次世代中型ロケット gx ロケットの開発 ihi 技報 vol.49 no.3 ( 2009 ) 1. 緒 言 gx...

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172 IHI 技報 Vol.49 No.3 ( 2009 ) 1. 緒    言 GX ロケットは,今後見込まれる中小型衛星の多様な打 上げ需要への柔軟な対応,また基幹ロケットの補完を目的 として,2010 年代半ばからの運用を目指して開発してい る我が国の中型ロケットである.1 GX ロケット の外観を示す.2 段には将来有望な液化天然ガス ( LNG ) を燃料とするエンジンを搭載予定であり,開発の過程で LNG エンジンの技術を獲得することによって,将来の宇 宙輸送系の開発において我が国が国際的な優位性を発揮す ることも期待されている. 本稿では,GX ロケットの特長や仕様などプロジェクト の概要を紹介するとともに,今後の発展構想についても紹 介する. 2. GX ロケットの概要 2. 1 GX ロケットの構成 GX ロケットは 2 段式の液体ロケットである.2 GX ロケットの構成を示す. 1 段には米国の最新鋭ロケットで国際的な信頼性も高い アトラス V ロケットの 1 段を採用し,2 段には日本が世 界に先駆けて実用化を目指して開発している LNG エンジ ンを搭載する.日米の最新ロケット技術を組合せた構成で あり,GX ロケットは,宇宙開発における日米協力のシン ボル的プロジェクトになりつつある. 将来的には日本での打上げを期待しているが,早期に実 証試験機を打ち上げて,ロケットの運用を開始できるよう にするため,同じ 1 段を使用しているアトラス V ロケッ トの打上げ基地である米国西海岸射場(バンデンバーグ 空軍基地:以下,VAFB と呼ぶ )を改修して,共用する ことを検討している.3 に実証試験機打上げ射場候 ( VAFB ) を示す. 2. 2 GX ロケットの特長 2. 1 で述べた構成から GX ロケットは,① 将来性 の高い LNG エンジン技術の獲得 基幹ロケットの補完 米国最新技術の活用 柔軟な射場の活用,という特 長をもつ. 次世代中型ロケット GX ロケットの開発 Development of the GX Launch Vehicle, New Medium Class Launch Vehicle of Japan 泉 山   卓 航空宇宙事業本部宇宙開発事業推進部 主幹 志 佐   陽 航空宇宙事業本部宇宙開発事業推進部 主幹 小 林 健 児 株式会社ギャラクシーエクスプレス 技術総括部 部長 GX ロケットは,今後見込まれる中小型衛星の多様な打上げ需要への柔軟な対応や,基幹ロケットの補完,LNG エンジン技術の獲得などを目指している中型ロケットである.本稿では,GX ロケットの構成,他ロケットとの技 術的独立性や LNG エンジン使用の特長,基本諸元・性能を紹介するとともに,今後の発展構想について紹介する. The GX Launch Vehicle is a medium class Launch Vehicle, objectives of which are to support launching demand for medium-size satellite flexibly, to be back-up for the national main space transportation system, and to establish LNG propulsion system technology. This paper describes outline of the GX program such as its configuration, program merits including establishment of the LNG propulsion system, the main characteristics and its performance, etc. The future development concept of the GX is also described. 1 GX ロケット Fig. 1 Conceptual image of the GX launch vehicle

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172 IHI 技報 Vol.49 No.3 ( 2009 )

1. 緒    言

 GX ロケットは,今後見込まれる中小型衛星の多様な打

上げ需要への柔軟な対応,また基幹ロケットの補完を目的

として,2010 年代半ばからの運用を目指して開発してい

る我が国の中型ロケットである.第 1 図に GX ロケット

の外観を示す.2 段には将来有望な液化天然ガス ( LNG )

を燃料とするエンジンを搭載予定であり,開発の過程で

LNG エンジンの技術を獲得することによって,将来の宇

宙輸送系の開発において我が国が国際的な優位性を発揮す

ることも期待されている.

 本稿では,GX ロケットの特長や仕様などプロジェクト

の概要を紹介するとともに,今後の発展構想についても紹

介する.

2. GXロケットの概要

 2. 1 GX ロケットの構成

 GX ロケットは 2 段式の液体ロケットである.第 2 図

に GX ロケットの構成を示す.

 1 段には米国の最新鋭ロケットで国際的な信頼性も高い

アトラス V ロケットの 1 段を採用し,2 段には日本が世

界に先駆けて実用化を目指して開発している LNG エンジ

ンを搭載する.日米の最新ロケット技術を組合せた構成で

あり,GX ロケットは,宇宙開発における日米協力のシン

ボル的プロジェクトになりつつある.

 将来的には日本での打上げを期待しているが,早期に実

証試験機を打ち上げて,ロケットの運用を開始できるよう

にするため,同じ 1 段を使用しているアトラス V ロケッ

トの打上げ基地である米国西海岸射場(バンデンバーグ

空軍基地:以下,VAFB と呼ぶ)を改修して,共用する

ことを検討している.第 3 図に実証試験機打上げ射場候

補 ( VAFB ) を示す.

 2. 2 GX ロケットの特長

 2. 1 項で述べた構成から GX ロケットは,① 将来性

の高い LNG エンジン技術の獲得 ② 基幹ロケットの補完

③ 米国最新技術の活用 ④ 柔軟な射場の活用,という特

長をもつ.

次世代中型ロケット GX ロケットの開発

Development of the GX Launch Vehicle, New Medium Class Launch Vehicle of Japan

泉 山   卓 航空宇宙事業本部宇宙開発事業推進部 主幹

志 佐   陽 航空宇宙事業本部宇宙開発事業推進部 主幹

小 林 健 児 株式会社ギャラクシーエクスプレス 技術総括部 部長

GX ロケットは,今後見込まれる中小型衛星の多様な打上げ需要への柔軟な対応や,基幹ロケットの補完,LNGエンジン技術の獲得などを目指している中型ロケットである.本稿では,GX ロケットの構成,他ロケットとの技術的独立性や LNG エンジン使用の特長,基本諸元・性能を紹介するとともに,今後の発展構想について紹介する.

The GX Launch Vehicle is a medium class Launch Vehicle, objectives of which are to support launching demand for medium-size satellite fl exibly, to be back-up for the national main space transportation system, and to establish LNG propulsion system technology. This paper describes outline of the GX program such as its confi guration, program merits including establishment of the LNG propulsion system, the main characteristics and its performance, etc. The future development concept of the GX is also described.

第 1図 GXロケットFig. 1 Conceptual image of the GX launch vehicle

173IHI 技報 Vol.49 No.3 ( 2009 )

 2. 2. 1 LNG エンジン技術の獲得

 LNG エンジンの特長を第 1 表に示す.LNG エンジン

はこれらの特長のため,ロケット用エンジンとしてだけで

なく,月・火星探査機に搭載するエンジンとしても注目さ

れており,GX ロケット開発を通じて将来輸送系技術を獲

得することができる.

 2009 年 6~ 9 月に,実使用時間より長い 600 秒の長

秒時試験を含む一連のエンジン燃焼試験が成功した.この

成功によって,LNG エンジンの技術的見通しが得られ,

GX ロケットでの実用化に大きく前進することができた.

 2. 2. 2 基幹ロケットの補完

 信頼性が高いロケットでも平均すると 20 回に 1 回程

度は失敗をする.打上げに失敗した場合,同型ロケットの

みならず,同じ技術を用いていれば他機種でも,失敗が連

鎖しないように,不具合原因究明・是正措置がなされるま

では,打上げを再開することができない.このため,基幹

ロケットと異なる技術を用いた補完機(バックアップ機)

を所有することが重要であると考えられている.

 第 4 図に示すように,H-IIA ロケットは米国デルタロ

ケットの技術を自主技術化したものを使用している.GX

ロケットはロッキードマーチン社(現,ユナイテッド・

ローンチ・アライアンス社( ULA 社))と共同で開発す

ることによってアトラス,タイタンロケットの技術を踏襲

第 2図  GXロケットの構成Fig. 2 Major components of the GX launch vehicle

衛星フェアリング

衛 星

衛星取付部

前部アダプタ

1 段

2 段

1 段

段間部

液体酸素タンク

RD-180エンジン

RP-1タンク

2 段

世界初の LNGエンジンを開発,搭載

信頼性の高い米国アトラス Vの1段を採用

©ULA

液体酸素貯蔵設備

©ULA

移動整備塔 ( MST )(ロケットを組立て)

RP-1貯蔵設備

第 3図 実証試験機打上げ射場候補 ( VAFB )Fig. 3 Launch site candidate for demonstration flight of the GX launch

vehicle ( VAFB )

LNG貯蔵設備(新規)

(注)RP-1:ロケットエンジン用燃料,ケロシン

第 1 表 LNG エンジンの特長Table 1 Merits of LNG ( methane ) engine

メリット 特     長

環境に優しい

固体燃料と比べると,燃焼ガス中に塩化物を含まないためオゾン層を破壊しない. 炭化水素系燃料ではメタン( LNG の主成分)は最も分子量が小さいため,環境負荷が小さい.

低 コ ス ト 液体水素と比較して単位質量当たり約 250 分の 1 になる.

取扱いが容易

液体水素と比べて沸点が高く( -253℃に対して約 -160℃ ),密度が高い( 0.07 g/cm3 に対して 0.43 g/cm3)ため,弁類などの使用温度や要求仕様の軽減や機器の小型化が可能になり,製造・試験が容易になる.

長期保管性液体水素と比べて沸点が高いため,宇宙空間で気化することなく,長期の保管が可能になる.

無 毒 性ヒドラジンなどの貯蔵型推薬と比べて毒性がないため,有人ミッションでの安全性が高い.

174 IHI 技報 Vol.49 No.3 ( 2009 )

する.すなわち,異なる系譜の技術を使用する.

 また,第 5 図 ( 1 ) に示すように不具合の大半は推進

系・エンジンに起因する.GX ロケットは LNG エンジン

を使用するため,液体水素エンジンを使用する H-IIA ロ

ケットとは,この点でも技術が異なっている.

 これらの技術の独立性から,GX ロケットは H-IIA ロ

ケットの補完機としての役割を果たし得るロケットであ

る.

 2. 2. 3 米国最新技術の活用

 アトラスロケットは,米ソのロケット揺籃らん

期から運用

され続けており,長い歴史の中で技術ノウハウが蓄積され

てきた.このため,現アトラスロケットの原型であるアト

ラス・セントールシリーズ( 1963 年から運用)の信頼度

(次号機予測成功率)は世界最高級である.第 6 図に主

要なロケットの信頼度(次号機予測成功率)を示す.ま

た,アトラスロケットは 1993 年以降 80 機以上連続して

成功していることから,最も信頼性の高いロケットである

と評価されている.

第 4図 日米ロケットの系譜Fig. 4 Japan -U.S. launch vehicle lineage

タイタンロケットの系譜

デルタロケットの系譜

アトラスICBM

タイタンICBM

ソーIRBM

アトラスロケット

( 1950年代~)アトラス

ロケット(有人)( 1960年代)

ソー・デルタロケット

( 1960年代~)

アトラス・セントールロケット

( 1963年~)

ロケット化

有人化

ボーイング社

*1

UL

A社

*1

GA

LE

X社

*2

1950年代 1960~ 1990年 1990年~現在

© JAXA

© ULA

ロケット化

ロケット化

有人化

©ULA

©ULA

JAX

A*

2

© ULA

アトラスロケットの系譜 アトラス V

ロケット( 2002年~(運用中))

デルタ IVロケット( 2002年~(運用中))

GXロケット(開発中)

タイタンロケット

( 1964~ 2005年)

タイタンロケット(有人)

( 1960年代)

ロッキードマーチン社

*1

デルタ IIロケット

( 7000シリーズ)( 1990年~(運用中))

N, Hロケットシリーズ

( 1975年~)

H-IIAロケット( 2001年~(運用中))

(注) * 1:米 国    * 2:日 本

推進系・エンジン55%

誘導制御システム

10%

分離システム10%

電力系2%

構 造3%

不 明17%

その他3%

第 5図 ロケットの不具合原因( 1980~ 1999年)Fig. 5 Launch vehicle subsystem failure ( 1980-1999 )

175IHI 技報 Vol.49 No.3 ( 2009 )

 アトラス V ロケットは,米空軍が発展型使い切りロ

ケット ( EELV ) として開発し,2002 年から運用を開始し

た基幹ロケットで,アトラスシリーズの最新型ロケットで

ある.最新技術の適用に加え,運用・整備の標準化や発展

性を考慮して設計されている.

 GX ロケットは,このアトラス V ロケットを使用する

とともに,アトラスロケットで実績が確認されている信

頼度を高めるエンジニアリング技術を導入することによっ

て,高い信頼性が期待できる.

 2. 2. 4 柔軟な射場の活用

 米国の打上げ射場である VAFB は日本の射場と比べて

以下のメリットがある.

( 1 ) ロケットの打上げ能力最大化(極軌道)

地球観測衛星などの極軌道衛星を打ち上げる場合,

陸地・島を迂う

回することなく,真っ直ぐ南方に打ち上

げることができる.

( 2 ) 打上げ時期の制約なし

1 年中,また 1 日のどの時間帯でも打ち上げるこ

とができる.

現在の日本の射場は打上げ可能期間が年間最大

190 日に制約されているため,軽微な異常でも,発生

すると最悪数か月打上げ延期となる可能性がある.

( 3 ) 高度なセキュリティ環境の提供

米軍基地内にあるため周辺監視や設備の管理が厳

格であり,不審者の接近を排除することができる.

 GX ロケット実証試験機の打上げを VAFB で行う場合,

上記のメリットが期待できるとともに,得られた経験を生

かすことによって,将来の日本の射場開発・運用における

技術リスクを低減できる.

3. GXロケットの性能・諸元

 3. 1 GX ロケットの主要諸元

 GX ロケットの主要諸元を第 2 表に示す.全長約 50

m 強,衛星を除いた推進薬搭載時の全備質量が約 300 ト

ン強のロケットである.衛星フェアリング(衛星を守る

ために使用されるカバー )ついては,中型衛星用として

直径 3.3 m を基本としているが,H-IIA ロケットとの互

換性を確保するため,オプションとして直径 4 m の衛星

フェアリングも検討中である.

 3. 2 飛行プロファイル・打上げ能力

 GX ロケットの飛行プロファイルを第 7 図に示す.打

上げ後,1 段エンジンが約 4 分間燃焼,その後,1 段

を分離,2 段エンジンが約 8 分強燃焼し,所定の軌道に

衛星を投入する.衛星フェアリングは 2 段飛行中に分離

第 6図 主要なロケットの信頼度(次号機予測成功率)Fig. 6 Major launch vehicle reliability ( Mean predicted probability of success for next launch attempt )

0.00

0.10

0.20

0.30

0.40

0.50

0.60

0.70

0.80

0.90

1.00

’55/01 ’60/01 ’65/01 ’70/01 ’75/01 ’80/01

西暦/月

’85/01 ’90/01 ’95/01 ’00/01 ’05/01 ’10/01

次号機予測成功率

()

:全デルタ

:全アリアン

:全長征

:全 N,H シリーズ(日本)

:全アトラス

:アトラス・セントール

拡 大

アトラス・セントール連続成功中

0.85

0.90

0.95

1.00

’06/01 ’08/01 ’10/01

次号機予測成功率

アトラス・セントール

全 N,Hシリーズ(日本)

176 IHI 技報 Vol.49 No.3 ( 2009 )

投棄される.また,宇宙デブリ(宇宙ごみ)発生防止の

ため,使用済みのロケット上段の推進薬や加圧ガスの排出

が求められている.衛星分離後,軌道変換を行い,衛星に

排出ガスなどがかからない位置で残留液・ガスの排出を行

う.

 GX ロケットの VAFB からの打上げ能力を第 8 図に示

す.地球観測衛星などが使用する太陽同期軌道には,約 3

トン(高度 500 km)の衛星を打上げることができる.ま

た,VAFB から打上げ能力が最大となるのは南南東方向

に発射し,軌道傾斜角約 63 度の軌道に投入する場合で,

打上げ能力は約 4.5 トン(高度 300 km)である.

第 2 表 GX ロケット主要諸元Table 2 Major characteristics of the GX launch vehicle

項    目 単 位 1 段 2 段 衛星 フェアリング

長  さ

長      さ m 約 42 約 10 約 11

全      長 m 約 53

直      径 m 3.8 3.1 3.3*1

質  量各段質量(全備) t 約 311 約 21 約 1

全段質量(全備) t 約 333

推 進 系

推 進 薬 種 類 -ケロシン ( RP-1 ) /液体酸素

液化天然ガス ( LNG ) /液体酸素

真 空 中 推 力 kN 4 152 (可変) 107 -

真 空 中 比 推 力 s 338.4 313 -

誘 導 方 式 - 慣性誘導方式 -

制  御ピ ッ チ ・ ヨ ー - ジンバル ジンバル*2 -

ロ ー ル - ジンバル ガスジェット -

(注) *1:4 m 衛星フェアリングもオプションとして検討中*2:慣性飛行中はガスジェットでピッチ・ヨー方向も飛行制御

② 1段エンジン 燃焼終了

③ 1 ・ 2段分離

④ 2段エンジン 燃焼開始

⑤衛星フェアリング 分離

⑦衛星分離

姿勢変更

衛星運用フェーズへ

推薬排出

⑧ミッション 完了

①打上げ

⑥ 2段エンジン 燃焼終了

衝突 ・コンタミネーション防止軌道変換 ( CCAM )

(注) 打上げ後のイベント,経過時間を示す.

①打上げ 0

② 1段エンジン燃焼終了 約 245 s

③ 1・2段分離 約 250 s

④ 2段エンジン燃焼開始 約 260 s

⑤衛星フェアリング分離 約 275 s

⑥ 2段エンジン燃焼終了 約 740 s

⑦衛星分離 約 1 000 s

⑧ミッション完了 約 3 200 s

………………………………

……

……………………

……

……

……

……………………

……………

第 7図 GXロケット飛行プロファイルFig. 7 GX launch vehicle flight profile

177IHI 技報 Vol.49 No.3 ( 2009 )

4. GXロケットの将来構想

 GX ロケットは,実証試験機を米国西海岸射場 ( VAFB )

で,その後,日本射場での打上げを期待している.IHI グ

ループとしては,実証機打上げ以降も,VAFB を日本射

場のバックアップとして継続使用することによって,柔軟

な衛星打上げサービスを提供し,我が国の宇宙利用に貢献

していきたいと考えている.

 また,GX ロケットで獲得した技術を自主技術化し,全

段 LNG エンジンとした次世代型ロケット ( GX-X ) など

の開発に活用していく.

5. 結    言

 GX ロケットの特長を中心に開発の概要を紹介した.

GX ロケットは,宇宙利活用の社会的ニーズに対応する効

率良い輸送手段を提供するとともに,我が国の宇宙への継

続的なアクセスを保証するための基幹ロケットの補完機と

して重要な意義を担っている.

 また,異なる系譜のロケット技術と我が国がもつ技術

との融合で,ロケット技術のさらなる革新が期待できる.

IHI グループは,本プロジェクトを礎にして,最新のロ

ケット技術をもつロケットメーカとして飛躍していく.

― 謝  辞 ―

 GX ロケットの計画の検討に当たって,ご支援とご指導

をいただいている宇宙航空研究開発機構宇宙輸送ミッショ

ン本部 LNG プロジェクトチームおよび関係各位のご厚誼

に対し,深く感謝の意を表します.

参 考 文 献

( 1 ) I-S. Chang : Space Launch Vehicle Reliability

C r o s s l i n k Vo .2 N o .1 Wi n t e r 2000 / 2001

pp. 22- 32

第 8図 GXロケット打上げ能力Fig. 8 Payload performance of the GX launch vehicle

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

300 400 500 600 700 800

高 度 ( km )

打上げ能力

(t)

3.3 m衛星フェアリング:軌道傾斜角約 63度

3.3 m衛星フェアリング:太陽同期軌道 ( SSO )4 m衛星フェアリング:

軌道傾斜角約 63度

4 m衛星フェアリング :太陽同期軌道 ( SSO )