電流協セミナー epub 3.1関連の状況について
TRANSCRIPT
EPUB3.1 関連の状況についてJEPA CTO村田真
2017/1/23電流協セミナー 1
EPUB 3.1 は羊か狼か 狼
大きな変更であってメリットもデメリットも大いにある
羊 小さな変更であって、メリットもデメリットも少ない
ただしアクセシビリティ!
電流協セミナー 22017/1/23
見送られた大変更 HTML 構文の採用 NCX の廃止 モジュール組み込み XML 構文ではない OPF ファイル ZIP ではないアーカイブフォーマット
電流協セミナー 32017/1/23
取り入れられた主な変更点 仕様書の分割再構成 EPUB アクセシビリティ仕様書の追加 refines を非推奨に HTML, SVG, CSS の最新版を常に採用 使われていないものを廃止
独自 CSS プロパティの多く ( 縦書き関係を除く)、 guide 及び bindings の廃止、 switch 及び trigger の廃止
<package version="3.1" ...>詳細は EPUB 3.1 Changes from EPUB 3.0.1を参照。
電流協セミナー 42017/1/23
仕様書の分割再構成3.1 EPUB 3.1 EPUB 3.1 Overview EPUB Packages 3.1• EPUB Content Documents 3.1 EPUB Open Container Format (O
CF) 3.1 EPUB Media Overlays 3.1 EPUB Accessibility 1.0 EPUB Canonical Fragment Identi
fiers 1.1 Alternate Style Tags 1.1
3.0.1
EPUB 3 Overview Publications 3.0.1 Content Documents 3.0.1 Open Container Format 3.0.1 Media Overlays 3.0.1
Canonical Fragment Identifiers Alternate Style Tags 1.0
電流協セミナー 52017/1/23
EPUB Packages 3.1と Publications 3.0.1の違い EPUB Navigation Documentが Content Documents から
EPUB Packages 3.1に移動されている Package document という用語を使ってしまっているので、それに合わせてタイトルを変えた。 プロパティの定義を、外部の登録簿に移動した。 refines に代わる機構を導入した
電流協セミナー 62017/1/23
refines と代替表現refines による表現<!-- 著者名 --><dc:creator id="creator01"> 著作者名1 </dc:creator><meta refines="#creator01" property="role" scheme="marc:relators">aut</meta><meta refines="#creator01" property="file-as"> セイレツヨウチョサクシャメイカナ 01</meta><meta refines="#creator01" property="display-seq">1</meta>
EPUB 3.1 の代替表現<!-- 著者名 --><dc:creator id="creator01"opf:file-as=" セイレツヨウチョサクシャメイカナ 01"opf:role="aut"> 著作者名1</dc:creator>
display-seq を指定する手段なし電流協セミナー 72017/1/23
しかし refines を 3.1 で使うことも許されている(非推奨) EPUB の次のバージョンではまた別の表現(より Web 全体のメタデータと整
合する方法)が導入されるかも知れない それでも代替表現を使いますか?
電流協セミナー 82017/1/23
OPF のバージョン属性 3.0.1 の EPUB
<package .... version="3.0" ...>
3. 1 の EPUB <package .... version="3.1" ...>
電流協セミナー 92017/1/23
EPUB 3.1 に対応するために(アクセシビリティを除く) EPUB 3.0/3.0.1 から 3.1 への変換
国内で使われている EPUB 3 の場合は、単に version=“3.0” を“ 3.1” に直すだけでほとんど済むはず EPUB リーダの 3.1 対応
大したことはない EPUB 作成ツールの 3.1 対応
大したことはない epubcheck の対応
EpubCheck v4.0.2 のあとのバージョンでの対応(リソースの問題)
電流協セミナー 102017/1/23
“3.1” はいつから ? (アクセシビリティを除く) 出版社はいつから“ 3.1” と書くか?
新機能はとても少ないので使いたいと思うことはほとんどない。 “3.1” と書くと動かない EPUB リーダが無視できる程度に少なく
なってから? EPUB リーダはいつから“ 3.1” をサポートするか?
新機能はとても少ないので、実装負担は少ないが、テストは必要だろう。
出版社が EPUB 3.1 で出してくるようになってから?電流協セミナー 112017/1/23
制作・流通において課題 3.1 をいつから採用するか?
国内の業界全体での意思統一? 3.0.1 と 3.1 の混在する運営体制
電流協セミナー 122017/1/23
アクセシビリティ
電流協セミナー 132017/1/23
障害者差別解消法(施行済み) 図書館や教育機関は、読書機会の均等のために合理的配慮をする義務がある。
電流協セミナー 142017/1/23
不満足な現状 「アクセシビリティ機能に必要な文字情報を含むと断定できるフォーマットで
制作されている電子書籍は 80% に達していることが明らかになった。にも関わらず、日本で流通している電子書籍の多くは音声で読むことができないままなのである。」2015年電子書籍フォーマットのアクセシビリティ対応状況に関する実態調査
電流協セミナー 152017/1/23
EPUB テキスト読み上げの現状 iBooks と Kindle on iPhone/iPadぐらいしか電子書籍リーダは対応していない
DAISY 用のリーダは対応している ルビと親文字の両方を読んだりする 漢字は読み間違えることがある Microsoft Edge に組み込まれる EPUB リーダは大変革となるかも? LCP(共通 DRM) が普及すれば DAISY リーダが電子書籍を読めるようになる
16電流協セミナー 2017/1/23
読み上げについての日本固有の問題 漢字の読み方
SSML (埋め込まれた読み情報)と PLS (外部にある読み辞書)については総務省事業で推進されている
対応している電子書籍リーダはない 国産リーダに期待
縦書きの場合にも、音声とテキストの同期をサポートできるか?
17電流協セミナー 2017/1/23
EPUB マンガの現状 一ページ画像でありテキストは含まれていない
アクセシビリティはほとんどない セリフをアクセシブルにする?それとも、あらすじとキャラクター紹介が Webにあれば十分?
18電流協セミナー 2017/1/23
EPUB 文芸書の現状 JIS X 0213 の範囲の文字 画像外字はアクセシビリティを妨げる SSML や PLS は使われていない
19電流協セミナー 2017/1/23
EPUB 教科書の現状 現状の教科書のレイアウトをそのまま使うものが多い アクセシビリティは?
20電流協セミナー 2017/1/23
EPUB 3.1 におけるアクセシビリティ 二つの文書からなる
EPUB Accessibility(Recommended Specification) 方針 EPUB Accessibility Techniques 1.0 実際のテクニック
EPUB 3.1 の一部として EPUB Accessibility は出版されたが、 EPUB 3.0.1や EPUB 2.0.1 に適用することも可能なように作られている。
電流協セミナー 212017/1/23
定めている要件 EPUB 出版物がアクセシブルである要件
読みやすくすること (WCAG 2.0)
探しやすくすること アクセシブルであるという認定
EPUB閲覧システムがアクセシブルである要件 EPUB 作成ツールがアクセシブルである要件
電流協セミナー 222017/1/23
EPUB Accessibility 1.0 を順守できるか? ハードルは低くはないが、必須なところは実は少ない。 どこを守って、どこは努力目標とするか ?
23電流協セミナー 2017/1/23
電書協 EPUB 3 制作ガイドとの関係 このガイドに従って作った EPUB 書籍は、 EPUB Accessibility 1.0 に適合しない。 簡単に実践でき、役に立つ部分はぜひ導入すべき。 → ガイドの改正
24電流協セミナー 2017/1/23
制作ガイド変更試案1) 発見用メタデータ(アクセシブルなものを探せる)OPF に accessMode などのメタデータを追加する。文芸書とマンガでは違う。文芸書に図があるか、イメージ外字があるかどうかでも違う。たとえば文芸書なら <meta property="schema:accessMode">textual,visual</meta> <meta property="schema:accessibilityFeature">textAlternative</meta> <meta property="schema:accessibilityFeature">longDescription</meta> <meta property="schema:accessibilityHazard">noFlashingHazard</meta> <meta property="schema:accessibilityHazard">noMotionSimulationHazard</meta> <meta property="schema:accessibilityHazard">noSoundHazard</meta> <meta property="schema:accessibilitySummary"> 文字中心で、挿絵は入っているが、代替テキストあり。外字あり。 </meta> <meta property="schema:accessModeSufficient">textual</meta>
電流協セミナー 252017/1/23
2) WCAG 2.0
文芸書なら WCAG 2.0 に従うこと。メージ外字は極力減らし、絵やイメージ外字には alt text を入れる。 <title> を head に指定し、 body では見出しをちゃんとつける。…
電流協セミナー 262017/1/23
3) アクセシブルであるという宣言 アクセシブルであるという宣言を文芸書の場合に記述する。マンガの場合は記述しない。
<link rel="dcterms:conformsTo" href="http://www.idpf.org/epub/a11y/accessibility-20161014.html#wcag-aa"/>
電流協セミナー 272017/1/23
電子書店への影響 アクセシブルなものを探しやすくすること EPUB リーダの読み上げを向上させること
2015年電子書籍フォーマットのアクセシビリティ対応状況に関する実態調査を参照
電流協セミナー 282017/1/23
アクセシブルであることの認定 日本でいずれは、 EPUB 出版物のアクセシビリティの認定機関が必要になる
電流協セミナー 292017/1/23
EPUB Accessibility Techniques 1.0 への追加 日本固有の事情に基づいたテクニックの追加
ルビについてのメタデータの振り方ルビなし、ルビあり、総ルビの区別 もともとの出版物からデジタル化したときルビを追加したかどうか
30電流協セミナー 2017/1/23
まとめ EPUB 3.1本体は様子見でよいが、業界で足並みをそろえた対応が必要
EPUB 3.1 のうちアクセシビリティについては、読書機会の均等のために対応すべき
電流協セミナー 312017/1/23
Publishing Business Group (憲章 )
IDPF EPUB Working Group ( 解消予定 )
EPUB 3 Community Group (憲章 )
Digital Publishing Interest Group (wiki)
Steering Committee (旧 IDPFボード)憲章の作成をリードする旧 IDPF 仕様の改定を承認
W3C の正式仕様ではなく、旧 IDPF の仕様
Digital Publishing Working Group (憲章 )
新しい仕様 今までの仕様の保守(3.1 だけ? 3.0.1 も?)
W3C とのマージ後の運営体制
電流協セミナー 322017/1/23
参考文献 EPUB 3 仕様書および関連文書の日本語訳 ,
http://imagedrive.github.io/spec/index.xhtml 2015年電子書籍フォーマットのアクセシビリティ対応状況に関する実態調査 , http://www.arsvi.com/2010/1602ac2.htm
電流協セミナー 332017/1/23