title polymerization of acetylene-terminated...
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Title Polymerization of acetylene-terminated macromonomers andproperties of the formed polymers( Abstract_要旨 )
Author(s) Zhang, Wei
Citation Kyoto University (京都大学)
Issue Date 2007-09-25
URL http://hdl.handle.net/2433/136271
Right
Type Thesis or Dissertation
Textversion none
Kyoto University
―1029―
【433】
氏 名 張チョウ
偉イ
学位(専攻分野) 博 士 (工 学)
学 位 記 番 号 工 博 第 2868 号
学位授与の日付 平 成 19 年 9 月 25 日
学位授与の要件 学 位 規 則 第 4 条 第 1 項 該 当
研究科・専攻 工 学 研 究 科 高 分 子 化 学 専 攻
学位論文題目 POLYMERIZATION OF ACETYLENE-TERMINATED MACROMONOMERSAND PROPERTIES OF THE FORMED POLYMERS(アセチレン末端を有するマクロモノマーの重合および生成ポリマーの特性)
(主 査)論文調査委員 教 授 増 田 俊 夫 教 授 赤 木 和 夫 教 授 山 子 茂
論 文 内 容 の 要 旨
本論文は,アセチレン末端を有するマクロモノマーの重合を検討したものであり,生成するポリ(マクロモノマー)の特
性を含めた結果を序論および3編7章にまとめている。
序論では,置換アセチレンの重合,並びに分岐ポリマーの合成と特性を検討する意義について述べており,本研究の概要
を示している。
第1編では,フェニルアセチレン末端を有するマクロモノマーの合成と重合について検討した結果をまとめたものである。
第1章ではフェニルアセチレン末端を有するポリスチレン(PS)およびポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)をマク
ロモノマーとし,それらの重合性を検討している。この二種類の新規マクロモノマーの合成は,フェニルアセチレン部位を
有する原子移動ラジカル重合(ATRP)の開始剤を用いることにより達成している。[Rh{C(Ph)=CPh2}(nbd){P(4-FC6H4)3}]
/(4-FC6H4)3Pを重合触媒として用いて上記の二種類のマクロモノマーを重合することにより,狭い分子量分布を有するポ
リ(マクロモノマー)を合成している。また,PMMA由来のポリ(マクロモノマー)の単分子鎖を原子間力顕微鏡(AFM)
により観察している。
第2章は,フェニルアセチレン末端を有するポリ(エチレンオキシド)(PEO)マクロモノマーの重合について調べたも
のである。[(nbd)RhCl]2/Et3N触媒存在下,PEOマクロモノマーの重合性は低いが,水を重合溶媒として用いることが可
能であり,生成ポリマーは水に可溶であることを明らかにしている。また,上記PEOマクロモノマーとフェニルアセチレ
ンを共重合することにより,異なったPEO含率を有するグラフトコポリマーを合成し,9%以上のPEO含有グラフトコポ
リマーではDSC 測定により側鎖の結晶化が観測されることを見出している。
第3章では[(nbd)RhCl]2/Et3N触媒を用いてポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)部位を有するフェニルアセチレン
の重合により高分子量のポリマーブラシを合成している。重合触媒として[Rh{C(Ph)=CPh2}(nbd){P(4-FC6H4)3 }]/(4-
FC6H4)3Pを用いることにより,狭い分子量分布を有するポリ(マクロモノマー)が合成できることを明らかにしている。
第2編では,種々のポリ(プロパルギルエステル)およびプロパルギル末端マクロモノマー由来のグラフトポリマーの合
成と特性について検討している。
第4章では種々のプロパルギルエステルがRh触媒を用いることにより重合し,Mn=4900~40000のポリマーが生成する
ことを見出している。それらのポリマーは紫外可視吸収スペクトルにおいて300~425nmに主鎖のポリエン部位に由来する
吸収を示し,150~200℃まで熱的に安定であることを明らかにしている。
第5章では,プロパルギル末端を有するPSマクロモノマーとフェニルアセチレンまたは2-ブロモプロピオン酸プロパル
ギルエステルとの共重合による,ポリアセチレン主鎖を有するグラフトポリマーの合成についてまとめている。生成グラフ
トポリマーは紫外可視吸収スペクトルにおいて吸収末端を425~525nmに示す吸収極大を示し,それらは共役した主鎖に帰
属されることを明らかにしている。
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第3編では,らせん状ポリ(マクロモノマー)の合成とそれらの二次構造についての詳細な検討結果を述べている。
第6章では新たに合成した光学活性アセチレン末端を有するPSマクロモノマーの重合,および生成ポリ(マクロモノマ
ー)のらせん構造形成についてまとめている。合成されたポリ(マクロモノマー)の溶液はCDスペクトルにおいて345~
355nmにコットン効果を示し,このポリマーの主鎖は溶媒や温度に対し安定な一方向巻きに偏ったらせん構造を有している
ことを明らかにしている。
第7章ではアセチレン末端を有するPMMAマクロモノマーの重合を検討した結果を示している。同マクロモノマーの重
合を[(nbd)Rh+(η6-(C6H5)B-(C6H5)3)]触媒を用いて行うことにより,らせん状のポリ(マクロモノマー)を合成して
いる。生成ポリ(マクロモノマー)はCDスペクトルにおいて350~357nmに強いコットン効果を示し,このことからポリ
(マクロモノマー)のポリエン主鎖は一方向巻きに偏ったらせん構造を形成していることを見出している。また,このらせ
ん構造は溶媒や温度によりほとんど影響を受けないことを明らかにしている。
論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨
本論文はポリアセチレン主鎖からなるグラフトポリマーの合成を目的としてアセチレン末端マクロモノマーの単独および
共重合を行い,さらに生成ポリマーの特性について検討した結果をまとめたものであり,得られた主な成果は次のとおりで
ある。
1.フェニルアセチレン末端を有するポリスチレン(PS),ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA),ポリ(エチレンオキ
シド)(PEO),ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)マクロモノマーを合成し,それらを[(nbd)RhCl]2/Et3N触媒
により重合して高分子量の単独重合体であるポリマーブラシの合成を達成した。マクロモノマーの重合性はその分子量
が減少するにつれて増大した。また,PMMAを側鎖に有するポリマーブラシの単分子鎖のAFM観察に成功した。Rh
ビニル触媒,[Rh{C(Ph)=CPh2}(nbd){P(4-FC6H4)3}]/(4-FC6H4)3Pもこれらのマクロモノマーの重合に用いることが
可能であり,生成ポリマーは狭い分子量分布を有していた。[(nbd)RhCl]2/Et3N触媒存在下,PEOマクロモノマーの
重合反応性は低かったが,水を重合溶媒として用いることが可能であり,生成ポリマーは水に対して可溶であることを
見出した。
2.[(nbd)RhCl]2/Et3Nまたは[(nbd)Rh+(η6-(C6H5)B-(C6H5)3}]触媒存在下,プロパルギル末端を有するPSマクロ
モノマーの重合を行い,単独重合体を得ることができた。プロパルギル末端を有するマクロモノマーの重合反応性は比
較的低く,低分子量のポリ(マクロモノマー)を生成することが明らかになった。生成ポリマーは紫外可視吸収スペク
トルにおいて300~425nmに吸収を示した。さらに,マクロモノマーとフェニルアセチレンまたは2-ブロモプロパン酸
プロパルギルエステルとの共重合によりポリアセチレンを主鎖に有するグラフトポリマーの合成に成功した。
3.(S)-1-メチルプロパルギル末端を有するPSおよびPMMAマクロモノマーを合成し,[(nbd)Rh+(η6-(C6H5)B-(C6H5)3}]
触媒を用いた重合により新規らせん状ポリ(マクロモノマー)の合成を達成した。生成したポリ(マクロモノマー)は
一方向巻きに偏ったらせん構造を有しており,溶媒や温度に対して安定であることがわかった。
以上要するに,本論文はポリアセチレン主鎖からなるグラフトポリマーの合成を目的としてアセチレン末端を有するマク
ロモノマーの単独および共重合を達成し,生成ポリマーの諸性質を明らかにし,さらに単分子鎖のAFM観察を行ったもの
であり,学術上,実際上寄与するところが少なくない。よって,本論文は博士(工学)の学位論文として価値あるものと認
める。また,平成19年7月24日,論文内容とそれに関連した事項について試問を行った結果,合格と認めた。