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市松模様 縮尺を変えた市松模様を 2 枚 重ねることでモアレが発生する。 日常から旅への変換 視覚的運動感覚の誘発 常に変化する表情 日常を揺さぶるモアレ 現代の生活において、人々は生きるために移動を繰り返している。 柳田國男によれば、「旅の原型は租庸調を納めに行く道のりのことである。」という。 日々長時間電車に揺られ、生きるために都心まで働きに出ている。これらの道のりは現 代の旅と捉えることはできないだろうか。道のりを旅と捉えた時、その日常に違和感を 与える建築を考える。 駅のホームは電車を乗り降りする大量の人が、移動するためだけに設計 されたような機能的な空間である。この機能的な空間に用途の曖昧な建 築を挿入し、空間に変化を与える。 流れるように人が動くホームにおいて、様々な角度から見るモアレのパ ターンが、淡々と過ぎる風景の中で常に変化する。毎日同じに見えても 場所や速度が少し違うことによって絶えず見え方は変わる。 モアレ (moiré) とは、規則正しい繰り返し模様を複数重ね合 わせた時に、それらの周期のズレにより視覚的に発生する縞 模様のことである。 このモアレというズレによってできる模様を日常の風景に挿 入し、淡々と過ぎていく日常的な移動空間を揺さぶる。 パターン模様を間隔を設けて配置した時に、観察者の位置に よってモアレ模様が変化するため、視点の動きに合わせた視 覚的運動感覚が誘発される。これによりモアレ模様は物体の 形状を曖昧にするとともに、自分の運動を把握することもで きる。そして、歪みを通して日々の行動を意識するきっかけ となる。 - 日常の旅 moiré 日常の通勤通学という移動を旅と捉える。そこで日常にちょっとした違和感を与える建築を考える。 " モアレ " というズレの現象を用いて、少し歪んだ日常の風景を創り出していく。この建築は反射 する風景と、その向こう側の風景を重ね合わせて歪ませることでそれらを曖昧にしていく。刻々と 変化し続けることで、目的地に行くための道のりという移動空間に変化を与える。

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 市松模様 縮尺を変えた市松模様を 2枚重ねることでモアレが発生する。

日常から旅への変換 視覚的運動感覚の誘発 常に変化する表情日常を揺さぶるモアレ

現代の生活において、人々は生きるために移動を繰り返している。柳田國男によれば、「旅の原型は租庸調を納めに行く道のりのことである。」という。

日々長時間電車に揺られ、生きるために都心まで働きに出ている。これらの道のりは現代の旅と捉えることはできないだろうか。道のりを旅と捉えた時、その日常に違和感を与える建築を考える。

駅のホームは電車を乗り降りする大量の人が、移動するためだけに設計されたような機能的な空間である。この機能的な空間に用途の曖昧な建築を挿入し、空間に変化を与える。 流れるように人が動くホームにおいて、様々な角度から見るモアレのパターンが、淡々と過ぎる風景の中で常に変化する。毎日同じに見えても場所や速度が少し違うことによって絶えず見え方は変わる。

モアレ (moiré) とは、規則正しい繰り返し模様を複数重ね合わせた時に、それらの周期のズレにより視覚的に発生する縞模様のことである。このモアレというズレによってできる模様を日常の風景に挿入し、淡々と過ぎていく日常的な移動空間を揺さぶる。

パターン模様を間隔を設けて配置した時に、観察者の位置によってモアレ模様が変化するため、視点の動きに合わせた視覚的運動感覚が誘発される。これによりモアレ模様は物体の形状を曖昧にするとともに、自分の運動を把握することもできる。そして、歪みを通して日々の行動を意識するきっかけとなる。

 - 日常の旅moiré日常の通勤通学という移動を旅と捉える。そこで日常にちょっとした違和感を与える建築を考える。"モアレ " というズレの現象を用いて、少し歪んだ日常の風景を創り出していく。この建築は反射する風景と、その向こう側の風景を重ね合わせて歪ませることでそれらを曖昧にしていく。刻々と変化し続けることで、目的地に行くための道のりという移動空間に変化を与える。