tokushukai medical group news 摂食嚥下リハビリを強化 ·...

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寿17 退退使使17 16 12 17 14 15 16 11 鹿11 一般社団法人徳洲会の鈴木隆 夫理事長らが中国遼寧省の省都 である瀋陽市を訪れ、同市に本 社を置く大手IT企業のNeusoft社 などを視察した。同社とその関 連会社から、医療分野での連携 を打診されたことによる。また 瀋陽市の副市長を表敬訪問した。 同社は近年、医療分野への進出に注力。電子カルテシ ステムの開発・販売・管理や、医療機器メーカー からのOEM(相手先ブランド製造)生産に加え、自 社開発の医療機器を製造販売。海外での受診希望 者に医療機関を紹介するXikang社という子会社が あり、徳洲会病院に健診・人間ドックの受診者を紹 介してきた実績がある。 この子会社は中国内にクリニックや健診センター を保有、医療水準向上のため徳洲会に技術連携を 打診。研修の受け入れや同社がすでに運用してい る遠隔医療システムを活用した診療支援などを想定。 鈴木理事長はNeusoft社の劉積仁会長と面談し、 相互に協力していく姿勢を確認。このほか同社が開 発した医療機器を見学した。瀋陽市も医療分野へ の関心が高く、今回の訪問では劉曉東副市長との 面談が実現。劉副市長は同社と徳洲会グループの 取り組みを全面的にバックアップする意向を示した。 徳之島徳洲会病院(鹿児島県)は接遇委 員会を設置し、療養環境の改善や接遇向 上に努めている。とくに水田博之副院長が 委員長に就いた2016年から活動が活発化。 各病棟、総務課、医事課、外来、薬局、 透析室、リハビリテーション室など全職種から1人ずつ委 員を選出し、1カ月に1回、委員会を開いている。 会では、院内の「ご意見箱」に寄せられた患者さんの意 見について協議。また職員からも、ふだん業務のなかで 気付いた改善点などを挙げてもらい、対応を協議している。 これまで「飲食ができるちょっとしたスペースがあると良 い」との声が寄せられれば、1階ロビーの脇にカウンターを 設置したり、「院内の雰囲気が少し寂しい」との声に絵画を 飾ったりした。最近では、ある病棟のトイレに密閉式のコ ンテナを設置。水田副院長は「患者さんやご家族がトイレ におむつを廃棄しても、においがしないようにするためで す。使い勝手などを確認した うえで、すでに他病棟への導 入も進めています」と説明する。 職員の接遇・マナーの向上 も欠かさない。外部講師を招 き、実戦形式でのトレーニン グを定期的に実施している。 水田副院長が接遇改善に注 力するのは、企業での勤務経験があるからだ。医師にな る前、大手企業に勤めていた。「電話 の受け方、名刺交換の作法など厳し くしつけられました。少しずつでも職 員のレベルを高めていけたら」と水 田副院長。今後も「職員の接遇に対 する関心を高め、患者さんに気持ち 良く受診していただけるように、日々 “カイゼン” を続けたいと思っていま す」と意欲的だ。 劉副市長(右)から記念品を受 け取る鈴木理事長 徳洲会グループ 中国の大手企業と連携強化 1階に設置したカウンターは木目 調のおしゃれなデザイン 水田副院長 「ご意見をお待ちしており ます」と副委員長を務め る酒本博美職員 徳之島徳洲会病院 療養環境改善や接遇向上 企業勤務の経験生かす 患者さんごとに食事条件や手技の方法をカード にしてベッドサイドに掲示 家族が患者さんに上手に食べさせている様子に 滝吉医長(右)が感動 南部病院の具志堅ST(左から 3 人目)による アイスマッサージの勉強会 「与論病院が離島でのモデルケースに」と久志 院長(左)と滝吉医長 命だけは平等だ 平成 30 5 14 日 月曜日│No. 1133 514月曜日 発行:一般社団法人徳洲会 〒102-0074 東京都千代田区九段南1-3-1 東京堂千代田ビル14階 TEL:03-3262-3133 制作:一般社団法人徳洲会 広報部 〒102-0074 東京都千代田区九段南1-3-1 東京堂千代田ビル14階 TEL:03-3288-5580 FAX:03-3263-8125  Email:news@tokushukai.jp No. 1133 14/MAY 2018 TOKUSHUKAI MEDICAL GROUP NEWS

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のケアを実践してもらい、

滝吉医長はアドバイスを

送ることに徹していた。

この間、病院の垣根を越

えて看護師同士で情報交

換をしたり、摂食嚥下リ

ハビリの専門家であるS

Tに質問を投げかけたり

し、交流を深めた。

ベッドサイドで家族が

患者さんに嚥下食を上手

に食べさせるのを観察し

ていた滝吉医長は「与論

病院の看護師やPTのケ

アを見て、患者さんの家

族が学ばれたのだと思い

ます」と感動。「こうし

た成功体験はすぐに共有

し、次につなげるように

しています」と説明する。

具志堅STによるアイ

スマッサージ(嚥下反射

を誘発させるための方

法)の勉強会も行った。

「口の中をなでるだけで

はなく、しっかり圧をか

けて」などポイントを解

説。与論病院の看護師と

PTはさっそく回診のな

かで実践し、自分のもの

にしていた。

滝吉医長は「与論病院

では予想以上の早さで院

内連携が構築されていま

す。医師やSTなど摂食

嚥下リハビリの専門職が

いない状況で、自分たち

が〝最後の砦と

りで

〟という意

識で働いているのだと思

います」と評価。

久志院長は「今後、摂

食嚥下リハビリを強化し

たい離島病院が出てきた

際には、当院に見学に来

ていただき、方法を学ん

でいただけるようになれ

ば良いと考えています。

環境の似ている離島病院

同士だからこそできる連

携をしていきたいです」

と意気込みを見せる。

ができれば、再入院率の

低下、QOL(生活の質)

向上につながります。ま

ずは症例を通じて医介双

方の共通認識を育てるこ

とから始めました」。今

後は病院、介護施設の職

員が主体となり合同勉強

会の開催を計画している。

成功体験を積み重ね成長

取材の日、南部病院か

らは滝吉医長に加え、友

寄寿美子・回復期リハビ

リテーション病棟看護師

長と具志堅亮祐STも同

行。これまでは滝吉医長

のみだったが、チームで

応援に行くのは初の試み。

滝吉医長は「与論病院の

チームが成熟してきたの

で、当院のチームと情報

交換することで、お互い

に刺激になると考えまし

た」と意図を説明する。

まずは嚥下造影検査を

行い、続いて4人の患者

さんをベッドサイドで診

察。なるべく与論病院の

看護師やPTに患者さん

久志院長が自院の病棟を

回診し、院内連携がさら

に深まった。

久志院長は「勉強会で

口から食べることの重要

性を学びました。医師は

指示を出すだけですが、

実際に患者さんのケアを

しているのは看護師やP

T。レベルアップのため

に必要なことは何でも協

力しようと思います」と

意欲的だ。

「地域連携」は17年下期

から取り組んでいる。職

員が成長するに従い、退

院後に入居する介護施設

などの食支援技術の違い、

摂食嚥下に関する温度差

を認識した。滝吉医長は

「退院後も継続したケア

施。これは参加者がつく

った食物の粘度を簡易と

ろみ測定キットを使い測

定するもので、最終的に

「濃い」、「中間」、「薄い」

の3段階のとろみ作成を

目指した。滝吉医長は「こ

の勉強会により自分たち

の現状が実感できたよう

で、以降の教育活動が円

滑になりました。努力の

結果、翌月には標準化で

きました」と振り返る。

また、電子カルテで嚥

下造影検査の結果を一定

のフォーマットに落とし

込み、食事条件や手技の

方法を記載し、院内で共

有できるようにした。さ

らに、これを実践で使い

やすくするため、同院の

職員が自発的に、患者さ

んごとの支援方法をカー

ドにまとめベッドサイド

に掲示した。

また、17年4月に摂食

嚥下の包括的評価ツール

の勉強会を南部病院で開

催した際には、与論病院

からも久志院長をはじめ

5人が参加。勉強会後に

査を開始、相談窓口の機

能を大幅に強化した。同

検査は造影剤を含む食物

を飲み込んでもらい、食

物の動きや嚥下関連器官

の状態をX線透視下に観

察。とくに不顕性(症状

が現れない)の嚥下障害

の原因解明に役立ち、患

者さんや家族に画像を見

てもらいながら説明でき

るメリットがある。

「院内連携」では与論病

院の看護師教育からスタ

ート。まずは16年12月に

滝吉医長が「とろみ選手

権!」という勉強会を実

は、同院の看護師が、回

診が必要な入院患者さん

を事前にピックアップし、

滝吉医長が応援時に患者

さんの相談に乗る。同院

は17年3月に嚥下造影検

南部病院は14年にリハ

ビリテーション科による

摂食嚥下機能障害に関す

る診療を開始。翌15年に

「相談窓口」、「院内連携」、

「地域連携」の三本柱の

整備を本格的に始めた。

滝吉医長はこうしたノウ

ハウを生かし、16年11月

に与論病院に月1回出向

く応援診療をスタート。

同時に離島の状況に合わ

せた三本柱の整備に尽力

している。

与論病院の「相談窓口」

与論島唯一の病院である与論徳洲会病院(鹿児島県)は、南部徳洲会病院(沖縄県)

と連携し、リハビリテーション科の摂食嚥え

下げ

機能障害に関する診療を強化してい

る。2016年8月に南部病院の滝吉優子リハビリテーション科医長が与論病院

を視察、リハビリ専門医や言語聴覚士(ST)不在の状況下、看護師や理学療法

士(PT)などに摂食嚥下リハビリを指導する必要性を感じ、同年11月から月1

回の応援を開始した。与論病院の久志安範院長は「離島でも都市部と変わらない

摂食嚥下リハビリができる病院としてモデルケースになりたい」と意欲満々だ。

一般社団法人徳洲会の鈴木隆夫理事長らが中国遼寧省の省都である瀋陽市を訪れ、同市に本社を置く大手IT企業のNeusoft社などを視察した。同社とその関連会社から、医療分野での連携を打診されたことによる。また瀋陽市の副市長を表敬訪問した。

同社は近年、医療分野への進出に注力。電子カルテシステムの開発・販売・管理や、医療機器メーカーからのOEM(相手先ブランド製造)生産に加え、自社開発の医療機器を製造販売。海外での受診希望者に医療機関を紹介するXikang社という子会社があり、徳洲会病院に健診・人間ドックの受診者を紹介してきた実績がある。この子会社は中国内にクリニックや健診センターを保有、医療水準向上のため徳洲会に技術連携を打診。研修の受け入れや同社がすでに運用している遠隔医療システムを活用した診療支援などを想定。鈴木理事長はNeusoft社の劉積仁会長と面談し、相互に協力していく姿勢を確認。このほか同社が開発した医療機器を見学した。瀋陽市も医療分野への関心が高く、今回の訪問では劉曉東副市長との面談が実現。劉副市長は同社と徳洲会グループの取り組みを全面的にバックアップする意向を示した。

徳之島徳洲会病院(鹿児島県)は接遇委員会を設置し、療養環境の改善や接遇向上に努めている。とくに水田博之副院長が委員長に就いた2016年から活動が活発化。各病棟、総務課、医事課、外来、薬局、

透析室、リハビリテーション室など全職種から1人ずつ委員を選出し、1カ月に1回、委員会を開いている。会では、院内の「ご意見箱」に寄せられた患者さんの意

見について協議。また職員からも、ふだん業務のなかで気付いた改善点などを挙げてもらい、対応を協議している。これまで「飲食ができるちょっとしたスペースがあると良い」との声が寄せられれば、1階ロビーの脇にカウンターを設置したり、「院内の雰囲気が少し寂しい」との声に絵画を飾ったりした。最近では、ある病棟のトイレに密閉式のコンテナを設置。水田副院長は「患者さんやご家族がトイレにおむつを廃棄しても、においがしないようにするためです。使い勝手などを確認したうえで、すでに他病棟への導入も進めています」と説明する。職員の接遇・マナーの向上

も欠かさない。外部講師を招き、実戦形式でのトレーニングを定期的に実施している。水田副院長が接遇改善に注

力するのは、企業での勤務経験があるからだ。医師になる前、大手企業に勤めていた。「電話の受け方、名刺交換の作法など厳しくしつけられました。少しずつでも職員のレベルを高めていけたら」と水田副院長。今後も「職員の接遇に対する関心を高め、患者さんに気持ち良く受診していただけるように、日々“カイゼン”を続けたいと思っています」と意欲的だ。

劉副市長(右)から記念品を受け取る鈴木理事長

徳洲会グループ

中国の大手企業と連携強化

鈴木理事長らが瀋陽市を訪問

1階に設置したカウンターは木目調のおしゃれなデザイン

水田副院長

「ご意見をお待ちしております」と副委員長を務める酒本博美職員

徳之島徳洲会病院

療養環境改善や接遇向上企業勤務の経験生かす

摂食嚥下リハビリを強化

与   論

徳洲会病院

南部徳洲会病院と連携患者さんごとに食事条件や手技の方法をカード

にしてベッドサイドに掲示

家族が患者さんに上手に食べさせている様子に滝吉医長(右)が感動

南部病院の具志堅ST(左から3人目)によるアイスマッサージの勉強会

「与論病院が離島でのモデルケースに」と久志院長(左)と滝吉医長

離島病院のモデルケースに

徳 洲 新 聞徳 洲 新 聞 生い の ち

命だけは平等だ❶ 平成 30 年 5 月14 日 月曜日 │ No.1133

5月14日 月 曜 日

発行:一般社団法人徳洲会  〒102-0074 東京都千代田区九段南1-3-1 東京堂千代田ビル14階

TEL:03-3262-3133制作:一般社団法人徳洲会 広報部 〒102-0074 東京都千代田区九段南1-3-1 東京堂千代田ビル14階 TEL:03-3288-5580 FAX:03-3263-8125  Email:[email protected]

No.113314/MAY 2018

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