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まちデザイン市民講座 危険度を増す遺伝子組み換え食品 世界の動きを探る 2015年1月23日 生活クラブ館会議室 印鑰 智哉 (オルター・トレード・ジャパン政策室室長)

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Page 1: まちデザイン市民講座 危険度を増す遺伝子組み換え食品 世界の動きを探る

まちデザイン市民講座

危険度を増す遺伝子組み換え食品 世界の動きを探る

2015年1月23日 生活クラブ館会議室 印鑰 智哉

(オルター・トレード・ジャパン政策室室長)

Page 2: まちデザイン市民講座 危険度を増す遺伝子組み換え食品 世界の動きを探る

立ち上がる米国の母親たち

Page 3: まちデザイン市民講座 危険度を増す遺伝子組み換え食品 世界の動きを探る

米国で深刻化する健康被害

糖尿病患者数とグリホサートと遺伝子組み換えの割合

甲状腺ガンの出現割合とグリホサートと遺伝子組み換え

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米国で急増する健康被害2

自閉症の子ども(6歳~21歳)の数とグリホサートの使用量

認知症による死亡数とグリホサートの使用量

4つのグラフはいずれも http://www.examiner.com/gmo-in-seattle/nancy-swanson

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映画Genetic Rouletteから

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粉ミルクは何でできている? さまざまなものに大豆、トウモロコシが使われている

国内メーカー 粉ミルクA

乳糖、たんぱく質濃縮ホエイパウダー、脱脂粉乳、パーム油、全粉乳、パーム核分別油、大豆白絞油、ガラクトオリゴ糖液糖、デキストリン(でんぷん糖化物)、精製魚油、炭酸Ca、塩化K、レシチン、クエン酸Na、塩化Mg、V.C、ピロリン酸鉄、タウリン、V.E、硫酸亜鉛、シチジル酸Na、ナイアシン、パントテン酸Ca、V.A、硫酸銅、イノシン酸Na、ウリジル酸Na、グアニル酸Na、5-AMP、V.B6、V.B1、V.B2、葉酸、カロテン、V.D、V.B12

国内メーカー 粉ミルクB

デキストリン(でんぷん糖化物)、分離大豆たんぱく質、ぶどう糖、大豆白絞油、パーム油、パーム核分別油、MCTオイル、フラクトオリゴ糖、食用シソ油、食塩、炭酸Ca、リン酸K、レシチン、リン酸Ca、塩化Mg、海藻灰抽出物、V.C、メチオニン、クエン酸鉄Na、クエン酸Na、タウリン、シスチン、V.E、硫酸亜鉛、ナイアシン、パントテン酸Ca、V.A、V.B2、V.B1、V.B6、硫酸銅、葉酸、V.D、V.B12

日本の粉ミルクメーカーは非遺伝子組み換え素材を使っていると言われます。(未確認)

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遺伝子組み換えの安全性?• 遺伝子組み換え作物は「安全」であると遺伝子組み換え企業は宣伝するが、異なる研究成果が多数発表されている。

• 90日間、実際の環境とは異なる実験室で遺伝子組み換え企業が実験したデータを元に推論したもの

• 問題を指摘する研究者は政府の承認委員会から排除される

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遺伝子組み換えで引き起こされている可能性の高い疾患

• 腸・消化器官関係の病気

• 糖尿病、肥満、腎臓病

• セリアック病、アレルギー、自己免疫疾患

• 自閉症、アルツハイマー、パーキンソン病

• 出生障がい、不妊(精子の減少・異常含む)

• ガン、白血病、甲状腺の疾患

• 抗生物質の効かないウイルス感染

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現在の遺伝子組み換え作物の主な種類

1. 除草剤耐性遺伝子組み換え(HT、Herbicide Tolerant。例、ラウンドアップ耐性大豆、Roundup Ready soy。除草剤とセット)

2. 害虫抵抗性遺伝子組み換え(Bt、虫が食べたら即死するBt毒素を作り出すもの)

ただし、現在はマルチスタック(掛け合わせで両方の遺伝子組み換えを組み合わせているものが多い)

Page 10: まちデザイン市民講座 危険度を増す遺伝子組み換え食品 世界の動きを探る

Btコーンを虫が食べると

映画 Genetic Rouletteの一シーン

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「Btコーンはほ乳類には安全です」?

Page 12: まちデザイン市民講座 危険度を増す遺伝子組み換え食品 世界の動きを探る

腸疾患とBtコーン

Page 13: まちデザイン市民講座 危険度を増す遺伝子組み換え食品 世界の動きを探る

遺伝子組み換え飼料で育った豚と そうでない豚の胃

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問題 問題を起こす原因

腸・消化器官関連の疾患 Bt毒素、ラウンドアップなどの 残留農薬

腎臓、肝臓などへの障害 ラウンドアップなどの残留農薬

免疫関係の疾患 Bt毒素、ラウンドアップ、突然変異タンパク質、抗生物質耐性遺伝子

神経系の病気 ラウンドアップなどの残留農薬

出生異常、出生障害 ラウンドアップ(グリホサート)、遺伝子情報の撹乱など

ガン ラウンドアップなどの残留農薬、遺伝子情報の撹乱

抗生物質の効かないウイルス感染 抗生物質耐性遺伝子

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不妊、ガン、…• 右は遺伝子組み換え大豆を食べた親の子。体重は半分

• 子どもを作ることができなった

• フランスのカーン大学での実験 • ラットの寿命2年で実験(政府の承認は90日のみ

• モンサントのGMコーン、ラウンドアップ共に悪性腫瘍などで多くが短命となった。

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危険度が増す遺伝子組み換え その1

• モンサントの除草剤ラウンドアップ(グリホサート)が効かないスーパー雑草が増えてきた

• 米国環境庁は残留許容量を大幅引き上げ(2013/2014)

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危険度増す その2 枯れ葉剤、ジカンバ混合

• モンサントのグリホサートに加えて、より危険なベトナム戦争で使われた枯れ葉剤(2,4-D)やジカンバを混ぜて使う→ガンや神経症などへの懸念が高まる

• 米国では50万人以上が反対して、2年間以上承認が止まる。昨年9月(枯れ葉剤耐性GM)、今年1月(ジカンバ耐性GM)が米国で承認。しかし、日本は2012年12月(枯れ葉剤耐性GM)、2013年10月(ジカンバ耐性GM)、マスコミ報道もないまま承認

• 米国でいったん耕作が始まれば南米、フィリピン、ベトナム、南アフリカに拡がる危険性が高い。中国が現在歯止めに。

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危険度増す その3 スーパー害虫の出現

• Bt毒素が効かない害虫が大量発生。殺虫剤を大量に使う事態に

• モンサントはSmartStax Proトウモロコシを作る。RNA-iという特定の遺伝子の機能を抑制する遺伝子組み換え導入。

• このRNA-iは人間の遺伝子にも影響を与える可能性を指摘する声がある。安全性は不明

• まったく別のRNA-iを使うというのではなく、これまでのラウンドアップ耐性、害虫抵抗性にプラスαとなる。つまり、これまで以上に危険と推測される要素が増えた遺伝子組み換えだ。

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究極の遺伝子組み換え、 合成生物学

• たとえばココナツオイルの成分を合成生物学で作り出す。

• 農民がいない世界へ。工場で食料を作る。

• 培養肉など、家畜すらも不要とされる人口食の時代が来る?

• 健康や生態系への影響は?

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ラウンドアップが2000を 超す作物の立毛乾燥に

• 遺伝子組み換えを避けている米国の母親の母乳からラウンドアップが検出される。

• 米国では遺伝子組み換えでない2000以上の農作物にラウンドアップを収穫前に噴霧する。植物は枯れる前に種にエネルギーを集める=収穫が増す。枯れてくれるので収穫もしやすい。しかし収穫物にラウンドアップが残留する。

• 農薬残留を避けるために有機農産物を求める人が急増

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「健康にいい」遺伝子組み換え

• 「農民の利益になる」遺伝子組み換えの時代から「健康にいい」遺伝子組み換えへ

• オメガ3脂肪酸の多い大豆、ビタミンA強化したバナナ、花粉症が治る稲

• 遺伝子組み換え産業のマッチポンプ

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遺伝子組み換え蚊• デング熱の被害が広まる。デング熱は蚊に媒介されて拡がる。

• 幼虫がすぐ死ぬように遺伝子組み換えした雄を大量(数百万匹)放出し、自然界の蚊と交配させ、蚊の数を減らそうというもの。

• 蚊が大発生するのは天敵(蛙やトンボ)が農薬で消えたから。農薬規制が正しい方法

• 遺伝子組み換えで生態系を壊し、その壊れたことをさらに遺伝子組み換えのビジネスチャンスとしようとするもの。

• ブラジルで実験したがその町はその後、デング熱の非常事態宣言する事態に。しかし、本格放出準備中。米国フロリダでも。

• 遺伝子組み換え蚊によりより重いデング熱患者が出る危険やバイオハザードになる危険の指摘もある

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実は恐ろしい遺伝子組み換え木

• 寒冷地帯でも植えられたり、より早く成長する遺伝子組み換えユーカリが解禁になる可能性

• 遺伝子組み換え農業よりも遺伝子組み換え林業は生態系に大きな影響を与える可能性あり。

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分かれる世界の対応• 日本は遺伝子組み換え企業に米国政府以上に忠実で次々に承認をスピードアップしている。しかし、そうした国は世界ではむしろ少数(米国勢力圏、カナダ、南米など)

• フランスやドイツなどのEU諸国、エクアドル、ペルー、ベネズエラなどのラテンアメリカ、南アフリカを除く多くのアフリカ諸国に加え、ロシアは遺伝子組み換え禁止へ。中国も規制に踏み出す。

• 危険度を増した遺伝子組み換え作物も中国政府の規制が制約となって米国での耕作がまだ本格化していない

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南米での遺伝子組み換えによる被害の実態

• ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ボリビア一帯が「大豆連合共和国」と揶揄される(cf. バナナ共和国)。

• アルゼンチン、パラグアイでは大豆のほとんどが遺伝子組み換えに(農地の6割近く)

• ベトナム戦争を思わせるような先天性欠損症、流産、ガン、白血病、肝臓病などが多発(アルゼンチンやパラグアイの大学病院の医師らのネットワークが告発。しかし多くは情報は隠蔽されている)。

• 先住民族、小農民の土地からの追い出し(パラグアイでは毎年10万人弱が土地から追い出し)

• 国連人権委員会が遺伝子組み換え作物への農薬噴霧が人権侵害をもたらしていると勧告

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排除される小農民たち焼き討ちや農薬噴霧で追い出すことも

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←アルゼンチンの遺伝子組み換え大豆畑に囲まれた地域で生まれた子ども。先天性欠損症など深刻な病が多数発生している。http://www.amcmh.org/PagAMC/downloads/ads85.htm

近所での白血病やガンなどの患者の地図を作った母親たち。周りは遺伝子組み換え大豆畑に囲まれている。ガン発生率は全国レベルの41倍であることが発覚。モンサントの農薬ラウンドアップの空中散布が原因(YouTube http://youtu.be/WUJqOkvcdFk )

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自由貿易協定で独占• 世界の種子市場の7割が6つの遺伝子組み換え企業が握っている

• 農民が種子を保存することは犯罪とする「モンサント法」が世界で浮上。

• アフリカ、ラテンアメリカ、アジアの諸国も自由貿易協定を使って、種子を強制

• TPPは「最悪のモンサント保護法」

• 自殺種子の合法化も射程

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March Against Monsanto

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遺伝子組み換え農業の限界• 遺伝子組み換え技術が元にしているのは70年前の学説(1つの遺伝子は1つのタンパク質を作る)

• 機械論的。実際の遺伝子はもっと有機的で複雑な機能を持っている。2002年に遺伝子の解析が終わり、以前の説を信じる学者はもういない。

• スーパー雑草、スーパー昆虫を抑えられない。

• 遺伝子組み換え農業は化学肥料と農薬なければ続けられない(化石燃料を畑にぶち込む農業)。化石燃料は続かない

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遺伝子組み換え農業の限界

• 遺伝子組み換えは収穫を増やさない

• 遺伝子組み換えは飢餓を救わない

• 遺伝子組み換えは土壌と水資源を破壊する

• 遺伝子組み換えは栄養失調を救わない

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遺伝子組み換えと原発• 遺伝子組み換え企業は農業企業ではなく、化学企業

• 戦争で爆薬や細菌兵器で巨大企業へ

• 「緑の革命」(F1種子、農薬、化学肥料)を世界に広げる→第2次緑の革命=遺伝子組み換え

• 核兵器→原発、爆薬・細菌兵器→緑の革命、遺伝子組み換え。戦争技術を終わりにする時

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行き詰まる遺伝子組み換え企業

• モンサントの収益は34%下落。耕作国はさほど増えず、耕作国の農民が離反しつつある。

• そこでこれまでの大豆、トウモロコシ、コットン、甜菜などに加え、小麦などに着手。しかし消費者の反発をもっと受ける可能性あり。

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世界的なアグロエコロジーの動き

• 生態系の力を活用する科学、農業実践、社会運動

• 80年代からラテンアメリカなどで発達

• ソ連崩壊後のキューバ、遺伝子組み換えに襲われたブラジルで特に発展

• 種子の権利、植えたいものを植える、食べたいものを選択する食料主権を求める動き

• フランスやイギリスでも取り組みが開始

• 昨年、FAOが国際会議を開き、日本政府も賛同

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日本でも

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さて、どうする?• 実は遺伝子組み換えを避ける食生活は十分可能。

• 遺伝子組み換えを避けよう(特に加工食品、食肉から)       ◆すでに市場に出ているもの:大豆、トウモロコシ、ナタネ、ワタ、甜菜、アルファルファ、パパイヤ、ズッキーニ、イェロー・スクアッシュ ◆今後出てきそうなもの: 小麦、パイナップル 、リンゴ、バナナ、カカオ、米、フェイジョン豆など     食用油も注意(ナタネは市販のものは原料がほぼGMO。残留農薬の問題)

• 問題を知人に知らせる→口コミ、ドキュメンタリー上映会、学習会など

• より厳格な遺伝子組み換え表示を政府に要求、遺伝子組み換え承認プロセスの見直し

• 耕作禁止政策の要求。国外生産者の非遺伝子組み換えへの転換支援・連帯

• 生協や産直、CSA(コミュニティ支援農業)などを通じて遺伝子組み換え使わない畜産農家、加工食品メーカーを支援。

• 食と職を作り出す。都市農業の可能性も

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参考資料✤ ATJの事業 http://altertrade.jp/

✤ 遺伝子組み換え http://altertrade.jp/alternatives/gmo

✤ アグロエコロジー http://altertrade.jp/alternatives/agroecology

✤ 家族農業 http://altertrade.jp/archives/6882

✤ 印鑰のBlog http://blog.rederio.jp/ 

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