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U・D・C・d28.33/.35:占28.444

テストプラントによるし尿消化の実験Experiments on Digestion ofNight Soilby Test Plant

高 谷 通* 浅 羽 省 三**T6ru Takatani Sh()zelAsaba

内 容 梗 概

現在し尿や下水汚泥の処理法とLて最も多く用いられているのは,けん矧生消化法である。しかしし尿のけ

ん気性消化法の最適の温度,かくはん方法,各段階における消化液の性質などは詳しい点まで十分古こ解明され

ているとほいえない。これらの点の二,三を明らかにする目的で,この研究を行ない,回分式および連続式処

理の各段階における消化液の性質を測定し,消化温度ほ35℃が最適であること,消化槽かくはんiこはポンプか

くほんよりガスかくはんが適当であることなどを明らかにした。

1.緒 口

現在し尿処理のため最も一般に行なわれているけん気性消化法

は,処理日数が長く,装置が大形となり,建設費が高く,かつスカ

ム発生による事故を起こすことがあるにもかかわらず,化学薬品処

理法に比較して運転費が安く,運転が容易で,臭気が少なく,しか

も将来下水道の完備とともに,消化槽が下水汚泥消化に転用し得る

という利点があるので経済上有利な処理方法となっている。しかし

このけん気性消化法は詳細に至るまで解明されているわけではな

い。たとえば消化日数を左右する要因のおもなものは,温度とかく

はん方法であるが,消化温度と消化率の関係は,し尿を単独に消化

する場合,まだはっきりと解明されていない(1)。また槽内を混和し,

スカムを破砕する目的で行なうかくはんには,レーキかくほん,ポ

ンプかくはん,ガスかくはんなどがあるが,これらの方法のうちど

の方法がすぐれているかという結論も確定していない。したがって

これら温度,かくはん方法の問題はもちろん,脱離液,消化汚泥の

処理方法についてももっと詳しくしらべる必要がある。

われわれは上記諸問題について検討を行なうため,日立製作所中

央研究所に設置されたテストプラントの一部を用いて,し尿のけん

矧生消化実験を行なった。

2.実 験 装 置

この実験に用いたテストプラント(2)のうち本報に関係が深い消化

槽を中心とした写真を弟1図に示す。装掛こ含まれるおもな機器と

仕様は弟1表に示すとおりである。

われわれが行なったけん気性し尿処理実験にテストプラントを使

用する場合のフローシートを弟2図に示した。バキュームカーから

投入されたし尿は,ハイドロファイナで粉砕されたのち,ポンプで

消化槽Aに送られる。ここでし尿は種汚泥と混合され,加温されて

メタン発酵を行なう。発生したガスは脱硫槽で発生ガス中に含まれ

る硫化水素を除去したのち,ガスタンクに貯留し,必要なときにガ

ス安全器を通ってボイラで燃焼する。ボイラでわかした熟ま熱交換

器の外側を循環し,消化槽A中の汚泥は熱交換器の内管を循環して

熱交換を行ない,消化槽Aを加温する。A槽に平均15日間滞留消化

したし尿はポンプで引きだされ,消化槽Bに送られ,ここで脱離液

と消化汚泥に分離される。脱離液は+F水で数十倍に希釈されて,散

水7)味法によりさらに処理され河川に放流される。一方,消化汚泥

ほ清水で洗浄されたのち,脱水ろ過される。固体ケーキは粉砕され

たのち,焼却される。

日立製作所中央研究所 理博**

日立製作所中央研究所

第1囲 テストプラントの一部

第1表 各機器の名称と仕様

沈 殿 槽

高速散水炉床

暴 気 楢

濃 縮 槽

消 化 槽

ガス タ ン ク

脱 硫 器

加 温 装 置

托 浄 槽

汚泥処理策匪

槽僻プ

朋弼榊朋風ソ

ロ川桁臼軒

薬試薬試

甚基式基底山故山舟式荘

2

1一2

2

1

1一1

廿琳一入式耗

卜八

景鼓

H』

ロ』

処処処容容容=乾ポ

式方理処

各2mりb,容景各41n3

2m3/h,l.75m中

容量4m3×4基

各0.33m3

各 3m3

名 2m3

ガス安全器,

0.2m3

熱交換器よりたる(

ス〃レイバージスチャージ、扶

ストリ/グジスチャーージ臼こ 軒過而糀1n12

■ト〟トクロスジスチャー,-ジ法

処理景 2m3/b,容i石二 3m3 0.2kW

投入槽およぴハイドロファイナ(処理量100J/min,1.5kW)

0.2kWx2

容 子石二28m3,かくはん餓100rpm,1.5kW

†ターボプロ‾7凰罷5m3/min3・7kWl巻こ

l八一ツゾー‥′7凪i丘7.6m3/min 3.7kWl展

臼吸式∫トミンブ1.5kWx6基

3.国分(バッチ)消化実験

3.1実 験 方 法

けん気性し尿消化を行なうに当たっては,既設の稼動している消

化槽からけん気性細菌などを十分含んでいる汚泥を種汚泥として一

部を仕込み,その上にし尿を加えてスタートアップするのが普通で

ある。われわれもこの方法に従い,消化槽Aを用いて35℃回分消化

実験を行なった。

種汚泥として近くの都市し尿処理場(35℃,30日消化方式),から

消化汚泥0.4m3をもらい,これにハイドロファイナで十分粉砕した

-113サ

1316 耶卸40年7月 日 立 評 論

山浦水(洗浄恥

ハイドロファイナ

投人槽 消化軌A)

二二宝器 ◆

‾一腹髄液

一紙その他 垣垂画一▲----一 方 ス よ睾

ポンプ

輿交換器

ボイラ丁

+車重蚕

洲ヒ斬8)

希釈水(卜水)

試料調整用

洗浄槽

脱水i-iiJ仁

満水水

第2囲 し尿処理フローシート

-一匹空]---

i7手水

ビリト 排水

高速散水

ろ床.

排水

i】■i水(u-トクロス洗浄用)

ポンプか〈はん ガスか〈はん

(a) (b)

第3図消化槽のかくはん方式

生し尿2.Omaを加え,合計2.4m3とした。槽内を混和し,スカム発

生を防ぐため,朝夕1[可30分間ポンプかくはん(槽内の筒を通して

弟3図(a)に示したように汚泥を循環させ旋[司流をおこさせる。以

下ポンプかくはんという。)を行ない,かつ槽内は35℃になるよう

に加温した。加温の燃料には発生したメタンガスと都市ガスとを併

用し,温度測定は熱電対を消化槽Aの中央ノズルにそう入しておき,

記録温度計を用いて連続的に測定した。ガス発生量の測定ほ積算ガ

スメータにより毎日測定した。試料の採取は消化槽のサンプリング

コックから行な∩た。試料の性質試験法は二仁としで1こ水試験法(3一に

よった。

第2衷

4.00

(仏

&

(+q

亡ニ・三貨ペ中斗ぎ

2,000

第47巻 第7号

柑2022242628302 4 68101214161820222426283(川

6Jj 711

第4図 ガス発生量(回分法)

3.2 実験結果と勇察

3.2.1消化日数とガス発生量

投込3日後より加温し,加温検5日目でガス発生がみられた。

毎日のガス発生量の加算曲線を弟4図に示す。発生ガスの総量は

12.2m3で,投入量(2.Om3)の約6倍となり,一一般にいわれる7一~

8倍(1)と比較すると,やや小さい値となる。この実験に使用した

試料の熱灼減量,すなわち有機物濃度が一般の場合より低かった

ことが原因と考えられる。発生ガスを質量分析法,れレザソト容

量分析法で分析した結果を弟2表に示した。発生ガスの主成分は

メタン,炭酸ガスで,含有量はそれぞれ約79,20%でこれは一般

の消化槽発生ガスの成分とくらべ,メタンが多いほうで良質のガ

スということができる。また乾式脱硫槽を通して硫化水素を除去

する場合,除去率は約50%であった。

3・2・2 80D,COD,熱灼減量および消化率

下水汚泥およびし尿処掛こおいて,消化率を測定する方法とし

て,一般にBOD(BiochemicalOxygenDemand),COD(Cllem-

icalOxygen Demand),熱灼減量,アルブミノイド窒素含有量

などの測定が行なわれているので,ここでもこれF)の畳を測定し

た。

(1)BOD,熱炸J減量

消化目数とBOD,熱灼減量の関係を第5図に示した。消化口

数30日ではBOD2,000ppm(BOD除去率86%)以下,熱灼減

量4,000ppm以‾Fにすることができた。

(2)pH,アルブミノイド窒素含有量(Alb-N),アンモニア零

素含有量(NH3-N),COD

第る図に,消化液の題記の諸性質と消化日数の関係を示した.r

pHは7.8くらいでほぼ一定している。零素含有最についてほ,

果結析分スガ生発槽レし′1消

\ 採二取日

‾‾

‾‾㌃‾‾‾㌃L‾喪虚云CH4

N2

02

H2S

CO2

CmHn

CO

入 口

川 ∩

人 Il

抑 rl

入 l】

出 口

人 11

出 しl

入 口

出 口

質分

75.9

72.5

2.0

8.5

0

1.4

上山封

0.03

0

21.4

16.7

ルト

オザ

8/8

〟カ

73.575一4一〇.9㌃1.4一〇一19〇一1。■22.42.一4%川

2.4

仇2

量析質分 ルト

オザ

町〟2

0

(ふ

A】

7

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0

7‥7‖

7

7

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5

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4

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り山

9

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∩肌

1

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0

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0

0

9

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5

2

2

-・⊥

nい

∩”

1

6

q”q山

1

2

∩山

∩‖

0

3.2

CO2±2%,その他±10%,

2)H2Sほ試料採取蒔から測定時までに,減少する傾向がある

3〕C川H。,COほ質_抗分析で測定困難

質分一7

7

ルト

オザ川止析

/∂ク/ 慰川

79・375・6mJ

最折田‖汀

剛78.1㌃1.7

バト

▼√♪叶.

%8

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ハ仇

7

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ハリ2 3りム/8

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オ1f且析所員分

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7

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文 献 値(1)

仇06

0.01

0

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18.6

19.2

7

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5

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2

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5

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4.6

2.4

1.4

2仇8

20.0

0

0

0.4

3.2

31

…1・3……前0川1・99・6

2

1

ナノLサツト分析の測謹書喜美は貿‾夢二分析の約2陪である

【 114~

3.4「〇.25〇.12…9.3二…TO一一

測定された範 開

61-78 %

0.7-6.7

0.15-1.2

0.2---0.68

17--31

仇1-14

平均値

69 %

2.7

0.6

0.47

24

2.6

テ ス ト プ ラ ン ト に よ る し 淡 泊 化 の 実 験

11川r叫1

1こZ.0(州i

∈10・0001

琴;二::::j鮎.ノニ去\

・川0()】\

2.川)ll レ

「41/タり/ノ・

/J叶・J

モニゝ-、

182〔222126283U2 4 6 ホ川】2‖161日2()222′12(i2h判〉l

b芦+ 7F]

第5匝1恒1分fH化実験 消化液の性貨i

。州rl川

蔓…;・‥::‥:J曽‡:ユご:。nl_1,川Ml

い=

.向_,lごJ…-N

-、--二二二

川2n222ノ126283け246 81n12141618202224262ポニ川1

0= 川 l

第6蛭1凹分消化実験,消化液の性質f

消化が進むにしたがってNHa-Nは増加し,Alb一一Nほ減少する

傾向にあ1)た。これほAlb-Nが分解してNH3-Nに射ヒしたた

めと考えられる。CODは長期にほやや減少する傾向にあり,葬

る図に比較のため記入したように海淵ら(4)の実験と似た傾向が

見られる。これらの諸性質はいずれも変化の度合が小さく,消

化率の測掛こ用いることほ適当でないことがわかる。

(3)消 化 率

消化率の算走力法には種々あるが,ここでは混合i試料の熱炸J

減量からだけ算定できる措描法(5)による式が簡単で,しかも合

理的であるように思われる。その式を次に示すと,

(ト謡覧数×+驚認諾諾軋)×100(1)

この実験における30日

ると,

(ト三笠呂-×号濫)

目の消化率を上式を用いて計算す

×100=45%‥..‥(2)

となる。これほ遠藤のビーカテスト(6Jの50%と比較すると,近

い値になっている。

1.半連続投入実験

前章でほ,1日l分消化実験によりけん気性消化液の諸性質について

検討した。消化槽内にけん気性細菌が十分発育し,スタートアップ

は完了したと思われたので,し尿を半連続的に投入し,消化温度と

消化率の関係をしらべる実験に移った。

4.1実 験 方 法

回分消化実験でできた汚泥に,35℃で,毎日0.2血iずつ投入して

実験を行なった。試料の投入,引き出しは,毎日一定時間に行なっ

たo A槽から0・2m3引き出しB槽に移したのち,引き出したと同じ

量だけ新しい試料をA槽に投入した。試料投入後直ちに槽内をかく

はん混和してから汚泥を熱交換器に通して所定の温度に加温した。

実験開始後15日目で引き出した汚泥でB槽は充満したので,脱離液

を0・2m3/dayずつ引き出し,希釈した後散布ろ床法により処理し

た。消化汚泥ほときどき引き出し真空脱水機により脱水処理した。

35℃の消化実験に引き続き同様にして40,45,50℃の消化実験を行

なった。各温度の消化実験にはいる前には,それぞれ5日~71]の・

㌧。て、讃ご′.†毛い

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81012141618 20 22 24 26 28

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(1)

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(Ⅲ〕

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1517 192123252729叫J

0.2 0.2 0.2 0.2 0,2 0.2

0.2 0,2 0.2 0.2 0.20.2〔).2 0.Z

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∩.21】.2 り.2†J.2

(J.2().2

(Ⅲ)

第7図 ガ ス 発 生 量

移行期問をおき,徐々に温度を上げた。温度,発生ガスの測定方法,

脱離液諸性質の試験力法などは,すべて回分消化実験の項で述べた

と同様に行なった。

4.2 実験結果と男察

4.2.1消化温度とガス発生量

各温度と毎日のガス発生量の関係を策7図(Ⅰ~Ⅲ)に′Jミした。

一見して,45℃消化の場合が最もガス発生量が多いように思われ

るが,各温度に使用した試料のBOD,COD,有機物1kgに対する

ガス発生量をそれぞれ算出して比較すると,弟3表に示すように

35℃消化の場合が最も多い。したがって,消化率の一つの指標で

あるガス発生量からは,35℃が最もよいことになる。

4.2.2 A槽におけるBODの変化

A槽におけるBODと温度の関係を弟8図(Ⅰ~Ⅲ)に示した。

ー拙115一辺1

1318 昭和40年7月 論評立 第47巻 第7号

6,080

5,000

盲4・000

ヱ3-000

2,000

1.008

0

8,00q

7,000

6,000

乍 5・000

ヱ4仰

3,000

2,000

1J)00

0

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0

0

ハリ

nV

O

Oq

7.

盲6,000n

e 5.000

4,000

3,000

r一一連続投八一350c)

2 4 6 8101214161820222426283013 5 7 g1113 U

8F】 91】

(Ⅰ)

‾多一削法人山i'上川・l‾・r35ハcい・‾柁人開始(4げC)ト‾蒜†350cJ止

17192123252713 5 7 911131517192123252729 日

9日 10り

運転休止

C

(Ⅱ)

ーーー500c

10121416182022242628302 4 6

11Fi 121j

8101214161820日

(Ⅲ)

第8図 A悟における消化液のBOI)

第3蓑 各消化温度におけるガス発生量

\\ 項 目

温 瞳

35℃

40℃

45℃

50℃

BOD COD r 有 機 物

(m3)0.46

0.36

0.23

0.05

3.32

1.52

2.00

0.42

(m3) (m3)

0.65

0

8

1

・4

3

0

(U

O

O

数字は各温掛こおける各項目1kgに対するガス発生量(m3)をホす。

40℃以上の温度ではBODが高く,消化は十分に行なわれない。

これは下水汚泥の場合,成功したといわれる高温消化法(7)が,し

娩においてはこのような方法では不可能であることを示すもので

ある。すなわちこのように消化槽の温度を順次上昇させていくの

では,消化が良く行なわれないことを示すだけで,特殊な細菌が

見いだせれば,あるいは高温消化も可能であるかもしれない。な

お,35℃消化実験終了直後,この消化槽の投入量設計値0.2m3/

dayに対し,倍量の0.4m3を投入してみた。この結果,A槽の

BODは著しく上昇し消化があまり行なわれなくなった。したが

って,35℃消化処理日数30日は必要で,あまり多量に投入すると消化が不十分となることがわかる。

4.2.3 脱離液,消化汚i尼の性質

各温度におけるB槽の脱離液,消化汚泥の性質をそれぞjt弟9

図(Ⅰ~Ⅲ),および弟4表に示した。B槽に対してほ加温もかく

はんもせず,A槽から送られた汚泥を貯留し,単に消化汚泥と脱

離液とを沈殿分離するだけのものであるから,A槽で十分消化が

0

0

0

0

∩川

∩川

盲川00

ヱ3,000

2,000

1,000

0

7,000

6.000

5,0()0

4,000

且000

六頚pH一連続投人(350c消化1

\、、V・S

BO【)

れ侶規唐(

B槽に

EU)世碧脚「

A.1bT叩+14161820222426283()13

8月 9月

〔Ⅰ〕

=⊂

小l

遠視畦

l一己常投人

;;::[アヂ∴ヲ紆

盲U)鮮碧脚小

65・d・32

nU∧U仇仇仇

4m

呼人

開始

5 7 9111315171921E】

「‾投入開始(400c)

こ+__⊥些望コ去ゴニ±二二二±_171921232527291357 911131517192123252729日

9月 10り

爪じ爪UnU′n

5,000

盲 4,耶0

ヱ3,000

2,000

1,000

0

BOD

ーー450c

(Ⅱ)

ヤb二』±出口ブニ/:10121416182022242628302 4(;8101214161820Z2 日

1川 1Zり

(Ⅲ)

第9図 B槽における脱離液の性質

第4表 消 化 汚 泥 の 成 分

消化温度(℃)

蒸発残留物(ppIⅥ)

5,861

4,8朗

5,777

7,296

熱灼減量(ppm)

3,700

3,121

3,801

5,642

第5表 ケ

択 分(ppm)

2,146

1,743

1,976

1,654

- キ

Alb-N

(ppm)

802

1,450

1,220

の 性 状

NIi3-N

(ppm)

1,610

2,620

2.830

pIi

7.9

汚泥洗浄回数 厚 さ(mm) 含水率(二%)窒素含有量(pp汀1)

色 調

1-2

8、′10

17~20

85.5

76.5

】濃触色

4,84。i…冨≡トラム回転数4.5回/時

行なわれなければ当然脱離液の性質も悪くなり,したがって放流

水のBOD,COD,有機物含有量も高くなる。各温度における脱離

液の性質を比較検討した結果は,35℃における消化が最も良好で

あった。消化汚泥の性質については,50℃の場合蒸発残留物が多

いことを除いては消化温度によって著しい差を見いだせない。

4.2.4 消化汚i尼の脱水性とケーキの性状

消化汚泥ほ,真空脱水機で脱水する前に洗浄槽で,洗浄水を汚

泥の倍量加えて汚泥をかんはんし,上澄液をすてて3~7回くりか

えし脱水実験を行ない,それぞれの場合のケーキ厚さ,含水率,

窒素含有量について検討した(弟5表)。その結果では7回洗浄し

た場合が最も良い結果であった。消化汚泥には約0.4%の窒素(湿

ー116-

テ ス ト プ ラ ン ト に よ る し 尿 消 化 の 実 験 1319

第6去 浄洗M化拭= 水 の 性 質

.試験【j

(f】 R)

9. 6

9.16

9. 27

B()D

しpPm〕

200

500

800

「‖+純血▼ノP

桝∧刀

剣州

′(′呂㌫、腔1議息度pH

7.95

7.93

7.79

潤状態に対し)を含有しており,なお窒素肥料として有効であるこ

とがわかる。

4.2.5 汚泥洗浄水

汚泥洗浄水は,その性質が/〉までよくわからなかったので,こ

れについて検討するため,4回洗浄の場合の汚泥洗浄水について

性質をしらべた(葬る表)。これらの結果から,汚泥洗浄水の性質

は脱離液に比べてかなり良好なものであるが,そのままの放流は,

明らかiこ清掃法t6〕に示すBOD30ppm以下,COD20l)Pmリ、下,

Alb-NlOppm以‾Fの水質基準に違反するものである。したがっ

て,汚泥洗浄水はなんらかのプア法により2次処理する必要があり,

消化槽にもどすかまたは脱離液とともに散水ろ床処理するのが適

当である。

5.ポンプかくはんとガスかくはんの比較

消化槽のかくはん方法にほ,レーキかくほん,ポンプかくはん,

ガスかくはんなどがあるが,近時開_允さjtたガスかくほんは,消化

槽内に発生したメタンガスをブロワにより再び構内に吹き込プ人かく

はんする方法で(弟3図(b)),かくはん効率は他の方法に比べて良

いといわれている。また,かくはんの際メタンガスが触媒として働

き消化を促進するともいわれている。ガスかくほんは本来下水汚批

の消化槽に対してアメリカで開発された方法であるが,し尿消化の

場合についてほ,大阪府守口市のし尿処理場に用いたのが最初で

ある。

Lかし,し尿消化にガスかくはんが用いら′れている実例が少なく.

ガスかくはんの効_果について十分検討さj‾tていないu

一般に化学反応では,化合物AとBとが反止こして化合物CとUか

生成する場合,

A-トBごC十U‥‥..(3)

生成物C,D(いずれか一つでもよい)を反応系外に除くと〕P衡ほ

右辺のはうに移行する。し尿消化の反ん‾山まC(またはD)に相当する

のがメタンで反応系外に除いたメタンを再び反応打如こ吹き込むので

あるから,一般の化学的常識からいえばむしろ反応を阻苫するであ

ろうということができる。しかし,し放の消化ほ単一な吋逆反応で

なく,また生物が関係する生化学反応糸であり,しかも個々の化学

知己こも十分に解明されていないので,一般の化学奴結この常識をもっ

て律することには問題がある。

そこでわれわれは,ポンプかくはんとガスかくはんのかくほん効

ヰiの違いをテストプラントの規模で,また,メタンガスの触媒効果

についてビーカテストの規模で検討した。

5.1実 験 方 法

消化槽上部と下郎に温度計を取り付けたのち,楓勺に水如筒たし,

加温して槽内の温度を35~45℃とした。加温したのち,2,3日その

まま放置すると,槽内の上部と下部に4~5℃の温度差が生ずるしノ こ

うした状態になってから,ポンプまたはガスによりかくはんして+二

rFの温度差がなくなるまでの時間を測定してかくはん効率を判定し

た。この方法は化学工学の方面でも用いられている方法の一つで

ある(8)。

50廿c

45ウc

458c

40【c

′150c

170J//hin

0 5 10 15ウJ

卜 ra)

/\/

140J//心in

JX-----X-X

J

10

(b)

110卜/hi11

x一人

/

/パー×

15ウノ、

5 10 15分

(亡)

第10凶 ホンブかくはんによる温度測左

30

爪U

ハリ

2

1

‥亡盲)

匝普ヾ巾∴ノも

〉く

/

/

X

x/

.乱il他【1

200 100

ホン7■流星(し血in)

爪U3

第11L宮lホンノ流立とかくはん時間

5.2 実 験 結 果

5.2.1ポンプかくはん

ポンプかくはんによる実験純米む策10図に示す。一般の′兵装

一斉でほかくはんに用いるポンプ容量の設計値として,楓勺のし脱

が3時間で一循環できる大きさをとっているが,ここで用いた汚

水処理実験プラントのポンプは消化槽に比べて容量が大きすぎる

ため,赫繹バルブをできるだけ絞っても設計値に達しなかったの

で,いくつかの流量により温度が均一になるまでの時間を求め,

外そう法により設計値におけるかくはん時間を推定した(舞11

図),その結果,槽内が一様になるに要する時間ほ約30分であ

った′。

5.2.2 ガスかくはん

ガ'スかくはんによる実験結果を弟12図に示す。吹き込みガス

量ほ消化樺山径1フートさJlたり1.5~3.01■/二刀フートとさJL,本二ぷ

験装匠の規模でほ230~320J/minに相き!うする。このガス吹き込み

量のとき,槽内の温度が一様になるに要する時間は2~3分であ

った。

5.2.3 ガスかくはんとポンプかくはんの比較検討

一般に用いられている設計値で比較するとガスかくはんはポン

プかくはんの約1/10の時間で槽内温度が一様になることがわか

ー117-

1320 昭一柵40車7月 +∠▲

400(て

35ひC

F32U/ノ血inlX・-X-・・--×

2 3

(min)

(a)

35つc

32【(二

/X/X

30ワc

/×/×一X

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l9t)//hin】X・・・・・・-X---「×

3

(血山

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第12凶 カ■スかくはんによる温度測ン土

減-叶ム叶

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ン+=、/■\

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20

「七已)瑚七.七蛋警二‥J州G〔元

】′-ドンヒーーグ

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塩ビ符

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サンてしリンツゾコリク

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第13凶 メタンガスの触媒効果測ぷ尖験装置

N2

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只りr)

5//6 5//9

イJl脚‾勿.11イ】■!.

C11。

__一一一一・一-・一・・・一-・一・一-ズ

N∠

5.//19 5/30

諜享14図 L尿のけん気性i門化法における窒素ガスかくほんと

メタンガスかくはんの比較

る。こ川よ牌内に旋回流を起こさせるには水を向捲かくはんする

よりも比重の軽い気泡の上昇流によるはうが効率が良いことを示

すものである。

る.メタンガスの触媒効果

メメンガスに触媒効果があるかどうかしらべるために,窒素ガス

三ノゝ

白岡

!230/ルi。lX-・・・・×-X

第エ17'巻 第7号

またほメタンガスを吹き込みなが

ら,実際のし尿を用いて35℃消化実

験を行ない消化液の性質を測定し

犬二。

る.1実 験 装 置

この実験に用いた実験装置を弟13

図に示す。)

る.2 実 験 方 法

rmi。) けん矧生消化汚泥1容積に対し生

仙 し尿1容量の割合に混合した試料を

ポリエチレンびん(容量10J)2本に

入れ,一方のびんにほメタンガスを,

他方のびんにほ窒素ガスを1J/min

程度の流量で1日8時間吹き込んで

かくはんしながらバッチによる消化

実験を行なった。加温方法としては

びんのまわりにリボンヒータをまき

つけ電圧調節器でびん内温度が30㌦

35℃になるよう調節した。約5日ご

とにそれぞれのびんからよくかくは

んした状態で試料を採取して,BOD

有機物の減少量を測定した。

る.3 実 験 結 果

消化実験開始後2~3R問は如びんともガス吹き込みを停1卜する

と約8時間で,試料の半分ぐらいがスカムとなって浮き上がったが,

4日目以後からはスカムの発生はだんだん減少していった。消化口

数とBOD,有機物の関係を示したのが第14図である。窒素ガスを

吹き込んだ場合とメタンガスを吹き込んだ場合とでほ掛こ著しい違

いは見られなかった。

7.緒 口

35√Cに二机、てし址L目1分消化実験を行ない,投入後15日でBOUは

2,000pl)n-以卜となり,30日後にほBOD除去率86%,消化率45%

という値をえた(Jこの結果は文献による実験室規模のテストから得

られる値とはば同じである。回分消化実験終了後,半連続投入実験

を35,40,45,50℃の温度で行なった。ガス発生量,BOD,熱灼減量な

どの測定の結果からここで行なったような方法では35℃が最も消

化率がよいことを知った。消化終了後の脱離液と消化汚泥の性質測

定を行ない,脱離液のBODほこの実験プラントの設計値3,000ppm

以下に適合していることを確認した。消化汚泥については洗浄方

法,洗浄水の処理,含水率などの測定を行なって不明確であった点

を明らかにすることができた。さらにかくほん方式について検討

し,ガスかくはんのほうがかくはん効率が遥かに良いことを示した。

しかしガスかくほんの際にメタンガスが触媒作用で消化を促進する

現象ほ見られなかった。

本研究を行なうに当たり終始ご支援いただいた機械事業弧亀有

工場の各位に厚くお礼申し上げる()

(8)

ー118-

参 鳶 文 献

洞沢勇:し尿処理ノ、ソドブック(1963)

日う王:25(7)2(昭38-7)

日本水道協会,下水試験法(1953)

海淵養之助:水道協会雑誌302,50(1959)

清掃法施行規則第9粂(昭和29年6月30日厚生省令第32引

遠藤郁夫:水道協会雑誌337,85(1962)

Tain・Geyer,Water Supply and Water Disposal,529,

John Wiely and Son,(1954)

第99回工業経済連盟講座,最近のかくはん技術とその応用

(1964)

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