tpm 設備保全 生産効率の個別改善 | 機械保全 | 予防保全

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生産効率化の個別改善 TPMの基礎 2014年11月4日 ク コンサルティング クレイン テクノ コンサルティング Crane techno Consulting. サイト URL:http://crane-techno.com/

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生産効率化の個別改善TPMの基礎

2014年11月4日

ク コンサルティング クレイン テクノ コンサルティング Crane techno Consulting.

サイト URL:http://crane-techno.com/

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3.生産効率化の個別改善

3.1 ・・・故障ゼロの改善 ・・・・・P34,35,36,37,38,39,40

3.2 ・・・段取りの改善 ・・・・・P41,42,43,44,45

3.3 ・・・刃具ロスの改善 ・・・・・P46,47,48,49,50,51

3.4・・・ 立ち上がりロス改善 ・・・・・P52,53

3.5・・・小停止改善 ・・・・・P54,55,56,57,58

3.6・・・速度低下改善 ・・・・・P59,60

3.7・・・不良ロス改善 ・・・・・P61,62,63,64,65,66

3.8・・・改善の原則 ・・・・・・P67

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3.1 故障ゼロの改善 3・1・1 故障に関する一般的な課題 (1)製造部門の関心が低い ・工数上、作業者に生産以外のことはやらせない ・安全上、設備に触れさせない ・仕組みができてない (2)故障解析の取り組みが弱い ・壊れた部位のスケッチが十分になされてない ・故障品を分解していない ・故障原因の追究が不十分、交換でのみで終了 ・再発防止、歯止め、水平展開がされておらず ・現場での故障解析が不十分

作業者は単に方法、必要性を知らない(教えてない)

ために点検ができないのであり、教育さえすれば楽しく仕事をするものである。

保全者は機構、構成部品、部品機能などを知らない(教えてない)

また、原因追求の一般的な手法(なぜなぜ分析)がわかってない

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(3)保全システムとその運用が弱い

・点検周期・点検箇所・点検方法・判断基準などの基準不備

・部品交換、給油等が一目でわかる保全カレンダーの不備

・故障の履歴システム

(4)予知保全に対する取り組みが弱い

・予知保全は設備について定期的に状態及び測定値の変化を観測し異常を判定

する方法(簡易診断と精密診断がある)

・簡易診断の定着後、精密診断を実施

・精密診断・・・振動量、電流負荷、タイミング、動作時間、温度、音等を数値化

し、管理し変化点を常時把握できる体制にする

正しく数値化されたDATAがなければ管理はできない!

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3・1・2 故障低減の考え方 (1)故障の分類整理 ・簡単な故障と困難な故障を分類し、簡単な故障を優先して対策し低減させる ・分類・層別方法・・・ライン/発生箇所/故障モード/原因別等 (2)故障解析 ・設備に加わるストレス→機械、電気ストレス+温度・湿度・振動・粉塵

故障の原因:

・基本条件の不備

・使用条件を守らず

・劣化の復元しない

・スキル低下

・設計の強化不足

機械強度<ストレス

の時に故障発生

全て人の行動であり、教育して考え方、行動を変える

故障の原因は全て人の行動であり、教育し、行動を変える

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3・1・3 故障解析の進め方 ①現象の明確化:

現場にての現物を確認しての調査を行う、記録する。

②一時処理:

破損部品の交換、但しこれが真の故障対策でない!

③原因追求の準備:

故障した設備、部品の説明書、システム構成図等を用いて

機能、構造、使用方法を理解する

④原因追求:

故障の原因をなぜなぜ分析で徹底的に追求する

⑤対策:

不具合箇所の復元、改善を即時、実施、又、水平展開を行う。

⑥歯止め:

再度、同様な故障が発生しないよう点検基準の見直し、検出能力の向上

について検討する

破損部品交換から真の対策、改善へ

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3・1・4 故障対策の重点項目 1)清掃:

・ゴミ、汚れ、異物による設備の強制劣化の防止

・設備の磨耗、ガタ、キズ、ユルミ、変形、漏れ、亀裂、および温度

、振動、異常

音等の潜在欠陥を顕在化

2)給油:

・焼付け、磨耗、温度上昇の防止

3)増締め:

・ボルト・ナット等の締結部品の脱落、折損、ユルミ防止

・ガタがガタを呼ぶ

4)使用条件の遵守:

・使用条件を明確にし遵守する

5)劣化の復元:

・劣化の早期検知・・・定期点検にて発見

・劣化の復元 ・・・整備基準

6)設計上の弱点改善

7)運転、保全の技能向上

清掃、給油、増締めが基本

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なぜなぜ分析

ライン 発生日時   年   月    日 停止時間設備名 復旧日時   年   月    日 故障区分 偶発 再発 現象 略図 結果 良否 処置発生状況

×

OK

×××

応急対応者:1.なぜ(調査結果原因) 2.なぜ(1なぜの原因) 3.なぜ(2なぜの原因) 4.なぜ(3なぜの原因) 5.なぜ(4なぜの原因)

(予定  / 完了  / ) 項目 区分 担当 予定 完了ワンポイントレッスン 要否基準書への反映 要否対策の水平展開 要否

係長コメント 作業長コメント エフ有無

再発防止

内容

課長コメント

なぜなぜ分析シート

調査項目

原因追求

設備・治具

材料

現象をありのままに描く

推定・想像では描かない

極力絵で描く

開始

故障発生場所の不具合について調査する

推定・想像では描かない

その結果を記録する写真をとると良いまた、壊れた部品を保管のこと

機械を早期に復旧させる

応急した内容を記録する

故障した箇所の機能、機構を学習する調査項目をすべてあげる 調査結果を記入

現場、現物で調査

調査の×についてのなぜを記載する

原因がふたつあるときは2つ、記入する

調査の×についてのなぜを記載する

調査の×についてのなぜを記載する

設備と人の対策を打つ 発見方

法 一目で異常がわかる発見方法を立案

上司のコメント終了原理・原則を理解し、現場、現物を確認し検討する!

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なぜなぜ分析の例

進行方向

コロコンB ベルコンC

  Why ? ④  Why ? ①

【不良現象図】

  Why ? ②

  Why ? ③

搬送乗り移り部でワー

クが倒れる

コロコン(B)とベルコン(C)の連結部でワーク(A)の重心位置が不安定になる

BとCに速度差がある

BとCに段差がある(規格:2mm以内)

BとCの間隔が大きい(規格:100mm以内)

Cが下がっている

Bが下がっている(5mm)

止めネジの緩み

床の変形

Bがずれている

Cがずれている(125mm)

足が床から浮いている

足が床に固定されてない

 ワーク

転倒

NG

OK

NG

OK

NG

NG

OK

NG

NG

OK

NG

NG

NG

NG

OK

NG

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3.2 段取りの改善

3・2・1 段取りに関する一般的な課題 (1)実態が把握されてない ・作業方法上の問題(手順、方法、作業者の技能) ・治工具の問題(治工具の形状、機構、精度) ・設備上の問題(精度、調整) ・技術上の問題(技術的に改善が必要な箇所) ・作業管理上の問題(評価)

(2)手順が不明確 ・手順化されてない ・手順が遵守されてない

(3)調整の検討不足と一発良品取りの未実施 ・調整の時間、比率は高いが検討されてない ・調整ゼロにより一発良品取りの検討不足

段取りの現状を把握しData化をする!

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3・2・2 段取りの改善 (1)整理整頓 ・治工具の定置管理 ・探さない、移動しない、使わない (2)外段取りと内段取りの明確化 ・外段取りと内段取りを区分して手順化 ・作業排除の検討 ・作業手順の見直し (3)内段取り→外段取り移管 ・プリセット化(事前組み立て、セットで交換) ・治具の共通化と切り替えワンタッチ化 ・調整の外段取り移管 ・仲介治具の採用・・・芯だし調整の排除 (4)内段取りの方法検討と時間短縮 ・固定方法の検討 ネジ固定→油圧固定 ・平行作業の実施 1人→2人作業 時間短縮 (5)調整の排除 ・調整の目的 ①位置決め ②芯出し ③寸法だし ④タイミング ⑤バラ

ンス ・調整の原因 ①誤差累積 ②標準化不足 ③剛性不足 ・調整の分析と一発良品取りの検討

探すムダ排除、手順化、調整の排除を検討する

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段取り改善の着眼点 ・探さない ・工具 ・場所 ・置き方 ・整理・整頓

外段取り ・移動しない ・作業手順・使わない

付帯設備の事前準備 ・治具のプリセット ・計測器具 ・型の予熱・治具のプリセットプリセット化

作業面 ・手順方法の統一 ・作業分担 ・作業の有効度内段取り ・やり直しの排除 ・平行作業  ・作業の簡略化  ・人員

・基本作業の徹底 ・組み付けの簡易化 ・組み合わせ・統合 排除

型治具 ・締め付け方法 ・締め付け工具の減少 ・型・治具の形状・機構の検討 ・仲介治具の採用・型・治具の採用 ・型・治具の共通化・型・治具の部品的共通化 ・互換性 ・重量

調整 ・治具の精度 ・設備の精度 ・基準面のとり方・調整の排除 ・計測方法 ・簡易化ための方法

・調整方法の手順化 ・数値化 ・選択化 ・標準化・ゲージ化  

5S、事前準備、手順化、治具化、調整

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調整の分析と一発良品取り

   ・目盛りの繰り返し精度は?   ・刃具の精度はどうか?   ・治具の精度はどうか?   ・基準面はどこか、その精度はどうか?   ・基準面からの寸法は基準化されているか?

   ・誤差の累積  ・機構上   ・標準化     ・剛性不足

調整の分析

現状にて調整を必要とする理由

調整を原理的に分析

それは何が原因か

 

設備の機構設備の精度治具の精度組み付け度の精度

相互関係独立・従属

可能性の検討

・試行錯誤による 最適解・機構上のもの・剛性不足のもの

・誤差累積・標準化・機構上もの・剛性不足のもの

関連分析 影響度調査

避けられるもの 避けられないもの

一発良品取り 手順化 数値化スキルアップ

調整の排除で一発良品取りを!

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段取り替えの改善手順 ・治工具の形状・機構・精度・付帯設備との関連

・調整内容 ・治具の機能追求と・調整理由    形状変更の検討

・作業時間・手順 ・調整排除 ・機構の検討・時間 ・治具・設備との関連 ・共通化の検討・調整方法・内容 ・プリセット化・各作業者の有効度・ABC分析

・設備制約を考慮した目標・設備改善を考慮した目標

・工具類・場所・運搬器具

・外段取りすべき作業・内段取りすべき作業

・方法・方法、タイミング・作業者、スペア部品

・内段取り作業手順、方法統一

作業分析

目標設定

準備事項の検討

内段取りと外段取り区分

内段取りの手順の設定

調整の研究 設備・治具の研究

改善案のまとめ

新作業手順の設定

内段取りと外段取りへの研究

極限値のみきわめ

分析、目標、事前準備、外内の区分、手順化、改善の手順で進める。

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3.3 刃具ロスの改善

   被削剤

・被削剤のバラツキ

(材質、硬度、厚さ)

 切削工具

・切削工具材質の

         バラツキ

・切削工具寸法の        バラツキ

チップホルダー ・ホルダー系の       自励振動は? ・チップホルダーの        取付け?

  加工条件

・速度、回転、送りムラ 

     設備・異常振動

 

・油圧系統からくる       アンバランス

    人

・切削工具に対する

         知識不足

・切削工具交換技能 ・切削工具の取り扱い

刃具寿命要因

レシピ表

3.3.1-刃具ロスの一般的な課題

(1)刃具の寿命

・刃具の材質、形状

・切削条件(切り込み、速度)

・製品材質、硬度

・製品要求品質

(寸法精度、面粗さ)

・設備の剛性

加工点である刃先を診よ!

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(2)定数交換条件が守れない。 理由: ・基準があいまい ・チッピング(磨耗)が発生 ・品質が悪化、勝手に交換 (3)無人運転を阻害する 理由: ・品質がバラツク ・刃具寿命短い、8時間もたない ・チョコ停止が発生する (4)刃具費の低減 問題点: ・使用してない旧チップが保管 ・刃具費の管理指標がない ・刃具の種類が多い ・チップの入出庫管理がルーズ ・チップの使用履歴記録がない ・チップの磨耗度管理がされてない(使用できるのに交換、使用できないの

に使用)

定数条件厳守、無人運転のネック要因、刃具費を低減!

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刃具寿命予測

初期磨耗 定常磨耗       急激磨耗

VB:逃げ面摩耗(フランク磨耗)幅

Kt:すくい面摩耗(クレーター磨耗)の深さ

切削時間

刃具寿命点

逃げ面磨耗

1.刃具寿命の形態

①刃具の磨耗・・・刃具が切削抵抗により

磨耗し、基準寸法が維持できできないため

に交換、理想的は状態。

バラツキ要因:取り付け寸法(清掃)、締め付け

トルク、部品精度アップ、剛性

②刃具の切損・・・刃具が切損したために交換

する場合、チッピング、欠損、破損の3つの現象がある。

欠損検出・・AE、電流負荷による予知検出

③品質悪化・・・共振、面祖度が悪化し不良品が増加した

ためにやむなく刃具を交換

原因:ワークと刃具加工点で刃具の切れ味変化し微振動が発生するため。

刃具の磨耗、刃具の切損、品質悪化がある

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刃具寿命延長の進め方

1.切損を確実に検出(Level1)

・刃具の切損を検出できる仕組みとその活用を図り、不良品を最小限に食い止め、

後工程に流さない。

2.刃具寿命の平均値を向上((Level2)

・チップホルダーの清掃

・チップホルダー精度確認、維持

・締め付けトルクの均一化、確認、維持

・刃具&ワーク当たり面の精度、確認、維持

・取り付け時のチップ、ホルダーの清掃及び確認

・決められた切削条件の維持

・一発良品取りの実施(交換後の調整をなくす)

3.刃具寿命を予測する((Level3) ・刃具寿命を予知する仕組みをつくり、刃具を寿命の極限まで使いきる

・切削抵抗が増加 検知パラメーター→電流、電力、力率

切損検出、刃具寿命向上、刃具寿命予測の順で進める

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刃具平均寿命アップ 1.一般的に刃具寿命は切削熱に伴う熱摩擦によるものと考えられてきた。すなわち、切削スピード

が遅いほど、寿命は長くなり、早いほど短くなると。しかし、刃具は熱磨耗の影響だけでなくワークを含めた主軸系のアンバランスのよる振動、刃具、ホルダー系の振動の共振による機械的な振動が刃具の磨耗に大きなウェイトを占めているのである。

2.刃具寿命は観点を変えて振動解析の面から刃具寿命の延長を図ることが必要である。すなわち、刃具の切削点の振動を測定し、現状の加工条件が最適かを検討する。

3.振動が最小となる切削スピード等の条件を見つければ刃具寿命が2倍以上延長される場合が多い。

周波数(Hz)

切削スピード150mm/min

切削スピード160mm/min

切削スピード170mm/min

共振発生

振動レベル

(mm/s

)

ホルダー系の共振動に留意せよ!

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刃具寿命・検知パラメータ

AE(Acoustic Emission)音響放出固体の変形や破壊に伴って内部エネルギが高周波として放出される現象。この音響波をもとに,構造物や砥石,切削工具などの破壊の予測を行う応用がなされている。

径大

径小 正常

振動

切削音

切削熱

負荷電流 AE信号

仕上げ粗さ切削抵抗

数値化

振動

AE

抵抗

寸法

電流

送り分力

背り分力

合力

主分力

音、振動、AE、抵抗、寸法、電流、熱を数値化し管理!

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3.4 立ち上がりロス改善 3.4.1. 立ち上がりロスの一般的な課題 (1) 理論的研究不足: 立ち上がりの現象・・・寸法バラツキのため調整を繰り返す、機械の異常 動作による刃具損傷 *熱変位・・設備の稼動に伴う熱変化により、設備の構成部品の一部が膨張・収

縮 して、XYZのいずれかの方向に伸縮する現象によりワークと加工点(刃具等)の

相対 位置が変わることである。 (2) 基準がない: ・空運転の基準がなく、経験と勘で実施

・熱変位の意味を理解しているか?

・どの部位でどの程度発生するか、測定したことがあるか?

・ワーク寸法変化は無調整でいつ安定するか?

・最低、何分間の空運転が必要か?

・熱変位に対して工作メーカーの見解は?

熱変位を理解し、現場を確認せよ!

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3.4.2 立ち上がりロス改善の考え方

(1)測定:

・設備の長時間停止から稼動を開始して品質が安定するまでの

主軸、テーブル等の温度変化を測定する。

(2) 材質検討:

・熱変位を最小にするための材質を工作メーカーに相談して検討す

る。

(3)発生部を冷却

・冷却ファン等で熱を冷却する

(4)自動補正

・変位量をあらかじめ見込んで自動補正する

発生原因、熱変位曲線、安定するまでの時間を究明!

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3.5 小停止改善

3.5.1. 小停止ロスの一般的な課題 (1)ロスとしての顕在化が不十分: ロスの大きさに気がついていない場合が多いので問題が顕在化されていな

い。 ロスの定量的な測定が必要である。 (2)対処の仕方が悪い: 小停止の低減の仕方が悪く、その場限りの応急処置に終始している。 (3) 現象の見極め方が不十分: 現場にて長期間、観察、分析、層別することが大切。 (4)無人運転のための解決すべき課題: 小停止のMTBF(Mean Time Between Failure :平均故障間隔)

現場にて観察、分析、層別し究明せよ!

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3.5.2. 小停止減少の考え方 (1)現象解析とワークの挙動解析: 現場を正しく観察するためにはビデオを利用し、小停止の現象を正しく観察し発生

メカニズムを検討。 その際、ワーク挙動(動き、姿勢、角度、浮き、振動)を良く観察する。 (2)微欠陥の是正: 製品の接触面の関する各部品、治具の微欠陥を発見し、是正することである。 発見する方法としては外観形状的に微小なものを見つけ出す観察、分析の精度アップが

必要である。 (3)基本条件の徹底: 清掃、給油、増締めの十分に行う。 (4) 基本作業の徹底 正しい操作、段取り、調整を行う。 (5)最適条件の検討: 部品、ユニットの取り付け条件、加工条件の見直しとその最適化を検討 (6)弱点研究: 設備、部品、治具、検出システム等の設計上の問題点を検討

ビデオを活用しワークの動きを把握せよ!

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小停止の現象分類と原因分類

1.詰まる 1.材料・部品に起因するもの

2.引っ掛かり (1)寸法不良搬送系 3.咬む込み (2)外観形状不良

4.ブリッジ (3)異種混入5.部品きれ (4)磁気の有無6.供給不足7.供給オーバー 2.搬送・供給系に起因するもの8.脱落 (1)シュート形状不良9.挿入ミス     形状、表面状態、キズ、汚れ、繋ぎ部分の平坦度

(2)パーツフィーダー関係(振幅、共振、バランス、最適供給量、取り付け状態)

(3)姿勢制御関係(方式、部品との適合性、供給量)

1.潰れ、破損 3.組み立て系に起因するもの2.2枚取り (1)治具精度

組立系 3.チャキングミス (2)組み付け精度4.タイミングミス (3)部品精度5.組み立て不良 (4)タイミング6.排出ミス

4.現場管理に起因するもの(1)段取り替えの調整ミス(2)セッテイングミス

1.誤動作 5.検出系に起因するもの(1)検出システム自体

検出系 (2)センサーの取り付け方法、位置(3)適正感度条件(4)調整不良(5)タイミング(6)使用条件

現象分類 原因分類

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小停止・改善のアプローチ

改善の対象

1.微欠陥の是正 1.外観的 (キズ、磨耗)

2.寸法的 (必要な寸法精度、クリアランス)3.作動 (ガタ、芯ずれ)

2.現場の基本原則 1.清掃 (汚れ、ガタ)  の徹底 2.給油 (汚れ、磨耗)

3.増締め (ゆるみ)3.基本作業の徹底 1.正しい操作

2.段取り作業 (調整の仕方、セッテイング)3.設備の見方 (異常の見つけ方)

4.最適条件の検討 1.取り付け条件 (角度、位置、共振、エアー圧、真空度、振幅)

2.加工条件 (最適供給量)

5.あるべき姿の検討 1.要求される精度(部品精度、組み付け精度)の限界2.使用条件(適正使用範囲)

6.弱点研究 1.部品形状にマッチした設計(形状変更)2.部品選択(材質・機能から変更)3.機構、システムの検討

改善の考え方

微欠陥是正、基本原則遵守、基本作業徹底、最適条件検討、あるべき姿検討、弱点研究

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小停止低減の進め方

1.現象の確認 ・発生傾向

・現象層別・VTR・高速度VTR・ワークの挙動

2.微欠陥 ・ワークの接触面の微欠陥の摘出と復元

・汚れ ・キズ・レベル ・芯ズレ・偏磨耗 ・ユルミ・ガタ

3.最適化 ・タイミング ・クリアランス・取り付け角度 ・部品単体精度・真空圧 ・組み付け精度・振動 ・切粉の状態・加速・減速のタイミング・センサーの適応性・センサーの取り付け位置・シュートの形状・クーラントの状態・エアーブローの状態・位置きめ機構

4.効果の確認 ・一般的に30~50%減少・発生部位の変化・現象の変化・MTBF

5.PM分析の実施6.機構の検討 ・現状の機構の弱点研究

項目 内容

現象確認、微欠陥検出と復元、最適化、効果確認、PM分析、機構検討

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3.6 速度低下ロス改善 3.6.1 速度低下ロスの一般的な課題 (1)設備の仕様があいまい

設備の速度限界がわからないで稼動し不良、故障を発生

(2)仕様スピードに達成していない

過去のトラブルで速度低下した状態のまま、稼動している

(3)速度アップに対する問題点が顕在化されてない

速度アップにより潜在していた問題を発見しその原因を追及する

(4)エアカットタイム、アイドルタイムの見方が甘い

エアーカット・タイム→加工が完了しても空運転している時間

アイドル・タイム →ひとつの作業から次の作業に移行する際に生じる空き時間

*1秒以下まで測定できる測定器にて小さな空き時間をDataとしてまとめ、問題点を顕在化する。

(5)動作、回転速度に対する見方があまい

動作が遅い、動作がスムーズでないのにそのまま放置している

(6)理論的なアプローチが弱い

理論値から現在のスピード限界を求め、比較しさらに設計改善の参考とする

現状の設備を把握しData化せよ!

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3.6.2 速度低下改善の考え方 (1)トラブルの真の原因を把握 実験的に速度をアップする。

①Cpの変化? ②従来にない不良項目は? ③刃具の寿命は? ④小停止の発生件数は? ⑤不良の発生比率は? *悪化した要因を調査し対策を打つ。

(2)動作の有効性をチェクする ①エアーカットタイムの短縮 ②アイドルタイムの短縮 ③動作時間の短縮 ④平行作業による時間短縮 *設備機構、部品構成、タイミング、サイクル線図もとに改善を行う。

『エアーカットタイム、アイドルタイムの短縮』 『動作時間の削除、短縮』

a a 削除 a

b b b時間短縮

c c c 時間短縮d d d

エアーカットタイム

アイドルタイム

『平行作業の実施』

時間→ 時間→ 時間→

エアーカットタイム・アイドルタイム・動作時間の短縮・平行作業の検討

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3.7 不良ロス改善 3.7.1 慢性不良の一般的な課題 (1)対策をしているが良化しない為、放置 ①アプローチの仕方が間違っている

慢性不良の原因は数多くあり、そのつど原因が変化するのでその中の幾つかだけを対策しても効果が少ない場合が多い、“理屈で考えてあやしいもの”について全て対策を打つことが必要である

②技術者の犯すミス 技術者は自分の専門領域でしか物事を考えないためにミスを起こしやすい *技術者は現場を見る目(作業、調整、段取り、設備)を養い、変動要素がどこ

にあるかを見 抜く力が必要である

(2)要因捉え方及び究明の仕方に問題がある ①慢性不良の要因のアプローチが間違っている

現象の見極め方、解析不十分のため、真の要因を見逃している

②要因究明の仕方が間違っている

欠陥を欠陥として取り上げず欠陥が現象に影響しないと判断ミスしている

“理屈で考えてあやしいもの”について全て対策を打つこと

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3.7.2 慢性不良低減の考え方

(1)変動要因の固定化

要因とは?:現象に論理的に影響を与えられると考えるもの

原因とは?:現象に直接、間接的に影響を与えたと証明されるもの

定義 具体例 変動タイム

変動要因 常時、要因が変動するもの 清掃が悪い 秒、分、時間

分解、組み立てが悪い加工条件が悪い設備、治具の精度不足

半固定要因 要因が変動しないもの 設備、治具の精度不足(復元後) 0.5~2年

固定要因 要因が変動しないもの アライメント(調整)不良 5~6年

【要因の分類】

“変動要因”を半固定化する為、復元せよ!

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(2)比較研究 良品と不良品との違いがどこに、どのように、どの程度あり、それは何故かを十

分に 追求し、有意差を定量的、定性的に研究することである ①結果からの比較(製品比較) 製品面から形状、寸法、機能面での比較又は発生部位、時間的変動を比較検

討 ②プロセス比較 設備、治工具、金型についての比較研究で形状的、寸法的、表面粗さなどの違

いを検討 特に数値化してないものは測定方法の研究が急務である ③部品交換による比較 組み立て品の場合、不良に関係すると考えられる部品を相互に交換し、結果を

比較 研究するものである。また、設備の場合は部分的な交換による比較研究も考えら

れる *ポイント 分析の精度アップ----微妙な違いをどう発見するか? ・具体例:顕微鏡、ルーペ使用 測定方法の研究ーー ・具体例:表面粗さ計、ビジグラフ

“違い”を定量的に把握!

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33 全て、まとめて対策、改善し効果を確認する!

3)“ゼロ”にする考え方の適用---PM分析の適用

Ⅰ従来の改善の考え方 ①テーマ選定②目標設定③現状把握④要因解析⑤対策⑥結果の確認⑦歯止め

⑧今後の取り組み

“重点思考型”→不良を1/2、1/3に低減できる

不良率が高い場合(5~10%)、効果を発揮

Ⅱ”ゼロ“にする改善の考え方 ①不良層別②比較検討③機構検討④要因解析⑤対策立案⑥結果確認⑦PM分析

の実施⑧あるべき姿の追求⑨欠陥摘出と対策

“すべての欠陥を対象”→不良をゼロに低減できる

不良率が少ない場合(1%以下)、効果を発揮

すべての要因をリストアップし、欠陥の有無を確認し、

全て、まとめて対策、改善し効果を確認する。

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従来の改善の考え方とゼロにする為の改善の考え方

従来の改善の考え方 ゼロにするための改善の考え方

1.目標 ・1/2或いは1/3低減 ・ゼロ

2.考え方 ・重点思考で考える ・重点思考しない・大きく影響するものを潰す ・論理的に考えられる要因を対象とする・特定の要因に絞り対策する ・各要因について全て調査する

・欠陥があれば全て改善する・できればまとめて改善する・よくならない場合は基準の見直しをする・徹底的、執念を持って行う

3.アプローチ ・特性要因図 ・PM分析

4.その他 ・不良率が高い場合に適用 ・慢性不良、不良率が低い場合

重点思考→欠陥すべてを対策、改善!

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不良低減の進め方 項目 内容

1.不良現象の層別 ・ABC分析

・時系列データー

・Cp値

・傾向の有無

・無調整の時系列データー

2.他号機との比較検討 ・発生率

・機構

・精度

・段取り条件

・加工条件

・使用治具と精度

3.機構の検討 ・機構

・構成部品

・部品の機能

・スケッチの作成

4.要因解析 ・特性要因図による要因のリストアップ

・重点要因のリストアップと対策

5.対策立案

6.結果確認

7.PM分析の実施 ・現象の物理的な解析

8.あるべき姿の追求 ・維持すべき精度は

・仮基準の設定

・加工条件の検討

9.欠陥の摘出と対策 ・測定方法の検討

・微小欠陥の摘出

・精度調査

層別、比較、機構検討、要因解析、対策立案、結果確認、PM

分析、あるべき姿の追及、欠陥の摘出と対策!

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3.8 改善の原則 • Eliminate--排除する。なくす。

• Combine--統合する

• Rerrange--入れ替える

• Simply--簡素化する

なくす、まとめる、入れ替える、簡素化するが改善の基本!

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関連サイト 品質管理、TPMをトヨタ式カイゼンで改善提案 - 匠の知恵 URL:http://takuminotie.com/

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クレイン テクノ コンサルティング Crane Techno Consulting

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参考文献: 1)中嶋清一監修:TPM展開プログラム,組立加工編 日本プラントメンテナンス協会 2) トコトンやさしいTPMの本 (B&Tブックス―今日からモノ知りシリーズ) 3)現場が主役のTPM―ムリ・ムダ・ムラをなくすための鉄則51 JIPMソリューション (編集)

2014年11月4日

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