aiの最近のトピックスと今後の展望 - circle wave workshop_2017_x.pdf ·...

58
Business Consulting Services AIの最近のトピックスと今後の展望 NPO金融ITたくみs勉強会資料より - 塩田千幸 株式会社サークル・ウエイブ 2017年6月

Upload: others

Post on 20-May-2020

1 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

Business Consulting Services

AIの最近のトピックスと今後の展望

ー NPO金融ITたくみs勉強会資料より -

塩 田 千 幸

株式会社サークル・ウエイブ

2017年6月

Page 2: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 2

1 AIの現状~オーバービュー

2 AI利用の課題(短期的)

3 AI利用例(金融関連)

4 AI取り組みの展望(収録を割愛)

5 今後の全般的な展望/課題

当 資 料 の 流 れ

Page 3: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 3

AIの現状・・・・・ブーム状態

AIブームの変遷

松尾豊「人工知能は人間を超えるのか」角川EpuB選書、2015

単純な推論・探索

エキスパートシステム

・利用可能データ増大

・コンピュータ能力向上

・アルゴリズムの進化

Page 4: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 4

AIの現状・・・・・期待過剰?

新興技術に関するGartnerレポート(2015)より

ハイプサイクル : 新しい技術が登場した後の動きを類型化

機械学習(実質的にAI)の位置付け

“期待過剰のピーク”を越えつつある技術?

期待度

時間→

Page 5: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 5

AIの現状・・・・・主要な企業群

週刊ダイヤモンド「特集 勝者のAI戦略」より、2016.8.27

「AIに群がるグローバル企業」

Page 6: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 6

グーグル

写真保存・検索サービスを提供し、AIが被写体を自動判別

黒人を「ゴリラ」と誤認識 ⇒ 同社は謝罪

フェイスブック

「人間に近い精度で理解できるチャットボット」を発表

⇒ 3か月後に「言い過ぎで能力不足」を認める

パーソナライズされたニュースを提供 ⇒ 「フィルター・バブル」批判

マイクロソフト

チャットボット(AI)の対話能力を悪用され、不適切な発言を教えられた

大量の差別的発言を学習 ⇒ 運用停止に

AIの期待先行・・・・・AIプロジェクトの主なトラブル例

Page 7: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 7

世の中のニーズを無視・軽視

市場ターゲット識別戦略の欠如

AIの技術面とビジネス目標の不均衡

「AIありき」で万能視

AI利用の即効性を期待

組織的な自信過剰

成果のリリース遅れ(市場フィードバック不足)

AI利用ビジネスに関する失敗パターンをまとめると・・・

Page 8: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 8

先ず「利用目的ー適用業務」

AIモデル構築のためのデータ

AIアルゴリズム

IT環境(HW、SW、クラウド)

AI活用の全般的な考慮点

Page 9: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 9

AI活用の考慮点(利用目的ー適用業務)

利用目的例

(1)業務品質の向上

(2)業務の効率化

(3)スピードアップ

(4)省力化

・・・

適用業務例

A.与信審査

B.トレーディング

C.コールセンター

・・・

案を具体的に練り上げることが重要

Page 10: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 10

カテゴリー化、数値化、

ベクトル化などの前捌きが前提

数値化されたデータ

テキスト・データ

イメージ・データ

AIモデル学習

特徴量

要約情報

潜在バイアス

判定指標

判定カテゴリー

確度情報

AI活用の考慮点(学習用データの確保)

モデルの学習が終われば、

新たな入力データに対して適用

目標に適合した学習データの用意が重要

Page 11: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 11

アルゴリズムを用いるモデル構築のための学習用データ

I

I

91 92 93 94 95 96 97 98 99 100

85

86

87

88

89

90

91

92

93

94

95

96

97

98

99

100

34 28 27 25 21 27 21 21 30 23

39 27 23 23 23 23 23 11 11 16

25 19 30 30 19 27 23 9 16 16

34 27 30 28 25 25 30 16 21 23

34 27 27 21 27 19 25 16 19 16

27 23 30 23 30 21 18 19 14 18

23 25 28 32 19 16 21 28 19 19

23 25 21 28 21 16 23 25 19 14

25 27 18 30 19 21 23 19 23 19

21 23 23 23 18 16 14 21 19 14

23 21 30 27 28 21 27 30 27 16

21 27 32 23 23 21 18 18 18 14

23 27 30 19 19 21 16 16 21 9

19 23 21 23 30 25 19 18 23 7

23 25 21 27 23 23 19 16 16 12

23 28 30 25 21 19 27 25 21 21

[101x101]ピクセル

(データ1件当たり)

左上部

右下部

"Bottles.bmp" D

(RGB(赤、緑、青)に分解(横に連結)⇒後は上と同様)

データ・サイズは3倍に

入力データは事前に数値化が必要(画像データの例)

Page 12: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 12

データいろいろ・・・・・GIGO(Garbage In Garbage Out)

誤って入力された値、欠損値、異常値などの存在

特に基準がなく便宜的にコード化されたデータ

データ件数の多さ ≠ 信頼できるデータの多さ

サンプル・データが母集団データを代表しているか?

時系列データの定常性、横断面データの均質性が確保されているか?

生のデータは種々雑多

適切なデータでの学習が重要

Page 13: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 13

そもそも、アルゴリズムの「チカラ」を考えると・・・

例えば、入力データに適正なアルゴリズムを適用すれば

・・・AIには様々なアルゴリズム

ぼやけた画像も

鮮明に復元可能

適正でない

アルゴリズムを

適用

「適正さ」には、パラメータ設定等も含み、アルゴリズム選択だけでなく、AIモデルのチューニングも重要

Page 14: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 14

ディープ・ニューラル・ネットワーク(DNN)

学習用に膨大なデータが必要

強力なコンピュータ・パワーが必要

一般に学習プロセスは試行錯誤が必要

目的別に使い分け、組み合わせ

機械学習の観点

教師あり学習(Supervised Learning)

教師なし学習(Unsupervised Learning)

強化学習(Reinforcement Learning)

IBMワトソン ・・・ ニューラルネットにこだわらない合わせ技

主なAIアルゴリズムについて

機械学習

ニューラル・

ネットワーク

DNN

深層学習

Page 15: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 15

深層学習のベース・・・・・ニューラル・ネットワーク(NN)の進化

以前からの単純な3層ネットワークのイメージ例ディープ・ニューラル・ネット(DNN):

深化した多層ネットワークのイメージ例

DNNの実現が難しかった背景

(1)学習が困難 ・・・ 過学習の問題など

(2)計算量が膨大 ・・・ Backpropagation

(3)NNの黒魔術 ・・・ 膨大なパラメータ調整

第3次ブーム以前の冬の時代

論文は、タイトルにNNという語を含めば、

採択率と負の相関があるとまで言われる

Page 16: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 16

適切なアルゴリズム採用とともに十分な学習用データが必要

データ量に見合わないモデル化は過学習の可能性が高く、良い結果は得られない

分析データと検証データの精度を比較

分析データ

検証データ

モデル誤判定率

モデル詳細度

(末端ノード数)

最適値

ツリー分析モデルの例ツリー分岐の下の

末端ノードの中には

少数の該当データしか

存在しないものがある

オーバーフィッティング

過学習とみられる

Page 17: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 17

深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス

訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

十分な性能が得られるまで、一般に、数~数十エポックを繰り返す

訓練

検証

エポック

エラー率

訓練

検証

エポック

エラー率

学習がOKのイメージ図 過学習の場合のイメージ図

大量の訓練データがあっても、適切なモデルでなければ、過学習は起こりうる

Page 18: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 18

DNNアルゴリズムの例① Autoencoder

自己符号化器 :

教師なし学習

入力例 : ラベルなしの膨大な画像データ

出力例 : 学習した

「典型的な顔」のイメージ

(Google)

NNが最も「顔」らしいと判定したテストデータ例

画像の特徴をNN自身が抽出

Page 19: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 19

DNNアルゴリズムの例② Convolutional NN (CNN)

畳み込みネット :

教師あり学習

学習用データ例 :

手書き文字と数字の対応表データ畳み込み層Cxとプーリング層Pxが対になっており、出力層(i)は10個の数字に対応

出力 ⇒ 「6」と判定された

入力(32×32画素) ⇒

手書き数字判定

学習済みCNNの

動作イメージ例

画像認識では、人間と

同等以上の性能を発揮岡谷貴之(人工知能学会誌、2013.11)

Page 20: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 20

DNNアルゴリズムの例② Convolutional NN (CNN)

畳み込みネットを用いて画像内容を判定した例

入力した写真画像について

すべて高い精度で

内容を判定できている

フレームワークCaffe

で公開されている

学習済みCNNモデル

を適用した例

入力(224×224×3画素) ⇒

⇒ 出力層:1000

英語ラベルに対応

(隠れ層:7)

(学習されたパラメータ:

約6000万個)

Page 21: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 21

DNNアルゴリズムの例③ Recurrent NN (RNN)

再帰的ネット :

教師あり学習

自然言語の翻訳、人との対話、

ロボット制御など、入出力ともに

順序がある場合に有効英語からフランス語への翻訳イメージ例 (Google)

フィードバックにより状態変化に対応

英語入力用NN

仏語出力用NN

英語:16万次元、仏語:8万次元のベクトル表現

モデルのパラメータ:8000

Page 22: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 22

DNNアルゴリズムの例③ Recurrent NN (RNN)

RNNによって英文の特徴が数量化された様子を示すプロット例 (Google)

意味の類似性が把握できているとともに

語順に敏感に反応している

文章の能動態と受動態の違いに対しては

敏感には反応していない

Page 23: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017

英 文 日本語対訳 AI試行結果例(興味深いもの)

it is very popular with women. それ は とても 女性 に 人気だ。 それ は 女性 には とても 人気 だ。

he looks at X. 彼 が X を 見る。 彼 が 女性たち を 見る。

i don't have any more money. 私 は 金 が もう 無い。 私 は 金 が 必要だ。

he doesn't spend much money on X. 彼 は X に あまり 金 を かけない。 彼 は X に あまり 興味 が 無い。

23

DNNアルゴリズムの例③ Recurrent NN (RNN)

英 文 日本語対訳 AI試行結果例(駄目なケース)

hanako and i replied. 花子 と 私 が 返事した。 私 は

people leave the shop. 人々 が その 店 を 離れる。 人々 が その 店

computer beginners imitate others. パソコン 初心者 が 人 を マネする。 -

he aims at X. 彼 が X を 目指す。 彼 は X を 使う。

RNNは、改良されたLSTM(Long short-term memory)モデルの形で利用されることが

多い(例えば、長い文章で文の最初にある単語が、後にある単語に係ってくるような問題への対処のため)

学習用データが過少のまま、LSTMで英文和訳を試した結果(Chainer利用)例:

Page 24: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 24

自然言語処理アルゴリズムの例 Word2Vec

「単語の意味は、文中の周辺単語の分布により知ることができる」という考え方

⇒ 単語のベクトル表現 ・・・・・ 単語の分散表現 (Word Embeddings)

⇒ 単語がベクトル化されることにより、単語(のベクトル)間で「計算」が可能

vector(パリ) - vector(フランス) + vector(イタリア) ≒ vector(ローマ)

⇒「フランス」「イタリア」が「国」で、「パリ」「ローマ」が「首都」であると実質的に把握

vector(王様) - vector(男) + vector(女) ≒ vector(女王)

⇒「王様」と「女王」の違いが性別であると実質的に把握

計算のイメージ例

品番Xの服が好みの顧客が最近妊娠したとして、どのような服を薦めればよいか ⇒

「品番Xの服」と「妊娠」のベクトルを用いて、最も近い位置にある服を探せば推奨品が分かる

応用アイディア例

品番X 推奨品

StitchFix.com(米国)より

画像のベクトル表現はCNNを利用

(Google)

Page 25: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 25

学習データの不足を補う手法 : 強化学習

「アクション」の選択を通じて得られた「報酬」の最大化を通じて学習

エージェント

状 態

アクション

(行動)報酬

状態

変化

「強化学習」の構成要素

(1)エージェント ・・・ 「ロボット」のようなもの

(2)報酬 ・・・ エージェント行動のフィードバック情報

(3)アクション ・・・ 報酬と状態の関数

(4)状態 ・・・ エージェントの置かれた環境

(5)ポリシー ・・・ 環境からアクションへのマッピング

(6)バリュー ・・・ 特定のポジション(状態)の良さ加減

⇒ 環境に対するエージェントの見方 = モデル

ただし、現時点では、一つの共通モデルで多種多様な問題に対応することはできない。

「報酬」をどう与えるか、どのような「アクション」を定義するか等は、人が定義する必要がある。

手法としての有効性は、CNNと組み合わせたAlphaGo(AI碁)の戦績でも明らかになった。

Page 26: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 26

注目の新しい手法 : 敵対的生成ネットワーク

Generative Adversarial Networks(GANs):人手いらず「AI対AIの訓練」

GANsは、教師なし学習の新しいアーキテクチャであり、動画の次のフレーム予測、ネット検索で入力される次の単語予想などに利用できる。

訓練の安定性など問題点が指摘されているが、新たな改良も試みられている。

画像生成の例

(日経新聞2017.5.29)

DiscriminatorGenerator

手法の説明について、日経記事とは別の説明は、たとえば

http://wired.jp/2017/05/01/googles-dueling-neural-networks/

GANsの改良形のイメージ図

(Deep Stubborn Networks)

Al Gharakhanian,“GANs: One of the Hottest Topics

in Machine Learning”(LinkedIn)より

報酬←Dの正答数

報酬←Dの誤答数

Page 27: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 27

基本的なAI利用環境

ソフトウェア環境

基本は Linux + Python言語

有力なフレームワークの活用

TensorFlow(グーグル)、Chainer(PFN)など

GitHub等で公開されているソフト、モデルの利用

クラウド環境

AWS(アマゾン)、MS、IBMなど

PaaS(AIのAPI利用)、IaaS

手軽さ ⇔ コスト管理

ハードウェア環境(GPU利用⇒スピード、効率)

Page 28: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 28

基本的なAI利用環境(ソフトウェア構造)

深層学習のソフトウェア構造のイメージとクラウド(PaaS)利用環境

(出典:日本アイ・ビー・エム)

SaaS(Software as a Service):業務アプリケーションの機能を提供

PaaS(Platform as a Service):アプリケーションのためのプラットフォームを提供

IaaS(Infrastructure as a Service):ITシステムのインフラを提供

Page 29: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 29

深層学習フレームワークの例: TensorFlow(Google)

Tutorialsが整備されていて、Visualizationの仕組みも用意されている

TensorFlow

・現時点で最もポピュラー

・エコシステムが確立

・コミュニティの広がり

Page 30: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 30

基本的なAI利用環境(ハードウェアの当面の方向性)

さまざまなH/Wを利用する時代 (出典:日経エレクトロニクス 2017.1)

深層学習高速化のための開発競争は激化・・・当面は、力ずくのAIも

GPU(Graphics Processing Unit):

元々画像処理用

NVIDIAが圧倒的な存在

FPGA(Field-Programmable Gate Array):

製造後に現場でプログラム可能な回路

Intelなど

ASIC(Application Specific Integrated Circuit):

特定用途向け回路(組み合わせ利用も)

Google開発のTPU

富士通のDLU(ディープラーニング用プロセッサー)

AI進化に適応できるか?

DNNの背景にある人間の脳の処理の特徴

・極めて多数の演算素子が並列に動作

・それぞれの演算素子に情報が蓄えられる

現在のH/WはプロセッサとDRAM間のデータ

やり取りがボトルネック

Page 31: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 31

IoT普及を見込むエッジコンピューティング環境でのAI

(出典:NTT技術ジャーナル 2015.8)

ネットワーク周縁部(エッジ)のリソースとセンターとの連係が重要に

今後、クラウド・センターに

リソースを集中配備する

従来のクラウド形態では

効率的なサービス提供が

難しいことも予想

データ発生場所のエッジで

前処理、フィルタリングや

学習済みAIモデル処理を

行うことが有効と考えられる

AIモデル処理など

Page 32: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 32

A. AIモデルに必要なデータの確保

B. ブラックボックス問題への対処

C. AIスキル人材不足の対策

D. AI普及に伴う新たな問題への対応

AIを活用するビジネスの課題

Page 33: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 33

課題A.(データ確保)に対処するアイディア

一定レベルを満たすAIと人間が協働作業

問題に応じて・・・

教師なしアルゴリズムの活用

強化学習の活用

シミュレーションでデータ生成

Page 34: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 34

課題B.(ブラックボックス問題)に対処するアイディア①

アルゴリズムの動作を視覚化して表示(適用分野ごとの工夫)

ユーザーが描いたスケッチについて、

形やストロークなどから、絵柄を判定

⇒ アルゴリズムの見方を視覚化

Googleのゲーム的な実験例

ドライブにおける意思決定の際に、

NNがフォーカスしている領域を

強調表示して知らせる

Nvidiaの自動運転車用実験例

スケッチ入力

アルゴリズムの見方

Page 35: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 35

課題B.(ブラックボックス問題)に対処するアイディア②

② AIを2段構えで利用(推定結果の出力→推定理由の表示)

① 保険金の請求書(診断書など)の情報を読み込んで

病名などを抽出し、該当する可能性の高い保険メニューを推定

かんぽ生命の保険金支払審査・査定例

(日経BP・ITPro記事 2017.5.22)

② 過去の類似事例を相関度の高い順に並べたランキング

表示から、査定者は判断理由を把握

IBM Watsonを利用

(出典:かんぽ生命保険)

Page 36: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 36

課題C.(スキル人材不足)に対処するアイディア

人材育成(スキル習得のための教育)

・MOOCsの利用(Andrew Ngのcoursera受講など)

・トレーニングプログラムの利用(MS&PFN連携など)

・手近なLinux環境のPCでミニ試行から開始

AIの活用

・深層学習を利用して機能の精度を向上(Salesforceの例)

・NNモデルのパラメータ調整などの自動化

・モデリング(アルゴリズム選択など)の自動化

Page 37: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 37

課題D. 「AI普及に伴う新たな問題」とは・・・

人間とAIの住み分け、共存のあり方

人間がスキルを身に付ける機会の確保

AI社会への人間の適応

⇒中長期的な課題

AIシステムのハッキングの可能性

⇒AIの利用

Page 38: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 38

課題D. 「人間とAIの住み分け、共存のあり方」について

人間とAIの何れを信頼するか

役割分担の明確化

人が理解できるAIシステムの構築

人間がAIを信頼し過ぎることによる油断への対策

教育訓練の実施

AI⇔人間の切り替えが円滑にできる仕組み

状況のモニタリング(切り替えに即応できるように)

人のスキル維持(切り替えに対応できるように)

人間が行動する動機はアルゴリズムとは異なる

AI知識・リテラシー修得

Page 39: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 39

課題D. 「人間がスキルを身に付ける機会の確保」について

人間のOJTの機会が減少することへの対策

AI化された(準)定型作業などにタッチできる機会の設定

シミュレーションの利用

人間が保有するスキル維持への対策

教育実習の工夫

AI化で必要な新しいスキル習得ができる仕組み

教育訓練の実施

マン・マシン・システムで人間が間違えたときの対応策の準備

シミュレーションの利用

教育訓練の実施

Page 40: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 40

課題D. 「AI社会への人間の適応」について

人間が身に付けるべきスキル・知識の識別

AI社会で有効な教育内容と機会の見極め

AI社会に適応できるビジネス分野の予測

セーフティ・ネットの準備

行政、企業レベルでの対策

AI化リスクに対応する仕組み

多様性を損なうAIモデル対策(同じデータで同じ目標設定)

複数のAIモデルの共振対策(ex.売りが売りを呼ぶ)

AIモデル「予言の自己成就」対策(人間に対する決めつけ等)

必ずしも急いで対応する必要はないかもしれないが・・・・・

Page 41: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 41

AI利用例 : 与信モデル①

住信SBIネット銀行 (金融財政事情 2017.4.3)

2016.10~ 日立製作所のAIを利用

審査の精度向上、迅速化が目標

行内データ、経済指標、GIS情報等を使用

SNS情報は使用せず(←信頼性に難)

ベーシックな分析の高度化

「人間の判断をAIがどこまでカバーできるか」

景況ー勤務先の安定性、収入ー居住地域、扶養家族 etc.

「データの整え方」に苦労

投入データの加工など

2017.3時点では、従来の審査モデルを超えられず

Page 42: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 42

AI利用例 : 与信モデル②

みずほ銀行 (日経新聞 2017.5.28)

2017.9~ ソフトバンクと共同出資の「Jスコア」が担当

与信判断の難しい20~30歳代の利用を想定

生活資金より資格取得などの資金需要を期待

銀行口座の入出金履歴、携帯電話の利用料金の支払い状況等を使用

預金量、ATM利用回数、資金使途、趣味などをスコア化

スコアが高くなると、貸出額は増え、金利は下がる

スマホで必要情報を入力すれば、貸出額、金利を決定

貸出額は年収の1/3まで、金利はカードローンより抑える

スコア(最高1000点)は毎月変動

判断材料を増やして、審査の精度を高める

Page 43: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 43

AI利用例 : 銀行業界での取り組み (日経新聞 2016.11.28)

Page 44: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 44

AI利用例 : 資金運用・トレーディング

三菱UFJ国際投信 (東洋経済 2017.1.14)

2016.12~ 三菱UFJ信託銀行のAIモデルを利用

機関投資家向けにAIが銘柄を選択する投資信託の運用

翌日のTOPIX(東証株価指数)の騰落を予測

上昇しそうな場合は株式に資金を振り当て

経済指標(機械受注、有効求人倍率等)、移動平均や売買高などを分析

大量データから特定銘柄のポジティブ度とネガティブ度を点数化

ニュースや有価証券報告書、ネットの書き込みなどを点数化

ポジティブ度の点数が高い銘柄の購入を進める

みずほ証券なども同様の取り組み

Page 45: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 45

AI利用例 : ロボ・アドバイザー

(東洋経済 2017.3.11)

各社ホームページの無料診断で

リスクに対する考え方を、ほぼ

同様にして回答した結果の例

診断結果はバラバラ

(正反対の提案も)

AIに診断してもらい、資産運用を任せる

・大量の情報を瞬時に処理可能

・アドバイス型/投資一任型

・投資初心者を想定

・不完全な開示情報、リスク許容度の変動への対応に限界

Page 46: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 46

AI利用例 : ロボ・アドバイザー ①

楽天証券 (東洋経済 2017.1.14 )

2016.7~ 投資一任型運用サービス「楽ラップ」を発売

AIが資産運用のポートフォリオを策定

質問への回答から最適なポートフォリオを提案

診断自体は無料

Page 47: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 47

AI利用例 : ロボ・アドバイザー ②

お金のデザイン (Biz/Zine 2016.8.3 )

狙い : 「高度な資産運用サービスを圧倒的に低コストで提供」

「緻密なアルゴリズムで安定的で、正確な運用を図る」

1ヶ月ごとに資産運用方針のリバランス

個人の資産運用のハードルを下げるサービス

いつでもどこでもスマホでできる

最低額は10万円

1%の手数料以外は 追加のコストなし

典型的なポートフォリオのシュミレーション結果の提示例

(一時的に元本を割り込んでも長期的にプラスと例示)

Page 48: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 48

AI利用例 : 証券業界での取り組み (日経新聞 2017.5.18)

SMBC日興証券

AIによる自動応答で口座開設、取引照会(今後、範囲を拡大)

NTTコミュニケーションズの自動チャットサービスを利用(LINEで受付)

AIが回答しにくい質問は有人対応に切り替える

大和証券

企業の決算データから1ヶ月程度で株価上昇見込み銘柄を選別・紹介

野村證券

バックオフィス業務で活用(入力データの異常値、顧客属性ミスを発見)

日本取引所グループ(JPX)

相場操縦など不正取引を検出(2018.4~)

Page 49: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 49

ルールベース(論理フロー)利用例 : 遺産相続の相談

東邦銀行 (日経BP・ITPro記事 2015.4.14)

2014.11~ 相続手続きの相談に無休で応える自動対話サービス

・スマホやタブレット端末を想定し、音声とテキストに対応

・「相続手続きナビゲーション」東芝ソリューションと共同開発

・クラウド環境で稼働。(開発費用:数千万、月額利用料:数十万・・・日経コンピュータ推定)

期待される役割

・来店前に、必要な書類や手続きを知ってもらうこと

・システムとの対話で、法律用語に無理なく慣れてもらうこと

顧客と銀行員に大きなメリットを期待

会話のフローをできるだけシンプルに + 個別事例を大胆に分類

クラウドソーシングで、質問と応答の適合率を高めた

Page 50: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 50

AI利用の可能性 : RPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)

豆蔵 (日経BP・ITPro記事 2017.5.16)

2017~ サービス試行を開始

RPA適用領域を定型作業から非定型作業に拡大

現在は、PC利用の定型的な作業をソフトウエアで自動化

ソフトウェアロボットが処理

シナリオ動作型/AI/機械学習の利用

全ての自動化は非現実的(技術的制約、データ、コストなど)

(豆蔵/日経コンピュータ)

RPAは、日本生命などがBizRobo!等を活用中

(開発コストが数分の一などの効果)

Page 51: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 51

AI利用の可能性 : アルゴリズム雇用

ソフトバンク (日経新聞・朝日新聞 2017.5.30)

2018.4入社の新卒採用の選考にIBM「ワトソン」を利用

エントリーシートにある設問への回答(記述式)を採点評価

(低評価者は人間が改めて評価)

約1500人分のデータを学習させ、3段階で評価

書類選考の手間を従来比で75%削減できる

米国企業(スタートアップ)各社 ( MIT TechnologyReview 2015.9.28 )

雇用選考(応募者評価)

適切な人材を得られる求人票/当業界・当地のリーダー特性など

⇒ 予測/モデル化

社員行動モデル(問題行動の予測・予防)

退職(3ヶ月以内)リスク予測

Page 52: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 52

AI利用例①(海外 : 順不同)

Capital One (MIT TechnologyReview 2017.4.13)

クレジットカードの審査

深層学習アルゴリズムに対しては、法的に判断理由の説明が必要

自動的な不正検知

ZestFinance (MIT TechnologyReview 2017.2.14)

新しいクレジット・スコアリング・プラットフォーム(ZAML)

・中国Baiduのデータ(ネット検索の様子など)を分析⇒少額ローン審査

・行動ベースの「モデル収入」と自己申告の収入額の一致度などを見る

・高リスク行動は、オンライン賭博、危ないサイト訪問など

・延滞しても、支払期間の延長を申し出る顧客は信用できる

・SNSデータは不使用

Page 53: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 53

AI利用例②(海外 : 順不同)

Bank of America, MasterCard (NewYork Times 2016.10.26)

チャットボット(Financial Chatbot)サービス

・口座に関する問い合わせ対応、取引起動、金融アドバイス提供

・フルサービスの自動化アシスタント構築を目指す

・「2,3年後のバンキングの姿」

・Erica(BoA)・・・顧客のクレジットスコアを追跡、お金の使い方を見て、

支払などについてアドバイスの予定

⇒偏りのない金融アドバイスは金融業界以外からされるべき、との批判

チャットボット自体、当分は、むずかしい問題(金融の意思決定など)には対応能力がないと言われている

Page 54: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 54

AI利用例③(海外 : 順不同)

Morgan Stanley (Bloomberg 2017.5.31)

フィナンシャル・アドバイザーを機械学習アルゴリズムで補強

・2017.7~ 500人でパイロット、年末までに全員(16000人)で実施

・取引を提案、ルーチン業務を引き受け、本人の誕生日の注意喚起など

・アルゴリズム・アシスタントの付いた人間は富裕層向きソリューション

(マス層向けの単なる資産投資配分ソフトよりも)

・市場変化や顧客の生活イベントに即したリコメンデーション(複数選択肢)

・電話、メール、ネット上の行動をフォローしてAIは提案を改善

・「行動パターンを見て、お客様が価値を見出すようなことで、

喜んでもらえるようにしたい」

・生身のブローカーも当分は必要(富裕層は、人間のエキスパートが最適

な、込み入った金融プラニング・ニーズを持っているから)

Page 55: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 55

AI利用可能性(海外 : 順不同)

MIT教授(Andrew Lo)などの実験的取り組み (Bloomberg 2016.9.1)

市場ボラティリティへの反応に基づき成績優秀トレーダーの識別

・腕時計型センサーで脈拍、発汗を計測

→ 興奮状態ならば、デスクから離れさせる

・マイクや装置上のセンサーで高パフォーマンス・チームの特性を把握

・電話での会話の感情(興奮)パターン分析から監視の要否を判断

・興奮過剰や興奮過少はトレーディング成績が悪くなる

・「トップ・トレーダーは感情面のアスリート(emotional athletes)」

⇒銀行は、生理的データ、メール、電話などのデータからトップトレーダー

を識別し、損失を限定的にしようと試みている

- 重大なプライバシー侵害にならないような配慮も必要

Page 56: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 56

【参考】AI取り組みの展望のために(一つの視点として)

梅棹忠夫「情報の文明学」(1988)より

情報の価値 ・・・ 計測可能な部分+計測不可能な部分

情報は疑似商品

すべての存在それ自体が情報である

需要は情報にあり、モノそれ自体は、情報をのせる台にすぎない

需要はいちじるしく個別化している ⇒ 特定の情報が要求されている

情報商品は、品質の保証はない。期待だけが取引される

情報の評価には情報が必要 ⇒ 情報の情報が要求される

お布施の原理

価格決定・・坊さんの格×檀家の格

Page 57: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017

技術面の進歩、新規アルゴリズム開発のスピードは非常に

速い

他のテクノロジーとの組み合わせが重要になる可能性

社会的、法的な側面への配慮が重要

AI利用に伴う副作用の顕在化に要注意

57

今後の全般的な展望/課題

参考資料

Page 58: AIの最近のトピックスと今後の展望 - Circle Wave Workshop_2017_x.pdf · 深層学習(ディープ・ラーニング)における学習のプロセス 訓練と検証のサイクルを「エポック」(epoch)と呼び、学習時には

AI Workshop 2017 58

・ 松尾豊「人工知能は人間を超えるのか」 角川EpuB選書、2015

・ 新納浩幸「Chainerによる実践深層学習」 オーム社、2016

・ 塩田千幸「人工知能進化のインパクト」、2015.10,

http://www.circlewave.com/BigImpactOfAI.pdf

・ 塩田千幸「AI時代の中長期的な展望」、 2016.11,

http://www.circlewave.com/Mid_Long-TermOutlookForAgeOfAI.pdf

参考資料