サービスデザインとuxdそしてデザインプロセス
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2014年02月15日 京都大学デザインスクール主催: Service Design Roundtableにてプレゼンテーション。 「Service Design = UXD + 全体的・組織的な計画」と捉える見方について。UX=顧客の主観的な構造を研究する立場からのコメントTRANSCRIPT
Copyright © Masaya Ando
千葉工業大学 デザイン科学科 Chiba Institute of Technology Department of Design
サービスデザインとUXD そ し てデザ イ ンプ ロ セス
安藤 昌也 [email protected]
京都大学デザインスクール主催: Service Design Roundtable
2014年02月15日
安藤 昌也 ANDO Masaya, Ph.D.
千葉工業大学 工学部 デザイン科学科 准教授
早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。NTTデータ通信(現、NTTデータ)を経て、1998年 アライド・ブレインズ株式会社の取締役シニアコンサルタント。早稲田大学、国立情報学研究所、産業技術大学院大学など経て、2011年より現職。博士(学術)。専門は、人間中心デザイン。UX(ユーザ体験)の研究者。 人間工学ISOの国内委員、人間中心設計推進機構 (HCD-net)理事を務める。 認定人間中心設計専門家 / 認定専門社会調査士
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私のコンサル時代=“ユーザを理解し翻訳する仕事”
Workの現場を を観る
ユーザの利用環境を を観る
消費者・ユーザの意識 価値観を理解する
ユーザの利用状況 を理解する
とにかく 現場のユーザを観よ!
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最近の取り組み例
東日本大震災アーカイブのインタフェースデザイン – 総務省・国立国会図書館・三菱総合研究所と連携して開発。
– 東日本大震災に関する情報をアーカイブし、それを活用するためのサイトの基本構成を検討。2025年に震災から学ぶ人たちのシナリオからUIのあり方をワークショップにより検討。
– 2013年3月7日公開開始 (http://kn.ndl.go.jp/)
提案したインタフェース構造 公開されたアーカイブの該当ページ
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最近の取り組み例
次世代インパネのインタフェースデザインコンセプト策定 – (株)デンソーとの共同研究。
– エスノグラフィ調査に基づいて導出された「有能感」というコンセプトを、車室内の機器インタフェースのコンセプトとして明確化し、具体的な商品体験イメージをムービーとして作成。
インタフェースのイメージムービー
は、小さな“できた”をサポートすることで
新たな“できた”の連鎖を生むHMIのユーザー体験のコンセプト
体験コンセプト
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最近の取り組み例
千葉土産プロジェクト2012, 2013
– 千葉県と千葉工業大学工学部デザイン科学科との連携プロジェクト
– 千葉特産品のお土産をデザインの力でもっと魅力的なものにすることを目標に、ギフトの体験価値から商品企画を立案
対象製品:
– 県下の4社の製品 (落花生2社、芋菓子、イワシの缶詰)
成果:
– 6点が商品化・販売好調
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私のポジション:UXデザインとデザイン・リサーチ
専門分野
長期にわたるユーザーの製品利用体験と 評価に関する心理の解明
長期にわたる人とモノとの関わりを調べていくと ユーザーにとってのモノの意味=経験価値こそ
重要であることがわかる
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実利用体験とユーザー心理
すごいニコニコ
使ってる感いっぱい
“日立いいわ”
実利用体験では、客観的な操作の達成度に関係なく 製品利用のモチベーションが強く影響
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実利用の評価を左右する心理的要因
インタラクティブ製品の評価は、ユーザーの“利用意欲”に左右される。この利用意欲は、2つの要因で構成される(安藤, 2008)。
製品ジャンルへの
興味・知識 操作することへの
積極性・自信
利用対象製品に対する
製品関与 インタラクティブ操作に対する
自己効力感
※自己効力感 「それぞれの課題が要求する行動の過程を、うまく
成し遂げるための能力についての個々の信念」(Bandura,1977)
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ユーザーの心理を理解する観点-SEPIA法の視点
“意欲”という観点で捉えると、UXを把握・議論しやすくなる (安藤, 2008)
“意欲”という観点でUXを捉え 製品の利用体験を導いていくという発想が重要となる
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ユーザー体験の構造 ~ メンタルモデル精緻化仮説(安藤, 2011)
UXは、ユーザーの生活におけるモノの意味=経験価値が、様々なタッチポイントで形成・精緻化されていく。
利用 エピソード
モノの意味 = 経験価値
時間
理解 意欲 理解 意欲 理解 意欲
利用 エピソード
利用 エピソード
利用 エピソード
強化
意欲 (期待)
調整
タッチポイント タッチポイント タッチポイント タッチポイント
・・・
(メンタルモデル精緻化仮説, 安藤,2011)
ユーザーにとっての
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デザイン・リサーチのための3つの観点 (安藤, 2010)
どんなリサーチも、デザインを生み出すには、以下の3つの観点でフィールドの情報を整理する必要がある。
新しい行為
=デザイン
着目する価値
=本質的ニーズ
コンテキスト
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デザイン・リサーチとデザイン手法との関係
ユーザモデリグの三階層
エスノグラフィ
コンテクストインタビュー
フォトエッセイ
デプスインタビュー
アンケート
ユーザ調査の代表的な手法
■価値観・インサイトの理解
■行為や文脈の理解
■属性・セグメンテーション
行動観察
主なデザイン手法
ペルソナ インタビュー/グルイン
問題シナリオ
ワークモデル分析
上位下位関係分析
KA法
CJM (as-is)
ファクトイド/KJ法
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UX
UXD
SD
顧客の主観的な体験 〜提供体を通して精緻化される経験価値が重要
経験価値を軸とした顧客の体験の計画 〜経験価値に着眼して新たな経験を創ることが重要
新たな提供体の全体的・組織的な計画 〜提供体を効果的かつ継続性を勘案することが重要
〜従業員をも“ユーザー”と見なす視点が重要
UXとUXDとサービスデザイン
Service Design = UXD + 全体的・組織的な計画?
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千葉工大のサービスデザイン演習のプロセス概念図
ヒトの 視点
モノの 視点
ビジネスの 視点
1.現状の調査と分析
2.コンセプトと構造(見えない構造・見える構造)
3.発想とコンセプトの可視化
4.ユーザー評価とコンセプトの修正
5.コンセプトの具体化(体験ビデオと“モノ”の具体化)
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千葉工大の入試広報課を題材にした学生課題の例
現状のリサーチ ヒトの視点 (体験価値)
モノの視点 (見取り図)
ビジネスの視点 (現状CVCA)
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千葉工大の入試広報課を題材にした学生課題の例
コンセプトムービー
提案コンセプト
全体像
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千葉工大の入試広報課を題材にした学生課題の例
提案コンセプト
ヒトの視点
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千葉工大の入試広報課を題材にした学生課題の例
提案コンセプト
モノの視点
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千葉工大の入試広報課を題材にした学生課題の例
提案コンセプト
ビジネスの視点
提案のCVCA
まとめ
“顧客価値”を軸とした、新たな提供体をデザイン・計画するという意味では、サービスデザインは、本質的にはほぼUXD。
サービスデザイン=UXD+全体的・組織的視点からの計画を行うことではないか。
大学でサービスデザイン教育を行うには、視点を定め・プロセスを示すことが重要だが、試行錯誤中。
デザイン教育実践では、“組織的観点(ビジネスの視点)”からの計画はかなりハードルが高い。
提案の評価をどの観点で行うべきかも課題。