第2章 雪対策の課題及び将来への懸念 - sapporo ·...

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9 第2章 雪対策の課題及び将来への懸念 第 2 章では、時代背景や札幌市冬のみちづくりプラン(H21~H30 年度)の検証結果など を基に、雪対策の課題及び将来への懸念について示します。 <市民意識に関する課題> 除雪作業の妨げとなる迷惑駐車が依然として発生しています。 ・一部の路線では、敷地内から道路への雪出しにより、道幅が狭くなっています。 ・除雪作業後の間口の雪処理は、市民の皆さんに協力をお願いしていますが、依然とし て除雪センターには、間口の雪処理に関する苦情や要望が多数寄せられています。 ・大雪時や暖気で道路がザクザクの際、作業状況が分からないことへの苛立ちが、苦情 につながっています。 ・作業効率が低下し、ますます除雪従事者への負担が増加すること。 ・道幅が狭くなり、ますます事故の危険や渋滞が発生すること。 ・除雪センターに寄せられる多数の苦情・要望などにより、除雪従事者の心理的な負担 が増加すること。 このままでは、今後、以下のことが懸念されます!! 結構降っているけど いつになったら 除雪入るの? 車が・・。 除雪できないよ!! 今日も市の除雪で 雪置かれてるよ!! 除雪センターに 電話しなきゃ! 【ある日の住宅街】

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Page 1: 第2章 雪対策の課題及び将来への懸念 - Sapporo · ・除雪オペレーターの主な年齢層は40代・50代であり、30歳未満は1割と非常に少な いです。

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第2章 雪対策の課題及び将来への懸念

第 2 章では、時代背景や札幌市冬のみちづくりプラン(H21~H30 年度)の検証結果など

を基に、雪対策の課題及び将来への懸念について示します。

<市民意識に関する課題>

・除雪作業の妨げとなる迷惑駐車が依然として発生しています。

・一部の路線では、敷地内から道路への雪出しにより、道幅が狭くなっています。

・除雪作業後の間口の雪処理は、市民の皆さんに協力をお願いしていますが、依然とし

て除雪センターには、間口の雪処理に関する苦情や要望が多数寄せられています。

・大雪時や暖気で道路がザクザクの際、作業状況が分からないことへの苛立ちが、苦情

につながっています。

・作業効率が低下し、ますます除雪従事者への負担が増加すること。

・道幅が狭くなり、ますます事故の危険や渋滞が発生すること。

・除雪センターに寄せられる多数の苦情・要望などにより、除雪従事者の心理的な負担

が増加すること。

このままでは、今後、以下のことが懸念されます!!

結構降っているけど

いつになったら

除雪入るの?

車が・・。

除雪できないよ!!

今日も市の除雪で

雪置かれてるよ!!

除雪センターに

電話しなきゃ!

【ある日の住宅街】

Page 2: 第2章 雪対策の課題及び将来への懸念 - Sapporo · ・除雪オペレーターの主な年齢層は40代・50代であり、30歳未満は1割と非常に少な いです。

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<地域に密着した生活道路に関する課題>

・市民と行政の役割分担が十分に伝わっていません。

・一部の地域では、除雪パートナーシップ制度※7の費用を集めるのが困難になってい

ます。

・地域の合意が得られず、除雪パートナーシップ制度を利用できない地域があります。

・高齢化に伴い雪処理の負担感が拡大する一方で、ボランティア活動の担い手も高齢

化しています。

・雪国さっぽろの子どもたちが雪とかかわる機会が減っています。

・雪対策に対する市民の満足度が低下すること。

・除雪パートナーシップ制度を続けることが困難になること。

・不公平感が拡大すること。

・ボランティアを必要とする市民のニーズに対応できなくなること。

・子どもたちが大人になったときに、地域の雪対策に対して無関心になってしまうこ

と。

※7【除雪パートシーシップ制度】冬期の生活環境を向上させることを目的に、地域住民・除雪業者・札幌市の 3 者がそれぞれの役割を分担

し、連携協力しながら生活道路の運搬排雪を実施する制度。

このままでは、今後、以下のことが懸念されます!!

自分では雪かきできないから

今日の外出は無理だね・・。

あっ、ごみステーションが

埋まっている!

【ある日の住宅街】

Page 3: 第2章 雪対策の課題及び将来への懸念 - Sapporo · ・除雪オペレーターの主な年齢層は40代・50代であり、30歳未満は1割と非常に少な いです。

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<安心・安全な冬みちに関する課題>

・つるつる路面が原因の転倒事故による救急搬送件数が増加しています。

・冬も夏と同じ靴や服装で歩く市民や観光客をよく見かけます。

・一部の通学路では、十分な通行幅や見通しが確保されていない箇所があります。

・大雪時は、市内一円で路面状況の悪化や道幅が狭くなり、交通渋滞が発生します。

・つるつる路面に対する恐怖感から、外出を控える市民や冬の札幌を敬遠する観光客

が増えること。

・児童の安全な通行環境が損なわれること。

・都市活動や市民生活に大きな影響を及ぼすこと。

このままでは、今後、以下のことが懸念されます!!

いてっ!

あっ、

危ない!

つるつるで

歩きづらいな~!

【ある日の通勤・通学時】

Page 4: 第2章 雪対策の課題及び将来への懸念 - Sapporo · ・除雪オペレーターの主な年齢層は40代・50代であり、30歳未満は1割と非常に少な いです。

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<除排雪体制に関する課題>

・除雪業務は一般競争入札にも関わらず、入札に参加するのは 1 業務に対して 1 企業体

だけです。

・気象状況によっては休日も含め連続作業となるため、新たに雇用してもすぐに辞める

ことが多いです。

・除雪オペレーターの主な年齢層は 40 代・50 代であり、30 歳未満は 1 割と非常に少な

いです。

・生産年齢人口の減少が続いていることから、将来、人材の不足が予想されます。

・若い人たちには労働環境が苛酷というイメージがあり、そのことが人材不足に拍車を

かけています。

・運搬排雪に必要なダンプトラックの確保が困難となっています。

・除雪業務の入札が不調となり、履行が困難になること。

・除雪車やダンプトラックの運転手が不足し、十分な除排雪ができなくなること。

このままでは、今後、以下のことが懸念されます!!

【ある日の除雪作業】

早く一人前に

ならなきゃ!

新人が早く一人前になれば

手分けして作業ができるのに・・。

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<除雪費に関する課題>

・人口減少に伴う税収の減少などにより、財政状況はより一層厳しくなることが予測

されています。

・限られた財源の中では、効率的な除排雪に対する検討や分析が必要です。

・雪堆積場の郊外化が進行しており、それに伴い運搬距離が増加し、コスト増や作業

効率が低下しています。

・必要な除雪費の確保が困難になること。

・排雪作業に遅れが生じ、慢性的な渋滞が発生して路線バスや配送用トラックは、遅

れるのが日常的な光景になること。

このままでは、今後、以下のことが懸念されます!!