第9章 鋼の塑性加工 冷間加工:室温での塑性加工...
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第9章 鋼の塑性加工
冷間加工:室温での塑性加工 熱間加工:再結晶温度以上での塑性加工 (炭素鋼の場合、γ域での加工を指す)
(目的) 冷間加工: 成形、強化 熱間加工: 成形、鍛錬
フェライト部が変形,セメンタイトは分断
(!t+ d!
t)(A + dA) " !
tA # 0
dA
A! "
d#t
#t
Adl + ldA = 0
!dA
A=dl
l= d"
t
d!t
d"t
= !t
ln!t= "
t+ C
塑性不安定条件 → くびれ発生
l l + dl
A + dA
!t+ d!
t
F
F
F
F
A
荷重の低下
体積一定
!t
ln(!n+1)"
n= ln(!
n+1) + C
!n= C '
n乗硬化則
n乗硬化則
!t= K"
t
n
d!t
d"t
= nK"t
n#1= n
!t
"t
d!t
d"t
= !tくびれ発生時
n = !t くびれ発生時の真ひずみ=n値
均一変形の構成式
n値は加工硬化の度合いを示す指標になる。
冷間加工度の増加 → 降伏点が高くなる。塑性ひずみが小さくなる。 (理由:転位密度の増加によって転位の移動が困難になる)
高炭素:引張強さ↑, 延性↓
張出し性: 加工硬化係数(n)と関係がある。
深絞り性: 塑性加工ひずみ比(r)と関係がある。
r =ln(W
0/W )
ln(T0/T ) at ! = 0.2
W0:板幅(変形前) W :板幅(変形後) T0 : 板厚(変形前) T :板厚(変形後)
σt :真応力 εt :真ひずみ K : 材料定数
r値が大きいほど面方向に変形しやすい。
n値が大きいほど張出し変形しやすい。
!t= K"
t
n
ストレッチャーストレイン(SSマークともいう) ・・・成形後の表面に現れる縞模様
とくに自動車ボディ成形で問題となる。
降伏点伸びの大きい炭素鋼→ SSマーク顕著
防止策;1%程度の予ひずみを与える。
ひずみ時効:
冷間加工後,室温で長期保持した際に降伏点(のび)が発現する現象 (炭素,窒素の拡散,転位への固着による)
防止策;C,N量の低減
熱間加工: 加工と同時に回復・再結晶が生じる 変形抵抗が小さい オーステナイト領域の温度で行われる
赤熱ぜい性(Red shortness)
→ 高温熱間加工中に割れを生じる現象 1000℃以上
・・不純物元素である硫黄(S),Cuが原因
オーステナイト粒界にFeS共晶相を形成 加工中に融解、Cuのミクロ偏析
粒界破壊を生じる
DBTT (延性ー脆性遷移温度)
衝撃値が低下する温度
高炭素鋼ほど高い
青熱ぜい性, 焼もどしぜい性(250℃) (C,Nの転位固着による ひずみ時効現象と対応)
低温ぜい性 (bcc構造に特有)
赤熱ぜい性 (S,Cu,のミクロ偏析による 粒界ぜい性 )
青熱ぜい性(blue shortness)
→ 温間加工中に割れを生じる現象
・・ひずみ時効が原因
炭素(C),窒素(N)が転位を固着
低温ぜい性
→ bcc鉄の本質的なぜい性現象
不純物元素が多い鋼ほど顕著 へき開破壊を生じる
延性ー脆性遷移温度 (DucEle‐BriHle TransiEon Temperature) DBTT
例:0.028%C鋼:DBTT 約‐70℃
DBTT低いほど,実用上好ましい。
DBTT
すべり面の分離 → へき開破壊
第9章 鋼の塑性加工 (まとめ)
○ 冷間加工と熱間加工
○ 応力ーひずみ線図
各種名称,加工硬化,塑性不安定
成形性,n値,r値
○ 鋼のぜい性
原因と防止策