ビジネス連携 vol8
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10 はじめに
1 なぜ今、連携なのか?
2 企業連携の種類
3 連携するきっかけ
4 成功する企業連携の流れ
5 戦略企画フェーズ
6 連携先調査・打診フェーズ
7 連携計画策定フェーズ
8 契約フェーズ
9 実施・モニタリングフェーズ
10 解消フェーズ 11 企業連携成功の勘所
12 国の支援策
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(6)解消フェーズ 最後のフェーズは解消ですが、事業/ビジネスが成功した場合若しくは失敗した場合、または失敗しそうな場合、問題を大きくしない解消方法を知っておきます。
ステップ⑰ 連携の契約解消
ステップ⑱ 成果物等の整理
解消フェーズの2つのステップ
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ステップ⑰ 連携の契約解消
企業連携の解消方法には以下4つがあります。 契約満了
⇒目的達成、予め定められた期間が経過する
同意による解消 ⇒連携による成果、その他状況を鑑みて、双方合意の上終了とする
契約違反による解消 ⇒一方が契約上の義務を履行しない、履行できない場合、相手側が契約を破棄して終了する
終結権の行使 ⇒予め定めた条件を満たした場合、どちらかが契約を破棄して終結させる
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ひとつめの契約満了以外は、基本的には好ましくない企業連携の解消です。
プロジェクトの途中で、幾度となく困難な場面に遭遇するかもしれません。そのとき、乗り越えるのか?そこでとまるのか?
どちらの判断をしたにしても、その結果がドラマやビジネス小説のようにうまくいかないのが現実です。(特に乗り越えるとした場合・・・)
企業連携の基本計画書の中で、途中のチェックポイント、撤退条件を明確にしておき、さらにそれを契約書の条項に盛り込むことで、“荒れない”解消を進める事ができます。
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相手方の契約不履行を条件に、連携解消を突き付けるのは、精神的な負担を必要とします。
「誰のせい、どちらのせいなのか?」がわかるように、 目標に対してのKPIを設ける
各社の役割がどう連鎖しているのかをBSCで見える化する
をしておきます。
青はA社、 赤はB社の担当 それぞれの担当が、最終的な財務視点の目標にどうつながっているかがわかる BSCの各パーツ
にKPIを設ける
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ステップ⑱ 成果物等の整理
最後に、連携が途中で解消される場合には、整理作業が必要になりますが 途中までの研究成果、未完成の成果物等の帰属をどうするか?
かかった費用の清算
等は、事前に定義がないともめやすい事項なので、契約に盛り込んでおくべきです。
かかった費用は各社持ち出し、途中成果物はコア企業が買い取り、が落ち着きどころでしょうか。
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11 はじめに
1 なぜ今、連携なのか?
2 企業連携の種類
3 連携するきっかけ
4 成功する企業連携の流れ
5 戦略企画フェーズ
6 連携先調査・打診フェーズ
7 連携計画策定フェーズ
8 契約フェーズ
9 実施・モニタリングフェーズ
10 解消フェーズ
11 企業連携成功の勘所 12 国の支援策
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ここまで、企業連携の進め方を説明してきましたが、どのステップが抜けても、成功の確率がぐっと減ります。
各ステップを確実に進めていくことが、企業連携の成功のポイントと言ってもよいのですが、本章ではあらためて、企業連携成功のポイントを挙げてみたいと思います。
そうなんだろうなとわかっていても、なかなかうまくできないところを7つ挙げます。
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1.お互いの理解、自分視点でのみ考えない 何しろ新しい取り組みです。自分の判断は間違っていない、自分の経験に自信がある。そんなプライドは置いておいて、相手企業を理解しましょう。風土、状況、経営方針・・・。これが違えば、判断基準も変わってきます。相手がなぜそう考えるか?これを理解することがお互いの理解に繋がります。
2.トップが評論家にならない 社長および担当役員が現場に出る事。会議の中で報告を受け、「どうなってるんだ!?」「なんでできないんだ!?」「メンバーのモチベーション管理をしっかりやれ!?」「マイルストーン毎にちゃんと評価しているのか!?」「リスクが顕在化する前にきちんと対応しろ!」と、当たり前の事をまくしたてない事。評論家はいりません。
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3.プロジェクトマネージャーのスキル、性格 企業連携のプロジェクトマネージャーは、自社単独のプロジェクトマネージャーの経験者であることが絶対。いきなり企業連携のプロジェクトは管理できません。相手がいる分、必要なスキルも増えますが、人間的スキルでこれは補えます。 相手がなぜそう考えるのか?考え方の背景は何なのか?どこは押せてどこは引くべきなのか?等を理解できる洞察力、相手の空気を読むスキルが必要です。 また、相手企業からも一目置かれるような人物でなくてはなりません。そのためには考えるだけのタイプでは駄目で、自ら得意分野を持ち、行動を起こすリーダーシップが必要です。更には、意識して場の雰囲気を作れる人がいいです。冗談も言えて喜怒哀楽、メリハリがある人がいいでしょう。
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4.ファシリテーションと会議のちょっとした工夫 連携先との会議は幾度となく行われますが、1回1回がきちんと前に進まなければなりません。これはプロジェクトマネージャーのファシリテーションスキルがものを言います。「XXさん、ちょっと相手側企業として発言してみて下さい」などの工夫も面白いところです。 事務局もアジェンダの用意、資料等事前準備、議事録作成など、スムーズに行いたいです。 また毎回座る席位置が固定されてきます。これを崩して連携先企業と交互に座るなどすると、議論が柔軟になります。
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5.現場のコミュニケーション トップ同士のコミュニケーションよりも、現場のメンバーたちのコミュニケーションは深くあるべきです。公式ミーティングでの嫌な雰囲気をオフサイトミーティングで払拭できるような、関係まで高めていきたいものです。
6.小さな成功を積み重ねる 最終目標は一つかもしれませんが、そこにたどり着くまでの途中の指標を設け、これをメンバー全員で「小さな成功」として認識させましょう。苦労の後の成功体験は、仲間意識を醸成するのにとても重要です。
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7.譲ってくれた部分をしっかり意識する 議事録に「どちらの企業がどういう交渉でどこまで妥協したか」をしっかり残しておきましょう。両社の制約条件以外のちょっとした部分での譲り合い、お互い同じくらいの妥協を保つことが、連携の均衡を守ります。
はじめに
1 なぜ今、連携なのか?
2 企業連携の種類
3 連携するきっかけ
4 成功する企業連携の流れ
5 戦略企画フェーズ
6 連携先調査・打診フェーズ
7 連携計画策定フェーズ
8 契約フェーズ
9 実施・モニタリングフェーズ
10 解消フェーズ
11 企業連携成功の勘所
12 国の支援策 141
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企業連携を支援する国の施策があります。
代表的なものを2つ紹介します。
新連携
農商工連携
どちらも専門家のアドバイスや補助金、融資、信用保証の特例など有用な支援内容であり、中小企業であれば是非とも活用をお勧めします。
支援をうけられるだけでなく、様々な場面で広く紹介される事になるので、話題性が高まり、広告宣伝効果ももたらします。
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中小企業新事業活動促進法にもとづく施策です。
異分野の中小企業が有機的に連携し、その経営資源を組み合わせて、新事業活動を行うことにより、新たな事業分野の開拓を図ることを目的としています。
全国10ヵ所の中小機構各地域本部・事務所において、専門家が連携事業実施にあたっての事業計画の策定、商品開発、販路開拓等のアドバイス・ノウハウ提供などを行い、事業の構想から事業化まで一貫したハンズオン支援を行います。
新連携のスキーム
認定に向けて ブラッシュアップ
窓口相談で 構想の具体化
実行アドバイス フォローアップ 他支援策の 活用サポート
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平成24年10月1日時点で800件を超える事業が認定されています。
認定後、7割を超える企業が目標を達成しているようです。
認定件数
件数
出典:中小企業庁新事業促進課発表資料
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農商工連携促進法にもとづく施策です。
中小企業者と農林漁業者が有機的に連携し、それぞれの経営資源を有効に活用して行う事業活動を推進することにより、中小企業および農林漁業経営の改善を図ることを目的としています。
新連携と同じようなスキームです、事業主体が異なり、対象とする事業内容も若干違いがあります。認定要件にも目標数値等に違いがあります。
農商工連携のスキーム
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平成20年度の相談件数が3,506件に対し、認定件数は185件と、5%程の認定率となっています。
平成24年6月20日時点では、全国で501件の認定となっているようです。
相談件数と認定件数
出典:J-net21のwebサイト
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以下は、新連携および農商工連携の支援策です。
相談件数と認定件数
新連携 農商工連携
認定前 ビジネスプランブラッシュアップ
補助金 連携体構築に資する規約作成、コンサル等に経費を補助(上限500万円、2/3以内)
認定後
補助金 新商品開発(製品・サービス)に係る試作、実験、連携体構築費、研究会、マーケティング、市場調査等にかかる経費(上限2,500万円、但し技術開発を伴う場合3,000万円、2/3以内)
補助金 新商品開発(製品・サービス)に係る試作、実験、連携体構築費、研究会、マーケティング、市場調査等にかかる経費(上限3,000万円、但し、試作・開発を伴わない事業は2,500万円以下、2/3以内)
融資 認定を受けた事業計画に基づく設備資金及び運転資金について、政府系金融機関が優遇金利で融資
融資 政府系金融機関による融資制度 認定を受けた事業計画に基づく設備資金及び運転資金について、政府系金融機関が優遇金利で融資 小規模企業者等設備導入資金助成法の特例 小規模企業者等の設備資金について、無利子設備資金貸付の貸付金額を6,000万円以下に、また同無利子設備資金貸付の貸付割合を2/3以内に優遇し
信用保証の特例 中小企業者が金融機関から融資を受ける際、信用保証協会が債務保証をする制度で、中小企業者は次の措置を受けることができる 【普通保障等の別枠設定】 普通保障2億円、無担保保証8,000万円、特別小口保証1,250万円、流動資産担保融資保証2億円に加えて、それぞれ別枠で同額の保証 【新事業開拓保障の限度枠拡大】 新事業開拓保障の限度額が2億円から4億円(組合4億円から6億円)に拡大
中小企業投資育成株式会社の特例 -
特許料の減免措置 審査請求料・特許料(第1〜10年)を半額に軽減
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- 食品流通構造改善促進法の特例 金融機関から融資を受ける際、食品流通構造改善促進機構による債務保証等