Ⅱ 土壌の診断基準 - maff.go.jp · d31 強グライ土壌 強粘土班鉄型 d32...

16
39 Ⅱ 土壌の診断基準

Upload: others

Post on 19-Feb-2021

4 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

  • 39

    Ⅱ 土壌の診断基準

  • 40

  • 41

    Ⅱ 土壌の診断基準

    1 県内主要土壌の特徴 1-1 水田土壌

    本県の主要な水田土壌統についての分布状況と生成要因ならびに栽培・施肥管理等にお

    ける問題点を表1に示す。また,本県の地形と水田土壌統の分布概念を図1に示す。

    県内の水田土壌の分布状況と特徴を概括すると,以下の(1)~(5)のとおりである。

    (1)水田の多湿黒ボク土群および黒ボクグライ土群は,主に県北部および西部の台地上

    の低凹地や台地間の谷底低地に出現するが,これらはいずれも湿田となっている。火

    山灰を母材とするためリン酸吸収係数が大きく,リン酸が不足しやすい。

    (2)河川および霞ヶ浦,北浦等の湖沼周辺の平坦低地や自然堤防上には灰色低地土群の

    土壌(金田統,四倉統,泉崎統)が分布する。これらは,いずれもリン酸吸収係数が

    小さく土層の塩基状態も良好であり,比較的に生産性の高い半乾~乾田となっている。

    (3)隣接する低湿地にはグライ土群(富曽亀統,琴浜統,幡野統等),自然堤防の後背湿

    地や低地等には黒泥土群および泥炭土群が出現する。いずれも排水の悪い湿田をなし,

    根系の還元障害のおそれが大きい。また増冠水の危険性があるなど,排水対策を必要

    とする土壌群が分布する。大型機械の導入も困難な場合が多い。

    (4)県北部の山間地には追子野木統や国領統が分布する。浅い位置から礫層が出現し,

    漏水が激しく,肥料切れしやすいため,生育不良になるケースが多い。

    (5)各土壌群の分布割合をみると,調査面積 77,357ha のうち,グライ土群が 38.9%で最

    も多く,次いで灰色低地土群 31.3%である。灰色低地土群以外は湿田を形成している

    とみられるので,湿田率は約 70%に達すると考えられる。特に湿田率の高い地域は県

    南および鹿行地域で,いずれも利根川下流部や霞ヶ浦および北浦湖岸に広がる水田地

    帯にみられる。

  • 42

    1-2 畑土壌

    本県の主要な畑土壌統についての分布状況と生成要因ならびに栽培・施肥管理等におけ

    る問題点を表2に示す。また,地形と畑土壌統の分布概念を,県北地域の那珂台地を例

    にし,図2に示す。

    県内の畑土壌の分布状況と特徴を概括すると,以下の(1)~(5)のとおりである。

    (1)県内畑地の約 82%は台地に分布する黒ボク土壌群および多湿黒ボク土群の土壌でし

    められている。

    (2)黒ボク土群のうち,大津,大里の両統は生産性が比較的高いこと,大河内,桜,郷

    ノ原,久米川の各統はリン酸吸収係数が大きく(ばん土性強),有効態リン酸に乏しい

    こと,風食・水食を受けやすいこと(大河内統),干ばつを受けやすいことが特徴とし

    てあげられる。

    (3)多湿黒ボク土群の各土群統は,過湿で湿害のおそれが多いこと,有効態リン酸が少

    なく,比較的酸性の強いことが特徴である。

    (4)統別の分布面積では,桜統が最も多く,黒ボク土,多湿黒ボク土群の合計面積 73,901ha

    中 61%に達し,次いで大津統 10.3%,大河内統 8.2%である。桜統は那珂台地以外に

    も県下全域に分布するが,鹿島,行方,稲敷の各台地では腐植層を欠く大河内統とし

    ばしば隣接して分布している。多腐植層を持つ郷之原,西の原,厨川統等は,主に県

    北部の那珂台地や県西の台地を中心として分布する。多湿黒ボク土群の土壌は,県北

    および県西の台地に多い。

    (5)褐色森林土群は県北部山間地に見られ,灰色低地土は県下の河川流域に見られる。

  • 43

  • 44

    表1 県内主要水田土壌の特徴

    土壌型 土 壌 群 土壌統群 生 成 要 因 と 分 布

    泥炭・黒泥土壌

    泥炭土群 かつて湿地帯に繁茂していたヨシ,マコモ等の湿生植物が

    集堆積して形成された土壌。河川の流域,湖沼湿地,台地下

    の低湿地,台地間谷津田の湿地等に分布する。

    黒泥土群 泥炭の分解が進んで植物組織が肉眼でほとんど認められな

    い程度に至った土壌で,黒色を呈している。河川流域,湖岸

    等の低湿地や谷底低地,台地の低凹地等の排水不良地に分布

    している。

    火山灰土壌

    多湿黒ボク土群 ・厚層腐植質多

    湿黒ボク土

    ・表層多腐植質

    多湿黒ボク土

    ・表層腐植質多

    湿黒ボク土

    主に火山放出物を母材として,やや不良な排水条件下で生

    成し,表層は有機物に富む黒色を呈する。下層に斑紋結核が

    認められる。火山灰土壌が水によって運ばれ,再堆積した土

    壌も含まれる。本県においては,谷底地や台地,丘陵内の低

    凹地等地下水位の高い地域に分布する。また,火山灰土壌の

    陸田もこれに属する。

    黒ボクグライ土

    ・腐植質黒ボク

    グライ土

    火山放出物を母材として,地下水位が高い排水不良条件下

    で生成し,有機物に富む。黒い表層を持ち,全層または下層

    がグライ化している。表層の母材は火山灰であるが,再堆積

    の課程で,他の母材が混入している場合が多い。また,下層

    には泥炭や黒泥が混在する。腐植含量の低い通常のグライ層

    は青灰色を呈するが,腐植質火山灰土層はグライ化しても青

    灰色を呈さない。

    強グライ・グライ土壌

    グライ土群 ・細粒強グライ

    ・中粗粒強グラ

    イ土

    ・細粒グライ土

    ・中粗粒グライ

    ・グライ土・下

    層有機質

    海河岸沖積平野および谷底地など平坦な地形に広く分布

    し,一般に排水不良である。年間の大部分の期間で地下水位

    が高く,強還元土壌である。グライ土は,グライ層の出現位

    置や泥炭層,火山灰層,砂礫層等の有無,土性の違い等によ

    って土壌統が区分される。

  • 45

    作物生産における阻害要因と対策 該当土壌統(茨城統名) 施肥改善土壌型による分類

    地下水位が高く,土壌還元による根の障

    害が大きいため,暗渠排水等の整備や客土

    を行うとともに,無硫酸根肥料を使用する。

    また,可能な限り中干しを行う。ケイ酸含

    量が少ないので,ケイ酸石灰等によりケイ

    酸を補給する。

    岩沼(富田) A2 泥炭土壌 強粘土型

    地下水位が高く還元障害のおそれがきわ

    めて大きい。中干し等の水管理に努める。

    火山灰土が混入している場合が多いため,

    リン酸の施用が効果的である。

    田貝(川戸)

    井川(本田)

    今の浦(柴崎)

    赤沼(江川)

    C21 黒泥土壌 粘土型

    E43 グライ土壌 土壌型

    表層~下層土が火山灰土壌の理化学性を

    示し,腐植含量5%以上で,リン酸吸収係

    数 1,500 以上を示すものが多い。リン酸お

    よびケイ酸の施用が効果的である。

    渋井沢(弓田,佐和,

    栗田)

    千町無田(下佐谷)

    大田和(入谷津,蛇池,

    下藤ヶ谷)

    篠永(さぎ沼)

    大内(国田)

    H72 黒色土壌 粘土腐植型

    H70 黒色土壌 粘土火山腐植型

    C21 黒色土壌 粘土型

    A3 黒色土壌 粘土型

    C22 泥炭土壌 粘土型

    H70 黒色土壌 粘土火山腐植型

    H71 黒色土壌 壌土火山腐植型

    火山灰を母材とし,腐植含量が多く,塩

    基交換容量も大きいが,リン酸吸収係数が

    大きいため,リン酸不足になりやすい。ま

    た,土壌の還元力が強く,水稲の根系障害

    が顕著に現れやすい。リン酸とケイ酸の施

    用が効果的で,排水施行を伴った基盤整備

    によって乾田化をはかることが望ましい。

    半谷(半谷)

    八木橋(高田,平沼)

    H72 黒色土壌 粘土腐植型

    H70 黒色土壌 粘土火山腐植型

    夏期の土壌還元により根腐れを起こすお

    それがあるので,排水対策,無硫酸根肥料

    の使用,ケイ酸施用等が必要である。強度

    の中干しを行い,土壌に亀裂を生じさせる

    ことにより,土壌の透水性を高めることも

    効果的である。

    富曽亀(八木)

    田川(脇川,飯沼)

    西山(くげ戸沼)

    東浦(長州,十余島)

    芝井(阿波崎)

    滝尾(谷中)

    琴浜(須田浜)

    幡野(枝川)

    浅津(沼里)

    D30 強グライ土壌 強粘土還元型

    D31 強グライ土壌 強粘土班鉄型

    D32 強グライ土壌 粘土還元型

    D33 強グライ土壌 粘土班鉄型

    D34 強グライ土壌 壌土還元型

    D35 強グライ土壌 壌土班鉄型

    D36 強グライ土壌 砂土還元型

    E40 グライ土壌 粘土構造型

  • 46

    土壌型 土 壌 群 土壌統群 生 成 要 因 と 分 布

    強グライ・

    グライ土壌

    灰色低地土群 ・細粒灰色低地

    土・灰色系

    ・中粗粒灰色低

    地土・灰色系

    ・礫質灰色低地

    土・灰色系

    ・細粒灰色低地

    土・灰褐系

    ・中粗粒灰色低

    地土・灰褐系

    ・礫質灰色低地

    土・灰褐系

    ・灰色低地土・

    下層有機物

    灰色系の土壌は河川流域の全域および湖岸のやや高いと

    ころ,谷津田の排水の良いところに分布し,おおむね半湿

    ~乾田である。灰色の土層は当初の堆積物が地下水やかん

    がい水によって変成したか,あるいはグライ層の酸化によ

    り生成したものと考えられる。灰褐系土壌はさらに地下水

    が低く,主に河川流域の自然堤防等の高位面に分布し,も

    っとも酸化的な土壌断面を示す乾田型土壌である。成因は

    灰色系と同様であるが,灰色系の土壌よりも多少酸化の過

    程が進んでいるか,火山灰の影響により褐色味が強くなっ

    たものと考えられる。

    黄色土壌 ・細粒黄色土・

    斑紋あり

    変成岩,固結火成岩あるいは第三紀またはそれ以前に堆

    積した固結堆積岩を母材とする残積,あるいは非固結堆積

    岩を母材とする洪積世堆積である。盆地の周縁部など特定

    の地形面上に点在的に分布する。本県では県南の一部に分

    布する。

  • 47

    作物生産における阻害要因と対策 該当土壌統(茨城統名) 施肥改善土壌型による分類

    八幡(上新田)

    米里(庄布川,長竿)

    楢山(中谷原)

    下谷地(舟戸)

    横森(中津川)

    E41 グライ土壌 強粘土構造型

    A2 泥炭土壌 強粘土型

    C22 黒泥土壌 壌土型

    A3 泥炭土壌 粘土型

    C21 黒泥土壌 粘土型

    保肥力は中庸であるが,リン酸吸収係数

    は小さい。土層の塩基状態は良好で,自然

    肥沃土の高い土壌である。粘性の強い土壌

    では,耕起砕土がやや困難である。輪換田

    として高度利用が可能である。

    四倉(合ノ川)

    佐賀(川崎)

    鴨島(尾沼)

    加茂(桜川)

    清武(下田)

    久世田(前川原)

    追子野木(金沢)

    国領(山田)

    緒方(川久保)

    金田(五反田)

    安来(立溝)

    栢山(石上)

    泉崎(生板,下長沼)

    荒井(町田)

    F50 灰色土壌 粘土構造型

    F52 灰色土壌 壌土型

    J91 礫層土壌 粘土型

    K93 礫層土壌 壌土マンガン型

    K95 礫層土壌 壌土マンガン型

    (下部礫層)

    G61 灰褐土壌 粘土構造マンガン

    G63 灰褐色土壌 壌土マンガン型

    J91 礫層土壌 粘土型

    C20 黒泥土壌 強粘土型

    C22 黒泥土壌 壌土型

    土壌が重粘であるので,稲わら,堆肥等

    の粗大有機物を施用し,物理性の改善に努

    める。間断かんがいを行い,根の健全化を

    図る。

    蓼沼(沢辺) I80 黄褐色土壌 強粘土マンガン

  • 48

    表2 県内主要畑土壌の特徴

    土壌型 土 壌 群 土壌統群 生 成 要 因 と 分 布

    黒色火山灰土壌

    黒ボク土群 ・厚層多腐植質

    黒ボク土

    ・厚層腐植質黒

    ボク土

    ・表層多腐植質

    黒ボク土

    ・表層腐植質黒

    ボク土

    ・淡色黒ボク土

    火山放出物の風化堆積層上部に非泥炭質の腐植が堆積し,

    暗褐色ないし黒色を呈する。黒ボク土は洪積世から現世に至

    るまで時代間隔をおきながら,火山噴出物が次々と表層に供

    給されてきたという通常の成帯性土壌には見られない特徴が

    ある。本県畑土壌の約 80%がこの土壌群に属する。

    褐色火山灰土壌

    黒色火山灰土壌

    多湿黒ボク土群

    ・厚層多腐植質

    多湿黒ボク土

    ・厚層腐植質多

    湿黒ボク土

    ・表層多腐植質

    多湿黒ボク土

    ・表層腐植質多

    湿黒ボク土

    母材は黒ボク土と同様であるが,再堆積されたものがやや

    多い。黒ボク土分布域に接する台地上の凹地や平坦地ないし

    緩斜面および沖積低地の凹地に散在している。地下水位が高

    いため,下層に斑紋結核が出現する。

    褐色森林土壌

    褐色森林土群 ・細粒褐色森林

    ・礫質褐色森林

    母材は固結火成岩,固結堆積岩,変成岩などがある。湿潤

    温帯の落葉広葉樹林下またはそれと針葉樹との混交林下,排

    水良好な台地上で発達したものと考えられる。堆積様式は残

    積,洪積世堆積が多いが,一部に崩積も含まれる。分布する

    地形は山麓および丘陵地の傾斜面,台地上の平坦地波状地で

    ある。

    灰色台地土壌

    灰色台地土壌 ・中粗粒灰色台

    地土

    非固結堆積岩(成田層)を母材とする水積性土壌で,土性

    は壌質あるいは砂質である。台地上に分布し,全層が灰色ま

    たは灰褐色の土層からなる。本県では,鹿行,県南地域にお

    ける緩波状地の斜面に点在する。

  • 49

    作物生産における阻害要因と対策 該当土壌統(茨城統名)

    容積重が小さく孔隙率が高いことや炭素含量が高いこと,リン酸吸収係

    数や塩基置換容量が大きいこと,バン土性の強いこと等が特徴としてあげ

    られる。酸性化が進みやすいので,石灰資材での改良が必要である。また,

    有効態リン酸が 10mg/100g 以上になるようにリン酸を施肥する。さらに,

    褐色型ほど陸稲等で干ばつを受けやすく,冬作においては風食を受けやす

    いため,畑地かんがい設備や防風林の設置等の対策が必要である。

    バン土性:「バン土」とはアルミニウムを示す用語で、「バン土性」はアル

    ミニウムが活性化しやすい性質のこと。

    久米川(内原)

    大津(大原)

    郷ノ原(舟木)

    桜(宮ヶ崎)

    大河内(城ノ内)

    母材が黒ボク土と同じであるため,容積重が小さくリン酸吸収係数が大

    きい等その理化学性は類似する。特に微量要素(鉄,ホウ素等)が欠乏し

    やすいので,十分に留意する。

    厨川(鯉渕)

    高梨(十里)

    西の原(大沼)

    大内(芹沢)

    一般に塩基飽和度が低く,酸性で,腐植や粘土に乏しい。有効作土層は

    浅く,保肥力は小さい。リン酸の固定は少ない。対策としては,水食防止,

    干害防止,塩基の補給,有機物の増施が必要。

    上(西金)

    石浜(生瀬,三ツ目)

    五社(陣場)

    千原(塙)

    腐植層を欠くため,堆肥等の粗大有機物の施用が必要。また,心土が硬

    いため,深耕することが望ましい。

    長笹(成田)

  • 50

    土壌型 土 壌 群 土壌統群 生 成 要 因 と 分 布

    赤色・黄色土壌

    暗赤色土群 丘陵,台地,段丘に分布し,固結火成岩の残積により生成。

    筑波山麓に点在し,角礫を含む粘性の強い土壌である。

    黄色土群 ・細粒黄色土 台地縁辺部の傾斜地に分布する非固結堆積岩を母材とする

    土壌である。この土壌はローム層が浸食によって失われ,洪

    積世に堆積した土壌が露出し,耕地化されたもの。本県では

    鹿行地域の一部に分布する。

    沖積土壌

    褐色低地土群

    ・細粒褐色低地

    土・斑紋なし

    ・中粗粒褐色低

    地土・斑紋なし

    ・礫質褐色低地

    土・斑紋なし

    ・細粒褐色低地

    土・斑紋あり

    ・中粗粒褐色低

    地土・斑紋あり

    母材は黒ボク土と同様であるが,再堆積されたものがやや

    多い。黒ボク土分布域に接する台地上の凹地や平坦地ないし

    緩斜面および沖積低地の凹地に散在している。地下水位が高

    いため,下層に斑紋結核が出現する。

    灰色低地土群 ・灰色低地土・

    下層黒ボク土

    火山灰土の上に非固結堆積岩が水積されたものである。表

    層は黒褐~黄褐色を呈し,表層腐植層を欠く。下層は火山灰

    土の風積によるもので,腐植含量の多少によって土色が変わ

    る。土性は壌~粘質の場合が多い。

  • 51

    作物生産における阻害要因と対策 該当土壌統(茨城統名)

    酸性が強いので,石灰の施用が必要である。また,心土が硬いので,深

    耕が望ましい。

    湯島(古城)

    全層にわたって腐植含量に乏しく,強粘質である。心土が著しく硬いた

    め,過干・過湿のおそれが大きい。30~40cm 程度の深耕を行い,腐熟の進

    んだ粗大有機物をすき込む等の対策により,物理性の改善が必要である。

    能代(沖洲)

    リン酸吸収係数は小さく,概して有効態の養分を多く含む。野菜畑とし

    て利用される場合が多く,収量,品質ともに良好である。

    檪下(矢の下)

    新戒(粟野)

    芝(宇崎,下河原,坪井)

    飯島(関戸,東山)

    二条(辰の口)

    中島(下津原)

    常万(三湯)

    長崎(下割)

    水田との比高が小さいので,過湿になる場合があり,排水路の整備が必

    要である。

    野市(上境)

  • 52

    1-3 土壌情報閲覧システム

    本県の土壌の分布状況を手軽に調べることができるインターネット・サイト「土壌情報

    閲覧システム(http://agrimesh.dc.affrc.go.jp/soil_db/)」およびスマートフォン・アプリケーション「e-土壌図(http://agrimesh.dc.affrc.go.jp/e-dojo/)」を紹介する。「土壌情報閲覧システム」および「e-土壌図」は(独)農業環境技術研究所が開発したものである。両システムに収録されているデジタル農耕地土壌図は地力保全基本調査時に作成した縮

    尺 5 万分の 1 の農耕地土壌図であり,農地の分布状況など地目情報は更新されている。

    (1)土壌情報閲覧システム

    「土壌情報閲覧システム」はインターネットに接続したパソコンならどこからでもア

    クセスすることができ,市町村名や大字名などから土壌図を検索することができる。

    土壌図上をクリックするとその位置に分布する土壌統群の性質について説明した資料

    が表示される。また,説明資料からは作土層の理化学性の平均値(全国)が閲覧でき

    るようになっている。作土層の理化学性の平均値は農林水産省が実施した土壌環境基

    礎調査および土壌機能モニタリング調査で得られた土壌特性値について,土壌統群

    毎・地目毎・5 年毎の全国平均値を閲覧することが可能である。なお,収録されている土壌特性値はち密度,仮比重,三相分布,pF,有効水分,pH,置換酸度,電気伝導度,全炭素・窒素含量,塩基置換容量,交換性塩基,可給態リン,可給態ケイ素,可給態

    窒素である。

    図 土壌情報閲覧システム(左)および e-土壌図(右)

  • 53

    (2)e-土壌図

    「e-土壌図」はスマートフォンなどの携帯端末に搭載された GPS により,利用者の位

    置情報から簡単にデジタル農耕地土壌図を検索・表示することができる。「e-土壌図」

    のメモ作成機能では,携帯端末を用いて圃場で撮影した圃場の状況や作物の生育状況

    を注釈とともに土壌図上にメモとして保存できる。このピンにはまた,土壌診断結果

    などの pdf ファイルも保存できるので,圃場において作物の生育状況と土壌診断結果を

    照合できる。

    図 土壌図閲覧ページ(左)および作土層の理化学性データ表示(右)

    図 「e-土壌図」の土壌図閲覧画面(左),土壌の解説資料(中),メモ編集画面(右)

  • 54

    (3)e-土壌図による有機物管理

    「e-土壌図」の有機物管理機能は,圃場にどのような堆肥をどの程度施用すると,土

    壌中にどれくらいの有機物が増加(減少)するかを予測するためのツールである。「e-

    土壌図」の有機物管理機能では,利用者が土壌図上をタップするだけで,その地点の

    土壌および気象情報を取得し,ウェブ上の計算エンジンに自動的に入力されるので,

    利用者は作物の種類とその収量および堆肥の種類と投入量を選択・入力するだけで土

    壌有機物の増減を調べることができる。

    図 有機物管理機能の操作画面(左)および計算結果(右);作物および堆肥の種類

    については選択式となっており,収量および投入量(堆肥)については数値入力がで

    きる。