米国高齢者施設における病院搬送の適正化の試み

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本日は、トリアージと情報共有による医療と看護のチーム連携で不要不急の病院 搬送を低減する試みのご報告をさせていただきます。 最近では、日本でも介護施設からの不要不急の病院搬送で医療関係や救急隊の 皆様の負担が増大しているとお伺いしております。 何かのご参考になれば幸いです。 1

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Healthcare


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Page 1: 米国高齢者施設における病院搬送の適正化の試み

本日は、トリアージと情報共有による医療と看護のチーム連携で不要不急の病院搬送を低減する試みのご報告をさせていただきます。

最近では、日本でも介護施設からの不要不急の病院搬送で医療関係や救急隊の皆様の負担が増大しているとお伺いしております。 何かのご参考になれば幸いです。

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ご夫婦での入居も可能な、米国の平均的な施設の一つです。

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この試みを始める理由は医療費のコストダウンです。 医療費の中でも多くの割合を占めていたのが、不要不急の病院搬送費です。 施設付きの医師、看護師がいるにもかかわらず、このようなことが起きていました。

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リットンガーデンズを担当する医師、看護師、看護アシスタントはそれぞれ5名おりますが、他の9のグループ施設と掛け持ちになっております。

医師、看護師がタイムリーにいつもと様子の違う入居者の診断をすることが不十分でした。

米国では、看護師をサポートする役割の看護アシスタントという職種の人がおり、この看護アシスタントが主に入居者の日常のお世話をしています。

看護アシスタントには、バイタルを計測するなどの看護師の職務のスキルはありません。 しかし、入居者の日常との違い、異変をいち早く察知することに長けています。

せっかく、看護アシスタントがいつもと様子の違う入居者に気付いたとしても、それを看護師や医師に伝えて、適切な対応を協議できないと、“とりあえず”病院へ送ってしまうことにつながりました。 (何もしないで何か起きると訴えられてしまう可能性もあります。)

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ここで重要な要素となるのは、一番最後の項目の、スタッフ各人のスキルの差です。 例えば、どのくらいの“いつもとの違い”を報告すべきかの判断は、現場の 看護アシスタントの主観に頼らざるを得ません。 また、看護アシスタントと看護師の対応範囲を定義することも必要になります。 さらには、医師の判断を仰ぐ状況もガイドラインを作る必要もあるでしょう。

このように、情報の流通の定義には、現場の動きを把握し、マネージメントや人事にも影響するようになります。

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手始めに、各スタッフの間の情報流通の便宜を図りながら、全体最適を目指すことにしました。

今回の試みでは、入居者の、日常との変化をきっかけに適切な対応の手順を踏めるよう、伝達される情報を標準化し、スタッフの経験、技量や主観による情報伝達の曖昧さが生じないような仕組みを作りました。

また、対応の全記録を保存できるようにし、改善策考案の分析に利用できるようにしました。

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施設側でご用意いただくものは、日常ご利用になっているパソコンやスマートフォンのみとしました。

通信には公衆の携帯電話網を利用、ソフトウエアはクラウドでご提供し、新たな設備の購入も不要にしています。 看護アシスタント、看護師、医師はGoogleやappleのアプリケーション配布サイトに

登録されたアプリケーションをダウンロードして、クラウドにアクセスしてお使いいただくだけです。 このツールに利用されているSBARフォームやトリアージの論理は、 米国の医療研究団体、“INTERACT”が公開している研究結果に基づいています。

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入居者の異常通報の経路はこの図のようになっています。 異常通報のトリガーとなるのは看護アシスタントです。 看護アシスタントからの発報は指定された看護師に伝達されます。

連絡を受けた看護師は、内容により、看護アシスタントに指示を出す、或いは、現場に赴き、SBARフォームに従って処置をしたり、バイタルを計測します。 計測されたバイタルに異常値があった場合、医師への通報が促されます。

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これが、看護アシスタントの入力項目です。 入居者の日常との違いの“見た目”情報を12項目に絞っています。

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選択式の入力に加え、文字情報も加えられるようになっています。 また、音声メッセージも添付できます。

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看護アシスタントから連絡を受けた看護師は、必要に応じ入居者を訪問し、バイタルを計測します。 計測項目は、SBARフォームによって誘導されます。

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バイタルデータの計測が終了するし、異常値があるとこの図のように表示され、医師に連絡するよう促されます。 また、看護師も文字入力、音声メッセージを添付できるようになっています。

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バイタルの異常値は、このように医師に通知されます。 医師は、これまでの経過も見ることができます。

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医師は、これまでの経過を参照し、緊急性や病院搬送の必要性を検討することができます。

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医師は、現場の看護師に直接電話を掛けることもできます。 また、今回の連絡への指示を、指示項目の中から選択します。 これら一連の各スタッフ間の連絡、報告、指示はすべて記録に残ります。

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現場環境は刻々と変化を続けます。 改善の施策は、その変化に対応し続けることを要求されます。 それに合わせて一度作った仕組みも変化を続けることが必要になります。

リットンガーデンズでは、主に看護アシスタント、看護師、医師の間の連絡用途として開発したこのツールから、運用上に得られる様々な情報をもとに更なる改善策を検討しています。

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最後に、会社紹介をさせていただきます。 Argusoft社は、インドを拠点に世界中のお客様のソフトウエア開発のご相談を承っております。

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