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末梢神経損傷を対象とする神経再生補助材の開発
公益財団法人田附興風会医学研究所 北野病院 形成外科 主任部長 鈴木 義久
B32
医薬品
医療機器
再生医療等製品
体外診断薬
www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/~iact/ E-mail:[email protected]
神経 / 泌尿器 / 婦人科 /生殖器 /形成外科アルギン酸 /前立腺がん /神経叢 /人工神経 /子宮がん
対象疾患領域
キーワード
【背景】末梢神経損傷に対する治療は神経の端々縫合術が基本であるが、損傷部位が長い場合は自家神経移植を行う。しかし、移植神経を採取した部位に痛みや知覚消失などの後遺症が残る。そこで米国ではチューブ状の人工神経が開発され、本邦でも 2013 年にナーブリッジ、2016 年リナーブが承認された。しかし、チューブ構造であることから、直径の違う規格が複数必要になる、顕微鏡下での縫合が必要となる、また直線状のため神経分岐部や神経叢には使用できないなどで、医療満足度は高くない。これらの欠点の克服が求められている。【開発の経緯】架橋アルギン酸スポンジ作製技術を持つ奈良先端科学技術大学院大学および低エンドトキシンアルギン酸ナトリウムを供給できる持田製薬株式会社と共同して、H26 年度より医療分野研究成果展開事業・研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)により、神経分岐部や神経叢に適応できる神経再生用材の開発に着手した。【製品概要】アルギン酸を共有結合架橋ゲルとし、凍結乾燥したスポンジをシート状に加工した新規な概念の神経再生用材であり、分岐した神経や網目状に広がった神経叢の損傷に使用する。性能はラットの坐骨神経分岐部および海綿体神経損傷モデルで確認した。再生メカニズムとして、生体内で分解され低分子量となったアルギン酸スポンジの外層を神経軸索が伸長し、シュワン細胞が遊走することを確認している。
海綿体神経および骨盤神経叢の損傷された部位に置くことで神経再生を補助し、勃起機能および排尿機能を回復させる神経再生補助材である。神経損傷に因って著しく患者の QOL を悪化しかつ、臨床試験の設計が可能だと考えられる前立腺がん(手術件数は約 2万件 / 年間)および子宮がんを対象疾患とする。
研 究 概 要
実 用 化 例
【既存治療】・現在の神経再生の治療は、神経縫合術、不可能な場合は自家神経移植またはチューブ状人工神経しかない。・自家神経移植は患者自身の正常な部位を傷つけ採取しなければならない。・人工神経はその形状のために、1対 1の神経をつなぐことしかできない。【本技術(開発品)の優位性】・シート状のため、神経の分岐部および神経が網目状に分岐している神経叢のような部位でも、良好に神経再生を補助 することが可能である。・スポンジのように柔軟性に富んでおり、自由に弯曲させることができるので、臓器や筋組織などに沿うように神経欠 損部に留置することができる。・アルギン酸スポンジだけでは強度が弱いため、生体吸収性材料(ポリグリコール酸)を包埋して強度を増し、手術時 に必要ならば縫合できる設計にした。
優 位 性
・WO2017/159700
特 許 情 報
末梢神経損傷を対象とする神経再生補助材の開発
末梢神経損傷を対象とする神経再生補助材の開発