発育p 鶏H烏等第2次性徴のわかり易い雄家鶏
を用いた.f Wち白色レグホンの雄雛でp 同じ日に卿｛じ
したのを， 1ヵ月（付、重200g前後）乃至2ヵ月半（体
重500乃至600g）飼育した後，手術を行いp 同一鶏舎
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間脳に Laminariaを挿入せられたる雄家鶏雛の性発育 3099
内の Batterybrooderに分割して飼育しp 婚化後5
ヵ月乃至8ヵ月観察した．
b) 実験方法
実験方法は鶏の頭部を固定p 除毛しP 頭部皮膚の正
中切開を行ないp 頭蓋骨を透して見える矢状静脈洞及
び横静脈洞をさけてp 頭蓋骨を 0.5～0.8crn直径切除p
関頭いついで硬膜を 0.2～0.3crn切開すると p 脳脊髄
液が流出してくる．ここを通して小型のピンセットで
脳組織内に半米粒大から米粒大のラミナリヤを挿入す
る．
一般に手術時わ出血は少い．手術後2乃至4日迄に
或るものは死亡したり，異常；；強告［体位をとるものも
1～2羽あるがp こσ：時期を過ぎたものは活発に餌をついばみP 対照鶏に較べて外見p 動作上の差異を認め
難い．
対照鶏は頭蓋骨切除p 硬膜切開を行い，そのまま皮
皐丸
j脅縫合を行なった．
Cl 身体生猶器発育判定
白色レゲホンは 6ヵ月位で成鶏に達するのでP 成鶏
になった頃か，或いはその少し前p JWち帰化後 152日
乃至218日目に殺し，休重p 鶏冠，皐丸重量（両側の
和）の測定を行なった．なおP 飼育中にも約 1ヵ月こ
とに体重，鶏冠の測定を行ないp 鶏冠の大さの推移と
皐丸重量とを院み合せて性発育の促進叉は障害を大雑
把に判定した．
d) 組織学的検査
屠殺後，脳を20%ホルマリンで固定，ラミナリヤの
収縮を防ぎ，さらにアルコール固定p ツェロイジンに
包埋し＇ 30μの連続切片としてP er噛 ylvioletによる
Niss！染色を行ないp ラミナリヤによる損傷p 圧迫の
範顕を決定した．
3 実験結果
実験第 1 君羊
実験は 1群に分けて行ないp 第 1群は第 l表のよう
に12月30日解化p 2月23日手術p 7月24日に殺した群
でp 第 1表及び図 I（皐丸）のように体重は特に大き
いとはいえないが，明かに性発育促進と認められるも
の l例（No.I)，対照鶏と大差ないもの 2例（恥2,Nり
3），性発育障害を来したもの 4例「＂＼ o.6, No.7, No.8,
!¥c》9），対照2例である． 之等の鶏に於けるラミナリ
ヤの挿入部位の詳細を示せば次のようである．なお鳥
類脳諸核の命名は研究者により夫々p 異なり混乱があ
るので， Huber& Crosby或いは Kuhlen beckの命
¥o. 2 （変化なし） 名に従eった．
'¥u. 7 （障害） ？可o.I (I) （性発育促進例）
＼け.I (1）促進例
回2 （吻側） 図3 （尾側）
ラミナリヤの挿入部位を示す肉眼所見
-
ω】CC
回一升W干物＋川附図
浴日∞嚇
滋∞
hw
12月30日9間七
穏吊；リー
照
害
照
害
害
性 発 育 促 進
害
し
変化なし
（性早熟”）
定
なレU｛
判
対
障
対
障
変
障
皐丸＜［量 g（両flWl'日｝
i~ の体 重，鶏 冠，率丸亘量
叩×:C.5113) j 8ペ i1~0018.4 ×；5( lヤ×2.0(10) Iベ I;90! 5.2×；0(16 ） ＇ ナ4×； 1 1 3~'! 1~ 8010.γ ） l…は.5(14) I引 lJ~OOi 9.7プ（ぺ 1~00/11.sx:7 (77l 1~50! 11.1で99 )I 1←I .81 8) ，－－刊 I93017.3×4.3( 31川…ベ1.200/11.5×6.6（ベ160015.0×2.5(13) I 7川 71い2.0(8)11.Iい.i.7(45) 1,0十5.2(53)I ｜れ川（191 18ペ I ;ocl 1.0 ×；ぺ 1~00110.7 ×：5(59) 1 叶0コ0(臼 （＇，5.5×3.0( 17) 17ペ i;1い；0118Jl1~8017.2で0(29)1 l~lOil0.2コ2(5 3 ） ｜ ｜付cl3.5×1.5( 5) Iベ I;1015.3コ5(
l叩90I ・ 1；…o! 6 oコ5(1
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-
間脳にLaminariaを挿入せられたる縫家鶏雛の性発育3101
図 5
図 4
前連合のレベルにおけるラミナリヤの挿入部位
’礼七
図 7
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3102 日本外科’if.段i第28巻第8号
本例は体重，鶏冠とも早期発育の傾向があり，割l検
時（生後約7月）の皐丸重量は対照例の約4倍であっ
fこ．
脳肉眼所見でラミナリヤの挿入部位を示せば図2
(11¥'J側部1，図3 （尾方部）のようでP ラミナリヤ it
大きし深〈，広く，吻側では Tractusseptomesen-
cephalicusの前額断面p I.!Pち i¥'ucleuspraeopticus
の前額断面から，尾方は小脳のほぼ中央部のあらわれ
る断面で線、状体の殆ど最尾端まで挿入されている．こ
のラミナリヤ腫療の中心部は図 4,5. 6, 7, 8のよ う
に前連合のあらわれる断面のやや前方からp 尾側は｛会
果体の現わ れ る前p 或いは：：＼ucleushabenularis
図8 Monro孔1)所，Th
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間脳にLaminariaを挿入せられたる雄家鶏雛の性発育 3103
たが，剖検時の皐丸重量は特に大きくなかった．ラッ
テに於ける教室，横田友二，吉川昭治，藤田竜五郎等
の実験によると性早熟では必ずしも皐丸重量増大を示
すとは限らないので，この例なども性早熟に入れてよ
いかも知れない．併し；確実さを欠く．
ラミナリヤは Monro氏孔附近に挿入され， Nucleus
dorsolateralis thalami anteriorの部分を損傷して
いるがp 図11の如くラミナリヤは細く，刺入範囲は広
くない．
No. 6 1IJ （障害）
本例は図12のよ うに松果体附近に大きなラ ミナリヤ
の挿入された例で，前方は図 12より 1.5mm吻側で
Nucleus habenularis medialisが現われ始める附近
に入払その所で第3脳室を一部損傷し，また図より
450 μ尾方では Nucleus habenularis, Nucleus
dorsolateralis及びその周囲を損傷し，その所の第3
脳室にも障害を認める．
出 3 (1）変化なし
図11 N-dorsolateralis附近に細いラミナリヤが入っている
No. 6 害
しι．
図12 松果休附近に挿入されたラミナリヤを示す
:'¥r1, 7 障害
D.
図13 ラミナリヤは Nn.6と略々同様の部位に入
る
;¥o. 8 (1）障害
図14 正中線中央部に浅くラ ミナリ午が存在する
（血流障害例〕
ラミナリヤが松果体附近に挿入される時；むこの部
位では第3脳室が背側に近く存在するので一緒に損傷
を受け易し且つここは第3脳室の後方になるので全
脳室系の拡大を来たし易い．この種の症例はいずれも
強い性発育障害を来たしている．
No.7 「Il （障害）
前の例と同様に図13の如く松果体附近を中心として
大きなラミナリ ヤが大体，類似の形に入り，やはり強
い性発育障害を来たしている．
No. 8 rIJ （障害）
前連合の現われるレベルより松果体の近くまで長い
範囲に，正中線中央部にナミナリヤボ挿入され（図14)
上縦静脈洞は僅めて強〈血流障害をうけ，横静脈洞ら
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3104 日本外科宝函第28巻第8号
障害されていると思われる．脳室系の損傷はどこにも
認められない
No. 9 111 （障害）
図15は松果体のあるべき所にラミナリヤが押入され
第3脳室天井部の諸核も損傷をうけているがp さらに
この例では上縦静脈洞及び横静脈洞の血行障害をも 4そ
していると思われ，この両方の影響により障害の度が
強くなっていると恩れれる．
b
＼。 9 Ill 障害
Lι
St
し
図15 ｛公民｛本Jづけ！［にラミナリヤが挿入されている．
実験第 2 群
第2群は 9月13日帰化， 10月18日手術， 2月11日に
殺した群でp 第2表及び図16（皐丸写真）のように性
発育促進 l例 I!¥n.10) 1 後化なきもの 6例 IN》 It,
¥.,.1:2. ¥o.13, ¥o.1-l, ¥o.15, ¥o.16）， 障害を来した
もの5例代札22，ヘ：o.23，ヘ’υー24, '¥o.25, No.26），対
照 3例である．以下各症例について述べる．
¥o.13 （変化なし）
i¥o.23 （障害）
No. 10 121 （性発育促進）
この例では鶏冠の早期発育の傾向あり p 剖検時の皐
丸の重量も大であった．
ラミナリヤ挿入の肉眼所見は図17のようでありp 連
続切片によれIJ，ラミナリヤの中心はMonro孔のレベ
10にあり p 吻側は視束交叉の レベルよりp 尾方は
Nucleus habenularis medialis et laterialsが明確
に現われるレベルまで待入されている．本例が性発育
促進を来した 3例中p ラミナリヤが一番浅く挿入され
ていた．性発育促進の度は一番劣るけれども3 本例で
もラミナ リヤは大きし比較的深く はいっている．殊
に前連合が消えてから20011f：立尾方の LベルからMonr。孔の終りの：::r位までの聞にラミ ナリヤが大きく i':tくはいっている．
Nucleus habenularisが現われる附近よりラ ミナ
リヤは小さくなり，松果休の現われる前に痕跡的とな
る．第3脳室及びそれに援する諸核の損傷は認められ
ないが，本例：I殺した時の体重がl,190gで手術時197g
の約6倍である．勿論p 脳の大きさは体重と比例しな
いけれども，手術当時には挿入ラミナ リヤは第3脳室
を中心とした諸核に釘l検所見に見られるよりも大きい
影響，圧迫を与えたと，思われる．
図18は前連合の終りのほう，図20は肉眼所見（図17)
より250μ位吻側で Nucleusrotundusが現われてお
り，図22は Monro孔の所でラミナリヤ腫療の中心部
あたり，これより300ti位尾方ではラミナリヤは小さく
なり始めている．
No. 11 •2J （変化なし）
ラミナリヤは吻側はTractusseptomesencephali-
cusの現われるレベルより Monro孔の尾方のレベルま
での部位に浅く 人り，図2-1！えぴ図25附近がその中心で
あ乙．
？い 10 121 促進
図17 肉眼 所見
-
第 2 蓑 鶏の体重，鶏冠，皐丸重量 9月13日帰化＼＼測定日｜ 10月畑（手術） い2月 11日 ｜ 1月9日 ｜ 1月21日｜ 2月2日 ｜ 2月11日（殺） I I 鶏軒下旬翠昼間関！ 竺ー~ 1*: Im！~竺l守！開竺剤守主！誌や不買一一空_L翼手付？｜腎覇者｜判一主
No. 10 J 197 2.6×1.0( 3) l叫 4.2×！.8(8)J 60vJ -1.7×2.5(12), 8901叩×3.0(21ヰ 9001 8.5 x 4.5(38), 1,1901 8.7×4.2( 36), 11.5 1性発育促進｜ ｜ 土 ｜ ＋ ！ 土 ｜ 土 ｜ 土 ｜ 土土 ｜ 土 ｜ ＋ ｜ 土 ｜ 土 ｜ ｜
No. 11 I刈2.6×0.9(2)・1必01 3.0 x I刈吋 5.5x 2.5問吋6.4x 3.3叫刈山4.0128ll 1,10018.0x4.5136ll 6.2 I変化なし｜｜ ｜土！土 1土｜土土｜土｜土｜士｜土 i ± i I
No. 12 --J 2何人ム1.6(5) I 4201 ふ－1－~（1 JI 6;01ぷ…I 7叫6.0ふ(I可叫 7-.;x 4・5(34)1 詞…－5.0l40l 5.1 ＼同了f I l土｜＋ ｜土｜土｜土 ｜ 土 i土， ± I土｜土｜
No. 13 I 2訓 2.4×0.8(2) I叫 3.6×I.5(5)I 叫 6.0×4.0（幼 I1,25可6.7×日（お）I 1.2801 8 .o×4.0c3z 11 r .oso1 9.o x s.01.叫 4.2 I同上！｜｜土 i 土｜士 ！ 土 I+ I f土｜土｜士｜土｜土｜
I ;1 r、I4901 3.o x I.3( 4)1 8001 5.0×I.8c 9JI t,010l 6.5×3.2(21 )i 1,0501 7.2 x 3.5(25)1 1,2301 7.5 x 4.2(32)1 No. 14 I 2201 2.4×0.6(1) I I I I I ' I I I I I 3.5 i同上｜ ｜｜土｜土｜土｜土 ｜土 l 土 1 土｜土 ｜土｜土｜
No. 15 ! :3of~x！~~－~－~r~o!-3:2~ r 4 i-, 1空~ror i9ワF守的8わ1_i216五×f231~到8.0x1ocT0)1---;:; I同上日 l 引竺竺－~（ 3) I ~ol _3~主空3l I笠巴立8C28l¥li叩Oj8.0×土5〔＂36)1No.竺 l250J ~：~竺i斗4』9土三：？三！一）l ~－竺l_(j~ 4 × 3.0l)9）叫 6.3 x 4.0司1吐~－~i竺竺竺山：~~.5一 f竺L~：乙｜対 照No. 18 ＇. η301 2.4×1収2) I叫 3.0×1.4(5)I 刈4五元（司I-;251 5.5 x 3.oc No. -;-g・ -I 270G 戸1；沢3)J 両瓦可~ c~＞ 1一五戸3.0(20) 1 98017.8 x 3.7(29), 9不戸元外 1,20018 .6 ＝~ ：8~5~，－「了土竺J:_:_i_:竺竺 1~1三：竺竺>l _!_2_0~ピ竺8？~ -75016.4 x 3.4(22），吋 5.8x 3.4(20)1 960, 6 .6 × 4~~3:21 __ 2.7 I同一土
地 21 i刈 2.6×1.2(3）い501 2.7×1.2(3)1 _ ＿！出竺竺~01 ! I叫 6.4x 4.0(26)1 1，吋 8.0×4刷 Il,140, 8.0x4川 l 2.0 同よぷ－；－－－1~－6「ぷ.0 (2) : ~01 3.4:±1.4(5)1 ~001 4 .0三5（ 刊 ~40, 5.6xl.6(15)1 ioo1 6.4xfO(l9)1 i80/ 6.7x_:5(23J 1.g ；障害ヱピペ竺性f竺~~色J 釘 2守.2(4)1 ；引 5.2×；2(17)1 J9016.5Xf4(2 λ10. 24 I l 98j 2.4×0.6(1) ~ ~01 2.6 プ.8(2)1 ご：~.o ×＿：oc 3l J初14.0で1（山内 4:'7"x _:.z川 Ii5o1 5.5竺5Uり 1.5 I~ 上凶云「「一一寸~Cl3~3±1.5C5)1 ;201 4~5 xJo r 9) ~河川0ゴ主可(1l)J iool 5.0 x ~(15JI ~ I －；－－－~ ・N:.-w －~再万二l石可~01 2.7 ~0.8 (2)1 ~601 4.2三0(8 ）「 ~90, 4.5竺1( 9)1 ~50! 4.2竺0(8)1 ~0014 .5で4(11 ) ! 1.1 I同一三
理由以
FHFgdZ担『
g竺輔、f4hv含汁が綜州制画課
34醇淑掛
ω】（）印
-
3106 日本外科宝函第28巻第8号
このようにー側の線伏体にラ ミナリヤが浅く挿入さ
れた例はすべて性発育に変化はない．
No. 12 12i （変化なしj
ラミナリヤの中心部は桧果休部の前半であり，之よ
り600μ尾方の桧果体が最も第3脳室に近づく附近では
図 18
ラミナリヤは桧果休の横にありp 第3脳室背部の諸核
は障害されていない．本例（図26及び図27）のような
形で挿入されると静脈澗の損傷もないと考えられる
松果体附近にラミナリヤが挿入された症例の中では
本例がp ラミナリヤが最も小さし浅く挿入されたた
Lι
（《；
図 19
前連合のレベルにおける ラミナリヤ挿入部位を示す
図 21
図 20
Pallial Comrnissureのレベルのラミナリヤ挿入部位
-
間脳にLaminariaを挿入せられたる雄家鶏雛の性発育 3107
No .14 12J （変化なし）めに，性発育隣害を来さなかった唯一つの例である
No. 13 121 （変化なし）
本例は？＼け11とほぼ同じ部位にラミナリヤが挿入さ
れ性発育は対照に比して変化がない 図28
視束交叉附近のレベルで線状休にラミナリヤが浅く
挿入されていて性発育に変化はないー図29
’礼 A
図 23
図 22
Monro孔附近のラミナリヤ挿入部位
＼り 11 (2）変 化なし
ラミナリヤは線状体に浅く挿入されているが静脈洞の損傷はない 図 25
-
3108 日本外科宝函第28巻第8号
No. 15 :21 （変化なし） No. 22 121 （障害）
視束交叉の尾方のレベルからMonro氏孔の終りのレ ラミナリヤは視束交叉部で前連合の現われる前方の
ベルまでの線状体にラミナリヤが浅くはいっている． レベ Yしより，尾方は後連合のレベルまでP ほぽ真中に
図30 深く挿入され（図32），特にMonro氏孔附近で第3脳室
No. 16 121 （変化なし） 天井の損傷が強い（図33）.この例のラミナリヤの位置
ラミナリヤは Nucleushabenularis medialisの現 は性発育促進例＇＼ o.10のラミナリヤをずっと深くして
われているレベルで，桧果休の現われる前のレベルの 上部第3脳室内に達したものと考えてもよいが鶏冠及
範囲で図31のように線状休に挿入されているが左程深 び皐丸の発育はむしろ不良であった．
くない
x；。 12 (2）変化な し噂f
fl. c..ti. ( l!L. V.)
図 27
図 26 桧果体の横にラミナリヤが挿入されている
＼り 13 (2）変化なし :¥o. 14 (2）変化なし
図28 比較的小さいラミナリヤが線状体に浅く挿人されている 図 29
Ut.~.
-
間脳にLaminariaを挿入せられたる雄家鶏雛の性発育 3109
No. 23 (2) （隊害）
Tractus septomesencephalicusの現われるレベル
から尾方は松果休部のレベルまでラミナリヤは比較的
浅いけれども長い範囲にはいっている．松果休部でも
可成り大きい この例では脳室系の障害より静脈洞血
行障害の影響の方が大きいのではないかと思われる．
図34，図35.
No. 24 121 （障害）
これも鶏冠の早期発育障害例であるがp ラミナリヤ
は比較的浅い正中線上で線状休の表面に存在しp 吻側
は前連合の現われるレベルから尾方は松果休のレベル
No. 15 (2）変化なし
図30 線状体に浅くラミナリヤが入っており，こ
の機な例はすべて発育に変化はない
近くまで挿入され，主として上縦静脈洞，横静脈洞の
血流障害による性発育障害と恩われる．図36より尾方
に行くほどラミナリヤは正中線で表面に存在する．
No. 25 (2J （障害）
大きなラミナリヤが視束交叉のレベル附近の線状体
より小脳にかけて持入されP 松果休の現われる前のレ
ベルでは正中線にあり p 桧果休が最も第3脳室に近づ
くレベルではラミナリヤは桧果体の績に存在するが明
かに背側第3脳室と Nucleushabenularis, Nucleus
dorsolateralis附近の損傷が認められる．図37.
No. 16 12）変化なし
図 31
¥o. 22 (2）障害
第 3脳室天井まで挿入されたラミナリヤを示す 図 33
-
3110 日本外科’ i~州 第28巻第8号
ルー 23 (2）障害
図 34
松果体部に挿入されたラミナリヤを示す．血行障害あり． 図35
.¥o. z,1 (2）障害
図36 似合法門、の正中線中央部に浅くやF人されたラミナリヤを示す
;¥.,, 25 (2）障害
L.
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-
間脳にLaminariaを挿入せられたる雄家鶏雛の性発育 3111
No. 26 121 （障害）
ラミナリヤは視束交叉の尾方きflのレベルの線状体よ
り小脳にかけて挿入されP その中心は桧果体附近で
（図38），松果休の現われるレベ＇ cよりl吻側では両側線
状休中隔部の強い萎縮像，図39より 200/l尾方では第 3
脳室天井及び Nucleushabenularis et subhabenu-
larisの明かな損傷を認める． 本例は第 3脳室＂，＆び
Nucleus habenularis等そ の附近の諸核の損傷と上
縦洞の血行障害による性発育障害と思われる．
実験第 3 群
第3群は 5月9日帰化， 7月2日手術＇ 11月24自殺
した群で第3表及び図40（皐丸写真）のように性発育
促進 1例 l¥:u.:!71，変化なし 2例 I¥'o.28, No.29），障
害 3例 ｛ヘ＇o.3:1, ¥'o.3-J, .＂＼υ351及び対照3例である．
No. 27 131 （性発育促進）
本例は性発育促進の第3伊jであるが，鶏冠の早期発
育促進の傾向を認めなかった．併しラミナリヤは他の
No. 26 l2l 障害
t会果休部に挿入主れたラミナリヤを示す 図 39
No. 27 l3l 促進
図 40 皐丸
No. 27 （促進） No. 29 （変化なし） 図41 この肉眼所見より吻側でラミナリヤは一層
No. 34 （障害） '.'lo. 31 （対照〉 深く入っている
-
鶏の体重，鶏冠y 皐丸重量
＼ 測定日1 7月2日（手術） 8月4日 9月18日 10月21日 ! 11月24日明
叩ヲ ？三斗空：1品：~：，~~て；込I fl'i_I平竺大さcml（~： 11鶏平の大さ仰 句刷｜…！ 8い 3.oos)I 1.1叩刈.5(23145 士 i 土｜土 ｜ 土 ｜ 土 ｜ ＋土 I ± I
) 1;00-;.5コ6C14f1;2011.1×；叶 i;sJ 叶 －~5011.2 ×； 8） ｜ lベ6014.0 x 1.5 ・ 11;30 ~5( 9)1叶.8~~3(3
一一一l~2~L竺竺~）~G~~ I ~ト＿：z ＜土…：4.3( 4
j s6o: 4.0×1.6(6) ! 860i 5.7×2.5(14)1 l嶋 of1.0 x 2.6(181: 2.oso.10.1×4.5( 45)1 2.zso¥11.0×4.0叫 4.0) I ，ナ2叶＂＂1_'- 5¥お）11.82019.4×4.8（ぺl阿 10.土土土 l 士土 ｜ 士｜土土 ｜
j 120¥ s.o×2.5(1ぺ1.1川 3吋1.56019.0×4.5(41 ll 1.71oj s.6×5.](44)12,01 ｜ l土｜土土｜土 l土｜土 ｜土土｜
--I 5；~1 ~~o ::.5(6) 11~00! 7.0 x
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5月9日Yllfイ七苦呈8 第
No. 27
国妹、千禁凶図
国叫N∞嚇
判部∞中
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害
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変
No. 28
No. 33
No. 34
No. 35
No. 29
No. 30
No. 31
No. 3~
-
間脳にLaminariaを挿入せられたる雄家鶏雛の性発育 3113
2例（第I,2群）の促進例とほぼ同様な位置に， J:!Pち
大きし前連合の現われるやや前方のレベルより松果
体のレベルにかけて存在する．
肉眼所見（図41）より吻側ではさらに深く第31悩室
に近くラミナリヤが入っている．ラミナリヤの中心部
は Monro氏孔のレベル附近で深く挿入されている．
図42及び図43は前連合のレベルp 図44及び図45はそれ
より 450μ尾方で視凍交叉のレベルp 図46及び図47は
Monro孔附近でP この辺がラミナリヤの中心にあたり
第3脳室に極めて近く 存在し，それより腹側の間脳組
織が圧迫されて，変形した像が明かにみられる．この
附近では第3脳室及びその周囲諸核の損傷は認められ
ないがp 松果体の現われる附近では図48及び図49のよ
うに現在はラミナリヤは上部第3脳室から遠く離れて
cJ.. "f-
図 43
図 42 前連合のレベルに於けるラミナリヤ挿入部位
U....。？図 45
図 44 図42より450μ尾方のレベルのラミナリナ挿入部位を示す
-
3114 日本外科宝函第28巻第8号
いるがp 上部第3脳室壁に明かに疲1震性変化と忠、われ
る像がある．かかる第3脳室の損傷は一般に性発育障
害を来たすのであるがp 本例ではそれが軽度であるた
め障害的影響が著明でなかったものと思われる．併し
図 46
それが本例の性発育促進に対して或程度マイナスの影
響を及ぼしているであろうことは当然考えてよい
No.28 131 （変化なし）
ラミナリヤは吻側は Monro氏孔のレベルの線状休
’見.t
図 47
Monro孔附近に挿入されたラミナリヤをがす Thalamus dorsalisの圧迫p 変形を認める．
図 49
図 48
松果体のレベルにおけるラミナリヤの押入部位を示す．第3脳室背壁の損傷（癒痕化）を認める．
-
間脳にLaminariaを挿入せられたる雄家鶏雛の性発育 3115
にまで及んでいるが浅く p ラミナリヤの中心は桧泉休
部の尾方p 小脳の始めの所にある（図50).
No. 29 (3) （変化なし）
ラミナリヤはTractusseptomesencephalicusのレ
ベルから始まり，Monro氏孔までに及ぶがp特にMonro
氏孔の始めの所ではラミナリヤが深く挿入され，図51
及び図52のようにMonro氏孔が殆んど閉塞しているよ
うな像を示す．このように深く刺入されたものは性発
育障害を来たすことが多いが，この例は例外的に障害
がない．
A’o. 28 (3)
図50！小脳附近に挿入されたラミナリヤを示す．
No.33
-
3116 日本外科＇ i([.J:j 第28巻第8号
No. 33 l3l 障 害 No. 34 (3）障害
図53 Monro孔附近で第3脳室内にまで挿入されているラミナリヤの肉眼所見
図 55
:¥o. 36 I変化なし） ＼；り 38（変化なし）
No. 41 C変化なし） No. 48 （変化なし）
:¥o. 38 (4) 変化なし
図57 Tractus septomesencephalicusのレベル
に挿入されたラミナリヤの肉眼所見
cι。「図54 前例と略々同様の部位に挿入されたラミナ
リヤを示す
N。36 (4）変化なし
図56 Nucleus accumbensのレベルに挿入された
ラミナリヤを示す
:¥o. 44 (4）変化なし
図58 前図〔：＼＇o.381 と略々同様の部位に挿入さ
れたラミナリヤを示す
-
間脳にLaminariaを挿入せられたる雄家鶏雛の性発育 3117
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図59 Tractus septomesencephalicusのレベル
におけるラミナリヤの挿入部位を示す
4 総括並びに考察
実験総数は49羽で，その内p 対照（単関頭〕例14羽
ラミナリヤを挿入したのは35羽である．この中で対照
鶏に比較してF
(1) 明らかな身体発育促進を来たしたものはなかっ
たが剖検時皐丸重量が大で，恐らく性発育促進と恩わ
れたもの 3例．これ等の中の 2例では鶏冠の大き さか
らみで性早熟がある らしく恩われた．
尚其f也に蔀Ur食時の皐丸重量は大きくなかったが，術
後の経過よりみで性早熟のあるらしいのが 1例（第 l
群No.3）あった．併し舷実さをうごくので変化なしの中
に入れた．
(2）性発育に変化のないもの20例．
(3）性発育障害を来たしたもの12例である．これら
の中には体重が対照よりも小と思われるものもあった
が大多数ではハッキリした差はなかった．
(1) 性発育促進3例に共通した事はラミナリヤが大
きし深しほぽ Cummissura anteriorのレベルか
ら Monro孔の尾方までの範囲でp 第3脳室の背方す
C., Cerebellum C.a., Commissura anterior C.p. Commissura posterior Ch.op., Chiasma opticum D., Dura Ep. Epiphysis L., Lesion La., Laminaria
L.V., Lateral Ventricle
Mo., Monro氏孔
〔略符号〕n.
-
3118 日本外科宝函第28巻第8号
ぐ近くまで挿入されており， Monro孔附近組織の間接
の圧迫変形像が見られるがp 第 3脳室自身及びそれに
接する組織の直接破壊は認められないー叉p ラミナリ
ヤは松果体部の近くには及んでいない牟
尚皐丸重量の増大がなくて性早熟かと思われた l例
に於けるラミナリヤの位置は性発育促進例の場合と多
少似たところがあった．
以上の事実よりほぼ第3脳室Monro氏孔附近の背側
部に少し離れて挿入されたラミナリヤによって間接に
視床下部背側部が圧迫された時に性発育促進を来すの
ではないかと思われる（但し私の性発育促進例が直ち
に Pubertaspraecoxであると断定するには少から
ず考慮の余地がある）．
現在p Pubertas praecoxを来たす原因を桧果体よ
りも視床下部自身に求める大勢にあるけれどt，視床下部に対し直接p 慢性的刺戟を与えて性発育促進を来
たしたと云う実験報告はないように思う．
また視床下部の性中枢についても色々な論議がなさ
れている．
Scharrer等が動物や人の視床下部の視束上核p 芳
脳室核に分泌機能を示すと思われる神経細胞の存在を
形態学的に証明したがF この分泌機能を直ちに性機能
にむすびつけるのは問題であろうとされている．
黒津は家兎で腹内側核（黒津のb交感帯に属する）
の電気的刺戟で排卵を起すことF 又交感性部分ではp
どの核を刺戦しでも等しく排卵を起す事を認めたがp
このb交感帯は体温，血糖，血圧等の t昇，自律性の
怒り等をあらわす部位でもあり p 従来のように性機能
だけに特に限局した部分を性中枢として仮定すること
は誤りであろうと述べている．
保田は家引でf如来下部より下垂体に移行する漏斗部
の頚部に存在する：＼＇ ucleustuberisの細胞が，第3
脳室に向って直角に極めて規則正しい配列を示す事を
指摘し，第3脳室とのこのような密接した関係、から，
性腺支配の中枢の一つがその核またはその附近に存す
るだろうと推定しp この附近の破壊が産卵の停止を来
たすと云っている．
何れにせよ視床下部性中枢として視床下部腹側部が
問題にされているがp 後述の性発育障害を来たした私
の実験事実からすれば視床下部の背側部にも性中枢が
存在する，或いはひろがっている事が推定される．こ
れを仮りに第2IX性中枢と呼ぶことにしよう．そして
上に述べた性発育促進例に於けるラミナリヤの所在
ボ，この第2次性中枢より僅かに離れた背方部にある
ことはp ラミナリヤ周囲の慢性刺戟がp そこより比較
的近いところに健存する第2次性中枢に及ぶことによ
って性発育促進を来たしたと考えさせるものではなか
ろうか．
(2）性発育に変化を来たさない20例の内p 10例はラ
ミナリヤが脳の吻端近し即ち視束交叉部より吻側で
線状付、に何人されておりp このような部位への挿入は
全例p 発育に変化を来たさなかった．
残り 10例の内p 7例は視束交叉より尾側で松呆体迄
の範囲の線状体に浅くラミナリヤが挿入されておりp
静脈洞の血所持害を来たさないように正中線をさけp
側方に偏在している．桧果休にラミナリヤの一部が及
ぶものでもこの群に属するものはラミナリヤが小さ
しその附近の第3脳室及びそれに直接する諸核（N.
habenularis等）を損傷していないと思われる症例で
ある．
残りの 3例の内p l例はMonro孔附近で細長いラミ
ナリヤが Nucleusdorsomedialisまで挿入された例
〔性早熟？ ），第2例はラミナリヤの中心部が小脳部に
挿入された例p 第 3例はMonro孔の前半にラミナリヤ
が深く刺入されていた（このような刺入例では性発育
障害を来たすことが多い．その点この例は例外的）．
(3) 性発育障害を来たした12例はp 州第3脳室内に
まで深くラミナリヤが挿入されp 第3脳室及びその附
近の組織の損傷されたものP （ロ）静脈洞の血栓又は圧迫
による脳血行障害の予想されるものP 付その両方の原
因が重なったもの．以上3に大別出来る．
付l第 3脳室内にラミナリヤが挿入されていてp 第3
脳室及びその周囲組織の損傷を来たしていたものは4
例でP イ可れもMonro氏孔前後，或いはその尾方で第3
脳室内にラミナリヤがある．この発育障害はラミナリ
ヤの大きいものほど強く，叉第3脳室の尾方に挿入さ
れるほど強い．
（ロ）静脈洞の血流障害によると思われるものは2例で
共に正中線に沿L、広範囲にヲミナリヤが存在しP 静脈
洞の血栓性閉塞或は圧迫により血流を強く障害したと
恩われるものである．
川は桧果体部附近にラミナリヤが挿入された例であ
る．鶏桧果休は上縦静脈洞と横静脈洞との交叉部の直
下にあり，又この部位で第3脳室の位置が最も背側に
てレているので，血行障害及び第3脳室，さらにそれに
直接する諸核は容易にJ負傷される．；桧果体部附近にラ
ミナリヤの中心部が挿入されたものは6例あるがp 全
例性発育障害を来たしp 上部第3脳室及びそれに直接
-
間脳にLaminariaを挿入せられたる雄家鶏雛の性発育 3119
する諸核， Nucleus habenularis medialis et late-
ralis, Nucleus subhabenularis, Nucleus dorsome-
dialis, Nucleus dorsolateral均等に損傷を認める．
尚p ラミナリヤが松果体を損傷してはいるがラミナ
リヤの大部分が松果体より吻側又は側方に外れており
且つ第3脳室煩傷及び血流障害を来たさないような
例， No.2（第 1表）ト；o.12（第2表）では性発育に変
化を認めなかった．
既に教室の半田肇は家鶏縫雛で，黒沢実は雌白鼠で
松果体の損傷乃至刻出実験を行ない，性機能に変化の
ない事，及び第3脳室上部周囲核（N.habenularis
medialis, N.dorsomedialis, N.internus superior)
の損傷が発育抑制を来たす事を認めているがp 私の実
験成績も大体に於て之と一致する．
以上の実験結果よ弘前連合のレベルからMonro氏
孔の後部に及ぶ第3脳室背側部周囲諸核に対するラミ
ナリヤの間接的圧迫による慢性刺犠が性発育の促進を
来たし得るであろう事p そしてこれらの部が直接破壊
された時には性発育障害を来たすこと，従って之等の
部は視床下部腹側部に存在する性中枢に対してP 第 2
次性中枢とも称すべき部分であることを知る．
人の脳型 Pubertaspraecoxは極めて多元的と思
われる原因で起る事が認められているがp その根底に
横たわる主要な原因として上述と同様に比較的健在す
る性中枢（第2次中枢を合む）に対する慢性的刺戟（周
囲の病変組織に始まり第2次中枢に波及してくる）を
あげる事が出来ると思う．
結吾4
E岡
1）ラミナリヤを雄家鶏雛の間脳に挿入し3 性発育
の促進3例（中2例は性早熟ありつ対照鶏にくらべ
て性発育に変化なきもの20例p この中に皐丸重量の増
大はないが，性早熟？の徴の見られたもの 1例を合む
性発育障害を来たせるもの12例を得た．身体発育の促
進されたと恩われるものはなかった．
2）性発育促進例は何れもラミナリヤが大きし前
連合からMonro孔の尾方に及ぶ範囲で第3脳室背壁の
近くまで挿入されている．皐丸重量の増大はないがp
性早熟？のみられた l例でもラミナリヤの挿入状態は
ややそれに近い．
3）ラミナリヤが絵果休部に挿入されたものは殆ど
全例性発育障害を来たした．スp ラミナリヤが第3脳
安背側部の内『’rにまで深く挿入されているものも 5例
中4例に性発育降害を来たした．この事実から第3脳
室背側部に性中枢の存在することを知る．これは従来
からi限定されている第3脳室腹側部の性中枢に対して
第 2次性中枢といってもよいであろう．
4）ラミナリヤが線状体に浅く挿入され，且つ静脈
洞の血行障害を伴わない例の性発育は対照に比し変化
はない．
5）第 1次叉は第2次性中枢が健存しp 且つその近
くにラミナリヤが存在して慢性刺戟を絶えず第2次性
中枢に送っているという状態の時に性早熟が起るので
はなかろうか．
女 献
1〕 荒木千里・半田肇：松果体の内分i・必．臨床p
3, 336, 1950.
2) 荒木千里・福島浩三：間脳部腫湯と Pubertas
praecox.最新医学， 12,224, 1957.
3) 藤田竜五郎：身体並びに性器の発育に対する頭
部外傷の影響についての実験的研究．日本外科
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15) 三輪淳：間脳に於ける性中枢の組織学的研究．
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16) 内村肱之・大熊輝雄：早発青春期（Puber匂 E
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17）保幹田男：鶏の間脳における Nucleusprae-
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19) 保田幹男：鶏に於ける間脳と生殖腺との機能的
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20) 横田友二：桧果体と下垂体前葉との内分泌的関
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21〕 Yoshikawa,S.: Experimental Study of
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