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Page 1: はじめに1.工法概要 1.1 構成と用途 PUC受圧板工法は、コーン型プレキャストコンクリート板(以下PUC受圧板とい う)と各種永久アンカー工法との組み合わせ、および確実な裏込工法(ざぶとん裏込工
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はじめに 斜面受圧板協会は、新しい構造体の受圧板(PUC受圧板)と新しい裏込工法の確立に

よりPUC受圧板工法の普及・推進団体として 1999 年に発足しました。 PUC受圧板工法は、新しい発想に基づいた独自の工業所有権「構造体の圧縮応力付

与構造」としてのテーパーコーンを採用したプレキャストコンクリート受圧板と各種永

久アンカーとを組み合わせた受圧板と、裏込工法(ざぶとん裏込工法)及び受圧板セッ

トパイプをセットにした工法です。 従来の工法と較べて、

(1) PUC受圧板は普通コンクリート製のプレストレストコンクリート受圧板で軽

量化されています。 (2) PUC 受圧板の形状はクロス、セミスクエア、スクエアタイプの 3 通りがあり、

使用目的により自由に選択できます。 (3) 設計アンカー力の小さいタイプへの対応として、PUC受圧板のRCバージョ

ンでRUC受圧板(クロスタイプ)があり経済的です。 (4) アンカー頭部が受圧板のくぼみ(テーパーコーン内)に納まり、突出を最小限

に抑えた構造です。 (5) 使用するアンカー工法は限定されず自由に選定でき、各種アンカー工法

の特長を十分に生かせます。 (6) ざぶとん裏込工法の採用により簡単確実な裏込工ができます。 (7) ざぶとん裏込工法とセットパイプを使用することで受圧板のひび割れ防止、据

付工の時間短縮及び仮緊張作業が不要になり。能率的で安全確実に施工できま

す。 等、数々の優れた特長を有しています。

本書は本工法の設計・施工の指針としてご利用いただきたく編集したものです。本書

を通じてPUC受圧板、RUC受圧板の特長について、一層のご理解をいただき、道路

のり面、ダムの斜面、造成地ののり面あるいは既設擁壁の補強等、多方面で活用されま

すことを期待し、関係各位の設計・施工の検討のお役に立てればと考えております。 関係各位には、温かいご支援とご指導を賜りますよう、協会員一同よりお願い申し上

げる次第です。

平成 18 年 4 月 斜面受圧板協会

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目 次

はじめに ............................................................................................................. 1 1.工法概要...................................................................................................... 3 1.1 構成と用途 ......................................................................................................... 3 1.2 特 長 ................................................................................................................. 5

2.設 計 ......................................................................................................... 6 2.1 設計手順 ............................................................................................................. 6 2.2 PUC・RUC受圧板の選定 ........................................................................... 7

2.2.1 受圧板タイプの選定..................................................................................... 7 2.2.2 受圧板の割付け......................................................................................... 10

2.3 PUC・RUC受圧板の設計........................................................................... 10 2.3.1 材 料 ....................................................................................................... 10 2.3.2 設計方針および設計条件 .......................................................................... 10 2.3.3 受圧板の製造 ............................................................................................ 11

3.施 工 ....................................................................................................... 12 3.1 施工手順 ........................................................................................................... 12 3.2 PUC・RUC受圧板の荷降ろし及び据付 ..................................................... 14 3.3 セットパイプを使用した施工方法 .................................................................. 14 3.4 裏込工............................................................................................................... 18

3.4.1 PUC・RUC受圧板用ざぶとん材の仕様.............................................. 20 3.4.2 ざぶとん裏込工法の施工手順 ................................................................... 22

3.5 緊張・定着 ....................................................................................................... 24 3.6 アンカー頭部の防護 ......................................................................................... 24 3.7 ジョイント工、目地工 ..................................................................................... 25

参考資料-1 ざぶとん裏込め工法の必要性検討フロー ..................................... 26 【参考文献】.................................................................................................... 27

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1.工法概要 1.1 構成と用途

PUC受圧板工法は、コーン型プレキャストコンクリート板(以下PUC受圧板とい

う)と各種永久アンカー工法との組み合わせ、および確実な裏込工法(ざぶとん裏込工

法)により構成されています。また、RUC受圧板は、設計アンカー力の小さいタイプ

に対応するためにPUC受圧板のRCバージョンとして一部追加したものです。 主に切土のり面の安定化、自然斜面の崩壊、地すべりの防止及び既設構造物の補強工

に適用されます。 PUC(名称:プック):Precast-prestressed concrete、Under mat、taper Cone

の略。 RUC(名称:ルック):Reinforced concrete、Under mat、taper Cone の略。

(解 説) PUC受圧板・RUC受圧板は、従来の現場打のり枠や吹付のり枠等の代わりに使用

され断面性能が優れ、耐久性に富むコーン型プレキャストコンクリート板を使用し、各

種永久アンカー工法と組み合わせて、一体として働く構造となっています。 また、本工法は地山と受圧板との間に裏込工が必要な場合は、「ざぶとん裏込工法」

を採用し、簡単確実な裏込工を実現した受圧板の工法になっています。 図 1-1 にPUC・RUC受圧板工法の標準構造図を示します。

図 1-1 PUC・RUC受圧板工法の標準構造図

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表 1-1 に斜面・切土のり面の崩壊対策工法分類を示す。PUC・RUC受圧板工法は

グラウンドアンカー工に分類されます。

表 1-1 斜面・切土のり面の崩壊対策工法分類

地下水、地表水の排水工・遮断工

抑制工 排土工、押え盛土工

のり面保護工

クモの巣ネット工法

モルタル・コンクリート吹付工

抑止工

擁壁工

グラウンド

アンカー工

杭工

PUC受圧板工法

その他

落石防止工

雪崩防止工

RUC受圧板工法

GET受圧板工法

クモの巣ネット工法

緑化工

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1.2 特 長 PUC・RUC受圧板工法は次のような特長を持っています。 (1)テーパーコーンを採用することで軽量化をはかりました。 (2)セットパイプとざぶとん裏込工法を採用し、据付工の能率化と地山との密着をは

かりました。 (3)使用するアンカー工法は限定されず自由に選択できる受圧板です。 (4)PUC受圧板は普通コンクリート製のプレストレストコンクリート受圧板でクロ

スタイプ、セミスクエアタイプ、スクエアタイプの構造体があります。 (5)RUC受圧板はRC構造で、クロスタイプの小荷重対応の受圧板です。 (6)アンカー頭部が保護された構造の受圧板です。 (7)色付けが出来ます。

(解 説) (1) について アンカー頭部が納まる受圧板

のくぼみ部分に、図 1-2 に示す

ように「構造体の圧縮応力付与

構造」としてテーパーコーンを

採用する事により、板の中心部

に生じる応力集中が緩和され、

従来の受圧板と同等な耐力を

有しながら、受圧板の軽量化が

実現できました。 (2) について ざぶとん裏込工法により、受圧板と地山の間の不陸に対し、確実・容易に密着させ

ることができます。 (3) について

一部取り合いの検討をする組み合わせがありますので、御相談下さい。 (6)について アンカー頭部がテーパーコーン内に内蔵され受圧板本体から突出を最小限に抑え

た構造でアンカー頭部を落石等から守られます。 (7)について

オプションでグレー、グリーン、ブラウン等の色が選べます。

図 1-2 構造概念図

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2.設 計 2.1 設計手順 PUC・RUC受圧板工法は、一般的に次の手順に従って設計を行います。

本書は上図に示す実線の部分について説明します。

START

調 査

必要抑止力の算定

アンカーの設計

地耐力のチェック

PUC・RUC 受圧板の選定

受圧板の設計

END

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2.2 PUC・RUC受圧板の選定

2.2.1 受圧板タイプの選定 設計アンカー力(Td)と許容地耐力(qo)の関係から必要な受圧面積を求め、受圧板のタイプ

をクロス・セミスクエア・スクエアタイプの 3 種類から選定します。

A ≧ A0

TdA0=

qo

A :受圧板の受圧面積

A0:必要な受圧面積

(解 説)

(1) PUC 受圧板にはクロス、セミスクエア、スクエアタイプの 3 種類、RUC 受圧板にはクロスタ

イプがあります。設計アンカー力と許容地耐力から求まった必要受圧面積より受圧板の

受圧面積が大きくなるようにPUC・RUC受圧板の規格と主要寸法(表 2-1)から選定しま

す。

(2)アンカー傾角と受圧板との傾きを考慮し設計アンカー力に対応する受圧板の規格を選定しま

す。

(2) 当協会では受圧板と地盤とのずれ及び受圧板の構造から標準品として、アンカー傾角と

受圧板との傾き(アンカー振り角度)を 0°(直角)、5°、10°の 3 通りを取り揃えています。

しかし、製品の種類によりますが 15°程度までの実績がありますが標準品傾き以外の場

合は、別途受圧板の構造計算が必要となりますのでご相談ください。

クロスタイプ セミスクエアタイプ スクエアタイプ

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表 2-1 PUC・RUC受圧板の主要寸法

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2.2.2 受圧板の割付け

受圧板の割付け(アンカーの設置計画)は、のり面長、曲率半径(曲がり具合)、

縦断勾配等を考慮し割付けを行います。 2.3 PUC・RUC受圧板の設計

(1)PUC受圧板はプレストレストコンクリート部材として設計し、RUC受圧板は鉄筋コンクリート部

材として設計します。

(2)PUC受圧板・RUC受圧板の設計・製造は、土木学会編「コンクリート標準示方書」に準じま

す。

2.3.1 材 料

受圧板に使用するコンクリートとPC鋼材は以下の条件を満たすことを原則とし

ます。 ①コンクリート :設計基準強度 f'ck=50N/mm2 以上

②PC鋼材 :JIS G3109-1994 に規定されるPC鋼棒 2.3.2 設計方針および設計条件

(1)PUC受圧板については、土木学会編「コンクリート標準示方書」に示されている限界状態設

計法に基づいて行います。限界状態に対する検討は、荷重特性に基づいて使用限界状態、

終局限界状態、試験時状態の 3 通りとします。

(2)RUC受圧板については、土木学会編「コンクリート標準示方書」に示されている許容応力度

法に基づいて行います。

(3)PUC受圧板及びRUC受圧板に作用する地盤反力は、等分布とします。

(解 説)

(1)について

PUC受圧板については、荷重特性に基づいて以下の 3 通りの状態で設計します。

①使用限界状態

受圧板に作用する荷重は設計アンカー力 Td とします。

これに対しコンクリート部材断面に引張応力度が発生せず、圧縮応力度の最大値が

20N/mm2 を越えないものとします。

②終局限界状態

受圧板に作用する荷重は、Td×1.55 とします。

これに対し受圧板は破壊しないものとします。

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③試験時状態

受圧板に作用する荷重は、Td×1.2 とします。

これに対し部材の断面に生じる圧縮応力度と引張応力度の最大値がそれぞれ 20N/mm2

と 1N/ mm2 を越えないものとします。

(3)について

受圧板に作用する地盤反力は、等分布とし、各タイプの板に対し図 2-3 に示す照査断面に

ついてチェックします。

図 2-3 反力分布及び断面力の取り方

クロスタイプ製品の端部加工(役物)については、原則的に下記の条件で設計・計画してく

ださい。

(1) X,Y 軸方向の長さはアンカー導入力のバランスの関係上均等にしてください。

(2) 両側を均等に切断した製品の最小長さは 1500mm(片側 750mm)必要となります。

(3) 端部加工により、全体の受圧面積が減少するので、同一アンカー力の場合は受圧板が

分担する等分布荷重が大きくなるため、別途構造計算が必要となりますので、ご相談くだ

さい。又セミスクエア、スクエアタイプについては別途ご相談ください。

2.3.3 受圧板の製造

受圧板は、土木学会編「コンクリート標準示方書」に準じ、協会で指定した工場で製作仕

様書に基づき製造します。

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3.施 工 3.1 施工手順 本工法は一般的に下記の手順で施工を行う。

図 3-1 標準施工フロー図

機 材 搬 入

削 孔 機 据 付

ア ン カ ー 工

( 削 孔 ・ 注 入 )

ざぶとん材設置工

ラ ス 張 り 工

受 圧 板 据 付

緊 張 ・ 定 着

頭 部 処 理 工

ざ ぶ と ん 裏込注入工

ジョイント処理工

又は、目地工

セットパイプ設置工

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図 3-2 施工手順

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3.2 PUC・RUC受圧板の荷降ろし及び据付 (1)現場で受圧板を荷降ろし及び据付ける場合は、専用吊具を使用しクレーン等で行います。

その際、割裂やひび割れを起こすような大きな衝撃が受圧板に掛からないようにします。

(2)受圧板を仮置きする際、受圧板中心部

にパッキン材をはさみ最大 4 段までと

します。

(4) 斜面に据付ける際、斜面上に不陸が

ある場合には、突出部を除去するなり、

ざぶとん裏込工法をする等の適切な

処置を行い、受圧板に偏荷重が働かな

いようにします。

(5) 斜面に据付ける際、テーパーコーン部

にある水抜き孔を確認して、上下を間違えないように設置します。

(6) 受圧板を斜面に据付ける際セットパイプ(ガイド管)の使用を標準とします。

3.3 セットパイプを使用した施工方法 従来から、特にコンクリート受圧板の施工時に発生するトラブルの大部分は、受圧板設置時及び

アンカー緊張時に発生するひび割れ問題でありました。この問題を解決しようと当協会では、協会

設立時より、簡単確実な裏込工法として「ざぶとん裏込工法」を開発し、ざぶとん材をセットにした施

工方法を推奨してきました。

「ざぶとん裏込工法」を使用した現場では、受圧板のひび割れの事故がほとんどなくなりました。し

かし受圧板を仮セットする(受圧板がずり落ちないようにアンカーを仮緊張する)時に、受圧板端部

に点荷重が働き、ひび割れ等の事故が発生することがありました。この仮緊張時には、まだざぶと

ん材内にグラウト材が注入される前の段階で、ざぶとん裏込め工法の効果が発揮されていない状

態のため、ひび割れが発生してしまう事故がありました。この状況を踏まえて、なお一層確実な施

工と施工能率アップ(据付時間の短縮・仮緊張作業をなくした)のために、ざぶとん裏込工と新しく

考案した「受圧板セットパイプ」を組み合わせた裏込工の施工方法を推奨することとしました。下記

にセットパイプを使用した場合の 5 つのメリットと施工要領を記します。ざぶとん裏込工法の必要が

ない場合でも、ガイド管使用のみだけでも施工能率等の改善が図られます。

図 3-3 PUC・RUC受圧板の仮置き例

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・セットパイプ(ガイド管)だけを使用した場合(ざぶとん材

を使用しなくても良い場合)のメリット

① 受圧板のセンター(テンドン貫通孔)とテンドン方向

とが自然に合わせることが出来るので、テンドンを

傷める危険性が無くなる。

② 受圧板は仮緊張しなくてもずり落ちないのでクレーン

作業時間を短縮できます。

・施工方法

1.削孔・打設

2.ガイド管設置

3.受圧板据付

ガイドパイプ

削孔等によりえぐられた部分は

モルタル等で表面を均す

受圧板

受圧板落下防止に、

くさび等をはめておく

アンカー材

ガイド管

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【専用吊具を用いて施工する場合の注意点】

① 専用吊具を吊具インサートの奥までねじ込んで固定します。

吊具インサートは製品重量に応じて下表のように太さを変えてあります。

製 品 重 量 2t 以下 2~5t 以下 5t 以上

インサートサイズ M16 M20 M24

② ワイヤーを専用吊具にシャックル等を用いて取り付けます。

③ ワイヤーをクレーン等のフックにかけ、地切りをして安全であることを確認し、吊り上

げ、設置場所にセットします。

④ 吊りインサートのネジ孔及び連結用インサートがあり連結工を実施しない場合は、、

変成シリコーン系シーリング材などでネジ孔を充填して水が溜まるのを防止しま

す。

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3.4 裏込工

受圧板を斜面に据付ける際、受圧板背面と地山との間に隙間が発生する場合には、ざぶとん裏

込工法等による裏込工を実施します。ざぶとん裏込工を採用する場合は、前記据付け時に使用し

たガイド管に受け板を挿入使用し、裏込工の確実性を増すことを標準とします。

(解 説)

(1)受圧板には、設計アンカー力に対する地盤反力が等分布として作用するものと仮定して設計

していますので、地山の表面に不陸があると等分布荷重として働かないで、受圧板に局部的

な点支持等により設計以上の応力が働き、湾曲やひび割れの原因となりますので、確実な裏

込工により地盤反力が等分布荷重として作用させる必要があります。 一般に、のり面表層が土砂化して軟らかいものであれば、アンカーの初期緊張力によ

って受圧板が沈下し、受圧板が地山に密着しますが、未風化の岩魂等が露出する場合、

又それ以外の原因で受圧板が地山に密着せず、すき間が生じることがある場合は地盤

反力が等分布として作用するように裏込工を行います。 ざぶとん裏込工法の必要性は 参考資料-1 ざぶとん裏込工法の必要性検討フローを参照

してください。

(2)「ざぶとん裏込工法」は、受圧

板を斜面等に据付ける際の裏込

工法で、ざぶとん材と呼ばれる

裏込部材(多孔質物質を変形可

能な袋に収納した部材)にセメ

ントミルクを注入・充填し、多

孔質物質に含浸・保持させ、受

圧板と凹凸地盤とを簡単かつ確

実に密着させる事ができる工法

です。

ざぶとん材

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(3)セットパイプ(受け板)を使用する場合(ざぶとん材使用する場合)の施工方法

①受け板があるので受圧板の重みと仮緊張力

(しなくて良い)でざぶとん材がつぶれること

が無く、受圧板をのり面から浮かせて設置でき

るので、ざぶとん材への注入が確実に隅々まで

充填できるので一層確実に施工できる様になり

ました。 ②アンカー角度と受圧板角度が一定に保てるた

め、孔口付近のテンドンの曲がりがなりました。

①ガイド管に受け板を挿入

③ざぶとん材設置・ラス張り・ざぶとん材へ注入・緊張

②ざぶとん材設置・ラス張り

ざぶとん材

受圧板

ラス

受圧板落下防止に、

くさび等をはめて

置く

がたつき・回転防止金具

ナット M16 L≦100mm

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3.4.1 PUC・RUC受圧板用ざぶとん材の仕様

(1)構成と仕様 「ざぶとん材」は、次の厚み方向の断面図に示す様に袋体と保持材から構成される。

〈ざぶとん材の仕様〉 名 称 材 質 厚 さ 袋 体 ポリプロピレン 0.5 mm 保持材 椰子の実の繊維 55±10 mm

(2)ざぶとん材(保持材)の寸法と1セット当りの使用枚数 各タイプとも2~6分割されていますので組み合わせて使用します。

①クロスタイプ 巾(㎜)

タイプ 厚み(㎜) W1 W2

長さ(㎜) 枚数

L1 600 2 200 55 350 600

L2 900 2 L1 850 2

250 55 300 600 L2 1100 2 L1 1100 2

300 55 300 600 L2 1400 2

L2

①袋体 ②保持材

L1

W2W1 L2

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②セミスクエアタイプ 長さ(㎜)

タイプ 厚み(㎜) L1 L2 L3 L4

枚数

200 55 318 500 1000 1450 2

250 55 311 680 900 4

300 55 354 800 1050 4

③スクエアタイプ

長さ(㎜) タイプ 厚み(㎜)

L1 L2 枚数

200 55 850 850 4

250 55 1100 1100 4

300 55 900 1350 6

<タイプ:200>

L1

L1

L2

L2

L4

L3

L2 L2

<タイプ:250,300>

L1

L3 L3

L1

L2

<タイプ:200,250>

L1

L2

<タイプ:300>

L3

L4

L2

L1

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④まくら材

*まくら材は、玉石等が抜け落ちた等部分的な穴埋めに使用します。 3.4.2 ざぶとん裏込工法の施工手順

施工手順は下記の要領で施工します。

(1) アンカーを打設(削孔・注入)します。

(2) セットパイプを設置します。

(3) 受圧板を設置する斜面上に、ざぶとん材を設置します。

ざぶとん材は各辺共封印されています。ので、ざぶとん材の端部をカッター等で切り、グラウトホ

ースをざぶとん材の端部に差し込み口元をビニールテープ等でテーピングします。特に長い

矢印部のグラウトホースについては、グラウトが奥の方まで十分ゆきわたる様に奥まで差し込

みます。

長さ(㎜) 厚み(㎜)

L1 L2 枚数

55 300 500 1

L1

L2

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(4) ざぶとん材は、ラス等の下にセットします。

① ざぶとん材をラス等の上にセットすると、ラス等が邪魔をして地山と受圧板の間に十分

裏込ができない事が予想されますので、ざぶとん材の上にラス等を被せる様に設置し

ます。

② ラス等をセットしない場合は、ざぶとん材を受圧板にあらかじめ取り付けるか、法面にあ

らかじめアンカーピン等で取り付ける等の処理をします。

③ 不陸 10cm 程度までは対応できるが、部分的な凹み等には小さいざぶとん材(まくら材)

もある。又 10cm 以上ある場合は、特殊仕様のざぶとん材か、まくら材等を併用します。

(5) 受圧板を設置します。

(6) 裏込部材にセメントミルク等を充填します。

①注入材の配合は、特に指定はないが、一般にアンカー工で使用していますグラウト (セメ

ントミルク)を充填します。

②注入ポンプは、吐出量を小さくして、ざぶとん内の空気・注入材の水を追い出すようにゆ

っくり注入します。

③注入圧力は 0.1MPa(1kgf/cm2)程度でよい。

(7) アンカーを緊張・定着します(ざぶとん材の養生期間は 1 日あれば十分です)。

(8) 完成。

不陸が少ない場合は、受圧板よりざぶとん材がはみ出る事もあるので、必要に応じ裏込材が

硬化後、除去します。

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3.5 緊張・定着

アンカーの緊張・定着は、品質保証試験等によって、所定耐力等の設計条件を満たしたアンカ

ーについて行い、定着時緊張力は設計図書による。 (解 説)

アンカーの緊張・定着は、各種試験の終了後、所定の定着時緊張力で定着します。

地山の不陸が大きく、裏込工を施工する場合、受圧板がずり落ちないようにセットパイプ等を設置

し、ざぶとん材への注入材及びアンカーのグラウト養生後、所定の緊張定着作業を行う。

また、使用するアンカープレートは各アンカー専用のプレートとし、外径φ200~205mm の円形プ

レートを使用します。

受圧板背面から地下水の流入を防止するために、アンカープレートの周囲にシールをします。

(図 3-5 参照)。

3.6 アンカー頭部の防護

アンカー頭部は、アンカーキャップや受圧板保護キャップ等で防護します。 (解 説)

落石および雪崩等によりアンカー頭部を防護するために、

図 3-6 に示すようにPUC・RUC受圧板は、標準仕様でアンカ

ー頭部をアンカーキャップや受圧板保護キャップでアンカー

定着具を保護できる構造になっています。

図 3-6 アンカー頭部保護例

保護キャップ

シール処理

図 3-5 シール処理

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3.7 ジョイント工、目地工

必要に応じ、隣接する受圧板間を接続するジョイント工あるいは目地工(スクエアタイプの場合)を

計画することもあります。

(解 説)

PUC・RUC受圧板工法では、受圧板は独立板として設計していますので、一般にはジョイント工

は実施しないが、必要に応じ隣接する受圧板同士を連結することもあります。

スクエアタイプの場合は、受圧板間の隙間に対してモルタル等による目地工を行うことがありま

す。又、吊り用及び連結用インサート孔の処理は、市販の変成シリコンコーキング材を充填して穴

埋めをします。

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参考資料-1 ざぶとん裏込め工法の必要性検討フロー

(当協会では原則的にセットパイプとざぶとん裏込め工法をセットにした受圧板設置方法を推奨します。)

鋭角凹凸地盤

5cm

以上

鈍角凹凸地盤

補助工法

との併用(均し

モルタル

吹付け工等)

5cm

以下

ざぶ

とん

裏込

工法

(原

則セ

トパイプ使用)

硬質地盤

軟質地盤

ex.砂

質土、粘性土

ex.礫

質土、崖錐、玉石混

じり土、岩、吹付け地盤、

石積・コンクリート擁

不要

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【参考文献】 コンクリート標準示方書 :社団法人 土木学会

人工軽量骨材コンクリート設計施工マニュアル :社団法人 土木学会

道路土工 のり面工・斜面安定工指針 :社団法人 日本道路協会

グラウンドアンカー 設計・施工基準,同解説 :社団法人 地盤工学会

グラウンドアンカー受圧板 設計・試験マニュアル :財団法人 土木研究センター

EHD永久アンカー設計 ・ 施工マニュアル :KJS協会

フロテックアンカー工法設計 ・ 施工マニュアル :フロテックアンカー技術研究会

SEEE永久グラウンドアンカー工法設計・施工マニュアル :SEEEグラウンドアンカー研究会

SSL永久アンカー工法設計・施工マニュアル :SSLアンカー協会

Super MCアンカー工法設計・施工マニュアル :Super MCアンカー研究会

VSL永久アンカー工法設計・施工指針〔案〕 :VSL協会

平成 11 年 4 月 初版 平成 11 年 8 月 改訂 平成 12 年 2 月 改訂 平成 13 年 10 月 改訂 平成 15 年 4 月 改訂 平成 16 年 7 月 改訂 平成 18 年 4 月 改訂

斜面受圧板協会

URL : http://www.syamen.jp/ E-mail : [email protected]

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