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2014年度 TPM賞 2014年度 TPM賞 TPM優秀賞 TPM優秀エンジニアリング賞 TPM優秀商品賞 TPM優秀論文賞

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Page 1: 2014年度 TPM賞 - jipm.or.jp · TPM(Total Productive Maintenance「全員参加の生産保全」)は、日本プラント メンテナンス協会によって1971年に提唱されました。

2014年度 TPM賞2014年度 TPM賞

TPM優秀賞TPM優秀エンジニアリング賞TPM優秀商品賞TPM優秀論文賞

Page 2: 2014年度 TPM賞 - jipm.or.jp · TPM(Total Productive Maintenance「全員参加の生産保全」)は、日本プラント メンテナンス協会によって1971年に提唱されました。

◆日本プラントメンテナンス協会とは

当会は、生産活動において直面する安全、省資源、環境、効率性の追求等の諸課題の解決に必要な活動を推進・支援することにより、我が国産業の発展および国民生活の安定向上に寄与することを目的としております。

また、次の3つの理念を掲げ、モノづくりへの投入資源(人財、設備、材料、情報)を軸とした安心、安全、安定の生産活動を支援してまいります。

・モノづくりとの共栄 ・創造的経営の推進 ・環境保護への積極的参画

◆TPMとは

TPM(Total Productive Maintenance「全員参加の生産保全」)は、日本プラントメンテナンス協会によって1971年に提唱されました。

TPMは、「生産システム効率化の極限追求(総合的効率化)をする企業体質づくりを目標にして生産システムのライフサイクル全体を対象とした“災害ゼロ・不良ゼロ・故障ゼロ”などあらゆるロスを未然防止する仕組みを現場現物で構築し、生産部門をはじめ、開発・営業・管理などのあらゆる部門にわたってトップから第一線従業員にいたるまで全員が参加し、重複小集団活動により、ロス・ゼロを達成すること」と定義されています。

◆TPM賞とは

「設備管理TPMの近代化と設備管理技術の開発を促進することにより、企業の体質改善・強化を図り産業界の発展に寄与する」ために制定(1964年)されました。現在、

「TPM優秀賞」「TPM優秀エンジニアリング賞」「TPM優秀商品賞」「TPM優秀技術者賞」「TPM優秀論文賞」の5つの賞が設けられています。その中心となるのは事業場のための「TPM優秀賞」です。近年では海外企業の受賞も急増し、TPMが世界規模で普及していることを証明しています。

◆TPM沿革1961年 社団法人 日本能率協会内に「設備管理部会」発足

1964年 「PM賞」(PM優秀事業場賞)審査・表彰制度を制定

1966年 「PM優秀技術者賞」を制定

1969年設備管理部会を発展的に解消し、日本プラントエンジニア協会(JIPE)創立(9月)

「PM優秀論文賞」を制定

1971年 全員参加のPM(TPM)を提唱、本年よりPM優秀事業場賞はTPM活動成果による達成が条件となる

1976年 PM優秀事業場賞に「特別賞」を制定

1981年 通産大臣より公益法人の許可を得て、社団法人 日本プラントメンテナンス協会(JIPM)発足(4月)

1983年 「PM優秀製品賞」を制定

1989年 TPMの定義を改訂、生産部門のTPMから全社的TPMへ

1992年 PM優秀事業場賞に「継続賞(1類、2類)」を制定

1994年

PM優秀事業場賞を「TPM優秀賞」に、PMサービス優秀企業賞を「PM優秀エンジニアリング賞」に改称

「TPMワールドクラス賞」を制定・初のワールドクラス賞受賞は1999年のVOLVO社

1998年 「TPMアドバンスト特別賞」を制定

2000年 自主保全士制度を制定TPMチャレンジ賞を制定

2008年 TPM優秀賞の審査・表彰制度を改訂、「TPM大賞」を制定

2011年 創立(社団法人化)30周年、TPM提唱40周年

2012年 新公益法人制度に基づく認定を受け、「公益社団法人」へ移行(4月)

2014年 国家検定「機械保全技能検定」指定試験機関への指定(8月)

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TPM優秀賞(1964年制定) 1964年にTPM賞が創設された当初は、米国流のPMすなわち設備管理部門中心で成果を

あげた事業場を表彰していましたが、設備管理技術の発展とともにその審査・表彰基準が改定され、1971年には日本で開発した「全員参加の PM(略称TPM)」によって成果をあげた事業場のみを審査・表彰の対象とすることになりました。

さらに、TPMも初期の段階では、生産部門の活動であったものが、企業の体質改善・体質強化のために生産部門のみの活動にとどまらず、あらゆる部門にわたりTPMが全社展開されるようになりました。1989年にはTPMの定義も「全社的TPM」に改定され、現在ではこの定義に基づいた全社的TPMによって成果をあげた事業場が審査・表彰の対象になっています。

TPM優秀賞は、事業場の規模、TPM活動の実績により次のように分かれています。

TPMワールドクラス賞 TPM特別賞を受賞し、かつ特徴のある創造的なTPM活動を展開し、成果をあげている事業場が対象

TPMアドバンスト特別賞 TPM特別賞を受賞し、TPM活動を展開するうえでの重点項目を設定した活動の成果が出ている事業場が対象

TPM特別賞TPM優秀継続賞を受賞し、受賞時の成果を維持・向上させるとともに、特徴ある画期的な活動をしている事業場が対象

TPM優秀継続賞TPM優秀賞(カテゴリー Aまたはカテゴリー B)を受賞し、受賞時の成果を維持・向上させるとともに、維持・継続していくための方策が整っている事業場が対象

TPM優秀賞カテゴリーA

TPM8本柱を基本とした活動を展開し、有形無形の効果をあげ、TPM活動の基盤整備が完了している事業場が対象。自主保全活動は第4ステップを完了していること

TPM優秀賞カテゴリーB

生産現場を中心にTPM5本柱を基本とした活動を展開し、有形無形の効果をあげ、TPM活動の基盤整備が完了している事業場が対象。自主保全活動は第4ステップを完了していること

*2008年度に審査制度を変更しました

TPM優秀エンジニアリング賞(1984年制定)

メンテナンス技術の向上とエンジニアリング、メンテナンスサービスの効率化を図り、製造プラントの信頼性と生産性向上に貢献するとともに、メンテナンスサービス業界の発展に寄与することを目的に制定され、次の3賞が設けられています。

TPM優秀エンジニアリング賞・特別賞

TPM優秀エンジニアリング賞を受賞し、かつTPM活動の内容が著しく向上し、画期的なTPM活動を展開して成果の出ている企業・事業場(部門)が対象

TPM優秀エンジニアリング賞・継続賞

TPM優秀エンジニアリング賞を受賞し、TPM活動を維持・継続し、さらに向上している企業・事業場(部門)が対象

TPM優秀エンジニアリング賞

メンテナンスサービス企業、エンジニアリング企業もしくはエンジニアリング部門において、TPM活動を導入し、顕著な成果が現れている企業・事業場(部門)が対象

TPM優秀商品賞(1983年制定、旧PM優秀製品賞)

メンテナンス機器に関する新技術の開発を奨励し、メンテナンス技術の進歩を促進することを目的として制定されています。TPM優秀商品賞には、開発賞と実効賞の2賞が設けられています。

開発賞 アイデアと先行性・独創性に優れている商品が対象

実効賞 市場において優れた実績がある商品が対象

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TPM優秀技術者賞(1966年制定)

設備管理技術の発展ならびに設備技術者の地位向上を図るために、これらに貢献した優秀技術者を表彰しています。

TPM優秀技術者賞 社内での開発・改善実績および社外での論文実績などにより、推薦されたTPM技術者が対象

TPM優秀論文賞(1969年制定)

設備管理に関するシステムや固有技術の研究または改善実績などのTPM論文で、独創性、効果、汎用性に優れ、設備管理技術の向上に寄与するTPM優秀論文を表彰しています。

TPM優秀論文賞には、テクノロジー部門、プロダクション部門、マネジメント部門の3賞が設けられています。

テクノロジー部門

主に保全技術あるいは生産技術(設備診断、設備設計、生産ライン設計、製品設計など)の研究、開発に関わる業務につき、その経緯、経過、成果などについての実証、考察を含む論文が対象

プロダクション部門

主に設備管理、保全業務あるいは生産現場に関連の業務(自主保全、計画保全、個別改善、品質保全など)における革新、改善活動の経過、成果などについての論文あるいは事例紹介が対象 ① 当該生産部門での課題に対し、その経緯、経過、改善

手法、成果などについての実証、考察を含む論文 ② 生産現場で発生した「こまりごと」につき、その改善・

工夫を提示している事例紹介

マネジメント部門

設備および工場運営に関わるマネジメント(PM推進組織、現場運営、技能教育、管理技術、安全・環境管理など)に関する計画、統制、維持・継続、改善・向上などの経緯・手法・実績および考察等を含む論文が対象

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2014年度 TPM優秀賞

【TPM 優秀継続賞】��������������������� 8社8事業場◦ 京浜精密工業株式会社 栃木工場・北海道工場(栃木県・北海道)◦ 株式会社 J-オイルミルズ 千葉工場(千葉県)◦ 明治チューインガム株式会社(愛知県)◦ 株式会社明和工業 本社工場(静岡県)◦ 株式会社ヨシカワ(群馬県)◦ リョービ株式会社 ダイカスト本部 静岡工場(静岡県)◦ リョービミツギ株式会社(広島県)◦ YKK AP 株式会社 生産本部 黒部越湖製造所(富山県)

【TPM 優秀賞カテゴリー A】���������������� 2社2事業場◦ サントリープロダクツ株式会社 天然水奥大山ブナの森工場(鳥取県)◦ タカオカ化成工業株式会社(愛知県)

【TPM 優秀賞カテゴリー B】���������������� 3社3事業場◦ 株式会社大阪チタニウムテクノロジーズ(兵庫県)◦ 株式会社 J- オイルミルズ 若松工場(福岡県)◦ 株式会社マルヤス・セキソー東北(岩手県)

2014年度 TPM優秀エンジニアリング賞

【TPM 優秀エンジニアリング賞・継続賞】��������� 1社1事業場◦ 株式会社マルヤスエンジニアリング(愛知県)

2014年度 TPM優秀商品賞

【開発賞】◦ FPM(Factory Performance Management)システム (旭化成エンジニアリング株式会社 EIC ソリューション事業部)◦ 音声認識 設備点検巡回システム(TENKENMAN-V) (旭化成 EIC ソリューションズ株式会社)

◦ 電動機電流診断装置(GA-500) (旭化成エンジニアリング株式会社) (日本原子力発電株式会社) (JFE メカニカル株式会社)◦「相関抽出法」を基本とした回転機械の劣化診断サービス (株式会社エクストラネット・システムズ)◦ 電動弁診断「AVD セルフオペレーションキット」 (岡野バルブ製造株式会社)◦ ポータブル低速回転軸受診断器 MK-560 (JFE アドバンテック株式会社)◦ Web 版総合設備管理システム e-MAINS (JFE メカニカル株式会社 プラント技術本部)◦ 保全情報マネジメントシステム「KARTEMIX」 (富士フイルムエンジニアリング株式会社)◦ 無線式振動データ収集システム「ROUNDCHECK」 (富士フイルムエンジニアリング株式会社)

【実効賞】◦ ボルト磨き装置「La- 閃技」 (株式会社中部プラントサービス)

2014年度 TPM優秀論文賞

【テクノロジー部門 第 2 席】◦ 安定ポケット理論による加工設備のダウンサイジング 中井 典子氏(ヤマハ発動機株式会社) 坂本 祐輔氏(ヤマハ熊本プロダクツ株式会社)

【プロダクション部門 第 1 席】◦ 新たな視点での工場における少・省エネルギーの取組み 竹田 吉徳氏(トヨタ自動車株式会社)

【プロダクション部門 第 2 席】◦ 最新の劣化診断技術を核とした設備情報システムの開発 石野 昌裕氏(富士フイルムエンジニアリング株式会社)

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TPM優秀継続賞

株式会社J-オイルミルズ 千葉工場発展・成長する工場体質への変革 当工場は、輸入大豆原料や菜種原料から食用油脂・関連製品・脱脂ミール等を製造しており、東日本の主力工場の役割を担っている。 近年国内の製油産業を取巻く環境は大変厳しく、原料調達コストの高騰、エネルギーコスト等の上昇、少子高齢化と人口減少・TPPの影響等による国内需要の減少等、様々な逆風にさらされている。 TPM活動は、2005年4月にパートⅠ活動をキックオフし、2009年に優秀賞を受賞、2010年1月からパートⅡ活動中です。パートⅠは「工場基盤強化」に重点を置き、 パートⅡは「発展・成長する工場体質への変革」を目指すレベルアップした活動とし、「世界レベルの製油工場を目指す国際競争力構築」のビジョン、基本方針として ①生産基盤の強化と発展・成長 ②人財育成 ③地球環境保全の3本の柱を掲げ、全ての面で「強い工場」作りをしてきた。 着実にTPM活動が業務の中に定着し、レベルアップした活動となり成果を挙げ従業員の意識改革も大きく進んできており、国際競争力のある工場を目指して永続的に発展・成長して行きたい。

TPM優秀継続賞

京浜精密工業株式会社 栃木工場・北海道工場Catch Up to the Front Runners

当社は、創業以来、企業の社会的責任を経営理念とし、国内外自動車メーカーのパートナー企業として、自動車用機能部品の開発並びに生産を行ってまいりました。

1995年、自動車部品業界の熾烈な競争に対応すべく社内の体質改善を目的に、北海道工場並びに栃木工場へのTPM導入をTOPマネジメントとして、意思決定をいたしました。同年、北海道工場並びに栃木工場でTPM活動に向けてキックオフを行い、活動をスタートさせ、2001年にはTPM優秀賞(第1類)を受賞いたしました。受賞後もJIPM殿のご指導を頂き、パートⅡ、パートⅢと活動を継続してまいりました。しかしながらパートⅢ以降、当社のビジネス領域は商業車中心から、乗用車を中心としたビジネスへの移行に伴い、従来にない生産量の増加、要求品質の格段の向上に伴い、飛躍的に高い加工技術、圧倒的な低コスト、大量生産に対応した高精度、高機能の設備を備えた品質保証体制づくりが必要となりこれらを重点に活動を行い2007年にTPM優秀継続賞を受賞いたしました。その後パートⅣの活動ではAT車、CVT車、HV車の油圧系部品を中心に高い加工精度、重要品質特性に対する要求品質を実現するため、見える化活動を行い2010年にTPM特別賞を受賞いたしました。そして2011年11月にパートⅤをキックオフし、TPM活動を絶やす事なく19年間続けてきました。大切な事は「人間力と現場力」のある拠点をいかに国内に残すか、

「高く飛ぶ為には、低くかがむ事が必要」、「モノづくりの原点に立ち返り足元を固め直す」活動を行ってきました。具体的には自主保全活動では、ステップ展開を4ステップからはじめ機能構造を理解した上で活動を進めました。新製品新設備部会ではアルミダイカスト製品で業界初の塑性流動結合技術を確立、大幅なコスト低減と軽量化を実現しました。

また、アルミダイカスト鋳造から加工、検査、出荷と究極の1個流しライン(ワンピースフローライン)を完成させ、解析手法の再教育を実施し足元を固めながら全社員一丸となって活動を展開してまいりました。

栃木工場

北海道工場

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TPM優秀継続賞

株式会社明和工業 本社工場快適職場で心技を磨き 映そうみんなの輝く笑顔

当社は、アルミの研磨を基軸とした、一貫加工部品メーカー、業界NO.1を目指す会社です。2000年よりTPM活動を改善手法として取り入れて活動を進めてまいりました。 第1ステージ;(2000年~ 2003年)  導入期として人と会社を変えた。 第2ステージ;(2004年~ 2007年)  実践期として着実なTPM活動の定着を狙い展開。 第3ステージ;(2008年~ 2011年)  「オール明和で一貫生産体制へ」を目指す姿として活動。 第4ステージ;(2012年~ 2014年)   本社工場を「マザー工場」として、ものづくり技術向上のさらなる進化を狙い、TPM8本柱を磨き上げる活動を継

続展開している。

TPM優秀継続賞

明治チューインガム株式会社 全社一丸のTPM活動で 社内革新 儲かる企業

当社は、お菓子作りの技術の発展、安全・環境負荷・効率などを向上させるために2002年にTPMをキックオフし、活動を展開してきました。

活動開始当初は社内への浸透が不十分で、活動が遅れ気味になったこともありましたが、徐々に効果が出始め2006年にはTPMチャレンジ賞を、2009年にはTPM優秀賞を受賞することができました。

TPMでは多くのことを学びました。古い体質から改善できたことが大きな財産です。従業員の姿勢・考え方が大きく変わり、問題点や不具合を探す目、工夫する力、自分たちで解決する力が備わってきました。

以前は人任せになっていたのが、自分たちから動く、学ぶ姿勢に変わりました。不具合や、こぼれなども気付いても改善の手段がわからなかったものが、今では、自ら改善の道筋をつけることが出来、ロスを減らし、効率を向上することができたこと、そのような姿勢に変わったことがTPMの大きな成果です。

第1工場

第3工場

第2工場

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TPM優秀継続賞

株式会社ヨシカワチェンジ・ヨシカワ “勝ち残り体質づくりへのTPM”

当社は、ロール成形加工とその複合成形加工を主体として、自動車部品や建築部材等の開発~製造~販売を行い「存在感と魅力ある企業」を目指している。

当社のTPMの歴史は1984年のTPMパートⅠに始まり、自動車業界で生き残るレベルに企業体質を強化し、事業を拡大してきた。しかし、業界の低コスト競争は年ごとに激化しその中で安定した企業基盤を確保するには、製造力のさらなる強化が必

要になってきた。そこで2005年にTPMパートⅡとして活動を再スタートし、基本に返った物づくり、徹底したロス改善で「TPM優秀賞カテゴリー A」を受賞した。

TPMパートⅡの課題、リーマンショックによる市場の不確実性の拡大、さらに低価格競争の激化等の経営環境の変化に対応すべく、2009年にTPMパートⅢをキックオフした。「仕事量の確保」「総原価の低減」を狙いに、勝ち残り体質づくりを目指して活動を展開してきた。

活動の特徴は、「仕事量確保」を実現するため、戦略営業活動の柱を9本柱で支える10本柱の体制にしたことである。そして勝ちパターン営業技術の構築とそれを支える勝つ技術、コスト、品質で過去最高の売上を記録するとともに、確実に利益が確保できる体質に変えることができた。今後も継続してTPM活動を進め、「ヨシカワWAY」に掲げた、ありたい姿の会社を構築していく。

TPM優秀継続賞

リョービ株式会社 ダイカスト本部 静岡工場イキイキ社員、ピカピカ設備で 目指せ ロスゼロ工場

静岡工場は2009年に優秀賞カテゴリー Aを受賞しました。この間、一人ひとりの活動意識が上がり、設備総合効率や時間当たり生産性を飛躍的に向上させることができました。

しかし、その後のリーマンショックや東日本大震災による厳しい経営環境に対応すること、更なるロスの削減でより強い体質の工場に進化するために2011年10月にパートⅡをキックオフし、優秀継続賞を目指して活動した。

TPM活動を通じ、止まらない設備・異常の起こらない金型の構築を進め、現場力を一層強化していき、継続的に収益を高めることができる工場にするため、更に努力していく所存です。

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TPM優秀継続賞

YKK AP株式会社 生産本部 黒部越湖製造所『CAN DO』 ~明日に伝えるモノづくり~

当社は、快適な住空間を創造する「窓やドア」、美しい都市景観を創造する「ビルのファサード」など、さまざまな建築用プロダクツを通じて、暮らしと都市空間に先進の快適性をお届けする企業を目指しています。

当製造所は富山湾に面し、昭和51年(1976年)にアルミ建材に使われる部品工場として設立。部品要素技術・開発力をベースにクレセント、戸車、ハンドル、網戸用ネット、ガスケット、ビス等の機能部品を生産しています。

TPM活動は2007年1月の「TPM導入宣言」を受け、5月にキックオフ。人と設備の再構築・体質改善によりモノづくりを伝承しつつ『出来栄えの良いモノを』『ムダ・ロスなく』『タイムリーに造り出荷する』独自の生産システムを構築する為に、設備に強いオペレーターへの基礎体力を自主保全活動で身につけ、モノの流れの可視化・整流化にこだわりを持って活動し、2011年に「TPM優秀賞カテゴリー A」を受賞。

2012年4月、パートⅡ活動をキックオフし、製造所の中期事業計画に連動した生産活動の目標を達成すべく「安心感のある部品専用工場」を目指しTPM活動に取り組んでいる。

TPM優秀継続賞

リョービミツギ株式会社TPMで築こう 収益性の高い企業体質

当社は、リョービ㈱ダイカスト事業本部に属し、2005年5月31日にTPM活動をキックオフし、2008年TPM優秀賞カテゴリーA、2011年TPM優秀継続賞を受賞することができた。

次のステップである特別賞への移行を考えたとき、まだまだ体質強化が必要だった。ロスの排除と再発防止をきっちり行う「基盤づくり」と後戻りしない「仕組み、仕掛け作り」が定着してから特別賞へチャレンジしても遅くないと判断し、パートⅡ-2と位置付けて優秀継続賞へ再挑戦することに決めた。

そこでTPM優秀継続賞に向けて3つの大きな課題を掲げ活動した。 ①収益性改造活動(製品原価低減、収益性の向上、企業の体質強化) ②目で見る管理の徹底(予防的管理が出来る職場作り) ③積極的受注活動、自主営業活動の推進以上の活動を行うことで、当社のTPM活動のねらいである「TPM活動を通して、収益性の高い企業体質を作りあげ健

全で活力に満ちた企業にする」を実現させる。パートⅡ-2のTPM活動のスローガンとして

「TPMで築こう 収益性の高い企業体質」を掲げ継続的な活動を行っている。

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TPM優秀賞カテゴリーA

サントリープロダクツ株式会社 天然水奥大山ブナの森工場笑いの絶えない明るい職場

(風通しよく活気にあふれた職場風土で成長・達成感を感じられ、充実したワークライフがおくれる職場)

天然水奥大山ブナの森工場は、急成長するミネラルウォーター市場の供給体制を強化するため、天然水専用工場として、地元や自然と共生する西日本の生産拠点を目指して、2008年3月に竣工した。

食品業界未経験者も多く、スキル向上のスピードを求められるなかで、フル稼働を続けながら設備の劣化を防止するための保全体制が脆弱であったこと、また、大きな停止は専用工場としての供給責任が果たせないというリスクを抱えていたことから、経営体質を強化していくために、2010年1月にTPMをキックオフした。

自主保全ステップ展開による基本条件の整備、点検基準書の充実、総点検による点検スキルの獲得と点検基準書の深化等、モデル設備の故障は着実に減少し、活動を通してのスキル向上とともに、改善提案件数も目標どおりに推移してきた。各部会が連携・旗振りした結果、経営体質も強化され、お客様からのご指摘情報はゼロを継続できている。こうした全員の取り組みにより社員の成長とともに、自立自走体制へ着実に前進することができた。

当社は、1982年に高岳製作所(現在の東光高岳)のエポキシモールド製品事業部門が分離独立した会社であり、我が国初のオイルレス・エポキシ固体絶縁のモールド変圧器を納入した実績を持つ。現在は主力商品であるモールド変圧器をはじめ、電力機器用電気絶縁部品、セラミック製品のほか、電気分解を活用した水素水生成器などの製品を手掛けている。

当社は、《利益創造型企業への変革》をスローガンに経営改革を進めており、その切り札として2011年9月にTPM活動を導入した。そして、その活動の方向性をご評価いただくため2014年度優秀賞カテゴリー Aを受審した。2014年5月には事業拡大のための新工場を竣工させ、TPM活動成果をベースにTPSの考えを融合させたものづくりの仕組みの構築を目指している。

TPM優秀賞カテゴリーA

タカオカ化成工業株式会社TPM導入による利益創造型企業への変革

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TPM優秀賞カテゴリーB

株式会社 J-オイルミルズ 若松工場職場みんなのTPM 進化させよう我らの未来

TPM優秀賞カテゴリーB

株式会社大阪チタニウムテクノロジーズ人と設備の体質改善で変化への対応力をつける

当社は、1952年に日本で初めてスポンジチタン製造の工業化に成功し、スポンジチタン業界のパイオニアとして歩み始めた。1960年からはポリシリコンの製造をスタート。以来、チタンとポリシリコンという、現代文明を支える素材メーカーとして、航空宇宙産業やエレクトロニクス産業を中心に、高純度・高品質の素材を供給している。又、これらの素材を用いた高機能材料の製造・販売にも注力中である。

TPM活動は、世界的にチタンを取り巻く外部環境が大きく変化する中で、全員参加で、災害ゼロ・故障ゼロ・不良ゼロを目指した活動を通じ、体質強化と働きがいのある職場をつくる事を主たる目的として2007年7月にチタン製造部でキックオフ・導入した。

当社のTPM活動は8本柱のうち製品・設備開発管理体制づくりと管理・間接部門の効率化体制づくりを除いた6本柱で活動展開した。6本柱のそれぞれの取組は、分科会活動で各部会長の下に展開した。

当社は、2004年7月に㈱ホーネンコーポレーション、味の素製油㈱、吉原製油㈱が合併し、製油関連(油脂・油糧)を主体に事業活動を行っています。

若松工場は当初、グループ会社である日華油脂㈱の工場でしたが、2009年10月に㈱ J–オイルミルズへ統合され新たなスタートを切りました。

その後、九州の拠点工場として生産基盤を強化し、かつ拡大・成長を続ける工場体質への変革を狙いとし、2010年8月31日にTPM活動をキックオフし、個別改善、自主保全、計画保全、品質保全、安全・環境・教育の5分科会で活動を進めています。

また、2011年からは、個別改善分科会を軸に革新的なコスト改善活動として「若松リプラン」活動をスタートさせました。2013年度末を期限としたリプランPART-Ⅰ活動を通じ、コスト改善において一定の成果をあげることができました。さらに、品質クレーム、環境事故、労働災害ゼロを達成することができ、強い工場体質の基礎が根付いてきました。

そして、2014年度からは更なるコスト革新をめざし、リプランPART-Ⅱ(目標期限は2020年度)活動をスタートさせ、TPM活動と一体の体質改善を進めています。

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TPM優秀賞カテゴリーB

株式会社マルヤス・セキソー東北全員で「良い物を造り、お客様へ早く届ける」をモットーに活動

当社は、お客様に信頼を得て、東北の拠点として任せていただける会社になるために体質強化のTPM活動に取組み、全員で「らくらくリズミカルに良いものをつくる」活動を進め現場力向上をはかり、「勤めてよかった」と言える会社を目指しています。

目標達成に向け「イーハトーブ」活動(宮沢賢治の理想郷を追い求める意)を各リーダーが中心となり展開しております。例えば、人財の育成を目的とした道場では、柔道の指導経験のあるリーダーが、その経験をいかし、礼儀作法や仕事に

対する心構えを教えたり、「ケガをしてほしくない」という強い思いのこもった、安全体感訓練があり、災害ゼロを継続しております。また、震災を機に、情報共有を目的に開始した、手書きの壁新聞は現在も毎月発行され、全員一丸の証となっております。

その他、製造現場では、720時間連続稼働を目指した、溶接工程の自主保全活動や、流れ化に拘ったライン造りなど、チームメンバー一丸となり活動しております。

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TPM優秀エンジニアリング賞・継続賞

株式会社マルヤスエンジニアリングパート6 良い物を造り・造り続ける活動

当社は、TPM活動を体質改善および体質強化をねらいとして設立以来継続し取組んできております。パート5に引き続き今回パート6と位置付け活動を進めてきました。

今回の活動につきましては、当社設立20年にあたり今一度原点に立ち返り、改めて各事業部における役割を整理しました。まず、人財育成をベースとして社員の個々のスキルアップを図り、活動へ展開。「良い物を造る活動」においては、ワー

クヘッド・ヘッドユニット・設備ユニットの設計およびマザーマシンの精度確保や加工・組付け技術の向上、また、「良い物を造り続ける活動」においては、機器・機構・制御の良品条件のメンテナンスへの取り組みを行いました。それらを通じてレベルを高めニーズに合った設備・型・メンテナンスを提供し、さらなるマルヤス・セキソーグループの発展に貢献できたと考えています。

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2014TPM優秀商品賞開 発 賞

FPMシステム~ Factory Performance Management System~

旭化成エンジニアリング株式会社

■工場ビッグデータを見える化する FPM (Factory Performance Management System) 工場内に存在するさまざまな情報(工場内ビッグデータ)を収集・加工・共有することで、工場の安全・安定・安心運営が実現している。 弊社は、Web 上のホームページ検索に使用する検索エンジンを中核技術とすることで、①データベースとファイル情報を統合し、②データ収集の網羅性を確保した上で、③情報検索を高速に直感的に行える。⑤システム変更にも設定変更で対応できるシステムを開発した。 本システムは、情報の収集と共に加工元となるデータベース(DB)データや帳票(源データ)を画面操作で確認できる仕様であり、大局的な分析から詳細情報の確認までを一気通貫で効率良く行うことができる。

■ FPMの特徴・データの仮想統合による構築コスト削減

DBのデータと文書内情報の仮想統合により複数システムのデータを集約。

・既に入力済みの情報の活用システムへのデータ再入力不要。過去の資産をそのまま活用。

・システム変更への対応が容易

■活用事例TPM活動ロスツリー作成効率化 ファイルサーバーに保存している各種報告書(製造日誌、トラブル報告書等)及び、DB からロス金額を集約し、ロスツリーを自動作成する。〈導入効果〉① 集計作業の時間を最小化 従来2か月かかっていたロスツリー作成が、日々作成される製造日誌やDBから検索エンジンが自動でロス量を収集する為、集計

作業が数クリックの確認作業に変化。② ロス要因分析の効率化 源データ(製造日誌、DCSデータ、トラブル報告書等)に画面を数回クリックするだけで、スムーズに辿りつける為、ロス要因の分析が簡単にできる様になった。③ 高度な分析への対応 類似トラブル時のプロセスデータを抽出し統計解析することで主要因分析、トラブル報告書の内容をテキストマイニングすることで、隠れた要因への気づきを提供している。

■用 途・設備改修実績とトラブル履歴との相関確認 トラブル実績から次の改修計画を策定・工場全体のパフォーマンスの監視・設備投資計画、人財育成計画の策定根拠の絞込みと実績の確認・環境・安全関係データと工場稼働相関のモニタリング・パフォーマンスの共通指標による工場間の比較・競争力を計測・海外プラントとの比較・競争力の強化ポイントの提示。(品質情報の一元管理 )・間接部門のコスト分析(出張旅費、調達コスト削減)

■音声認識技術を利用した設備巡回システム スマートデバイスを活用し、設備点検や製造実績・製造条件などの入力や確認をしたいとの要望が生産現場から寄せられる。しかし、操作画面のデータ入力が不便な事や画面が小さいなどの課題があり、導入が進んでいないのが現状です。 また、狭い場所や高所でのデータ入力作業における作業性の向上と安全確保が求められていました。そこで、音声によるデータ入力が有効と考え、音声認識技術を利用した設備巡回システムを開発しました。 生産現場には、両手が水に濡らして作業する現場やバーコードが導入されていない現場、バーコード読み取り作業が困難な現場があります。 今後、設備巡回システムだけでなく製品検査や原料入荷、製品出荷等さまざまな場面で音声認識技術を利用したシステム開発を目指していきます。

■メリット・転記作業、パソコン入力への作業が不要(2重入力の排除、入力間違いの防止)・カメラ撮影したデータの保存も可能(作業場以外での不具合部の確認)・高所作業場で片手での作業の回避(安全性・作業性の向上)・機器から発する異音の録音が可能(設備状態の判定)・スマートデバイス上でオフライン動作(軽量かつ情報漏えいの防止)

■システム構成機能一覧・サーバサイド 音声入力データの修正機能 週次・月次・年次データのトレンド表示 報告書印刷 各種マスタメンテナンス管理 (設備、点検項目、許容範囲等)・スマートデバイスサイド 設備別点検項目入力 (音声・ハンド入力、前月情報の参照等) 写真保存・録音・コメント登録機能※既存システムとのマスタ連携なども可能

■応用可能な業務シーン・入出荷作業 原料入荷での音声入力(バーコード不要) 音声合成指示により製品出荷を実現・製品検査作業 音声入力により検査結果を登録・水場作業 ゴム手袋の脱着不要(音声入力)※バーコードやモバイルプリンタとのデータ連携が可能

2014TPM優秀商品賞開 発 賞

音声認識設備点検巡回システムTENKENMAN -V

旭化成EICソリューションズ株式会社▲ TENKENMAN-V画面

て ん け ん ま ん ぶい

設備点検管理サーバスマートデバイス 電気メーター

タンク目視設備音録音

音声入力で作業開始1. 電気メーター値(数値)の読み上げ2. タンク外装チェック(確認)の読み上げ3. 設備の異音の録音など

連携プログラム点検予定情報の連携

連携プログラム点検実績情報の連携

【 事務所 】 【 現場 】

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2014TPM優秀商品賞開 発 賞

電動機電流診断装置(GA-500)

旭化成エンジニアリング株式会社 日本原子力発電株式会社 JFEメカニカル株式会社

 電動機電流診断装置(GA-500)により離れた場所(電源盤)から回転機械の状態監視が行えます。診断対象設備に対して直接センサの取付けが不要なため、人が近づけない場所にある設備の診断が可能となります。例えば、以下のような振動診断などが適用できない設備の状態監視が行えます。●原子力発電所の放射能管理区域や高所・狭所(ピット内など)に設置されているような人が直接計測することが不向きな状況にある設備

●地下深くに設置された設備(水中ポンプなど)や高温設備といった直接計測が困難な設備の状態監視

●加工組立型プラントの生産設備などのレール上を走行するような設備やロボットなどの被測定物が移動する設備の状態監視

 GA-500 の特徴としては、以下のことがあげられます。◆測定が短時間で簡単に行えます。 クランプ電流計により 3相誘導電動機における電源ケーブルの内の 1本から電流波形を収集することで計測します。

◆電動機の電流波形から電気的な異常、機械的異常、流体的異常の状態監視が可能です。 電動機の電気的な異常だけでなく、ポンプやファンなどのローターのアンバランスや軸継手に発生するミスアライメント、転がり軸受の摩耗などの機械的異常やポンプの流体的異常などの検出が可能です。

◆異常判定基準を搭載しており、自動診断結果が得られます。 特定の周波数に着目したレベル判定や正常時との比較判定による自動診断機能を搭載

【診断事例】 容量 22kWの誘導電動機に直結している送風機の羽根にアンバランスが発生している状態と正常になった時の電流スペクトルの比較を行いました。図

1はその前後の電流スペクトルです。電源周波数は50Hz で回転周波数が 49.6Hz、対象となる側帯波は

。すで)zH6.94+zH05(zH6.99 当初、このレベルが-67.0dB であり、自動診断の結果、注意域と判定されました。そこで送風機を停止して羽根を観察したところダスト付着がありアンバランスであることが判明しました(図 2)。羽根を清掃した後の測定結果は-75.5dB まで 8.5dB 低下しており良好領域となったことが確認できます。

図 2 送風機羽根部写真

図 1 電流スペクトル

0Hz

-120

-100

-80

-60

-40

-20

0dB

50Hz 100Hz 150Hz 200Hz

99.6Hz正常時:75.5dB異常時:67.0dB  差:08.5dB

赤:異常時 黒:正常時

10

1. はじめに

様所有の回転設備、構造設備の稼動状態など、手動もしくは自動監視にて劣化診断を行い、設備の延命、稼働率向上・エネルギ損失・環境負荷の低減など、お客様設備の投資回収率最大化を目的とした劣化診断サービスです。2. キャラマップ法とは? ISO判定と独自特許技術の相関抽出法とを勘案した総合判定および蓄積した劣化データベースとを駆使することを

に向上させることが可能となり、その効果や有効性が限定的であった従来手法の課題を解決しました(図 1)。3. 特長と効果

ことにあります。(1)潤滑不良の検知 従来では振動データによって潤滑不良を検出することは困難でしたが、正常時の振動データを基準とした相関抽出法の適用によって可能となりました(図 2)。

(2)運転中の軸ズレ量の推定 従来では振動データによって軸ズレの異常検知に適用されていますが、運転中の軸ズレ量の推定は困難でしたが、キャラマップ法(DI値と劣化データベース)を適用することで推定が可能となりました(図 3)。

(3)社会的意義・経済的効果の一例① 自治体下水道ポンプ設備 設備の老朽化を背景として、機能維持のための更新費用の増大に対するアセットマネジメントの手順・評価方法の確立および保全最適化を実現② 石油プラントでの冷却水ポンプ ISOとキャラマップ法の適用により軸受の交換間隔を約 2倍に延長

4. 実績(2014 年 9月末時点) 総台数524台(内、ポンプ255台)の回転機械の劣化診断サービスを実施し、技術的・経済的効果を発揮しております。 また、相関抽出法を組込んだスマート自動診断装置を試作検証中です(図 4)。5. おわりに

下のような設備ユーザ様及び機械メーカ様のニーズにお応えしてゆきます。 A.設備のユーザ殿:(1)不要なオーバメンテを削減したい(2)軸受の交換周期を延長したい(3)突発的な故障を無くしたい(4)主軸の微小な回転むらが問題

 B.機械メーカ殿:●自社製品にアフターサービス機能を付加(1)潜在的欠陥や過負荷を検出(排除)(2)経年変化による摩耗的故障を回避(3)最適メンテナンス時期の提案

 具体的な課題についてはお問い合わせをしてください。また、機械メーカ殿へのライセンス供与の実績もございますので詳細についてはお尋ねください。

2014TPM優秀商品賞開 発 賞

「相関抽出法」を基本とした回転機械の劣化診断サービスキャラマップ式診断システム

株式会社エクストラネット・システムズ

0 100.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

6.0

7.0

8.0

平均DI値

振動速度rms

mm/sec

グリス量低下 DI値(相関抽出法)および振動速度の推移

20 30 40 50グリス量(%)

60 70 80 90 100

①振動速度:グリス量5%までは検知困難②DI値:グリス量低下を追随でき、監視可能

停止

警告

注意ランプ点灯&

グリス投入

平均DI値

振動速度rms mm/sec

最大 8個 取付可能

センサー(1ch)センサー(2ch)

センサNO

判定結果を表示

測定ボタン:データ測定の開始

USBメモリ

USBボタン:測定データ回収、詳細診断

図 2 潤滑不良の検出が可能となった

図 4 スマート自動診断装置の試作装置

N1 号機 N2号機 N4号機 N5号機 R1 号機 R2 号機

1201101009080706050403020100

1/100mm(   )

軸ズレ量の実計測と、キャラマップ法による推定結果との比較

対象機器の名称

量レズ軸 キャラマップ法

実計測

図 3 軸ズレ量の推定が可能になった

図 1 キャラマップ法とは?

相関抽出法(DI値判定)

異常種別毎の変状度

【軸ズレ量の推定】@運転中

劣化/エネルギ損失データベース

機械的劣化によるエネルギ損失の

割合機械的劣化 及び

流動異常の程度

潤滑不良の検出

I S O判定

相関抽出法を基本として各種データベースを適用することにより監視機能を高度化

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2014TPM優秀商品賞開 発 賞

セルフ・オペレーション式電動弁診断装置

AVD

岡野バルブ製造株式会社

■岡野バルブ製造独自の新しい弁診断技術 当社が独自開発した電動弁診断技術「AVD」は、プラントを停止させることなく電動弁の健全性を評価できる画期的な診断システムです。 当技術は従来法に比べて、飛躍的に取扱い性が向上しました。電動弁に近づかずにモータコントロールセンターなどの遠隔地から電流および電圧の測定を行うことによって、高精度な故障予兆診断を実現することが可能です。(特許取得済) 原子力発電プラントをはじめ、電動弁の健全性や劣化傾向の把握および監視が必要な産業分野における保全業務の効率化を強力にサポートする戦力として、多数のお客様から高い評価をいただいております。

■AVD技術の特徴

流と電圧を用いたバルブの診断技術です。 MCCからの遠隔診断が可能となったことから、設置環境や作業者の熟練度に左右されず、誰でも簡単且つ速やかに診断を実施することができます。また、電動弁に歪ゲージなどの計測センサーを取り付ける従来法に比べて、1/10 の時間で診断が実施できるようになりました。(当社比)

■診断実績 ・国内原子力、火力、自家発電他

■健全性評価の判定カテゴリー ・波形パターン解析 ・周波数解析 ・駆動力量健全性評価

※ 詳しくは、当社ホームページをご覧ください。http://www.okano-valve.co.jp

AVDセルフ・オペレーションキット

本体仕様サイズ W350 × H250 × D100重量 約 5 kg

計測チャンネル 計 6点(電流:3 ch、電圧 3 ch)

接続 電流;クランプ式× 3電圧;ワニ口クリップ式× 3

計測範囲 電流;AC120A電圧;AC600V

電源 AC100V(50/60Hz)

その他機能タッチパネルディスプレイ(アナログ抵抗膜方式)、抵抗測定機能付き

2014TPM優秀商品賞開 発 賞

ポータブル低速回転軸受診断器MK-560

~低速回転軸受の診断に革命~JFEアドバンテック株式会社

■低速回転機械の軸受診断に MK-560は、難しいとされていた低速回転機械の軸受診断に、AE(Acoustic Emission)センサーと新開発の独自信号処理により軸受異常(損傷・潤滑不良など)時のAE信号を抽出・指標化し、測定現場で診断可能なポータブル診断器です。■特長① 簡単操作 測定対象の軸回転数を入力して測定するだけで、診断パラメータ値・診断結果を表示します。② 独自信号処理・新開発の信号処理により軸受状態を数値化・診断のチューニングが可能・AEスパイクノイズの除去機能を搭載③ データ管理・解析機能・各種データを csv 形式で保存 表計算ソフトなどで管理、解析が可能・周波数解析(FFT)波形によりその場で周期性を確認

④ ポータブル性 小型軽量、バッテリー駆動

■原理 MK-560は低速回転軸受から発生するAEに対し、増幅・フィルタなど信号処理を行い、測定AEの中で正常状態から逸脱した成分を数値化することで診断を行います。その診断のための代表的なパラメータについて紹介します。●E_area(イーエリア)

 損傷軸受を測定したAE波形(図1①)に対し、各振幅の頻度分布を求めると、損傷軸受AEの場合、最頻振幅に対し高振幅側に非対称な分布(図1②、横軸が頻度、縦軸が振幅を表す)が現れます。一方、正常軸受の場合は、ほぼ対称に分布することから、損傷軸受時分布の非対称な広がり(図1③)を数値化し、比較することで診断します。その数値をパラメータE_areaとして表しています。(特許技術)●E_ratio(イーレシオ)

 AE波形から平均的な振幅(図2①)に対し、設定した閾値(図2②)を超えた振幅の割合をE_ratioとして表します。E_ratio は、閾値を変更することで、対象設備・運転状況により診断のチューニングが可能です。また、独自ロジックによりスパイクノイズを除去することも可能です。(特許技術)■診断事例

779=aera_E、ていおに受軸の]mpr[05が数転回軸 を示した事例です。周波数解析でも外輪傷成分(fo、2fo)が顕著なため軸受を交換、軸受開放点検の結果、外輪の負荷域に剥離損傷を確認でき、軸受交換後の測定ではE_area= 0となりました。 その他、潤滑不良・軸受摩耗等々の検出事例もした事例もございます。

0

70

時間[s]

AE振幅[dB]

頻度

60

50

40

30

20

10

01 2 3 4 5 6 7 8 9

時間[s]

AE振幅[dB]

50403020100

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7

-10-20

図 E_area 説明図 図 3 診断事例

図 2 E_ratio 説明図

AE-ENV amplitude[dB]

Time[sec]

Fequency[Hz]

fO

2fO

50

AE-ENV amplitude[dB] 10

8

6

4

2

0

403020100

0

0 2 4 6 8 10 12 14

0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

-10-20

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2014TPM優秀商品賞開 発 賞

Web版総合保全管理システムe - MAINS

JFEメカニカル株式会社

◆はじめに Web版総合保全管理システムe-MAINSは、新旧全ての診断機器(診断計 5種、モニタ5種)に対応し、通信方式の異なるモニタリング装置もサポート可能なシステムとして開発しました。◆特長(1)各種診断・点検・管理システムを統合・診断ソフト ・・・ 振動診断、絶縁診断、設備点検、オンラインモニタリング

・設備管理ソフト ・・・ 台帳管理、故障管理、工事管理、在庫管理、文書管理など

(2)システム導入時のコスト削減・ASP方式なら早期運用開始、導入費削減・簡単アドバイス要求で適切な診断サポートが可能(3)すべての診断機器が混在利用可能・振動診断計 3機種、絶縁診断計 2機種、監視モニタ 5機種が混在利用可能

(4)充実した診断解析機能・各種トレンドグラフ・低速回転機械の診断・統合パラメータ・カルバック手法

・リサージュ・実稼動解析・コヒーレンス解析・パターン監視機能 など(5)ブラウザ上でも操作性良好・波形表示部のドラッグで拡大表示・選択ポイントの読み出し、2点間の差表示

◆動作環境・ブラウザ:InternetExplorer 6.0 ~ 11.0・OS:Windows XP、Vista、7、8 など

《JFEメカニカル》

Web版総合保全管理システム e-MAINS

サーバ

データ収集PC

モニタ

高機能モニタ

センサ

神童君Jr 〃 Neo 〃 Pro

《お客様》 公衆回線

クライアントPC

データ収集PC データ収集PC

インターネット

DB

LAN通信

シリアル通信MF-7000 MF-7700 MF-8800

MF-8000

Webサーバ機

神童君Jr. 神童君Neo 神童君Pro

お客様

当社

汎用型モニタリング 高機能型モニタリング

▼システム構成

2014TPM優秀商品賞開 発 賞

保全情報マネジメントシステム

富士フイルムエンジニアリング株式会社

1. はじめに 生産設備の保全においては、点検・診断情報が重要である。より適切な保全方法を判断するためには、さらに、故障履歴・整備履歴等の履歴情報や、設計データ等の技術情報が必要である。これらの情報が個人持ちになったり、埋もれないように共有・管理する『設備カルテ』を考案し、この機能を実装した保全情報マネジメントシステム

。たし発開を)スクミテルカ(』XIMETRAK『

2. 開発コンセプト 設備の故障対応や保全方法の検討における『診断』⇒『保全者の判断』⇒『対応』の業務の流れが、医療における『診察』⇒『ドクターの判断』⇒『処置』の流れと類似していることに着目し、医療の『電子カルテ(医療カルテ)』の考え方を取入れ、さらに、生産設備に必要な工程全体の俯瞰や、装置・機器毎の情報共有の機能を付加した。

3. KARTEMIXの特長① 設備カルテ KARTEMIXの『設備カルテ』機能は、整備・故障の履歴情報を文字による記述だけでなく、関連資料・画像も含めて集中管理を実現しており、業務の流れに沿って情報を追記・拡充できる。

② 情報の格納方法 情報を体系的に格納するために、『設備ツリー』に紐づけて情報を記録する。故障発生時は工程・装置などの上層にカルテを格納し、調査/分析で原因が特定できたら、その発生機器など下層にカルテを移動することができる。また、上位階層から下層の情報は全て一覧表示される。(特許出願中:「保全情報管理システム及び方法」)

③ その他の機能:全文検索、資料(図面)検索 KARTEMIX はキーワードによる全文検索や、図面検索の機能等を用意しており、類似装置・機器の情報や技術情報をすばやく引き出すことができる。

日常点検

情報収集

原因分析

精密診断

情報収集

原因分析

精密診断

設備カルテ

点検の画像

異音データ トレンドグラフ報告書

議事録

整備仕様

詳細報告書点検の画像

異音データ トレンドグラフ報告書

議事録

整備仕様

詳細報告書

★設備版の医療カルテ

劣化兆候

適切なタイミングで整備

整備情報

故障情報

診断データ

工場

設備

工程

エリア

装置追番

機器

装置

TAG-IDTAG-ID

設備カルテ

★保全業務の流れにそった階層にデータを記録

既存保全情報システムは最下層に情報を登録

機器仕様

図面

整備台帳

★キーワードによる資料の全文検索

★図面や関連資料の検索

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2014TPM優秀商品賞開 発 賞

無線式振動データ収集システム

富士フイルムエンジニアリング株式会社

1. はじめに 製造設備の日常点検は、実際に現場に行って五感点検することが重要であると共に、回転機器については、振動値の傾向を監視することが必要である。しかし、振動値の測定は手間がかかり、また、高所や回転体の近傍にあるなど危険を伴う場合もあり、測定が難しい。そこで日常の巡回点検時に、あらかじめ定刻で測定してある振動データを受信端末で収集できる無線式振動データ収集システム

。たし発開を)クッェチドンウラ(』KCEHCDNUOR『

2. 開発コンセプト 日常の回転機器の振動測定において、点検者に負荷をかけないこと、特殊な操作や、測定するための昇降動作、危険エリアへの進入などを排除することを実現するために、無線通信を用いて自動的にデータ収集する方式を採用した。また、振動測定が必要な箇所は工程内に多数あるため、安価で、かつ、配線などの工事を不要とし、簡単に設置できる製品とした。

3. ROUNDCHECKの特長 ROUNDCHECKは、振動値(加速度)を測定するために、測定対象に設置する『センサー端末』と、携帯しながらセンサー端末から無線でデータを収集する『収集端末』から構成される。振動データは、点検対象の傾向管理に必要な加速度とし、毎日設定した時刻にデータ収集する。① 日常点検時に安全・簡単にデータを収集 振動データは、設定された時刻に1日1回収集され、センサー端末に記録される。センサー端末に記録されたデータは日常点検実施者が収集用端末を持って近づくと(5m程度)、センサー端末から収集端末に記録されたデータが送信される。点検終了後、収集端末を USB で PCに接続し、専用ソフトを利用すると、点検時に収集した振動データを読み出すことができる。② 設置工事や煩雑な設定は不要 測定対象に常設される『センサー端末』は乾電池駆動であり、設置に際しての電源・通信工事、測定の条件設定など複雑な設定は不要である。また、データの収集時刻は任意の範囲で設定でき、その結果、乾電池は1年以上交換不要となる。更に、データ収集時刻を限定することにより、毎日同じ時間に点検する習慣もつけることができる。

4. 設置事例 動力室に ROUNDCHECK を 80 台設置した結果、ハンディタイプの振動測定機では 2名で 5時間かかっていた測定が、日常の巡回点検と同時に、振動データを収集することが可能になり、1名で 30 分に短縮することができた。

5. 効果事例 実際に ROUNDCHECKによる異常兆候の事前検出事例を以下に示す。

 日々、振動測定をすることで、加速度値の急激な上昇や、除々に上昇する傾向を捉えることが可能であり、計画的に対応することで、突発故障を未然に防止できた。

10.0

9.0

8.0

7.0

6.0

5.0

4.0

3.0

2.0

1.0

0.02012/7/10 2012/10/18 2013/1/26 2013/5/6 2013/8/14 2013/11/22 2014/3/2 2014/6/10 2014/9/18 2014/12/27

急激に振動値上昇 ⇒ 監視強化計画的に整備日を設け実施

整備後

ブロワー軸受 加速度(m/S2)

10.0

9.0

8.0

7.0

6.0

5.0

4.0

3.0

2.0

1.0

0.02013/8/14 2013/10/3 2013/11/22 2014/1/11 2014/3/2 2014/4/21 2014/6/10 2014/7/30 2014/9/18

振動値上昇により点検…油浴軸受シールからの油もれにより油レベル低下発見。給油しながら稼働中

 次回の休止日に整備を計画

ファン軸受 加速度(m/S2)

具体的導入事例(動力室 80台)

5時間(2名)⇒ 30分(1名)

2014TPM優秀商品賞実 効 賞

ボルト磨き装置

Lラ

a-閃せん

技ぎ

株式会社中部プラントサービス

1. はじめに プラントの各機器には多数のボルトが使用されており、それらの多くは分解点検の度に磨いて手入れし、再使用されています。 このボルト磨き作業は、手作業が主流であり、時間・労力を要するほか、作業環境が悪いなど典型的な 3K作業ともいえる状況の中での作業となっています。 そこで、作業の効率化、作業環境や作業性の改善を目的として、ボルト磨き装置「La-閃技」を開発しました。

2. 装置の概要 La-閃技は、2組のホイールブラシの間にボルトを通して磨く装置で、寸切りボルト、頭付きボルトのどちらも磨くことができます。(1)寸切りボルトの磨き方 ボルトをブラシ間に少し挿入すれば、自動的に磨かれてブラシから排出されます。

(2)頭付きボルトの磨き方 ボルトをセットして、フットペダルを踏めば、自動的に磨かれ、手前に戻ってきます。

3. 特 徴(1)磨きが早い 従来の手作業との当社比では、約 1 / 10の作業時間で磨くことができます。例:寸切りボルト M16 × 100 では、約 6秒/本

(2)作業環境を改善 集塵機能があるため、周囲への粉塵の飛散がありません。また、ブラシが低速で回転するため、ブラシワイヤの飛散もありません。

(3)サイズ変更が簡単 ボルトサイズが異なる場合には、ハンドルを廻すだけでサイズ変更可能です。

(4)段取り替えが簡単 寸切りボルトと頭付きボルトの段取り替えは、工具なしで簡単に行うことができます。

(5)高い磨き性能 経験によらず、誰でも全体を均一に磨くことができます。

(6)ブラシが長寿命 ブラシの耐久性が良く、ランニングコストを低く抑えることができます。

4. 仕 様

寸切りボルトを磨く場合

ホイールブラシ

寸切りボルト

ブラシ間に入れるだけ

対象ボルト 寸切りボルト、頭付きボルト

対象サイズ )B2(84M~)B8/5(61M

電 源 単相 100V,15A

圧 縮 空 気 0.3 ~ 0.7MPa

装 置 質 量 約 200kg

寸 法 W770 × D1,100 × H1,300mm

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2014年度TPM優秀論文賞

【テクノロジー部門 第2席】

「安定ポケット理論による  加工設備のダウンサイジング」

中井 典子 氏(ヤマハ発動機株式会社)

坂本 祐輔 氏(ヤマハ熊本プロダクツ株式会社)

審査員講評:本論文は、製造コストの大半を占める設備費に着目し、専用機を汎用機に置き換えることで、高品

質と低コストを両立する加工設備・加工条件についてわかりやすく解説している。特に、「設備・刃具等の道具の選定方法」、「切削条件などパラメータ設定方法」に安定ポケット理論を用いて見える化することにより、安価な汎用機で高精度・高能率切削を可能にした点を評価した。

審査員講評:本論文は、エネルギーの質までとらえて「新たな視点の考え方とあるべき姿まで示した」特筆すべ

き論文である。エネルギーの有効分(動力に変えることができる量でエクセルギー)評価方法を示し、具体的計算事例で読む人にも理解させた上で、個別の改善事例を紹介する構成も素晴らしい。2年前の「マネジメント部門 第1席」受賞論文をさらに発展させた素晴らしい内容である点を評価した。

【プロダクション部門 第1席】

「新たな視点での工場における  少・省エネルギーの取組み」

竹田 吉徳 氏(トヨタ自動車株式会社)

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2014年度TPM優秀論文賞

審査員講評:本論文は、保全改革(技術保全、自前保全、チーム保全)の内容がよくわかる論文である。人材育

成面を担保した上で、医療カルテの考え方を取り入れた保全情報システムを開発し、設備診断技術と融合させることで、故障半減と修繕費削減(70 ~ 80%大幅削減)を両立させている点を評価した。

【プロダクション部門 第2席】

「最新の劣化診断技術を核とした  設備情報システムの開発」

石野 晶裕 氏

(富士フイルムエンジニアリング株式会社)

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