揮発性有機化合物(voc )汚染対策に、鉄粉浄化工...
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2009年 9月 8日
揮発性有機化合物(VOC※1)汚染対策に、鉄粉浄化工法3つの
新技術を開発
開発の背景
近年の土壌・地下水汚染対策は、法規制や周辺環境負荷の低減、エネルギー節減の観点
から、掘削して土壌を他の場所へ廃棄するという従来の方式を改め、掘削も廃棄も行
わない原位置浄化※2の方法が主流となっています。とくに揮発性有機化合物(VOC)汚染の浄化では、環境負荷が少なく経済性に優れた鉄粉混合による還元分解や嫌気性
バイオによる分解などの原位置分解工法が確立されてきています。
JFEミネラルでは、JFEスチールの製鉄事業で蓄積した鉄粉技術を活かして、鉄粉混合による浄化工法を実用化し高い評価をいただいています。
このたびは、そうした鉄粉工法における実績を踏まえて、VOC土壌・地下水汚染対策の新たなニーズに応える3つの新技術(商品1;VOC分解用高性能鉄粉、工法2;鉄粉気泡工法および鉄粉カートリッジ工法)を開発しました。
新開発技術は以下の3アイテムです。
(1)VOC分解用高性能鉄粉 (商品名 MSI-901T)(2)鉄粉気泡工法(3)鉄粉カートリッジ工法
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐(注釈)
※1.VOCとは、金属の脱脂用に使われたトリクロロエチレンや、クリーニング液として使われたテトラク
ロロエチレンなど、以前は産業界で広く多量に使用された溶剤の一種です。使用中に漏れ
たりして地中に入ると、VOCは浸透力が高いため地下深部に滲み込んで土壌や地下水の汚染を生じます。地下水経由で人体に入ると健康を損ねることがあるため、土壌汚染対策法
によってVOCに関する基準値が定められています。※2.原位置浄化とは、
土壌汚染を浄化する時に、汚染した土を掘り上げずに、その場(原位置)で汚染物質を除
去する方法です。地下水を汲み上げるなどして汚染物質を地中から地上へ取り出し別途処
理する方法(原位置抽出)や、地中で分解する方法(原位置分解)があります。
本件に関するお問い合わせ先は下記までお願いいたします。
JFEミネラル株式会社 環境プロジェクト部
VOCs分解挙動の比較100
10
0.1
0.01
1
0 24 48 72 96 120 144 168 192
VOC濃度(mg/L)
時間(hr)
開発品 シス-DCE従来品 シス-DCE開発品 TCE従来品 TCE
各種VOCsの分解性能比較
VOC種 反応速度定数〔h-1〕
1/100低減に要する日数
1,1,1-トリクロロエタン1,1,2-トリクロロエタン1.1-ジクロロエチレンシス-1,2-ジクロロエチレントリクロロエチレンテトラクロロエチレンシス-1,3-ジクロロプロペントランス-1,3-ジクロロプロペン四塩化炭素
-0.04-0.04-0.05-0.06-0.04-0.02-0.09-0.09-0.03
5日5日4日3日5日13日2日2日6日
いずれのデータは当社試験方法によるラボ試験の測定結果であり実サイトでの分解性能を保証するものではありません
凹凸状付着物が触媒
局所電池反応で電子を供給
触媒表面から水素を供給
金属鉄
VOCs
e H触媒
2つの機能がVOCsに素早くアタック 強力分解2つの機能がVOCsに素早くアタック 強力分解
機能1 脱塩素+水素化触媒機能2 触媒・金属鉄間の局所電池反応
純鉄の表面を触媒でコーティング
鉄粉断面のEPMA像 鉄粉表面のSEM像
特徴特徴
高い分解性能 テトラクロロエチレン、トリクロロエチレンなどを短期間に環境基準以下まで分解処理することができます。 また、分解生成物質(シス-1,2-ジクロロエチレン)を副生しません。
優れた経済性 製鉄所の技術、ノウハウより生まれた高性能材料であるため添加量は少量で施工可能です。 従来のVOC分解鉄粉よりも安価にご提供できます。
優れた施工性 土壌への混合、浄化壁、地中への高圧噴射攪拌など、多様な工法に適用可能です。また、土壌だけでなく 地下水浄化にも有効です。
環境にやさしい 粉塵が発生しにくく、土壌・地下水中で、他の第2種特定有害物質の溶出が起こりません。
1
2
3
4
赤色部が触媒
VOCs分解用高性能鉄粉 MSI-901TVOCs分解用高性能鉄粉 MSI-901T
従来工法では、地盤に大量の水を送り込むため、地表が泥沼の様になりましたが、気泡工法では、水量も少ないため、地盤への影響も小さくなります。
従来工法 気泡工法
必要水量 135m3 9m3
排泥量 50m3 0m3
プラントヤード 20m×20m 10m×5m
鉄粉 水 気泡剤
気泡発生機
ミキサー
ポンプ
地盤改良機
高性能鉄粉MSI-901Tを用いて適用ください高性能鉄粉MSI-901Tを用いて適用ください
鉄粉気泡工法鉄粉気泡工法
鉄粉混合工法は、高濃度VOC汚染を短期間で浄化する工法です。しかし、デメリットとして大型プラントが必要なことと、大量の排泥が発生する問題がありました。気泡工法は、従来工法で使用してきた水の代わりに、泡をつかうことで、この問題を解決しました。
気泡工法のメリット気泡工法のメリット 気泡工法フロー気泡工法フロー
※当社比較値であり、汚染や現地の状況により異なります。 計算条件:土壌汚染範囲:10m×10m×5m=500m3 鉄粉配合:重量比5%、鉄粉量:45t
施工状況施工状況
共同開発 太洋基礎工業株式会社混合状況
気泡状況施工後状況
無排泥・小スペースの新しい鉄粉混合工法無排泥・小スペースの新しい鉄粉混合工法
C-2 Ob-5 Ob-6
0.5m
1.5m
トリクロロエチレン濃度(mg/L)
0 500 1000 15000.001
0.01
0.1
1
環境基準0.03mg/L
C-2 Ob-5(0.5m) Ob-6(1.5m)
経過時間 (hr)
P
浄化水
汚染水
鉄粉カートリッジ
50mm井戸
汚染の1/10低減
→60~70日
影響半径
→2.0m以上
全域浄化・部分浄化・流出防止に適用できます全域浄化・部分浄化・流出防止に適用できます
実証試験結果実証試験結果
さらに、 VOCは地中で分解され地上への影響なし 地下水への添加物質がない 地盤沈下が発生しない
計算条件:対象範囲は半径20m。揚水工法:揚水井1本で14m3/日揚水。 揚水ポンプは0.75kwで常時稼動。ばっ気装置10kwで20%運転。カートリッジ工法:80箇所設置。36Wで50%運転。
環境負荷の小さい工法
鉄粉カートリッジを井戸に設置して運転VOCを浄化用鉄粉の働きで分解、高濃度汚染にも対応地中で地下水を循環させて次第に周囲を浄化汚染の広がりに応じて複数配置する
小型簡易な装置で、高濃度汚染を原位置浄化小型簡易な装置で、高濃度汚染を原位置浄化
無排水・無添加のVOC汚染対策無排水・無添加のVOC汚染対策
鉄粉カートリッジ工法鉄粉カートリッジ工法
仕組み
揚水工法 鉄粉カートリッジ工法
排水量(1ヶ月あたり)
電力使用量(毎時あたり)
2.75kw 1.44kw
エアコン14台エアコン14台電球14個
な し
420m3
ドラム缶2100本ドラム缶2100本