橋 梁 点 検 ハンドブック - mlit.go.jp...は じ め に 橋梁点検の必要性...

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北陸地方整備局 通常(日常)点検

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橋橋 梁梁 点点 検検

ハハンンドドブブッックク

北北陸陸地地方方整整備備局局

通通常常((日日常常))点点検検

地地 震震 時時 点点 検検

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は じ め に

橋梁点検の必要性

昨今、橋梁の老朽化に起因する損傷が多く発生しており、

橋梁をはじめとした構造物の維持管理の重要性が増してき

ています。

橋梁の定期点検は、「橋梁定期点検要領(案)H16.3」に

基づき、5年に1回の頻度で全ての部材を近接目視により点

検しているところですが、今後の急激な老朽化に対応するた

め、日常より、簡易目視点検により変状の有無や致命的な損

傷の有無を確認することが重要となっております。

本ハンドブックは、これまで直接橋梁維持管理に携わった

ことのない技術者の方も含め、簡易目視点検を行う場合の助

けとなるよう、「通常(日常)時」、及び「地震発生時」に点

検すべきポイントを整理しました。

点検前や点検中に本ハンドブックを活用していただき、点

検をスムーズに実施するための参考資料として頂ければ幸

いです。

なお、「地震発生時」の点検とは、地震発生直後に構造体

の安全性について実施可能な範囲で簡易的に確認するため

のものであり、詳細な近接点検については、状況に応じて別

途実施する必要があります。

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点検前の準備

○調書類

・直近の定期点検結果、本ハンドブック

○使用機器

(安全・確実な点検実施のため持参しましょう)

・ヘルメット、作業靴、軍手、安全チョッキ

・点検ハンマー、コンベックス、安全ベルト

・双眼鏡、懐中電灯、マスク(必要に応じ)

○安全確保のための留意点

【箱桁内の点検】

・夏場の箱桁内は高温になるため、熱中症に注意しましょ

う!

・酸欠対策に十分注意(可能であれば、酸素濃度測定)し、

マンホールを開けてしばらく時間をおいて、箱桁内部に

入りましょう。

【点検路を用いた点検】

・点検路を使用する際は、腐食状況を確認しましょう。

・点検路の腐食が確認された場合は、立ち入り禁止措置等

を行います。

点検路の腐食

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も く じ

【通常時編】

◎通常(日常)点検の流れ ................. 1

1.路面の点検のチェックポイント ....... 2

2.側面の点検のチェックポイント ....... 4

3.路下の点検のチェックポイント ....... 5

支承部 ............... 5

鋼橋(鈑桁) ............... 6

鋼橋(箱桁) ............... 8

鋼橋(RC床版) .............. 10

コンクリート橋(RC橋) .............. 12

コンクリート橋(PC橋) .............. 14

コンクリート橋台・橋脚 .............. 16

塩 害 .............................. 18

4.第三者被害予防措置 ................... 19

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【地震時編】

◎地震時の橋梁点検着目点 ................ 21

1.異常時巡回時の着目点 .............. 22

・路面・防護柵・地覆の通り .......... 24

・橋台背面の段差 .................... 25

・防護柵の異常 ...................... 26

・伸縮装置の異常 .................... 27

2.現地点検時の着目点 ................ 28

・橋台 .............................. 28

・橋脚 .............................. 30

・支承 .............................. 32

・桁端部 ............................ 36

・横組 .............................. 38

・その他 ............................ 39

3.地震の影響を受けやすい損傷 ........ 40

・伸縮装置等の遊間異常がある橋梁 .... 40

・支点部で主桁に減肉・き裂のある橋梁 42

・支承の機能低下が発生している橋梁 .. 43

◎参考資料:橋の基礎知識 ................ 44

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1

通 常 時 編

通常(日常)点検を行う際は、橋梁定期点検結果を参考に

して、損傷の進行状況や、重大な事象につながる損傷の有

無を可能な範囲で近接し、確認します。

◎通常(日常)点検の流れ

現地での点検は、路面→側面→路下の順序で実施します。

◎気になる損傷が確認されたら・・・

通常(日常)点検の結果、重大な損傷や気になる損傷が

確認され、専門家による点検が必要となった場合は、北

陸技術事務所までご連絡ください。

①路面上の点検

・通行に支障となる損傷はないかを確認

・橋の通りを見て、変状していないかを確認

②側面から点検

・橋脚の沈下や、主桁の通りは問題ないかを確認

③路下から点検

・各部位の損傷状況を確認

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路面上から橋梁全体を見て確認します。

● 路上(高欄・防護柵・標識・照明等)

●車両の衝突などでこわれていないか?

●標識,照明灯の異常な振動や根元の腐食はないか?

●道路利用者に危険と思われる箇所はないか?

● 路面(舗装)

●穴や大きなへこみはないか?

●亀甲状のひびわれはないか?

●橋軸方向または橋軸直角方向の大きなひび割れはない

か?

・何度も舗装のポットホールやひびわれが発生する場合、損傷が

原因となっていることが考えられます。

・床版下面の損傷位置と舗装の異常箇所の位置関係を確認しま

す。

路面の点検のチェックポイント 1

重要ポイント!

亀甲状のひび割れ

ポットホール

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● 路面(伸縮装置(ジョイント)

●段差・異常な遊間は生じていないか?

●壊れていないか?

●土砂が堆積していないか?

● その他(排水施設)

●土砂等によって埋まっていないか?

● その他(異常音・異常振動)

●異常な音や振動は発生していないか?

・伸縮装置の損傷は,支承や沓座の損傷・下部工の移動等の可

能性があります。段差がある場合、路下から支承、下部工を

確認します。

・遊間部に土砂が堆積し、車両が土砂を押し込むことが伸縮装

置の損傷につながるため、土砂は撤去しましょう。

重要ポイント!

段差・異常遊間

破損

排水機能の低下は、滞水等の原

因となります。土砂の撤去等掃

除を行い、排水機能の回復を図

ります。

【参考】

ジョイントの隙間

夏:隙間 小

冬:隙間 大

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4

● 橋梁全体

●主桁の通りは問題ないか?

●高欄・地覆の通りは問題ないか?

●下部工の沈下・傾斜・移動は生じていないか?

● 排水施設

●排水施設は壊れていないか?

●橋脚・橋台に大規模な漏水跡はないか?

側面の点検のチェックポイント 2

重要ポイント!

主桁・防護柵・地覆の通り

下部工の沈下・傾斜・移動

排水管の破損 橋台の漏水

橋梁全体を見て,違和感がないかどうかを確認します。

・漏水跡がある場合、支承・桁端部等に損傷が発生している可

能性があります。

・伸縮装置からの漏水・止水機能を確認するなど、漏水の原因

を確認する必要があります。

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● 支 承 部

沓 座 ●モルタルの欠損は進行していないか?

●沓座付近のひびわれ等は進行していないか?

アンカーボルト

セットボルト

●ゆるみ・脱落・破断はないか?

●腐食は生じていないか?

支承本体 ●サイドブロック・ローラーの不具合はないか?

●沈下・移動・傾斜は生じていないか?

移 動 量 ●異常な移動や回転は生じていないか?

路下の点検のチェックポイント 3

重要ポイント!

沓座モルタルの損傷 支承の腐食 異常な移動

ローラーの腐食

【参考】支承部構造

ピン上沓

下沓

ローラー

低板

鋼製支承(ピンローラー支承)

サイドブロックストッパー

アンカーボルト

セットボルト

沓座モルタル支承本体

台座コンクリート 下部工

上部工

ソールプレート

セットボルト

アンカーボルト

・腐食により、支承の回転・

移動などの機能障害が発

生し、主桁のき裂などが発

生する可能性があります。

・可動支承は、チョークで印

をつけることで、支承が可

動しているかを確認する

ことができます。

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● 鋼橋(鈑桁)

桁端部 ●腐食は進行していないか?

支点部

●腐食は進行していないか?

●ソールプレート溶接部に塗膜割れ・き裂はないか?

●補剛材の変形はないか?

横 構

対傾構

●ガセット溶接部に塗膜割れ・き裂はないか?

●補剛材上端部に塗膜割れ・き裂はないか?

●変形は生じていないか?

添接部 ●腐食は進行していないか?

●ボルトのゆるみ・脱落はないか?

切欠部 ●切り欠きR部に塗膜割れ・き裂はないか?

F11Tと刻印

ボルトメーカーマーク

桁端部の腐食

主桁ウェブ上端部のき裂 ソールプレートの塗膜割れ

高力ボルトの脱落

垂直補剛材の変形

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【参考】損傷発生箇所図 <鋼橋 鈑桁>

重要ポイント!

切り欠きR部のき裂 ソールプレートのき裂 補剛材上端部のき裂

支承

主桁

支承

主桁

主桁

垂直補剛材

ガセットプレートのき裂

主桁

ソールプレート溶接部のき裂が主桁下フランジに進展

切り欠き部の溶接部のき裂が主桁ウェブに進展

ガセットプレート溶接部のき裂が主桁ウェブに進展

垂直補剛材溶接部のき裂が主桁上フランジに進展

①桁端部の腐食

桁端部は伸縮装置からの漏水により腐食が発生しやすく、ま

た、支承の機能障害に伴うき裂が生じる可能性があります。

②重大なき裂

主桁ウェブ・フランジに進展したき裂や、支点部やソールプレ

ートのき裂などは構造安全性を損なうものであり、緊急対応が

必要となります。

③高力ボルトの遅れ破壊

F11T の高力ボルトは遅れ破壊によって、ゆるみや脱落の危険

性があります。脱落等による第三者被害の可能性に注意が必要

です。

※ボルトの規格はボルト頭部に刻印されています。

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● 鋼橋(箱桁)

桁端部 ●腐食は進行していないか?

支点部 ●腐食は進行していないか?

●ソールプレート溶接部に塗膜割れ・き裂はないか?

横 桁 ●横桁端部腹板に塗膜割れ・き裂はないか?

添接部 ●腐食は進行していないか?

●ボルトのゆるみ・脱落はないか?

切欠部 ●切り欠きR部に塗膜割れ・き裂はないか?

箱桁内 ●塗膜割れ・き裂はないか?

●滞水していないか?

縦リブのき裂 箱桁内部の滞水

箱桁内部の腐食 その他(鳥の糞堆積)

箱桁内の作業は,酸欠対策に十分に注意します。マンホールを

開けて,しばらく時間をおいて箱桁内部に入ります。

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①箱桁内の滞水

箱桁は、内部に滞水すると容易に排水できないため、滞水し

ている場合は、どこから水が流水しているか確認する必要が

あります。

・ダイヤフラム、添架物などの開口部

・マンホール扉、添接部などの隙間

②き裂、腐食等

鈑桁と同様に、き裂や腐食、高力ボルトの脱落等に注意する

必要があります。

【参考】損傷発生箇所図 <鋼橋 箱桁>

から水が

流入しやすい

重要ポイント!

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● 鋼橋(RC床版)

床 版

下 面

●浮き、剥離・鉄筋露出は進行していないか?

●ひびわれは進行していないか?

(ひびわれの方向は一方向or二方向?)

●ひびわれからの漏水・遊離石灰・さび汁の滲出

はないか?

鋼 板

接着部

●鋼板の腐食は進行していないか?

●鋼板の浮きは進行していないか?

●シール材,アンカーボルトの脱落は生じていな

いか?

床版ひび割れ(一方向) 床版ひび割れ(二方向)

鋼板接着の浮き角落ちが生じたひび割れ

【参考:床版ひび割れ幅と損傷の程度】

次の数値※のひび割れは注意が必要です。

・ひび割れ幅 :0.2mm 以上で連続的な角落ち

・ひび割れ間隔:0.2m 以下、格子上に発生

※定期点検要領 付録-1 における損傷程度“e”の数値

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損傷の進行状況

乾燥収縮によるひびわれが発生し,並列

ばり状態の異方性版の段階

輪荷重によるひびわれは縦横交互に発生

し,格子状ひびわれが増加する段階

下面から発生した曲げひびわれが輪荷重

の繰り返しによる上面まで貫通する段階

貫通したひびわれ界面が摺り磨き作用に

より摩耗・平滑化され,せん断抵抗を失

う段階

低下した押し抜きせん断強度を超える輪

荷重による抜け落ちが生じる段階

【参考】コンクリート床版の損傷進行状況

重要ポイント!

①舗装の損傷箇所との関係

何度も舗装のポットホールやひびわれが発生する場合,床版損

傷が原因となっていることが考えられます。

②漏水を伴うひび割れ

二方向ひび割れに漏水を伴う場合は、損傷が急激に進展する可

能性があるため、特に注意が必要です。

③昭和39年道路橋示方書で設計された RC 床版

床版厚が薄く、鉄筋が少ないなど、疲労耐久性が低いため、特

に注意が必要です。

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● コンクリート橋(RC橋)

T桁 ●ひびわれは進行していないか?

●浮き,剥離・鉄筋露出は進行していないか?

床版橋

●ひびわれは進行していないか?

●浮き,剥離・鉄筋露出は進行していないか?

●遊離石灰の滲出はないか?

ひびわれ・浮き(T桁) 剥離・鉄筋露出

ひびわれ(床版橋) 遊離石灰

【参考:RC 構造物におけるひび割れ幅と損傷の程度】

次の数値※のひび割れは注意が必要です。

・最大ひび割れ幅 :0.3mm 以上

・最小ひび割れ間隔:0.5m 未満

※定期点検要領 付録-1 における損傷程度“e”の数値

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着目位置 着目のポイント

支間中央 ※PC橋も共通

曲げモーメント最大位置

支間1/4

付近

せん断ひび割れ

ゲルバー

ヒンジ部

局部的な応力集中によるひび割れ

【参考】コンクリート橋(RC橋)の着目点

重要ポイント!

①塩害

塩害による損傷は進行が早く、補修しても再劣化することが多

いため、注意が必要です。 ※詳細はP18塩害参照(RC橋、PC橋共通)

②鉄筋腐食

鉄筋腐食や、ひび割れからの漏水に著しい錆汁が混入している

場合、鉄筋の腐食による耐荷力低下が懸念されます。

③中空床版橋の損傷

中空床版橋で漏水、遊離石灰が確認される場合は、ボイド内に

滞水している可能性があります。

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● コンクリート橋(PC橋)

主 桁 ●ひびわれは生じていないか?

●浮き,剥離・鉄筋露出は生じていないか?

間詰部

●ひびわれは進行していないか?

●漏水・遊離石灰・さび汁はないか?

●間詰め部の抜け落ちはないか?

セグメント

目地部

●ひびわれは生じていないか?

●漏水は生じていないか?

PC鋼材

定着部

●ひびわれは生じていないか?

●遊離石灰・さび汁は生じていないか?

●後打ちコンクリートの浮きはないか?

浮き・剥離 ひび割れと遊離石灰

定着部の異常 間詰めコンクリートの抜け落ち

【参考:PC構造物におけるひび割れ幅と損傷の程度】

次の数値※のひび割れは注意が必要です。

・最大ひび割れ幅 :0.2mm 以上

・最小ひび割れ間隔:0.5m 未満

※定期点検要領 付録-1 における損傷程度“e”の数値

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着目位置 着目のポイント

支間1/4

付近

上縁

定着部

間詰部

桁端・横締

定着部

【参考】コンクリート橋(PC橋)の着目点

重要ポイント!

間詰め部の

抜け落ちに注意

切欠き部のひびわれ・突出

①PC鋼材に沿ったひび割れ

PC 鋼材に沿ったひび割れが確認された場合は、グラウト不良

による PC 鋼材腐食、若しくはASRの可能性があります。

②定着具の損傷

横締め PC 鋼材は、定着具のコンクリートかぶりが十分でない

場合があり、コンクリートのうき・剥離に注意が必要です。

縦締めの定着部も可能な範囲で確認が必要です。

③間詰め部の抜け落ち

以下のPCT桁橋梁は、構造上、間詰め部が抜け落ちる恐れが

あるため注意が必要。 ・プレテン桁:設計が 1971 年以前または竣工年が 1974 年以前の橋梁

・ポステン桁:設計が 1969 年以前または竣工年が 1972 年以前の橋梁

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● コンクリート橋台・橋脚

橋座

はり

●滞水や土砂堆積は生じていないか?

●コンクリートの破損は進行していないか?

躯体

●ひびわれは進行していないか?

●剥離・鉄筋露出は進行していないか?

基礎 ●沈下・傾斜・移動は生じていないか?

●河床の異常,洗掘は生じていないか?

重要ポイント!

橋座の滞水

剥離・鉄筋露出

アルカリ骨材反応

洗 掘

①アルカリ骨材反応(ASR)

亀甲状のひび割れ発生箇所はASRが疑われます。ASR箇所

に水が浸入している箇所はASRの促進、鋼材の腐食・破断の

危険性があるため注意が必要です。

②伸縮装置の漏水箇所

伸縮装置から漏水している場合、橋座部のひび割れ、広範囲の

うきが生じる場合があるため、注意が必要です。

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着目点 着目ポイント

橋座面

支承部

伸縮装置等からの漏水により湿乾が繰り返されるため,

鉄筋の腐食やコンクリートの劣化が発生しやすい。

特に、橋座面の滞水や、支承部の土砂堆積が生じている

場合は湿潤状態となるため、土砂撤去等が必要。

はり付け根

部の上側

片持ちばりとして負の曲げモーメントが発生する部分

であり,上縁に鉄筋が集中的に配置されているので,こ

の付近の変状には注意する必要がある。

はり隅角部

ラーメン部材の節点部は,応力の方向が急変し,応力伝

達機構が複雑であるため,コンクリートの引張強度以上

の応力が発生する場合がある。

はり中央部

下側

はりとして正の曲げモーメントが発生する部分であり,

下縁に鉄筋が集中的に配置されているので,この付近の

変状には注意する必要がある。

洗 掘

川に建てられた橋台・橋脚のまわりを取り囲むように渦

が形成され,川底が掘り起こされる。河床の異常の有無,

流れの変化に注意する。

【参考】コンクリート橋台・橋脚の着目点

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● コンクリートの塩害

■外観上の劣化状況 飛来塩分量の多い日本海沿岸等に架橋されている橋梁において、

塩害の疑いのある損傷が確認された場合は、詳細調査を実施の上

対応する必要があります。

■詳細調査 外観目視にて、上記の損傷がみられ、塩害の疑いがある場合は、

以下の詳細調査を行い、補修対策の検討が必要です。

・外観変状調査

・鋼材の腐食度調査

・塩化物イオン含有量調査

・中性化深さ調査

※詳細は、「塩害橋梁維持管理マニュアル(案)」を参照

http://www.hrr.mlit.go.jp/road/manual/index.html

鋼材方向のひび割れ

錆汁の滲出

鋼材腐食度調査

・鋼材方向のひび割れ・錆汁の滲出・コンクリートの剥離・剥落・内部鋼材の露出・変形、変位

・内部鋼材の断面欠損(目視不可)

劣化進行

塩害の劣化現象(イメージ)

コンクリート剥離・鉄筋露出

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●第三者被害の予防対策は早急に実施しましょう!

第三者被害が想定される架橋条件は、以下のとおりです。

①桁下を道路が交差する場合

②桁下を鉄道が交差する場合

③桁下を公園又は駐車場として使用している場合

④近接して側道または他の道路が併行する場合

●第三者被害が想定される損傷

第三者被害予防措置 4

水きり部のコンクリート剥落

ボルトの破断・脱落 鋼橋の腐食箇所の部材剥落

打ち継ぎ目のコンクリート剥落

橋脚、橋台のコンクリート剥落 橋座面の土砂・CO殻堆積

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地 震 時 編

地震発生直後に実施する橋梁点検のポイントとして、「異

常時巡回時の着目点」、「現地点検時の着目点」、及び「地

震の影響を受けやすい既損傷」をとりまとめました。

・通行に支障となる損傷はないか、また橋全体をみて

変状が現れていないかを、車上から確認します。

・異常時巡回の後に現地点検を実施する際に、地震に

より損傷を受けやすい部位を可能な範囲で近接目視

により点検します。

・橋梁定期点検で既に確認されている損傷のうち、地

震の影響を受けやすく、また損傷の進展が考えられ

る損傷箇所については、特に注意が必要です。

異常時巡回時の着目点 1

現地点検時の着目点 2

地震の受けやすい既損傷 3

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22

●異常時巡回では以下の項目を重点的に確認します。

□ 路面・防護柵・地覆の通り

□ 橋台背面の段差

□ 防護柵の異常

□ 伸縮装置の異常

●異常が確認された場合は、以下の部位に損傷が現れてい

る可能性があります。

□ 橋 台

□ 橋 脚

□ 支 承

□ 桁端部

□ 横 組

※横組とは、横桁、対傾構、横構をさしています

異常時巡回時の着目点 1

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【参考:特に重点的に点検すべき部位】

異常時巡回で確認された異常内容に応じて、重点的に

確認・点検すべき部位は以下のとおりです。

確認すべき事項

着目点重点的に

確認する部位

路面・防護柵・地覆の通り

縦断線形の通り/折れ曲り平面線形の通り/折れ曲り・ねじれ防護柵・地覆の段差

橋台背面の段差

路面の段差(背面の沈下)踏掛版の沈下

防護柵の異常

遊間異常(遊間過大/遊間なし)破損(変形/親柱との衝突)

伸縮装置の異常

段差(鉛直方向)ずれ(橋軸直角方向)遊間異常(遊間過大/遊間なし)破損

その他 舗装の異常等

橋台 橋脚

支承 横組

橋台

桁端

橋台 橋脚

支承 横組

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●異常時巡回時に確認すべき事項(具体例)

□路面・防護柵・地覆のとおり

【着目点】

①縦断線形の折れ曲がりが発生していないか?

②平面線形の折れ曲がりが発生していないか?

③防護柵・地覆に段差・かみ違いが発生していないか?

<損傷の具体事例>

平面線形の折れ曲がり

異常が確認された場合、特に点検が必要な部位

橋台

橋脚

支承

横組

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□橋台背面の段差

【着目点】

①路面に段差が発生していないか?

②踏掛版先端の沈下が発生していないか?

<損傷の具体事例>

橋台背面の路面に生じた段差

異常が確認された場合、特に点検が必要な部位

橋台

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●異常時巡回時に確認すべき事項(具体例)

□防護柵の異常

【着目点】

①遊間異常(遊間過大/遊間なし)となっていないか?

②破損していないか?(変形/親柱との衝突)

<損傷の具体事例>

伸縮部の破損

異常が確認された場合、特に点検が必要な部位

支承

横組

桁端

橋台

橋脚

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□伸縮装置の異常

【着目点】

①段差が発生していないか?

②遊間異常、ずれが発生していないか?

③破損していないか?

<損傷の具体事例>

伸縮装置の段差 伸縮装置のずれ

異常が確認された場合、特に点検が必要な部位

支承

横組

桁端

橋台

橋脚

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現地点検は、地震により損傷が発生しやすい以下の部

位・内容を重点的に点検する必要があります。

■橋 台

点検すべき内容

①橋台背面などから土砂が流出していないか?

②パラペット付根にひび割れが発生していないか?

③竪壁が傾斜していないか?

④沈下、移動していないか?

<損傷の具体事例>

現地点検時の着目点【地震時】 2

竪壁の損傷 袖擁壁からの土砂流出

パラペット付け根のひび割れ

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他の部位への影響、応急手当の必要性

①橋台背面の段差の原因となります。

②伸縮装置や支承の損傷の原因となります。

③余震等で損傷が進展すると復旧が困難となります。

※変位量が大きいと応急手当が必要です。

橋面に現われる異常

橋台背面の沈下

伸縮装置の異常遊間

(遊間なし)

※P35 支承、P37 桁端部と関連

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■橋 脚

点検すべき内容

①柱が傾斜していないか?

②かぶりコンクリートに剥落、鉄筋露出、鉄筋座屈が発生

していないか?

③基礎が沈下、移動していないか?

<損傷の具体事例>

かぶりコンクリート剥落(段落し部)

柱部のひび割れ(せん断ひび割れ) 柱部のひび割れ

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他の部位への影響、応急手当の必要性

①伸縮装置や支承の損傷の原因となります。

②余震等で損傷が進展すると復旧が困難となります。

※変位量が大きいと応急手当が必要です。

橋面に現われる異常

線形のずれ(残留変位過大/基礎工移動がある場合)

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■支承①

点検すべき内容

①転倒、沈下していないか?

②ボルトに緩み、破断はないか?

③アンカーバー回りに異常はないか?

④鋼製支承:

部材のわれ、破断、脱落、変形はないか?

⑤ゴム支承:

ゴムの破断、変形の残留、き裂はないか?

⑥支承の損傷により発生した部材や破片の落下による第三

者被害の可能性はないか?

<損傷の具体事例>

支承の沈下・アンカーボルト

破断

サイドブロック破断

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ゴム支承の水平変位残留 ゴム支承のずれ

上沓のストッパー破断 可動支承の遊間異常

セットボルト・サイドブロック

取り付けボルトの破断

セットボルトのゆるみ

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■支承②

他の部位への影響、応急手当の必要性

①伸縮装置や防護柵の損傷の要因となります。

②支承に破断が見られる場合には、余震等で桁が

落下する恐れもあるため、応急手当が必要です。

※サンドルなどで桁を仮受け等

橋面に現われる異常

伸縮装置の段差 伸縮装置のずれ

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伸縮装置の遊間異常

防護柵伸縮部の変形

壁高欄の衝突による

コンクリートの剥落

※P29 橋台、P37 桁端部と関連

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■桁端部

点検すべき内容

①遊間過大、桁とパラペットの衝突はないか?

②主桁ウェブのはらみ出し、座屈はないか?

③下フランジが変形していないか?

④垂直補剛材の変形、座屈はないか?

<損傷の具体事例>

ウェブの座屈(破断)

桁とパラペットの衝突(欠け落ち) 下フランジの変形

垂直補剛材の座屈

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他の部位への影響、応急手当の必要性

①伸縮装置の段差発生、異常遊間の要因となります。

②部材が大きく座屈している場合は、余震等で桁が

落下する恐れもあるため、応急手当が必要です。

※仮支点を設けて主桁を仮受け等

橋面に現われる異常

垂直補剛材とガセットの割れ

伸縮装置の段差 伸縮装置の異常遊間

※P29 橋台、P35 支承と関連

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■横 組

点検すべき内容

①対傾構・横構が変形、座屈、破断していないか?

<損傷の具体事例>

鋼橋:支点上横桁・支点上対傾構・支点付近の横構

コンクリート橋:支点上横桁

他の部位への影響、応急手当の必要性

①変形量が大きい場合、伸縮装置や防護柵の損傷原因となり

ます。

※部材が破断した場合には、余震に備えて仮部材等の設置

が必要です。

対傾構斜材の座屈

端横桁のコンクリートの損傷

(欠け落ち)

端横桁のコンクリートの破損

横構の座屈

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■その他

点検すべき内容

①落橋防止システム等:

(1)部材の接触、変形・座屈、ケーブル破断がないか?

(2)破損・脱落した部材の落下による第三者への被害の

可能性はないか?

②護岸工:護岸の沈下、周辺土砂流出がないか?

<損傷の具体事例>

他の部位への影響、応急手当の必要性

①部材が破断した場合には、余震に備えて仮部材等の設置が

望まれます。

②河川の流水部で基礎工が露出した場合には、応急手当が必

要です。

変位制限構造(横変位)の破損 衝突による地覆コンクリートの剥落

護岸工の沈下 護岸工のはらみだし

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直近の橋梁定期点検で以下の損傷が確認されている

場合、損傷が拡大している恐れもあるため、現地点検

時には留意する必要があります。

【地震の影響を受けやすい既損傷】

□伸縮装置・主桁・支承の遊間異常

□主桁支点付近の減肉やき裂

□支承の機能低下

■伸縮装置等の遊間異常がある橋梁 点検すべき内容

①伸縮装置・主桁・支承の遊間異常によって、橋台パラペ

ットや竪壁に損傷が生じていないか、若しくは落橋の恐

れがないか?

<既損傷の具体事例>

地震の影響を受けやすい既損傷 3

伸縮装置の遊間異常

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他の部位への影響、応急手当の必要性

①パラペット・竪壁の損傷により橋台背面に段差が生じる可

能性があります。

②余震等で損傷が進展すると復旧が困難となります。

※変位量が大きいと応急手当が必要です。

パラペット損傷の概念

衝突

パラペット傾斜

付根損傷

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■支点部で主桁に減肉・き裂のある橋梁

点検すべき内容

①腐食による減肉箇所に変形・き裂が生じていないか?

②き裂の幅・長さが拡大していないか?

<損傷の具体事例>

腐食減肉によるウェブの欠損

他の部位への影響、応急手当の必要性

①伸縮装置・防護柵の損傷の原因となります。また、

き裂・変形が進展すると、落橋の恐れがあります。

②き裂などによって部材が大きく変形している場合には、

仮支点を設けて主桁を仮受けするなどの応急手当が必要

です。

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■支承の機能低下が発生している橋梁

点検すべき内容

①支承の機能低下によって主桁に変形やき裂が生じていな

いか?

②支承本体に新たな損傷が発生していないか?

<損傷の具体事例>

腐食減肉によるウェブの欠損

他の部位への影響、応急手当の必要性

①可動沓の移動機能が低下していると、上部工、下部工に

損傷を与える可能性があります。

②主桁にき裂や大きな変形が生じている場合には、仮支点

を設けて主桁を仮受けするなどの応急手当が必要です。

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参考資料:橋の基礎知識

●材料別分類

鋼橋 鋼材を主要材料とする橋

コンクリート橋 コンクリートを主要材料とする橋(以下の鉄筋

コンクリート橋と同じ意味で用いられる)

鉄筋コンクリート橋

(RC 橋) 鉄筋で補強したコンクリート橋

プレストレスコンクリート橋

(PC 橋) 鋼線・鋼棒によってプレストレスを導入した橋

【参考】鉄筋コンクリート(RC)とプレストレストコンクリート(PC)

コンクリートは圧縮に強く,引張に弱い性質を持っています。そこ

で,桁橋としてコンクリート部材を使う場合には,引張力を受ける側

に何らかの補強が必要となります。

ここで,鉄筋により補強する鉄筋コンクリート(RC)と,鋼線を用い

て補強するプレストレストコンクリート(PC)とに分けられます。

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●構造形式分類

●桁と床版の合成構造による分類

合成桁

鉄筋コンクリート床版

と鋼桁(PC 桁)とを一

体化構造として設計さ

れた桁橋

非合成桁

荷重を鋼桁だけで負担

するものとして設計さ

れた桁橋

構造形式 概略図 説明

I 形桁

(鈑桁橋)

主桁にH形鋼やプレー

トガーダー(I形鋼)を

用いた桁橋

T 形桁

T 形断面形状をした主

桁 2 本以上の桁橋

箱桁

主桁が箱桁断面の桁橋

鋼床版桁

床版にリブで補剛した

鋼板を使用する桁橋

床版橋

桁が無く、版を主構造と

する橋 ボイド

中空床版橋

プレテン桁を用いた床版橋

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●橋種による分類

トラス橋 橋の主構造にトラスを

使用する橋

アーチ橋 橋の主構造にアーチを

使用する橋

ローゼ橋、ランガー橋も

含む

ラーメン橋 橋の上部と下部が剛結

構造となっている橋

斜張橋 主塔からケーブルで桁

を斜めに吊る構造の橋

吊橋 ケーブルを架け渡して、

橋梁(補剛桁、補剛トラ

ス)を吊る構造の橋

●支持形式による分類

単純橋

主桁または主構が径間ごと

に単純に支持される橋

連続橋

主桁または主構が 2 径間以

上連続する橋

ゲルバ

ー橋

連続橋の支間部に架違い部

またはヒンジを設けて静定

構造とした橋

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●上部構造の名称

■ PC(RC) T桁橋 床版

主桁横桁

床版

横桁

横構主桁

対傾構

■ 鋼鈑桁橋

■ トラス橋

橋門構上弦材

下弦材横桁

床版

斜材

縦桁

垂直材

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■ アーチ橋(下路式)

橋門構アーチリブ

床版

縦桁

横桁

吊り材

補剛桁

■ ラーメン橋

縦桁

横桁

横構

対傾構

主構(脚)主構(桁)

■ 斜張橋 塔柱

斜材

床版

横桁主桁

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●下部構造の名称

■ 橋台

竪壁

翼壁(ウイング)

胸壁

(パラペット)

フーチング 橋座

■ 橋脚

梁部

柱部

橋座 橋座

梁部

隅角部 柱部

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●支承の種類

■ 線支承

移動

回転

上沓

下沓

上沓

下沓

■ 支承板支承

(密閉ゴム支承板支承)

■ ピボット支承

キャップ 上沓

下沓

アンカーボルト 下沓

上沓

回転

上沓

下沓 サイドブロック

回転

移動

※道路橋支承便覧より

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■ ピン支承

下沓

上沓

回転 ピン

キャップ

■ ローラー支承

■ ゴム支承

<ゴム支承> <水平力分散・免震ゴム支承>

サイドブロック

ゴム支承 分散ゴム支承

免震ゴム支承

ジョイント

プロテクター

回転

移動 底板

下沓

上沓ピン

ローラー

サイド

ブロック

※道路橋支承便覧より

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■ 荷重支持型 ■ 突合わせ型

●伸縮装置(ジョイント)の種類

遊間部で輪荷重を支持できる

輪荷重(後輪100kNが200mm×500mmに載荷)

ゴム、シール材など

遊間部で輪荷重を支持しない

○ 鋼製(合金製) ○ ゴム製 ○ ゴム+鋼製

伸縮装置

荷重支持型ゴム製鋼製(合金製)ゴム+鋼製

突合わせ型

埋設型 特殊合材製

ゴム製鋼製(合金製)ゴム+鋼製

鋼製

(合金製) ゴム材

鋼材 (荷重支持材)

ゴム材

鋼材

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MEMO

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■北陸地方整備局 道路部 道路管理課

TEL:025-280-8880(代)

URL:http://www.hrr.mlit.go.jp

■北陸地方整備局 北陸技術事務所 技術課

TEL:025-231-1281(代)

URL:http://www.hrr.mlit.go.jp/hokugi/

橋の維持管理や点検・補修等に関する相談は

平成 25 年 4 月版