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出典: Use of color-Doppler Ultrasonography for Selection of Recipients in Timed-Embryo Transfer Programs in Beef Cattle., Guilherme Pugliesi et al., Theriogenology, 135, 73-79,2019 Sep 1 文責:井口 上士幌では厳しい寒さが続いております。牛は寒さに強いといえども、ここまで寒いと少し心配になりますね。 今回は、良質な黄体を見分ける方法として近年注目されております超音波カラードップラーをトピックにした論文です。 今回の結果から、受卵牛選択の指標として、カラードップラーを用いた黄体血流量評価が最も有用であ ると示唆されました。論文ではロジスティック解析にて、受胎率と血流量において、正の相関があること も提示されていました。また、黄体の大きさに関しては、極端に大きすぎる黄体(> 6 cm 2 ) と小さすぎる黄体 (< 2 cm 2 )を除外する程度でとどめておき、適度な範囲であれば細かく気にする必要はないと筆者は述べてい ます。 ET研究所ニュース 令和22月号 概要・背景 カラードップラーを用いた受卵牛選抜によるET受胎率の改善 材料・方法 結果 受精卵移植を成功させるには、受卵牛における良質な黄体が不可欠です。小さな黄体よりも大きな黄体の 方が一般的に良質と言われていますが、機能的黄体を見分けるには十分でないことが最近の研究によって明らか になってきました。今回は、従来から言われている「黄体の大きさと受胎率」および「黄体血流量と受胎率」の 両者の関係性を明らかにするために、受精卵移植時に黄体観察を行い、受胎率まで追いました。 1. 黄体の大きさと受胎率の関係 1. 受胎牛・不受胎牛における各項目平均 (平均±標準誤差) 発情同期化した受卵牛(n=444) に、発情7日後、体外受精卵の新鮮卵を移植しました。 黄体観察(大きさ・血流) および採血(血清中P4濃度測定用)は移植時に行い、妊娠鑑定は移植後23日から38日で実施しました。 2. 黄体血流量と受胎率の関係 受胎率(%) 黄体の大きさ(cm 2 黄体血流 (%) 受胎率(%) 受胎牛群 不受胎牛群 P-value 黄体の大きさ(cm 2 ) 3.60±0.07 3.57±0.08 NS 血清P4濃度 (ng/mL) 2.90±0.26 2.67±0.19 NS 黄体血流 (%) 48.56±0.64 46.36±0.77 0.028 有意差なし (P> 0.1) High群は、Low群と比べ有意に受胎率が高い 受胎した牛群で不受胎群よりも 有意に黄体血流量が高い NS=non-significant (P>0.1) 2. 黄体血流で群分けした牛における各項目平均 (平均±標準誤差) 黄体血流量 Low 群で Medium群・High群と比べ 有意に黄体が小さく P4濃度も低い A,B: P <0.05 (有意差あり) Low(40 %以下) Medium(45-50 %) High(55 %以上) 黄体の大きさ(cm 2 ) 3.39±0.10 B 3.63±0.09 A 3.73±0.09 A 0.017 血清P4濃度 (ng/mL) 2.02±0.40 B 2.81±0.25 A 3.01±0.21 A 0.0004 黄体血流量 P-value バーの上は各群の 平均受胎率(%) バーの上は各群の 平均受胎率(%) 黄体血流(%) 黄体の最大面積において カラードップラーにて 血流が認められた面積の 割合

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出典: Use of color-Doppler Ultrasonography for Selection of Recipients in Timed-Embryo Transfer Programs in Beef Cattle., Guilherme Pugliesi et al., Theriogenology, 135, 73-79,2019 Sep 1 文責:井口

上士幌では厳しい寒さが続いております。牛は寒さに強いといえども、ここまで寒いと少し心配になりますね。今回は、良質な黄体を見分ける方法として近年注目されております超音波カラードップラーをトピックにした論文です。

今回の結果から、受卵牛選択の指標として、カラードップラーを用いた黄体血流量評価が最も有用であると示唆されました。論文ではロジスティック解析にて、受胎率と血流量において、正の相関があることも提示されていました。また、黄体の大きさに関しては、極端に大きすぎる黄体(> 6 cm2)と小さすぎる黄体(< 2 cm2)を除外する程度でとどめておき、適度な範囲であれば細かく気にする必要はないと筆者は述べています。

ET研究所ニュース 令和2年2月号

概要・背景

カラードップラーを用いた受卵牛選抜によるET受胎率の改善

材料・方法

結果

受精卵移植を成功させるには、受卵牛における良質な黄体が不可欠です。小さな黄体よりも大きな黄体の方が一般的に良質と言われていますが、機能的黄体を見分けるには十分でないことが最近の研究によって明らかになってきました。今回は、従来から言われている「黄体の大きさと受胎率」および「黄体血流量と受胎率」の両者の関係性を明らかにするために、受精卵移植時に黄体観察を行い、受胎率まで追いました。

図1. 黄体の大きさと受胎率の関係

表1. 受胎牛・不受胎牛における各項目平均(平均±標準誤差)

発情同期化した受卵牛(n=444) に、発情7日後、体外受精卵の新鮮卵を移植しました。黄体観察(大きさ・血流)および採血(血清中P4濃度測定用)は移植時に行い、妊娠鑑定は移植後23日から38日で実施しました。

図2. 黄体血流量と受胎率の関係

受胎率(%)

黄体の大きさ(cm2 ) 黄体血流 (%)

受胎率(%)

受胎牛群 不受胎牛群 P-value黄体の大きさ(cm2) 3.60±0.07 3.57±0.08 NS血清P4濃度 (ng/mL) 2.90±0.26 2.67±0.19 NS

黄体血流 (%) 48.56±0.64 46.36±0.77 0.028

有意差なし (P> 0.1)High群は、Low群と比べ有意に受胎率が高い

受胎した牛群で不受胎群よりも有意に黄体血流量が高い

NS=non-significant (P>0.1)

表2. 黄体血流で群分けした牛における各項目平均(平均±標準誤差)

黄体血流量 Low 群でMedium群・High群と比べ有意に黄体が小さく

P4濃度も低い

A,B: P <0.05(有意差あり)

Low(40 %以下) Medium(45-50 %) High(55 %以上)

黄体の大きさ(cm2) 3.39±0.10B 3.63±0.09A 3.73±0.09A 0.017血清P4濃度 (ng/mL) 2.02±0.40B 2.81±0.25A 3.01±0.21A 0.0004

黄体血流量P-value

バーの上は各群の平均受胎率(%)

バーの上は各群の平均受胎率(%)

黄体血流(%)黄体の最大面積においてカラードップラーにて血流が認められた面積の割合