ソーシャルメディアのビジネス活用最前線ver1.1.0

77
ソーシャルメディアのビジネス活用最前線 株式会社ループス・コミュニケーションズ 代表取締役 斉藤 徹

Upload: toru-saito

Post on 23-Jun-2015

24.709 views

Category:

Business


4 download

TRANSCRIPT

Page 1: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

ソーシャルメディアのビジネス活用最前線

株式会社ループス・コミュニケーションズ代表取締役 斉藤 徹

Page 2: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

目次

第一部: 世界を席巻するソーシャルメディアの新潮流  1. 加速するソーシャルメディア、世界を覆う  2. 企業もついにソーシャルメディアに覚醒した  3. 日本における企業ツイッターの活用実態

第二部: 企業はいかにソーシャルメディアと向きあうべきか  4. マーケティング3.0の時代  5. ソーシャルメディアの企業活用、類型化と事例紹介  6. ソーシャル活用を成功に導く、5つの視点

Page 3: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

第一部

世界を席巻する、ソーシャルメディアの新潮流

Page 4: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

1. 加速するソーシャルメディア、世界を覆う

Page 5: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

• 月ユニーク訪問者は 5.0億人• 毎日訪問する利用者は 2.5億人• 平均滞在時間は 1日 55分• 米国ネット利用者リーチ率 71%

F8 in San Francisco on 4/21

Facebookは10億人を目指して

Page 6: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

131ヶ国中110ヶ国で、FacebookがトップSNSに

CheckFacebook.com 2010/8 調査

Page 7: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

ローカルSNSは、Tipping Pointを超えると必ず逆転される1. アメリカ (Myspace)

2. フランス (Skyrock)

3. メキシコ (Hi5)

4. フィリピン (Friendster)

5. サウジアラビア (Maktob)

6. インド (Orkut)

Page 8: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

Facebook未制覇国リスト。特に日本は低普及率が深刻

Page 9: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

米国ネット視聴時間で、ソーシャルメディアが圧倒

ソーシャルメディア > メール + ポータル + 検索 + 動画

Nielsen 2010/8 調査

Page 10: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

米国におけるソーシャルメディア浸透予測率

eMarketer 2010/5 調査

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

42%

52%58%

61% 64% 65% 66%

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

Page 11: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

米国におけるソーシャルメディア浸透予測率

eMarketer 2010/5 調査

0%

17%

33%

50%

67%

83%

100%

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

0-11 12-17 18-24 25-34 35-44 45-54 55-64 65-

0-

65-

55-

45-

35-

25-12-18-

Page 12: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

ソーシャルメディア利用者の 93% は、

企業もソーシャルメディアに参加すべきと考えている

Page 13: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

    2. 企業もソーシャルメディアに覚醒、

         世界的な予算シフトがはじまった

Page 14: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

0% 15% 30% 45% 60% 75%

65%

54%

50%

33%

Twitter

Facebook

YouTube

Blog

Fortune100社の 65%は、Twitterを開始

Burson Marsteller 2010/2調査

Page 15: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

 Duke大学およびAMA 2010/2調査

米マーケ全予算に占めるソーシャルメディア比率

0%

5%

10%

15%

20%

3.5%6.1%

13.7%

5.6%

9.9%

17.7%

現在のSM比率12ヶ月後のSM比率

5年後のSM比率

2009/8 2010/2

Page 16: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

 Duke大学およびAMA 2010/2調査

米マーケ予算に占めるソーシャルメディア比率2009/8 2010/2

現在のSocialmedia比率

B2B - 製品

現在のSocialmedia比率

B2B - サービス現在のSocialmedia比率 B2C - 製品

現在のSocialmedia比率 B2C - サービス

現在のSocialmedia比率

平均

12ヶ月後のSocialmedia比率

B2B - 製品

12ヶ月後のSocialmedia比率

B2B - サービス12ヶ月後のSocialmedia比率 B2C - 製品12ヶ月後の

Socialmedia比率 B2C - サービス

12ヶ月後のSocialmedia比率

平均

5年後のSocialmedia比率

B2B - 製品

5年後のSocialmedia比率

B2B - サービス5年後のSocialmedia比率 B2C - 製品

5年後のSocialmedia比率 B2C - サービス

5年後のSocialmedia比率

平均

2.5% 3.4%3.9% 6.5%5.3% 6.7%2.9% 6.9%3.5% 5.6%4.5% 7.4%6.5% 11.0%7.5% 11.6%8.8% 10.7%6.1% 9.9%12.6% 15.3%13.5% 18.9%15.0% 18.9%15.4% 18.5%13.7% 17.7%

Page 17: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

3. 日本における企業ツイッターの活用実態

~ Twitter運用チームに所属する315名へのアンケート ~2010年7月 ループスおよびNTTレゾナント共同調査

Page 18: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

(参考) 日本では、Twitterが1000万人を超えた

Nielsen 2010年8月度調査

(千人)

Page 19: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

27%

22%25%

12%

14%

~ 1ヶ月 ~ 3ヶ月~ 6ヶ月 ~ 1年1年以上

ここ3ヶ月以内に開始した企業が 49%

ツイッター開始時期

Page 20: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

44%

20%

10%

7%

4%4%

11%

なし~ 100万円~ 300万円~ 500万円~ 1000万円1000万円以上わからない

ツイッター予算なし 44% 実験的運用が中心

ツイッター予算

Page 21: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

ツイッターと併用したいソーシャルメディア

0%

10%

20%

30%

40%60%

31%

21%

16%15%

ブログ YouTube mixiUstream

Facebook

Page 22: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

ツイッター施策のトップ5、好感度重視の傾向

0% 10% 20% 30% 40%

34%

33%

31%

25%

22%

好感キャラクタを演出

商品サービスを告知

利用者とのフランクな交流

業界の有益な情報を提供

自社サイトへのリンク誘導

Page 23: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

定量効果、定性効果とも、5割以上 が体感

0% 10%20%30% 40% 50% 60% 70%

66%

57%

50%

50%

公式ブログのアクセスが増加

ツイッターで問い合わせが増加

ECサイトの売上が増加

営業で顧客との関係が向上

Page 24: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

企業規模が大きくなるほど、ツイッター効果が大10人未満 100人未満 1000人未満 1000人以上

公式ブログのアクセスが増加自社サイトのアクセスが増加ECサイトのアクセスが増加リアル店舗の訪問者が増加ツイッターの問合せが増加Web/メールの問合せが増加電話の問合せが増加ECサイトの売上が増加新規顧客数が増加既存顧客のリピート率が増加顧客単価が増加営業で顧客との関係が向上顧客への社員意識が向上顧客の満足度が向上苦情クレーム件数が減少

51% 66% 75% 82%43% 58% 67% 80%39% 53% 52% 73%22% 50% 59% 71%27% 58% 77% 83%23% 52% 73% 83%18% 44% 52% 68%34% 50% 48% 73%26% 47% 64% 68%22% 51% 58% 73%20% 38% 55% 62%27% 53% 61% 75%27% 46% 67% 72%23% 42% 58% 65%18% 44% 52% 68%

平 均 27% 49% 61% 72%

・ツイッター効果を体感するには、一定のフォロワー数が必要・「なんとなく開始」ではなく「しっかりした企画」が大切

Page 25: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

           第二部

    企業はいかにソーシャル

        メディアと向き合うべきか?

Page 26: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

4. Marketing3.0の時代

Page 27: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

 1989年。ベルリンの壁崩壊、東西冷戦終結   ・経済グローバル化により、世界がひとつに   ・インターネットと携帯普及により、生活者が主役に

 2008年。リーマンショック、世界同時不況   ・行き過ぎた資本主義の修正、世界共通の課題に   ・環境、貧困、資源等、世界全体で解決すべき悩みに

ソーシャルメディアが    世界の人々の心をつなぐ

生活者は「世界をより良く」する企業に共感しはじめた

Page 28: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

Marketingのはじまり

顧客は好みの色の車を買うことができる。好みの色が黒である限りは。

ヘンリーフォード

Page 29: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

Marketing1.0「製品が中心」よいモノは売れる。消費者はひとつのカタマリ

Page 30: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

Marketing2.0「消費者が中心」

モノあふれの時代、消費者ニーズを細分してアプローチ

Page 31: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

Marketing3.0「人間が中心」

生活者はひとりひとり異なる、心を持った人間

Page 32: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

土器職人の憂鬱 ~ 陸の孤島で、マーケティングを考える船が座礁、100人の乗客が無人島へ。小集団で分散、食事や水補給の器が問題となった

Marketing以前 ある男性が土器の作り方を考案。仲間2人と土器づくりを開始         → マーケティング不要。高価値をつけた人に配る

Marketing1.0  ある女性も土器づくりマスター。商売敵ができたが、モノは足りない         → 商いに創意工夫。土器(Product)改良、適性価値(Price)設定、           各グループ(Place)配布、売り文句(Promotion)考案する

Marketing2.0  ぞくぞくと土器職人。モノ溢れで、棲み分けが必要になってくる         → 使い方を分析(Segmentation)、分野を棲み分け(Targeting)、           独自の工夫(Positioning)を行いはじめる         特定のグループに継続して使ってもらうと楽なことに気づく(CRM)         過当競争で、過度な宣伝文句や品質ごまかしが多発。利用者が過敏に

Marketing3.0  消費者が賢くなる。情報共有がはじまり、消費者主導の時代になる         → 質の悪い職人は排除、煙で近隣に迷惑かける職人も排除           顧客思い(Advocacy)の職人が人気、友人紹介や商品アドバイス

Page 33: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

生活者は、大きく変化しはじめた

・Marketing1.0 「どのように販売するか?」・Marketing2.0 「どのように顧客に継続販売するか?」・Marketing3.0 「どのように顧客に協力してもらうか?」

・生活者は、機能的な満足だけではなく、人間精神の満足 を求めはじめた。 ・マーケッターは、生活者を 心を持つ人間、パートナー と捉えるべき。・顧客は、企業活動に対して積極的に関与し、付加価値を共創 しはじめた。

マーケティングの課題も進化しはじめた

Page 34: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

少量仕入 大量生産 POS単品管理 企画生産一気通貫

クイックレスポンス 顧客参加型

少量販売 大量販売 多品種大量販売

少品種大量販売

多品種少量販売

適品種適量販売

個人商店 高度成長期メーカー

セブンイレブン

ユニクロGAP

ワールドZARA

Social Commerce

顧客満足 ◎顧客数  ☓

商品数  ☓

広域性  ☓

顧客満足 ☓顧客数  ◎商品数  ◎広域性  ◎

顧客満足 △顧客数  ◎商品数  ◎広域性  ◎

顧客満足 ◯顧客数  ◎商品数  ◯広域性  ◎

顧客満足 ◯顧客数  ◎商品数  ◎広域性  ◎

顧客満足 ◎顧客数  ◎商品数  ◎広域性  ◎

商い ブロダクトアウト SPA Neo SPA

売り手と買い手の顔が見え、対話しながら売買する「商いの原点」回帰へ

商売(ものづくり)の変遷

Page 35: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

江戸時代の三河屋は、ご近所のひとりひとりについて、どんなものが好きか、どんな悩みをもっているかを日頃の付き合いで自然に把握し、それを商売に生かしていた。「梅さん、やっと活きのいいサンマが入ったよ、持ってきなよ」 こんな自然な会話で商売の輪が広がっていく。それだけではない。近所づきあいの中で、悪徳商売をする越後屋の悪事はすぐに噂になる時代だった。

Page 36: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

ソーシャルの力で「商い」は原点に回帰する

~ 売り手と買い手が対話しながら、

   ともに良いサービスをつくりあげ、

  誠実で思いやりある売り買いが行われる ~

Page 37: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

従来型生産活動

社内企画チームによる商品企画

社内開発チームによる試作、検査 商品販売 社内CSチームに

よる顧客サポート

ソーシャル時代の生産活動

顧客の声を分析しインサイトを発掘

顧客の声から「キラリと光る」アイディアを発掘

ユーザーニーズを確認しながら試作

試作品のお試し会で生の声を傾聴

売り場で利用者が商品レビュー等を対話できる場を提供

共同購入などで利用者が友人を顧客として誘引

顧客間での助け合いの場を提供

商品改善アイディア募集と投票

ソーシャル時代の生産活動

商品企画 商品開発 商品販売 顧客サポート

モノづくりからサポートまで、生活者は新しい付加価値を創造するパートナー

ソーシャルメディア上での対話交流を通じた、企業と生活者間での信頼関係の構築

Page 38: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

商品企画 ~ 顧客の生の声を傾聴し、新しいニーズを発掘 商品開発 ~ 商品開発をコラボレートし、プロセスを公開   ~ 試食などを共同体験し、ファンを醸成   

商品販売 ~ 売り場では、生活者が交流できる場を提供顧客支援 ~ 販売後も、生活者同士が支援しあう場を提供

生活者はボランティアで参加する生活者に共感され、愛される企業のみ、その力を享受できる

モノづくりから顧客サポートまで、生活者は新しい付加価値を創造するパートナー

Page 39: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

従来型Eコマース

メルマガ等告知

購買履歴によるリコメンド

商品説明

匿名利用者の商品レビュー

商品検索 購買行動 商品レビューを匿名で入力

ソーシャルコマース

友人によるクチコミで需要喚起

信頼・同好の友人による商品レビュー

友人推薦を加味した商品検索

コミュニティでの情報交換

友人やグループで共同購入

商品レビューを非匿名で入力

コミュニティへの書込み

ソーシャルコマース

Attention注意

Interest関心

Search検索

Action購買

Share情報共有

モノを売るプロセスにおいて、生活者は好感ブランドの強力な支援者となる

ソーシャルメディア上での対話交流を通じた、企業と生活者間での信頼関係の構築

Page 40: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

モノを売るプロセスにおいて、生活者はブランドの支援者となる

検索 ~ 友人推薦も加味した商品検索購買 ~ 利用者が仲間をつどう共同購入共有 ~ 非匿名での信頼性の高い商品レビュー

関心 ~ 興味を持つ利用者間での情報交流を促進興味 ~ ソーシャルリコメンドによる推薦商品の提示

生活者はボランティアで参加する生活者に共感され、愛される企業のみ、その力を享受できる

Page 41: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

8

Copyright © 2010 The Nielsen Company. Confidential and proprietary.

商品/サービス購入時に参照する情報:ネット上の商品レビューは、「信頼に値する情報」の3位にランクイン

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70%

Unknown peers

None of the above

Influential bloggers

News sources

TV

Social media sites

Search engines

Discussion forums

Product web sites

Online product reviews

Family

Friends

商品やサービスを購入検討する時、最も信頼している情報源

(出典:ニールセン・グローバルオンライン調査、2010年4月、トータル・ベース n=7063)

友人家族

ネットでの商品レビュー商品サイト

ディスカッション・フォーラムサーチエンジン

SNSサイトTV

ニュースアルファブロガー

上記以外知らない人

Nielsen 2010年4月度調査

友人や家族のリコメンドが、購買意思決定のカギ

Page 42: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

Nielsen&Facebook 2010/4調査

友人推薦の効果検証

1. Engagement Ad (通常広告)�����通常のペイド広告

2.Ad with Social Context (ソーシャル広告)�����広告 + ファンの友人を表示

3.Organic Ad Impression (友人フィード)�����友人がファンになったというフィード

Page 43: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

Nielsen&Facebook 2010/4調査

広告、ソーシャル広告、友人フィードの効果

• Ad Recall (広告記憶 ... 広告があったことを記憶している)• Awareness (広告メッセージ認知 ... 広告内容を知覚している)• Purchase Intent (購入意思)

Page 44: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

リコメンドエンジン

専門家の推薦

友人の推薦

< <

友人は、無料かつ無限の資源

「信頼と同好」の発見と創出

Page 45: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

5. ソーシャルメディアの企業活用

    その類型化と成功事例について

Page 46: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

ソーシャルメディア活用の類型化

メガSNS上メガSNSと

自社サイト連携自社サイト中心

商品開発

コマース

顧客支援

ブランディング

ファミリーマート STARBUCKS 無印良品

DellOutlet1-800-FLOWERS Levi’s ニッセン

ComcastBestBuy - LEGO

Zappos 米国Honda Pepsi

Page 47: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

1. ソーシャルメディアで、商品開発する

Page 48: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

生活者の知恵を活用、大ヒット創出 - くらしの良品研究所

 ・「わけあって安い」で急成長の無印良品、ユニクロやダイソー追い上げで2001年業績急落 ・コモディティ化の中、生活者視点の商品開発を行うため「モノづくりコミュニティ」を開設 ・アイディア投稿、アイディア投票、デザイン投票、購入予約、商品化決定 および 進捗報告

Page 49: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

大ヒット、ロングセラー商品を生みだす

発売後1年半で6万個強を販売,売上10億5900万円。生活雑貨第5位の大ヒット単品で、累積80億円を売り上げるロングセラー商品に

Page 50: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

市場飽和,消費の成熟化,機能面での差別化困難,価格競争,広告効果低下,商品コモディティ化,商品サイクル短命化・・・

持ち運びできるあかり

貼ったまま読める透明付箋紙

からだにフィットするソファ

立つドライヤー

差別化が困難な時代こそ,「生活者の声を商品へ」

シンボル(エッセンス)

メンタル・ベネフィット(情緒的価値)

フィジカル・ベネフィット(機能的価値)

スペック(基本価値)

ここで勝負!

Page 51: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

ソーシャル商品開発、活用の原則

  原則1 全く知識や経験のない生活者を対象にしても失敗する  → 顧客は「商品使用」のプロフェッショナル  → 企業は「商品企画開発」のプロフェッショナル

  原則2 生活者はボランティア精神で参加する  → 生活者との対話を通じて、信頼や共感を醸成する  → ボランティア精神、認知欲求、自己実現欲求  → 過剰な報酬は逆効果

  原則3 知識集約のメカニズムを最適に使い分ける     → 新商品アイディアは「発想募集型」     → デザイン・商品スペック・価格設定等は「交流・投票型」     → 顧客サポートは「共創型」

Page 52: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

2. ソーシャルメディアで、コマースする

1) メガSNS内(ファンページ)でコマース

2) メガSNSと連携した自社コマース

3) 自社SNSと連携した自社コマース

Page 53: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

1) メガSNS内のコマースサイト - 1-800-FLOWERS

 ・Facebook上で完全に統合された世界初のショッピングストアを構築した生花小売大手 ・誕生日等、バーチャルグッズだけでなくリアルな花をというSNSならではのニーズに呼応 ・Facebookのショップから自社コマースに誘導するタイプは、Best Buyなど多数あり

Page 54: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

 ・Facebook上で簡単にオンラインショップを構築できるアプリ(ベータ版のため無料) ・通常のコマース機能を実現する他、ファンページ「いいね」で特別値引きなども可能 ・在庫を独自ツールでエクスポート。在庫管理、収支管理、プロモーションツールもあり

Facebookアプリ - Payvment

(参考) コマース開設用の専用アプリが便利

Page 55: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

 ・Facebookのオープングラフをフル活用したコマースサイトとして話題のジーンズ大手製造 ・LIkeボタンのクリック数(全体と友人のみ)で人気商品や誰が好きかが一目でわかる ・ボタンクリックで友人にフィード告知。「もうすぐ誕生日の友人」表示でプレゼント促進

2) メガSNSと連携した自社コマース - Levi’s FRIENDS STORE

Page 56: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

 ・売上500億円、会員900万人の巨大コマースNissen Onlineに自社SNSハピテラをプラス ・シングルサインオンでシームレスに移動。購入者しか書き込めない信頼できる商品レビュー ・顧客単価アップと返品率削減効果。さらにコミュニティ会話を商品開発にフィードバック

3) 自社SNSと連携した自社コマース - ニッセン

Page 57: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

属性別に特徴キーワードを把握 各種グラフからクロス分析まで

単語を時系列に追い、変化をキャッチ テキストから感情解析、ニーズを発見

(参考) 自社SNSの強みは、顧客の声のテキストマイニング分析

Page 58: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

ソーシャルコマース、活用の原則  原則1 ソーシャルメディアをうまく活用する     → オススメは、自社コマースとソーシャルメディアを連携   原則2 ソーシャルフィルタリングで、潜在的な需要を喚起する  → 友人の購入リスト、ウィッシュリストを提示  → 利用者による商品ランキングを提示  → 共同購入などでソーシャルメディアに購入者推薦を配信

原則3 ソーシャルリコメンドで、購入意思決定を後押しする  → 外部ソーシャルグラフを活用し、友人推薦を提示

原則4 ソーシャル効果で、リアル店舗に集客する  → フラッシュマーケティングによる新規顧客の開拓  → チェックインサービスによる顧客ロイヤリティの向上  → モバイルやデジタルサイネージの活用

Page 59: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

Twitter,SNS

イベント

自社コマースリアルショップ コマースサイト

商品を体験

クチコミする

検索

顧客のクチコミ動線設計 (白点線)

マスメディア

ブログ 自社サイト クチコミサイト

知る

調べる

買う

使う

語る

ユーザーのサイト動線

ユーザーのクチコミ動線

潜在需要の喚起

購入決定の引き金

Page 60: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

3. ソーシャルメディアで、顧客サポートする

Page 61: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

ツイッター上で能動的にトラブルを発見 - Comcast

 ・大手ケーブルTVのコムキャスト、悪評に悩むカスタマーサポート責任者がTwitter開始 ・ケーブルTVトラブルで悩む利用者を自らツイッターで検索し、能動的にサポート ・1年で2000件を解決し、今や9人体制。顧客満足9%向上、CEOは企業文化を変えたと明言

Page 62: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

自社製品のプロシューマコミュニティ - LEGO Mindstorm

 ・ 組立てたロボットのプログラムをオープンソース化し,顧客が交流できる場を提供 ・マニアがコミュニティに集まり,様々な手が加えられて、製品が独自に進化しはじめる ・マインドストームの魅力,経験価値が一層広がり,売上も増加した

Page 63: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

ソーシャル顧客サポート、活用の原則

  原則1 商品を購入した顧客が交流できるオープンな場を提供する  → コミュニティ運用には、プロのモデレーターが必須  → 顧客間サポート、商品改善アイディア収集を促進

  原則2 CRMシステムにソーシャルメディアを連携する  → コンタクト手段として、電話、メールにソーシャルを追加  → 迅速な応対が命。チーム、運用方法、システムを改善

  原則3 アクティブサポートを実施する  → リアルタイム検索で潜在トラブルを発掘、コンタクト

  原則4  顧客支援姿勢を社内で徹底する  → 自社都合より、顧客都合を優先する (誠実対話と迅速対応)  → 顧客サポートを、最高のブランディング機会と捉える

Page 64: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

Groupon成功の背景には、徹底したアドボカシー思想がある

 ・創業2年で売上300億円、利益40億円。史上最速成長ベンチャーとして注目のGroupon ・勝因は、1日1クーポンでシンプルを徹底、リアル店舗の商材、ソーシャルメディアの活用 ・その背景には徹底した顧客満足、店舗満足へのこだわり → 広告主の97%は再掲載を希望

グルーポンの徹底した顧客満足指針

・全てのクーポンにある電話番号クーポン発行されたお店で何か困ったことがあれば、すぐにグルーポンへ電話をどうぞ。アマゾンのカスタマーサービス電話番号みたいなものです。

・顧客への謝罪グルーポンは良いお店を綿密に調べることに狂信的です。お店が何百ものクーポンを売った後にビジネスが機能しなくなった時には、全チームを集め"申し訳ありません"と書かれた紙を持たせ写真を撮りました。そして購入者全員に写真を送ると共に返金しました。

・鉄壁の保証グルーポンの体験に満足できなければ、お金を払戻しします。例えクーポンを使った後でもです。これは「グルーポンの約束」です。

・コールセンターは顧客との大切なタッチポイントグルーポンでは、コールセンターは利用者との接点として大切な役割を担っています。対応する社員は特定のスクリプトを持たず、応対時間に制限もありません。そして彼らは、第一回目の電話で顧客の問題を解決することに対して強い熱意と責任感を持っています。

Page 65: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

4. ソーシャルメディアで、ブランディングする

Page 66: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

世界最大級のソーシャルメディア・プロモーション - Pepsi

 ・年10億円以上のスーパーボールCMを撤退、2010年からソーシャルメディアに投入 ・社会貢献コンテスト「Pepsi Refresh Project」でユーザー参加型プロモーションを開始 ・媒体費はゼロ、20億円を選ばれたプロジェクトに寄付。1年間で350件の社会貢献を創出

Page 67: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

世界最大級のソーシャルメディア・プロモーション - Pepsi

2009スーパーボールCM3分(30秒×6回)

1億人が閲覧?人が記憶

15億円の媒体費テレビ

2010社会貢献プログラム525,600分(1年間)1万件 ×?人が体験1万件 ×?人が記憶20億円の社会投資ソーシャルメディア

Page 68: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

ソーシャルブランディング、活用の原則

  原則1 世界、社会、地域、家族などに貢献するテーマを選択する  → ソーシャル(社会貢献)とソーシャルメディアは相性最高

  原則2 企業発信より、利用者発信の促進を設計する  → 利用者がソーシャルメディアで集客してくれる事がベスト  → コンテスト系、共同目標系、セルフブランディング系の企画  → インセンティブは控えめに。過剰なものは逆効果

  原則3 サービス認知や初期流入はメディアミックスで  → マスメディアからソーシャルメディアへの誘導を設計

  原則4  顧客対話を大切に  → 一方通行は厳禁、誠実対話と迅速対応を旨とする  → 顧客との直接交流を、最高のブランディング機会と捉える

Page 69: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

6. ソーシャル活用を成功に導く、5つの視点

Page 70: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

1. 目的と効果測定指標を設定、PDCAを回す a.対話エンゲージメント 1. エンゲージメント率 = リプライ数 / フォロワー数             2. インフルエンス率 = ReTweet数 / ツイート数         3. ツイートシェア = 自社に関するツイート数 / 競合に関するツイート数             4. 好感度スコア    = 上記(自社および競合)ツイートのうち、ポジティブ率

 b.販売プロモーション 1. 販促ツイート率 = 販促ツイート数(販促系ツイート数) / 全ツイート数         2. クリック率 = URLクリック数 / フォロワー数         3. コンバージョン率 = コンバージョン数 / URLクリック数                             ここでコンバージョン数: 購入数、問合せ数、DL数等)         4. リピート率 = リピートコンバージョン数 / 総コンバージョン数

 c.顧客サポート     1. ツイッター相談件数 = 特定期間あたりの問い合わせ件数         2. 解決率 = 解決した相談数 / 相談数の合計         3. 平均レスポンス時間 = 返答に要した時間の合計 / 相談数の合計         4. 顧客満足度     = アンケート結果(5段階評価) / アンケート回答数

 d.コラボレーション     1. フィードバック件数 = 特定期間あたりの利用者からのフィードバック件数         2. 有効フィードバック率 = 参考になったフィードバック数 / 総フィードバック数         3. 好感フィードバック率 = ポジティブなフィードバック数 / 総フィードバック数         4. リピート率 = リピート・フィードバック数 / 総フィードバック数

               ・ツイッターの総合指標としては、NPS(ネット・プロモーター・スコア)を推奨                「会社・商品・サービスを,友人・知人にすすめますか?」 を11段階(0-10)評価

Page 71: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

2. ソーシャルメディア担当チームを組織化する 1. コミュニティマネージャーを選定する   ・ソーシャルメディアを理解し、顧客満足に大いなる情熱を持つこと   ・トラブル発生時に、経営層まで交渉でき、即断できること

 2. ツイート担当者を選定する   ・ツイッターが大好きな社員、社内公募も一案   ・外交的で、即応でき、コミュニケーション能力が高い社員   ・おすすめは、デジタルネイティブな女性社員か顧客接点の多い社員   ・できれば、アイコンないし背景画面で写真やプロフィールを掲示

 3. タスクチームの創設する   ・担当者を支援する横断チーム(広報、営業、Web担、CS、商品企画)   ・運用マニュアルを作成

Page 72: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

3. 万が一の炎上トラブル、万全に備える 1. トラブル発生をどう防止するかを事前に検討する   ・トラブルを発見するために、ツイートのモニタリング手段を検討   ・ツイートの事前検閲をするか、承認ツールをどうするかを検討   ・担当者向けに「ツイートべからず集」などを運用マニュアル化

  例1) 個人情報や機密情報をツイートしない    例2) 不快にさせない、嘘や不確かなことをツイートしない    例3) 問いかけや苦情には、速やかに、誠実に応対する

 2. 炎上発生時の緊急危機管理を事前に検討する   ・緊急時の行動基準、対応権限を検討し、運用マニュアル化   ・緊急時の相談先、危機管理アドバイザーを検討   ・最悪の場合、社長名で謝罪リリースを即発信すべきケースがある    その場合の承認ルート、休暇時の連絡先等を検討

Page 73: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

4. 最新のソーシャルトレンドを取り入れる

3. チェックインサービス (位置情報連動)位置情報プラットフォームと連動し、来店促進を図る。携帯ポイント連携でロイヤルカスタマーを育成する効果も高い。米マクドナルドはギフトカード100枚($1000)をFoursquareチェックインユーザーにランダムにプレゼント、当日のチェックイン数が33%増加した。

4. ソーシャルゲームソーシャルゲームは、その高収益性だけでなく、友人招待を誘引、ソーシャルグラフを生成する効果がある。米Hondaは「Car Town」とCR-Zタイアップ・キャンペーンを実施、無名デベロッパーにもかかわらず20日間で360万人を動員した。

2. フラッシュマーケティングお得感をシンプルに演出し、タイムセールを組み込み、ソーシャルバワーを最大限に活用するこの手法はGroupon風サービスとして日本でも爆発。また多くのコマースサイトでも採用可能なアプローチだ。衝動買い促進を狙い、新規顧客の獲得における強力なツールとなる。

1. リアルタイム動画ストリーミングTwitterと相性の良いUstreamを併用する企業が増えている。ユーザー参加型ファッションコンテスト「nissen, BEST STYLING CONEST2010」など新しい取り組みを増えている。動画パワーで利用者の参加感が非常に高く、より効率的なファン化や購買化が期待できる。

Page 74: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

5. オンライン to オフライン を促進するオンラインのソーシャル効果 ・フラッシュマーケティングによる新規顧客の開拓 ・チェックインサービスによる顧客ロイヤリティの向上 ・モバイルやデジタルサイネージの活用   - ソーシャルフィルタリングによる潜在需要の喚起   - ソーシャルリコメンドによる購入決定の引き金

オフラインへの経済波及効果 ・店舗への新規顧客誘導、顧客リテンションの促進 ・ポイントを活用(オンラインで特典、オフラインで消費)

数十倍の経済規模があるオフライン経済を活性化

Page 75: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

Back to the Realworld  ・スマートフォン、テレビ、自動車、フォトフレーム、ICタグ(RFID) ... リアルな世界が電脳化  ・プラットフォーム、UGC、ソーシャルグラフ、ライフログ ... クラウドがアカシックレコードに

Online 2 Offline ~ 数十倍規模のオフライン経済を、オンライン効果で活性化

Page 76: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

本日のまとめ・ソーシャルメディアが世界を変える。世界の人々は緊密につながり、 目に見えない価値(共感、信頼、評判、尊敬)が可視化された。

・生活者の行動変化とメディア変革がマーケティングを変える。これからは マーケティング3.0の時代、顧客は企業に付加価値を提供するパートナー に進化する。商品企画からサポートまで、生活者に愛され、そのパワーを 得た企業のみが新時代に生き残る。

・ソーシャルメディア活用方法には、ソーシャルメディア内、自社サイトと ソーシャルメディアの連携、自社メディアという3パターンがある。これ からのトレンドは、自社サイトとソーシャルメディアの連携だろう。 ・ソーシャルを成功に導くには5つの秘訣がある。目的とKPI設定、運用する チームの組織化、トラブル対策、最新トレンドの採用、オフライン経済の 活性化だ。そして時代はリアルへ。

Page 77: ソーシャルメディアのビジネス活用最前線Ver1.1.0

ご意見、ご感想をぜひお寄せください。

            ツイッター:  @toru_saito

            ブログ:    in the looop