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Title フランスにおける爲替安定と平價切下 Author(s) 谷口, 吉彦 Citation 經濟論叢 (1933), 37(3): 353-376 Issue Date 1933-09-01 URL http://dx.doi.org/10.14989/130353 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher Kyoto University CORE Metadata, citation and similar papers at core.ac.uk Provided by Kyoto University Research Information Repository

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Title フランスにおける爲替安定と平價切下

Author(s) 谷口, 吉彦

Citation 經濟論叢 (1933), 37(3): 353-376

Issue Date 1933-09-01

URL http://dx.doi.org/10.14989/130353

Right

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一、問題の意義

最近の世界経時曾議において最も主要の問題となった震替協定案は、

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アメリカの強硬な強度の

ために、遂にその成立を見るに至らなかったが、かりにこの震替協定案が成立したとしても、ぞ

れは要するに一時的な人潟的のものに過ぎ争、各国の震替率を永久的に安定せしhu

るためには、

金の解禁による完全なる金本位への復舗によらねばならぬ。而して今日の欣鵡において金の解禁

を行ふためには、何れの闘でも或程度に卒債の切下げを断行せねばならぬ。

然るに事買においで護協定案が全〈失敗に騎したA寸後の世界経摘は、謂はゆる錦替戦争の強

フランスにおける魚替安定と平債切下

第三十七巻

五.

五五

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フランスにおける傍替安定と卒債切下

第三十七巻

主六

一五四

乱t

化となり、暫らく潟替混刷臨時代を績けるであらう。けれども錯替戦争と震替混凱は、決して永久

に存績すべきものではない。結局においては、何等かの方法による魚替の安定を求めねばなら子、

鴻替安定の究極の方法は、金本位への復鵠による金の轍出解禁であり、それはまだ諜想きる、震

替戦争の後に・おいては、殊更に卒債の切下げによるでなければ、質現の困難な問題である。

か〈して世界経掛曾議における矯替協定案の成功すると失敗するとに拘らや、

平債の胡下げに

よる矯替の安定は、今後一いおける必然の運命でめる。

ただ矯棒協定の成立崎市之-」到諸寸る中間

過程であり、従ってか〉る協定の成立することは、切下げによる安定の時期を早めるに反し、協

定の不成立とぞれに讃〈鴻替戦争とは、それゼけ究極の安定を遅らす

rげの相違はめ名。何れに

せよ究極の安定が.卒債の切下げによってのみ行はるべきことは、今日の吠勢においては何人も

疑ひ得ない。この意味において、プ一ブンスが切下げによる安定に成功したる過去の粧輸を顧みる

ことは、今日では皐な名歴史的興味の問題に止まるものではない。

ぎて戦前および戦後の第一期におけるプラン魚替の動揺ならびに之に劃する安定策について

は、さきの拙稿に・おいて既にほY論越し終へた。本稿においては、その後の怨替動措が結局にお

いて一九二五

l六年のフラン暴落に導き、還に平債切下げによる魚替安定営費らすに至れる経過

を観察し、その聞に行はれた諸封策および主張につき論議せんとするものである。

r) 拙稿、鴛替戦争と困j;}替の醗貴f本誌 XXXVII.".) 2) 拙稿、フラシスにおける鴛替動揺主安定策(本部、 XXXVI.6.)

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ーー

賠償問題とフランの低落

戦後の第二期をなす一九二二ll二三年は、第一期後竿における一膳の停滞を破って、更に新た

なる低落を加へたる時期である。却ちこの期間にフラン相場は卒債の約二分の一から四分の一近

〈まで下落した。左にその数字を表示する。

平債指数

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一九二二年

保らぱこの暴落は如何なる事情に基づ

tか、外岡貿易はこの期間において著し〈改善せられ、

轍入超過は前年に引額き著減した。圏内軽油開も次第に復興して、生産カはほY戦前の程度に蓮し

てゐた。それ故にこの期聞は前の時代と異りて、車純な忍経持的事情が震替を低落せしめたとは

言ひ難い。それは主としてこの期聞を通じて最初の紛議を醸すに至った賠償問題の紛糾に依存す

ると言はれ30賠償問題および之に関聯する鞍債問題は、今日では世界経捧の癌腫と言はれるほ

どに重要なる中心問題となりつ〉あるが、

この問題の最初の紛糾が、却ちこの時代のプラン暴落

7

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における鴛替安定と平債切下

第三十七巻

三五五

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一。

Revue d'Econornie pol:itique, 1924・p,19". Dulles, E. L" The F問 nchFranc 1914-1引:8,li929' p. 169・Revl1e' d'Economie poliitique, 19241 p. 19~'1' DuIies, ibid., p. 124, 158.

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フランスにおける傍替安定と平債切下

第三十七巻

一五六

量元

五i¥.

の主要な原因であった。

賠償問題に封する営時のごプンスの強硬な態度は、聯合圃ことに英米の主張とさへも可なりに

相違し、問題解決の甚だ容易ならまるを想はしなるや、園際的の潟替投機は之に乗じて漸〈撞頭

十円、他方にはずイツにおけるT

Yグの暴落に刺激せられて、ヲプンの逃避を金つるものさへ現は

れて来に。ぞれ故にこの期間におけるアグンの低落は、賠償問題とそれに件ふ潟替投機による色

のL」苦口へる。

賠償問題に封す名ポアンカレ

1の強硬な態度は、遂に一九二一二年一月の

yly占領となり、

ラシは恰かもこの事獲を轄機として、更に急蓮なる低落を来せるこ左前表の示す所である。卸ち

一九二二年末の卒債指敷二六五・四は、

二月にはゴ二四・六に念落

翌一月には二八九・

7となり、

してゐる。ぞれ四来は多少の動揺を示しながらも、大勢は務調の一途を辿りつ〉、遂にこの年十

一月に至って、外岡市場における『プラン攻撃』となり、二三年の年末より二四年の年初に亙って、

ブラシは矯替投機による危機に襲はる〉こと〉なった。

翌年二月の四三七・こまで落ち込んで行った。

卸ち平債指数は十月の三二四・=一から、

外国市場における魚替投機の『フラン攻撃』に劃抗して、

開始されたのは、

フランス政府による『アラン防衛戦』の

一月以後のことである。防衛手段として採られた第一の方法は、惇統的な金利

引上げ策である。卸ち一月十日には五分から五分宇に、十七日には六分まで引上げられた。けれ ア

Revue, ibid., P目 193Dulles, ibid., p. 171・2)

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E-も之はプラン防止に閥する限りでは、殆んど無数であった。蓋し金利政策はこの種の震替投機

および責本逃避に費しては、殆んど何等の牽制カをも有し得ないからである。

第二のプラン防衛手段として採られた方法は、責本逃避防止法の強化であった。その結果は一

九二四年二月十二日の法律となったが、限りに法律の励行によって資本逃避を防止し得たとして

色、外国市場じおける震替投機を如何ともすることは出来ない。事責においてこの方法もまた、

殆んどアグンの低落を防止することは出来なかった。

第三の方怯として成功した最後の到策は、外資の援助日よる投機の抑陣一でめった。賞時の財政

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て外資の援助を符名ためには、何よりも先づ財政の建直しを断行せねばならぬ

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ためには何よりも先づ増税を行はねばならぬ。増税と外賓との密接な闘係を一方に認め、他方に

何を措いて色フクンの崩壊を防がねばならぬとする議曾は、逮に三月十三日の法律による二割増

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ること〉なり、その結果としてアメリカのモY

ガン商曾より一億弗、

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より四百高蹄の貴金を得ること〉なり、之をもって矯替投機を統

制することうなった。

然るにこの殺果は極めて適確に現はれた。この

E大な資力をもってするフランス銀行のアグン

買ぴは、忽ちに従来の貢方を混凱せしめ、鴛替相場は三月十一日の二七・二

0フランか広四月二

十二日の

一五・三二フランにまで急騰した。

フランス銀行はこの騰勢ヤ利用して、却ってアラン

五九

フランスにおける鴛替安定主卒債切下

第=一+七巻

一一一五七

Dulles, The Frcnch Franc 1914-1928, p. 1'l3・Dulles, ibid., p. 173. Dulles, ibid., p. 174-175・ Aftalion,Monr..a:ie, Prix. et Change, p. 279・

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フランスにおける鴛替安定左手債切下

の責方に出で〉外資を補充する策さへ採り得たのである。統制資金による投機の抑制は、

3:i: A

盟主

は左程に有殻な方法ではないと考へられてゐる。けれ

Eもこの方法が議算の均衡その他の財政政

策によって裏付けられてゐる場合.または問題の鴻替投機が未だ大規模に行はれぎるか、或は通

貨不信および資本逃避が贋汎な一般的運動にまで撰大せ

Fる場合には、この方法もまに甚だ有効

なる致果を期待しうること誌に見るが如〈でめる。同じ方法が後に遮ぷる一九二六年の矯替危機

に際して殆んど致田市のなかっにのは、

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この時代において鴬替理論上より見て注意すべきは、営時すでに早〈潟替心理詰の萌芽の現は

れたことである。震替心理設の成立については、慨に他の機曾に遮ぺたる如〈、主として〉宮一守口

激授の功蹟に蹄すべ容色のではあるが、併し多〈の準設におけると閉じく、この設もまた必やし

も致授ひとりの功蹟に濁占さるべきではない。ロ三宮氏の指摘す名所に従へばv雑誌]czgと己2

tzzの金融記者富山『CE氏の如きは、すでに一九二二年二月以来、心理的要素を高調したる最

初の人であるといふ。またの忘

σEE氏の却さ色早〈よりこの貼に注意してゐる。

併じながら是等の心理設の主張は、要するに霜替相場に封する投機の影響を高調す忍に過ぎな

ぃ。すでに遮ぷるが如〈、この時代のブラシ相場は、

ア-ブンスの生産増加・貿易改善等々の艦梼

的要素を直接に反映せやして、主として賠償問題の紛糾と、それに件ふ翁替投機によって動かさ

Dulles, ibid., p. 175・拙稿、魚替理論正傍替問題〈昭和八年〉第一篇第九控参照。lJllJles, ibid., p. 158. Re¥ruεd'Economie politiqlle, 1923, p. 156.

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Z234

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れたものであるが、営時の謂はゆる心理詰とは、軍にこの事賢を指摘したに過ぎない。それ故に

最密な意味にかいて之を心理詰と言ひうるか疑ばしい。寧ろ正確には潟替投機設とも言ふべきで

あらう。蓋し賠償問題の知事政治経済的の大問題が、かくの如き紛糾を績げる以上は、匝々たる

囲内生産の向上の如きは多〈重要とならす、この客観的服勢を必然に矯替投機に反映して、そこ

に投機的需給を鍾動せしめ、之がフラン相場を下落せしむる主動力となったからである。

資本描避とフヲンの暴落

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四年の交におけるブクシの危機は、

賠償問題に基づく外

岡市場の投機を主とするものであった。然るに二四年五月の政麺により、ポアシカ

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EZCE-はエηノオ氏のめ主止の白=口可によって代られると共に、封濁態度を緩和し、英米その他

と協調してロ

23三Eee成立せしめ、産に封外岡係を一一時せしhuること〉なった。

従ってこの時代の特徴は、第一にフランの動揺および低落の原因が、主として囲内闘係より来

るものとなり、第二にその園内開係とは主として財政状態の不安を意味し、

一般鰹梼および貿易

の牒態は却って改善されて来た。第三に前の危機が少数の投機業者の策動に出で、従って容易に

政府の大費本による抑制政策に屈腺したるに反し、今・究のそれは圃民多数の財政不安に劃する危

マランスにおける侍替安定と平債胡ア

第三十七巻

五九

盟主

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拙著、前掲書、第一衛第十章参照。

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7

一プンスにおける鴛替安定と平償協下

第三十七巻

ノ、

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中ノ、

倶に出愛した一般的な資本逃避を主とす忍色のであった。要す忍にこの時代のアラン相場は、根

本的には主として営時の財政不安に依存すると言へる。

財政朕態の不安は左翼聯合のエ

yオ内閣の成立以来、ます/¥顕著となって来た。第一に協調

フランス財政の多くを賠償金に依頼することの不可能

主義の外交政策ことにドクズ案の成立は、

なるそ想はしめ、第二ド左翼の従来の主張は念激なあ財政改革にあり、ことに賀本税の賦課を主

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償還すべき内国債は莫大の額に達し、通貨線量の竿額、珠算親類の三分の二に達した。併も之に

一九二五年のフランス財政は文字通りの危殆に頻して、この一年間

劃する成算は全く立ち得守、

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くの如き財政の逼迫状態は、迭に園民をしてフランの前途に不安を戚ぜしかるに歪hノ、

的なプラン逃避を形成せしhuることうなった。

一九二五年末の震替危機はか、る肢勢において醸

成されたものであり、之を『信認恐慌」

(ngEgnmpE出)と呼ぶはこの故である。それは恰かも

最近一九三三年のアメクカ恐慌に類似し、

一圃の遁貨に劃する圃民多数の信頼を喪失するより来

るものである。

プランの信認恐慌は一九二六年に入ってます/¥深刻化し、それはまた財政危機を契機とする

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政麗の旗脅する毎に深められて、

相場を表示して、

卒償措盟主

得替相場

司王償主r~!t(

う事替相場

日月:月有E

遂に最後の翁替危機は七月に至って襲来した。

その暴落の賊態を明らかにする。

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かくして財政危機は震替危機をよび、

世曾不安にまで陥った。恰かもこの瞬間において、

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フランスにおける鴛替安定と平債切下

を見たのである,か、

謂はゆる奉国一致のポアンカ

vl内閣の成立

それに先だち『専門委員舎の報告』が後表せられ、新内閣の政策色之に影響さ

る冶所が少〈なかったから、翠でこの報告書の内容につき検討する必要がある。

第三十七巻

ムノ、

ムF、

1) Oestergaard, P., In日atiunund Stabitiut::nmg des franz呂田schenFranc, S. 159・

東京商工曾議所、インフレーシヨン K閲ナる調査、第三巻 p.228.

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二、通貨安定の諸傑件

一三国際貸借

四、議算白状態

A現貨の状態

E換算に関する諸問題仁換算に閥ナる新方策

九一般考察官仏一定の租税に閲する特殊視察

ん浮動債及短期債償却の必要

R換算外支出

五安定の機構及その賓現白一過桂

五、歳入問題

六、歳出問題(蝿庫)

C換算不足

日仏踊庫出納の一時的不均衡

七、安

A

その必要

八、財政建直しの経済的影響

ん産業恐慌

払恐慌の結果

J吃"ホロ

3晶

過去貨之

突っ

て主要の貼をナi統j院する。

委員食の任務は最初JhJ議質'または掛川替の安定を計る圃」あう川のではないc

それは『大寂大臣により提出さるべき諸問題ことに財政改輩ぞ買現するに通営なる諸方策に闘す

る委員舎の見解を答申する』にあった。この使命のために、『委員舎のなしだ努力は、財政状態の

本質的特徴を摘出し、一つの纏まった統一的秩序的な提案をなすにあった-o

』その結果として、最

も根本的な前提は『通貨の安{厄』(∞一白

EE号ロ母

EBoz-呂町内国白血立一正

go--E一『円)にあることを認

め.之営報告書の根幹とし目標として、組ての提案を之れに向って統一すること、した。かくし

て通貨の安定を根本前提としたこと白樫が、すでに委員舎の大きな提案であると言へ忍。蓋し後

にも論やる如く、営時の状勢において通貨の安定を貫現す石場合には、必宇多少の反動を伴ふベ

〈、ぞれは大韓において産業資本の利益に反する傾向・を有する所から、

一方には営時のインフレ

フランスにおける傍替安定と平債切下

第三十七巻

ノ、

六五

Le R~pp()rt du C mite des Experts (ibid., p. 1065-) ibid., p. 1065. 2)

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フヲンスにおける侍替安定と卒債切下

第三十七拳

,、凹

イシォ

yをそのま〉に績けんとする主張もあった。委員曾の内部にも多少の議論はあったが、結

局において『安定」を前提左して認むること〉した。

この意味ではそれはデフV

イシォ

ン政策を意

味するc

けれどもその安定は醤平債への復蹄を意味せ中、後に遁ぷるが如〈新卒債による安定で

あるから、

この意味ではそれは或程度のインフレイシォ

ンを意味する。即ち『卒慣切下』において

は産業資本の利盆に

『通貨安定』においては金融資本の利盆に

:致する

も:閥、の}州、でt'J!,j、あ伺?っ件、「こと。組、

一致し、

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掛的傍件とを必要とする。

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前者は通貨に罰する国民および諸外国の信頼を意味し、

後者はその信

頼を再建するための鰹梼的技術的諸方法を意味する。

その方法として委員舎の指摘する所は次の

六項である。

第一、国際貸借の均衡(戸iz--FR号

]

EEBCgpzvE)

第二、珠算均衡の絶封的貫現(ピユと-gtcz与宣言己目でZE--V山内出Etc-5)

第三、園庫の均衡(円ZZE-n与口一巳叶5225)

第四、封外契約の決定的決済(門目

HPmF52仲門

-E=一門一「仏内ロDmg哲明白ggmHR125)

第五、新遁貨状態への一般粧捕の趨膳(円邑毛gzg号宗門252Z=巾mgbsrE官官)

第六、金・外国震替および商業謹券による党換制の確立(内22ES町ロ

。『巾ロ

ロ222

町円

向山門『山口問恥『♂hw

ぐ内口一向日】(》「門mFEF--m252巾『町一と)

Lc Rapport (ibid., p. 1068.)

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、JAhTZ車A

iJSU合瑚市町議懇話事ル裁会議轟轟明

報告書は以下の諸章において、順次に是等の諸傑件につきその所見を明らかにし、第七章に至

って特に『安定』につき詳論し、第八章にその艦持的影響を考察したるのも結論に達してゐる。突

に右の経持的諸燦件につき委員舎の提案する所'炉二瞥し、且つそれとポアンカレ

1内閣の貫施し

た政策との閥聯を見てゆかう。

ヨ純情的諸俸件第一に園際貸借の均衡を驚らすためには、何よりもヲプンス資本の園外逃

避を防止する左共に、すでに逃避せるプランス資本の復舗を計り、まだ外圃信用'グ二時的例外的

に許可ぜねばならぬと主張する。このうち外国資本に頼ることは、ポアンカレ

l内閣の採用する

明L」はならなかっだか、資本の描避防止VLF-仁アランユ賢治・@復蹄は、新内閣の下に着々と貫現

されることうなった。

第二に議算均衡の確立は委員曾の最色強調する所である。そのためには、

一方に経費の節械を

計り、他方に歳入の増加を計らねばならぬ。前者の艦費節減は、主左して節約によるべ〈、公債

の償還および利梯を節減するが却さは、国家の信用を破壊すること〉なって、通貨安定の目的に

反すること〉なる。後者の歳入増加の方法としては‘委員舎は増穂論を主張する。たY

この晴柱

は主として間接税却ち消費税によるべく、直接税の重課は費本の封外逃避を呼んで、却って通貨

を安定せしめ得ない左骨一一回ふ

20

こ冶にこの委員舎の性質がうか立はれる。而して新内閣の財政政策

は、ほY

この報告書の主旨に従ったものである。報告書はこの財政整理を色って最色重要なる根

フランスにおける鴛替安定左卒債切下

第三十七径

一六五

大七

1) ibid目, p. 1073-1873 2) ibid., p. 1074-

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フランスにおける鴛替安定と平債切下

第三十七巻

一六六

大八

本俊件なりとして、之につき詳論しにる後、問題の矯替安定に関する具躍的提案を論じて結論に

達してゐる。

この具樺的提案もまたほY新内閣の採用する所となって.現買に才一ブシの安定を驚

らし得たのであるから、以下この賠に閲する報告書の主張を、新内閣の安定政策と照膝せしめつ

う検討する。

::fi

;車慣・切.下1:1)

1閣j草

専門委員案の根本前提たる通貨の安定は、結局において金本位の復活によらねばならぬ。然る

に鴬替相場が卒債の八分の一

に下落し、園内物債が戦前の八倍以上に騰貴してゐる営時のフラン

九において、奮卒憤への復奮仁よって金本位に復するならば、潟替相場は直ちに八倍の騰貴をな

し、物債は念激に奔落して、極端なるデアV

イジオン恐慌を兎かれることは出来ない。それ故に

嘗時の版勢において通貨の安定を前提とする以上は、卒債の切下を必要とすること殆んど営然の

鯖結と言はねばならぬ。この貼につき報告書は言ふ、

『報告書を一貫してゐるこの結論に達ナるに先だち、委員舎は、

‘.、、、、、、、、、、、、、、‘、、、、、、、、、

た。委員舎は決定的と思はれる理由

-Fb、との考へを拒否した。

、、、、、、、、、、、、‘.、、、、、、

『フランの完全なる復奮は、今日では空想である。何となれば、それは永績的かう計費的なデフレインオンを意味し、毛れは

、、、、、、、、‘、、、、

フラY

を戦前の債値に復奮せしめるといふ仮定にヲき検討し

納税者にとっては、

公債の負据白ために破産的となり、主た工・商・農業者に射しては、物債の暴落に耐え切れず、ヲラン

下落開掛以来の負債の結果にも耐え切札ずして、之を破産せしむるか

bである。

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『従ってかιふる政策は・正義の促進に導〈所以でぽたい。何となればとの最近の通貨不安時代に得たる利盆たるものは・決し

て前時代の犠牲ではないからである。』

之によりて明らかなる如く、奮卒債への復奮は、吐舎経漕の一大捷乱を招くことなくしては、

到底不可能であるのみならや、これによりて最近の暴落せるプランに劃して、奮卒債と同様の債

低を附奥することは、世舎

E義の観念に一致しないと言ふにある。

すでに平債切下の必要を認なる以上は、突に来る問題は切下げの時期および程度にある。この

二つは互に欄聯する。例へば、切下げの時期が議定され冶ば、切下げの程度はほY

そこから決定

3れて来るし、

まに切下稗皮UY議定FHhば、切下時期は自ら手」から訓出されて来る告であ30

第一に委員舎の報告書は、切下げの時期につき明確なる提案全試みてゐない。hLY

切下げによ

る通貨の安定に達するまでには、後に論宇る如く三階級の時期を必要とし.且つ安定は出来うる

限hJ速かなるべきことを主張するに過ぎない。日〈

、、、、、、

『時期についでは、委員曾の推薦する柏崎の諸方策の縛てが賀行し始められる時期に、最も按託してゐるわが上いことは明らか

である。而しで之を行中には、委員舎により提案せらるL

一般的計董の賓施と直接の関聯においてなさればならぬ。・・:・』

第二に卒債切下げの程度は、切下問題における最も重大なる而かも最色デ7ケ

1トな問題であ

る。一般的には平債切下の場合に標準となる色のは、震替相場か園内物債かの何れかでなければ

ならぬ。例へば吾凶の現在において固の切下程度が問題となるならば、潟替相場下落の程度に従

って、約二分の一に切下げるか、然ら宇ば物債騰貴の程度に従って、約二割の切下げをなすか、

フラ

yスにおける傍替安定と卒債切下

官Z

第三十七巻

ニハ七

カ.

1) Le Rapport (ibid., p. ro67) 21) Le Rapport (ibid., p. ro88-89.)

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フランスにおける鴛替安定と卒債切下

自E

t C

第三十七巻

一六八

般りに前者によるとせば、封外経梼閥係は捷凱を見れる代hノに、園内物債の奔騰を来して園内経

捕を撹乱すること〉なる。反封に物債指数を標準に切下げを行ふならば、園内粧梼は著しき麗動

ヤ-臼九

4

さる代

hに、封外経摘は激動を見れrdるこ・とうなるω

ぞれ故に吾凶の今日におけるが如き、

第替相場主闘内物債との問に大なる懸隔の存する現扶では、

理論的には切下げをなすに通常なる

時期ではない。理論的に通常なる-時期は、例へば矯替相場が二分の一

に下落すると共に、

園内物

1

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に切下,ゆる酬

4

とEあァ旬、

然らば営時のごアンスにおける右の闘係如何ぞ見るに、

数六五八ょっ七月平均七九

C・七にして、

震替相場は一九二六年六月の月平均指

ほJY卒債の七乃至八分の一に達せるに封し、

物債指数

は同じ〈六月平均七五四、七月卒均八束四ぞ示して、戦前の約七乃至八倍竿に達してゐる。郎ち

こ冶では錦替と物債との開きは僅少であり、偲りにこの航態を標準として切下げを行ったとすれ

ぱ、卒債は八分の一程度に低下さるべき状態にあった。

か〉る扶勢において専門委員舎は切下げにつき如何なる提案全なしたか、

活替安定の

『標準』

(zzgz)につき報告する所を見るに、

、、、、、、、、

『標準は今か

b定めるべきでもな〈、また公表さるべ骨でもない。がその選定は次の雨極端の聞においてなさるべきである。

それは之を行ふ一定の瞬間における

b恥ト恥めより来』6

フラン白相場と、同じ瞬間におけるかト和掛に現はるふ賞殺的のアラ

ンの相場とである。

『安定の相場はこのニワの限界の澗に求め、bるべきであるが、他の総ての事情ことに外国資本を留置しまた必吸引する必要、

月平均ではこむ七月を最高と「る。術ほ七月一寸 flの最高指数は 950・2 を示

Lほ r去に近"、。

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および、逃漣せるフランλ

資本の念速な復時を促がす必要を考慮に入れねばならぬ。かふる見解にたっ時は、他の多イ白見解に

、、、、、、、、、、、、、、、.、、、、、、、、、り

おけると同様に、現在の柑揚よりも、もワム」有利なフラ

y

白相場を選揮することが望宜しい0』

郎ちプラン切下げの程度に閲する委員舎の主張は、右によちて明らかなる如〈、突の三つに要

約される。一日切下げの程度は諌め決定すべきでな'¥またほY議定されたとしても公表すべきで

ない。同切下げの程度を決定する標準は、震替相場、と物債指数の中間に求めねばならぬ。国たヨ

し現在の潟替および物債に現はる〉ブラシは借りに低きに過ヤると。このうち最後の酷は特に注

意を要する。何となれば常時のプランの賞際相場よりすれば、前越の如くはV

七乃至八分の一に

切下げをなすべき状態にあっ穴からでめる。

ほY右の提案に基づいて賀行されたものである。

いま切下げの時期およびこれに至るまでの過程の問題は、姑ら〈後の問題とし、

ポアンカレ

1内閣によるプランの切下げは、

たY切下げの程

度または標準について見るに、内閣成立営時のアラ

y相場合もって、傍りに低きに過円、ると看倣

し、その自然的または政策的騰貴を待つで、約六ヶ月の後にまづ事買上の安定を獲得し、この玉

分の一程度の事質上の安定を績〈ること約一年六ヶ月の後、

一九二八年六月二十五日に至って、

始めて法律上の卒債切下げや-断行して、新卒慣による金本位制を復活し得たのである。而して之

は主としてフランの震替相場を標準としたものであって、物債指数は内閣成立営時の八

OO豊か

ら、六

OOにまで降り、この貼を中心として事賓上の矯替安定期を通じてほY安定してゐた。hh

フランスにおける鴛替安定と平償切下

第一一一十七巻

号E

F じ

ノ、

Le Rapport (ibid., p. 1089)

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フヲンスにおける鴛替安定と平債切下

Yし小貰物債指数および生活費指数は、

一九二六、

七年の交においては、

ほ-、五OO牽を中心と

第三十七巻

O

~Øt

してゐたから、

この描ではおよそ魚替相場の下落と一致し、

従って五分の一程度の却下げとほY

一致するものであった。左に営時の掛川替相場左物債指数とを表示する。

小賓物官HIji盟I

主p,引内惇1t:'i t~(

同卒債指数

魚替相場

~180 ~195 4197 503 522 544 574 587 590 624 628 599

ri~~17 6~IB IJ'~I[) IiM J¥l2 2品4H [114 7恥B~1114

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511.7 525.6 539.5 570.6 616.0 658.6 790.7 683.3 676.7 569.0 562.1 488.8

26..5l 27.23 27.95 2¥1.56 31.91 34.12 40.96 35.42 35.。品目4.1429.12 25.32

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25.20 25.48 25.55 25.53 25.53 25.53 25.54 25.51 25.50 25.47 25.44 2呂田40

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490.9 491.1 490.7 490.3 490.3 490.9 492.8 494.2 494.2 463.9 494.2 493.8

25.43 25.44 25.41 25.40 25.40 25.43 25.5:1 25.60 25目6025.59 25.60 25.58

12日

456789012

唱且叩

A噌止

一九二八年

通貨の安定は必やしも潟替の安定のみではない。

震替のほかに圏内物債の安定もまた、

遁貨安

一九二六年

震醤安定の過程

定の重要なる一面ではある。

けれども現賓の場合においては、魚替と物債の何れか一

つの面が、

事ろ主要な問題となることが多い。例へばかのドイヅのインフラチオ

シ時代にあっては、園内物

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債の暴騰が寧ろ重要な問題となった

ω

然るに営時のフランスおよび現在の世界各闘にあっては、

通貨の安定は寧ろ矯替の安定を意味してゐる。これは潟替の動揺が最も親面に敏戚に現はる〉た

めと、物債が潟替ぞ動かすよりも震替が物債を動かす力の強いためであらう。

さて通貨安定に闘する諸問題のうち重要なるものは、安定の時期・標準・方法・過程・および影響

であるo

このうち最初の二問題については‘卒債切下の問題に関聯して、すでに前節に論越せる

所であるから、こ〉では主として後の三問題ドっき検討する。

、、

第一に安定の方法としては、まづ最初の多少の期間は、謂はゆる準備期間ししして静観し、その

問に仙の総

γの傑件IhJ日出ど壇常L〕町山はb¥‘相場

~r見淀川JJ1.13〈,、LTF叫

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立託、hム品、川

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せねばならぬ。そこで直ちに問題となるのは、

この統制に要する資金を如何にして調蓬するかに

ある。委員曾の提案は、主として之を外国資金に待たんとし、そのためには金利の差の存する間

に、念蓮に之を貫現せしみ

υべ〈、その額は最初に二億弗、ぞの方法はフラシス政府の外債か、ブ

ラシス銀行の借入金かにより、外に個人の商業上の信用をも利用せんとした。

安定資金を外国に求なる方法は、すでに戦時中の釘付政策において試みられた所であり、また

戦後においても鴛替平衡資金と関聯して屡t問題となれる色のである。然るに営時のポアシカレ

ー内閣は、この黙に閲しては必中しも委員舎の提案に従は争、殆ん

E外国資本に依頼することな

〈して、支定事業を完成することが出来七。これは主として新内閣の確固たる財政政策に信頼し

フラン

Z

における角替安定と平債切下

第三十七巻

君主

ーヒ

Le Rapport (ibid., p. 1089・)

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フラン見における傍替安定と平債切下

現止'

.1: 凹

第三十七巻

ーヒ

て莫大なる在外フランス費本の復蹄した〉めである。

3きにドイツのV

ン-アン、

Yグによる遁

貨安定も亦、殆ん

E自力による更生であったこと〉思ひ合せて、興味ゐる事賓と言はねばならぬ。

第二は安定の動秒に閲する問題である。委員舎の諸提案のうち最も重要なるもの冶一として、

また新内閣の政策上に有力なる指示を奥へたものとして注意すべきは、通貨安定の過程に三つの

その過程とは衣の三期である。

階段的時期を認め七貼にある。

、寸安定桁一の準備期(一平一コ

L7冶巾で

MtrEHH叩山口口口)

め戸、って、震替は動搭寸る。

lA剛山川2

ってほY隙ι

定型れてゐる相場mw月間

FJf司

をも(二)つ事て賃金上おの

よ安ぴ定金期滞替を?責買する

(忠ユC己町内片山

ZE--叩E

C

E己

mE門

);lこの期間にはプランス銀行は一定の債格

三法律上の安定期

qEEr

《凶作印門戸

E-E-gp骨三件)llこの瞬間から、

れてゐだ朕態が、法律上に規定され且つ確認されることうなる。

これまで事貫上に行は

きて右の三時期において採るべき方策につき委員舎の提案する所を見るに、

第一期の準備期はなるべき短かき期間に、通貨に封する園民の信積を強めねばならぬ。ぞのた

めには、州国家に封するフランス銀行の貸付最高額を、現在以上に高め

Fること。コこの貸付限

度が制限される以上は、紙幣疏通額の最高限度は撤廃すべきこと。三金に封しては、潟替相場ぷ

近き債格をもって囲内の金塊を買上げ、政府も之を援助すると共に、他方には依然として金の輪

Le n apport (ibid., p. 1091)

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る出に禁め止るしを?

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績して

たげ〉プランス銀行にのみ之を許し、是等の方法によって在庫金額の増加を計

かくして準備期において通貨の信用に闘する基礎的工作を絡へ、

品局替安定の標準色ほ

Y想定せられ、之が維持に要する責金を準備したる後、夫の第二期に入るものとする。

第二期の事買上の安定期に入つては、

フランス銀行は一定の安定相場を選定して、この相場を

もって金および外国籍替を貰買する。色ちろん金および外岡潟替は枇舎に流通するのでなく、

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プレイシオン時代の常態として、是等は寧ろ増減しないであらうから、若しも闘内金塊の買上げ

が増加するならば、閣内倍換制への復舗は、恐らくかなり急速に来るかも知れぬ。囲内先換制へ

の復蹄

4.官一際的には宮北で頂提ではないが、

す上ド、重要なる結果を鷲らすこと冶なるr

紙特rb相引す石信頼を柑

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第三期の法律上の安定期は、すでに事責上の安定にして成功する以上は、比峻的に容易である。

新貨幣法における本位金貨の重量・品位の選捧は、

すでに事買上の定安相場によって決定された

る所に従へばよい。たY蔑ぎる-h唯一の問題は、これまで圃家への貸付として後行され、現に流

通界に残存する多額の紙幣である。これは漸究に償却の方針を立て、国家への債権によって得ら

れた紙幣を、次第に商業的に得られた紙幣によって置きかへることにより、党換制を腕復せねば

ならぬ。以上の三時期営経ることによって、通貨の安定は完全に確保ぎる、ことh

なる。

事買において、ポアV

カレ

1内閣の成功したる安定政策は、殆ん

E右の提案に健るものであっ

フランスにおける鴛替安定と平債切下

一じ3i.

第三十七巻

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Le Rapport (ibid., p・1091)

I怠 Rapport(ibid., p. I091) 1.e Rapport (ibid., p. 10y2)

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えにおける鴛替安定と平債切下

七六

第三十七巻

=一七四

5虎

た。卸ち一九二六年七月の内閣成立より同年十二月に至る約六ヶ月間は、

ほY右の準備期にあた

り、翌一九二七年一月より翌々二八年六月に至る約一年六ヶ月聞は、事買上の安定期に相営し、

かくして最後に法律上の安定を完成して、警卒債の五分の一に切下げたる新貨幣法を制定し、新

たなる金本位制を確立したのは、

その六月二十五日であっ士。

第三に、

然らばかくの如き切下げによる安定は、

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これが最後必問題TJのる。安定の影響につ吉川、

ア一アンスの一一般経済に封して如何なる影響を

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/¥委員舎の提案は、新卒債への切下げを認かる貼では、

併し安定を把封保件とする鈷では、まに一一檀の

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アプレイジオンでもある。従って安定後の一般姪

一種のインフレイシオンではあるが、

持が一時的の反動に襲はれるであらうことも容易に議恕された所である。報告書はこの結につき

-次の如〈強言する。

『安定は勇気を要ナる。何となれば闘の経済は、たとひ・如何なる方法によらうとも、最後に到達した耽態にそれ自身を遁憶さ

せるであbうから。

『物侵騰貴が停止すると、圏内消費和上ぴ輸出は減退し、勢賃の遁態となり、割引および利子の念騰となり、同種の要素は遂

に経湾恐慌を麗刷、bすに至り、諸事業をしてその再組織を徐儀な奇に至らしめる。インフレインオン時代の多くの企業は、改造

か精減せねばならぬ・:・か〈で今日の表面的な大えでな経済的繁柴を績けるととは由来た〈たる己

然らばか〈の如き困難または恐慌さへ議想きる〉に拘ら宇、何故に安定を可とす忍か、委員曾

の見る所?は、ぞれは安定策をとらやに今日の妖態含そのま〉績ける場合でも、早晩見るべから

Le Rapdon (ibid., p. 1087-88)

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ぎる運命である。それ故に今直ちに安定策をとるこ主によって、反動を時機向早のうちに起きし

かると共に、それに件ふ弊害を緩和すべ〈努めねばならぬと言ふにある。

『賓際白ところ問題は、今日の経済紙態白一機讃と、安定紋態との何れを選ぶかにあるのでな〈、安定に伴ワて必然におこる恐

慌と、フラン白加法度的暴落によるあ

bゆる提飢を件ふ貨幣制度の紛飢在、何れを選ぶかにある。

恐慌は不可漣的である。』

-何れを選ぶにしでも、

委員舎の提案する所は何か、

第一は産業組織の再建であ

然らば安定恐慌に謝する封策として、

る。そのためには、「技術の改善による生成費の低下L」、コ資本の動員による資力の芳賀佐必要と

する。芹業組織白河山叫するとはもん刊産業部門の相一凡問一山よびぞれしむ行政機闘との琳絡必密接にし、

その聞の報告L」協刀をよい緊密にすること、州国際貿易を統制するために、圃民と園民とを接近

せしかること、川崎凋替市場の負指令『睦めるために、重要な商業信用を得る目的で外岡市場におけ

、、

る責買を集中すること、同かくして封内的には崎労働の整理をより良〈し、調外的には副際分業を

調整すること¥一なって、休業の危機を援和することが出来るといふ。

第二の封策として国家公樺の就寝動、即ち今日の謂はゆる統制経済を必要とする。それには.同

生産力を増進するだめに、八時間崎労働制を自由適用とすること、刷新たな経捕状態に遁臆するや

う閲税率を改定し、通営の保護政策を採用すること、同国内原料品および生産費を低廉ならしか

るため、識道運賃を低下すること、同植民地との闘聯を密接にし、その原料品を利用すること、

ウランスにおける矯替安定と平償切下

七一じ

第三十七巻

七五

Le Rapport (ibid., p. 1088) Le Rapport (ibid., p. 1094)

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第三放

同生産の負携を軽めるため、資本に封する租税伝騨一めること等?必要とする。

フランスにおける鴛替安定と平債切下

第三十七巻

七八.

七/、

最後に第三の封策として、克に精紳的要素を強調してゐる。卸ち過去ア-アンスの繁築を驚らし

たる勤勢と節約の精神を棋

tに於ては、以上の如き諸調策色その殻果を十分に後揮することは困

難であると結ぶ。

然るに事買において安定恐慌は、委員舎の珠却し七税には深刻に来ら守、

ボアンカレ

1内閣の

安定策法、

フ七の後のブ戸アンス組摘みどして、

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にはきプシス経簡の特殊性および新内閣の種ーなる政策の殺果を看過することも出来ないが、根

本的には卒債の切下げによる通貨の安定そのものに負ふところ大なるものがあつにと言はねばな

らぬ025

Le Rapport (iLid.. p. 1094) Le Rapport (ibicl.. p. 1095) 2)