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3.コンピュータネットワークとその機能
1. コンピュータネットワークの発展経緯
2. コンピュータネットワークの基本的考え方
3. OSI参照モデルと基本機能
4. TCP/IP参照モデルと基本機能
5. ネットワークアーキテクチャ基本技術
コンピュータネットワークの発展経緯
• 1950年代:半自動防空システムSAGE– US防衛システム,有線と無線回線
• 1960年代:座席予約システムMARS
– データ通信システム
• 1960~70年代: TSSシステム– IBM360/370
• 1969年:コンピュータネットワークARPANET– IMP(Interface Message Processor)を介して接続
– ネットワークアーキテクチャ
– 遠隔資源の共有
– 分散ネットワークシステム
– 通信プロトコル
コンピュータネットワークの基本的考え方
• コンピュータネットワーク– エンドシステム(end system)上で動作する複数のアプ
リケーション・プロセス間のデータ交信を行うために,
– 通信回線やプロトコル実行エレメントによってエンドシステムを接続する
• エンドシステム
– Node, Host
– Comp, Workstation, PC, Mobile-terminal
ネットワークの形態
1.スター型
• Point-to-point
• poling/selecting
• contention
2.リング型
• 対等な関係
• 特定のノードが特権
3.バス型
• 対等な関係:LAN
• 特権:multidrop
4.ツリー型
• 階層型スター
• WANの分散型
5.ネットワーク型
• 少なくとも2つ以上のパスがノードにある
ネットワークのタイプ
1.地理的規模• LAN:建物やキャンパス内の限られた範囲
• WAN:世界規模
2.伝送速度• LAN:10M~1Gbps
• WAN:64K~数百Mbps(が中心)
3.所有関係と通信費用• LAN:単一組織に属するので,通信設備の費用が主
• WAN:通信業者の回線あるいはサービスを利用するので複数に
所属する
ネットワークアーキテクチャ発展と基本的考え方
1. ARPANETとネットワークアーキテクチャ• 蓄積交換方式としてのパケット通信方式
• 分散コンピュータネットワークにおけるプロセス間通信手順
• 各種の応用サービスと応用プロトコル• ファイル転送
• 電子メイル
• 端末間通信
2. クローズドネットワークアーキテクチャ• SNA:Systems Network Architecture
• SDLC:Synchronous Data Link Control
• HDLC:High-level Data Link Control
ネットワークアーキテクチャの発展と基本的考え方
1.オープンネットワークアーキテクチャと標準化• OSI:Open Systems Interconnection
• ARPANET
• +NSFNET(the U.S. National Science Foundation Network)
• +TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)
• WWW
2.通信機能の階層化• 出来る限り少ない階層に分割
• 階層間のやり取りを単純に出来るように分割
• 技術革新に対応可能な独立性の高い機能として分割
サービスとプロトコル
1.サービス
• ある階層が1つ上の階層に対して提供する
• <N>サービスは, <N>階層の機能によって<N+1>階層に
提供される
サービス利用者
サービス提供者
<N+1>階層
<N>階層
サービス利用者
サービス提供者
要求指示応答
確認
サービスとプロトコル1. プロトコル
• 通信規約
• 階層の目的とする機能を実現するための各種通信規約の集合
• 規則=階層内交信の情報の形式,情報の各種手段
• <N>階層のプロトコルを<N>プロトコルと呼ぶ
• <N>プロトコルの処理を行う主体を<N>エンティティと呼ぶ
<N+1>Entity
<N>Entity
<N+1>Entity
<N>Entity
<N+1>階層
<N>階層<N>プロトコル
<N+1>プロトコル
<N>サービス
同位entity
コネクション型プロトコル
1. コネクションは,プロトコルを実行する同位エンティティ間に設定される論理的な通信路
2. 同位エンティティ間でデータを交信する場合,予め相互に通信することを明確に確認する通信方式
3. データの交信を終了する場合は,通信を終えることを相互に確認する手段をとり,コネクションを切断または開放する.
<N>Entity <N>Entity
Connection設定フェーズ
データの交換
Connection切断フェーズ
コネクションレス型プロトコル
1. コネクション設定およびコネクション切断フェーズを持たない通信方式
2. 直接データを相手のエンティティに送信するため,必ずしも相手が受信できるとは限らない
3. 伝送路の品質がよいか,短いメッセージを送信する場合は効率的
4. 例:郵便システム <N>Entity <N>Entity
データの転送
データの転送 独立に扱われる
アドレス付け:addressing
1. 情報を受取る相手を指定する情報:アドレス• 個別アドレス
2. 2地点間:point to point
• 相互の関係が1対1
3. 多地点間:multi point
• 相互の関係が1対多
• マルチキャストアドレス
• ブロードキャストアドレス
情報の単位1.サービスの単位
• サービス提供者とサービス利用者の間で交わされる情報の単位をサービスデータ単位(SDU:Service Data Unit)
• <N>SDU
2.プロトコルデータ単位• プロトコル上で扱う情報の単位をプロトコルデータ単位
(PDU:Protocol Data Unit)
• <N>PDU
• プロトコル制御情報(PCI:Protocol Control Ibformation)
3.インタフェースデータ単位
<N+1>PDU
<N>SDU
<N>PDU
<N>PDC
コネクション多重化と分流
1. 基本的な対応• <N+1>コネクションを<N>コネクションに1対1で対応つける
2. コネクションの多重化• 複数の<N+1>コネクションを<N>コネクションに1対1で対応つける
3. コネクションの分流• 1つの<N+1>コネクションを複数の下位の<N>コネクションに対応つける
<N+1>
<N>
フロー制御
ネットワークの輻輳に対して,動的に対応する機構としてトラフィックの流れを制御するフロー制御が必要
1. ウィンドウ方式
•連続して送信または受信できる情報の数をウィンドウの大きさによって制御する
•利点は,双方向同時に転送できる全2重通信方式において,できるだけ
早く応答を返すことで転送効率を上げることが可能
2. クレジット方式
•受信側が連続して受信できる情報の数(buffer size)を決め,送信側へ通
知する
•各転送方向独立に連続して送信できる情報の数を設定できるので,業務固有の処理に依存する上位層のプロトコルに適用される
順序制御と誤り制御
1.順序制御• 送信元から着信元へ情報を送る場合,送信すべき情報を分割する
• 受信側では,受信側では分割して送られた関連PDUを元の情報に組み
立てる処理が必要となる
• 関連するPDUに通番を付与し,受信側でこの通番により正しい順番を保
証する機構が要る
132546
中継中継中継中継ノードノードノードノード
中継中継中継中継ノードノードノードノード 中継中継中継中継ノードノードノードノード送信端末 受信端末1111
2
35
4
6
123456
受信した順序
正しい順に直す
順序制御と誤り制御
1.誤り制御• 送信元と着信先の間には,通信回線・中継ノード・通信装置などが係わり,必ずしも正しく相手に情報が届くとは限らない
• 誤り制御機構
• 通信回線・通信装置の障害
• 中継ノードの障害または受信バッファ不足
• 着信ノードの障害または受信バッファ不足
1
2
?
4
3がない
3の再送
優先制御
緊急に相手に通知することを目的に情報を転送する
1.優先制御特徴• 優先制御の対象となる優先データは,優先的に送信処理され,通常のデータに追い越されることはない
• 優先データは,単一のPDUとして扱われフロー制御の対処とな
らない
• 優先データは必ず受信できなければならず,受信側は専用の受信バッファを用意する
2.通常のデータ転送の特徴• 通常のデータは,フロー制御・順序制御・誤り制御の対象
• 送信要求が発生した順に送信される
OSI参照モデルと基本機能
1.開放型システム間相互接続基本参照モデルOSI: Open Systems Interconnection Basic Reference Model
物理層
データリンク層
ネットワーク層
トランスポート層
セッション層
プレゼンテーション層
応用層
物理層
データリンク層
ネットワーク層
トランスポート層
セッション層
プレゼンテーション層
応用層
物理層
データリンク層
ネットワーク層
End system End system
中継中継中継中継 system
各層の役割 -物理層-
ビット列の伝送を行うための機械的規約,電気的規約,手順および機能特性を定める
–使用する通信媒体(通信ケーブル,光ファイバー,通信回線,マイクロ回線,無線回線)に応じて,電気信号,光信号,電磁信号などに変換する
–プロトコル
• 送受信タイミング
• 片方向伝送,半2重伝送,全2重伝送
–接続コネクター
• 大きさと形状
• ピン数
• 各ピンの動作機能
–アナログ系(Vインタフェース)とディジタル系(Xインタフェース)
各層の役割 -データリンク層-
ビット列をフレームと呼ぶ単位として扱い,フレームの順序制御,誤り制御を行う
– フロー制御
• 受信側の受信能力に合った速度で送信側がフレームを送信する
• HDLC, ISDN
– HDLCのフレーム
– Ethernetのフレーム
Flag
(1)
Frame Check Sequence
(2)
Data
(n)
Control
(1)
Address
(1)
Flag
(1)
論理リンク制御LLC
メディアアクセス制御MAC
802.2(LLC)
802.3
(Ethernet)
PPP
802.11
(WirelessLAN)
HDLC
/
ISDN
FCS
(4)
Data
(n)
Type/Length
(2)
送信元MAC Add
(6)
宛先MAC Add
(6)プリアンブル
(8)
各層の役割 -ネットワーク層-
2つのエンドシステム間の論理的な通信路を管理制御する
• 使用する実際のネットワーク(電話交換網,パケット交換網,フレームリレー交換網)に対応するドレス処理や中継処理を行う
– 端末とルータのネットワークアドレスによる識別
– 通信経路の決定
– 通信経路に沿ったデータの配送
• プロトコル
– IP:Internet Protocol / IPv4, IPv6
– X.25 Protocol
• IPv4のヘッダーフォーマット
オプション
終点アドレス
始点アドレス
ヘッダチェックサムプロトコル生存期間
フラグメントオフセットフラグ識別子
データグラム長サービスタイプヘッダ長バージョン
各層の役割 -トランスポート層-
エンドシステム間の転送機能を提供し,通信品質を含む特性を上位のセッション層に隠蔽し,ネットワークに依存しないサービスを提供する
– ネットワーク層でのパケットの紛失や順序誤りのために順序制御や誤り制御機能を持つ
– 通信品質に応じた5つのクラス(クラス0~5)を提供する
– TCP, UDP, RTP
– TCPのヘッダーフォーマット
オプション
緊急ポインタチェックサム
ウィンドウサイズ制御ビット予約フィールド
データオフセット
確認応答番号
シーケンス番号
終点ポート番号始点ポート番号
各層の役割 -プレゼンテーション層-
応用層の処理プロセス間で交信する情報の意味を変えることなく,相互に理解できる形式に変換する
– 抽象構文
• 応用層が理解できる情報形式
– 転送構文
• プレゼンテーション層が転送する情報形式
– 例
• メッセージに含まれる各種データ型が送受信間で異なる場合,変換する
• 安全性の確保が必要なメッセージを,暗号化してセッション層に渡し,受信側で平文に復号してアプリケーション層に渡す
• メッセージの情報量が大きい場合,必要に応じて圧縮・伸長する
各層の役割 -応用層-
応用層はネットワークのエンドユーザに特定応用サービスと共通応用サービスを提供する
– 特定応用サービス
• 電子メール(X.400)
• ファイル転送(FTAM)
• ディレクトリサービス(X.500)
– 共通応用サービス
• アソシエーション制御サービス
• 遠隔操作サービス
• 高信頼性転送サービス
• コミットメント制御サービス
TCP/IP参照モデル
1. TCP/IP参照モデル
2. 各層の役割
1. ホスト対ネットワーク層
2. インターネット層
3. トランスポート層
4. 応用層
3. IP address 構成
ホスト対ネットワーク層
インターネット層
トランスポート層
応用層
(Reserved for future)11110
4 byte3 byte2 byte1 byte
hostnetwork0
hostnetwork10
hostnetwork110
Multicast address1110
Class A
B
C
D
E
演習問題31. コンピュータネットワークの出発点となったARPANETのネットワークアー
キテクチャの特徴と,その後のネットワーク構成法に影響をもたらした技術について説明せよ
2. ネットワークシステムにおいて通信プロトコルの必要性を述べよ.また,通信プロトコル設計において階層化手法を用いる主な理由を示せ
3. OSI参照モデルのアーキテクチャを示し,各層の機能の概要を説明せよ
4. 多くのコンピュータネットワークは,必ずしもOSI参照モデルとは同じでは
なく少ない階層を使用している,この理由について述べよ
5. コネクション型プロトコルとコネクションレス型プロトコルのそれぞれの特徴を述べよ
6. 次の機能の必要性を述べ,具体的な事例を示し説明せよ
1. 順序制御
2. 誤り制御
3. フロー制御
4. 優先制御