脳卒中予防の問題点と解決策 秋田県立脳血管研究センター 鈴木一夫

38
脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳 脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳 脳脳 脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳 脳脳脳脳脳脳脳 脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳脳 脳脳脳脳脳脳脳

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脳卒中予防の問題点と解決策 秋田県立脳血管研究センター 鈴木一夫. 古い時代の秋田県の脳卒中危険因子 その実態と変遷 現在の脳卒中と危険因子の特徴 脳卒中予防対策. 高血圧病の遺伝性         中沢房吉 秋田県医師会雑誌3; 2-4 : 1951 日本では欧米と異なり、高血圧病の過半数は脳溢血死である。 秋田県雄物川沿岸の農村で高血圧者を見つけると、その家系には物凄いばかりの脳溢血死が重なってあった。 - PowerPoint PPT Presentation

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Page 1: 脳卒中予防の問題点と解決策 秋田県立脳血管研究センター 鈴木一夫

脳卒中予防の問題点と解決策 

秋田県立脳血管研究センター鈴木一夫

古い時代の秋田県の脳卒中危険因子その実態と変遷

現在の脳卒中と危険因子の特徴脳卒中予防対策

Page 2: 脳卒中予防の問題点と解決策 秋田県立脳血管研究センター 鈴木一夫

高血圧病の遺伝性        中沢房吉 秋田県医師会雑誌3; 2-4: 1951

日本では欧米と異なり、高血圧病の過半数は脳溢血死である。秋田県雄物川沿岸の農村で高血圧者を見つけると、その家系には物凄いばかりの脳溢血死が重なってあった。岩手県三陸沿岸漁村で調べると、高血圧でもその家系に脳溢血は少ない。すなわち、遺伝性がない様に見える高血圧者が少なくなかったので、秋田県をまわって受けた「高血圧病は遺伝也」との強い印象が甚だしく弱くなった。 

「明治 29年に有名な三陸の大津波があり、その時村の成年男子の殆んど全部は遠く海に出ていたため助かったが、村に残った女子供は完全に全滅した。そこで新たに妻とし迎えた女たちはいずれも津波から逃れた内陸農村より輸入されたのである。ところで津波で女の全滅した漁村(重茂おもえ 、大沢など)には年々脳溢血は1人か2人しかでないのであるが、新たに女房たちのでてきた内陸農村の花輪村、茂市村などはもとから脳溢血の多いところである(宮古保健所調べ)」 

注釈脳溢血が遺伝する疾患であれば、内陸の脳卒中多発地域の素因を母親から受け継ぎ、脳卒中好発年齢となった子孫たちは脳溢血が多いはずであるが、実際には少ない。上記のことから、脳卒中発症に遺伝以外の環境要因を考えなくてはいけない。

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環境の違いは、  雄物川沿岸は裏日本的気候で曇天が多く、冬は雪深く寒冷なるに対し 三陸沿岸は暖流の影響を受け、冬も暖かい日が少なくない。 雄物川沿岸は塩分の大量摂取と米の大食、副食は甚だ単調   ご馳走は豊富なつけもの。美味であるが、塩辛い。 牛乳・たまごは好まず、魚も干物あるいは塩魚である。 きわめて美味な自家用濁酒を豊富に作り、女子供もこれを嗜む。 冬季かなり長い冬篭り生活となり、唯一の慰安は互いに訪問し、つけものを肴に 芳醇無比な濁酒をくみかわすことにあり。  三陸沿岸は米不足で、塩分摂取も雄物川の比ではない その代わり新鮮な魚介・海藻を多くとって、副食物は多種多様かつ豊富である。 米の余分なきため、ほとんど濁酒をつくらず、 清酒を買って飲むゆえ、その量は秋田県農村の比ではない。 冬の最中がちょうど鮭漁の盛期にあたり、他の漁獲とともに戸外で働くことが多い。

雄物川沿岸には家系に脳溢血をもつ高血圧が著しく多く三陸沿岸には脳溢血のない高血圧がいる

中沢房吉 秋田県医師会雑誌3; 2-4 : 1951

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0

20

40

60

80

飲まない 2合以内 5合以内 5合を超える

 男 317人 女 484人

毎日の飲酒量と血圧 1950年代初期の秋田県

男、40歳以上の血圧150 mmHg 以上の割合69%  74%    76%

49%

日内会誌 1951 : 40 ; 487-509

ALDH2 *2

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Am. J Cardiol 1961:8;571-575

秋田

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 秋田県は70歳以上の長寿者が日本一少ない短命県 原因は、若い年齢の卒中死が断然多い結果である 

1. 酒と卒中 秋田のみの弱い危険  秋田では卒中が男よりも女に多い村が多数存在する  古来女も男同様に酒を飲む風習に由来する2. 米の偏食大食の村は必ず卒中が多く、しかも若い年齢に多い   米の大食は食塩の過食が付き物である  高血圧患者の食塩を減らすと血圧が下がる3. 海藻常食の村には卒中が少ない4. 大豆の名産地は卒中が少ない5. 卒中の特に多い村は野菜不足である、  その中でもにんじん、かぼちゃを主食のように食べているところは長寿 

米の大食を避けて魚、肉、大豆から蛋白質を十分に摂るこれは、早老短命を転じて健康長寿にする食生活である

卒中と食習慣    近藤正二 日本臨床 10,992,1952

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地域       卒中死/ 10 万  卒中死/ 20 歳以上死      日本臨床10 ; 992-996 : 1952

全国平均 162 16.9 %              卒中と食習慣 近藤正二秋田県   272   28.5  食習慣・地域の特徴卒中の多い村 (秋田県)種平   470  49.2  米単作、雄物川沿い(秋田県)淀川   470  49.2  米単作、雄物川沿い(岩手県)真城   349  33.8  米単作(山形県)東栄   323  21.7  米単作(山形県)及位   306  30.0  米不足なるも米を大食(熊本県)木上   276  21.5  米作           卒中の少ない村(岩手県)有芸    80   8.7   ひえ、大豆名産地(長寿村)(秋田県)戸賀    98   8.3  海藻常食(漁村、県一の長寿村)(東京大島)野増 61   6.1  農が主(長寿村)(山梨県)鳴沢    86 13.2  とうもろこし常食、大豆名産地(島根県)黒木    70   6.0  半農半漁、米不足(日本一長寿村)(長崎県 ) 伊木力 52   9.5   米不足のみかん村(静岡県)高部   130   23.4 米自給のみかん村

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脳血管疾患の都道府県別死亡

          資料:厚生省統計情報部 「昭和 58 年人口動態統計」

198 3年

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 男

  女

都道府県別の脳血管障害標準化死亡比( 1997 )

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144149

128

96

136

85 86 86

55

81

30

60

90

120

150

北海道帯広 秋田全県 長野佐久 大阪吹田 沖縄全県

男 女

発症率

/100,000

脳卒中発症率 の地域比較 1990 年代厚労省研究班データ

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453

344

270

193

0

100

200

300

400

500

68-72 73-77 78-82 83-87

年齢調整発症率

雄物川沿岸(秋田県雄和町)の脳卒中発症推移                                     1968-1987

/ 10万

期間 年

20年間で57%減少

1961年 国民皆保険制度

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125

130

135

140

145

150

65 70 75 80 85 900

5

10

15

20

25

30

35( )最大血圧値 男 最大血圧値(女)

受療率(男) 受療率(女)

雄和町の最大血圧の変化と高血圧受療率高血圧治療が集団の血圧低下と脳卒中の減少をもたらす

mmHg %

相関係数  -0.895,  r 2 = 0.80         -0.855,  r 2 = 0.73

1961年 国民皆保険制度

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125

130

135

140

145

150

65 70 75 80 85 90 95125

130

135

140

145

150( )最大血圧値 男 最大血圧値(女)

最大血圧(全県、男) 最大血圧(全県、女)

雄和町と全県の最大血圧の変化高血圧受療率がプラトーになった 1980 年代から

集団の血圧低下はわずかとなる

2000年

mmHg mmHg全県雄和町

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秋田県の脳卒中推移  1985 年 -2005 年人口の高齢化に伴い 発症数は増加、しかし年齢調整発症率は不変

630408

744526

859733

1002881

1129882

231

353

243

368

288

391358

401

397131

176

99

187

136

218

102194

121

224

317

0

500

1000

1500

   男 女  男 女    男 女  男 女  男 女

脳梗塞 脳出血 くも膜下出血

97

47

100

50

103

59

106

58

111

49

48

28

49

25

47

26

45

27

45

28

20

22

14

21

19

22

14

17

16

20

0

50

100

150

200

   男 女  男 女    男 女  男 女  男 女

脳梗塞 脳出血 くも膜下出血初回脳卒中の発症 数 初回脳卒中の年齢調整発症率

7793 ( 61 %) 3347 ( 26 %) 1588 ( 13 %)

/10 万人

18932152

26012928

3154

1985 90 95 2000 05 1985 90 95 2000 05

126 126 136 131 132

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500000

600000

700000

1985 1990 1995 2000 2005

男 女

高齢化先進県!秋田の高齢化と人口減少  1985-2005

65 歳以上高齢化率13%

16% 20%

24% 27%

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脳卒中後の経過

脳卒中再発 20%脳卒中初発 80%

急性期・回復期

リハビリ

社会復帰療養型施設入所を含む

死亡 

10年間で50%

医療・介護・日常生活動作の状況 

死因 N=453 

脳卒中 20%肺炎  23%心不全 13% 

がん 20%その他 24%

介護保険サービスが必要 60% (13%は介護度4-5 )医療保険での治療が必要 93% (89%は治療継続中)

2005-2009  秋田脳研追跡調査

再発  10 年間で 20 %

急性期治

療 28日以内12%

1次予防、2次予防

3次予防

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危険因子は遺伝と環境要因が混在 

 性、年齢(老化) 血圧値 糖尿病 脂質異常症 アミロイド変性症 動脈硬化症 心房細動 脳卒中既往 食習慣 運動不足 肥満 飲酒、喫煙 ストレス

脳卒中発症 に関わる要因危険因子の組み合わせが発症 を増幅する

14.5

13.0

9.611.0

9.6

5.8 4.7 4.3

3.82.4 2.5 2.4

1.0 1.0 0.7 0.70

5

10

15

<160 -200 -240 >240

normal

preHT

HT-1

HT-2

総コレステロール

JNC7血圧区分

ハザード

脳出血発症の血圧とコレステロールの組み合わせ

Cerebrovasc Dis 2011;31:100-106

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050010001500200025003000350040004500

1973 2000

CT,MR ありCT,MR なし

脳卒中発症登録 者数と健診データ

1983 年 11 月からCT情報の登録開始

発症 年

1973年∼ 2010年の全登録数  100,647件画像診断を含むもの  88,475件

198519901980

1995

2005

2011.05.12

2010

危険因子の解析可能健診データ

健診新データ

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受診者156892人

項目性年齢 

血圧BMI総コレステロール飲酒喫煙糖尿病心疾患

739人脳梗塞

361人脳出血

223人くも膜下出血

99人皮質梗塞+心房細動

188人皮質梗塞、心房細動なし

296人ラクナ梗塞

128人被殻出血

115人視床出血

82人皮質下出血

3 年以内発症健診 1990 年 -1999 年

健診受診者数と受診後 3 年以内の脳卒中発症 者数

1323人

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項目と区分 出血 梗塞 SAH 性 男性 1 1 1 女性 0.7 0.5 1.8年齢 30-49 歳 1 1 1 50-59 歳 3.5 3.9 1.3 60-69 歳 5.1 8.9 2.5 70-79 歳 7.0 20.3 2.1 80 歳以上 9.4 31.3 1.7血圧区分 至適血圧 1 1 1 正常血圧 1.7 1.4 2.8 正常高値血圧 3.7 1.8 2.8 軽症高血圧 6.6 2.2 6.4 中等症高血圧 13.1 2.6 10.1 重症高血圧 24.9 4.9 16.2肥満度( BMI) やせ過ぎ 1.3 0.6 1.5 標準 (18.5-25) 1 1 1 やや肥満 1.0 1.1 0.7 肥満 (30 以上 ) 1.8 1.0 1.2

項目と区分 出血 梗塞 SAH総コレステロール 160mg/dl未満 1 1 1 160-199 0.7 0.9 0.4 200-239 0.6 0.9 0.5 240-279 0.6 0.9 0.4 280mg/dl 以上 0.6 1.7 0.2飲酒 飲まない 1 1 1 飲む 1.2 0.8 1.0喫煙 吸わない 1 1 1 10 本 / 日以下 0.9 1.7 1.5 11-20 本 / 日 0.9 2.0 1.3 21 本 / 日以上 1.2 1.5 2.4糖尿病 なし 1 1 1 あり 0.9 1.6 0.3心疾患 なし 1 1 1 あり 0.9 2.1 0.8

脳卒中病型分類SAH: くも膜下出血

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項目と区分 被殻 視床 皮質下性 男性 1 1 1 女性 0.7 0.7 0.8年齢 30-49 歳 1 1 1 50-59 歳 4.4 2.5 2.4 60-69 歳 4.5 4.7 7.6 70-79 歳 4.5 7.5 16.4 80 歳以上 2.4 11.6 20.5血圧区分 至適血圧 1 1 1 正常血圧 2.5 1.3 2.3 正常高値血圧 6.8 3.3 2.6 軽症高血圧 18.6 9.6 1.5 中等症高血圧 36.5 19.5 1.9 重症高血圧 54.3 55.4 4.6肥満度( BMI) やせ過ぎ 1.3 2.0 0.7 標準 (18.5-25) 1 1 1 やや肥満 1.3 0.8 0.7 肥満 (30 以上 ) 2.7 1.9 0.8

項目と区分 被殻 視床 皮質下総コレステロール 160mg/dl 未満 1 1 1 160-199 0.5 0.9 0.5 200-239 0.5 0.5 0.9 240-279 0.4 0.9 0.5 280mg/dl 以上 0.4 0.6 / 飲酒 飲まない 1 1 1 飲む 1.8 1.1 0.8喫煙 吸わない 1 1 1 10 本 / 日以下 0.8 0.7 0.6 11-20 本 / 日 0.9 0.7 2.2 21 本 / 日以上 1.2 0.9 1.6糖尿病 なし 1 1 1 あり 0.8 0.8 / 心疾患 なし 1 1 1 あり 0.8 1.1 1.5

脳出血亜分類

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皮質梗塞項目と区分 ラクナ AF+ AF-性 男性 1 1 1 女性 0.7 0.4 0.5年齢 30-49 歳 1 1 1 50-59 歳 5.1 3.9 4.5 60-69 歳 10.3 13.9 12.2 70-79 歳 24.5 36.4 23.9 80 歳以上 26.2 75.3 44.0血圧区分 至適血圧 1 1 1 正常血圧 1.3 1.1 1.7 正常高値血圧 1.7 1.3 2.2 軽症高血圧 2.4 1.3 2.3 中等症高血圧 3.0 1.2 3.7 重症高血圧 5.1 2.0 6.6肥満度( BMI) やせ過ぎ 1.0 0.5 0.5 標準 (18.5-25) 1 1 1 やや肥満 1.2 1.0 0.9 肥満 (30 以上 ) 1.5 0.4 0.6

皮質梗塞項目と区分 ラクナ AF+ AF-総コレステロール 160mg/dl未満 1 1 1 160-199 1.1 0.8 0.9 200-239 1.2 1.0 0.9 240-279 1.3 0.6 0.9 280mg/dl 以上 2.3 0.6 1.5飲酒 飲まない 1 1 1 飲む 0.9 0.6 0.8喫煙 吸わない 1 1 1 10 本 / 日以下 1.9 0.9 2.0 11-20 本 / 日 2.6 0.9 1.5 21 本 / 日以上 1.9 0.7 1.1糖尿病 なし 1 1 1 あり 2.0 1.1 1.8心疾患 なし 1 1 1 あり 1.1 7.8 1.9

脳梗塞亜分類 AF : 心房細動

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40 歳以上日本人の男女別c -AFとp -AF予測数

0

500000

1000000

1500000

c-AF p-AF c-AF p-AF

男 女

2010 年  7207 万人 2030 年  7627 万人

826709

11573551048751

1564823

42 %

40 %

80歳以上が増加する

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1

1.5

2

2.5

3

1 1.02 1.04 1.06 1.08 1.1 1.12

脳出血脳梗塞くも膜下出血

10歳年齢区分の Exponential β

血圧区

分の

Exp

onen

tial

β

被殻出血視床出血

皮質下出血

ラクナ梗塞 皮質梗塞AF なし

皮質梗塞AF あり

脳動脈瘤破裂

脳卒中病型別の年齢と血圧の相対危険

Page 25: 脳卒中予防の問題点と解決策 秋田県立脳血管研究センター 鈴木一夫

120

122

124

126

128

130

132

134

136

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 月5

6

7

8

9

10

11

血圧の推移と脳卒中発症 の関係mmHg

起床時血圧

就寝前血圧

%脳出血

くも膜下出血

血圧

脳卒中発症

Correlation coefficient between BPCH 0.8, SAH 0.7

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脳卒中の再発予防1998年 -2001年の文献をまとめた

Straus SE, et al. JAMA 2002;288,11:1388-1395

治療 相対危険低下率 (95 %信頼限界 )NNT* 予防率#  集団中の割合高血圧 28  % (15-39) 51 16.5  %   HT 35 %スタチン脂質異常症 25  (14-35) 57 10.2    > 280 1.1

%ワルファリン 62  (48-72) 13 10.5    AF 0.6 %アスピリン 28  (19-36) 77 9.9禁煙 33  (29-38) 43 10.5   喫煙 24 %   内膜剥離CEA 44  (21-60) 26 3.9 * Number need to treat to prevent 1 stroke a year;# 全再発中の予防可能な割合

日本人

高血圧と喫煙は集団に対する脳卒中の予防で対策優先順位が最も高い

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至適血圧に対する脳卒中発症 の相対危険年齢、性、肥満度、飲酒、喫煙、脂質、糖尿病、心疾患を調整

1.01.6

2.2

3.3

4.8

8.7

0123456789

<120 120-129 130-139 140-159 160-179 180≦

全脳卒中

正常血圧

高血圧

mmHg

相対危険

至適   正常    高値至適   正常    高値    軽症   中等    重症軽症   中等    重症

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至適血圧

80    85    90     100    110

120

130

140

160

180

最大血圧mmHg

最小血圧mmHg

血圧分類 高血圧治療ガイドライン 2009

正常血圧

正常高値血圧

Ⅰ度(軽症)高血圧

Ⅱ度(中等症)高血圧

Ⅲ度(重症)高血圧治療目標  65 歳未満

糖尿病、腎臓病合併の治療目標

老人、脳梗塞

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高血圧治療と血圧水準秋田県の健診受診者

0% 20% 40% 60% 80% 100%

至適 正常 正常高値 軽症 中等 重症

58%が高血圧域に留まる→治療目標値達成脳卒中は35%減少する

4 10 28 43 14 1

Rule of halves ;高血圧の自覚 ½ 、治療 ½ 、コントロール ½WCS Smith, et al. BMJ1990 ; 300 : 981-983

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ソフトを使って血圧を下げる日循協 http://www.jacd.info/ からダウンロード

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 喫煙習慣と脳卒中発症 危険 非喫煙を1にしたときの相対危険

1.4 1.5 1.51.7

2

1.51.51.3

2.4

0.9 0.91.2

0

1

2

3

1-10本 11-20本 21本以上

脳卒中 脳梗塞 くも膜下出血 脳出血倍

喫煙本数/日

* * *

*5 % 水準で有意

年齢、性、血圧、糖尿病、飲酒、肥満度、コレステロールを調整

Page 33: 脳卒中予防の問題点と解決策 秋田県立脳血管研究センター 鈴木一夫

脳卒中発症 時に喫煙習慣を有した人のその後 

30

310

14

77

0

100

200

300

通院なし 定期通院

禁煙 喫煙持続人 N=340     N=91

喫煙率32% 喫煙率20%

21%

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病院・医院での喫煙習慣に対しての指導

56%

11%

33%

指導をうけた

口頭で注意

言われたことがない

264人

158人

54人

入院中の禁煙指導は、診療報酬に反映されない

入院中は禁煙指導の最も良い機会

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喫煙習慣のある脳卒中患者さんへのパンフレットの配布効果

- 喫煙が脳卒中の危険因子であることを知り、禁煙のきっかけとなる- 医療提供側も喫煙習慣を確実に把握して、予防の指導に結びつく- 病棟や外来での配布は最少の負担で、確実に情報を伝えられる

パンフレットの追加は、脳研センター疫学研究部にご連絡下さ

い。電話: [email protected]

パンフレットを使ってくだパンフレットを使ってください!さい!

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1)海外では、写真によるたばこの警告表示があるのをご存知でしたか?   1.はい    2.いいえ2)現在の日本の警告表示( JP )に EU のように写真も使うべきとの意見があります。 これについて、あなたはどう思われますか?  1.賛成  2.反対   (理由                      )3)たばこの警告表示として最も良い(たばこの害を知り、禁煙や喫煙防止に役立つ)と思う

ものを 別紙 1~ 18 の中から 1つ選んで、その番号をお書き下さい。  番号   、4)次に良いと思うものを2つ選んで、その番号をお書き下さい。  番号   ,   、5)たばこの警告表示として最も悪いと思うものを別紙 1~ 18 の中から1つ選んで、番号をお

書き下さい。  番号   、6)悪いと思われた理由に当てはまる番号を1つ選び○で囲んで下さい。  1.過度の不快感、恐怖感をあたえる  2.わかりにくい  3.情報が不正確   4.文字が多くて読みにくい  5.その他(             )7)次に悪いと思うものを2つ選んで、その番号をお書き下さい。  番号   ,   、8)差し支えなければ、回答された方の3つの情報をお知らせ下さい。 ① 年齢:     歳 ② 性別: 1.男  2.女 ③ 喫煙: 1.現在吸っている 2.過去に吸っていた 3.吸ったことがない

たばこ警告表示についてのアンケート

結果は、 http://www.akita-epid.net/  「たばこ警告表示に関する研究」を参照

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脳卒中予防のための、有力でコントロール可能な危険因子がすでに明らかになっている。 

しかし、その代表である高血圧と喫煙に対するコントロールは、いまだ不十分で多くの過剰発症 が起きている。 

新しい危険因子の発見や 対策(たとえばメタボ)にもまして、既知の有力な危険因子に積極的介入をおこない発症 を減少させることを優先して行なうべきである。

いま、医療と予防専門職の実行力が問われている

脳卒中予防対策のまとめ