重症市中肺炎 - jseptic | 特定非営利活動法人 日本 …€™acquired’pneumonia...
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はじめに
重症肺炎は、患者の基礎疾患、起因微生物の病原性や治療抵抗性により数々の病態を引き起こし、ときに致死的な状態になる可能性がある。そして、重要臓器の障害や重症敗血症をともなった病態を呈し、集学的な治療が必要となる。今回、重症市中肺炎として、考えうる幾つかの病態から、考慮される治療に関して、文献を交えて再考した。
contents ² 市中肺炎の基礎知識 ² 重症市中肺炎定義 ² 重症化の病態 ² 重症市中肺炎の治療 ・併用療法としてのマクロライド系抗菌薬の意義
・ステロイドと重症市中肺炎
・NPPV/high flowと市中肺炎 ² 難治性肺炎
初期増悪
² 重症肺炎各論 レジオネラ、肺炎球菌性肺炎、重症マイコプラズマ、他
Community acquired pneumonia 2008.03.04 jikei ICU 勉強会 市中肺炎とステロイド 2011.08.30 jikei ICU 勉強会 より改変
1.Guidelines for the iniJal management of adults with Community-‐Acquired Pneumonia: diagnosis, assessment of severity, and iniJal anJmicrobial therapy (ATS) Am Rev Resp Dis 1993;148:1418-‐26 2.Community-‐Acquired Pneumonia in adults: Guidelines for management(IDSA) CID 1998;26:811-‐38 3.PracJce guidelines for the management of .community-‐Acquired Pneumonia in adults(IDSA) CID 2000;31:347-‐82 4. Guidelines for the management of adults with Community-‐Acquired Pneumonia: diagnosis, assessment of severity, anJmicrobial therapy, and prevenJon(ATS) Crit Care Med 2001;163:1730-‐54 5.Update of PracJce Guidelines for the Management of Community-‐Acquired Pneumonia in Immunocompetent Adults(IDSA) CID 2003;37:1405-‐33 6.成人市中肺炎診療ガイドライン 日本呼吸器学会 2007 7.InfecJous Diseases Society of America/American Thoracic Society Consensus Guidelines on the Management of Community-‐Acquired Pneumonia in Adults(ATS+IDSA) CID 2007;44:S27-‐72
Community-‐Acquired Pneumonia Guidelines
Community acquired pneumonia 2008.03.04 jikei ICU 勉強会 市中肺炎とステロイド 2011.08.30 jikei ICU 勉強会 より改変
肺炎の分類と定義 CAP Community-acquired pneumonia 市中肺炎
病院到着後48時間以内に最初の感染が証明され、HCAPの危険因子がない患者
HCAP Health care-associated pneumonia 医療に関する肺炎 過去90日以内に2日以上の病院への入院歴 介護関連施設に入所、外来での化学療法、抗菌薬、注射などの入院外で注射の治療歴 透析歴、在宅での褥瘡などの創傷治療歴
HAP Hospital-acquired pneumonia 院内肺炎
病院到着後48時間以上経ってから発症した患者
CAP HCAP HAP
耐性菌による肺炎、重症肺炎
・PSI (=PORT study):the pneumonia severity index ・CURB65:the modified BriJsh Thoracic Society severity score ・A-‐DROP:Japan Respiratory Society community associated pneumonia severity index ・I-‐ROAD:Japan Respiratory Society hospital community associated pneumonia severity index ・rATS:the revised American Thoracic Society score
重症肺炎の定義
肺炎の重症度分類には以下のものがある。
重症肺炎の判定基準
ICU管理が必要な肺炎の基準として重症肺炎を定義している。
CURB-‐65の年齢以外の4項目 を取り入れている。
IDSA/ATSによる市中肺炎ガイドライン
Clinical InfecJous Diseases 2008; 47:375–84
Clinical InfecJous Diseases 2007; 44:S27–72
重症肺炎の定義は様々
病態から見た場合
肺炎の予防、迅速な診断、適切な抗菌化学療法の実施と同時に、重症化対策も重要な臨床課題となる。
v severe sepsisおよびsepJc shock v 急性肺障害 v 薬剤耐性菌によるもの を引き起こしているような肺炎といえる。
この定義には、重症肺炎は、急性肺障害あるいは重症敗血症の兆候を伴う肺炎であるというコンセンサスが存在している。
Intern Med 50: 1917-‐1922, 2011
海外におけるメタ解析の評価で、IDSA/ATSガイドラインによる重症肺炎定義の有用性が示されている。 また我が国における検討において、このガイドラインの重症肺炎の定義の妥当性が確認されている。
Crit Care 2012;16:Rl41.
市中肺炎の起因微生物
Journal of Medical Microbiology (2005), 54, 395–400 J Infect Chemother (2006) 12:63–69
J Infect Chemother (2004) 10:359–363
重症化と微生物の病原性
v 肺炎球菌性肺炎 v 黄色ブドウ球菌性肺炎 v レジオネラ肺炎 v グラム陰性桿菌性肺炎(緑膿菌他)
→遺伝的背景、菌の血清型、内外毒素産生などによりその重症度は、異なってくると考えられる。
Severe sepsis, sepJc shock
過剰な炎症反応と、好中球および血小板の異常な集積は、凝固異常、肺胞上皮傷害、肺毛細血管内皮障害をもたらす。病原微生物由来のPathogen-‐associated molecular pagern(PAMP)および障害組織由来のdamage-‐associated molecular pager(DAMP)は肺胞マクロファージおよび肺胞上皮細胞に認識されて、自然免疫の 活性化をもたらし,急性肺炎症が誘導される。病原微生物が直接肺胞上皮障害をもたらす可能性も示唆されている。 J Ciin Invest 1992;122:2731-40.
肺炎の重症化の病態
急性肺障害
NEngl J Med 2013:369:840-51.
敗血症における宿主の反応は,きわめて複雑かつ多様である.炎症を増強する機序と炎症を抑制する機序が同時に発現する。 病態の詳細は、以前のsepsisの勉強会参照
薬剤耐性
多剤耐性菌が検出された場合、治療失敗の可能性がある。
Immunomodulatory agents in the treatment of community-‐acquired pneumonia: A systemaJc review
Journal of InfecJon 2011: 63, 187-‐e199
免疫調整薬剤
マクロライド系抗菌薬における免疫調整効果は、各種サイトカインの測定で 明らかになってきている。
ATS/IDSA市中肺炎診療ガイドライン等では、肺炎の重症度に関係なくβ-‐ラクタム系薬とマクロライド系薬の併用療法が推奨されている。 実際、βラクタム系薬単独による治療よりもマクロライド系薬を併用することで肺炎患者の生存率が有意に改善したとの報告も多い。 その併用効果は肺炎の重症度に比例して顕著に認められていることから、肺炎治療におけるマクロライド系薬の 併用意義が見直されている。
重症肺炎にマクロライドを投与する理由
アジスロマイシンの病態改善に寄与すると考えられているもの
v リボソームへ結合によるタンパク合成を阻害する直接的な抗菌作用に加え、 菌のquorum-‐sensing機構の制御 An7microb Agents Chemother 45(6) :1930-1933, 2001 v バイオフィルム形成の抑制 An7microb Agents Chemother 48(6):2251-2259,2004 An7-‐microb Agents Chemother 52(1):137-145,2008 v β一デフェンシンの分泌促進 AmlPhysiol Lung Cell Mol Physiol 289(4):L565-573,2005 v マクロライド系薬の大きな特徴として気道炎症の抑制作用 v 好中球遊走活性をもつIL-8や好中球エラスターゼを抑えることによる好中球性炎症の抑制 Am Rev ResPir Dis 148 : 1061-1065, 1993 ResPira7on 63 (1) : 42-48, 1996
v リンパ球や肺胞マクロファージなどの炎症細胞浸潤の抑制 J an7biot (Tokyo) 46(9):1406-1413, 1993 J an7biot(Tokyo)47(1): 80-89, 1994
v 気道分泌やムチン産生の抑制 Am J ResPir Crit Care Med 168(5) : 581-587, 2003 Chest 122(1) : 213-218, 2002
LPS依存性の炎症性サイトカイン産生に及ぼす影響(マウス)
150
量
(pg/mL)
対 象: ICR系雄マウス、1群5匹(5週齢) 方 法: アジスロマイシン(AZM)、クラリスロマイシン(CAM)、ロキシスロマイシン(RXM)、
ジョサマイシン(JM)を100%エタノールに溶解(20.0mg/mL)後、注射用生食水で希釈し、1日1回、2週間あるいは4週間経口投与した。対照群には同用量の生食を経口投与。リポポリサッカライド(LPS)注射により各種炎症性サイトカインの産生を誘導した後、経時的に麻酔下で心臓から直接採血し、血清中の各種サイトカイン量をELISA法により測定した。
100
50
0
JJA 57(Supul. A) : 79, 2004
リポポリサッカライド(LPS)により、IL-‐1をはじめとする炎症性サイトカインの産生が増強されたのに対し、アジスロマイシンをはじめ、クラリスロマイシン、ロキシスロマイシン投与により各種炎症性サイトカインの産生抑制が認められた。
LPS RXM CAM AZM JM
4
(pg/mL)
3
1
0 LPS RXM CAM AZM JM
600
(pg/mL)
400
200
0 LPS RXM CAM AZM JM
IL-‐1β IL-‐6 TNF-‐α
2
500
300
100
アジスロマイシン効能・効果/用法・用量
●効能・効果 <適応菌種>
アジスロマイシンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、
肺炎球菌、淋菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、
インフルエンザ菌、ペプトストレプトコッカス属、プレボテラ属
レジオネラ・ニューモフィラ、クラミジア属、
マイコプラズマ属
<適応症> 肺炎、骨盤内炎症性疾患
●用法・用量 成人にはアジスロマイシンとして500mg(力価)を1日1回、
2時間かけて点滴静注※する。 ※急速静注(ポーラス)は行わない。輸液500mLにて1.0mg/mLに希釈。
15員環マクロライド系抗菌薬
N
(9位と10位の間に窒素原子導入)
2011年12月より発売開始
Clinical InfecJous Diseases 2007; 44:S27–72
入院を要する肺炎治療において、β-‐ラクタム系薬とマクロライド系薬の併用療法が推奨されている。
ATS/IDSA市中肺炎診療ガイドライン2007での推奨抗菌薬
治療初期における抗菌薬選択は、特に重要。原因微生物をカバー出来たか否かによって死亡率に大きな差。
非定型病原体をカバーした抗菌薬療法により生存率が改善する。
Inadequate anJmicrobial treatment of infecJons:a risk factor for hospital mortality among criJcally ill paJents. Chest 115:462-‐474,1999
A worldwide perspecJve of atypical pathogens in community-‐acquired pneumonia. AJRCCM175:1086-‐1093,2007
βラクタム系薬にマクロライド系薬を併用した群は、フルオロキノロン系薬を併用した群よりも有意に高い生存率を示した。
Intensive Care Med 36(4):612-620, 2010
75%(30/40例)
58.3%(28/52例)
ATS/IDSA市中肺炎診療ガイドライン2007に従った 市中肺炎治療による生存率
Ø ProspecJve, observaJonal cohort, mulJcenter study
Ø ヨーロッパ9ヵ国における27の ICU
Ø 218人の人工呼吸器が必要なCAP患者
CombinaJon anJbioJc therapy with macrolides improves survival in intubated paJents with community-‐acquired pneumonia. lntensive Care Med 36(4):612-‐620,2010
Macrolide-‐Based Regimens and Mortality in Hospitalized PaJents With Community-‐Acquired Pneumonia: A SystemaJc Review and Meta-‐analysis Clinical InfecJous Diseases 2012;55(3):371–80 RCTを検討している。
RCTでは、マクロライドとマクロライド以外の抗菌薬との有効性 における違いはなかった。
Macrolides and Mortality in CriJcally Ill PaJents With Community-‐Acquired Pneumonia: A SystemaJc Review and Meta-‐Analysis* Crit Care Med 2014; 42:420–432 ICU患者に対する観察研究
アジスロマイシンと心血管死リスク
コホートデータベースから抽出したアジスロマイシン服用患者347795例と、傾向スコアでマッチングした抗菌薬非服用患者1391180例、アモキシシリン服用患者1348672例、シプロフロキサシン服用患者264626例、レボフロキサシン服用患者193906例を解析した。
Azithromycin and the risk of cardiovascular death. N Engl J Med 2012; 366: 1881-‐90
抗菌薬非服用患者と比較して 心血管死亡リスクは2.88倍(95%CI 1.79-‐4.63, p<0.001) 全死亡リスクは1.85倍(95%CI 1.25-‐2.75, p=0.002)有意に増加した.
アジスロマイシンの心血管死亡リスクはシプロフロキサシンよりも有意に高いが、レボフロキサシンとは有意差が
みられてはいない。
5日間の治療でのアジスロマイシン服用患者
Use of Azithromycin and Death from Cardiovascular Causes N Engl J Med 2013;368:1704-‐12.
Ø 18歳から64歳のデンマークの成人を対象としたコホート研究
Ø 1997年から2010年における処方箋、死因、患者背景に関する登録データを用いてアジスロマイシンと心血管系死亡リスク上昇の関連を調査した。
Ø 心血管系による死亡の発生率比を、アジスロマイシン使用110万2050件と抗菌薬を使用しない場合との比較(傾向スコアによる1:1でマッチ。エピソード合計220万4100件)をおこなった。
Ø アジスロマイシン使用110万2419件とペニシリンV使用736万4292件とのアンマッチ比較もおこなった。
ベースラインの高リスク患者では心血管系による死亡のリスク上昇と関連しているとされているが、任意に抽出した一般人口集団で同様のリスク上昇がみられるかどうか?
結論: 18歳から64歳の成人の一般人口集団でのアジスロマイシン使用は、心血管系による死亡のリスク上昇とは関連しない。
結果: 心血管系による死亡リスクは、アジスロマイシンを使用中(5日間の治療エピソードと定義)の場合、抗菌薬を使用しない場合と比較して有意に増加した(発生率比2.85、95%信頼区間1.13~7.24)。 使用抗菌薬との比較では、心血管系による死亡はアジスロマイシン使用中に17件(粗死亡率1.1/1000人年)、ペニシリンV使用中の場合に146件(粗死亡率1.5/1000人年)観察された。 傾向スコアによって補正した場合、アジスロマイシンの使用はペニシリンVと比較して心血管系死亡リスク上昇とは関連していなかった(発生率比 0.93、95%信頼区間0.56~1.55)。
重症市中肺炎におけるマクロライド系抗菌薬 のまとめ
² 重症市中肺炎患者に対するアジスロマイシン点滴製剤をβラクタム系薬と併用することによって、生存率の向上が期待できる。
² ただしその有効性に関しては、質の高いRCTはなく、今後のさらなる検討を待つ必要がある。
² 副作用に関しては、現状では、高用量、急速注入などを避けること。またモニター監視下での投与であれば、安全性に配慮できると思われる。
Ø MulJcenter trial
Ø 重症CAPで、ICUに入室して、46症例が対象
Ø ヒドロコルチゾン200mg bolus投与後、10mg/hrの持続投与を7日間行い、効果を検討したRCT
HydrocorJsone Infusion for Severe Community-‐acquired Pneumonia A Preliminary Randomized Study ランドマーク的研究
PaO2/FIO2比,胸部陰影、CRP、MulJple organ dysfuncJon(MODS)スコア・病院滞在日数および死亡率の有意な改善を認めてる。
Am J Respir Crit Care Med Vol 171. pp 242–248, 2005
大項目: ①人工呼吸管理が必要 ②48時間後に50%以上の胸部陰影拡大 ③4時間以上の昇圧薬使用 ④血清クレアチニン≧2mg/dLのうち1項目以上 小項目: ①呼吸数>30/分 ②PaO2/FIO2〈250 ③胸部X線上両側性または2葉以上の陰影 ④収縮期血圧く90mmHg ⑤拡張期血圧く60mmHg, のうちの2項目以上を満たす。
Dexamethasone and length of hospital stay in paJents with community-‐acquired pneumonia: a randomised, double-‐blind, placebo-‐controlled trial
Lancet 2011; 377: 2023–30
軽症〜中等症の肺炎
Ø double-‐blind, placebo-‐controlled trial, we randomly assigned adults aged 18 years or older with
Ø confirmed community-‐acquired pneumonia who presented to emergency departments of two teaching hospitals in the Netherlands
Ø receive intravenous dexamethasone (5 mg once a day) or placebo for 4 days from admission
Ø The primary outcome was length of hospital stay
CorJcosteroids in the Treatment of Community-‐Acquired Pneumonia in Adults: A Meta-‐Analysis
PLoS ONE 7(10) 2012,Vol 7 9つの試験、1001名の患者
Severe CAPに関してみてみると・・・
PLoS ONE 7(10):2012e47926.
ステロイドの使用期間についても、5日間以上投与した場合と5日間以内の投与で、前者が死亡のオッズ比0.51(95%CI0.26〜0.97)と、死亡リスクを低下させる。
severe CAPに対するステロイドの是非 まとめ
v Sepsls、市中肺炎、およびこれらに続発したARDSなどでその効
果が検討された。
v 現状ではいずれの病態に対しても、長期少量投与は検討の余
地が残されているが、使用には慎重にならざるを得ない。
v Severe CAPに対するステロイドに関しては、さらなるデータが必
要と思われる。
NPPVで確実なエビデンスがあるのは、
Ø COPD増悪 Ø COPDのweaning Ø 心原性肺水腫 Ø 免疫不全
Lancet 2009; 374: 250–59
重症市中肺炎で、COPD合併例以外は、 NPPVの利点はない。
Acute Respiratory Failure in Pa7ents with Severe Community-‐acquired Pneumonia A ProspecJve Randomized EvaluaJon of Noninvasive VenJlaJon
Am J Respir Crit Care Med Vol 160. pp 1585–1591, 1999 Ø ProspecJve, randomized study Ø Standard treatment plus NPPV delivered through a face mask VS standard
treatment alone in paJents with severe CAP and ARF. Ø PaJents fiyng the ATS criteria for severe CAP were included in presence of
ARF (refractory hypoxemia and/or hypercapnia with acidosis).
COPD患者の割合は多め
挿管になってしまった時間経過
worsening hypoxemia (2 and 8) Worsening hypercarbia (0 and 6) severe hemodynamic instability (3 and 3) secreJon management (1 and 0) The main advantage of noninvasive venJlaJon relied in decreasing IntubaJons for worsening hypoxemia (2 versus 13; p=0.004).
Am J Respir Crit Care Med Vol 160. pp 1585–1591, 1999
Noninvasive pressure support ven7la7on in non-‐COPD pa7ents with acute cardiogenic pulmonary edema and severe community-‐acquired pneumonia : acute effects and outcome
Intensive Care Med (2002) 28:1226–1232 Table 1 Baseline clinical characterisJcs in CPE and CAP groups.Values are given as mean±SD.
Ø Design: ProspecJve, observaJonal study. Ø Seyng: MulJdisciplinary ICU, regional teaching hospital. Ø PaJents: Non-‐COPD paJents with CPE or severe CAP
CPE:Cardiogenic pulmonary edema
Fig. 2 Comparison (mean±SD) of respiratory rate and blood gas variables before and a{er (60 min) the first NIPSV agempt in intubated and nonintubated paJents with severe community-‐acquired pneumonia. (*P=0.02, **P=0.01,***P=0.03 vs baseline)
Fig. 1 Comparison (mean±SD) of clinical and blood gas variables before and a{er (60 min) the first NIPSV agempt in paJents with acute cardiogenic pulmonary edema (CPE) and severe community-‐acquired pneumonia (CAP). (*P=0.02, **P=0.01, P=0.005,P=0.002 vs baseline)
挿管症例では、呼吸数の上昇が 確認された。
1時間後の変化をみると CPEでは、呼吸数は、減少 P/F値は、ともに上昇している。
Table 2 Outcome variables in CPE and CAP groups and in CAP subgroups (intubated and non-‐intubated paJents). Values are given as means±SD. CPE acute cardiogenic lung edema, CAP community-‐acquired pneumonia, NIPSV non-‐invasive pressure support venJlaJon,Gas Ex gas exchange
CAPのうちの7人が挿管→
全員血培陽性
NIPSV equally improved oxygenaJon in CPE and severe CAP paJents presenJng with the same severity of hypoxemia at admission, but the subsequent outcome was remarkably different in the two pathological condiJons.
NPPVは、severe CAPに有効? まとめ
v NPPV施行により一時的な酸素化の改善は、認めた。 v COPD患者合併患者における重症市中肺炎におい
ては、有効である可能性はあるといえる。
v ウイルス性肺炎(報告例は、細菌性肺炎のみ)における有効性は、不明。
v Nasal high flowのCAPに関するデータはほとんどない。
v 抗菌薬治療開始後に、肺野陰影が悪化したり、新たな病変が出現したり、発熱が持続していたりしていた場合に何を考えるか?
v 通常は初期治療失敗例と判断し、抗菌薬選択の妥当性あるいは非感染症であったのかという診断を見直す必要性がでてくる。
初期悪化とは???
治療に反応しない場合の対応
日本呼吸器学会:成人市中肺炎診療ガイドライン The JRS Guidelines for the Management of Community-‐Acquired Pneumonia in Adults
結核症治療における初期悪化現象(paradoxical reacJon) Eur J Clin Microbiol Infect Dis 2002; 21: 803-‐809 化学療法を引き金として、死菌から抗原が放出されることや、抑制されていた免疫が束縛を解かれることにより、免疫反応が亢進する。 Clin Infect Dis. 2008 Nov 15;47(10):e83-‐5
梅毒治療におけるJarisch-‐Herxheimer反応 Med Clin N Am 2006; 90: 1265-‐1277
TNF-‐αやIL-‐1βなどの炎症反応を惹起するようなサイトカインには、その量に応じて、細胞内外の細菌の増殖を促進させる作用があるとの報告もある Crit Care 2002; 6: 24-‐29
抗HIV治療開始後に認める日和見感染症などの発症、再発、再増悪は「免疫再構築症候群(immune reconsJtuJon syndrome : IRSやimmune reconsJtuJon inflammatory syndrome:IRISなど)」と呼ばれている。 Curr Opin Infect Dis. 19: 20-‐25, 2006.
感染症治療開始後に現れる初期悪化現象
抗菌薬治療により、グラム陰性菌の細胞壁からエンドトキシンとしてLPS(lipopolysaccharide)、グラム陽性菌からもlipoteichoic acidsをはじめとする多種多様な物質が大量に放出され、これらが自然免疫(innate immune response)を刺激する結果、産生された種々の炎症性メディエーターやTNF-‐αなどのサイトカインが病態や予後の悪化に関与していることが示唆されている。 FEMS Immunology and Medical Microbiology 44 (2005) 1–16
初期悪化は、治療によって、破壊された微生物側から供給される物質(細胞傷害因子や抗原となりうる成分)に対する生体側の反応が、免疫反応の違いによって、異なる反応を示すことで、説明できそうである。
病原菌を排除するための従来の治療法とは別に、微生物に対する反応プロセスも重症感染症に対する治療のために必要になると思われる。
過去20年以上、数々のアプローチがなされた。ステロイド、抗エンドトキシン薬、サイトカインに対する抗体、サイトカイン受容体拮抗薬や免疫調整作用を有する薬剤などが試されたが、有効性は示せていない。 (例外:HIV患者におけるニューモシスチス肺炎、細菌性髄膜炎など。)
ImmunomodulaJon in the criJcally ill Br J Anaesth 2009; 103: 70-‐81
Immune reconsJtuJon inflammatory syndrome in non-‐HIV immunocompromised paJents.
Current Opinion in InfecJous Diseases 2009,22:394–402
HIV患者における免疫再構築症候群は、よく知られているが、non-‐HIV患者によるものは、殆ど知られていない。
非HIV患者におけるIRISの報告
Current Opinion in InfecJous Diseases 2009,22:394–402
ステロイド治療が、最も使用され、改善がみられている。 肺病変では、結核およびアスペルギルス病変によるIRSがほとんどであった。
文献検索自体、non-‐HIVの免疫再構築は、症例報告レベルであり、ましてや細菌性感染やCAPの治療後の増悪の報告もみつけられなかった。