1.調査の概要...©女 1.調査の概要 1-1 目的...

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© 国立女性教育会館 1.調査の概要  1-1 目的 初期に与えられる仕事や職場環境は、その後のキャリア形成に大きく影響する。特に女性のキャリア 意識を高め活躍を促すためには、入社当初から期待をかけ、成長を先取りさせる必要があるとされる。 このように重要な「初期キャリア期」の男女の意識や成長をとらえるため、平成 27 年に民間企業の正 規職についた新入社員(大学・大学院卒)を入社 5 年目まで追跡するパネル調査を実施した。 1-2 実施期間 平成 27 年 10 月に第一回調査(入社 1 年目)を実施後、毎年 10 月に追跡調査を実施。令和元年 10 月に第五回調査(入社 5 年目)を終了。 1-3 内容 現在の就業状況、今後の希望・見通し、ライフプランなどに関する意識調査 1-4 対象 第一回調査の対象は、調査協力企業 17 社 に、平成 27 年に入社した新規学卒者(大学・大学院卒) 2137 人(女性 836 人、男性 1301 人)。第二回以降の調査では、各調査実施時点の退職者は除外。 企業 17 社は、正社員が 3000 人以上(10 社)、1000 人以上 2999 人以下(4 社)、800 人以上 999 人 以下(3 社)の大企業で、金融業 1 社、建設業 1 社、コンサルタント業 1 社、サービス業 7 社、商社・ 卸業 1 社、通信・ソフト業 2 社、製造業 4 社(本社は東京 15 社、埼玉 1 社、大阪 1 社)。 うち 3 社(いずれもサービス業)は、平成 30 年度にグループ会社として統合された。このため同年度に実施された第四回調査 および第五回調査の協力企業は、15 社。 1-5 方法 WEB アンケート調査 1-6 有効回答数・回答率 第一回調査(入社1 年目):1255 人(女性 474人、男性 781人) 女性 57.7%、男性 59.3% 第二回調査(入社2 年目): 975 人(女性 393人、男性 582人) 女性 53.2%、男性 49.5% 第三回調査(入社3 年目):1090 人(女性 409人、男性 681人) 女性 59.3%、男性 59.9% 第四回調査(入社4 年目): 800 人(女性 321人、男性 479人) 女性 63.4%、男性 45.4% 第五回調査(入社5 年目): 726 人(女性 269人、男性 457人) 女性 58.0%、男性 46.7% ※全ての調査(第一回~第五回)に回答した人:女性 125 人、男性 157 人 2. 調査結果の公開 「第一回調査・第二回調査」報告書 https://www.nwec.jp/about/publish/2016/ndpk5s0000005xg6.html 「第三回調査」報告書 https://www.nwec.jp/about/publish/2017/hqtuvq00000036tr.html 「第四回調査」報告書 https://www.nwec.jp/about/publish/2018/ecdat60000002plv.html 「第五回調査」報告書 https://www.nwec.jp/about/publish/2019/ecdat60000006v2p.html 「男女の初期キャリア形成と活躍推進に関する調査」結果 ―入社5年で何が変わったのか― 独立行政法人国立女性教育会館 令和 2 年 5 月 【お問い合わせ】 独立行政法人国立女性教育会館 研究国際室 〒 355-0292 埼玉県比企郡嵐山町菅谷 728 電 話0493-62-6437 FAX0493-62-9034 研究員 島 直子([email protected]

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Page 1: 1.調査の概要...©女 1.調査の概要 1-1 目的 初期に与えられる仕事や職場環境は、その後のキャリア形成に大きく影響する。特に女性のキャリア

©国立女性教育会館

1.調査の概要 1-1 目的 初期に与えられる仕事や職場環境は、その後のキャリア形成に大きく影響する。特に女性のキャリア意識を高め活躍を促すためには、入社当初から期待をかけ、成長を先取りさせる必要があるとされる。このように重要な「初期キャリア期」の男女の意識や成長をとらえるため、平成 27年に民間企業の正規職についた新入社員(大学・大学院卒)を入社 5年目まで追跡するパネル調査を実施した。1-2 実施期間 平成 27年 10 月に第一回調査(入社 1年目)を実施後、毎年 10月に追跡調査を実施。令和元年 10月に第五回調査(入社 5年目)を終了。1-3 内容現在の就業状況、今後の希望・見通し、ライフプランなどに関する意識調査

1-4 対象 第一回調査の対象は、調査協力企業 17 社※に、平成 27 年に入社した新規学卒者(大学・大学院卒)2137 人(女性 836 人、男性 1301 人)。第二回以降の調査では、各調査実施時点の退職者は除外。企業 17社は、正社員が 3000 人以上(10 社)、1000 人以上 2999 人以下(4社)、800 人以上 999 人以下(3社)の大企業で、金融業 1社、建設業 1社、コンサルタント業 1社、サービス業 7社、商社・卸業 1社、通信・ソフト業 2社、製造業 4社(本社は東京 15社、埼玉 1社、大阪 1社)。※�うち 3社(いずれもサービス業)は、平成 30年度にグループ会社として統合された。このため同年度に実施された第四回調査および第五回調査の協力企業は、15社。

1-5 方法 WEBアンケート調査1-6 有効回答数・回答率第一回調査(入社 1年目):1255 人(女性 474 人、男性 781 人) 女性 57.7%、男性 59.3%第二回調査(入社 2年目): 975 人(女性 393 人、男性 582 人) 女性 53.2%、男性 49.5%第三回調査(入社 3年目):1090 人(女性 409 人、男性 681 人) 女性 59.3%、男性 59.9%第四回調査(入社 4年目): 800 人(女性 321 人、男性 479 人) 女性 63.4%、男性 45.4%第五回調査(入社 5年目): 726 人(女性 269 人、男性 457 人) 女性 58.0%、男性 46.7%※全ての調査(第一回~第五回)に回答した人:女性 125 人、男性 157 人

2. 調査結果の公開 「第一回調査・第二回調査」報告書  https://www.nwec.jp/about/publish/2016/ndpk5s0000005xg6.html 「第三回調査」報告書  https://www.nwec.jp/about/publish/2017/hqtuvq00000036tr.html 「第四回調査」報告書  https://www.nwec.jp/about/publish/2018/ecdat60000002plv.html 「第五回調査」報告書  https://www.nwec.jp/about/publish/2019/ecdat60000006v2p.html

「男女の初期キャリア形成と活躍推進に関する調査」結果―入社5年で何が変わったのか―

独立行政法人国立女性教育会館

令和 2年 5月

【お問い合わせ】独立行政法人国立女性教育会館 研究国際室〒 355-0292 埼玉県比企郡嵐山町菅谷 728電 話�0493-62-6437 FAX�0493-62-9034研究員 島 直子([email protected]

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2©国立女性教育会館

3.調査研究の実施体制 外部有識者及び国立女性教育会館研究国際室メンバーからなる「男女の初期キャリア形成と活躍推進に関する調査研究」検討委員会を組織し、調査研究を実施した。<外部有識者>(五十音順、敬称略) 安齋  徹:清泉女子大学教授 大槻 奈巳:聖心女子大学教授・キャリアセンター長 大山 瑞江:日本経済団体連合会ソーシャル・コミュニケーション本部上席主幹 高見 具広:労働政策研究・研修機構副主任研究員 永井 暁子:日本女子大学准教授<国立女性教育会館> 高原 幸子:国立女性教育会館研究国際室長 島  直子:国立女性教育会館研究国際室研究員 渡辺 美穂:国立女性教育会館研究国際室研究員 

4.入社5年で何が変わったのか(概要)〇入社 3 ~ 4 年目にかけて仕事満足度・管理職志向が低下し、転職志向が上昇する傾向(図1)

〇女性の管理職志向と職場環境男女ともに、「リーダーには男性の方が向いている」を否定する傾向 5年目には、「リーダーには男性の方が向いている」を否定する女性が 83.4%(図2)しかし女性の管理職志向は、男性より顕著に低い(図1-3) ●意欲をそぐ職場環境では、女性の管理職志向が低い管理職志向がない女性は、管理職志向がある女性に比べて「上司の育成熱意」「職場の期待」「仕事の将来性」の評価が低く、「自分からアイデア・企画を提案」している割合も低い(図3)

 ●女性は、男性ほど今の仕事でリーダーシップを求められていない(図4)  リーダーシップに対する自信も男性より低く、5年目には男女差が拡大(図5) ●女性が管理職を志向しない第一の理由は、「仕事と家庭の両立困難」(図6)

〇入社 3 年目までは、理系女性の方が、文系女性より「今の仕事や会社に対する満足度」が高い傾向 「別会社への転職志向」は、3年目までは文系女性の方が高い。しかし 5年目は、理系女性の方が高い(図7-1)。「今の会社での結婚・出産後の就業継続志向」は、3年目までは理系女性の方が高い。しかし 4年目以降は、「続けたい」割合は文系女性の方が多い(図7-2)。「仕事満足度」は 1年目で文理差が大きく、理系女性の方が高い(図7-3)

〇女性の「今の仕事や会社に対する満足度」は、理高・文低から理低・文高へ(傾向の示唆)(図8) 1年目は、理系女性は文系女性より「別会社への転職志向」が低く、「今の会社での結婚・出産後の就業継続志向」と「仕事満足度」が高い。しかし 5年目には、理系女性の方が「別会社への転職志向」が高く、「今の会社で結婚・出産後も」「続けたい」割合が低い。仕事満足度も低い。

〇5年目には、女性の職場環境も理低・文高(傾向の示唆)(図9)

〇女性の育児期の理想は、「短時間勤務」から「時間の融通がきくフルタイム」に変化(図 10)〇男女ともに、5 年目には性別役割分業を否定する割合が増加し、男女の意識差も縮小 男女ともに、「3歳までは母親は育児に専念」「家族扶養は男性の役割」を否定する割合が増加。男性はその傾向がより強く、結果、5年目には男女の意識差が縮小(図 11)

※結果数値(%)は表示している小数第一位未満を四捨五入しているため、内訳の合計が 100%にならないことがある。

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3©国立女性教育会館

5.入社 5年で何が変わったのか(詳細)5-1 仕事満足度・転職志向・管理職志向

入社 3 ~ 4 年目にかけて仕事満足度・管理職志向が低下し、転職志向が上昇する傾向

図1 仕事に関する意識:入社 5 年間の推移*分析対象:第一回~第五回調査のすべてに回答した女性 125 人、男性 157 人

〇�仕事満足度は、女性は 2年目に大幅減のあと、4年目で下げ止まり。男性は 3年目まで大幅減のあと、4年目で下げ止まり(図1-1)。

図1-1 仕事満足度

満足満足

満足満足

女性100%

80%

60%

40%

20%

0%1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 1年目 2年目 3年目 4年目 5年目

■満足している ■やや満足している ■やや不満である ■不満である

男性2.4 6.4

28.8

54.4

10.4

9.6

30.4

52.8

7.2

7.2

36.8

47.2

8.8

8.8

35.2

48.0

8.0

3.814.0

52.9

29.3

3.2

26.1

51.6

19.1

8.9

29.3

47.8

14.0

12.1

30.6

41.4

15.9

10.8

31.8

43.9

13.4

12.8

67.2

17.6

〇�転職志向は、男性は3年目まで大幅増のあと、4年目で上げ止まり。ただし4年目から5年目にかけて、「そう思う」が 6.4 ポイント増。女性も3年目まで大幅増。ただしその後も上昇傾向で、5年目には再度大幅増(図1-2)。

図1―2 機会があれば、別の会社に転職したい

転職したい

転職したい

転職したい

転職したい

■そう思う ■どちらかというとそう思う ■どちらかというとそう思わない ■そう思わない

100%

80%

60%

40%

20%

0%1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 1年目 2年目 3年目 4年目 5年目

女性 男性

37.623.2

44.0

23.2

9.6

20.0

31.2

32.8

16.0

35.2

36.0

16.0

12.8

16.8

45.6

27.2

10.4

6.4

19.1

43.9

30.6

13.4

26.8

35.0

24.8

17.8

33.8

35.0

13.4

15.9

40.8

30.6

12.7

22.3

35.0

28.7

14.0

37.6

19.2

5.6

〇�管理職志向は、女性は男性より顕著に低く、下げ幅も大きい。女性は3年目、男性は4年目で下げ止まり。ただし女性は、4年目から 5年目にかけて「目指したい」が 4.8 ポイント増(図1-3)。

図1-3 管理職志向

管理職志向あり

管理職志向あり

管理職志向あり

管理職志向あり

■目指したい ■どちらかというと目指したい ■どちらかというと目指したくない ■目指したくない ■管理職になることが想定されていない職種である

100%

80%

60%

40%

20%

0%1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 1年目 2年目 3年目 4年目 5年目

女性 男性6.44.8

4.814.4

34.4

36.0

10.4

6.4

20.0

34.4

31.2

8.0

7.2

20.0

35.2

31.2

6.4

3.2

25.6

33.6

26.4

11.2

2.5

28.7

68.2

0.68.3

29.9

61.1

0.65.17.0

32.5

55.4

5.19.6

33.8

51.6

3.28.9

36.3

51.6

28.8

45.6

14.4

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4©国立女性教育会館

■あてはまる ■どちらかというとあてはまる ■どちらかというとあてはまらない ■あてはまらない

0%

20%

40%

60%

80%

100%

管理職志向なし 管理職志向あり

8.8

65.0

20.4

5.8

17.4

68.6

12.41.7

将来につながる仕事

将来につながる仕事

13.1 21.5

45.3

53.7

33.620.7

8.0 4.1

0%

20%

40%

60%

80%

100%

管理職志向なし 管理職志向あり

上司は育成熱心

上司は育成熱心

0%

20%

40%

60%

80%

100%

管理職志向なし 管理職志向あり

アイデア・企画を提案

アイデア・企画を提案

0%

20%

40%

60%

80%

100%

管理職志向なし 管理職志向あり

期待されている

期待されている

8.0

43.1

38.7

10.2

19.0

53.7

20.7

6.6

8.0

38.7

41.6

11.7

16.5

46.3

33.1

4.1

5-2 女性の管理職志向と職場環境男女ともに、「リーダーには男性の方が向いている」を否定する傾向

○ �5 年目には、「リーダーには男性の方が向いている」を否定する(=「そう思わない」+「どちらかというとそう思わない」)女性が 83.4%(男性も 79.9%)(図2)。

意欲をそぐ職場環境では、女性の管理職志向が低い

○�5年目時点の女性の職場環境に対する評価をみると、管理職志向がない女性は、管理職志向がある女性に比べて「上司の育成熱意」「職場の期待」「仕事の将来性」の評価が低く、「自分からアイデア・企画を提案」している割合も低い(図3)。

図2 リーダーには、女性より男性の方が向いている:入社 1 年目と 5 年目の比較*分析対象:第一回調査と第五回調査に回答した女性 209 人、男性 326 人

図3 管理職志向の有無と職場環境に対する評価(女性):入社 5 年目管理職志向なし:第五回調査で管理職を「目指したくない」もしくは「どちらかというと目指したくない」と回答した女性 121 人管理職志向あり:第五回調査で管理職を「目指したい」もしくは「どちらかというと目指したい」と回答した女性 137 人

図3-1 上司はあなたの育成に熱心である

図3-3 将来のキャリアにつながる仕事をしている

図3-2 職場では自分は期待されている

図3-4 自分からアイデアや企画を提案している

否定

■そう思う ■どちらかというとそう思う ■どちらかというとそう思わない ■そう思わない

女性

男性

1年目

5年目

1年目

5年目

6.4

3.7

5.3

3.8

20.9

12.9

26.8

16.3

37.1

36.8

40.7

37.3

35.6

46.6

27.3

42.6

0% 20% 40% 60% 80% 100%

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5©国立女性教育会館

女性は、男性ほど今の仕事でリーダーシップを求められていない

女性が管理職を志向しない第一の理由は、「仕事と家庭の両立困難」

○ �5年目時点で、現在の仕事では「チームやグループを牽引するリーダーシップ」を求められない (=「求められない」+「どちらかというと求められない」)と感じている女性は24.9%(男性は14.1%)(図4)。○�リーダーシップに対する自信も、女性は男性より低い。男女ともに 5年目には自信が高まるが、上昇幅は男性の方が大きい(図5)。

○�管理職を志向しない女性が、最も多くあげる理由は「仕事と家庭の両立が困難になるから」。「同性の管理職がいないから」は、割合は低いが増加傾向。なお男性は、女性より理由が分散(図6)。

*分析対象:第一回調査と第五回調査に回答した女性 209 人、男性 326 人

図4 「チームやグループを牽引するリーダーシップ」を求められる程度:入社 5 年目

図5「チームやグループを牽引するリーダーシップ」の自己評価:入社 1 年目と 5 年目の比較

■求められる ■どちらかというと求められる ■どちらかというと求められない ■求められない

■十分にある ■ある程度ある ■やや不十分 ■全く不十分

リーダーシップを求められない

リーダーシップを求められない

リーダーシップがある

32.140.5

43.145.4

17.712.0

7.2 2.1

0%

20%

40%

60%

80%

100%

女性 男性

6.1

4.6

2.4

0.5

44.5

26.7

23.0

14.8

41.1

48.5

61.2

56.9

8.3

20.2

13.4

27.8

0% 20% 40% 60% 80% 100%

5年目

1年目

5年目

1年目

男性

女性

図6 管理職を志向しない理由:入社 1 年目・3 年目・5 年目(複数回答)*�分析対象:各回の調査で、管理職を「目指したくない」もしくは「どちらかというと目指したくない」と回答した男女(女性:1年目 179 人、3年目 213 人、5年目 137 人、男性:1年目 46人、3年目 106 人、5年目 88人)

0%

20%

40%

60%

80%

20%

40%

60%

80%

1年目 3年目 5年目

0%

自分には能力がないから

1年目 3年目 5年目

自分には能力がないから

1年目 3年目 5年目

仕事の量が増えるから

1年目 3年目 5年目

仕事の量が増えるから

1年目 3年目 5年目

責任が重くなるから

1年目 3年目 5年目

責任が重くなるから

1年目 3年目 5年目

仕事と家庭の両立が困難になるから

1年目 3年目 5年目

仕事と家庭の両立が困難になるから

1年目 3年目 5年目

周りに同性の管理職がいないから

1年目 3年目 5年目

周りに同性の管理職がいないから

1年目 3年目 5年目

もともと長く務める気がないから

1年目 3年目 5年目

38.0 42.3 40.1

26.1

37.729.5

17.3

32.9 33.6

37.0 38.7

51.1

32.4

52.6 48.9

32.6

42.5

56.8

66.5 68.1 69.3

41.3 37.745.5

9.515.0 18.2

0.0 0.9 0.0

18.4 15.5 13.1

17.421.7

12.5

もともと長く務める気がないから

女性

男性

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6©国立女性教育会館

5-3 理系女性の満足度と職場環境入社 3 年目までは、理系女性の方が、文系女性より「今の仕事や会社に対する満足度」が高い傾向

各調査回の女性の回答をならべると〇�「別会社への転職志向」は、3年目までは文系女性の方が高い。しかし 5年目は、理系女性の方が高い(図7-1)。〇�「今の会社での結婚・出産後の就業継続志向」は、3年目までは理系女性の方が高い。しかし 4年目以降は、「続けたい」割合は文系女性の方が高い(図7-2)。〇「仕事満足度」は 1年目で文理差が大きく、理系女性の方が高い。その後、格差は縮小(図7-3)。

図7 文理別・仕事に関する意識(女性):入社5年間の推移*分析対象:各回の調査に回答した女性。調査回によって回答率が異なるため、分析対象数も異なる。理系:最後に行った学校の専攻が「理学系」「工学系」「その他の理系」のいずれか文系:最後に行った学校の専攻が「法学系」「経済・商学系」「文学系」「社会学系」「教育学系」「外国語学系」「その他の文系」の   いずれか

図7-1 機会があれば、別の会社に転職したい

図7-2 結婚したり子どもが生まれたりしても、今の会社で働き続けたいと思いますか

図7-3 仕事満足度

■そう思う ■どちらかというとそう思う ■どちらかというとそう思わない ■そう思わない

2.411.7 11.2

20.4 19.6 27.015.6 23.7 22.1 20.817.7

27.2 27.0

30.8 26.5

35.442.2 32.7 39.7

32.841.1

37.7 44.929.7 40.2

23.5 35.6 29.429.4

32.838.7

23.5 16.9 19.0 13.7 14.0 6.7 14.2 8.8 13.7

0%

20%

40%

60%

80%

100%

理系124人

1年目 2年目 3年目 4年目 5年目

文系324人 理系89人 文系279人 理系102人 文系285人 理系90人 文系211人 理系68人 文系183人

転職したい

転職したい

■続けたい ■どちらかというと続けたい ■どちらかというと続けたくない ■続けたくない ■わからない

53.236.4 41.6

29.7 38.228.4 28.9 36.5 33.8

43.2

37.1

31.532.6

28.328.4

28.141.1 34.1 44.1

34.4

4.8

17.3 13.5

20.413.7

14.45.6 9.0

5.9 6.6

0.86.5 3.4 13.3 5.9 16.5 10.0 10.0 1.5 6.6

4.08.3 9.0 8.2 13.7 12.6 14.4 10.4 14.7 9.3

0%

20%

40%

60%

80%

100%

理系124人

1年目 2年目 3年目 4年目 5年目

文系324人 理系89人 文系279人 理系102人 文系285人 理系90人 文系211人 理系68人 文系183人

働き続けたい

働き続けたい

■満足している ■やや満足している ■やや不満である ■不満である

28.218.8

6.7 9.7 6.9 7.7 4.4 9.0 7.4 7.1

55.652.8

53.9 49.143.1 48.4 47.8 42.7 44.1 48.6

12.922.5

34.8 30.836.3 28.8 34.4 37.9

29.435.5

3.2 5.9 4.5 10.4 13.7 15.1 13.3 10.4 19.18.7

0%

20%

40%

60%

80%

100%

理系124人

1年目 2年目 3年目 4年目 5年目

文系324人 理系89人 文系279人 理系102人 文系285人 理系90人 文系211人 理系68人 文系183人

満足満足

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7©国立女性教育会館

女性の「今の仕事や会社に対する満足度」は、理高・文低から理低・文高へ(傾向の示唆)

5年目には、女性の職場環境も理低・文高(傾向の示唆)

1年目と5年目を精緻に比較するため、「第一回調査と第五回調査の両方に回答した女性」の回答をみると〇 �1 年目は、理系女性は文系女性より「別会社への転職志向」が低く、「今の会社での結婚・出産後の就業継続志向」と「仕事満足度」が高い。〇�しかし 5年目には、理系女性の方が「別会社への転職志向」が高く、「今の会社で結婚・出産後も」「続けたい」割合が低い。仕事満足度も低い(図8)。

※ただし理系女性の人数が少ない(56人)ため断定はできず、「傾向の示唆」にとどまる。

〇 �5 年目には、理系女性の方が「男性の方が、昇進・昇格に結びつく仕事を任され」ると感じている。「目標とする女性の先輩・上司がいる」について「あてはまらない」が 41.1%、「能力不安」も文系女性より高い(図9)。

図8-1 機会があれば、別の会社に転職したい

図9-1 男性の方が、昇進・昇格に結びつく仕事を任される

図8-2 結婚したり子どもが生まれたりしても、今の会社で働き続けたいと思いますか

図9-2 自分が目標とするような女性の先輩や上司がいる

図8-3 仕事満足度

図9―3 自分の能力で今の仕事を続けていけるか不安

転職したい

転職したい

働き続けたい

働き続けたい 満

足満足

■そう思う■どちらかというとそう思う■どちらかというとそう思わない■そう思わない

■続けたい■どちらかというと続けたい■どちらかというと続けたくない■続けたくない■わからない

■満足している■やや満足している■やや不満である■不満である

1.88.8

21.4 18.210.7

19.0

44.6

33.644.6

38.0

26.8

32.8

42.934.3

7.115.3

0%

20%

40%

60%

80%

100%

理系 文系 理系 文系

1年目 5年目

60.749.6

33.940.9

33.9

35.8

44.638.7

3.68.0

7.1 5.8

0.02.2

1.8 6.6

1.84.4

12.5 8.0

0%

20%

40%

60%

80%

100%

理系 文系 理系 文系

1年目 5年目

30.420.4

8.9 8.8

55.459.9

41.151.1

14.316.8

32.1

32.1

0.0 2.917.9

8.0

0%

20%

40%

60%

80%

100%

理系 文系 理系 文系

1年目 5年目

男性の方が昇進・昇格に結びつく

男性の方が昇進・昇格に結びつく

目標の女性先輩がいる

目標の女性先輩がいる

続けていけるか不安

続けていけるか不安

あてはまらない

あてはまらない

10.7 4.4

32.1

18.2

35.7

45.3

21.432.1

0%

20%

40%

60%

80%

100%

理系 文系

14.3 17.5

25.028.5

19.6

29.2

41.124.8

0%

20%

40%

60%

80%

100%

理系 文系0%

20%

40%

60%

80%

100%

23.213.1

44.6

32.8

21.4

38.0

10.7 16.1

理系 文系

■あてはまる ■どちらかというとあてはまる ■どちらかというとあてはまらない ■あてはまらない

図8 文理別・仕事に関する意識(女性):入社1年目と5年目の比較*分析対象:第一回調査と第五回調査に回答した女性(理系 56人、文系 137 人)

図9 文理別・職場環境に対する評価(女性):入社5年目*分析対象:第一回調査と第五回調査に回答した女性(理系 56人、文系 137 人)

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8©国立女性教育会館

5-4 育児期の理想の働き方女性の育児期の理想は、「短時間勤務」から「時間の融通がきくフルタイム」に変化

○�「就学前の子どもがいるとき」の「あくまで現時点での理想」の働き方。女性の 1位は「短時間勤務」(1年目)から「時間の融通がきくフルタイム」(5年目)へ。○�男性も 5年目には「急な残業もあるフルタイム」「残業のないフルタイム」が減り、「時間の融通がきくフルタイム」が大幅増。〇「正社員としては働かない」は、男女ともに 5年目はわずか(図 10)。

図 10 「就学前の子どもがいるとき」の理想の働き方:入社 1 年目と 5 年目の比較*分析対象:第一回調査と第五回調査に回答した女性 209 人、男性 326 人

図 11 性別役割分業意識:入社 1 年目と 5 年目の比較*分析対象:第一回調査と第五回調査に回答した女性 209 人、男性 326 人

■急な残業もあるフルタイム ■残業のないフルタイム ■時間の融通がきくフルタイム■短時間勤務 ■家でできる仕事 ■正社員としては働かない

短時間勤務

短時間勤務

1.4 2.4

28.2 20.23.3 10.5

26.7

14.425.4

41.1

42.3

59.5

46.9

29.2 1.8

1.815.813.4

0.6

3.77.2 3.3 0.3

0%

20%

40%

60%

80%

100%

1年目 5年目 1年目

女性 男性

5年目

0.3

残業ない

フルタイム

残業ない

フルタイム

融通きく

フルタイム

融通きく

フルタイム

急な残業もある

フルタイム

急な残業もある

フルタイム

7.1

15.6

3.8

5.3

26.4

41.1

21.5

28.2

27.6

25.5

35.9

34.9

39.0

17.8

38.8

31.6

0% 20% 40% 60% 80% 100%

5年目

1年目

5年目

1年目

男性

女性

6.1

9.2

4.3

10.5

23.6

40.5

23.0

27.8

32.8

34.4

34.4

40.7

37.4

16.0

38.3

21.1

0% 20% 40% 60% 80% 100%

否定否定 否定否定

■そう思う ■どちらかというとそう思う ■どちらかというとそう思わない ■そう思わない

男女ともに、5 年目には性別役割分業を否定する割合が増加し、男女の意識差も縮小

○�男女ともに、「3歳までは母親は育児に専念」「家族扶養は男性の役割」を否定する割合が増加。男性はその傾向がより強く、結果、5年目には男女の意識差が縮小(図 11)。

図 11 -1 子どもが3歳くらいまでは、母親は仕事を持たず育児に専念すべきだ

図 11 -2 家族を経済的に養うのは男性の役割だ