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目次 はじめに 概要:DMMの比較 34401A互換モード 34410A/34411Aの動作の違い 電気的/機械的な互換性 まとめ はじめに Agilent 34410A/34411Aは最新の6 1/2デジタル・マルチメータです。こ れらの新しいDMM は、業界標準の Agilent 34401Aをベースにしたもの で、機能が大幅に強化されています。 レンジの拡大、確度の向上、測定速 度とシステム速度の高速化、および キャパシタンス、温度、ピーク検出 機能などの追加により、より複雑な 信号の測定にも対応できます。 このアプリケーション・ノートでは、 Agilent 34401Aから新製品のAgilent 34410A/34411Aデジタル・マルチメ ータに移行する方法について説明し ます。「これらの新しいDMMがアプ リケーションで動作するのか?互換 性があるのか?どの機能が同じなの か?違いは何か?これら2つの新しい DMM34401Aに比べて性能がどの ように勝っているのか?」などのさ まざまな疑問にお答えします。機能 の比較、34401Aエミュレーション・ モード、測定速度の比較、プログラ ミング/インタフェースの違い、電 気/機械的な違いなどが含まれて います。新しいAgilent DMM の有 効活用法については、『Application Note 5989-4039EN Agilent 34410A/34411A 6 1/2Digit High Performance Multimeters』を参照し てください。 Agilent 34401Aに代わる新製品 34410A/34411A高性能デジタル・マルチメータ Application Note

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Page 1: Agilent 34401A 34410A/34411A高性能デジタル・マ …literature.cdn.keysight.com/litweb/pdf/5989-4038JAJP.pdf目次 はじめに 概要:DMMの比較 34401A互換モード 34410A/34411Aの動作の違い

目次

はじめに

概要:DMMの比較

34401A互換モード

34410A/34411Aの動作の違い

電気的/機械的な互換性

まとめ

はじめにAgilent 34410A/34411Aは最新の61/2デジタル・マルチメータです。これらの新しいDMMは、業界標準のAgilent 34401Aをベースにしたもので、機能が大幅に強化されています。レンジの拡大、確度の向上、測定速度とシステム速度の高速化、およびキャパシタンス、温度、ピーク検出機能などの追加により、より複雑な信号の測定にも対応できます。

このアプリケーション・ノートでは、Agilent 34401Aから新製品のAgilent34410A/34411Aデジタル・マルチメータに移行する方法について説明します。「これらの新しいDMMがアプ

リケーションで動作するのか?互換性があるのか?どの機能が同じなのか?違いは何か?これら2つの新しいDMMは34401Aに比べて性能がどのように勝っているのか?」などのさまざまな疑問にお答えします。機能の比較、34401Aエミュレーション・モード、測定速度の比較、プログラミング/インタフェースの違い、電気/機械的な違いなどが含まれています。新しいAgilent DMMの有効活用法については、『ApplicationNote 5989-4039EN、 Agilent34410A/34411A 6 1/2Digit HighPerformance Multimeters』を参照してください。

Agilent 34401Aに代わる新製品34410A/34411A高性能デジタル・マルチメータApplication Note

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Agilent 34401Aと34410A/34411Aの違いを理解するために、製品の比較を行います。34411Aは34410Aのスーパーセットなので、以下の表では34411Aの追加機能は分けて示してあ

ります。表には、主要な機能が示されています。違いがある箇所は太字になっています。

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概要:DMMの比較

34401Aの主な機能 34410Aの主な機能DCファンクションとレンジ DC電圧 100 mV~1000 V DC電圧 100 mV~1000 V

DC確度 35 ppm DC確度 30 ppm

DC電流 10 mA~3 A DC電流 100μA~3 A

2端子/4端子抵抗 100Ω~100 MΩ 2端子/4端子抵抗 100Ω~1 GΩ

導通 1000Ω 1 mA 導通 1000Ω 1 mA

ダイオード・テスト 1 V 1 mA ダイオード・テスト 1 V 1 mA

DC:DC比 100 mV~1000 V サポートされていない

キャパシタンス 1 nF~10μF

温度 2端子/4端子RTDおよびサーミスタ

リアルタイム・ピーク測定

オフセット補正済み抵抗

ACファンクションとレンジ 真の実効値AC電圧 100 mV~750 V 真の実効値AC電圧 100 mV~750 V

3 Hz~300 kHz 3 Hz~300 kHz

真の実効値AC電流 1 A~3 A 真の実効値AC電流 100μA~3 A

3 Hz~5 kHz 3 Hz~10 kHz

周波数と周期 100 mV~750 V 周波数と周期 100 mV~750 V

3 Hz~300 kHz 3 Hz~300 kHz

DCシステム・スループット 6.5桁 6読み値/s 6.5桁 1,000読み値/s

5.5桁 5.5桁 10,000読み値/s

4.5桁 1,000読み値/s 4.5桁(34411A) 50,000読み値/s

ACシステム・スループット 6.5桁 50読み値/s 6.5桁 500読み値/s

トリガとデータ・メモリ 外部トリガ・レイテンシ <1 ms 外部トリガ・レイテンシ <1μs

外部トリガ・ジッタ <500μs 外部トリガ・ジッタ <1μs

カウント+遅延ペース カウント+遅延ペース

精密サンプル・タイマ

アナログ・レベル・トリガ(34411A)

プリ/ポスト・トリガ(34411A)

揮発性データ・メモリ 512 揮発性データ・メモリ 50,000

(34411A) 1,000,000

不揮発性データ・メモリ 50,000

I/Oとコネクティビティ GPIB、RS232 GPIB、LAN、USB 2.0

ASCIIフォーマット ASCIIまたはバイナリ・フォーマット

内蔵Webサーバ

不揮発性メモリへのデータ・ロギング

LabVIEW、IVIドライバ、Intuilink DMM LabVIEW、IVIドライバ、Intuilink DMM

プライマリ測定フロント・パネル表示 デュアル・ディスプレイおよび第2ディスプレイ

での同時測定のサポート

表1

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この表から、Agilent 34410A/34411A6 1/2桁マルチメータが、以下のように34401Aより大幅に向上していることがわかります。

• 測定速度の向上

• システム・スループットの向上

• ファンクションとレンジの追加

• データ・メモリとトリガの拡張

• デュアル・ディスプレイによる同時測定

• コンピュータIOインタフェースとWebサーバの標準装備

使いやすいフロント・パネル、不揮発性のデータ・ロギング、見やすいデュアル・ディスプレイ、容易なプログラミングなど、これらの新しいDMMにはベンチ操作やシステム操作に必要な機能が揃っています。

34401A互換モード

Agilent 34410Aまたは34411Aマルチメータには、機能が拡張され、しかもAgilent 34401Aマルチメータとの互換性も保持されたSCPIコマンド・セットがあります。また、以下で説明する34401A用の互換モードも備わっています。

Agilent 34410A/11Aではファンクションの追加や性能の拡張が行われているため、34410A/11Aを使って34401Aのプログラムを実行したときに通常のSCPIモードでは以前と同じ動作を示さない場合があります。この原因には、レンジ選択、分解能選択、コマンド実行速度、コマンド実行のオーバラッピングの違いや、本書で後から説明するその他の違いが関係しています。

既存のAgilent 34401Aの実行速度が突然以前より10倍速くなると、テスト・プログラムへの変更が必要になる場合があります。こうした事態は、プログラマが複数のテスト・プログラムの統合中に、テストを機能させる方法を経験的に判断している場合に生じます。

例えば、テスト・プログラムに以下のコマンド・シーケンスがあるとします。

• 特定の測定用にDMMをセットアップする。

• スイッチ・ユニットでチャネルを閉じる。

• DMMで測定を開始する。

コマンド実行速度が以前よりも10倍速いDMMを使用すると、測定が実際にはスイッチが閉じる前、または入力が安定したレベルにセトリングする前に開始される可能性があります。この問題への対処方法をいくつか示します。

• チャネルを閉じた後に遅延を追加します。

• チャネルを閉じた後にDMMのセットアップを行います(遅延と同じ働きがあります)。

• 閉じた最後のチャネルでチャネル・クエリ(“ROUTE: CLOSE?”コマンド)を使用して、チャネルが閉じていることを確認します。

• スイッチ・ユニットからのチャネル・クローズ信号でトリガするようDMMをセットアップします。

上記に示すように、テスト・プログラムの書き直しが必要になるのはタイミングの問題がある場合だけです。上記のアドバイス自体にも複雑な問題が含まれる場合があります。例えば、DMMのコマンド実行速度がスイッチ・クローズより速い場合は、チャネルを閉じた後にDMMをセットアップしても十分な遅延にならない可能性があります。

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34401A Compatibility Modeを使用すると、既存の34401Aプログラムを34410A/11Aで確実に実行することができます。このモードでは、SCPI構文は34410Aまたは34411AのネイティブSCPI構文ではなく、『Agilent34401Aユーザーズ・ガイド』で示す34401AのSCPI構文に従います。互換モードは、以下のコマンドで選択できます。

SYSTem:LANGuage“34401A”

注記: Agilent 34401A Compatibility Modeは、プログラムによってのみ操作できます。34401Aと新しい34410A/11Aには機能の差があるため、フロント・パネルは「ロックされた」ままになります。フロント・パネルのコントロールを回復するには、フロント・パネルから互換モードの終了を選択する必要があります。Webサーバ動作も同様にObserve Modeのみに制限されるため、実行できるのは現在のDMM設定の表示とデータ・メモリの表示だけです。Compatibility Modeは、フロント・パネルから終了するか、IOインタフェースの1つから以下のようにプログラムで終了する必要があります。

SYSTem:LANGuage “34410A”

34401A Compatibility Modeを選択しているときには、SCPIコマンドは、『Agilent 34401A ユーザーズ・ガイド』で説明しているSCPIコマンドと同じ構文を実行します。実際、“*IDN?”を実行すると、測定器は34401Aの識別文字列を返します。こ の た め ほ と ん ど の 場 合 、34410A/11A DMMと34401Aのコマンド実行速度や測定速度だけに関心が行きがちです。しかしながらこれ以外にも、以下に示すような違いがあります。

1 . 3 4 4 0 1 A互換モードのときに34410A/11A固有のコマンドを発行できます。例えば、“VOLT:NPLC? MIN”は、34401A互換モードでは“0.02”を返し、34410Aモードでは“0.006”を返します。34401A互換モード中に“VOLT:NPLC 0.006”を送信するとエラーになります。ただし、3 4 4 0 1 A 互 換 モ ー ド で は“VOLT:APER100e-6”の送信が有効です。これは、テスト・プログラムの他の箇所を変更せずに“34401A”のサンプリング・レートを高める有効な手段となります。

2.以前の製品との互換性を保つために複数のコマンドが追加されています。これらのコマンドは、ファンクションごとのコマンドに置換されていますが、互換モードを使用するときには前のファンクションにマッピングされます。 詳細については、次の「34410A/11Aの動作の違い」を参照してください。

CALCulate:NULL:OFFSet

INPut:IMPedance:AUTO

[SENSe:]DETector:BANDwidth

[SENSe:]ZERO:AUTO

3. 34410A/11AハードウェアはDC:DC Ratioファンクションを実装していません。このため、以下のコマンドは実行されません。

CONFigure:VOLTage:DC:RATio

MEASure:VOLTage:DC:RATio?

[SENSe:]FUNCtion“VOLTage:DC:RATio”

4. 34410A/11A DMMでは、導通測定のしきい値設定を変更できません。現在は、10Ωに固定されています。

5. 34410A/11A DMMでは、タッチ・ホールド機能の感度設定を変更できません。現在は、電流レンジの0.1%に固定されています。

6. 34410A/11AハードウェアにはRS-232シリアル・インタフェースが装備されていません。

7. アパーチャの分解能は、クロック信号源の違いにより、わずかに異なる場合があります。

8. 一部のエラー・メッセージが異なります。プログラムされたパラメータの丸めや分解能がわずかに違う可能性があります。さらに、クエリ応答の桁が違う場合もあります。

9. 互換性は、34401A用のSCPIコマンドに対してのみ得られます。3478AまたはFluke8840A/8842A測定器などの代替言語に対する互換性はありません。

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34410A/34411Aの動作の違い

ここでは、新機能の長所を34401Aと対比しながら説明します。多くの場合、互換モードを使用しなくても34401Aを34410Aまたは34411Aに単純に置換できますが、動作の違いに注意する必要があります。新しい機能の詳細については、『Application Note 5989-4039EN、Agilent 34410A/ 34411A 61/2 DigitHigh Performance Multimeters』を参照してください。違いを以下にまとめます。各項目の詳細については、このセクションで順番に説明します。

• ファンクションとレンジの追加

• オーバラップ処理とリアルタイム測定

• NPLC分解能とアパーチャの分離

• 測定の違いと手法

• 測定とシステム性能

• デュアル・トリガ・システム

• コネクティビティ

• 演算機能

ファンクションとレンジの追加

レンジの比較は、このアプリケーション・ノートの表1にあります。より低い電流レンジの追加により、例えば、信号のダイナミック・レンジが広がります。34410/11A DMMにはキャパシタンス測定と温度測定が追加されています。温度測定には、2.2Kサーミスタ、5Kサーミスタ、10Kサーミスタと385 RTD測定が含まれています。RTDとサーミスタの両方に対して2端子抵抗と4端子抵抗測定が使用できます。

オーバラップ処理とリアルタイム測定

34401Aは、単一タスク測定器と考えられています。非常に優れた測定を実行しますが、一度に1つの動作しか実行できません。 3 4 4 0 1 Aと34410A/11A DMMはどちらもINITコマンドを使って測定エンジンのトリガを準備し、測定を行います。ただし、34410A/11A DMMでは以下のことが可能です:

• コマンド・パーサが新しいコマンドを自由に受け付けます。

• 同時測定が可能です。

INITコマンドを34401Aに送信した場合、そのコマンドが終了しないと別のコマンドを受信できません。34410A/11A DMMを使用すると、読み値、実行中の演算の結果、またはその他の同時測定データをクエリできます。

34410A/11Aには、以下に示すリアルタイムの第2測定/動作機能があります。

• 統計演算: 平均、標準偏差、最小、最大、カウント

• リミット・チェック

• DC測定中のリアルタイムDCピーク測定

• 周波数測定中のACV

• 温度表示中の温度センサの抵抗

測定を行いながら、IOインタフェース(GPIB、LAN、USB)から読み値または2番目の測定結果をクエリできます。

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NPLC分解能とアパーチャの分離

34401Aでは、NPLCの0.02、0.2、1、10、100の選択以外に、A/D積分時間のアパーチャ設定にアクセスする方法はありません。1 PLC設定は、0.0166秒(60 Hz電源周波数)のアパーチャ設定に相当します。

34410Aでは、0.006と0.06の2つのN P L C設定が追加されています。34411Aでは、0.001と0.002が追加されます。しかし、これらのDMMでは動作モードとしてNPLCモードとアパーチャ・モードがあり、両方の設定を変えることができます。NPLC設定の数が限られていても、実際のアパーチャ設定に対してはるかに多くの制御が得られることになります。例えば、アパーチャ設定の分解能は20μsです。DMMは、最後に指定したコマンドに従います。DMMをクエリし、NPLCモードとアパーチャ・モードのどちらで動作しているかを表示することができます。

測定の違いと手法

34410A/11A DMMは、高速A/Dサンプリング手法をアパーチャ積分時間と組み合わせてDC測定とAC測定を行います。34401Aは精密アナログAC実効値コンバータを使用していましたが、34410A/11A DMMはAC信号をサンプリングし、真の実効値を計算します。この高速A/Dサンプリング・システムでは以下が可能です。

・アパーチャ積分サイクル中のリアルタイム・ピーク測定

・より高い分解能でのより高速のDC測定(6.5桁 @ 1000読み値/s)

・4~10倍高速のAC測定

・10%フル・スケールより下の小さなAC信号のより正確な測定

・最大10:1のクレスト・ファクタの影響の除去

リアルタイム・ピーク測定は、DC信号のノイズ・スパイクの測定に有効です。アパーチャが必要な分解能に設定され、そのアパーチャのあいだピーク・レベルを20μsごとに4.5桁で測定されます。例えば、電源の出力を測定しているとします。電源ノイズを除去するためにNPLCを1に設定しますが、ピーク測定機能をオンにすると、リップルのp-pレベルも測定できます。これにより、ACV測定を個別に実行する必要がなくなります。

測定とシステム性能

34410A/11A DMMでは、高速プロセッサと新しい高速A/Dテクノロジーとが組み合わされています。測定値の収集には、以下のように定義された複数のパスがあります。

1.測定を要求し、それらをデータ・メモリに記録する時間(パスA)

2.結果を要求し、データ・メモリから結果を読み取る時間(パスB)

3.単一測定を要求し、結果を取得する時間(パスC)

4.連続測定を要求し、結果を取得する時間(パスC)

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DMM入力

パスA

パスC

DMMメモリ50kの読み値不揮発性

パスB

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34401Aでは、GPIB、4.5桁の分解能で1000読み値/sに制限されていました。これには、複数の要因が関係しています。

• 512個のデータ・メモリ

• 低速のプロセッサ

• IOインタフェースからのコマンドを受信する際のオーバヘッドの増加

• ASCIIのみの出力フォーマット

34410A/34411A DMMでは、以下のすべてで向上しています。

1.測定を要求し、それらをデータ・メモリに記録する時間(パスA)

a .コマンドの構文解釈時間が34401Aより10倍以上高速

b. 最大50,000読み値/sをメモリに記録可能(34411A)

c. データ・メモリは、50,000個の読み値( 3 4 4 1 0 Aの場合)、1,000,000個の読み値(34411Aの場合)

2.結果を要求し、データ・メモリから結果を読み取る時間(パスB)

a. ASCIIまたはバイナリでデータ・メモリからデータを読み取り可能

b. LANで4000読み値/sを超えるASCIIレート

c. LANまたはUSBで200,000読み値/sを超えるバイナリ・レート

3.単一測定を要求し、結果を取得する時間(パスC)

a. 測定ファンクションに応じて3~10倍高速

4.連続測定を要求し、結果を読み取る時間(パスC)

a. 連続DC測定で10,000読み値/s(34410A)

b. 連続DC測定で50,000読み値/s(34411A)

設定変更、ファンクション変更、レンジ変更が、34401Aより2~5倍高速 で す 。 詳 細 に つ い て は 、34410A/11Aのデータ・シートを参照してください。

デュアル・トリガ・システム

34401Aが使用するトリガ・システムでは、測定の精密サンプリングを実行できませんでした。トリガ遅延とサンプル間遅延は同じ値でした。これを以下の図に示します。トリガ遅延は、前の測定で必要な時間が経過すると、再び開始します。このトリガ 手 法 は 、 互 換 性 の た め に34410A/11A DMMでも可能です。

34410A/11A DMMでは、精密サンプリングが可能になりました。トリガ遅延は、トリガ・イベントの発生後に待機する時間を指定できます。読み値間の時間が、インターバル・タイマ(サンプル・タイマ)によって決まるようになりました。

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カウントおよび遅延のペース - 34401Aトリガ・モデル

トリガ

トリガ遅延 サンプル#1 トリガ遅延 サンプル#2 トリガ遅延 サンプル#3

精密サンプルのタイミング - 34410A/11A

トリガ

間隔 間隔 間隔

トリガ遅延 サンプル#1 サンプル#2 サンプル#3

図1

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サンプルが図で示す間隔を超えない限り、各サンプルを変更できるようになりました。通常、特定のファンクションの最高速度が設定されるので、サンプリング時間は比較的一定です。しかし、このモデルは、オートレンジがオンおよびオートゼロがオンの場合にも使用できます。この場合、間隔設定でワーストケース・サンプリング時間が考慮されている限り、複数の読み値が取り込まれます。

サンプル・タイミングでは、機械-電気波形の捕捉が可能です。最高50,000読み値/s(34411A)とDCフロントエンド回路の入力帯域幅を組み合わせて、8 kHzまでの周波数成分に対して6倍のオーバサンプリングが可能です。

インタフェース

34401AにはGPIBとRS-232が装備されていました。34410A/11A DMMには、GPIB、USB、LANが装備されています。LANの追加により以下の新しい機能が得られます。

• LAN VXI-11プロトコル(LAN上でのGPIBのエミュレーション)

• LAN Sockets(最速の通信)

• DMMのリモート・アクセス用のWebサーバ

o 測定結果のモニタが可能。

o 測定器のすべての機能を制御可能。

o 最大3つのWebブラウザに対応。

o 読み値をアプリケーションにカット&ペーストが可能。

o 内蔵Webサーバに接続するためのPCへのソフトウェアやドライバのインストールが不要。eBay.comにアクセスできれば、測定器に接続可能。

PCのUSB 2.0を使用すれば、高速インタフェースが可能になり、データ・ロギングが簡単かつ強力になりま す 。 ス タ ン ド ア ロ ン の34410A/11A DMMではフロント・パネルのData Loggingボタンで、PCを使用せずに測定が行え、測定結果は不揮発性メモリに記録されます。DMMを後でPCに接続し、USBで読み値を検索できます。

演算機能

34401Aは、Auto Zero操作とNull操作を各ファンクションの外側で指定しました。Auto Zeroをオンにした場合、すべてのファンクションに対してAuto Zeroがオンになりました。Math NullをONにした場合、現在アクティブになっているファンクションに対してNullが使用されました。ファンクションを切り替えるたびに再度Nullにする必要がありました。「互換モード」で示したように、これらのファンクションに対する34401Aコマンドや入力インピーダンスは、「互換モード」では同じように動作します。

新しいDMMでは、Auto Zero、MathNull、Input Impedanceが特定の測定ファンクションの下に配置されています。フロント・パネルのNullボタンを押すと、Nullがそのファンクションと関連付けられます。別のファンクションに移動し、戻ったときに、Null操作が有効です。同様に、Auto Zeroをファンクションごとに有効または無効にすることができます。

前に示したように、測定中にMathのStatistics関数をクエリできます。これは34401Aではできませんでした。

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機械的には、34410Aと34411Aは34401Aに非常によく似ています。フロント/リア端子、電源入力モジュール、電流ヒューズは同じ位置にあります。Voltmeter CompleteおよびExternalトリガは、追加されたI/Oインタフェースと冷却ファンに合わせて縦になっています。34401AのRS-232コネクタに代わってLANとUSBが装備されました。34410A/11A DMMのラック搭載方法は34401Aと同じですが、34410A/11A DMMは奥行きが約76 mm短くなっています。Agilentでは新製品の多くをこの短い新しいパッケージに変更しています。測定器の長さが同じであれば、ラック・リンク・キットを使って測定器同士をリア・パネルで固定できます。

9

電気的/機械的な互換性

34401A

212.8 mm

88.3 mm

34410A/34411A

272.3 mm

348.3 mm

消費電力:25 VA(平均10 W)

消費電力:25 VA(平均16 W)

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まとめ

Agilent 34401Aを新しい34410Aおよび34411A DMMに移行する際に重要な概念について説明しました。このアプリケーション・ノートで説明した重要な事柄を以下にまとめます。

• Agilent 34410A/11Aには、拡張レンジ、キャパシタンス、温度測定など多数の新しい機能が追加され、より大きなデータ・メモリが装備され、性能が強化されています。

• 34401A互換モードを使用すると、34410A/11A DMMへの移行が簡単です。

• LAN、USB 2.0などのインタフェースが追加されたため、標準PCI/Oを使ってシステム性能を拡張できます。

• 内 蔵 W e b サ ー バ を 備 え た34410A/11A DMMをシステムへ追加すると、システムの機能が大幅に向上します。

• 34410A/11A DMMは、34401Aと機械的/電気的に互換です。

34410Aおよび34411A DMMに関するアプリケーションの詳細は、『Application Note 5989-4039EN、Agilent 34410A/34411A 61/2 DigitHigh Performance Multimeters』に記載されています。

用語集SCPI

Standard Commands forProgrammable Instrumentationの略です。測定器に長年使用されている英語形式の言語です。

関連カタログ

データ・シート

Agilent 34410A/34411A 6 1/2 桁マルチメータ:5989-3738JAJP

アプリケーション・ノート

AN 1389

Digital Multimeter MeasurementErrors

AN 1389-1

System Cabling Errors and DCVoltage Measurement Errors inDigital Multimeters

AN 1389-2

Resistance; DC Current; ACCurrent; and Frequency and PeriodMeasurement

AN 1389-3

AC Measurement Errors in DigitalMultimeters

AN 1479

Techniques for Reducing OverallTest Time When Using a DMM andSwitch

AN 1392

Making Better RMS Measurements

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Page 11: Agilent 34401A 34410A/34411A高性能デジタル・マ …literature.cdn.keysight.com/litweb/pdf/5989-4038JAJP.pdf目次 はじめに 概要:DMMの比較 34401A互換モード 34410A/34411Aの動作の違い

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Page 12: Agilent 34401A 34410A/34411A高性能デジタル・マ …literature.cdn.keysight.com/litweb/pdf/5989-4038JAJP.pdf目次 はじめに 概要:DMMの比較 34401A互換モード 34410A/34411Aの動作の違い

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www.agilent.co.jp/find/openAgilentは、テスト・システムの接続とプログラミングのプロセスを簡素化することにより、電子製品の設計、検証、製造に携わるエンジニアを支援します。Agilentの広範囲のシステム対応測定器、オープン・インダストリ・ソフトウェア、PC標準I/O、ワールドワイドのサポートは、テスト・システムの開発を加速します。

Windows XP およびWindows 2000 は、Microsoft Corp.の米国登録商標です。

サポート、サービス、およびアシスタンス

アジレント・テクノロジーが、サービスおよびサポートにおいてお約束できることは明確です。リスクを最小限に抑え、さまざまな問題の解決を図りながら、お客様の利益を最大限に高めることにあります。アジレント・テクノロジーは、お客様が納得できる計測機能の提供、お客様のニーズに応じたサポート体制の確立に努めています。アジレント・テクノロジーの多種多様なサポート・リソースとサービスを利用すれば、用途に合ったアジレント・テクノロジーの製品を選択し、製品を十分に活用することができます。アジレント・テクノロジーのすべての測定器およびシステムには、グローバル保証が付いています。アジレント・テクノロジーのサポート政策全体を貫く2つの理念が、「アジレント・テクノロジーのプロミス」と「お客様のアドバンテージ」です。

アジレント・テクノロジーのプロミス

お客様が新たに製品の購入をお考えの時、アジレント・テクノロジーの経験豊富なテスト・エンジニアが現実的な性能や実用的な製品の推奨を含む製品情報をお届けします。お客様がアジレント・テクノロジーの製品をお使いになる時、アジレント・テクノロジーは製品が約束どおりの性能を発揮することを保証します。それらは以下のようなことです。● 機器が正しく動作するか動作確認を行います。● 機器操作のサポートを行います。● データシートに載っている基本的な測定に係わるアシストを提供します。

● セルフヘルプ・ツールの提供。● 世界中のアジレント・テクノロジー・サービス・センタでサービスが受けられるグローバル保証。

お客様のアドバンテージ

お客様は、アジレント・テクノロジーが提供する多様な専門的テストおよび測定サービスを利用することができます。こうしたサービスは、お客様それぞれの技術的ニーズおよびビジネス・ニーズに応じて購入することが可能です。お客様は、設計、システム統合、プロジェクト管理、その他の専門的なサービスのほか、校正、追加料金によるアップグレード、保証期間終了後の修理、オンサイトの教育およびトレーニングなどのサービスを購入することにより、問題を効率良く解決して、市場のきびしい競争に勝ち抜くことができます。世界各地の経験豊富なアジレント・テクノロジーのエンジニアが、お客様の生産性の向上、設備投資の回収率の最大化、製品の測定確度の維持をお手伝いします。

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Nov 17, 2005

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