· web view2018/07/25  ·...

32
NON ONLINE NEWS 91CDT パ パ H30.7.24 パパパパパパパ CDTパパパパパパパ 23 パパパパパパパパパパパパ パパパパパパパパパパ 。、 DLB, FTD, PPAパパパパパパパパパ 3。、 パパパパパパパパパパ #12 パパパ

Upload: others

Post on 24-Jun-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1:  · Web view2018/07/25  · 数字を重複して描いた32例(最新統計)の針の異常を見てみると、重篤な針13例、うっかり系の針12例、正常針7例となっていました。また32例の海馬萎縮度は平均1.3、HDS-Rスコアも平均14.2、CDスコアも平均7.3と重症ではありませ

NON ONLINE NEWS 91(CDT パッケージ②)H30.7.24

時計描画テスト(CDT)

【B】数字の異常 数字の異常には 23 種類のコードを設けました。認知症病型の中では、DLB, FTD, PPA の3疾患で異常頻度が高いです。配列の乱れで、意識障害を見つけるのにも役立ちます。

#12 人の顔  

Page 2:  · Web view2018/07/25  · 数字を重複して描いた32例(最新統計)の針の異常を見てみると、重篤な針13例、うっかり系の針12例、正常針7例となっていました。また32例の海馬萎縮度は平均1.3、HDS-Rスコアも平均14.2、CDスコアも平均7.3と重症ではありませ
Page 3:  · Web view2018/07/25  · 数字を重複して描いた32例(最新統計)の針の異常を見てみると、重篤な針13例、うっかり系の針12例、正常針7例となっていました。また32例の海馬萎縮度は平均1.3、HDS-Rスコアも平均14.2、CDスコアも平均7.3と重症ではありませ

超高齢の女性しか描かない 人の顔を描いた9例は全員女性でした。平均 85.8 歳と超高齢であり、しかし改善してまた数字を描くようになる人もいるので全員が重症というわけでもありません。

過去のデータからは、不思議と FTD と SD は人の顔を描きません。ですから時計の概念がわからずに苦し紛れに描くわけでもなさそうです。

ヒトの顔を描く認知症はほとんどの場合、温厚で抑制系薬剤を処方していない方です。「女は愛嬌」というとおり、周囲の人とうまくやってゆこうという性格がこの絵を描かせるのかもしれません。

Page 4:  · Web view2018/07/25  · 数字を重複して描いた32例(最新統計)の針の異常を見てみると、重篤な針13例、うっかり系の針12例、正常針7例となっていました。また32例の海馬萎縮度は平均1.3、HDS-Rスコアも平均14.2、CDスコアも平均7.3と重症ではありませ

#13 外観のみ「時計の絵を描いてください」と教示した場合、大半の方は文字盤を想起

するのですが、一部は外観をイメージしてそれを描きます。その行動が正常かどうかという論議ですが、それは患者によって異なると思います。 外観のみ、末尾数字、針のみ、字、円の保続の5コードは患者数が少ないため、病型分析は統合しましたが、失語系が 5.5%と多いため、時計の概念が喪失したためにこれらを描く患者が多いと推定します。

Page 5:  · Web view2018/07/25  · 数字を重複して描いた32例(最新統計)の針の異常を見てみると、重篤な針13例、うっかり系の針12例、正常針7例となっていました。また32例の海馬萎縮度は平均1.3、HDS-Rスコアも平均14.2、CDスコアも平均7.3と重症ではありませ

9375 この女性はいつも外観を描きますし、間違ってはいないため病的ではないと判断できます。

腕時計を描く場合は、文字盤が 2.8cm より小さくなって 0.5 の減点となる可能性は高まりますが、中に最低4個の数字(12,3,6,9)が自然に収まれば、減点はそれだけにとどまります。彼女はいつも書式【C】で長短曖昧であるため、CD スコアはいつも 8.5 です。

#17 字・漢字 数字でなく字を書いてしまうのは、言うまでもなく語義失語のせいですが、それだけでなく時計の概念を喪失しているため、進行性失語ではじまったとしても重症認知症にいきついていると考えられます。 

Page 6:  · Web view2018/07/25  · 数字を重複して描いた32例(最新統計)の針の異常を見てみると、重篤な針13例、うっかり系の針12例、正常針7例となっていました。また32例の海馬萎縮度は平均1.3、HDS-Rスコアも平均14.2、CDスコアも平均7.3と重症ではありませ

9676 71 歳男性、比較的若いですし HDS-R スコアの下降があまりに早かったために、おそらく錯語の出ていた期間すら診察できず ATD を病理背景としたSDを疑っています。数字を描いてくださいという教示に対して「スージ」と書き、数字という感じにも至らない様子です。 10 時 10 分の針を描いてくださいという教示を聞いて「ふんのはり」と書いたところは、分の意味すらわかっていない証拠です。 こういった失語系の治療は、ガランタミン、CDP コリン、バコパモニエラ配合のサプリメントなどを使います。

#22 数字の過剰 

Page 7:  · Web view2018/07/25  · 数字を重複して描いた32例(最新統計)の針の異常を見てみると、重篤な針13例、うっかり系の針12例、正常針7例となっていました。また32例の海馬萎縮度は平均1.3、HDS-Rスコアも平均14.2、CDスコアも平均7.3と重症ではありませ
Page 8:  · Web view2018/07/25  · 数字を重複して描いた32例(最新統計)の針の異常を見てみると、重篤な針13例、うっかり系の針12例、正常針7例となっていました。また32例の海馬萎縮度は平均1.3、HDS-Rスコアも平均14.2、CDスコアも平均7.3と重症ではありませ
Page 9:  · Web view2018/07/25  · 数字を重複して描いた32例(最新統計)の針の異常を見てみると、重篤な針13例、うっかり系の針12例、正常針7例となっていました。また32例の海馬萎縮度は平均1.3、HDS-Rスコアも平均14.2、CDスコアも平均7.3と重症ではありませ

1 から12までの正常な数字以外に13以降も描くのを数字の過剰、1から12までの数字はなくて、12以降だけ(例えば 24 まで)を描くのを夢の続き、と言い分けています。夢の続きになると意識障害系の患者が増えてきますので、両コードは意味が違うと考えています。 当院データでは、ATD がほかの病型の 2倍の3%に、数字の過剰が出現します。ATD は総じて余計なものを描きすぎる傾向があります。DNTC が 8%と多いのですが患者数が 12 例と少ないので結論は持ち越しとします。

数字過剰を示した3症例を紹介しましょう。

Page 10:  · Web view2018/07/25  · 数字を重複して描いた32例(最新統計)の針の異常を見てみると、重篤な針13例、うっかり系の針12例、正常針7例となっていました。また32例の海馬萎縮度は平均1.3、HDS-Rスコアも平均14.2、CDスコアも平均7.3と重症ではありませ

(3 人分)10242 標準型といえるくらい、よくある数字過剰です。文字盤の数字がいくつあったかという記憶はありませんのでひたすら描いて、スペースがなくなったら終了、それがたまたま15だったということです。本人は取り乱すこともなく淡々と描きます。C T ではあきらかにFTDでした。10860 冠状断で海馬を観察するスライスは、上方の皮質は頭頂葉でなく前頭葉だということを覚えてください。彼女はフロンタルレビーです。放射線という典型的な意識障害系の描画の中に過剰な数字を描いています。13 は重複。数字の重複は、DLB と FTD に多いです。2899 ADHD をベースに発症した DLB ですから、数字にスピード感がありADHD の多動症状が見受けられます。DLB の意識障害によって急激に数字配列と個数が乱れましたが、また改善もしやすいはずです。

#23 数字の重複

Page 11:  · Web view2018/07/25  · 数字を重複して描いた32例(最新統計)の針の異常を見てみると、重篤な針13例、うっかり系の針12例、正常針7例となっていました。また32例の海馬萎縮度は平均1.3、HDS-Rスコアも平均14.2、CDスコアも平均7.3と重症ではありませ

8941 など に 6 例の数字重複を示します。うっかりミスを除いて、重複になるのには理由があります。部分偏位にともなう、逆回転に伴う、アパシーによる、意識障害による場合が挙げられます。 当院データでは、DLB, FTD, SD が、ATD の 2倍数字を重複して描きます。

その理由は、意識障害、集中力のなさからくるものと考えます。ADHD は、おっちょこちょいですばやく時計を描くものの、数字の重複にはなりません。 数字を重複して描いた 32 例(最新統計)の針の異常を見てみると、重篤な針 13 例、うっかり系の針 12 例、正常針 7 例となっていました。また 32例の海馬萎縮度は平均 1.3、HDS-R スコアも平均 14.2、CD スコアも平均7.3 と重症ではありません。年齢も 80.6 歳と若かったです。 以上から、数字重複は必ずしも重篤指標ではないと言えそうです。

#24 「ゼロからの出発」 12 の位置に0を描いて、そのあと平然と 1,2,3・・と描いて行く方は、当然重症の認知症だろうと思われたのですが、そうではありませんでした、 

Page 12:  · Web view2018/07/25  · 数字を重複して描いた32例(最新統計)の針の異常を見てみると、重篤な針13例、うっかり系の針12例、正常針7例となっていました。また32例の海馬萎縮度は平均1.3、HDS-Rスコアも平均14.2、CDスコアも平均7.3と重症ではありませ

に示すように、失語系、意識障害系がうっかりゼロを描くことは想像できないことはないですが、それでもこの3例の HDS-R スコアは中等度の障害レベルでした。ゼロを描くのは圧倒的にADHDに多く、心底驚きました。 いかなる心理状況で0を描くのかを推測すると、1,2,3・・は忘れないので、その前は何か、0だろうと勘違いするのでしょう。

Page 13:  · Web view2018/07/25  · 数字を重複して描いた32例(最新統計)の針の異常を見てみると、重篤な針13例、うっかり系の針12例、正常針7例となっていました。また32例の海馬萎縮度は平均1.3、HDS-Rスコアも平均14.2、CDスコアも平均7.3と重症ではありませ

ゼロを描いてしまう患者は、ADHD では 6.9%になります。これは 3 人を検出した時点での占有率ですので、最新の 4 人目を含めるとさらに頻度が上がりました。この方々の HDS-R スコアは恐ろしく優秀で、しかしCDでほかにも異常を示しました。(CD スコア 7.5-8) 

Page 14:  · Web view2018/07/25  · 数字を重複して描いた32例(最新統計)の針の異常を見てみると、重篤な針13例、うっかり系の針12例、正常針7例となっていました。また32例の海馬萎縮度は平均1.3、HDS-Rスコアも平均14.2、CDスコアも平均7.3と重症ではありませ

10834 は側頭葉萎縮に左右差があり SPECT で FTD が証明された 57 歳で、書式A、Bともに平然と0を描きます。問題は彼が生来ADHD であること。ゼロを描く確率は、FTD3.3%、ADHD5.9%と、この2疾患が多いのですが、とても落ち着いた描き方をするので0以外に ADHA らしさはないのです。

もう一度図44の4人の数字を見直してください。非常にそわそわ落ち着きません。これが ADHD の描画なのです。ですからこの 57 歳の男性のゼロは SD-FTD から来たものであることは否定できません。

ADHD の CD の異常性には目を見張る

Page 15:  · Web view2018/07/25  · 数字を重複して描いた32例(最新統計)の針の異常を見てみると、重篤な針13例、うっかり系の針12例、正常針7例となっていました。また32例の海馬萎縮度は平均1.3、HDS-Rスコアも平均14.2、CDスコアも平均7.3と重症ではありませ

10278 ADHD-DLB ラインという医学的な関係があるのですが、DLB 患者の不調の時の CD は驚くほど異常です。それと同様に ADHD の中にも HDS-R が満点近いのに0を描き続ける、書損じ続ける患者がいて驚きます。

彼は、HDS-R スコアがいつも 27 ですが、平気で0を描いていました。コンサータ、ストラテラ、コントミンの組み合わせで、ようやく完璧に好調になったとのこと。CDT でも0が消え、針の書き損じもなくなりました。ついにとらえた。ADHD の「ゼロ仮説」を証明

Page 16:  · Web view2018/07/25  · 数字を重複して描いた32例(最新統計)の針の異常を見てみると、重篤な針13例、うっかり系の針12例、正常針7例となっていました。また32例の海馬萎縮度は平均1.3、HDS-Rスコアも平均14.2、CDスコアも平均7.3と重症ではありませ

10198 息をひそめてこの男性の CD にゼロが出現するのを待ち受けていました。いままでの統計で ADHD は、ゼロからのスタートが多いということになっていました。ほかの研究者にそれを説明するのは困難が予想されました。認知症でもないのに0から描くわけがないだろう、と批判されると思いました。

そして、ADHD どうしの結婚で妻の不手際にいらだっていた彼に今日は描くだろうという予感がして、2回目の CDT から 1 か月しかたっていないのにもう一度 CD をお願いしたのです。案の定落ち着かない彼が「また今日も描くのですか?」といぶかしげな顔

をして言いながら描き始めました。ついにゼロが出現しました。ADHD はゼロを描きやすいということが証明できたと思います

#31 部分偏位、#32 全体偏位

Page 17:  · Web view2018/07/25  · 数字を重複して描いた32例(最新統計)の針の異常を見てみると、重篤な針13例、うっかり系の針12例、正常針7例となっていました。また32例の海馬萎縮度は平均1.3、HDS-Rスコアも平均14.2、CDスコアも平均7.3と重症ではありませ

数字どうしの間隔がおおかた90度以上開いたものを全体偏位、それ以下を部分偏位と呼んでいます。認知症全体の 9.3%がこの異常を示しますが、平均 HDS-R スコアは 13.6 ということで重症指標というほどではありませんし、病型での特徴は出ていません。 全体偏位がおきる1つのパターンがあります。書式Aで過小となった方は、書式Bでの大きな円に戸惑い、数字の均等配置ができなくなります。図48 1436 の方は、いつもこの失敗パターンを再現しています。 #32 円との乖離 円から離れて内側に数字を描くケースに対して、病的と考える基準は1.5cm としています。

Page 18:  · Web view2018/07/25  · 数字を重複して描いた32例(最新統計)の針の異常を見てみると、重篤な針13例、うっかり系の針12例、正常針7例となっていました。また32例の海馬萎縮度は平均1.3、HDS-Rスコアも平均14.2、CDスコアも平均7.3と重症ではありませ

は、許容範囲ぎりぎりの絵(正常)3例と乖離ありと判定される3例です。こういった動揺しないバランス感覚のある症例を集積した結果、8cm の直径の円における異常は 1.5cm以上とすることにしました。当院データでは、円から離れて数字を描くのは、DLB,FTD,SD が ATD の

2倍の頻度です。ATD は頭頂葉が萎縮して道に迷うのですが、書式 B では円というガードレールがあるために混乱はしませんし、そもそも書式 A では自分でガードレールを描いたわけですから問題はないようです。 最新データで、円との乖離を描いたのは 16 例で、平均 HDS-R スコアは12.1、CD スコア 6.6、年齢 80.0 歳でした。異常コード数は平均 2.4 個ですから中等度の認知症が描くといえるでしょう。

Page 19:  · Web view2018/07/25  · 数字を重複して描いた32例(最新統計)の針の異常を見てみると、重篤な針13例、うっかり系の針12例、正常針7例となっていました。また32例の海馬萎縮度は平均1.3、HDS-Rスコアも平均14.2、CDスコアも平均7.3と重症ではありませ

#34 二列数字 時計の文字盤は丸い世界だったという記憶を失っているとすると、数字を

描くときに縦書きに 1 列、2 列と描いてしまうということが想像できます。

Page 20:  · Web view2018/07/25  · 数字を重複して描いた32例(最新統計)の針の異常を見てみると、重篤な針13例、うっかり系の針12例、正常針7例となっていました。また32例の海馬萎縮度は平均1.3、HDS-Rスコアも平均14.2、CDスコアも平均7.3と重症ではありませ

2899 71 歳女性。生来アスペルガーであり、現在DLB ということで 7年間、何の工夫もなくドネペジルを継続しているだけでフェルラ酸含有食品も飲んでいない。今回HDS-R スコアは踏みとどまったが、数字がとんでもないことになった。この乖離が意識障害を思わせる。10203 DLB の症状が揃っている 80 歳女性。CD では、全体偏位だったのが二列数字に悪化。二列数位は FTD や SD に圧倒的に多いのですが、彼女の病理背景が DLB だとしても、左側頭葉の萎縮(ブロッコリー)が反映して二列数字を描かせると仮定すると、それはそれで話が合うと思えました。全体偏位は、円の規模を無視していますし、二列数字は円の形状を無視しています。10472 FTDの 71 歳女性。生来ADHA だったが、CT所見は FTD を示す。HDS-R スコアは悪化せずふみとどまっているが、CDでは書式A、Bとも二列数字である。数字が飛ぶのは統合失調症に似る。試行中泣きだすという精神病のニュアンスを持っている。 以上、列数字は頻度は少ないですが認知症でも精神病・発達障害でも見られます。同時描く異常数は列数字を含めて平均 3.0 個ですから中等度以上の認知機能低下です。FTD, DNTC で頻度が8%を超しており前頭葉症状と推定されます。

Page 21:  · Web view2018/07/25  · 数字を重複して描いた32例(最新統計)の針の異常を見てみると、重篤な針13例、うっかり系の針12例、正常針7例となっていました。また32例の海馬萎縮度は平均1.3、HDS-Rスコアも平均14.2、CDスコアも平均7.3と重症ではありませ

#35 逆回転 

 逆回転は、患者の頭に固定して存在する異常ではなく、時々刻々変わるもののようです。8573 は、小さな円を描いたあと書式 B では逆回転に変わりました。ふつうは、書式 B で全体偏位になることが予想されるのですが、珍しいケースです。彼女の HDS-R スコアは良好に推移しているため、能力のある部分、ない部分が混在して CDT も変化するのでしょう。5469 もそうですが、さほど書式Aの円が小さくなくても、逆回転になる方もいます。

9358 83 歳女性。ATD+NPH ですが、シャント手術で逆回転数字は改善しました。最近は、脳神経外科医も特発性 NPH に変性性認知症が合併しやすいことを認識されており、タップテストのときに髄液アミロイドを調べる動きがあるようです。

ATD が合併していると、シャント手術成績を単純には評価できなくなります。当然、変性を合併しない NPH でのシャント手術成績というものが、各施設での能力評価ということになるでしょう。

彼女は側脳室がタラコ形状ですので FTD でなく ATD と思いますが、今回は ATD でなく NPH が逆回転を起こしたと思われます。

Page 22:  · Web view2018/07/25  · 数字を重複して描いた32例(最新統計)の針の異常を見てみると、重篤な針13例、うっかり系の針12例、正常針7例となっていました。また32例の海馬萎縮度は平均1.3、HDS-Rスコアも平均14.2、CDスコアも平均7.3と重症ではありませ

#36 二方向数字が12を起点として右回りと左回りを両方描いてしまう現象で、稀な現象です。意識障害の影響は、硬膜下血腫より強し 

3759 80 歳女性。初診から 3年 3 か月の間に HDS-R が 26→21 と推移してきている。定期 CT にて左CSH を発見し手術することになったのだが、驚くことに CD は改善。半年前の CD は非常に重篤だったが、ガランタミンやフェルラ酸含有食品の後発効果なのか、手の震えもなくなり、CD では満点に。 そもそも HDS-R21 というのは CDT で満点をとりうるレベルです。以前の CD は意識障害による影響と考えてよいでしょう。二方向は稀ですが、DLB と SD に2%未満で出現し、ほかの病型では絶対に出ないものです。

Page 23:  · Web view2018/07/25  · 数字を重複して描いた32例(最新統計)の針の異常を見てみると、重篤な針13例、うっかり系の針12例、正常針7例となっていました。また32例の海馬萎縮度は平均1.3、HDS-Rスコアも平均14.2、CDスコアも平均7.3と重症ではありませ

6568 もともと12が想起できなかった中等度認知症。CD が悪化した時、12の位置に15が想起された。時分混同である。その続きとして、16、17と書いてゆき「夢の続き」となってしまった。そして、その直後の書式B で、二方向となった。 海馬萎縮は軽いのですが、88 歳という高齢脳のため勘違いが拡大されてゆくのでしょう。しかし、いよいよ数字が減ってゆくアパシー期よりはまだ期待が持てます。

#37 外向き(内向き)CD試行中に紙を回してゆく方がいます。数字は外向きに向かって書かれ

てあるという記憶の誤りがあります。珍しい異常コードが多発した超高齢者 

Page 24:  · Web view2018/07/25  · 数字を重複して描いた32例(最新統計)の針の異常を見てみると、重篤な針13例、うっかり系の針12例、正常針7例となっていました。また32例の海馬萎縮度は平均1.3、HDS-Rスコアも平均14.2、CDスコアも平均7.3と重症ではありませ

 94 歳で歩行能力を保っている女性です。病型は SD-NFT と思われますが、珍しい異常が多発しています。ヒトの顔、外向き(内向き)数字、ゼロからの出発です。そもそも 100 歳に近い方のデータが少ないため珍しいということになります。予備能力が低いために、書式を3つもこなすと回路がつながったり離れた

りで、書式によっては改善、別の書式では悪化ということになります。意識障害ということではなく、高齢者脳の特性ということなのでしょう。

3書式とも改善した ATD+AS 

Page 25:  · Web view2018/07/25  · 数字を重複して描いた32例(最新統計)の針の異常を見てみると、重篤な針13例、うっかり系の針12例、正常針7例となっていました。また32例の海馬萎縮度は平均1.3、HDS-Rスコアも平均14.2、CDスコアも平均7.3と重症ではありませ

10593 は、76 歳女性。内向き数字が直っています。つまり内向きに描いたのはおしゃれのつもりで描いたのではないと考えられます。

#38 竜巻 自分が描いた円が小さすぎるため、数字は 12 個であることは覚えているため数字の後半が内側に回り込んでゆく描画です。 6 例しか検出できなかったため疾患特異性は不明です。

#39 円外・線上数字 

Page 26:  · Web view2018/07/25  · 数字を重複して描いた32例(最新統計)の針の異常を見てみると、重篤な針13例、うっかり系の針12例、正常針7例となっていました。また32例の海馬萎縮度は平均1.3、HDS-Rスコアも平均14.2、CDスコアも平均7.3と重症ではありませ

円の外に数字を描く患者は稀ではありません。この現象が正常範囲なのか病的なのかの結論を出した症例があります。000 は、円外数字に数字重複も見られましたが、その後数字は円内に入っています。従って、円外に描くというのはその人の癖ではなく、認知機能の低下による現象と考えてよいのではないでしょうか。10339 67 歳女性。3年間ドネペジルを処方されてから初診。易怒があるということでガランタミンに変えてクロルプロマジンを開始。9 か月後HDS-R スコアが満点近くに上がってきたことで、認知症以外の疾患を考え始めた著者は、海馬に小さな石灰化がることに気づき、日中ぼーとすることがあるという夫の証言を得て、また CD の数字が円内に入ってきたことから、意識障害系のてんかんと判断し、抗てんかん薬を開始した。10102 78 歳男性。国立大学を出て 77 歳まで会社役員。意識消失、幻聴、寝言があり、海馬萎縮の強い DLB である。海馬萎縮 2.5+は悲観的な萎縮であるにかかわらず、彼の HDS-R スコアはなかなか落ちない。教育のなす踏みとどまり効果とみている。現在フェルラ酸含有食品しか飲んでいないが、それはそれでいいと思われる。運転はやめるべきである。

Page 27:  · Web view2018/07/25  · 数字を重複して描いた32例(最新統計)の針の異常を見てみると、重篤な針13例、うっかり系の針12例、正常針7例となっていました。また32例の海馬萎縮度は平均1.3、HDS-Rスコアも平均14.2、CDスコアも平均7.3と重症ではありませ

 1994年出版の CDT専門書(Freedman)には、PD や PDD が円外数字を描きやすいと記載されていますが、当時は DLB も知られていませんでしたし、数字がこうなるのはパーキンソニズムのせいではなく意識障害系だからと考えます。当院データでは、DLB は ATD の 6倍の頻度で描きますし、FTD,SD と

いった語義失語系も多く描き、その理由は文字盤概念の喪失と考えられます。6164 94 歳と超高齢で VD の合併がある AGD 男性。HDS-R スコアの低下とともに数字もどんどん外に出ていった。ちなみに目は見えている。

#41 時分混同 

  時計の文字盤は、ふつう時間の表示が数字で出ています。それを15,30,45 などと描く場合は病的と考えられます。 スライドの左 2 例は、80 歳と比較的若く脳萎縮が少ないのに、このような描画をする理由は意識障害系(VD の虚血、DLB の夢の世界)だからかと推測しました。右の 2 例は萎縮も強く超高齢の男性です。

最新データでは 8 人描いており、男性が 5 人含まれていました。年齢は82.6 歳、HDS-R スコア 17.2、海馬萎縮 1.7 というのが平均値。疾患はさま

Page 28:  · Web view2018/07/25  · 数字を重複して描いた32例(最新統計)の針の異常を見てみると、重篤な針13例、うっかり系の針12例、正常針7例となっていました。また32例の海馬萎縮度は平均1.3、HDS-Rスコアも平均14.2、CDスコアも平均7.3と重症ではありませ

ざまですが、決して重症指標ではなく、むしろインテリだった方(時間に追われる仕事)が描くのではないかと思います。左 3番目は 93 歳男性 ATD ですが、老化脳もあいまって予備能力が少ない

のでしょう。HDS-R スコアは踏みとどまっていますが、ちょっとしたことで時分混同を起こしてしまいました。

CDT は MMSE と異なり、教育年数にあまり影響されないとはいいますが、コウノメソッドの 3段階評価で CDT を行うと、男性2人が途中で修正してゆく努力を見せており、やはり頭を使ってきたことから来ると感じます。 

#42 夢の続き 

 数字の過剰は、1から 13以降も描くことですが、12以降だけを描く(例えば 24 まで)のを夢の続きと命名しました。文字通り DLB に多く、意識障害系の最たるものです。8773 DLB と思われる女性。近医からドネペジルが処方されているため、当方としては大きな治療方針を転換することができず、悪化するのを見守ることしかできない。HDS-R も CD も急激に低下。老人性うつ病を改善させたことで夢の続きが消失した

Page 29:  · Web view2018/07/25  · 数字を重複して描いた32例(最新統計)の針の異常を見てみると、重篤な針13例、うっかり系の針12例、正常針7例となっていました。また32例の海馬萎縮度は平均1.3、HDS-Rスコアも平均14.2、CDスコアも平均7.3と重症ではありませ

10255 78 歳女性 ATD と老人性うつ病の合併。抗うつ薬で自殺念慮がきえたと同時に CD も改善。こういう場合、ATD そのものよりうつ状態による仮性認知症の分が改善したというイメージになります。  動作性知能先行低下タイプの DLB2 例 

9944+10546  幻視のある DLB2 例ですが、2 人とも HDS-R スコアは高いレベルで安定し、一方 CD は非常に点が悪い例です。とくに女性の方は、二方向という認知症の 0.44%にしか出ない異常に加えて、8-10 がなくて右回転に夢の続き(13以上)が出ています。すべての数字が 14 個なので過剰とも言いにくいです。彼女の CD はシチコリン 1000mg注射の 10 分後には改善して全体偏位だけになっています。2 人ともいかにも意識障害系の描画と言えます。夢の続きは、各病型で出現しますが DLB の 5.6%は、2.8%の ATD の 2倍になっています。 

#43 蛇足 

Page 30:  · Web view2018/07/25  · 数字を重複して描いた32例(最新統計)の針の異常を見てみると、重篤な針13例、うっかり系の針12例、正常針7例となっていました。また32例の海馬萎縮度は平均1.3、HDS-Rスコアも平均14.2、CDスコアも平均7.3と重症ではありませ

蛇足(よけいなものを描くこと)は、ピック病、SD 系といった FTLDグループに多発するものです。したがって、もともとそのように描く人ではなく病的と考えてよいでしょう。

この症例(10505)は DLB と思われますが、国家公務員というきっちりした職務をこなしただけあって、4か所数字を分単位まで表すという蛇足が生じました。同時に書式 C で 10 時の位置を認識できなくなっており(とりあえず 12 時)、書式 B の蛇足とともに悪化しています。

7250 の彼女は 71 歳と若く ATD のフロンタルバリアントと思われます。

#45 数字融合 

Page 31:  · Web view2018/07/25  · 数字を重複して描いた32例(最新統計)の針の異常を見てみると、重篤な針13例、うっかり系の針12例、正常針7例となっていました。また32例の海馬萎縮度は平均1.3、HDS-Rスコアも平均14.2、CDスコアも平均7.3と重症ではありませ

に示すように、数字が融合してしまった3例は、のきなみ意識障害系であることがわかります。2 人は DLB、1 人は高血糖の時描いており、血糖が正常化したときは正常描画になりました。

数字の数も少なく、数字概念どころか、数字自体の想起が難しくなりつつあるものと想像されます。

#46 数字保続 

Page 32:  · Web view2018/07/25  · 数字を重複して描いた32例(最新統計)の針の異常を見てみると、重篤な針13例、うっかり系の針12例、正常針7例となっていました。また32例の海馬萎縮度は平均1.3、HDS-Rスコアも平均14.2、CDスコアも平均7.3と重症ではありませ

30年前の症例です。ピック病は常同行動が特徴的なのですが、CDでも同じ数字を繰りかえすことに驚いた描画です。60代の患者だったと思います。 

Page 33:  · Web view2018/07/25  · 数字を重複して描いた32例(最新統計)の針の異常を見てみると、重篤な針13例、うっかり系の針12例、正常針7例となっていました。また32例の海馬萎縮度は平均1.3、HDS-Rスコアも平均14.2、CDスコアも平均7.3と重症ではありませ

10580 CDT において、数字が思い浮かばないよりも異常でもいいから数字がたくさん出てきたほうが認知機能は高いと考えられます。この 83 歳ATD 患者は、書式 B において数字が 4 個だったのが 11 個になりました。

書式 C では、珍しい数字の保続を見せたので紹介します。数字が増えたのは、ドネペジルからガランタミンにスイッチしたからだと思います。(統計表では、数字保続は VD にのみ出現としていますが、この症例は集計後に出現したために、統計には入っていません)

おうむ返しと同じで数字を保続するだけになる10860 幻視があり脳萎縮の強い 83 歳女性。ATD か DLB か迷っています。

CDT でも過剰数字(ATD に多い)、放射線(DLB に多い)が混在し、鑑別しにくい絵となりました。このように当院データから確率論的に病型鑑別に役立てられないか試みています。

数字の保続は非常に異常性が強いですが疾患特異性がなく、その心理は解析が容易ではありません。

意識障害系の絵なのですが高齢者で HDS-R スコア8のレベルは、誰でも少しは意識が危ういと考えるべきなのでしょう。しかも ATD と DLB は病理が重なります。