日 北見工業大学 電気電子工学科 電子基礎研究室...
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卒業論文
トランジスタのモデルパラメータ
抽出システム構築
2002年3月4日
北見工業大学
電気電子工学科 電子基礎研究室
三浦太雅
目次
1 序論 1
1.1 はじめに................................. 1
1.2 目的 • • . • • . . • • • • • • • • • • . • . . • • . • • • • • • • • • • • 1
2 モデルパラメータ 2
2.1 パラメータの説明............................ 2
2.1.1 Is, (Jp, f3R ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
2.1.2 アーリー電圧(九ι九R) . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 5
2.1.3 寄生抵抗Re,RE, RB . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 7
2.1.4 C2, C4, n EL, ncL, IKF, IKR, np,ηR ・・・・・・・・・・・・・・・ 9
2.2 パラメータの算出............................ 13
2.2.1 ガンメル・プロット • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • 13
2.2.2 VcE -Ic特性.......................... 16
2.2.3 エミッタ抵抗の測定 • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • 18
2.2.4 コレクタ抵抗の測定 • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • 19
2.2.5 VEE - le特性.......................... 20
2.3 トランジスタの最大定格........................ 22
3 抽出システム 24
4 抽出結果と実測値の比較 28
4.1 抽出結果の比較............................. 28
4.2 抽出できなかったパラメータの説明.................. 31
4.2.1 ベース抵抗 • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • 31
4.2.2 低電圧領域のパラメータ.................... 32
5 結論 33
6 参考文献 34
1
1 序論
1.1 はじめに
SPICE(Simulation Program with Integrated Circuit Emphasis)はカリフオノレニ
アパークリー校で開発されたアナログ回路シミュレーションソフトであり,回路
を設計製作する上でその回路が正常に動作するかどうかをシミュレーションを行
うことによって確認することができる.また,回路の部品の値を容易に変更できる
ため実際に回路を作る前に素子のばらつきによる影響を考慮することができ,回
路設計には欠くことのできないツールとなっている.
.しかしながら,シミュレーションは本質的に数値解析であるため考慮した要素
のみしか結果に反映されない.そのため,シミュレーション上では正常に動作す
る回路で、あっても実際の回路では電源の内部抵抗,素子の寄生抵抗,寄生容量な
どの影響を受けるため発振,共振現象を伴い正常に動作しないというようなこと
が起きかねない.また,素子には電圧,電流に許容範囲が存在するためその範囲
内でしか使用できないのに対しシミュレーションでは範囲外であっても解析でき
るため,シミュレーション結果をそのまま信用することは危険であり回路の動作
原理,素子の性質を理解したうえで使用することが重要である.
SPICEでは抵抗,インダクタンス,コンデンサは受動素子であるためその特性
は線形性を示し電圧,電流に対して比例,反比例の関係にある.しかし,ダイオー
に トランジスタなどの特性は非線形であるうえ,素子の使用目的に応じて作る
ためシリコン?ゲルマニウムなどの半導体材質や不純物濃度によってもその特性は
大きく違ってくる.そのためこのような非線形性を示す能動素子は実際に回路を
作るのに用いる素子の特性に合わせた数値化したモデルパラメータを使用者が記
述することになっている.しかし,これをしなければデ、フォルトの値(SPICEで
は.Modelでパラメータを指定しなければ自動的に決まる値)使用されるためシミュ
レーション結果と実際に測定した結果が大きく異なることがある.
SPICEでモデルパラメータを指定することのできる素子はダイオード,電界効
果トランジスタ OFET),接合トランジスタ(BJT),電界効果トランジスタ
(MOSFET)の半導体素子である.
1.2 目的
SPICEのモデルパラメータを抽出するのに必要な測定の専用装置は市販されてい
るが,非常に高価で、あるため,我々の研究室では実験室にある電源機器やEXCEL
などのソフトを用いることにより,抽出システムを構築し簡単に誰でも使用でき
る装置作ることをめざしている.
1
また, SPICEで回路シミュレーションを行う場合実際に使うトランジスタのモ
デルパラメータを自分自身で抽出することでトランジスタのモデルパラメータの
意味がよりよく理解できるようになり,より高度な回路を設計することができる
ようになると期待される.
本論文では,アナログ回路で重要なNPN接合形トランジスタのモデノレパラメー
タを解説するとともに,パラメータの抽出の仕方,シミュレーション結果と実測
値との比較し,その評価を検討している.
2 モデルパラメータ
2.1 パラメータの説明
2.1.1 Is, (3p, f3R
c c
v且BEBB合V
VBc t↑IR リノαFIFIB
一-ー+
B +
VBEウ↓ IF L↑jαRIR
E
Y且
EBEE
--,
一E『EBtBEll人U
E
図 1:NPNトランジスタの等価回路
はじめに,エパース・モノレ(Ebars同 Moll)モデルを用いたトランジスタの動作原
理を説明する. トランジスタの基本動作として,ベースに電流を流したとすると
トランジスタは電流増幅を行いコレクタには増幅された電流が流れエミッタには
ベースとコレクタの総和の電流がながれる(KCLの法則が成り立つ)ことがある.
IB +Ic =IE 、、BE,ノ寸lム
,ra’t、
2
NPN接合トランジスタはダイオード2個と電流源2個の等価回路の図 1を考え
るとエミッタ側のダイオードに流れている電流をfp とするとコレクタには増幅さ
れた電流が流れるのでαFIF(αF< 1)の電流源をつけ加え,同様にコレクタ側のダ
イオードに流れる電流IR,エミッタには増幅された電流が流れるのでαFIR(αR<
1)の電流源をつけ加えた回路となる.このモデルはエパース・モルモデルと呼ば
れ図 1の等価回路となる.
トランジスタはベース領域の両端に,ベース領域とは異なるタイプの半導体を
接合したものなので,エミッタとコレクタを入れ替えたとしてもトランジスタと
して動作する.ここで,このエミッタ側のダイオードに逆方向電圧を加えたとき
に流れる飽和電流をIEs,コレクタ側のダイオードに逆方向電圧を加えたときに流
れる飽和電流を Icsとするとん, IRは
、、,,,,r
、、,EJz
’
寸Eよ
寸
lム
一一
r
r
v
v
/
/
,
r/
E
C
S
3
v
v
ρ
u
p
u
J
’at、、〆,EE
‘、、
q
u
q
u
E
C
IA
-
-一一一F
R
riri
(2)
(3)
となる.ここで吟は熱電圧と呼ばれ吟= (q/kT)と表されqは電子の電荷量, kは
ボノレツマン定数, T]は絶対温度であり,室温で26mV程度の値となる.
また,エミッタ電流IE,コレクタ電流Icは,
IE = IF一 αRIR= IEs(evBE/吟- 1)- αRics(eVBc/同一 1) (4)
Ic = -IR一 αFIF= -Ics(eぬE/VT_ 1) +αFI Es( e vBE/町一 1) (5)
と表すことができ?ベース接地直流電流増幅率αFおよびエミッタ接地直流電流増
幅率舟とコレクタとエミッタを入れ替えたときの増幅率αR1 /JRの関係は,
/JF = __!::乙- /JR = αR 1-αF 1-αR
(6)
となる.飽和電流Isはコレクタ接地,エミッタ接地どちらの場合も,
αFIEs =αRics =Is (7)
という関係式が成り立つ.さらに端子電流の聞の関係式に変形するため,
Ice = Is(evBE/vT -1)
IEc = Is(eVBc/時一 1)
(8)
(9)
と置いてこれを, 1つの寵流源で表すと
IcT =Ice -IEc = Is(evBE/vT -eVBc/VT) (10)
と書ける.
3
ベース・コレクタ・エミッタの端子電流は,
IB = (↓- 1) Ice+ (よ- 1) fEc (11)
JEc (12) le = Ice一一一
αR
Ice (13) IE = IEc -一一
αF
となり端子電流を用いると図 26の等価回路となる.
c
C VE
--v 山下↑I町Is -→十九
B +
VBE占↓ Ice
~F
E
VE
All
i--3111110 E
図 2:端子電流によって表す等価回路
さらに端子電流の式を整理すると,
Ice lp,c IB =
βR βF fp,c
le = IcT一口μR
Ice IE = -IcT一 μ円 F
(14)
(15)
(16)
と表すことができる.
4
SPICEのBJTのモデ、ル計算はこの端子電流を表す式を修正したもので, Isは
P-N接合飽和電流, bは順方向理想、最大値, f3Rは逆方向理想最大値とすると,こ
の3つのモデルパラメータを用いてJc,IBを次のように修正する.
円山 1 I 1 I Ic = Is(evBE/VT --) + IぬE一(1十一)陥cI GMIN (17)
f3R I f3R I
ん=ん I~ (evBE/内 1)-~ I +(~+也) GMIN (回)|βF f3R I f3R f3F
ここで, GMINはシミュレーションの収束を改善するため自動的に加えられるコ
ンダクタンスであり,デフォルトの値では 1012[8]と実用上無視できるほど小さ
い値である.
2.1.2 アーリー電圧 n仏F,""{tう日)
エミッタ接地回路において通常使用される状態ベース電圧よりコレクタ電圧が
高い場合(VBE< VBc) コレクタ電流Icは,
Ic = Is(evBE/VT -1) (19)
と表せることからもわかるとおりコレクタ電流はベースーエミッタ間電圧に大き
く依存する.この式で、はコレクタ電流がコレクターエミッタ電圧の影響を受けない
ように思われるがベース電流を一定に保った状態でコレクターエミッタ間電圧を
変化させた九E-Ic特性は図3の様になる.
le
/I / /’ I~ ,-
"' ..-r ”,,, / _.-- I,...
/ --..... //’_ ..... 〆”’---,ペシてニ//
ーの〈/-4診 r,・・
VAF 。
h
,,,
VcE
図 3:九E-Ic特性
5
この現象はコレクターエミッタ間の逆方向電圧が大きくなるとベースーコレクタ
はPN接合であるため空乏層が広くなり,実質的にベースの幅が狭くなるため結
果的にコレクタ電流が増える現象である.これはベース幅変調と呼ばれ,発見者
J.M.Earlyにちなんでアーリー効果といいエミッタとコレクタを入れ変えても同様
な現象を確認できる.
図3より実線の延長線と九E軸との交点が順方向アーリー電圧九F となる.
SPICEではアーリ電圧を指定しない場合VcE軸と平行な破線となる.またIcの
lもEに対する変化量は活性領域において常に一定の値を示すことからぬEが一定
の場合,
dic I Ic ro = d広干し 己広干
V 日 l~BEニcanst A 日
(20)
という関係が成り立つ.Is(O), f3F(O)はそれぞれ陥c=OとしたときのIsおよびf3F
値とすると
Is(ぬc)Is(O) I l
-1十恥/九三ん(0)11-~J (21)
/3F(陥c)f3F(0) I l
- 1 十恥/九~/3F(0) I l -~J (22)
と表すことができるため,この関係を用いてIcTを修正すると,
IcT = Is(O) re vBE/i年- eVBc/VT)
1+ぬc/九ピ ノ
(23)
よってアーリ電圧も考慮したBJTモデルのIcは,
んこん I(evBE/同_ eVBc/内)( 1 ~) + ]:_ ( e VBc凡 1)1l 九F ,13 R I
+ IVBE -11 +会l恥 IGMIN (24) I ¥ fJR I I
となっている.式(24)からもわかるがベースとコレクタの電位差があるときアー
リー電圧の影響を受けらc=Oの場合はコレクタ電流に影響しない.
1仏Rはエミッタとコレクタ入れ替えたときの逆パラメータで逆方向アーリー電
圧である.
6
2.1.3 寄生抵抗Re,RE, RB
トランジスタにはベース,エミッタ,コレクタには等価的に直列抵抗がありモデ
ノレパラメータでは, RB,RE, Reと表す.
これは, DC測定ではトランジスタに直列にそれぞれの端子に一定の抵抗が接続
されていると考えると図4となる.
c
B
E
r c
rE
図4:抵抗を考慮、したトランジスタ
コレクタ抵抗 コレクタ抵抗はVcE-Ic特性で低電圧領域においてコレクタ電流の
傾斜を図 5の実線のように減少させる.
I c
。
In
V回
図5:コレクタ抵抗による VcEの影響
7
この現象はエミッタから注入された少数キャリアである電子(低電流が流れる
こと)が印加された電圧に従って素子中に広がってキャリアの経路が分布するこ
とである.このキャリアの経路が SPICEでは一定の抵抗としてモデル化されてい
る.つまり, VcEの電圧が低い値の場合にはコレクタ電流に影響するが,大きくな
るにつれて無視できるため通常の回路設計では細かい配慮はされない.
エミッタ抵抗 エミッタ抵抗はエミッタに電流が流れるときとき,この抵抗の両
端で電圧降下を生じ基準電位が上昇しベースとコレクタの電流を低く抑える働き
がある.これはエミッタ接地増幅回路において負帰還をかける場合エミッタに抵
抗を用いるのと同じであるため,ベースとコレクタの電流に大きく影響する.し
かし,実際のエミッタ抵抗は数Q程度であるため特にエミッタ電流が大きな場合
を除けばシミュレーションではデフォルトの値(0Q)で使用する.
また,図 5においてもコレクタ抵抗と同様に電流に影響を与える.
log(Ic, 18)
le
。 VBE
図 6:陥日- Ie,Icの影響
ベース抵抗 ベース抵抗はベース抵抗はベース抵抗は,小信号の周波数応答,過
渡応答,ノイズに影響を与えるため重要なモデルパラメータである.本論文では
直流の場合のみを考えるがベース抵抗の電圧降下によってベース電流が減少しF倍されたコレクタ電流も同様な減少を示すことから図 6の様に電圧降下による影
響は大きい.
8
2.1.4 C2, C4, nEL, ncL, IKF, !KR,ηFぅηR
エバ}ス・モルモデルはトランジスタが一般的に使用される能動領域のみしか
考慮されないためSPICEではより精度の高いガンメル・プーン(Gummel-Poon)
モデルを用いている.ガンメノレ・プーンモデ、ルで、は(1)ベース電流の再結合によ
る影響が支配的であるため電流利得の減少する領域(低電圧領域),および(2)
過剰キャリアの注入ためベース領域での再結合が制限されるため電流利得の減少
する領域(多数キャリア注入領域)の 2つの領域も考慮している.
ガンメノレ・プーンモデ、ノレはエパース・モノレモデ、ルを基本としており, IB,leを
ベースとコレクタの電位差(VBc= 0)を一定として計算している.
能動領域で、はエパース・モノレモデノレで、表した命は一定値であったがガンメル・
プーンモデ、ルガンメル・プーンモデルで、は使用領域で、変わる変数すなわち,エパー
ス・モルモデルのゐはガンメノレ・プーンモデルではf3FMとして扱われる・ f3FMと
コレクタ電流leの関係を図7に示す.
F
Qυ.
~FM「, 1 「/ぺ一一一一i-ーー /
llEL //
/
/ /
/ /
/ /
\
\ ーl\「
\ \ \ \ \
h I K le
図 7:Ic-f3Frvrの関係
hは低電圧領域と能動領域, IKは能動領域と多数キャリア注入領域の境界のコ
レクタ電流とする.
また,ガンメル・プーンモデルの陥E - IB, le特性は縦軸I[A]を対数表示とす
ると図8の様になる.
これは,ガンメル・ブ9ロットと呼ばれ一般的にトランジスタの電圧電流特性を
示すものである.
9
log I
le loglKF
吋 ?行〆 九c=0
VnE
図8:ガンメルプロット
トランジスタが普通使用される陥E=Q.6~0.7[V]程度の領域では島はほぼ一定
であるから,これを f3FMとするとお, Icは,
、.‘l’ノ
1i
一
竹
り
竹
一
,,,r
-j
沼
町
向
げ~vl百
3
一MJe、
I一》hT
/引
一戸
L’ri一
~一~一
B
C
ri
-i
(25)
(26)
と表すことができる.低電圧領域ではんは, ηELをベース・エミッタ開放出係数,
ISE(= C2Is)をベース・エミッタ間放出電流とすると ιは,
ι= Is(C2f3FMrEL/(nEL-1) (27)
で与えられる.また低電圧領域のおは,
ん= ~(evBE/町一 l)+C2Is(evBE/nELVT 1) (28) f.JFM
となりこの式は第一項は第二項と比べると十分小さいため無視することができる.
よって,
IB '.::::'. C2Is(evBE/nEL吟- 1) (29)
10
と近似することができガンメノレ・プ}ンモデ、ルの低電圧領域を考慮したらは逆ノく
ラメータを nELをベース・コレクタ開放出係数, ISC(=C4Js)をベース・コレク
タ開放出電流とすると,
ん= -P-(εVBE/VT一1)+ C2~ μFM
+ ~(eVBc/均一 1) +c的 VBc/ncLVT_l) (30) μRM
と表される.
また,低電圧領域を考慮した等価回路は図 9のようになる.
C4 Is ( eqVnc/IlcLkT _ 1)
Bら一一
C2Is (eqvBE/nELkT_l)
↑~ ~R
↓ ~c ~F
E
r c
図 9:;ガンメル・プーンモデルを用いた等価回路
多数キャリア注入領域(陥B》 0.7)と能動領域の境界のコレクタ電流はIKFは,
IKF c::::'. Is(evBE/21今一 1) (31)
と近似することができ, IKFは大電流領域の順方向ベータ減少開始点,逆パラメー
タIKRはエミッタとコレクタを入れ替えたときの大電流領域の逆方向ベータ減少
開点で多数キャリア注入領域のパラメータです.
以上のことからガンメル・プーンモデルにおける低電圧領域・能動領域・多数
キャリア注入領域の三つの領域すべて考慮したんの式は,
ん =主(evBE川- 1)!Jb
11
(32)
と表せqbと表される係数によってんは決められる.また係数qbは,
qb = ¥+ゾ(¥)十q2 (33)
であり q1, q2をさらにアーリ電圧と多数キャリア注入領域によって決まる係数と
すると,
q1 =
q2 =
lメ~"R Vi三円1+一二二十一ここ
1も l仏
-fa-(evBE/時一 1)+ -fa-(eVBc/時一 1)1KF 1KR
(34)
(35)
と定義されている.以上からガンメル・プーンモデ、ルの低電圧領域から能動領域の
BJTモデルのIB,Icは,
ん=ん j(ιe均E/I μF μRI
l色E Iもc- C4Js + (一一+一一) GMIN (36)
f3R f3F
le. ( " j 打 仇\Ic = 一三 ie~BE/nF~T 十芸工 I+C4Js
qb \ ρR/
I VT>H' f 1 1 ¥ I 十 |子ニー I-=--+ 0 11 GMIN (37)
I CJ.b ¥ tJb μR I I
また,多数キャリア注入領域のIB,Icは,
ん=ん|ι(e均山竹一 1) 会(e均山均 1) 1μF μR I
十 C2Is(e陥 E/ηEL円一 1)十 C4Js(e均c/ncL\今一 1)
Vu]<'. V己円十(二士十二と) GMIN (38)
f3R f3F
Ic =主 J(evB山内戸内VT)-!f!.-(eVBc畑町|qb I PR I
1v.1 v.: IらE (l 1 ¥I - C4Js(e均 cf町内- 1)十|一一 I- + 0 11 GMIN (39)
I qb ¥ qb ρR/ I
と表さる.ここでηFは)I頃方向放出係数であり ηRは逆方向放出係数でガンメノレプ
ロットの傾きを示すパラメータである.
実際のトランジスタは多数キャリア注入領域で寄生抵抗における電圧降下の影
響で電流の減少が始まり,ベース電流とコレクタ電流がおよそ lO[mA]程度では抵
抗の影響が最も大きく寄生抵抗が支配的な領域が存在する.
12
2.2 パラメータの算出
モデルパラメータの算出は,「測定値からのパラメータの抽出J,「抽出したパラ
メータのシミュレーション結果と実測値との合わせ込みJの二つの作業からなる.
合わせ込みとは測定した回路特性を抽出したパラメータを使用したシミュレーショ
ン結果の回路特性が一致するようにパラメータを修正することで,解析精度と使
用できる範囲を設定しその中で最適になるように修正する.
実際の測定は測定装置の内部抵抗,リード線の線開容量,基板の材料, トラン
ジスタのパッケージによる熱抵抗,実験室の温度などの影響によって必ずしも同
一の条件で測定することは困難であり,そのため測定値からのパラメータの抽出
は一定に定まらないものや誤差を伴うものがあるこのことからも合わせ込みの作
業が必要不可欠である.
ここではパラメータを抽出するための方法と回路構成を説明する
2.2.1 ガンメル・プロット
直流パラメータの大半はガンメル・プロットから抽出することができる.)I頃方向パ
ラメータはエミッタ接地回路においてベースとコレクタの電位差をゼロ(ぬc=O)
として測定する.ガンメルプロットの例を図 10に測定回路は図 11となる.
log I
log I町 le
logC,I;'f,?行グ 九c=0
VBE
図 10:ガンメルプロット
13
⑧ -ー~
アアアア
図 11:ガンメノレプロット測定の回路図
パラメータの説明より低電圧領域から活性領域までのお, Icの式は
ん= -#-(e均E/竹一 1)+ C2I μFM
Ic =主(evBE川- 1) (41) t[b
となる. qbは
十仇一つ山一一αA
(42)
q1, q2は
q1 = 1十字ルB
~(evBE/均一 1).LKF
と定義される.ここ q1について考えると恰はぬEに比べて十分大きいためq1'.::::::'. 1,
IKFはIsに比べて十分大きく q2'.::::::'. 0とすることができるためqb'.::::::'. 1となることか
ら, Icは
( 43)
q2 ( 44)
Ic = Is(evBE/vT〕
と近似することができる。この式をIsについて解くと,
T Ic i只 == 一一一一一一一一一一一ーもいV由 /VT)、
( 45)
(46)
14
となる.この式はんを求めるための近似式として利用でき,能動領域ではほぼ
一定値を示す.
またleの式の両辺のlogを取ると
log! c = log! s十 log(evBE/同)
この式をloglcをぬEで微分すると
品ogle 1 log(evBE/時) 1 一一一一= 0十一一 =-- d陥E 吟 log(e VBE/VT) 叫
(47)
(48)
であるから,活性領域において常に一定(1/時)の傾きを示す.このことからガ
ンメルプロットの leの測定値から最小二乗法を用いて得られた漸近線と陥Eニ O
の交点がんとなる.
活性領域の f3FMは,能動領域においてんと同様に最小二乗法を用いたらの漸
近線と陥E二 Oの交点が Is/f3FMとなり命は
f3FM '.:::::'.手 (evBE川一 1)ニ宇=f3p ( 49) .LB .LB
と近似的に求めることができる.
次に低電流領域について着目するとんは
IB '.:::::'. C2Is(evBE/nELVT -1) (50)
と近似することができ, IBの測定値に対して最小二乗法を用いて求めた漸近線と
ぬEニ Oの交点が C2Isとなる.すなわち,
C?l≪ = _____!!!_ " " (eVBE/均一 1)
(51)
また,式(50)を nELについて解くと,
v'T' _ r IR i L=一二一logIーニー十 11
VBE LC2Is J (52)
と求めることができる.
多数キャリア注入領域においてんは,
Is(evBE/1今一 1) Is(evBE/均一 1) ~一 / le = '.:::::'. , = '¥ IsIKFe vBE/21今
qb ゾ(Is/IKF )eVBE/VT , (53)
と表すことができ,式(47)' (48)の様に解くと傾きが l/2VTとなるから,んか
ら漸近線を延ばし, Isとの交点の電流の値がIKFとなる.
同様にしてエミッタとコレクタを入れ替えたときの逆パラメータを求めること
ができる.
15
2.2.2 VcE -Ic特性
アーリー電圧を測定する最も簡単な方法はベースに電流源,コレクタに電圧源
を接続したエミッタ接地回路は図 12である.
VcE
図 12:ベースに電流源を接続した九E-Ic特性の測定回路図
le
h
一//I _.,....
//」/’
d’〆’ E〆’ー〆’,_/ _.... _... //’-- /',, .... __ _
...-..:-o:-’ _..4'~
-VA 。VcE
図 13:九E-Ic特性
活性領域においてコレクタ・エミッタ関電圧とコレクタ電流の変化量は
dic Ic ro =ヨ克; c:::'. 1仏F
(54)
という関係が成り立つ領域で図 13の様に測定値を延長した直線と九Eニ Oの交点
が九であり,逆パラメータ九Rはコレクタとエミッタを入れ替えたときのアー
リー電圧である.
16
VCE
図 14:ベースに電圧源を接続した時E Ic特性の測定回路図
アーリ電圧は理論上一定値を示すとされているが実際に測定すると大きくばら
つく.一方,ベースに電圧源を接続した回路は図 14となりガンメル・プーンモデ
ノレより Icは,
ん= ~(evBE川一 1)l/b
と表すことができる.このときの qbは,
1メムn VRH' qbとど qi=1十ーごと十二二
九ぬ
であり, 1もBは%に比べて十分小さいので,
qb竺ど 1+学VA
と近似することができる.このことからんは 1/qbに比例することがわかる.
そこで活性領域の異なる二つのぬcにおいてんは,
Is(ぬc1) Ic(ぬc1)
Is(陥02) Ic(ぬc2)
1+1も02/九
1十 陥c1/九
という関係が成り立つためアーリ電圧を抽出することができる.
(55)
(56)
(57)
(58)
ただし,図 14の方法で測定すると陥Eの電圧の値によってんが指数関数的に
増大することから陥Eを細かく測定しなければならない.
17
2.2.3 エミッタ抵抗の測定
トランジスタの寄生抵抗であるエミッタ抵抗はエミッタ接地回路のコレクタを
開放しコレクタ電流をゼロとした図 15よりコレクタ・エミッタ聞の電圧とエミッ
タ電流(=ベース電流)の測定より求めることができる.
In
777ア 777T
図 15:エミッタ抵抗の測定回路図
この測定でコレクタに流れる電流がゼロであるということはエパース・モルモデ
ルの等価回路が図 16となり,コレクタに接続されている等価ダイオードに流れる
電流IRと等価電流源に流れる αFhがつり合った状態にあることを意味している.
c
B
Re
。。一一c
yl
-EBB
-,
v
RE之↓ IE
E
図 16:コレクタ開放時のエパース・モノレモデ、ノレの等価回路
18
IB
ノL
/ ノ
ノ/
1
rE
VcE
図 17:エミッタ接地回路のコレクタ開放時の九E-JB特性
そのためコレクタに接続されている電圧計ではエミッタに接続されている抵抗
の電圧とコレクタとエミッタに接続されているこつのダイオードの電圧を測定し
ていることになるが,ダイオードの電圧はほぼ打ち消しあってエミッタ抵抗の電
圧より小さいのでそのため実質エミッタ抵抗の両端の電圧を側定することになり
図17の様に線形性を示す直線の傾きの逆数がエミッタ抵抗となる.
2.2.4 コレクタ抵抗の測定
コレクタを接地したときの九E-Ic特性の活性領域と飽和領域の境界の直線か
ら求めることができる.
この場合はベースとエミッタ聞の電圧陥E がl[V]程度で大きい場合,ベースと
コレクタ間の PN接合によるダイオードの抵抗はコレクタ抵抗に比べて非常に小
さいので、実質エミッタ抵抗を測定しているとみなすことができるため図 18の線形
性を示す直線の傾きの逆数がエミッタ抵抗となる.
ただし, LもEがぬ日より大きくなると逆バイアスがかかり空乏層が広がるため
コレクタ電流は線形性を示さなくなる.そのため測定条件は九日《恰E でなけれ
ばならない.
19
b
VcE
図 18:九日-Ic特性
2.2.5 VBE -le特性
ガンメル・プーンモデ、ルで、はSPICEで計算しやすいようにベースとコレクタの
電位を一定として測定していたが,通常トランジスタはベース電圧よりコレクタ電
圧(VcEが1~3[V]の乾電池1~2本程度)を大きくして回路を設計するためηれ nR
を求めなければならない.
nF川Rの抽出はエミッタ接地回路でベース電圧を変数とした図 19のVBE-le
特性より求めることができる.
le 大小
VCB
。VBE
図 19:らE-Ic特性
20
守EEEEEEEEEEEEJ
r
v
R
n
jrf
C
B
V e
\11111/
1一九
十114
Jr’’aaEB
・‘、、、r
v
F
n
,r/
E
B
V e
「EEEEEEEEE--L
qu
ri
-リ一一
I
c
e
-4
ri 流電タクレコ
(59)
という関係式が成り立つ.ここでガンメルプロットと同じくらc=0とすると
le ~ IsevBE/nFVT (60)
と近似することができんの式の両辺の自然対数を取ると
loglc = logls +卑ηF ~T
(61)
となる.両辺を陥Eで微分すると
dlo巴le
diもE
と表すことができ,これを変形すると
1 (62)
ηF"{,今
一C
E
一σhu
rB一o
p
川
νv-旬EEム
出一
d一r一V
一一F
n
(63)
と求めることができる.
コレクタ接地回路では, IEは,
ん=IslevB山時一 (1 +ιi e均E/I ¥ 井ノ1デ/ |
という関係式が成り立つので、,同様にして ηRを求めると
diもcηR ="{,よrdlogIE
(64)
(65)
と抽出することができる. ηRはlもE-Ic特性でベース電圧とコレクタ電圧が異な
る場合ア}リ電圧と同じくコレクタ電流が図 19のよう異なることがわかる.
ηFはコレクタ接地の場合ベース電圧とエミッタ電圧が異なるとき影響を及ぼす.
また,式(60)' (65)より合わせ込みを行うことができる.
21
2.3 トランジスタの最大定格
トランジスタの最大定格とは, トランジスタの信頼度を保障するために瞬時と
いえども動作中にこえてはならない電流や電圧,電力などの最大値である.
印加電圧の最大値は,なだれ降伏電圧によって決められる.エミッタを開放し,
コレクタ・ベース接合に逆電圧を加えたときなだれ降伏が生じた電圧九BOMAXは
エミッタ開放コレクタ・ベース間最大電圧と呼ばれ,同様にベースを開放したと
きのコレクタ・エミッタ聞の電圧は九EOMAX,コレクタを開放したときのエミッ
タ・ベース間の電圧は陥BOMAXと表す.トランジスタ規格上の最大定格値は,な
だれ降伏がおこる電圧の値よりし、くぶん小さめの値となっている.
電流の最大値は, トランジスタ内部のリード線が溶断せず,直流増幅率 hFEが
ある一定値以下(ピーク値の 1/2~1/3程度)にならず,内部損失によって接合部
の温度が最大定格以上にならないように決められている.
また,コレクタで消費する電力はコレクタ損失Pcといわれ,コレクタ接合部の
温度を上げるので一定値以上になるとトランジスタを破壊する.コレクタ損失は
Pcニ VcEicで求められるので最大許容コレクタ損失PcMAxと, le, VcEの関係
はpCMAX > v cEicの関係が成り立たなければならない.
トランジスタには二次降伏現象があり,これもまた動作限界を制限する.二次降
伏現象とは,なだれ降伏の後,ある電圧,ある電流値に達するとコレクタ・エミッ
タ間電圧が急に減少し始め,数μs程度で低電圧になる現象で, トランジスタを破
壊する.この原因は, トランジスタの内部部で電流の局部集中により高温領域が
発生し熱暴走が起こるためとされている.二次降伏の電圧と電流はエネルギー依存
性をもつため,交流を扱う回路で、はパルス幅によって変化する.
図20にあるトランジスタの規格表は実験室にあるトランジスタの規格表であり
最大定格が示されている.
実際に回路を構成してパラメータを抽出する場合,電圧,電流が最大定格以内
でなければ,素子が壊れたり動作しないという可能性があり適切なパラメータを
抽出することができない.同様にSPICEでシミュレーションを行う場合も素子の
最大定格以上の電圧,電流が流れたとすると実現不可能な回路であることを考慮
しなければならなく, トランジスタの端子に加える電圧・電流は最大定格以内で
なければならない.
22
圃唱圃F司園F圃圃圃園圃,a国軍iι.、J、..,,,....、.II.』
東芝トランジスタ シリコン NPNエピタキシャル形(PCT方式)
2SC2458 0低周波増幅用
OAM増幅用
・小型パッケージでマイクロモータなどの小型機器の設計に適しています0. 耐圧はVcEo=50V(最小)で電流容量が大きい。
: Ic = 150mA (最大)
・直流電流増幅率が高い。: hFE= 70~700
• hFEリニアリティが優れています。
: hFE (le= 0.1 mA)lhFE (le= 2 mA) = 0.95 (.標準)
・低雑音です。 :NF=ldB(標準), 10 dB (最大)
• 2SA1048とコンプリメンタリになります。
最大定格(Ta=25°C)
項 目 記号 定 格 単位
コレクタ・ベース関電圧 Vcso 50 v
コレクタ・エミッタ関電圧 VcEO 50 v
エミッタ・ベース間電圧 VEBO’ 5 v
コ レ ク タ 震 流 le 150 mA
"' ス 電 ;涜 Is 50 『nA
コ レ ク タ 損 失 Pc 200 mW
接 .g. ilffi. 度 可 125 。C
保 存 j量 度 Tstg -55-125 。C
電気的特性(Ta=25。C)
項 自 記 号 測定条件
コ レク タ し や 断電流 lcso Vcs=50V, IE=O
エ ・『『、 ツ タ し や 断電流 IEBO VEB = 5 V, le= 0
直 ’お•)It 電 流 増 中高 率 hFE (注) VcE=6V, lc=2mA
コレクタ・エミッタ間飽和電圧 VcE (sat) le= 100 mA, Is= 10 mA
トランジション周波数 fT VcE = 10 V, le= 1 mA
コ レ ク タ 出 カ W苦ゐ壬『 主主互呈 Cob Vcs=10V,IE=0,f=1 MHz
JEDEC
JEITA
25°
1. エミッタ
2. コレクタ3. ベース
東芝 2-4日A
質量: g (標準)
最小 標準 最大
0.1
0.1
70 700
0.1 0.25
80
2.0 3.5
単位: mm
単位
トtA
μA
v MHz
pF
雑 z自"' 指 数 NF VcE = 6 V, le= 0.1 mA, f = 1 kHz, 1 10 dB RG = 10 kQ
注: hFE分類 0: 70-140, Y: 120-240, GR: 200~400, BL: 350~700
図 20:トランジスタの最大定格
2002”01・30
3 抽出システム
モデルパラメータの抽出は実験室にある TR6143誼流電圧・電流源/モニタを
VEEでPCから測定器を制御して測定値を求め,測定値を Excelで計算させるこ
とによってモデルパラメータを抽出することができる.
Wed 06/Mar/2002 14:52:58 JST
》iヨヘ店箪図重量
図 21:VEEで構成したL七E-Ic特性の測定プログラム
図21はVcE-Ic特性を測定するプログラムである.
このプログラムはベース電流とコレクタ電圧を変数としており,はじめにベー
ス電流をいAと一定としてコレクタ電圧をovから lOVまで lV刻みで変えるこ
とでコレクタ電流を測定し次にベース電流を変えて同じようにコレクタ電圧をovから lOVまで lV刻みで変えコレクタ電流を測定しベース電流が lOmAまで繰り
返すプログラムである.ただしこのプログラムではコレクタ損失が 200mWを超
えた場合,自動的にコレクタ電圧ovとなり次のベース電流に移行するようにして
いる.
24
Vee-le特性
0.045 0.04 0.035 0.03
」-〉”」 0.025 0.02
】。 0.015
O.Q1
0.005 。-0.005 。 2 4 6 8 10 12
Vee[V]
図 22:VEEでプログラムしたVee-le特性
図22は図21で、プログラムした測定値を Excelでグラブ化したものである.この
グラフはコレクタ損失が 200mW以内でVEEが動作しており,最大定格以内で測
定していることを示している.VEEで測定する利点はプログラムで最大定格を指
定することで自動的に最大定格以内では測定できるが最大定格以外では測定でき
ないことである.
表1はVEEでよく使用されるウインドとその説明である.
ウインドワ名
TR6143_02(@702)
TR6143_03(@703)
For Log Range
For Range
Counter
If /Then/Else
Break
説明
測定器VH2の設定
測定器VL3の設定
測定値を指定
測定値を指定
測定した回数を表示
最大定格を指定
測定を停止する命令
表 1:
25
パラメータの抽出は実験室にある PCにあるモデ、ノレパラメータのフォルダにあ
る図 21などの VEEのプログラムを起動し測定値を求め,同じフォルダにあるパ
ラメータ抽出に必要な計算をさせている Excelのワークシートに貼り付けること
によって求めることができる.
lb[μ A]= 19.95262 Vce[V] Ic[A] 変化量(傾き) 変化量を微分
。 2E 05 0.00666132 ー0,01308264傾きの平均 i0.5 。目003311 0.00012 -0.000132 2.91111 E-051 1 0.003371 5.4E-05 -2E-05
1.5 0.003398 4目4E-05 -BE-06 アーリー電圧|2 0.00342 4E-05 -BE-06 105.54513891
2.5 0.00344 3.6E-05 -4E-06 3 0.003458 3.4E-05 1.73472E-18
3.5 0.003475 3.4E-05 -4E-06 4 0.003492 3.2E-05 -4E-06
4.5 。目。03508 3E-05 4E山 065 0.003523 3.2E-05 -BE-06
5.5 0.003539 2.BE-05 ー1.7347E“186 0.003553 2.BE-05 4E-06
6.5 0.003567 3E-05 回目4E-067 0.003582 2.BE-05 1.73472E-18
7目5 0.003596 2.BE-05 -4E-06 8 0.00361 0.000026 。
8.5 。目003623 0.000026 4E-06 9 0目003636 2.BE-05 。
9.5 0.00365 2目BE-05 0.0006768 10 0.003664 。目0003664 0.00003664
変化量(傾き)
0.0001
0.00008 、
~ 0.0000
0.00004 {
0.00002 .
。
1.5 3.5 5.5 7.5 自.5
Vbe['叫
| 変化量(傾き)|
変化量を微分
0.00001 一一一…一一一…” 一0.000005 、
。一5一一一一「1 3.5. 、: 5.5...九、 7 . 5 ι 9 5
-0.000005
ー0.00001 I
Vbe[V]
変化量を微分|
図 23:パラメ}タ抽出のためのワークシート
26
図23はアーリー電圧を抽出するためのExcelである.Excelのワークシートには
あらかじめパラメータ抽出のために必要な計算式を入力しであり,数式から求め
ることのできるパラメ}タは自動的に計算され変化量から求めるパラメータ(図
23のアーリー電圧など)はExcelの関数に測定値を指定する範囲を入力すること
によってパラメータを求めることができる.
図23ではベース電流がおよそ20μAと一定値としたときのVcE-Ic特性の測定
値である.アーリ電圧のパラメータで説明した式(20)が成り立つ範囲を指定す
るするためにVcEに対する leの変化量の値とグラフ,さらにこの変化量を微分し
た値とグラフが測定値をExcelに貼り付けることによって求められる.使用者が
グラフから傾きが 4 定だと思う範囲を「傾きの平均j の下にあるセルの関数に入
力することでアーリー電圧を抽出することができる.表2はパラメータ抽出に必
要な Excelで使用される関数書式である.
関数書式
AVERAGE (数値l,数値2)
LINEST (縦軸の範囲,横軸の範囲)
MAX (数値l,数値2)
表 2:
説明
数値1から数値2までの平均値
最小二乗法を使用した傾き
数値1から数値2までの最大値
また,実験室にあるパソコンにあるパラメータ抽出のためのExcelのワークシー
トはCA3096,CA3046のアレーために作られているのでほかの種類のトランジス
タのパラメータを抽出する場合表2の関数書式の範囲を使用者が指定しなければ
ならない.
27
4 抽出結果と実測値の比較
4.1 抽出結果の比較
実験室にあるトランジスタアレーCA3096のNPNトランジスタのガンメルプロッ
トの実測値と INTERSIL社が公開しているモデ、ノレパラメータを指定したSPICEの
シュミレーション結果を比較したガンメノレプロットが図 24である.
1.00E+05
1.00E+03 -
1.00E+01
S 1.00E-01 円 1.00E-03
1.00E-05
1.00E-07
1.00E-09
0.3 0.5 0.7 0.9 4
・E.
4E
Vbe[V]
1-(SPICE)lb凶…(SPICE)Ic削一実測lb凶 v 民測le[岨
図 24:実測値と INTERSIL社のパラメータを指定したSPICEの結果
INTERS IL杜が公開しているパラメータは,
IS=lO.OE-15 XTI=3.000E+oo EG=l.llOE+oo VAF=l.00E+02
VAR=l.OOOE+02 BF=466.5E+oo ISE=74.286E-15 NE=l.660E十00
IKF=14.000E-03 XTB=O.OOOE+oo BR=O.lOOOE+oo ISC=l0.005E目 15
NC=2.000E+oo IKR=lO.OOE-03 RC=lO.OOOE十00CJC=786.51E-15
MJC=0.333E-OO VJC=0.7500E同 00FC=5.000E-01 CJE=l.28E-12
MJE=.336E-OO VJE=0.750E-OO TR=lO.OOOE-09 TF=490.01E-12
ITF=.270E心0XTF=5.38E+oo VTF=28.39E十00PTF=O.OOOE+oo
RE=O.OE+oo RB=O.OOE+oo NK=.468
INTERS IL社が公開しているモデルパラメータは製造されたトランジスタのば
らつきを考慮して作成されているため測定値と異なるのは当然である.
28
図25は実測値と抽出したモデルパラメータを合わせ込みを行わず指定したガン
メルプロットの SPICEのシュミレーションの比較である.
1.00E+OO……………………………………………………
1.00E-01
1.00E-02
1.00E-03ー
ョ1.00E-04
』』 1.00E-05
1.00E-06
1.00E-07
1.00E-08
1.00E-09
0.3 0.5 0.7 0.9 4
・a’.
4
・・・
Vbe[V]
戸両CE)lb凶ー(SPICE)Ic凶一実測lb凶 実現l]lc凶|
図 25:実測値と抽出したパラメータを指定した SPICEの結果
抽出した直流パラメータは以下である.
SPICE Nane 名称 抽出した値
IS 飽和電流 l.20E-15
BF )!原方向理想最大値 200
VAF JI頂方向アーリー電圧 110
NF JI慎方向放出係数 1
IKF 順方向ベータ減少開始点 0.015
NE ベース・エミッタ開放出係数 2
VAR 逆方向アーリー電圧 80
NR 逆方向放出係数 1
IKR 逆方向ベータ減少開始点 0.00008
NC コレクタ・エミッタ間放出係数 2
BR 逆方向理想、最大値 2
RE エミッタ抵抗 2
RC コレクタ抵抗 10
29
INTERS ILのモデルパラメータと抽出したパラメータを比較すると飽和電流Is
は10倍近く異なり素子のばらつきにしても大きすぎることがわかり, f3Rも倍以上
異なることから実際に抽出したパラメータでSPICEでシミュレーションを行うほ
うが実測値と近い値を示すことがわかる.
そのため,実際に回路を設計する場合は使用するトランジスタのモデルパラメー
タを抽出し,シミュレーションを行うほうが信頼がおける.
また,素子のばらつきに対しても同種のトランジスタを複数測定することでパ
ラメータの相対誤差もわかるため,設計した回路の素子のばらつきの影響もシミュ
レーションにより推定できる.
以下の表はBJTのモデルパラメータの INTERSILの値, デフォルト値,抽出
した値でINTERSILの値の空欄は公開されていないパラメータであり,抽出した
値の空欄は抽出することができなつかたパラメータで自動的にデフォルトの値と
なる.
SPICE Nane INTERS ILのイ直 デフォルト値 抽出した値
IS 10.0E-15 10.0E-16 l.20E-15
BF 466.5 100 200
VAF 100 。。 110
NF 1 1
IKF 0.014 exコ 0.015
NE 1.6 1.5 2
VAR 100 ()() 80
NR 1 1
IKR 0.01 。。 0.00008
NC 2 1.5 2
BR 0.1 1 2
RE 。 。 2
RC 10 。 10
ISE 74.286E-15 10.0E-12
ISC 10.005E-15 10.0E-12
RB 。 。IRE 。。REM =RB
30
4.2 抽出できなかったパラメータの説明
4.2.1 ベース抵抗
直流測定に影響するパラメータの中で測定することのできなかったベース抵抗
について説明する.
ベース抵抗は外部に接続されていると考えることのできる印とトランジスタの
内部に組み込まれている rBMの三つ抵抗で構成されその抵抗を rBB'とすると
rB十 rBMrBB' = 2 (66)
という関係式が成り立つ・ rBB'の抽出方法は出力を短絡したエミッタ接地回路の
入力インピーダンス Zから求めることができる.この回路を T型等価回路で考え
るとトランジスタは2つの抵抗と 1つのコンデンサで構成されているとすれば,
rBB’
B←一一一
E
図 26:出力を短絡したエミッタ接地T型等価回路回路
このときのインピーダンス Zは
Z = rRR' + R ~~ jwCR十 1
(67)
となり ωを無限大に大きくすると第二項目はRとCの値に関係なく近似的に無視
することができ Z= rBB'となり抽出することができる.
実験室にある測定装置では周波数が 13[MHz]までしか測定できなく抽出するこ
とができなかった.
31
4.2.2 低電圧領域のパラメータ
低電圧領域のパラメータは実験室にある測定器で電流はnAまでしか測定できな
いため観測できないか,観測できたとしても測定範囲が狭く抽出することが困難
である場合が多いためそのときのパラメータの扱いについて説明する.
低電圧領域から能動領域のベース電流IBは
ん= ~(evBE/均一 1) +c出向/nE尚一 1) (侃)μFM
と表せることから低電圧領域が全く測定できない場合第二項がゼロであるためC2二
0として指定するすることで低電圧領域と能動領域のベース電流が等しくなるため
SPICEのシミュレーション結果と実測値が近い値を示すようになる.
低電圧領域を観測することができるが抽出することが困難で、ある場合C2の値は
ガンメノレプロットより
logC2Is > logls = logic(O) (69)
が成り立たつため,少なくともらは1以上なければならずおおよそC2'.:::: f3Fとし
て合わせ込みを行う.
nELは電流を対数にとり能動領域の傾きをゼロとすると図7より
(70)
が成り立たっため ηELも1以上なければならずおおよそ2として合わせ込みを行
う.また,逆アーリー電圧1もcを抽出できている場合,
1 " VT " '今自由ー-自由ー ー一一 I 句同司 r、J I -ーー ーー-
ηEL lも+ 1もc VB (71)
として抽出することができ ηCLは
1 " VT " 1今ーー一一ーー一ー ー一一 I 叩一- r、J I 一一 一一ーー一
ηCL 九十路E I仏(72)
より抽出することができる.
32
5 結論
NPN型トランジスタのモデルパラメータの中で一般的に使用される能動領域に
おいて最も影響を及ぼすパラメータはんと舟であることがパラメータ抽出を実
際に行ってみて確認できた.
実際のトランジスタは寄生抵抗が存在し電流の増加に伴い抵抗で電圧降下が生ず
るため電流を抑える働きがある.抽出することのできた Rc,REを指定したSPICE
のシュミレーションの結果と実測値の図 27はである.
1 OOE+OOー…………………………1.00E-01
1.00E-02
1.00E-03
'<' 1.00E-04
'o:t 1.00E-05
1.00E-06
1.00E-07
1.00E-08
1.00E-09
0.3 0.5 0.7 0.9 1.1
Vbe[V]
巨歪型房副嗣工房PICE)lc凶一実測lb凶 実 j則le凶|
図 27:Is, f3Fと寄生抵抗を指定したシミュレーションと実測値
この図27から陥Eが0.3~0.8[V]の低電圧領域から能動領域においてシミュレー
ション結果と実測値が近い値を示し, 0.8[V]以上の多数キャリア注入領域から寄生
抵抗が支配的な領域では異なる値を示す.しかし,シリコントランジスタでは陥E
が0.8[V]以上で使用されることはほとんど無く 0.6~0.7[V]で使用されることが多
いためそれほど厳密に多数キャリア注入領域以上では合わせ込みを行う必要はな
い.そのため寄生抵抗のパラメータも指定しない場合はガンメノレプロットで陥Bの
電圧と電流の関係は直線となる.
このことから NPN型トランジスタを使用した一般的な回路を SPICEで直流解
析を行う場合Isとbを指定することで実際に設計する回路とシミュレーションの
結果が近い値を示すと思われる.
しかし, Isとbは製造ぱらつきが大きく同じトランジスタアレーの中でも相対
誤差が 10~50[3]程度はずれるため素子のばらつきの影響が少ない回路を設計す
る必要があり,設計したNPN型トランジスタのモデルパラメータの値を変えてシ
ミュレーションしなければならない.
33
6 参考文献
山ポール.w. トワネンガ,松本敏之,「SPICEによる電子回路設計入門J'
第 12章, 1990.
[2]楠菊信,岩田穆,赤沢幸雄,「VLSIのためのアナログ技術J'
第6章,共立出版, 1989.
[3]雨宮好文,小柴典居,曽和将容,「トランジスタ回路を学ぶ人のためにい
第6章,オーム社, 1991.
[4]Paolo. Antogettti, Giuseppe. Massobrio,“Semiconductor Device
Modeling with SPICE,” McGraw-Hill Book Company Chapter 2, 5
[5]B. M. Wilamowski, Peter Bendix“Cir Cl山 andFilters"
pp. 1491 -1508 1861 -1887
[6]URL ; h七七p:I lwww. semi con.七oshiba.co. jp/ja/
謝辞
本論文を終えるにあたり,研究テーマに関する資料のご提供,日頃親身にご指導
承りました谷本洋教授に感謝申し上げます.また,本研究を進めていく上で、パラ
メータ抽出のための測定装置の構築にあたり研究室にある実験器具の使用法,注
意事項などの数多くのご意見ご尽力を頂きました柳沢英人助手, トランジスタの
基本動作やVE Eの使用法を親身になってご指導していただいた林誠院生,福良
純也院生にもいろいろとご協力いただき厚くお礼申し上げます.
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