平成 年度 期 ビジネス・キャリア検定試験 ·...

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H29前-081A01-表紙 平成29年度 前期 ビジネス・キャリア検定試験 経営戦略分野 2級 経営戦略 試 験 問 題 (14ページ) 1.試験時間 110分 2.注意事項 (1) 試験問題は、係員の指示があるまで開かないでください。 (2) 試験問題は、40題あります。 (3) 試験問題の配点は、次のとおりです。 問題1~問題40 各2.5点 合計100点 (4) マークシート(解答用紙)には、①試験区分名、②氏名、③座席番号、④受験番号、 ⑤生年月日を正確に記入してください。 なお、受験番号の最後の桁は、アルファベットですので、数字と間違えないように 注意してください。 (5) マークシートにマークする際には、HB又はBの黒鉛筆又はシャープペンシルのい ずれかで、はっきりとマークしてください。それ以外は使用しないでください。 なお、訂正する場合は、採点の際にマークシートの誤読の原因となることがあり ますので、きれいに消してください。 (6) マークシートには、所定の事項以外は絶対に書き込まないでください。 なお、計算等が必要な場合は、問題用紙の余白又は裏面を使用してください。 (7) マークシートにはア~オまでマークする欄があります。問題番号及び問題文に従っ て正解と思われるものを1つだけ選んで間違えないようにマークしてください。 (8) 試験問題の内容に関する質問には、一切お答えできません。 (9) 試験中にトイレへ行きたくなった場合は、黙って手を挙げて係員の指示に従ってく ださい。 (10) 試験終了時刻前に解答が済み、退出する場合は、黙って手を挙げて係員の指示に 従ってください。ただし、試験開始後30分間及び終了前10分間は、退出できません。 なお、退出する場合は、周りの受験者に配慮して、静かに退出してください。 (11) 試験終了の合図があったら速やかに筆記用具を置き、係員の指示に従ってください。 (12) 試験終了後、マークシートを必ず提出してください。ただし、試験問題は、持ち帰 ることができます。 なお、マークシートが提出されていない場合は、失格となります。 (13) 試験問題の転載、複製などを固く禁じます。 禁転載複製 「中央職業能力開発協会編」

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H29前-081A01-表紙

平成29年度 前期 ビジネス・キャリア検定試験

経営戦略分野

2級 経営戦略

試 験 問 題 (14ページ)

1.試験時間 110分

2.注意事項

(1) 試験問題は、係員の指示があるまで開かないでください。

(2) 試験問題は、40題あります。

(3) 試験問題の配点は、次のとおりです。

問題1~問題40 各2.5点 合計100点

(4) マークシート(解答用紙)には、①試験区分名、②氏名、③座席番号、④受験番号、

⑤生年月日を正確に記入してください。

なお、受験番号の最後の桁は、アルファベットですので、数字と間違えないように

注意してください。

(5) マークシートにマークする際には、HB又はBの黒鉛筆又はシャープペンシルのい

ずれかで、はっきりとマークしてください。それ以外は使用しないでください。

なお、訂正する場合は、採点の際にマークシートの誤読の原因となることがあり

ますので、きれいに消してください。

(6) マークシートには、所定の事項以外は絶対に書き込まないでください。

なお、計算等が必要な場合は、問題用紙の余白又は裏面を使用してください。

(7) マークシートにはア~オまでマークする欄があります。問題番号及び問題文に従っ

て正解と思われるものを1つだけ選んで間違えないようにマークしてください。

(8) 試験問題の内容に関する質問には、一切お答えできません。

(9) 試験中にトイレへ行きたくなった場合は、黙って手を挙げて係員の指示に従ってく

ださい。

(10) 試験終了時刻前に解答が済み、退出する場合は、黙って手を挙げて係員の指示に

従ってください。ただし、試験開始後30分間及び終了前10分間は、退出できません。

なお、退出する場合は、周りの受験者に配慮して、静かに退出してください。

(11) 試験終了の合図があったら速やかに筆記用具を置き、係員の指示に従ってください。

(12) 試験終了後、マークシートを必ず提出してください。ただし、試験問題は、持ち帰

ることができます。

なお、マークシートが提出されていない場合は、失格となります。

(13) 試験問題の転載、複製などを固く禁じます。

禁転載複製 「中央職業能力開発協会編」

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H29前-081A01-1

問題1 企業に関する記述として不適切なものは、次のうちどれか。

ア.企業は事業を継続していくために公正な取引を通じて、その原資となる利潤を追求

すべきというのは、1つの合理的な考え方である。

イ.企業にとってのステークホルダーには、その取引相手である顧客やサプライヤーを

はじめ、出資者、従業員のみならず、企業が影響を及ぼし得ない関係者も全て含ま

れる。

ウ.企業は社会に与える影響が大きいことを自覚し、CSR( Corporate Social

Responsibility)を果たしていかなければならない。

エ.近年の情報技術の発展等により、消費者による生産プロセスへの参加や様々な機能

のアウトソーシングが可能となり、従来は企業経営の一機能に過ぎなかった特定の

機能のみを担う企業も現れるようになった。

オ.日本企業のコーポレートガバナンスには、経営者が目先の利益にとらわれることな

く長期的な視野から経営を行えるという利点もあり、株主至上主義、利益重視型と

言われる米国企業型の経営スタイルが必ずしも望ましいというわけではない。

問題2 経営戦略に関する記述として適切なものは、次のうちどれか。

ア.チャンドラーは、事業領域を拡大し、多角化戦略を展開する大企業が事業部制組織

から機能別組織に変革していることに注目し、「組織は戦略に従う」という命題を示

した。

イ.アンゾフは、製品の品質と価格との組合せからなる経営戦略の展開領域を規定した

上で、それぞれ「市場浸透戦略」、「新製品開発戦略」、「市場開拓戦略」及び「多角

化戦略」に類型化した。

ウ.ポーターは、個々の事業分野において、競争優位を獲得するための基本的な戦略と

して、「差別化戦略」、「コスト・リーダーシップ戦略」及び「集中戦略」を提示した。

エ.PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)等の手法を駆使する分析型

戦略論には、経営環境の変化に対して柔軟に対応できる強みがある。

オ.経営戦略の実行プロセスを重視するプロセス型戦略論では、トップ・マネジメント

によって策定された戦略を既定の計画どおりに実行することが前提とされている。

問題3 競争優位の戦略に関する記述として適切なものは、次のうちどれか。

ア.競争環境を分析する場合、顧客や供給業者からの影響も検討する。

イ.差別化戦略における差別化のポイントは、消費者には認識できないような違いであ

ってもよい。

ウ.業界最大手の企業は市場占有率を拡大するために、取扱商品の差別化戦略を徹底す

る。

エ.集中戦略は、特定の製品や顧客に絞り込んで、低コストや差別化以外の方法によっ

て優位性を構築する戦略である。

オ.コスト・リーダーシップ戦略は、同一品質の製品やサービスを競合他社より低価格

で提供することを目的としている。

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H29前-081A01-2

問題4 ドメインの定義に関する記述として不適切なものは、次のうちどれか。

ア.ドメインは自社の事業活動の領域を決定するものであるため、環境の変化に応じて

見直す必要がある。

イ.ドメインを定義することは、企業のアイデンティティを定めることでもあり、企業

や組織の一体感を醸成することにもつながる。

ウ.ドメインは自社の製品や技術に基づいて定義されるため、製品や技術が陳腐化して

も企業の成長の方向性を見出すことができる。

エ.鉄道会社は、「鉄道」事業にドメインを定義付けるのではなく、「輸送」事業として

定義付けをすることも可能である。

オ.ドメインを定義することは、どのような相手と、どのような事業領域で競争するの

かを定めることにもなる。

問題5 経営戦略に関する記述として不適切なものは、次のうちどれか。

ア.メインフレームのメーカーA社は、インターネットの普及に合わせてソリューショ

ンとサービスを提供することにした。これは経営環境の変化に対応したドメインの

変更である。

イ.かつて標準価格1台5万円の電卓市場において下位企業のB社は、業務用から家庭

向けに機能を縮小した1万円台の電卓を投入し、業界でのシェアを伸ばした。これ

をコスト・リーダーシップ戦略という。

ウ.C社は、総合的な衣料品の品揃ぞろ

えで事業を展開してきたが、「靴下専門店」に転換

し、業績を上げている。これは集中戦略である。

エ.日本のビールメーカーは、ビールだけでなくソフトドリンク類も製造・販売する事

業展開をしている。これを多角化戦略という。

オ.新製品販売におけるユーザーを基点とした売場作りは、マーケット・インの発想に

よるマーケティング戦略である。

問題6 経営戦略に関する記述として不適切なものは、次のうちどれか。

ア.「ドメインの定義」、「全社的資源展開」、「競争優位性」及び「シナジー」は、企業

が活動していく上で欠かせない一連の活動と密接に関係している。

イ.ドメインの定義のうち、製品や技術に基づくものは「物理的定義」であり、その製

品や技術がどのような機能を提供するかという視点に立つものは「機能的定義」と

呼ばれている。

ウ.組織学習において、1つのテーマを徹底的に追求することで得られる極めて深い知

識・技術体系は、コア・コンピタンスとなり得る。

エ.業務を通じて獲得された1つの深い技術の蓄積(情報的資源)は、複数の分野で同

時に利用することが可能である。

オ.新規事業に参入する場合、既存事業の経営資源を活用できるときには、負のシナジ

ーは生じない。

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問題7 オープンイノベーションに関する記述として不適切なものは、次のうちどれか。

ア.社外にある知識を見つけて、理解した上で自社に使えそうなものを選ぶこと。

イ.社外にある知識だけでは不十分な場合には、それを補う知識を社内で生み出すこと。

ウ.社外にある知識と社内にある知識を統合し、新しい体系や構造を生み出すこと。

エ.社外にある知識を社内にある知識よりも、優先的に活用すること。

オ.研究による成果を自社から他社へ売り出すことにより、利益を得ること。

問題8 経営戦略の階層構造に関する記述として不適切なものは、次のうちどれか。

ア.事業戦略には、一般にいかなる事業領域で経営を行うか及び事業を多角化するかど

うかについての決定が含まれる。

イ.機能別戦略を策定する場合にも、全社戦略や事業戦略と同様に、外部環境の分析と

内部資源や自社能力の分析を行うべきである。

ウ.全社戦略には、現在から将来にわたる成長戦略の策定や、各事業への資源配分とい

った全社的な決定が含まれる。

エ.経営戦略は、全社戦略、事業戦略及び機能別戦略から構成される階層構造をなして

いる。

オ.単一事業を行う企業では、事業戦略も全社的な観点から策定される。

問題9 分析型戦略論に関する記述として不適切なものは、次のうちどれか。

ア.分析型戦略論を支える基本的な考え方は、いかにして投入を少なく、産出を最大化

するかという「経済合理性」の追求である。

イ.分析型戦略論の意思決定プロセスには、「代替案の探索」→「列挙」→「評価」→

「選択」という流れがある。

ウ.分析型戦略論は環境が相対的に安定的であり、しかも、長期予測が可能であるとい

う前提に立っている。

エ.分析型戦略論では、通常トップダウン形式により、策定・指示がなされるため、戦

略策定を担当するスタッフにパワーが集中する。

オ.分析型戦略論によれば、戦略行動にとって障害となる偶発的事象を分析し、対処す

ることができる。

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問題10 経営戦略と組織に関する記述として適切なものは、次のうちどれか。

ア.7Sモデルにおける7つの要素とは、戦略、構造、管理システム、人材、共有経営

理念、行動特性及び持続性である。

イ.7Sモデルは戦略の実現可能性を判断したり、組織全体の整合性を図る際のチェッ

クリストとして活用される。

ウ.戦略の実行過程を含めた動態的要素に着目した一連の戦略研究を分析型戦略論とい

う。

エ.チャンドラーが提唱した「組織は戦略に従う」とは、まず組織が先に構築され、つ

いでこれに最も適合した戦略ができるという考え方によるものである。

オ.分析型戦略論の有効性の1つに、イノベーションの創発が挙げられる。

問題11 組織構造に関する記述として不適切なものは、次のうちどれか。

ア.事業部制組織の長所の1つとして、各事業部がそれぞれの事業環境に適合した意思

決定のスタイル、ものの見方、戦略を生み出すことができ、それぞれ異質な環境に

対処できることが挙げられる。

イ.事業部制組織の長所の1つとして、本社機構が日常業務から解放されることにより、

戦略的決定に専念することができるようになるとともに、環境の変化に対して、戦

略的に対応する能力が高められることが挙げられる。

ウ.マトリックス組織の長所の1つとして、複数の命令系統を持つことにより、機能及

び製品又は地域に関する調整を行えることが挙げられる。

エ.職能別組織の長所の1つとして、職能及び製品又は市場について、熟練できること

が挙げられる。

オ.職能別組織の長所の1つとして、職能部門間での重複が少ないため、組織全体とし

て規模の経済が享受できることが挙げられる。

問題12 経営戦略に関する記述として不適切なものは、次のうちどれか。

ア.単一事業の企業では、事業分野別に分割して戦略を策定することに意味を持たない。

イ.機能別戦略において最も重要な構成要素となるものは、経営資源の蓄積及び配分と

組織間関係である。

ウ.外部戦略は事業戦略と機能別戦略の2つの視点から、それぞれの企業の置かれた状

況を勘案し検討される。

エ.複数の事業を持っていて、それぞれの事業分野の技術や市場が事業分野ごとに高度

な異質性を持つ場合には、共通の機能別戦略を策定することに意味がない。

オ.経営戦略の整合化は、下位のレベルを構成する様々なサブ・システムの整合化とい

う形を通じて行われる。

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問題13 参入障壁に関する記述として適切なものは、次のうちどれか。

ア.垂直統合における障壁として、企業活動の柔軟性が維持できなくなることが挙げら

れる。

イ.アウトソースの推進は、参入障壁の構築に効果的な戦略施策である。

ウ.製品のフルライン化は、特定の顧客との長期的な取引関係を築くことが難しいため、

参入障壁とはなり得ない。

エ.企業が戦略グループ間を移動する際、従来採っていた戦略施策と新たな戦略グルー

プの基本戦略の違いが大きいほど戦略的優位性を発揮できる。

オ.組織的移動障壁とは、新規参入によって組織固有の強みである従来の組織構造が歪

んでしまうデメリットを指す。

問題14 業界における競争構造を決定するものとして、5つの要因がある(ファイブ・フ

ォース・モデル)。5つの要因に関する記述として不適切なものは、次のうちどれ

か。

ア.ブランドによる識別の強さは、新規参入を阻む要因となる。

イ.一般に、買い手の製品の仕様が、特定の供給業者の製品に合致したものになってい

る場合には、供給業者の交渉力は強くなる。

ウ.コモディティ化された製品においては、顧客の全体購買額に占める比率が高いほど、

その製品の供給業者の交渉力は強まる。

エ.代替製品が、当該業界の既存製品よりもコスト・パフォーマンス(費用対効果)を

上回る場合には、代替製品の脅威は大きくなる。

オ.大規模な投資が必要な装置産業では、一定以上の生産量を確保する必要があるため、

競争業者間の価格競争の脅威が大きくなりやすい。

問題15 経営戦略に関する記述として適切なものは、次のうちどれか。

ア.経営環境と自社能力の適合状態の詳細な分析を行うことで、客観的に正しい経営戦

略を策定することができる。

イ.事業戦略においてポジショニングを分析するアプローチは、市場環境の変化が激し

い状況や、市場が特定できないような複雑な状況に適合する。

ウ.複数の事業間のシナジーを検討するためには、PPMを活用するとよい。

エ.経営戦略の策定では、自社が保有しない経営資源や能力に基づいて行うこともでき

る。

オ.SWOT分析においては、外部環境よりも内部環境に重点をおく。

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問題16 SBUの特性に関する記述として不適切なものは、次のうちどれか。

ア.複数製品で構成されることはない。

イ.明確に識別されるミッションを持っている。

ウ.それ自身で独立した競合者が存在する。

エ.一定の資源をコントロールする。

オ.それぞれ独立して事業計画を立てている。

問題17 消費財メーカーA社の経験効果に関する記述として適切なものは、次のうちどれ

か。

ア.これまでのコア市場での経験を活かして、未進出であった新たな市場分野において

も新製品を早期に開発できたこと。

イ.これまでの経験を活かして付加価値の高い製品を開発し、競合他社より高い販売価

格で展開できたこと。

ウ.消費者ニーズを深く理解する中で製品の販売のみならずサービスを含めたビジネス

モデルを確立し、他社に対する参入障壁を築いたこと。

エ.製造コストを下げることで競合他社から市場シェアを奪取できたこと。

オ.製品の品質を向上させ、企業ブランドを高めることができたこと。

問題18 コーヒー・チェーンのA社は、セルフ・サービス方式の店舗を展開し、さらに喫

茶店に関連する周辺事業も手がけている。A社の企業・事業ドメインに関する記

述として不適切なものは、次のうちどれか。

ア.事業の1つを「交通の便が良い場所で、コーヒーを廉価れ ん か

に提供する」と定義付ける

ことにより、例えば、「自宅の居間でくつろいでコーヒーを飲むような環境を提供す

る」と定義した他のコーヒー・チェーンとは、事業展開の方針が異なってくる。

イ.同じような顧客層をターゲットとしていても、他のコーヒー・チェーン店とは異な

る雰囲気を持っていると顧客が認識できるのは、ドメインにおいて、エイベルが定

義する顧客機能や技術が異なっているためである。

ウ.企業ドメインと事業ドメインを同一に設定すれば、企業が大きく成長した場合でも、

ドメインを見直す必要はない。

エ.経営者がドメインの定義を明確に提示することにより、従業員が企業の進むべき方

向性を認識できるとともに一体感を持てるようになり、企業の社会的な存在意義を

顧客に知らしめることができる。

オ.経営者は顧客や地域社会といったステーク・ホルダーに対して、ドメイン・コンセ

ンサスを形成してもらえるように、機会を捉えて継続的にメッセージを発信する等

の努力が必要である。

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問題19 業界のリーダー企業に対し、チャレンジャー企業が採択すべき定石として差別化

戦略が挙げられる。さらに徹底的に差別化を行うと、競合企業とは重なりのない、

独自領域の製品やサービスを生み出すこともできる。そのような製品やサービス

によって顧客に価値を提供できれば、企業は競争を回避した新たな市場を開拓す

ることになり、高い収益性を確保できる可能性がある。このような競争を回避す

る戦略に関する記述として不適切なものは、次のうちどれか。

ア.競争を回避する戦略を実行するための方策の1つとして、競合企業がさほど注力し

ていない競争要因の価値を高めるといった活動がある。

イ.製品ライフサイクルの成長期にある製品を提供している企業では、競争を回避する

戦略を採る必要はない。

ウ.競合企業と異なる競争要因から価値を生み出すには、自社の保有する資源をよく検

討し、活用できるような組織能力を有することが必要であることから、競争を回避

する戦略は、どの企業でも採用できるとはいえない。

エ.他社と大きく異なるビジネス・モデルを展開することは、競争を回避する戦略とし

て有効である。

オ.競争を回避する戦略により新型ゲーム機を企画・開発し、子供だけでなく、大人も

楽しめるゲーム機の市場を開拓した事例がある。

問題20 需給同期化戦略の実現によって得られるメリット及びデメリットに関する記述と

して不適切なものは、次のうちどれか。

ア.市場の変化に対する自社のリスクが低減される。

イ.系列化の意義が薄れる。

ウ.災害や事故によるリスクが高まる。

エ.規模の経済性の実現は難しくなる。

オ.定番に集中しない幅広い製品戦略を展開することが可能となる。

問題21 受発注処理業務のIT化がもたらす経済性に関する記述として適切なものは、次

のうちどれか。

ア.受発注処理業務が合理化され、「規模の経済」により仕入単価が低減する。

イ.オンライン化により「経験効果」が発生し、情報処理コストが低減する。

ウ.取引情報を多重的に利用できることから、「規模の経済」により開発及び営業コス

トが低減する。

エ.受発注のロス・ミスが減少し、「速度の経済」で業務処理コストが低減する。

オ.顧客のクレーム及び要望に対して迅速に対応でき、「範囲の経済」により売上高が

増加する。

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問題22 情報化による同期化戦略を支援することを主たる目的とした情報システムとして

不適切なものは、次のうちどれか。

ア.CIM(Computer Integrated Manufacturing)

イ.ERP(Enterprise Resource Planning)

ウ.POS(Point of Sales)

エ.QMS(Quality Management System)

オ.SCM(Supply Chain Management)

問題23 経営戦略の類型モデルに関する記述として適切なものは、次のうちどれか。

ア.鉄鋼業において多くの企業は、攻撃型の戦略を選択する。

イ.寡占化が進む産業においては、多くの企業が分析型の戦略を選択する。

ウ.攻撃型の戦略とは、生産機能に資源及び権限を集中し強力なリーダーシップの下で

事業を推進する戦略である。

エ.市場参入が遅い後発企業は、まず受動型の戦略を選択し組織能力を高めることが重

要である。

オ.攻撃型企業と防衛型企業が合併した場合、それぞれの戦略を差別化するために分析

型の戦略を選択することが合理的である。

問題24 プロセス型戦略等の戦略タイプに関する記述として適切なものは、次のうちどれ

か。

ア.偶発的に組織内から生み出される戦略は、実行プロセスの妨げとなるため未実現戦

略として保留する。

イ.プロセス型戦略を採る場合には、分析型戦略を考慮する必要はない。

ウ.戦略実行に際して組織が大きな障害となる場合、戦略を組織にあわせて修正する。

エ.熟考的戦略は、分析的なアプローチに基づく戦略的計画と同義である。

オ.プロセス型戦略の場合、トップ・マネジメントは自ら戦略を実行する。

問題25 ハンバーガーチェーン業界では、圧倒的な規模を誇るリーダー企業のD社(シェ

ア65%)、チャレンジャー企業に位置付けられるE社等、数社が事業を展開してい

る。D社・E社の戦略に関する記述として適切なものは、次のうちどれか。

ア.D社がNo.1のシェアを更に高めるためには、差別化戦略を基本にすべきである。

イ.D社では、全体需要の拡大を目標として、マーケティング戦略を展開すべきである。

ウ.E社では、低価格競争になると、規模の経済性でD社に太刀打ちできないことから、

集中戦略を採るべきである。

エ.E社では、リーダー企業の戦略を無力化するように、同質化戦略を進めるべきであ

る。

オ.D社が圧倒的なシェアを持つ状況下において、E社の他、より規模の小さい他の業

界各社が長期的に存続できる戦略オプションはない。

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問題26 以下の事例に基づいた場合、これらの状況を踏まえ早急にG社が検討すべき具体

的な戦略的計画や実行計画に関する記述として不適切なものは、次のうちどれか。

<事例>

業務用の中堅食品スーパーであるG社(従業員数300名、資本金1億円、売上高

250億円)は、これまで培ってきた自社のブランド力やPB商品を使って新たに一般

消費者向けの小売店舗の展開を検討している。そうした折、大手の出店攻勢と食品

卸の再編に伴う取引先の選別の両方にさらされて厳しい経営を続けている複数の小

規模スーパーから、相次いで売却やグループへの参加の申し出がG社に届いた。

ア.POSシステムの活用・拡充

イ.資金調達の方法や実施時期などの計画策定

ウ.人事制度の改変と既存社員の異動及び配置の検討

エ.小売や流通に精通したコンサルタントを交えた市場調査や業界分析

オ.経営理念の再検討と新たな企業ミッションの創造

問題27 事業環境の分析に基づく事業戦略の策定項目として不適切なものは、次のうちど

れか。

ア.事業のドメインの決定

イ.事業のミッションの設定

ウ.事業環境と経営資源の分析

エ.事業目標の設定

オ.事業戦略の策定責任者の決定

問題28 組織マネジメントに関する記述として適切なものは、次のうちどれか。

ア.同じ経営戦略の下では、企業を構成する部課等の組織形態は、同一にするのがよい。

イ.情報化が進んだ現代においては、ピラミッド型の組織は適切ではないため、フラッ

トな組織に移行させるのがよい。

ウ.組織内のコンフリクトの解消に取り組む場合、問題を直視して強制的に解決するよ

りも、人々の宥和ゆ う わ

を重視して穏便に解決する方が、組織の業績が向上する傾向にあ

る。

エ.特定の組織においては、規模の成長や戦略に変化があったとしても、その構造や特

性を変えることはない。

オ.組織内のグループの生産性を高めるためには、高い業績目標を与えるとともに、グ

ループの凝集性を高めるのがよい。

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H29前-081A01-10

問題29 経営戦略に重要な影響を及ぼす組織文化に関する記述として不適切なものは、次

のうちどれか。

ア.VHSBモデルのH型企業では、基本戦略が抽象的であるとともに企業の在り方や

進むべき方向を示すビジョンに近いことから、組織文化が組織を統一する重要な役

割を果たす。

イ.組織文化を変革するための手段として、リーダーシップ、組織構造、インフォーマ

ルコミュニケーション等がある。

ウ.VHSBモデルのV型企業では、組織文化が単に公式的な組織構造や管理システム

の機能を補完するだけでなく、経営戦略の機能をも遂行する。

エ.強固な組織文化を持つ企業ほど経営の基盤が安定するため、持続的な競争優位性を

築くことができる。

オ.経営者によって繰り返し説かれる経営理念、信条等は、組織文化を意識的に共有、

伝承するための手段となる。

問題30 組織における意思決定に関する記述として不適切なものは、次のうちどれか。

ア.株式会社における最高意思決定機関は、取締役会である。

イ.組織内のパワーは、意思決定に大きな影響を及ぼすと考えられている。

ウ.日本企業においては、一般に組織の公式化・制度化が曖昧なため、様々な人々が意

思決定に影響を及ぼしているケースが多い。

エ.意思決定モデルとして、組織をある種の学習システムと捉える場合がある。それは、

過去の類似した問題解決のパターンを認識し、そのパターンに応じて組織が対処す

ると考えられているものである。

オ.日本企業における会議体の多くは、コンセンサスや目的の共有化といった、企業に

おける組織構成員の方向性をある一定方向へと導く点において、重要な役割を担っ

ている。

問題31 戦略的意思決定に関する記述として不適切なものは、次のうちどれか。

ア.戦略的意思決定の類型として、戦略的決定、管理的決定及び業務的決定の3つが挙

げられる。

イ.戦略的意思決定のプロセスとして、ビジョン→戦術→戦略の3つの段階が挙げられ

る。

ウ.組織の意思決定論に関して、経営人モデルでは意思決定者は認知限界を持つ経営人

として考えられている。

エ.組織の意思決定論に関して、経済人モデルでは人間は常に合理的に行動し、完全情

報の下で最適解を選択すると考えられている。

オ.米国の企業では、取締役会(ボ-ド)の機能は戦略決定や監督機能が主となり、経

営執行は執行委員会に主として権限委譲され、監督と執行の分離が図られている。

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問題32 戦略的計画を策定する際の留意事項に関する記述として不適切なものは、次のう

ちどれか。

ア.計画は本社の専門スタッフが策定し、トップダウンで現場に下ろすよりも、計画を

実行するラインが自ら策定し、スタッフがそれを調整する方が、実行への意欲が高

まり、情報の共有化や問題解決を促進することができる。

イ.計画の具体性が高まるほど、部署間の意見の対立が鮮明になり、まとまりがつかな

くなる恐れがあることから、あまり具体化の程度を高めず、弾力性を持たせるよう

に留意すべきである。

ウ.計画を頻繁に見直すことによって、計画の妥当性や実現の可能性を検証できるが、

逆に、計画の調整機能が低下してしまうという問題が生じる。

エ.計画の内容を事後評価と連動させることにより、関係者は真剣に対応するようにな

るが、計画策定者と実行者とが同一の場合には、計画値を低めに設定する可能性が

ある。

オ.計画を緻密ち み つ

に立てようとすると、分析ばかりして肝心の行動がなかなか取れないと

いう計画の逆機能が働く可能性がある。

問題33 経営戦略とマネジメント・プロセスに関する記述として適切なものは、次のうち

どれか。

ア.PDCAサイクルは、計画(Plan)-実行(Do)-評価(Check)-改善(Act)の

プロセスを循環させるモデルである。その特徴は、次の新たな計画段階において一

巡前の評価と改善が反映された目標を再設定し、各プロセスを見直した上で再循環

させ、連続的に品質向上や業務改善につながる相乗的効果を生み出すことにある。

イ.将来の経営環境を予測し、目標を達成するための過程を定めたものがマネジメン

ト・プロセスである。企業はマネジメント・プロセスを通じて不確実性の高い経営

環境でも場当たり的な対応ではなく、あらかじめ決められた行動や手順を遵守する

ことで、当初の計画を変更せずに目標を達成できる。

ウ.経営戦略の実行段階においては、計画の統制が必要となる。統制には、「制御とし

てのコントロール」と「影響としてのコントロール」があり、計画を緻密ち み つ

に策定し

ても実行段階では必ずしも計画どおりにならないため、現場の作業者は、「影響とし

てのコントロール」を重視しながら作業計画の変更を検討する必要がある。

エ.統制システムを設計する際に検討すべき課題として、「目標となる変数」「目標変数

の測定法」「変数の事前の基準値」「測定された成果の伝達方法」「事後の評価基準の

設定」が挙げられる。このうち「目標変数の測定法」においては、管理者の主観的

観察を常に排除し、客観的データに基づいて公正に測定することが留意される。

オ.計画システムを設計・策定するに当たっては、トップダウンとボトムアップの2つ

の方式がある。多くの企業では、ライン主導で計画を策定する方が実行への意欲が

高まり、情報共有や問題解決の促進等も期待できるため、計画システムの策定にお

いてはトップダウン方式よりもボトムアップ方式を採用する傾向が見られる。

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問題34 トップ・マネジメントの役割に関する記述として不適切なものは、次のうちどれ

か。

ア.組織へ価値を注入し、それを制度化することによって組織を有機的な存在に変える。

イ.限られた経営資源の集中すべき方向と範囲を決めるために、企業が活動し生存して

いく生存領域を戦略的に決定し、企業のアイデンティティを規定する。

ウ.組織を代表して外部利害関係者を説得したり、ある程度の妥協をしつつ戦略を実行

可能なものと認めてもらうための外部とのインターフェイス機能を果たす。

エ.戦略の遂行に伴い吸収したノウハウや知識などの知識資産を組織の資産とするため

の組織学習の促進を図る。

オ.SQC(Statistical Quality Control)において、経営戦略の方針を決め経営品

質の目標を組織全体に浸透させ、目標達成のために効果的なマネジメントシステム

を確立・実施し、維持する。

問題35 コンフリクトに関する記述として不適切なものは、次のうちどれか。

ア.コンフリクトの解消行動は、自己主張と協力のそれぞれの傾向によってとらえるこ

とができる。

イ.タスクの不確実性が高いことは、部門間コンフリクトの発生要因となる。

ウ.環境変化に適応するために組織における統合化が進むほど、コンフリクト発生の可

能性も高くなる。

エ.組織内コンフリクトは、組織マネジメントにおいて不可避に発生するものである。

オ.研究によると、最も有効なコンフリクトの解消は「強制」に裏付けされた「問題直

視」である。

問題36 DCFアプローチ及び会計的アプローチに関する記述として適切なものは、次の

うちどれか。

ア.A社及びB社の予想損益計算書(5年間)において各年の売上高、現金支出、減価

償却費及び純利益の額が両社とも一致していれば、5年間における投下資本の合計

額が異なっても、DCFアプローチにおける両社の企業価値は等しくなる。

イ.予想損益計算書における収益・費用項目の金額の大半は、直接的あるいは間接的に

売上高と関連するため、DCFアプローチ・会計的アプローチの双方において特に

売上高の予測が重要となる。

ウ.会計的アプローチにおける企業価値は、利益に投下資産収益率(ROIC)を乗じ

ることによって算定される。

エ.DCFアプローチにおいて、マイナス金利により割引率がマイナス10%となった場

合、現在の100円と1年後の90円の割引現在価値は等しい。よって100円投資して1

年後に95円得られる案件は実行した方が、経済合理性は高くなる。

オ.5年間の事業計画において、投資の合計額が一定であれば、投資のタイミングの違

いはDCFアプローチによる企業価値に影響を及ぼさない。

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問題37 ネットワーク組織のタイプについて、構成ユニット間の連関の強さを並べたもの

として適切なものは、次のうちどれか。

(タイト ← → ルーズ)

ア.機能的組織 > 事 業 部 制 > 企業内企業 > 企業外企業

イ.機能的組織 > 企業内企業 > 事 業 部 制 > 企業外企業

ウ.企業内企業 > 機能的組織 > 事 業 部 制 > 企業外企業

エ.機能的組織 > 企業外企業 > 企業内企業 > 事 業 部 制

オ.企業内企業 > 企業外企業 > 機能的組織 > 事 業 部 制

問題38 日本の文具業界では、大手量販店やディスカウンターの登場に伴って、中小の文

具小売店が減少傾向にある。文具の製造問屋であったA社は、顧客である文具小

売店の減少に危機を感じ、新たな販路を開拓していくことになった。そこで目を

付けたのが中小事業所であった。中小事業所は、大規模事業所と比べると購入量

が少ないため、製造問屋から商品配送や割引サービスなどを受けるところが少な

かった。そのため、中小事業所においては、地域の文具小売店で商品を購入する

ものもみられた。A社は、こうした状況にある中小事業所をターゲットとするカ

タログ通信販売事業を立ち上げた。その際、地域に密着した文具小売店と代理店

契約を結び、顧客開拓と代金回収業務を任せた。また、A社は商品の調達、在庫

管理、配送に徹することで事業の拡大を図った。A社の採った経営戦略に関する

記述として適切なものは、次のうちどれか。

ア.A社は、代理店契約を結んだ文具小売店と業務機能を統合することで、流通システ

ムの効率性を向上させた。

イ.A社の行ったイノベーションは、シュンペーターの定義した生産手段の新結合に当

てはめると「原料や半製品の新しい供給源の獲得」に該当する。

ウ.A社は、大規模事業所を顧客としている既存の卸売業者や文具小売店舗とライバル

関係になることを回避している。

エ.A社の採った戦略は、アンゾフの唱えた成長ベクトルに当てはめると「市場浸透戦

略」に該当する。

オ.A社は、文具小売店の既存の顧客や販路を一新することで、地域の中小企業に対応

した流通システムを構築した。

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問題39 これからの経営戦略に関する記述として不適切なものは、次のうちどれか。

ア.「企業の持続的な競争優位の源泉であり、他の企業にとって模倣・複製・代替しに

くい企業特有の資源や能力」であるコア・コンピタンスを活用することが事業の推

進力となる。

イ.組織を横断的な業務プロセスとしてとらえ、再設計することで経営効率を高める

手法をビジネス・プロセス・リエンジニアリングという。

ウ.アジル・カンパニーとは、製品を迅速かつ効率的に市場に送り出すために、最先

端の情報通信技術や生産技術を用いて、変化や不確実性に満ちた環境に適した俊敏

な動きを示す企業である。

エ.バーチャルコーポレーションとは、自社の持つ能力と他者の持つ高質な資源の間

を、情報ネットワークを媒介として恒常的に結び付けていくことである。

オ.企業間ネットワークとは、異質な情報や知識、経営資源の獲得によるイノベーシ

ョン等を目的とする経営戦略である。

問題40 企業の国際化の発展段階に関する記述として不適切なものは、次のうちどれか。

ア.第1段階は輸出入である。「市場の限界」に企業が直面することにより、販売市場

の国際化又は調達市場の国際化を図ることとなる。

イ.第2段階は摩擦回避型投資である。海外直接投資のきっかけは、輸出の相手国の市

場開放政策との摩擦を避けるためのものである。

ウ.第3段階はコスト回避型投資である。国内立地と海外立地とのコスト格差を要因と

して、進出を決めるものである。

エ.第4段階は市場立地型投資である。現地市場のニーズに応えるために、販売市場に

生産拠点を設けるものである。

オ.第5段階はグローバル型展開である。最終的な形として、世界的に生産拠点と開発

基地を持ち、調達市場や販売市場も世界中にまたがっている。