第第111章章章 アダプティブアレーアンテナとア …1.11.1...

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7 第 1 章 アダプティブアレーアンテナとアレーモデル アダプティブアレーアンテナとアレーモデル アダプティブアレーアンテナとアレーモデル アダプティブアレーアンテナとアレーモデル 1.1 1.1 1.1 1.1 移動通信とアダプティブアレーアンテナ 移動通信とアダプティブアレーアンテナ 移動通信とアダプティブアレーアンテナ 移動通信とアダプティブアレーアンテナ しに るこ えられる。 1-1 されるように、 による によって いくつ したように り、それらがお って しまう。これをマルチパスフェージング いう。 1-1 マルチパス 一チャネル ように において、 させる して、多 (マルチパス) ドップラシフトが げられる。 して一 フェージング フェージングに けられ、 インパルス によ きる。インパルス から られ、 する帯域 が一 を一 フェージング、一 フェージング いる。 により し、 する。そ 、ディジタル において BER bit-error rateする。こ において、 帯域( る。また、移 において 、割り てられた するために、 している(セルラ )。一 A B A B

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第第第第 1111 章章章章 アダプティブアレーアンテナとアレーモデルアダプティブアレーアンテナとアレーモデルアダプティブアレーアンテナとアレーモデルアダプティブアレーアンテナとアレーモデル

1.11.11.11.1 移動通信とアダプティブアレーアンテナ移動通信とアダプティブアレーアンテナ移動通信とアダプティブアレーアンテナ移動通信とアダプティブアレーアンテナ

陸上の移動通信では、基地局と端末局の電波の伝搬路が見通しになることは

少ないと考えられる。図1-1に示されるように、地物などによる反射、回折、散乱によって受信側ではいくつもの電波が到来したようになり、それらがお互い

に干渉し合って信号が歪んでしまう。これをマルチパスフェージングという。

図 1-1 マルチパスと同一チャネル干渉

このように陸上移動通信において、通信品質を劣化させる原因として、多重

伝搬路(マルチパス)とドップラシフトが挙げられる。現象の表現として一様

フェージングと選択性フェージングに分けられ、伝搬路のインパルス応答によ

り説明できる。インパルス応答から周波数特性が得られ、目的とする帯域内で

周波数特性が一様の場合を一様フェージング、一様でない場合を周波数選択性

フェージングと呼んでいる。周波数特性の変化により信号の符号間干渉が発生

し、波形が劣化する。その結果、ディジタル伝送においては BER(bit-error rate)が低下する。この現象は同じ伝搬路において、広帯域(高速)信号伝送ではよ

り顕著になる。また、移動通信においては、割り当てられた周波数を有効に利

用するために、同じ周波数を繰り返し利用している(セルラ方式)。一般にはお

干渉波 基地局 A 基地局 B

端末 A 端末 B

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互いが干渉し合わないように離して周波数を割り当てているが、伝搬の状況に

よっては干渉が無視できなくなる場合がある。これを同一チャネル干渉と呼ぶ。

特に最近では、セル半径も 100~200 m などといったマイクロセルでの利用が多くなりつつあり、このため他のセルからの干渉を受ける可能性も高くなる。 フェージングの対策として、適応等化器を使って歪んだ波形の修復を行った

り、ディジタル通信の場合は誤り訂正技術を使ってビットの誤りを防ぐなどの

技術が一般的であった。また、空間的に複数のアンテナを配置してフェージン

グの対策を行うダイバーシチ技術と呼ばれるものがある。 このダイバーシチ技術は、多数の受信信号の切り替えや合成を行うことによ

り信号品質を改善する技術である。最も一般的な方式は空間ダイバーシチであ

り、空間位置の異なる複数のアンテナを用いる。また、受信信号の合成の方式

により、選択合成、等利得合成、最大比合成などに分類される。特に最大比合

成法は、それぞれのアンテナ出力(ブランチ)の位相合わせを行い、信頼度に

応じた重み付けを行って合成する方式であり、最も効果があるとされている。

その反面、フェージングの影響下で希望波の位相を抽出することは非常に困難

である。また、一様フェージング下では SNR(signal-to-noise ratio)を最大とする制御が最適であるが、選択性フェージング下では、符号間干渉を最小にす

るようなアルゴリズムが重要となる。このため、選択性フェージングを対象に

した判定帰還型やビタビアルゴリズム型などの適応等化器とダイバーシチを組

み合わせた方式の検討が行われている。ダイバーシチ技術は、システムの構成、

信号処理の観点からアダプティブアレーとは差異がないと考えられるが、アン

テナに入射する信号の伝搬モデルの扱いにおいて異なっている。 以上の技術はある程度の効果はあったが、いくつかの課題があった。例えば、

遅れてやってきた電波の遅延時間が長くなると、適応等化器においてはハード

ウェアの規模が増加し処理が指数的に増加してしまったり、ダイバーシチ技術

では同一チャネル干渉を効果的に抑制することが難しくなることが挙げられる。

これらの問題を解決する方法の 1 つとして、空間的に複数のアンテナを配置したアダプティブアレーアンテナの利用が注目されるようになった。また、近年

の携帯電話などの増加により、限られた周波数を有効に利用して同時に利用で

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きるユーザ数を増やそうとする技術にもアダプティブアレーの利用が注目され

ている。 一般に周波数の利用度を測る指標として、

周波数利用度=帯域利用度×空間利用度×時間利用率

が利用される。それぞれの利用度を向上させるために、

帯域利用度 -高能率音声符号化、高能率変調技術 時間利用率 -チャネル割り当て技術 空間利用度 -ダイバーシチ、アダプティブアレーアンテナ

などの技術があり、アダプティブアレーが空間の利用度を向上させるための技

術として注目されている。

1.21.21.21.2 アダプティブアレーアンテナの動作と仕組みアダプティブアレーアンテナの動作と仕組みアダプティブアレーアンテナの動作と仕組みアダプティブアレーアンテナの動作と仕組み

アダプティブアレーの研究は比較的古く、これまでは軍事目的やレーダ技術

への応用が大半を占めていた。前述のように近年移動通信が抱える問題を解決

する方法として、アダプティブアレーアンテナの利用が注目されるようになっ

てきた。 ここで、移動通信での利用の具体的な例を挙げる。図1-2の左は 8個のアンテナを直線状に等間隔に配置し、ある処理を行ったときのアンテナのビームパタ

ーンを示す。このとき、太い矢印で示された方向にはアンテナのゲインを高く

し、細い矢印の方向には逆にアンテナのゲインを低くするように設定した。こ

の図からわかるように、希望とする方向に大きなアンテナゲインが作られ、そ

うでない方向にはゲインが抑えられていることがわかる。このようにアダプテ

ィブアレーには、ある方向にアンテナの指向性を向ける作用と、ある方向には

アンテナの指向性をなくす作用がある。この作用から空間フィルタと呼ばれる

こともある。この特性を利用して、図1-2の右のようにフェージングの影響や同一チャネル干渉を軽減することが可能となる。

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図 1-2 アダプティブアレーの動作と効果

ここでアダプティブアレーの仕組みを簡単に説明する。アダプティブアレー

の基本的な動作は、波の干渉という概念で説明できる。これを説明するために

図1-3 のような M個のアンテナ素子が直線状に等間隔 dで並べられたアレーア

ンテナを使用する。

図 1-3 アレーアンテナモデル

この図では基本的な動作を説明するために受信のみを考え、周波数変換部や増

幅器などの部分は省略してある。今、電波(平面波) s tb gが正面方向から角度θ

で入射した場合、m番目のアンテナ素子で受信される信号を x tmb gとする。このとき空間的なアンテナ素子の配置より、隣り合った素子では電波の伝搬路に

(8素子リニアアレイアンテナ)

希望波

d

θ d sinθ

2d sinθ

d

信号源からの平面波 s(t)(角度θ)

x1(t) x2(t) x3(t)

θ

xM(t)

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d sinθの距離の差があることがわかる。従って、cを波の伝搬速度とすると、1

番目の素子とm番目の素子では電波の到来に

τ θ θm

dc

mb g = −sin ( )1 (1.1)

の時間差が生じる。これより観測時に雑音がない場合、ある時刻 tに1番目の素

子で受信される信号を x t s t1b g b g= とすれば、m番目のアンテナ素子で受信される

信号 x tmb gは、

( ) ( )( )

( )

sin ( 1)

sin 1

m m

c c

x t s t

ds t mc

ds t mf

τ θ

θ

θλ

= −

= − −

= − −

(1.2)

と表現できる。

図 1-4 アダプティブアレーの動作の一例

一般に狭帯域信号のアダプティブアレーでは、図1-4のように各アンテナで受信された信号の振幅と位相を変化させて最後に加算を行い、これを出力とする。

これは受信された信号を波と考え、振幅と位相をうまく調整して波の合成を行

移相器 加算器

アレーアンテナ 受信信号

位相が整え られた信号

アレーアンテナ

出力

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第第第第 2222 章章章章 アレービームフォーミングアレービームフォーミングアレービームフォーミングアレービームフォーミング

前章で I、Qチャネルに分けられた信号に対して、それぞれ重みを調整することにより受信信号の位相と振幅が制御できることを説明した。次に重みの調整

について考える。アダプティブビームフォーミングの原型とも言われるのが

Howellsにより提案されたサイドローブキャンセラ(SLC)と言われている。その後いくつかのビームフォーミングの手法が提案されている(表 2.1)。

表 2.1 主なビームフォーミング手法

タイプ 手法 長所 短所 データ非依存 古典的手法 FIR フィルタの設計

法が利用可能 適応性が悪い

SLC 簡単 補助アンテナに希望波のない期間が必要

参照信号型 到来方向が不要 参照信号が必要 最大 SNR SNRを最大化 希望波と雑音の相関行列が必要

データ依存

LCMV 柔軟性 拘束重みベクトルの計算が必要 CMA 構造が簡単で実装が

容易 信号の定包絡を利用 ブラインド

SCORE 信号の周期定常性を利用。変調方式などにより信号の選択が可能

データ数がある程度必要

これらの手法は、ある規範を定義し重みを調整する方法が一般的となってい

る。図 2.1は一般的なビームフォーミングの構造を示す。つまりアダプティブビームフォーミングは受信された信号とアレーアンテナの出力、もしくは外部か

ら与えられた信号に応じて重みを決定することとなる。ここでは規範を用いた

代表的なビームフォーミング法をいくつか紹介し、MATLABによるシミュレーションを行う。

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図 2.1 一般的なビームフォーミングの構造

2.12.12.12.1 アンテナビームパターンの導出アンテナビームパターンの導出アンテナビームパターンの導出アンテナビームパターンの導出

アレーアンテナの各素子に入射した信号は、それぞれ重み係数を掛けられ、

その後合成され出力となる。つまり

y n nHb g b g= w x (2.1)

で記述される。ここである方向 から単位パワーを持つ信号 s n が入射した場

合の出力信号とその出力パワーは

H Hy n n s nw x w a (2.2)

* *

*

2

H H

H H

H

E y n y n E s n s n

E s n s n

P

w a a w

w a a w

w a (2.3)

となる。式(2.3)で示されるP はアンテナビームパターンと呼ばれる。これは、

重み係数wを与えたとき、方向 へのアレーアンテナ出力パワーを示すからで

ある。

w x(n)

y(n)

d*(n) Adaptive Controller

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2.22.22.22.2 主なアレーアンテナビームフォーミング手法主なアレーアンテナビームフォーミング手法主なアレーアンテナビームフォーミング手法主なアレーアンテナビームフォーミング手法

2.2.1 古典的手法古典的手法古典的手法古典的手法

式(2.2)より、アレーアンテナの平均出力 P(w)は

( ) ( ) ( ) ( ) 2 H H HxxP E y n E n nw w x x w w R w= = = (2.4)

となる。さて、ここでアンテナの重みを位相のみを調整してある方向θに対しア

ンテナの指向性を形成することを考える。直線アレーの場合には具体的に重み

を以下のように設定する

[ ]1 2, , , ,Tc Mw w ww =

( )sin2 11c

dj m

mw eM

θπλ

− −= (2.5)

従って、式(2.4)によりアレーアンテナの出力は

( ) Hc c xx cP w R wθ = (2.6)

となる。この出力は指向性が 1つの信号のみに向けられたときには、その方向から入射する信号の出力が正確に推定できる。 2.2.2 参照信号型ビームフォーミング参照信号型ビームフォーミング参照信号型ビームフォーミング参照信号型ビームフォーミング

この手法は、希望波の信号が予めわかっている場合、これを参照信号 d nb gとして、アレーアンテナ出力との平均 2乗誤差(MSE)を最小にするように重みを決定する手法である。また、重み決定のために最小平均 2乗誤差(LMS)アルゴリズムが最初利用されたため、LMSアダプティブアレーと呼ばれることもある。 重み決定のために、アレーアンテナの出力が参照信号に近くなるようにした

いので

e n y n d n (2.7)

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決定するために、LMS アルゴリズムと類似した最急降下法がよく用いられる。CMAは、参照信号を再生するためのクロック再生を行うなどの装置が必要でないため実現が容易である反面、希望波信号の包絡線が一定という仮定がされて

いるため、適応できる信号が限定される。 CMAではいくつかの最適化手法が提案されており、最急降下法(SD-CMA)や LS-CMAがよく知られている。最急降下法は以下の最急降下法に基づく重みベクトルを更新する

1n

n nw w

w ww

(2.23)

LS-CMAは n回繰り返し計算した後の重み nw に対して微小量 nw だけ修正

して次の重み 1nw を得るものである。

1n n nw w w (2.24)

これらの詳細に関しては章末の文献を参照されたい。

2.32.32.32.3 MATLABMATLABMATLABMATLAB を使ったビームフォーミングのシミュレーションを使ったビームフォーミングのシミュレーションを使ったビームフォーミングのシミュレーションを使ったビームフォーミングのシミュレーション

いくつかの代表的なビームフォーミングをシミュレーションにより実現する。 第 1 章では、変調信号とアレーアンテナにおける受信信号行列などが準備できたので、ここではこれらを用いて各ビームフォーミングの手法に基づき、アレ

ーアンテナの重みを計算する。 最初に、プログラム 1-3 で保存した受信信号及び相関行列とその逆行列を読

み込んでおく(プログラム 2-1、ファイル名:“load_data.m”)。また、信号のSNRや到来方向などを変えたいときのため、プログラム 1-1と 1-3をまとめたものをプログラム 2-3(ファイル名:“chapter1.m”)に示す。このプログラムの各パラメータを必要に応じて変更すればよい。

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プログラム 2-1

2.3.1 アンテナパターンの計算アンテナパターンの計算アンテナパターンの計算アンテナパターンの計算

ベクトルwに重みを与えてアンテナのビームパターンを表示する(プログラ

ム 2-2、ファイル名:“a_pattern.m”)。なお、アンテナビームパターンは式(2.3)の P Hθ θb g b g= w a

2で与えられる。このプログラムでは、角度の刻みを 1度ずつに

設定してある。

プログラム 2-2

% load_data.m clear load array_data % アレー信号の読み込み %

% a_pattern.m % アンテナパターンの出力 k=[-90:90]'; a2=-i*2*pi*([0:m-1]'*sin(k'*deg2rad))*d/wavelen; Ap = exp(a2); % pattern = abs(w'*Ap).^2; pdb = 10*log10(pattern); % ビームプロット plot(k, pdb) axis( [-90 90 -40 30]) xlabel('Angle [degree]') ylabel('Antenna Pattern [dB]')

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プログラム 2-3(1)

% chapter1.m % Digital and Analog Modulated Signals % Pd = 2000; % Pd : 送信されたシンボル数 Fd =1; % Fd:シンボルレート;1Hzに正規化 Fs = 4*Fd; % Fs : シンボルあたりの標本数 R = 0.5; % R : roll-off factor Delay = 5; % Delay : フィルタの遅延時間 [symbol] No = 1; % No : 雑音の電力密度スペクトル [W/Hz] M=4; % M:多値数 % 信号系列発生(M値(0,1,2,3)の乱数発生) x1 = randint(Pd,1,M); x2 = randint(Pd,1,M); x3 = randint(Pd,1,M); % 信号配置変調のためのマッピング y1 = modmap(x1,Fd,Fs,'qask',M); y2 = modmap(x2,Fd,Fs,'qask',M); y3 = modmap(x3,Fd,Fs,'qask',M); %フィルタリング(raised cosine filter) [rcv_a1,ti] = rcosflt(y1, Fd, Fs, 'fir/sqrt/Fs', R, Delay); [rcv_a2,ti] = rcosflt(y2, Fd, Fs, 'fir/sqrt/Fs', R, Delay); [rcv_a3,ti] = rcosflt(y3, Fd, Fs, 'fir/sqrt/Fs', R, Delay); % 変調波信号の発生複素振幅変調 s1 = amodce(rcv_a1,Fs,'qam'); s2 = amodce(rcv_a2,Fs,'qam'); s3 = amodce(rcv_a3,Fs,'qam'); % AM波作成 na= length(s1); N=na*2; seed = 45897; randn('seed',seed); Wn = 2/80; fc = 1/16; % AM搬送波周波数 % b = fir1(128,Wn);a =1; tmp = filter(b,a,randn(N,1));% 帯域制限 t=N/2:N/2+na-1; am = tmp(t).*exp(i*2*pi*fc*t'); % AM analytic signal % % FM波作成 seed = 457317; randn('seed',seed); w = randn(N,1); Wn = 1/16; fc = 1/16; % FM搬送波周波数 fs=1; % b = fir1(128,Wn*2);a =1; tmp = filter(b,a,w);% 帯域制限 % t=1:na; opt=(fc/fs)*2*pi/(max(max(tmp(t+N/2)))); pp =cumsum(tmp(t+N/2)); fm = exp(i*2*pi*fc*t'+i*opt*pp); % 信号の保存 %save sig_data s1 s2 s3 am fm

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第第第第 3333 章章章章 到来方向推定到来方向推定到来方向推定到来方向推定

3.13.13.13.1 到来方向推定の分類到来方向推定の分類到来方向推定の分類到来方向推定の分類

ビームフォーミング手法の中では到来方向(Direction-of-Arrival:DOA)を必要とするものがあるように、電波の到来方向はアダプティグアレーアンテナ

のアルゴリズムでは重要なパラメータの 1 つである。これまで電波の到来方向推定は主にレーダやソナーの分野で研究開発が行われてきた。到来方向推定の

最も簡単な例として、指向性のあるアンテナを 360 度回転させて、受信信号の強度が強い方向が到来方向であるという方法が簡単な例として挙げられる。こ

の方法は実現が簡単であるが、角度の分解能はアンテナの指向性に依存し、ま

た、アンテナを物理的に回転させる必要がある。そこで考え出されたのが、ア

レーアンテナを使う方法である。アレーアンテナを使った到来方向手法は以下

に挙げるようにビームフォーミング法、線形予測法と呼ばれる手法から固有値

展開に基づく手法やパラメトリック手法と呼ばれる手法などが挙げられる。 ビームフォーミング手法の基本的な考え方は、アンテナビームの一番大きな

ゲイン(メインローブ)の方向を左右に振ってやり、そのパワーを測定するこ

とにより到来方向を推定する方法である。 線形予測法はビームフォーミング手法がメインローブを利用したのに対し、

アンテナビームのヌル点を利用する方法である。ビームフォーミング手法は簡

易に実現できるという特徴を持つが、角度の分解能がアレーアンテナの物理的

な大きさに依存してしまうという欠点がある。 スペクトル推定に基づく手法は、次の簡単な例により説明できる。図3.1のようにアンテナ素子が直線状に等間隔で並べられたアレーアンテナに平面波の正

弦波の信号が入射する場合を考える。図3.1から、もし平面波信号が、ある角度からアレーアンテナに入射したとき、ある時刻tでm番目の素子で受信される信

号を ( )mx t とする。これを1番目からM番目まで並べると、図3.1の下のようにな

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る。つまり、アレーアンテナで受信される信号は角度に応じた正弦波信号とな

ることがわかる。また、その正弦波の周波数は到来角に応じたものになり、こ

の例では、正面(θ=0°)で周波数は0となり、真横(θ=90°)で最高の周波数になる。従って、この周波数を推定(スペクトルを推定)することにより、

到来方向がわかることになる。またこのことより、素子間隔は、到来する正弦

波信号の波長の半分以下でなければ、到来角を唯一に求めることができないこ

ともわかる。スペクトル推定法の最も簡易と思われる実現法は、素子で得られ

た信号をフーリエ解析することであるが、素子数が少ないと十分な角度の分解

能が得られないという欠点がある。

図 3.1 アレーアンテナで受信される信号

信号部分空間による手法は、スペクトル推定において信号の相関行列の固有

構造を利用するという発想で登場した。中でもMUSIC(Multiple Signal Classification)と呼ばれる手法は、到来方向推定の手法として提案された。このMUSICによる特性改善は著しかったため有名になり、現在でも高精度な推定法の代名詞と呼ばれるようになった。 一般的にスペクトル推定に基づく手法は、計算量的にはパラメトリック手法

と比較して少ないという魅力があるが、いつも良い推定を与えるとは限らない。

一方、データのモデルをできるだけ活用した手法がパラメトリック手法と呼ば

れ、マルチパスなどにより生じるコヒーレント信号も扱えるという長所がある

θ

d x1(t) x2(t) x3(t) x4(t) x5(t)

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が、推定のために多次元の捜査が必要となり、計算量が増加するといった傾向

がある(等間隔線形アレーの場合には計算量は削減可能)。また、このパラメト

リック手法は、最尤推定手法に基づくものが多く存在する。

3.23.23.23.2 古典的手法を用いた到来方向推定(従来法)古典的手法を用いた到来方向推定(従来法)古典的手法を用いた到来方向推定(従来法)古典的手法を用いた到来方向推定(従来法)

ビームフォーミングを利用して方向を推定するものである。この特徴はアレ

ーアンテナの開口長(つまり素子数)により分解能が決定されることである。

従って素子数が少ない場合は分解能が期待できない。しかしながら、到来する

信号の強度を正確に推定することができる。既に示した通りθ方向へのアレー出

力は

( ) ( ) ( )Hc c xx cP θ θ θ= w R w (3.1)

( ) [ ]1 2, , , ,Tc Mw w wθ =w

( )sin2 11c

dj m

mw eM

θπλ

− −= (3.2)

で与えられる。従って、θを変化させてその強度により信号の方向を推定する。

3.33.33.33.3 CaponCaponCaponCapon の最小分散法による推定の最小分散法による推定の最小分散法による推定の最小分散法による推定

アレー出力は目的の方向からの希望波信号と他の方向からの信号(干渉波)

を含むことになる。従って、目的とする方向の感度を一定に保ち、それ以外の

信号の干渉を最小にすることを考える。具体的には、以下の拘束付最小化問題

を解くことになる。

min subject to 1H Hxxw

w R w w a (3.3)

2 32 2 21, , , , MTj f j f j fe e ea (3.4)

このときの最適解は線形拘束付最小分散法の解 ( ) 11 1opt

Hxx xx

−− −=w R C C R C hと同じ

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対応する固有ベクトルである。

3.83.83.83.8 最尤推定と最尤推定と最尤推定と最尤推定と MODEMODEMODEMODE アルゴリズムアルゴリズムアルゴリズムアルゴリズム

MODE(method of direction estimation)アルゴリズムは最尤推定に基づく手法であり、データ数が無限のとき最尤推定値を与える。一般的に最尤推定値

を得るためには膨大な計算量が必要とされ、それを避けるためにいくつかの手

法が提案されている。中でもこのMODEアルゴリズムは、固有値分解を利用するMUSICなどと同程度の計算量に抑えながら、最尤(maximum likelihood: ML)推定の特徴(例えば、強い相関を持つ信号が入射した場合にでも精度良い推定が行える)を持っている。 ここではMODEアルゴリズムについて簡単に説明するが、詳細は章末の文献

を参照されたい。このアルゴリズムを説明するために、最初に最尤推定法につ

いて記述し、その後MODEアルゴリズムの説明を行う。 3.8.1 最尤推定法(最尤推定法(最尤推定法(最尤推定法(ML法)法)法)法)

観測信号 (1), , ( )x x N の対数尤度は

( ) ( ) ( ) ( )1

1lnN H

nL const MN n n n nσ

σ =

= − − − − ∑ x As x As (3.66)

ここで、上式の尤度関数を雑音分散σ と信号源 ( )ns にのみ注目する。つまり

( ) 11 ˆ ˆ ˆ ˆ ˆˆ tr H HxxM

σ− = −

I A A A A R (3.67)

( ) ( ) ( )1ˆ ˆ ˆˆ H Hn n

−=s A A A x (3.68)

で得られ、これを式(3.66)に代入すると次の対数尤度関数が得られる。

( )lnL const MN l φ= − (3.69)

ここで 1 sinsin 2 sin1, , , , kk kTj Mj j

k e e ea から、 sink kとし

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74

( ) ( ) 1ˆ ˆ ˆ ˆ ˆtr H Hxxl φ

− = − I A A A A R (3.70)

と定義している。従って、φの最尤推定値は上式を最小化することにより得られ、

( )l φ は kφ の項でパラメータ化できることがわかる。更に kφ を別のパラメー

タ kb で表現する。

( ) ( )00 1

k

K KjK k

kk k

p z b z b z e φ−

= =

= −∑ ∏ (3.71)

多項式 ( )p z は単一円上にすべてのゼロ点を持つため、次の共役対称制約を満足

する。

* , 0,1, ,k K kb b k K−= = (3.72)

これより、 kb のセットと kφ のセットは1対1の関係を持つことができる。詳

しい証明は省略するが、以下に定義する ( )M M K× − 行列B

0

0

0

0

0

K

K

K

bb

bb b

b

=

B (3.73)

を用いると、 ( ) ( )1 1H H H H− −− =I A A A A B B B B となり、式(3.70)は以下のように

書き換えられる。

( ) ( ) 1 ˆtr H HxxF

− = b B B B B R (3.74)

[ ]0 1, , , TKb b b=b (3.75)

従って、 kφ の最尤推定値は kb の最尤推定値問題となり、式(3.74)を最小化す

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79

[ ]( ) ( )

00 01 02

0

2 1 201 02

Re,

Im

,K M K K M K KC C− × − ×

=

∈ ∈

H WΩ Ω

H W

Ω Ω

ΩΩΩΩ (3.95)

[ ]( )

002 01 02

201 0

,0

,K M K K K KC C− × ×

=

∈ ∈

RΩ Q Q

Q R

(3.96)

00

1ˆˆ

β =

ηηηη (3.97)

10 0 01 01ˆ H−= R Qη Ωη Ωη Ωη Ω (3.98)

ββββ も上と同様にして求められる。

3.93.93.93.9 MATLABMATLABMATLABMATLAB による到来方向推定による到来方向推定による到来方向推定による到来方向推定

MATLABによりこれまでに述べた到来方向推定アルゴリズムを実現する。ビームフォーミングのシミュレーションではアレーアンテナで受信される信号を

作成し、この信号をもとにビームフォーミングを行った。ここでも前回作成し

たアレーアンテナで受信される信号をそのまま利用する。信号の種類や到来角、

SN比を変化させない場合は

プログラム 3-1

を実行すればよい。この場合は、3波の QPSK(信号 1が 10度、信号 2が-60度、信号 3が 20度)で入射し、SNRはそれぞれ 5dBとしている。一方、各パラメータの変更を行う場合は、プログラム“chapter1.m”のパラメータを変更

% アレーアンテナ受信信号の計算 clear load array_data

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80

して実行すれば“array_data”が生成される。 (注)信号作成のプログラムを実行する場合、CD-ROM からコピーした array_data

のファイルが残っている場合はファイルの属性が読取専用となっている場合がある。

この場合、上書きができなくなりエラーとなってしまうためその属性に注意すること。

3.9.1 従来法による到来方向推定従来法による到来方向推定従来法による到来方向推定従来法による到来方向推定

この手法では、アレー受信信号の相関行列の計算と、式(3.1)に基づき、到来角の検索が必要となる。相関行列は既に計算済みである。一方、角度の捜索で

は Fortran や C 言語のようにプログラムを作ると通常ループ構造になる。MATLAB ではベクトルと行列を使って一度に計算することができため、-90度から 90度まで 1度ずつθを変化させた式(3.2)の ( )c θw を作り、これらを行列

にまとめ一度に計算を行う。各角度ごとの出力(θ方向のパワー)は、ベクトル

に格納される(プログラム 3-2、ファイル名:“conv_d.m”)。

プログラム 3-2

% Conventional DOA Estimator % conv_d.m clear; clf load array_data % th=[-90:1:90]'; A = exp(-j*2*pi*([0:m-1]'*sin(th'*deg2rad))*d/wavelen)/sqrt(m); % Pc = 10*log10(diag(real(A'*Rxx*A))); % plot(th, Pc) %hold on; quiver(theta(1:p), 25*ones(p,1), zeros(p,1), -sn,0); hold off axis([ min(th) max(th) 0 30]) title('Conventional Estimator') xlabel('Angle [degree]') ylabel('Power [dB]') %text(theta(1), 25,'s1') %text(theta(2), 25,'s2') %text(theta(3), 25,'s3') grid

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81

3.9.2 Caponの最小分散法による推定の最小分散法による推定の最小分散法による推定の最小分散法による推定

プログラム 3-3

-80 -60 -40 -20 0 20 40 60 800

5

10

15

20

25

30Conv. and Capon Minimum Variance Estimator

Angle [degree]

Pow

er [

dB

]

s1s2 s3

Conv.Capon

図 3.4 従来法と Caponによる推定結果

% Capon's minimum variance DOA Estimator % capon_d.m clear; clf load array_data % th=[-90:1:90]'; A= exp(-j*2*pi*([0:m-1]'*sin(th'*deg2rad))*d/wavelen)/sqrt(m); % Pc2 = 10*log10(1./real(diag(A'*Rinv*A))); % plot(th, Pc2) %hold on; quiver(theta(1:p), 25*ones(p,1), zeros(p,1), -sn,0); hold off axis([ min(th) max(th) 0 30]) title('Capon Minimum Variance Estimator') xlabel('Angle [degree]') ylabel('Power [dB]') %text(theta(1), 25,'s1') %text(theta(2), 25,'s2') %text(theta(3), 25,'s3') grid

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109

第第第第 4444 章章章章 信号の個数判定信号の個数判定信号の個数判定信号の個数判定

雑音中に含まれる信号の個数のパラメータは、アレーアンテナにおいて高精

度な DOA推定手法などでは重要なパラメータとして扱われる。また、一般的に信号の個数は未知である場合が多い。DOA推定法の多くは観測信号の相関行列の固有値分解を行い、信号の個数に対応する固有値、固有ベクトル(もしくは

雑音空間に対応する固有値、固有ベクトル)を利用する。このとき信号の個数

情報が必要となる。このような背景のもとで観測信号の相関行列の情報から信

号の個数を判定する問題は、信号相関行列または信号部分空間のランクを決定

する問題に帰着でき、これまでに多くの研究が行われてきている。 ここでは AICや MDLといったよく知られた信号判定法を取り上げ、数値例を通してその性能の比較を行う。

4.14.14.14.1 個数判定の手法個数判定の手法個数判定の手法個数判定の手法

最も簡単な方法の 1つとして、固有値を調べる方法がある。MUSICの手法で述べたように、受信信号の相関行列の固有値はλ λ λ λ σ1 1

2≥ ≥ > = = =+P P M と

なる。これより固有値の大小を比較することにより、信号の個数 Pを推定する

ことは可能となる。しかし、SNRが低いときや推定に用いる受信信号のデータ数が少ないときには、このようなきれいな分布にはならず判定が難しくなる。 これまでに到来する信号の個数を推定する手法が、いくつか提案されている。

観測信号の相関行列のランクを固有値に注目して推定する手法、赤池氏により

提案された AIC規範と Schwartzらによる MDL 規範をアレー信号の個数判定に応用した手法などが提案されている。詳細は章末の文献を参照されたい。い

くつかの例を示す。アレー素子数を M、データ数を Nとすると、AICと MDLによる判定は

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110

( ) ( ) ( ) ( )

( )1

11

AIC 2 ln 2 2

1ˆ ˆ for AICM MM K

i ii Ki K

K N M K K K M K

KM K

δ

δ λ λ−

= += +

= − − + −

= − ∑∏

(4.1)

( ) ( ) ( ) ( )

( )1

11

MDL 2 ln 2 ln

1ˆ ˆ for MDLM MM K

i ii Ki K

K N M K K K M K N

KM K

δ

δ λ λ−

= += +

= − − + −

= − ∑∏

(4.2)

を最小にするKが信号の個数と推定される。ここでλ iは式(3.18)で得られた行列の固有値である。

4.4.4.4.2222 個数判定プログラム個数判定プログラム個数判定プログラム個数判定プログラム

ここで、それぞれの規範の m-file を示す。m-file の形式はいくつか考えられるが、ここでは、調べたい信号の個数、アレーアンテナの素子数、サンプル数

及び相関行列の固有値を与えると、その規範の値を与えるような関数形式で記

述することにする。それぞれの規範の関数は以下の通りになる。但し、計算の

都合上、上式の式変形を行っている(AIC はプログラム 4-1、ファイル名“aic_arry.m”、MDLはプログラム 4-2、“mdl_array.m”)。

プログラム 4-1

function out =aic_array(k,m,n,lambda) % AIC criterion for estimating the number of signals % k: number of signals for evaluation % m: number of sensors % n: number of samples % lambda: eigen value vector (decreasing order) num1 = (sum(lambda(k+1:m))/(m-k))^(m-k); den1 = prod(lambda(k+1:m)); out = n*log(num1/den1) + k*(2*m-k);