第6回:ベース・パートの録音slap bass(プリセット名:modern slap lm) synth...
TRANSCRIPT
-
井桁 学:パソコンでデモ・テープを作ろう!
パソコンを使って音楽を作る……今や特別難しいことではありません。しかし、正しい制作プロセスを知ってい
れば効率的な作業ができますし、そのプロセスごとのノウハウを学ぶことによって、さらにクオリティの高い作
品を作ることもできるでしょう。講師は、ギターやホーム・レコーディングについての教則本を数多く執筆して
いる井桁 学さんです。
第 6 回:ベース・パートの録音 (2008 年 11 月 11 日)
今月はベースの録音についてです。ベース・パートは言葉どおりにサウンドの低域を支えるとともに、ドラム・パートと
ともにリズムを構成し、サウンド全体のノリを左右する重要なパートです。
■ベースの録音方法
ベースは、ウッド・ベース(写真①左)とエレキ・ベース(写真①右)に大きく分か
れます。ウッド・ベースは、クラシックやジャズ、ロカビリーに使われることも多く、
コントラバス、ダブルベース、アップライト・ベースとも呼ばれることもあります。
そして、エレキ・ベースには、プレシジョン・ベース・タイプとジャズ・ベース・タ
イプ、多弦ベース(5弦や6弦)、フレットレス・ベース、エレアコ・ベースなどが
あります。これらのベースの録音は、レコーディング本来の“手弾き”と、“ソフト
音源による打ち込み”が主流でしょう。
手弾きの場合、録音方法には“マイク録音”と“ライン録音”があります。マイク録
音の場合は、ベース・アンプにマイクを立てて録音します。ライン録音の場合、ベースとアンプを接続し、ベース・アン
プのライン・アウトから直接オーディオ・インターフェースへ通す方法と、ベースからDI(ダイレクト・ボックス)を通
して直接通す方法があります。前者はアンプのセッティングが活かせるので、ベーシストの個性が出やすくなります。後
者は、DI を使うためベースの素の音をそのまま収録できるので、後からアンプシミュレーターを使って音色を作り込むこ
とが可能です。もちろん、ライン録音とマイク録音をミックスする方法もあります。ベースのテクニックに自信がある人
は、この方法が一番オススメです。弦楽器特有の細かいタッチやミュートは、手弾きこそニュアンスが出やすいからです。
■打ち込みによるベースのサウンド
次にソフト音源による打ち込みの場合。ここ何年かで、高品位のベース音源が増えたこともあり、打ち込みによる手法も
多くなってきました。ベースを打ち込む際のベースのタイプは、フィンガー・ベース、ピック・ベース、スラップ・ベー
スといった奏法別に、シンセ・ベースが加わりと4タイプに分かれます(シンセ・ベースはシンセサイザーでベース・パ
ートを担う音色の総称)。
写真①
-
では、順番にサウンドをチェックしてみましょう。
それぞれ個性が出ているはずです。音源は IK マ
ルチメディアの SampleTank 2.5 を使用して
います(写真②)。
Finger Bass(プリセット名:Fingerer Jbass F+R)
Pick Bass(プリセット名:P Bass Picked)
Slap Bass(プリセット名:Modern Slap LM)
Synth Bass(プリセット名:Analog Bass 2)
■ベースのフレージング
ベースのフレージングは、コード構成音が基本となります。例えば、コードがCの時には Root であるC音、3rd の E音、
5th のG音がそうです。Root はコードの柱となる音で、ベースが弾かなければコード・ネームが変わってしまうくらい重
要な音です。5th の G音は、メジャー、マイナーに関係なく使える安定感のあふれる音です。3rd の音はコードのカラー
を決める音なので効果的に使うといいでしょう。さらに、オクターブの音も利用できます。
さらに、“経過音”もメロディアスなフレーズには必須の音です。コード・トーンとコード・トーンを滑らかにつなぐため
に、例えば 3rd から 5th につなぐために 4th を経過音として入れたりします。実は先ほどのサンプル・フレーズにも経
過音が使われています。Emのコードで、Root の E 音が続き、その後、5th→4th→♭3rd と、経過音の 4th を利用して
いるのです。
これらの音を使い、ドラムのスネアとバスドラが鳴っているポイントやアクセントのある位置を中心に音数を増やしたり、
減らしたりするとグルーヴ感あふれるフレーズが作りやすいのです。今月はここまで!
写真② SampleTank 2.5