少年犯罪は増えているのか
Post on 30-Dec-2015
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少年犯罪は増えているのか
(1) なぜ、このテーマにしたのかここ最近、 TV や新聞で
「少年犯罪の増加」や「凶暴化する若者」といった論調が強い。だが、自分の身のまわりでそのように感じたことはない。
せっかくだから、この機会に調べてみよう
動機の裏話
じつは、当初やろうとしてたテーマは
「ゲームは若者を凶暴化するのか」
辞めた理由
・ゲーム業界のデータが少ない 2000 年以前だと驚くほどデータがない・ゲームの定義があいまい 携帯ゲームも入れていいのかといった問題。
データはそれなりに集めていたものの、結局は無駄に。
(2) どうやって調べるか
1. 仮説を立てる。
2. データを図書館やインターネットで集める。 ( 実際には、ネット上だけで十分集められた )
3. SPSS を用いて分析 散布図を作る
〈 1 〉「平成元年からの 20 年間で少子化は進んでいる」
〈 2 〉「検挙された数と犯罪少年の数は関係がある」
〈 3 〉「凶悪犯の数と凶悪犯罪を犯した犯罪少年の数は関係ある」
( 4 )仮説
必要だと思われるデータ
・人口統計 未成年人口や人口総数といったデータ
・犯罪発生率 少年犯罪の発生率や犯罪総数といったデータ
(3) 収集したデータ
・ 1989 年~ 2008 年 ( 平成元年~平成 20 年 ) のデータ・データの項目について 人口総数 … 総務省が統計的に推計した日本国内の人口総数。 未成年人口… 人口総数のうち、 0 歳から 19 歳までの人口。 刑法犯 ( 認知 ) … 警察で認知した犯罪件数。 刑法犯 ( 検挙 ) … 警察に検挙された数。 刑法犯(凶悪犯) … 警察に検挙されたうち、殺人・強盗・放火・強姦
等を犯した者。 犯罪少年 … 警察に検挙・補導された 0 歳から 19 歳までの者。 犯罪少年 ( 凶悪犯 ) … 警察に検挙・補導された犯罪少年のうち凶悪犯
罪を犯した者。
仮説の検証
〈 1 〉「平成元年からの 20 年間で少子化は進んでいる」
モデル集計モデル
R R2 乗 調整済み R2 乗 推定値の標準誤差
0
1 .994a .987 .987 359.878
a. 予測値 : (定数 )、人口総数。
分散分析 b
モデル平方和 ( 分散成分 ) 自由度 平均平方 F 値
有意確率
1 回帰 1.827E8 1 1.827E8 1410.863
.000a
残差 ( 分散分析 ) 2331219.241 18 129512.180
合計 ( ピボットテーブル )
1.851E8 19
a. 予測値 : (定数 )、人口総数。b. 従属変数 未成年人口
係数 a
モデル 標準化されていない係数 標準化係数t 値 有意確率B 標準誤差 ベータ
1 ( 定数 ) 283270.221 6814.617 41.568 .000人口総数 -2.028 .054 -.994 -37.561 .000
a. 従属変数 未成年人口
〈 1 〉「平成元年からの 20 年間で少子化は進んでいる」
決定係数( R 2乗値)が 0.987 であり、よって寄与値が 98.7% である。
回帰方程式は (y :未成年人口、 x :人口総数 )
F値の有意確率が 0.00 であり、 0.05 以下なので成立する。
この回帰モデルは妥当だと判断し、「平成元年からの 20 年間で少子化は進んでいる」は成立する。
仮説の検証
〈 2 〉「検挙された数と犯罪少年の数は関係がある」
モデル集計モデル
R R2 乗 調整済み R2 乗 推定値の標準誤差
0
1 .502a .252 .210 100541.687
a. 予測値 : (定数 )、犯罪少年。
分散分析 b
モデル 平方和 ( 分散成分 ) 自由度 平均平方 F 値 有意確率1 回帰 6.119E10 1 6.119E
106.053 .024a
残差 ( 分散分析 ) 1.820E11 18 1.011E10
合計 ( ピボットテーブル ) 2.431E11 19
a. 予測値 : (定数 )、犯罪少年。b. 従属変数 刑法犯(検挙)
係数 a
モデル標準化されていない係数 標準化係数
t 値 有意確率B 標準誤差 ベータ1 ( 定数 ) 931407.754 171401.888 5.434 .000
犯罪少年 2.643 1.074 .502 2.460 .024
a. 従属変数 刑法犯(検挙)
〈 2 〉「検挙された数と犯罪少年の数は関係がある」
決定係数( R 2乗値)が 0.252 であり、よって寄与値が 25.2%である。
回帰方程式は (y :刑法犯、 x :犯罪少年 )
F値の有意確率が 0.024 であり、 0.05 以下なので成立する。
この回帰モデルは妥当だと判断し、「検挙された数と犯罪少年の数は関係がある」は成立する。
仮説の検証
〈 3 〉「凶悪犯の数と凶悪犯罪を犯した犯罪少年の数は関係ある」
モデル集計モデル
R R2 乗 調整済み R2 乗 推定値の標準誤差
0
1 .764a .584 .561 648.816
a. 予測値 : (定数 )、犯罪少年(凶悪犯)。
分散分析 b
モデル平方和 ( 分散成分 ) 自由度 平均平方 F 値
有意確率
1 回帰 1.064E7 1 1.064E7 25.274 .000a
残差 ( 分散分析 ) 7577310.745 18 420961.708
合計 ( ピボットテーブル ) 1.822E7 19 a. 予測値 : (定数 )、犯罪少年(凶悪犯)。b. 従属変数 刑法犯(凶悪犯・検挙)
係数 a
モデル 標準化されていない係数 標準化係数
t 値 有意確率B 標準誤差 ベータ1 ( 定数 ) 3795.833 548.430 6.921 .000
犯 罪 少 年 ( 凶 悪犯)
1.533 .305 .764 5.027 .000
a. 従属変数 刑法犯(凶悪犯・検挙)
〈 3 〉「凶悪犯の数と凶悪犯罪を犯した犯罪少年の数は関係ある」
決定係数( R 2乗値)が 0.584 であり、よって寄与値が 58.4% である。
回帰方程式は (y :刑法犯(凶悪犯)、 x :犯罪少年(凶悪犯) )
F値の有意確率が 0.000 であり、 0.05 以下なので成立する。
この回帰モデルは妥当だと判断し、「凶悪犯の数と凶悪犯罪を犯した犯罪少年の数は関係ある」は成立する。
(5) データの推移について
(5) 考察仮説
〈 1 〉「平成元年からの 20 年間で少子化は進んでいる」〈 2 〉「検挙された数と犯罪少年の数は関係がある」〈 3 〉「凶悪犯の数と凶悪犯罪を犯した犯罪少年の数は関係ある」
いずれも成立した。
(1) より、成年人口は減少している。これは、少年犯罪の数は減少しなければならない。だが、 (6) のグラフを見ると、有意な減少は見受けられない。
しかし、 (2)(3) より犯罪総数と少年犯罪の数は相関性が見受けられる。犯罪総数の中で少年犯罪は一定の割合を占めているといえる。よって、少年犯罪だけが急増しているわけではない。
(7) 結論
少年犯罪だけが増加したという事実は見られなかった。
ただし、少子化によって未成年の人口が減少しているにもかかわらず、少年犯罪の総数に変化がみられなかった。
これらの分析から、「少年犯罪の増加」や「凶暴化する若者」といった論調は誇張であり誤りである。
ただ、少年犯罪も少子化に反して減少がみられないため、そういった論調が生まれる土壌があるのも事実だと思われる。
参考データ
総務省統計局ホームページ(http://www.stat.go.jp/)
人口推計・警察庁の統計
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