講演資料「つながりを地域力とするために」」

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広石 拓司 [email protected] つながりを地域力とするために 〜「自ら起こす」を広げよう まちの起業がどんどん生まれるコミュニティ

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2012年6月1日に遠野で行った講演資料を一般向けに直したものです。 出会いをつながりにする。そして、できたつながりを継続・発展させるために事業を立ち上げる。そして事業がつながりを豊かにし、コミュニティをつくる。 先ず小さくてもいいので、そういう循環が地域で生まれると、住民のみなさんに参画者が広がっていく。そのプロセスをつくっていこう、という内容です。

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Page 1: 講演資料「つながりを地域力とするために」」

広石 拓司 [email protected]

つながりを地域力とするために 〜「自ら起こす」を広げよう

まちの起業がどんどん生まれるコミュニティ

Page 2: 講演資料「つながりを地域力とするために」」

©empublic 2

2001年より社会起業家、地域密着型起業の育成に取り組む

新しい地域活動・事業には、つながりを生む「場」が必要。 しかし、それを学ぶ場、実践経験を積む機会が少ない。

⇒2008年5月 empublicを創業

市民社会のバリューチェーンづくり 人が知恵と力を持ち寄るような「場づくり」の技術、プログラム、担い手の育成

根津スタジオ

コミュニティ戦略パートナー・サービス コミュニティ(人のつながり、チーム、地域)の目指すべきゴール、 その実現プロセスのデザインから実践までを総合的にサポート

Page 3: 講演資料「つながりを地域力とするために」」

@empublic 3

社会起業家育成の経験のなかで考えた

「日本のNPOや社会起業は、

なぜ、すぐに成長できないのか?」

そこで見つけた答は・・・

設立のきっかけ

Page 4: 講演資料「つながりを地域力とするために」」

いまの日本の社会活動の課題?

ホームパーティやバーベキューの 経験値が足りない!

だから・・・

@empublic 4

世代も分野も違う30人くらいの 集まる場を、さくっと運営するのが 苦手な人が多い・・・

Page 5: 講演資料「つながりを地域力とするために」」

なぜ、

ホームパーティって、

大変に感じてしまうんだろう?

@empublic 5

Page 6: 講演資料「つながりを地域力とするために」」

こんなホームパーティだとしんどい・・・

家を片づけなければいけない

料理も飲み物も準備しないといけない

お客さんを持てなさないといけない

盛り上げなければいけない

自分がしなければいけない時、 「人が集まる場」は、とても大変…

@empublic 6

Page 7: 講演資料「つながりを地域力とするために」」

場づくりで大切なのは・・・

場を「仕切る」

ことではない

場を「盛り上げる」

ことでもない

@empublic 7

Page 8: 講演資料「つながりを地域力とするために」」

場づくりで大切なのは・・・

場を「守り立てる」ことで、

「話したいな」「一緒につくりたいな」 「手伝いたいな」「分かち合いたいな」

と、参加者が考えている(けど、表に 出さないこと)ことを、

自然に出せるように環境を整える

@empublic 8

Page 9: 講演資料「つながりを地域力とするために」」

場づくりで大切なのは・・・

場を「守り立てる」

場に安心感、受け入れられている感があって初めて、

「言ってみよう」「やってみよう」と

参加者が自ら動き始める

守り立てる技術=ファシリテーション

@empublic 9

Page 10: 講演資料「つながりを地域力とするために」」

地域の「元気さ」って何だろう?

どの地域にも問題はいっぱい 少子高齢化が進んでいて・・・・

いいものがあるのに、活性化しない

やる気のある人がいなくって・・・・

人のつながりが希薄で・・・・

「悪い状態があること」が問題なのだろうか?

問題や困難な状況は、いつも、どこにもある

それを克服する動きが広がらないことこそが 問題なのは?

©empublic 10

Page 11: 講演資料「つながりを地域力とするために」」

地域づくりで大切だと言われるのが・・・

よそもの

わかもの

ばかもの

なぜ地域づくりに必要なのだろう?

なぜ、この人たちをうまく活かせないのだろうか?

©empublic 11

Page 12: 講演資料「つながりを地域力とするために」」

なぜ「地域活性化」はうまくいかない?

©empublic 12

自分が思う「理想」は、

客観的記述が難しく、

他人は共有してくれない

理 想

地域活性化 = 地域に元気がないから、活性化したい

= 実は「現状」のことしか語っていない

現状は分析ができ、

客観的に記述できる

=「知る」ことで合意できる

合意づくりが

困難

全員が納得しやすいのは、現状への対応策

課題 = 理想-現状 理想(ゴール)が明確に設定されなければ

取り組むべき「課題」が何か、わからない

現 状

Page 13: 講演資料「つながりを地域力とするために」」

目指すものの下に人が集いなおす

地域・村、企業などの基盤のうえで、人々が助け合い、つながっていたコミュニティ

人々が思い、分かち合いたいことを軸に、 関係性を育てていくコミュニティづくり

©empublic 13

Page 14: 講演資料「つながりを地域力とするために」」

人が集まれば、「つながる」のか?

1回の出会い ←→ 継続的なつながり

ただの人の集まり ←→ コミュニティ

考えてみよう

30人乗りの長距離バスの乗客は、お互いに 「つながり」の感覚はなく、期待もしていない

30人の乗客は、どのような出来事、どのような条件があれば、「コミュニティ」になるか?

14 ©empublic

Page 15: 講演資料「つながりを地域力とするために」」

「コミュニティ」構築に必要なもの

集う人が、乗り越えるべき課題を共有している ことの自覚

目指すゴールを分かち合う(受け容れあう)こと

個々、グループの歴史など文脈の共有

ある程度の時間を共に過ごす

集う人同士が相互のやりとりの活発さ

プロセスの情報共有と意思決定への参画機会

©empublic 15

Page 16: 講演資料「つながりを地域力とするために」」

コミュニティづくり=居場所と出番づくり

居場所 自分が受け入れられている

自分がこれから長い時間、関係を持っていける

出番

自分が自分の考えていることを言える

自分の判断、行動が尊重される

自分が役立っていると実感できる

©empublic 16

Page 17: 講演資料「つながりを地域力とするために」」

居場所と出番をつくるには??

コミュニティをつくる=居場所と出番をつくる

どうしたら居場所や出番をつくれる??

つながりから生まれ、つながりを育む 「事業」を立ち上げよう!

©empublic 17

Page 18: 講演資料「つながりを地域力とするために」」

港南台タウンカフェ(横浜)

©empublic Ltd. 18

写真:港南台タウンカフェ ホームページより http://www.town-cafe.jp/kounandai/

90以上の地域の人が自分の「商品」を小箱ショップに出し、そこを核に地域がつながる舞台となった http://www.e-town.ne.jp/kounandai/search/kobako.html

人口は多いが、人のつながりが弱い郊外の商店街の空き店舗にできた小さなカフェが、

Page 19: 講演資料「つながりを地域力とするために」」

「売る」からこそ、人々はつながった

©empublic 19

地域と人のつながりが弱い都市近郊の住宅地のカフェ

棚の一箱スペースを、住民の手作り品を売る場に

個々の棚が「売り上げを出す」ことにこだわる

売れた人と課題を抱える人、先に始めた人と新しくやってみたい人が教え合い、共に考える

「つくる」人が、「求める」人に、つくることを教える ワークショップを行う → さらに「つくる」人が増える

http://www.e-town.ne.jp/kounandai/shop/647/topics.html

自分が「つくり」「売る」からこそ出番ができ、舞台を介して「つながる」

Page 20: 講演資料「つながりを地域力とするために」」

匠の街しもすわあきないプロジェクト

空き商店街を、職人、マイスターが集う工房街に

御田町商店街での新規店舗開店 →平成15年~22年延べ21件開業 (5件 廃業及び移転)

“やりたい人で、できるところから始め、決して無理をしない”

ただし、

メンバーは口コミ、訪問・交流を積極的に繰り返す

例)おかみさん会が開店の支援者、最初の顧客となり、 最も強力な広報の担い手となる

やりたい人を支えるコミュニティの拡充に努める

20 ©empublic

Page 21: 講演資料「つながりを地域力とするために」」

プロジェクトの生んだお店たち

©empublic 21

プロジェクトWEBサイトより http://takumi.shimosuwa.jp/

Page 22: 講演資料「つながりを地域力とするために」」

ソンミサン・マウル(韓国ソウル市)

1994年に25世帯の共同育児事業から始まったコミュニティは、70の地域事業を住民の資金と力で生む

©empublic Ltd. 22

ソ ン ミ サ ン マ ウル 2010年活動マップ

Page 23: 講演資料「つながりを地域力とするために」」

自分たちで良い子育てを・・・から コミュニティが始まった

1994年:画一的な幼稚園の姿に疑問を感じた共稼ぎ夫婦 25組が、「お金を出しあえば、自分たちの求める保育園を、自分たちで作れてしまうのでは?」と考え、近所に移住し、 共同育児施設「私たちの子供の家」設立

子どもの成長や生活の中でのニーズに応じて、学童保育やフリースクールに活動が展開

子どもの親だけに閉じるのではなく、地域とのつながりを つくる受け皿として、「安心な食」をキーワードに、2000年、 麻浦ドゥレ生協設立

2001年、ソンミサンの山を壊す開発に反対する住民運動で新住民と旧住民がつながり、コミュニティが拡充

大人にとっても必要なサービスが、どんどん生まれる!

©empublic Ltd. 23

Page 24: 講演資料「つながりを地域力とするために」」

自分たちに必要だから自分たちでつくる

©empublic 24

小中高12年制の学校 まちの劇場

共同育児施設「私たちの子ども家」 コミュニティ・カフェ

コミュニティ・レストラン

Page 25: 講演資料「つながりを地域力とするために」」

最初からやる気のある人はいない

地域で起業家を増やすには?

「思い、やる気のある人がいれば・・・」と 考えてしまいがち

しかし

思い、志があり、実施計画があっても 起業家を支えるコミュニティがなければ (つくれなければ)、活動は生まれない

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Page 26: 講演資料「つながりを地域力とするために」」

事業が生まれるには 「コミュニティ」が不可欠

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地域資源 起 業 家 顧客

支援・ 励まし

共に働く 仲間

事業体 企業・行政

地域内外の仲間

協働パートナー

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逆に「コミュニティ」があれば、 起業は、どんどんできる

Page 27: 講演資料「つながりを地域力とするために」」

シリコンバレーって、なぜ起業は多い?

起業家、ビジネスマン、技術者、学生らが、日々、 勉強会やホームパーティで交流している

「これから、こういうニーズが広がりそう」

「あの人、会社を辞めて新しいことするらしいよ」

「そんなこと考えているなら、あの人に会えばいい」

毎日の暮らしの中で、顧客も、資源も、仲間も、応援者にも出会えている

もし起業して失敗しても、「あいつは○○はできて、○○が苦手」と周りが知っているから雇用される

起業の失敗経験は「学び」と共有されている

©empublic

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Page 28: 講演資料「つながりを地域力とするために」」

場づくりで大切なのは・・・

場を「守り立てる」

場に安心感、受け入れられている感があって初めて、

「言ってみよう」「やってみよう」と

参加者が自ら動き始める

守り立てるコミュニティが

起業を促し、新しい仕事をつくる

@empublic 28

Page 29: 講演資料「つながりを地域力とするために」」

コミュニティと社会起業の相互作用

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コミュニティ 社会起業

運 営 の 基 盤 ( 資 源 ・ 顧 客 )

事業を通したコミュニティの強化

何が課題か(アジェンダ)が具体化される

潜在価値の明確化と解決できる自覚

従来なかった「つながり」が生まれる

みんなでつくった成功体験が蓄積される

Page 30: 講演資料「つながりを地域力とするために」」

まちの起業がどんどん生まれるまちに!

「つながり」を維持・発展するために、「まちの起業」をどんどん増やそう!

やりたいことがあるなら、口にしてみよう。 そして、小さくてもいいから、やってみよう!

「やりたい」という人を応援してみよう。 自分が何が欲しいか、口にしてみよう

やってみるからこそ、まちの課題が何か、自分に何が本当に必要か、何ができるか、気付く。

リスクを共に持って、一緒にドキドキを楽しもう!

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