3. pc鋼材の緊張力に対する検証 -...

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3. PC鋼材の緊張力に対する検証 3.1 等価緊張力の検証 PC鋼材に緊張力損失がないと仮定した場合、PC鋼材による等価緊張力は以下のように算出 できます。 ¾ 緊張材を直線に配置した場合 ej = 0.3m 1.0 m 1.0 m ei = 0.3m 10m 図 5. 緊張材を直線に配置した単純梁モデル 使用材料及び断面特性値は次のとおりです。 弾性係数(コンクリート)、Ec : 10,000 N/m2 弾性係数(鋼材)、Es : 150,000 N/m2 鋼材断面積、Ast : 0.01 m2 降伏応力度、fy : 100,000 N/m2 シース直径、dduct : 0.04 m 緊張応力、fso : 80,000 N/m2 ei : 0.3 m 偏心距離 ej : 0.3 m スパン長さ : 10 m 14

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3. PC鋼材の緊張力に対する検証

3.1 等価緊張力の検証

PC鋼材に緊張力損失がないと仮定した場合、PC鋼材による等価緊張力は以下のように算出

できます。

緊張材を直線に配置した場合

ej =

0.3m

1.0

m

1.0 m

ei =

0.3m 10m

図 5. 緊張材を直線に配置した単純梁モデル

使用材料及び断面特性値は次のとおりです。

弾性係数(コンクリート)、Ec : 10,000 N/m2

弾性係数(鋼材)、Es : 150,000 N/m2

鋼材断面積、Ast : 0.01 m2

降伏応力度、fy : 100,000 N/m2

シース直径、dduct : 0.04 m

緊張応力、fso : 80,000 N/m2

ei : 0.3 m 偏心距離

ej : 0.3 m

スパン長さ : 10 m

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► 理論的アプローチ及び計算結果

i) MIDASと同様に、ここでは1つの梁部材に対して各L/4位置での緊張力を計算して、

梁に作用する等価緊張力を算出します。PC鋼材の緊張力損失を無視すれば、梁の

各L/4位置で作用する緊張力は次のようになります。

4 2 3 4 800 NL L L LP P P P= = = =

ii) 図6に梁の単位区間(L/4区間)上に作用する力を示します。実際作用した外力は緊

張力なので、ここでは平衡条件によって以下の条件を満足しなければなりません。

ただし、分布荷重は長さに対して均一だと仮定します。

PjPiMi Mj

Vi Vjwz

wx

myPi Pj

図 6. 梁に作用する力

00

04

04

04

i i i i i i

j j j j j

x i j x

z i j z

y i j y

H P V M PeH P V M P

LF H H w

LF V V w

LM M M m

= = = −= − = =

= + + =

= + + =

je

= + + =

iii) 緊張材とシース面積分を考慮することにより中立軸は次のように移動します。

e

N.A OriginalModified N.A

e = 0.038845 m

∴ ei = ej = -0.26115 m

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iv) ここでPi=Pjで、ei=ejなので、

0x z yw w m= = =

となります。したがって、各区間における等価緊張力は図7のようになります。

図 7. 各区間に作用する等価緊張力

v) したがって、梁全体における等価緊張力は図8のようになります。

Mi

Pi

Mj

Pj

P = 800 N、 M = 208.92 N-m

図 8. 梁全体に作用する等価緊張力

vi) 断面力図

-800 N

0.0 N

-208.92 N-m

<S.F.D>

<A.F.D>

<B.M.D>

図 9. 断面力図

16

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► MIDASを利用したモデリング及び構造解析の結果

i) 入力モデル

図 10. 入力モデル図

ii) 入力荷重

図 11. 入力荷重図

iii) 解析結果

図 12. 断面力図

17

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► 理論的アプローチとMIDASを利用した構造解析結果との比較

[単位 : N、N-m]

検討位置 断面力 区分

I L/4 2L/4 3L/4 J

理論計算 -800.00 -800.00 -800.00 -800.00 -800.00

MIDAS -800.00 -800.00 -800.00 -800.00 -800.00 軸力

誤差 0.00 % 0.00 % 0.00 % 0.00 % 0.00 %

理論計算 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00

MIDAS 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 せん断力

誤差 0.00 % 0.00 % 0.00 % 0.00 % 0.00 %

理論計算 -208.92 -208.92 -208.92 -208.92 -208.92

MIDAS -208.92 -208.92 -208.92 -208.92 -208.92 モーメント

誤差 0.00 % 0.00 % 0.00 % 0.00 % 0.00 %

18

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緊張材を曲線に配置した場合

10m

1.0 m

0.3

m

1.0

m

0.3

m

図 13. 緊張材を曲線に配置した単純梁モデル

使用材料及び断面特性値は次のとおりです。

弾性係数(コンクリート)、Ec : 10,000 N/m2

弾性係数(鋼材)、Es : 150,000 N/m2

鋼材断面積、Ast : 0.01 m2

降伏応力度、fy : 100,000 N/m2

シース直径、dduct : 0.04 m

緊張応力度、fso : 80,000 N/m2

ei : 0.3 m 偏心距離

ecent

ej

: 0.3 m

: 0.3 m

スパン長さ : 10 m

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► 理論的アプローチ及び計算結果

i) MIDASと同様に、ここでは1つの梁部材に対して各L/4位置での緊張力を計算して、

梁に作用する等価緊張力を算出します。PC鋼材の緊張力損失を無視すれば、梁の

各L/4位置で作用する緊張力は次のようになります。

4 2 3 4 800 NL L L LP P P P= = = =

ii) ここで、各区間内でのPC鋼材の配置は線形と仮定します。

Pi

Pj

e

e

θ

θ

2ij

2

iji

2ij

2i

ji

)ee()4/L(

eesin

)ee()4/L(

4/Lcos

−+

−=

−+=

=

θ

θ

θθ

図 12. 線形に仮定された各区間内のPC鋼材配置

cos sincos sin

04

04

04

i i i i i i i i i

j j j j j j j j

x i j x

z i j z

H P V P M H eH P V P M H

LF H H w

LF V V w

θ θθ θ

= = − == − = =

= + + =

= + + =

je

y i j yLM M M m= + + =∑ 0

4LV

4LmMMM iyjiy =+++=∑

iii) 緊張材とシース面積分を考慮することにより中立軸は次のように移動します。

ここで、e0 = i、e1 = 1/4、e2 = 2/4を表します。

m3.0e,m1125.0e,m3.0e 210 −=−==

有効断面による中立軸移動後、

m33884.0e,m15134.0e,m26114.0e 21'0 −−==

となります。

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iv) ここで Pi=Pjで、 ji θθ = なので、

i

iji

jjiiyzx V

4/L)ee(P

V4/LePeP

m,0ww −−

=−+−

−===

となります。したがって、各区間における等価緊張力は図15のようになります。

図 5. 各 区間に 作用する 等価緊張力

P1

M1

P1

M2

V1

V1

P2

M3

V2

P2

M4V2 V2

V2

P2

M4

P2

M3 M1

P1P1

M2

V1

V1

m1 m2 -m2 -m1

図 15. 各区間に作用する等価緊張力

P1=789.328 N, P2=797.759 N, M1=206.125 N-m, M2=119.457 N-m, m1=1.758 N-m/m

V1=130.236 N, V2=59.838 N, M3=120.733 N-m, M4=270.313 N-m, m2=0.162 N-m/m

v) 断面力図

<B.M.D>

<S.F.D>

<A.F.D>

206.125 N-m

-130.238

-789.328 N-797.759 N

-59.840 N

59.840 N130.238 N

-119.457 N-m

-270.313 N-m

-120.733 N-m

206.125 N-m

図 16. 断面力図

21

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► MIDASを利用したモデリング及び構造解析の結果

i) 入力モデル

図 17. 入力モデル図

ii) 入力荷重

図 18. 入力荷重図

iii) 解析結果

図 19. 断面力図

22

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► 理論的アプローチとMIDASを利用した構造解析結果との比較

[単位 : N、N-m]

検討位置 断面力 区分

I L/4 2L/4 3L/4 J

理論計算 -789.328 -797.759 -797.759 -797.759 -789.328

MIDAS -789.328 -797.759 -797.759 -797.759 -789.327 軸力

誤差 0.000 % 0.000 % 0.000 % 0.000 % 0.000 %

理論計算 130.238 59.840 59.840 -59.840 -130.238

MIDAS 130.235 59.832 59.832 -59.832 -130.239 せん断力

誤差 0.002 % 0.013 % 0.013 % 0.013 % 0.001 %

理論計算 206.125 -120.733 -270.313 -119.457 206.125

MIDAS 206.127 -120.736 -270.316 -119.460 206.137 モーメント

誤差 0.001 % 0.003 % 0.001 % 0.003 % 0.006 %

23

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3.2 摩擦損失、定着具セット、リラクセーションによるPC鋼材の緊張力損失

緊張材を中立軸に配置した場合

図 18. 緊張材を 直線で 配置した 単純梁 モデル

10m

1.0

m

1.0 m

使用材料及び断面特性値は次のとおりです。

弾性係数(コンクリート)、Ec : 10,000 N/m2 定着具のセット量、lslip : 0.05 m

弾性係数(鋼材)、Es : 150,000 N/m2 リラクセーション係数、Crelax : 45

鋼材断面積、Ast : 0.01 m2 単位長さ当りの摩擦係数、k : 0.0066/m

降伏応力度、fy : 100,000 N/m2 角度変化に対する摩擦係数、μ : 0.3

緊張応力度、fso : 80,000 N/m2 t1 : 100 day

ei : 0.0 m スパン長さ : 10 m 偏心距離

ej : 0.0 m シース直径、dduct : 0.04 m

► 理論的アプローチ及び計算結果

i) 摩擦損失

)kl(

0lx ePP +−= µθ

緊張端( )での緊張力が分かっている場合、任意の位置(x)での緊張力は上式で

計算されます。角度変化を無視すれば、摩擦損失による緊張力は図19に示すような

指数関数の形で表されます。

0l

Pi

Pj

l L3L/4lL/2lL/4l l(m)

P(N)

l 0

図 20. 摩擦損失グラフ

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MIDASでは1つの梁部材に対して長さL/4の4つの区間ごとに応力を計算するので、

各L/4位置で緊張力を求めると以下のようになります。

4 2 3 4

4 2 3 4

4 2 3 4

0

2.5 m, 5 m, 7.5 m, 10 m

786.908 N, 774.031 N, 761.364 N, 748.905 N

L L L L

L L L L

L L L L

l l l lP P P P

θ θ θ θ θ= = = = =

= = = =

∴ = = = =

ii) 定着具セットによる損失

MIDASでは逆方向摩擦を考慮した定着具セットによる損失量を計算します。ところが、

実際緊張力の大きさは図20に示すように指数関数の形となっているので、逆方向摩

擦を考慮するには指数関数を積分して、そのエネルギー量を計算しなければなりま

せん。しかし、この指数関数はPC鋼材の角度変化量と長さの二つの変数からなって

おり、その積分とエネルギー計算は簡単ではありません。よって、MIDASでは指数関

数を線形で近似して逆方向摩擦エネルギーを計算します。各区間は図 21のように

直線で近似されるが、その誤差はさほど大きくありません。

L/4l L/2l

Pi

P(N)

3L/4l

Pj

Ll ll 0

近似された線形関数

指数関数

(m)

図 21. 摩擦損失グラフ

25

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iii) 図 21のように定着具セットによって逆方向摩擦を受けるPC鋼材の長さをlsetとして、

この長さが部材軸方向の4つの区間のどこに存在するかによって定着具セットによ

る損失を計算します。

図 22. 定着具セットによる損失グラフ

ΔPk

L/4l k-2l

P(N)

k-1l Ll ll k

¥ ¢¥ ¡

setl

l 0

ΔP2/2

ΔP1/2

(m)

① 区間iにある時 ( 0 4set Ll l l≤ ≤ )

( )

1

1 1

0 41

4

1

12

2

5.23680 N m

3.78440 m N.G.

set st st slip

set

L

L

st st sipset

Pl E A l

P p lP P

pl

E A ll

p

∆ =

∆ =−

= =

= =

ΔP1

lset

26

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② 区間iiにある時 ( 4 2L set Ll l l≤ ≤)

( )

( )

11 4

4 22 2 4 2

2 4

14 2 4 2 4

2

1 2

10 4 0

13.0920 N2

2 ,

12 2

3.80218 m (O.K.)13.4145 N

39.5985 N

760.4015 N, 773.4975 N2

L

L Lset L

L L

L L set L st st slip

set

L

P p l

P PP p l l p

l lP l P l P l l E A l

lPP P P

PP P P

∆= =

−∆ = − =

∆+ ∆ + ∆ − =

=∆ =∆ = ∆ + ∆ =

∆= = + =

ΔP1/2

setl

l L/4

ΔP2

残りのPL/2、P3L/4、PLに変化はありません。

iv) リラクセーションによる緊張力損失

リラクセーション損失量は次のように計算されます。

−=∆ 55.0,55.0)log( 01

y

si

y

si

relaxsi f

fff

Cttff

ここでfsiはリラクセーションによる損失が発生する前の応力で、tは経過時間(hr)を表

します。Crelaxはリラクセーション係数(本例題の場合 : 45)で、fy(100,000 N/m2)は降伏

応力度を表します。

したがって、各位置でのリラクセーションによる損失を考慮した緊張力は次のように

なります。

0 4 2

3 4

736.398 N, 757.857 N, 724.176 N,

685.939 N, 666.446 NL L

L L

P P PP P= = =

= =

27

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► MIDASを利用したモデリング及び構造解析の結果

i) 入力モデル

図 23. 緊張材を中立軸に配置した単純梁モデル

ii) 入力荷重

図 24. 緊張材を中立軸に配置した荷重図

28

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iii) 解析結果

① 摩擦損失による緊張力減少

Tendon:Tendon 1 Stage:Stage 1 Step:Last Step

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 5.5 6 6.5 7 7.5 8 8.5 9 9.5

674.014

694.014

714.014

734.014

754.014

774.014

794.014

814.014

834.014

854.014

874.014

Distance(m)

Tendon Force(N)

② 定着具セットによる緊張力減少

Tendon:Tendon 1 Stage:Stage 1 Step:Last Step

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 5.5 6 6.5 7 7.5 8 8.5 9 9.5

674.014

694.014

714.014

734.014

754.014

774.014

794.014

814.014

834.014

Distance(m)

Tendon Force(N)

29

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③ リラクセーションによる緊張力減少

コンクリートの弾性収縮によるPC鋼材の緊張力損失を考慮しない場合

e(N)

Fo

Tend

Tendon:Tendon 1 Stage:Stage 1 Step:Last Step

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 5.5 6 6.5 7 7.5 8 8.5 9 9.5

663.944

683.944

703.944

723.944

743.944

763.944

783.944

803.944

823.944

843.944

Distance(m)

on

rc

コンクリートの弾性収縮によるPC鋼材緊張力損失を考慮した場合(default)

Tendon:Tendon 1 Stage:Stage 1 Step:Last Step

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 5.5 6 6.5 7 7.5 8 8.5 9 9.5

665.107

685.107

705.107

725.107

745.107

765.107

785.107

805.107

825.107

845.107

Distance(m)

Tendon Force(N)

30

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► 理論的アプローチとMIDASを利用した構造解析結果との比較

[単位 : N、N-m]

検討位置 軸力 区分

I L/4 2L/4 3L/4 J

損失の要因

理論計算 800.000 786.908 774.031 761.364 748.905

MIDAS 800.000 786.908 774.031 761.364 748.905 摩擦損失

誤差 0.000 % 0.000 % 0.000 % 0.000 % 0.000 %

理論計算 760.402 773.498 774.031 761.364 748.905

MIDAS 760.402 773.494 774.031 761.364 748.905 定着具セット

誤差 0.000 % 0.001 % 0.000 % 0.000 % 0.000 %

理論計算 748.384 760.512 761.512 749.276 737.716

MIDAS 748.384 760.508 761.005 749.276 737.716 リラクセーション

誤差 0.001 % 0.067 % 0.000 % 0.000 % 0.001 %

31

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緊張材を曲線に配置した場合

10m

1.0 m

0.3

m

1.0

m

0.3

m

図 25. 緊張材を曲線で配置した単純梁モデル

使用材料及び断面特性値は次のとおりです。

弾性係数(コンクリート)、Ec : 10,000 N/m2 定着具のセット量、lslip : 0.05 m

弾性係数(鋼材)、Es : 150,000 N/m2 リラクセーション係数、Crelax : 45

鋼材断面積、Ast : 0.01 m2 単位長さ当りの摩擦係数、k : 0.0066/m

降伏応力度、fy : 100,000 N/m2 角度変化に対する摩擦係数、μ : 0.3

緊張応力度、fso : 80,000 N/m2 t1 : 100 day

ei : 0.0 m スパン長さ : 10 m 偏心距離

ej : 0.0 m シース直径、dduct : 0.04 m

► 理論的アプローチ及び計算結果

i) 摩擦損失

各L/4位置での緊張力は次のとおりです。

4 2 3 4

4 2 3 4

4 2 3 4

0.0421, 0.1745, 0.3105, 0.3561

2.5340 m, 5.0429 m, 7.5518 m, 10.0859 m

776.858 N, 734.345 N, 693.409 N, 672.643 N

L L L L

L L L L

L L L L

l l l lP P P P

θ θ θ θ= = = =

= = = =

∴ = = = =

32

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ii) 定着具セットによる緊張力の損失

逆方向摩擦を受けるPC鋼材の長さをlsetとして、この長さが部材軸方向の4つの区

間のどこに存在するかによって定着具セットによる緊張力損失を計算します。

L/4l k-2l

P(N)

k-1l Ll ll k

¥ ¢¥ ¡

(m)

setl

l 0

ΔP1/2

ΔP2/2

ΔPk

図 26. 定着具セットによる緊張力損失グラフ

① 区間iにある時 ( 4/0 Lset lll ≤≤ )

( )

1

1 1

0 41

4

1

2

9.13260 N m

2.86572 m N.G.

set st st slip

set

L

L

st st sipt

Pl E A l

P p lP Pl

E A lp

∆ =

∆ =−

= =

= =

12

se

p

l

lset

ΔP1

33

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② 区間iiにある時 ( 2/4/ LsetL lll ≤≤ )

( )

( )

11 4

4 22 2 4 2

2 4

14 2 4 2 4

2

1 2

10 4 0

23.1420 N2

2 ,

12 2

2.71782 m (O.K.)6.22962 N

52.5136 N

747.4864 N, 770.6284 N2

L

L Lset L

L L

L L set L st st slip

set

L

P p l

P PP p l l p

l lP l P l P l l E A l

lPP P P

PP P P

∆= =

−∆ = − =

∆+ ∆ + ∆ − =

=∆ =∆ = ∆ + ∆ =

∆= = + =

setl

l L/4

ΔP2

ΔP1/2

残りのPL/2、P3L/4、PLに変化はありません。

iii) リラクセーションによる緊張力損失

リラクセーション損失量は次のように計算されます。

−=∆ 55.0,55.0)log( 01

y

si

y

si

relaxsi f

fff

Cttff

ここでfsiはリラクセーションによる損失が発生する前の応力度で、tは経過時間(hr)を

表します。Crelaxはリラクセーション係数(本例題の場合 : 45)で、fy(100,000 N/m2)は降

伏応力度を表します。

したがって、各位置でのリラクセーションによる損失を考慮した緊張力は次のように

なります。

0 4 2

3 4

736.398 N, 757.857 N, 724.176 N,

685.939 N, 666.446 NL L

L L

P P PP P= = =

= =

34

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► MIDASを利用したモデリング及び構造解析の結果

i) 入力モデル

図 27. 緊張材が曲線に配置されたモデル図

ii) 入力荷重

図 28. 緊張材が曲線に配置された荷重図

35

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iii) 解析結果

① 摩擦損失による緊張力減少

Tendon:Tendon 1 Stage:Stage 1 Step:Last Step

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 5.5 6 6.5 7 7.5 8 8.5 9 9.5

605.372

655.372

705.372

755.372

805.372

855.372

Distance(m)

Tendon Force(N)

② 定着具セットによる緊張力減少

Tendon:Tendon 1 Stage:Stage 1 Step:Last Step

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 5.5 6 6.5 7 7.5 8 8.5 9 9.5

605.372 625.372

645.372 665.372

685.372 705.372

725.372 745.372

765.372 785.372 805.372

825.372 845.372

Distance(m)

Tendon Force(N)

36

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③ リラクセーションによる緊張力減少

Tendon:Tendon 1 Stage:Stage 1 Step:Last Step

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 5.5 6 6.5 7 7.5 8 8.5 9 9.5

599.795 619.795

639.795 659.795

679.795 699.795

719.795 739.795

759.795 779.795 799.795

819.795 839.795

Distance(m)

Tendon Force(N)

37

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► 理論的アプローチとMIDASを利用した構造解析結果との比較

[単位 : N]

検討位置 軸力 区分

I L/4 2L/4 3L/4 J

損失要因

理論計算 800.000 776.858 734.345 693.409 672.643

MIDAS 800.000 776.849 734.356 693.416 672.635 摩擦損失

誤差 0.000 % 0.001 % 0.001 % 0.001 % 0.001 %

理論計算 747.486 770.628 734.345 693.409 672.643

MIDAS 747.477 770.628 734.346 693.416 672.653 定着具セット

誤差 0.001 % 0.000 % 0.000 % 0.001 % 0.001 %

理論計算 736.398 757.857 724.176 685.939 666.446

MIDAS 736.389 757.857 724.177 685.946 666.439 リラクセーション

誤差 0.001 % 0.000 % 0.000 % 0.001 % 0.001 %

38

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3.3 段階別の緊張時、弾性収縮によるPC鋼材緊張力の損失

10m

1.0

m

1.0 m

Tendon 1, 2

図 29. 緊張材を中立軸に配置した単純梁モデル

使用材料及び断面特性値は次のとおりです。

弾性係数(コンクリート)、Ec : 10,000 N/m2 定着具のセット量、lslip : 0.05 m

弾性係数(鋼材)、Es : 150,000 N/m2 リラクセーション係数、Crelax : 45

鋼材断面積、Ast : 0.01 m2 単位長さ当りの摩擦係数、k : 0.0066/m

降伏応力度、fy : 100,000 N/m2 角度変化に対する摩擦係数、μ : 0.3

緊張応力度、fso1 : 50,000 N/m2 t1 : 0 day

断面積、A0 : 1 m2 t2 : 0 day

ei : 0.0 m スパン長さ : 10 m 偏心距離

ej : 0.0 m シース直径、dduct : 0.04 m

► 理論的アプローチ及び計算結果

i) 初期緊張力

弾性収縮による損失を除いて緊張力損失がないと仮定すると、要素内部の緊張力

はすべて50,000N/mとなります。

ii) 定着具セットによる緊張力損失

2回目の緊張による弾性収縮量を決めます。

tendon 01

c eq

P LE A

∆ =

ここでEcは部材の弾性係数、AeqはPC鋼材の面積を考慮した等価断面積です。Aeqは

次式によって計算されます。

( ) steq g st

c

1 , EA A n A nE

= + − =

39

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したがって、2回目にPC鋼材が緊張されて定着された後の等価断面積Aeqは次のよ

うになります。

( )( ) 2

eq 1 15 1 0.01 0.01 1.28mA = + − + =

部材の弾性収縮量は次のように求まります。

( )1

50000 0.01 100.390625m

10000 1.28− × ×

∆ = = −×

これより1回目に対して、2回目の緊張による緊張力損失は次のようになります。

11

0

58.59375 Nst stP E Al∆

∆ = = −

ところが、PC鋼材の緊張力が減少すればPC部材に作用する断面力も減少されます

ので、その収縮量は減少します。こういった2次的変形の大きさを考慮するためには

繰り返し計算を実行する必要があります。このときの収縮減少量は次式で計算され

ます。

1 12

c eq

PLE A∆

∆ =

緊張力増加は次のように計算されます。

2 11 12 1

1 1

6.86646 Nst stst st st st

c eq c eq

E A LPLP E A E A l PE Al E A l

∆ ∆∆ = = − = − ∆ =

1

以上の計算を緊張力の変化量がほぼ0となるまで繰り返し計算します。

23 2

2

34 3

3

0.80466 N

0.09430 N

st st

c eq

st st

c eq

E A LP PE A lE A LP PE A l

∆ = − ∆ = −

∆ = − ∆ =

したがって、最終的なPC鋼材の緊張力は次のようになります。

( ) ( )0 1 2 3 4

500 58.59375 6.86646 0.80466 0.09430447.56235 N

finalP P P P P P= + ∆ + ∆ + ∆ + ∆

= + − + + − +

=

40

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► MIDASを利用したモデリング及び構造解析の結果

摩擦損失、定着具セット及びリラクセーションによる緊張力損失を無視して、MIDAS

プログラムを利用して弾性収縮による損失量を算定します。

i) 入力モデル

図 30. 緊張材が中立軸に配置されたモデル図

ii) 入力荷重

図 31. 緊張材が中立軸に配置された荷重図

41

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iii) 解析結果

Tendon:Tendon 1 Stage:Stage2 Step:Last Step

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 5.5 6 6.5 7 7.5 8 8.5 9 9.5

402.806

422.806

442.806

462.806

482.806

502.806

522.806

542.806

Distance(m)

Tendon Force(N)

► 理論的アプローチとMIDASを利用した構造解析結果との比較

[単位 : N]

検討位置 軸力 区分

I L/4 2L/4 3L/4 J

損失要因

42

理論計算 447.562 447.562 447.562 447.562 447.562

MIDAS 447.562 447.562 447.562 447.562 447.562 弾性収縮

誤差 0.000 % 0.000 % 0.000 % 0.000 % 0.000 %