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研究報告集会「ユビキタスは建築をどう変えるか」 2007.9.28 日本建築学会 ユビキタス建築都市特別研究委員会 刊行企画小委員会 1 研究報告集会 研究報告集会 2007.9.28 ユビキタス建築都市特別研究委員会 刊行企画小委員会 序章 ユビキタス建築の展望 第1章 情報通信革命とユビキタス建築 第2章 情報通信技術と建築の変化 第3章 技術革新の進行と未来の建築技術 第4章 ユビキタス建築の光と影 付章 ユビキタス・コンピューティングの誕生 付録 キーワード事典 ・編著者:日本建築学会 ・判型:B6 ・頁数:312頁 ・定価:2,415円 ・刊行:2007年9月10日 「ユビキタスは建築をどう変えるか」 ユビキタス・コンピューティング社会の建築技術 刊行企画小委員会の構成 1. 宇治川正人 竹中工務店 2. 中村浩三 日立製作所 3. 佐脇政孝 産業技術総合研究所 4. 坂東吉人 清水建設 5. 長舟利雄 大林組 6. 山川高史 ヤマハ 7. 横山計三 日比谷総合設備 8. 長瀧慶明 大成建設 9. 花里俊廣 筑波大学 10. 加賀有津子 大阪大学 11. 小池道広 長谷工コーポレーション 12. 松山雅子 大和ハウス工業 13. 佐藤貢一 大成建設 14. 吉田博之 大和ハウス工業 15. 山本寿史 セコム 序章 ユビキタス建築の展望 東京大学 坂村健教授 2007.3.9 YRPユビキタスネットワーキング研究所 超機能分散 非常に多くの分散されたコンピュータ環境 組込みコンピュータ ディスプレィやキーボードのないICチップ 電脳建築家(コンピュータ・アーキテクト) アーキテクチュア:コンピュータのハードウェアやソフトウェ アなどの基本設計や設計思想のこと 最初の何もない段階から何かを作り上げていくこと RFID(無線ICタグ) 物体の識別に使われる微小な無線ICチップ。 集積回路、メモリー、通信機能(アンテナ)などを持つ電子荷札

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研究報告集会「ユビキタスは建築をどう変えるか」 2007.9.28日本建築学会 ユビキタス建築都市特別研究委員会

 刊行企画小委員会

1

研究報告集会研究報告集会

2007.9.28ユビキタス建築都市特別研究委員会 刊行企画小委員会

序章  ユビキタス建築の展望第1章 情報通信革命とユビキタス建築第2章 情報通信技術と建築の変化第3章 技術革新の進行と未来の建築技術第4章 ユビキタス建築の光と影付章  ユビキタス・コンピューティングの誕生付録  キーワード事典

・編著者:日本建築学会・判型:B6・頁数:312頁・定価:2,415円・刊行:2007年9月10日

「ユビキタスは建築をどう変えるか」

ユビキタス・コンピューティング社会の建築技術

刊行企画小委員会の構成

1. 宇治川正人 竹中工務店   2. 中村浩三  日立製作所 3. 佐脇政孝  産業技術総合研究所 4. 坂東吉人  清水建設 5. 長舟利雄  大林組6. 山川高史  ヤマハ7. 横山計三  日比谷総合設備 8. 長瀧慶明  大成建設 9. 花里俊廣  筑波大学 

10. 加賀有津子 大阪大学 11. 小池道広  長谷工コーポレーション12. 松山雅子  大和ハウス工業

13. 佐藤貢一  大成建設14. 吉田博之  大和ハウス工業15. 山本寿史  セコム

序章ユビキタス建築の展望

東京大学 坂村健教授 2007.3.9 YRPユビキタスネットワーキング研究所

■超機能分散非常に多くの分散されたコンピュータ環境

■組込みコンピュータディスプレィやキーボードのないICチップ

■電脳建築家(コンピュータ・アーキテクト)

アーキテクチュア:コンピュータのハードウェアやソフトウェアなどの基本設計や設計思想のこと

最初の何もない段階から何かを作り上げていくこと

■RFID(無線ICタグ)物体の識別に使われる微小な無線ICチップ。集積回路、メモリー、通信機能(アンテナ)などを持つ電子荷札

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トロン電脳住宅 1989年 夢住宅 PAPI 2005年

■発電する外壁

■いつでも特等席

■家と車がつながるガレージ

■車ごと入るエントランス

■家族と情報が集まるキッチン

■ぐっすり眠れる寝室

夢住宅 PAPI

■分散と統合による再構築ユビキタス社会はいつでもどこでも情報サービスが受けられる

サービスを受けに建物に行く必要がない↓

建物のサービスをする場所を縮小、集約化(オフィス、銀行、役場、図書館、学校、他)

■オープンアーキテクチュア設計思想や寸法、仕様が公開されていて、改装、更新が容易

■アフォーダンスを越えてアフォーダンス:行動をほのめかす機能使い方の情報を提供するシステムの存在 →すっきりしたデザイン

第一章情報通信革命とユビキタス建築

■ユビキタス・コンピューティング人間がコンピュータを意識せずに、自然にその機能を利用できるサービス環境・マーク・ワイザーが提唱した未来のビジョン・大型計算機の時代(~)、パーソナルコンピュータの時代(~)、ユビキタス・コンピューティングの時代

■コンテクスト・アウェアネス(状況認識)センサーで空間内外の状態を察知し、その都度、指示をしなくても、人が望ましいように、環境制御や情報処理を行う

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第二章情報通信技術と

建築の変化

1 情報通信技術の建築への影響

被験者構成

被験者数: 施工、設備、設計分野 各6名 計:18名

年   齢: 40歳~65歳、 平均値は51.2歳

経験年数: 16年~41年、 平均値は27.9年

インタビューの手順

①具体的な建物の想起

②相違点の列挙

③ラダーリング

④今後の貢献の想起

■インタビュー調査

1.1.情報技術の技術革新が及ぼす影響情報技術の技術革新が及ぼす影響

■連関図(設計分野:立地の再構成など) 

①立地の再構成

②用途や機能の混在

③変化への対応

食堂で会議や打合せが行われる

FDやMOで膨大な情報も持ち歩ける

人間の集積度が高いほうがビジネスの効率は上がる

PCが主体の業務スタイル

自分の家でオフィスワークを行う

居心地の良い場所に人が集まる

オフィスに遊びやコミュニケーション

の要素が混在

用途・機能の混在

大都会にいなくても仕事ができる

一極集中の進展 支店機構

の簡略化

情報通信ネットワークの発達

立地の拡散

床荷重に余裕を持たせる(オフィス)

使用の自由度が広がる

弱電系のアウトレットがどこでもとれる

配線の変更が容易となった

配線にとらわれない働き方ができる 無線LAN

組織やレイアウト変更が頻繁に

二重床の採用

①立地の再構成

②用途や機能の混在

③変化への対応

食堂で会議や打合せが行われる食堂で会議や打合せが行われる

FDやMOで膨大な情報も持ち歩けるFDやMOで膨大な情報も持ち歩ける

人間の集積度が高いほうがビジネスの効率は上がる

人間の集積度が高いほうがビジネスの効率は上がる

PCが主体の業務スタイルPCが主体の業務スタイル

自分の家でオフィスワークを行う

自分の家でオフィスワークを行う

居心地の良い場所に人が集まる居心地の良い場所に人が集まる

オフィスに遊びやコミュニケーション

の要素が混在

オフィスに遊びやコミュニケーション

の要素が混在

用途・機能の混在

用途・機能の混在

大都会にいなくても仕事ができる

大都会にいなくても仕事ができる

一極集中の進展 支店機構

の簡略化支店機構の簡略化

情報通信ネットワークの発達

立地の拡散

立地の拡散

床荷重に余裕を持たせる(オフィス)

使用の自由度が広がる

弱電系のアウトレットがどこでもとれる弱電系のアウトレットがどこでもとれる

配線の変更が容易となった配線の変更が容易となった

配線にとらわれない働き方ができる 無線LAN

組織やレイアウト変更が頻繁に

二重床の採用二重床の採用

区 分 影響事項 主な関連技術

立地 ①立地の再構成 情報通信ネットワーク

基本

計画

②用途や機能の混在

③フレキシビリティの向上

携帯 PC、FD、MO

無線 LAN 、二重床建

物 設備

計画

④高度情報環境の創出

⑤快適性向上と省エネルギー化

⑥セキュリティの向上

通信ネットワーク、二重床

状態監視・制御技術

カード、生体認証技術

設計

段階

①最適な設計解の追及

②設計の迅速化

シミュレーション解析、 CAD

通信回線、協調設計生

施工

段階

③省人化と工期短縮

④施工原価の低減

⑤近 隣関係の良好化

作業所 OA 、携帯電話

電子商取引、本社DB

作業所ホームページ

■情報通信技術が建築に与えた影響の概要

技術報告集 第22号、総合論文誌 第4号に掲載

2 情報化による建築の変化の経緯

■データセンターへの改修例(C社有明データセンター)

構造補強:各階に重量設備機器を設置のため電力室の新設:重量バッテリーや整流器を設置不活性ガス消火設備の導入:コンピュータ室の消火は水を用いない機器搬入出用エレベーターの大型化、扉の大型化天井高:直天井とし、フリーアクセスフロアの高さを10cmから45cmに空調設備の性能向上サッシュ:不活性ガスの消火後に不活性ガスを排出させる弁大型自家発電機を設置、燃料タンクの埋設、煙突の新設

3 情報通信技術と研究開発

1.研究企画・ホームページを利用した文献調査・特許庁ホームページで既開発技術等を調査・FTPからのデータ・ソフトウエア収集2.研究開発実施・所内外の実験や計測をリアルタイムで収集・ホームページで、実験計画の情報を共有化・社外・海外へのソフトウエア開発業務委託3.成果普及・ホームページで、開発中・終了成果を公開・研修生ゼミ・自主ゼミ資料の公開・地震波形、データの提供・プログラム関係資料の公開・提供4.間接的支援・メンバーのスケジュール管理・月報等の各種帳票管理・関係者間の情報・資料の共有化・講習会・見学会等のオンライン予約

■研究開発業務の遂行支援(Ⅰ類)

1.新しい空間電磁波シールド・アクティブ磁気シールド技術・電波吸収舗装・電波ゾーニング技術2.新しい技術デジタル処理・残響時間を電気的に制御する音響技術遠隔協業・災害発生時の危機管理策を構築する技術センシング・光ファイバーで構造体のひずみをモニタリング

■新空間・新技術の開発事例(Ⅱ類)

1.研究開発・情報技術を活用したサイバー・ラボラトリー2.生産システム・インターネットによる海外工事のプロジェクト管理・施工知識を提供する施工ナビゲーターの開発

■組織の役割や性格の変革(Ⅲ類)

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第三章技術革新の進行と未来の建築技術

■技術の分類

1.防災システム

2.環境保全

3.防犯・セキュリティ

4.施設管理

5.住宅・家庭

6.業務施設

7.教育・文化

8.医療・福祉

9.交通

10.その他

火災報知 地震防災

環境モニタリング・気象観測 廃棄物処理

不正浸入・盗聴検知 認証技術 情報セキュリティ

ビル環境・エネルギー管理 ファシリティマネジメント

設備機器の制御 ハウスキーピング ホームエンターティメント・学習 ホームネットワーク・情報通信環境

高度情報通信環境の構築 商業・物流・ 情報インフラ施設

学校教育施設 文化施設(ホール・スタジアム等)

医療施設の情報化・情報環境 健康管理 見守り

交通制御 障害者の移動支援 交通案内・駐車場情報の提供

地域情報通信システム その他

2.防犯セキュリティ

■今までの建築における防犯セキュリティ

街区や建物への外部侵入者を予防すること

情報通信システムにおける防犯セキュリティも必要となってきている。

防犯環境設計の4つの原則・接近の制御・被害対策の強化・監視性の確保・領域性の確保

人・組織のセキュリティ

施設のセキュリティ

情報システムのセキュリティ

■セキュリティを構成する3つの要素

防犯セキュリティは、3つの視点からバランスよく対策をとる必要がある。

写真1 セキュリティゲートの例

第一警戒線(例:敷地外周)

第三警戒線(例:部屋の壁)

第四警戒線(例:金庫)

対象(例:貴金属)

第二警戒線(例:建物外壁)

図1 警戒線の概念

■境界線の警戒 ・敷地境界の不正侵入検知 ・建物への不正侵入防止

■ツール例として ・ICカード ・生体認証 ・画像認識技術 ・セキュリティゲート

建物に一番の影響を及ぼしたと思われるツールとして「セキュリティゲート」は顕著な例といえる。

2.防犯セキュリティ:アクセスをコントロールする

図2 電磁シールド塗料

図  電磁波吸収発泡ガラス

■電磁波対策

将来において無線LANが普及し、当たり前のように使われることが想定される。

電波が外部に漏れるのを防ぐ必要がある。

外部からの電波が建物内の機器の誤動作を招くことも想定され、それらを防ぐ必要がある。

シールド材の事例

電波の侵入を防ぐ必要がある。

2.防犯セキュリティ:情報を守る

電磁シールド塗料

電磁波吸収型発泡ガラス

■見守りサービス

実現できているサービスの例(実験段階も含む)

・GPS付き携帯電話を活用した位置情報検知・通知サービス

・アクティブICタグの所在をセンサーで確認する方法

・パッシブICタグを読み取り装置にかざすことによる所在管理

監視カメラと連動

めざすべき方向は、地域連携と人々のコミュニケーションを支援する技術

技術的な視点だけではなく、建築的な視点が必要

2.防犯セキュリティ:地域の防犯

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危険・異常の自動検知危険の回避手段、異常発生時の適切な対応体制

■防犯セキュリティのさらなる進化

3つのトレンド

①画像センシングの高度化

②情報セキュリティと物理的なセキュリティの連携

③パーソナルセキュリティの高度化

今後整備が進むと!

本当の意味で、人そのものの安心・安全を提供するパーソナルセキュリティの実現

監視カメラの高度化(インテリジェント化)

認証基盤の共通化

現在の見守りシステムの高度化

2.防犯セキュリティ:今後の展望 3 施設管理3 施設管理

■施設管理における主な技術

RFIDの利用

評価・計画立案支援

施設管理支援建物所有者・管理者への業務支援

所在位置把握

施設情報提供サービス

ビルテナントサービステナント・施設利用者へのサービス

ファシリティマネージメント

パネルディスプレイ型スイッチ

マルチメディアヒューマンインターフェース

高品質な空間創造技術

機器劣化診断・故障対応

ユビキタスセンサーネットワークユビキタスセンシング

施設管理支援

遠隔による管理管理技術の高度化

オープンプロトコルによるネットワークビル内設備連携ビル環境・エネルギー管理

技術項目分類

3 施設管理3 施設管理

• 1960年頃:「中央監視盤」が日本で紹介される。

• 1970年頃:コンピュータを利用したビル管理システム(BAS:Building Automation System)が導入され始める。

• 1990年代:室内環境を向上しつつエネルギー消費を最少にするなど、より高度な管理を行う目的から、ビル・エネルギー管理システム(BEMS:Building and Energy Management System)が導入されるようになった。

• 2000年代:LONWORKS、BACnetなどオープンプロトコルによるネットワーク技術の採用事例が多くなった。

■ビル環境・エネルギー管理の歴史

3 施設管理:3 施設管理:ビル内設備連携ビル内設備連携

防犯監視用 照明・空調監視用

防犯制御盤 空調コントローラ 照明コントローラ中継器

ゲートユニット

カードリーダー

電気錠

空調機

Hf型蛍光灯

照度センサー人感センサー

DOC

VAV

DOCV調光TU

昼光

ブラインド

昼光による発熱

照明による照度

昼光による照度

照度

日射量計

照度センサ

ブラインドコントローラ

フロア統合コントローラ

冷却照明からの発熱

温湿度センサ

人検出センサ

空調機

照明器具

DDCVAV

協調制御(松下電工)オープンプロトコルによる設備連携

BAC net

3 施設管理:3 施設管理:ビル内設備連携ビル内設備連携

さいたまメディアウェーブ

IPv632ビットのアドレス空間を128ビットに拡張

NTT Communicationホームページより

NTT ファシリティーズホームページより

遠隔集中管理

遠隔集中管理センター

・熟練技術者による分析・分析結果の各建物へのフィードバック

データ収集

フィードバック

ネットワーク

建物

建物

建物

3 施設管理:3 施設管理:管理技術の高度化管理技術の高度化

施設管理支援

修繕・改修計画・設備の更新、修繕計画・建物の機能向上につながる改修計画

運用・管理提案・不適切な運転形態の検出、通知、改善提案

エネルギー管理・省エネ管理   ・傾向管理  ・ベンチマーク管理

設備管理・機器の劣化の管理・機器の不具合と調整・機器の能力と負荷の整合性の管理

機器の手入れ、調整・不具合機器の手入れや調整をサポート

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3 施設管理:3 施設管理:ユビキタスセンシングユビキタスセンシング

■ユビキタスセンサーネットワーク– 超小型無線装置が種々のセンサーに内蔵され、センサー同士

が無線で自律的な情報の流通を実現する

■機器劣化・故障対応– センシング技術の発達により、個々の機器の劣化状況を知るこ

とができ、的確な管理を行うことができる。

■高品質な空間創造– 「パーソナライジング」の実現

– 個人差を考慮した、より高品質な居住環境の提供が求められる マルチメディアを活用したビル管理システム

BAデータサーバ

WEB端末(汎用PC)

防犯制御盤 設備コントローラ

OAネットワークhp 2 0 25

PI P IN PUT AUT O 1 2

セキュリティカメラ

各種設備機器

ディスプレイ

通信インターフェース

PHS・携帯

3 施設管理:3 施設管理:ヒューマンインターフェースヒューマンインターフェース

ディスプレイスイッチ(日建設計)

プロジェクト管理

FM戦略・計画

運営維持

統 括

マネージメント

プロジェクト管理

FM戦略・計画

運営維持

統 括

マネージメント

戦 略中長期実行計画

ワークプレイスづくり施設賃貸借不動産取得建物建設大規模改修

維持保全(施設の日常管理・大規模改修計画)運用管理(施設・ワークプレイスの運用管理)サービス(業務支援・生活支援)

財務評価品質評価供給評価

Plan

Do

Do

Act

Check

FMの戦略・計画は

経営戦略に基づく目標課題

3 施設管理:3 施設管理:ファシリティマネージメントファシリティマネージメント

総解説ファシリティマネージメント FM推進協議会編より

3 施設管理:3 施設管理:テナント・施設利用者へのサービス向上テナント・施設利用者へのサービス向上

周辺情報の提供画面(六本木ヒルズHPより)

設備運転状況表示例(山武 資料より)

■ビルテナントサービス

3 施設管理:3 施設管理:テナント・施設利用者へのサービス向上テナント・施設利用者へのサービス向上

■施設情報提供サービス

神戸空港で世界初の「ユビキタス空港情報提供サービス」の実証実験2006年3月

沖電気工業ホームページより

FMS(竹中工務店)

3 施設管理:3 施設管理:建物所有者・管理者への業務支援建物所有者・管理者への業務支援

事業計画支援 事業運営支援

リスク低減策検討

事業提案

事業概要

事業評価シミュレーション

計画原案

A:問題解決

P:計画

D:実行

C:測定・評価

ビル管理ナレッジDB

要求品質⇒SLAで明確化

実際の品質⇒評価指標で定量化

適正

支えるプロセス

過剰

不足

過剰

過剰

不足

ミスマッチ

事業総収益(億円)

頻度

期待値赤字確率34%

-5 0 5 10

頻度

事業総収益(億円)-5 0 5 10-5 0 5 10

赤字確率34%→8.9%

FM/PMソフトウェア(日立製作所)

■施設管理支援

■評価・計画立案支援

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 刊行企画小委員会

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3 施設管理:3 施設管理:今後の展望今後の展望

■センシングシステムの簡易な構築– より多くの情報を元に管理ができるようになる。

– 必要に応じて設置場所を変更したり追加したりできる。

– 小規模な建物にも管理システムが構築できる。

■施設管理システムの標準化– どこにセンサーを設置し、どのようにデータを記録し、そのデータをど

のように加工すると何がわかるかという標準的な方法が必要。

■データ処理(データマイニング)– 大量の情報から重要な情報を拾い出す技術

4 住宅・家庭

ディーズ スマートハウス

4 住宅・家庭

「エスニックがいいかな・・・。でもスパイスなんかあるか

しら。」  

近所のスーパーのホームページを開きスパイスの種類

をチェック。鶏のもも肉が特売品だったので、今日のメ

ニューはタイ風カレーに決定、鶏肉は売り切れないうち

に注文も済ませておいた。

 その時画面の右端にあるお酒のアイコンが点滅した。

いつもお酒を買っている三河屋さんからのTV電話だ。

アイコンをクリックすると小さな画面に伊藤さんの顔が

写し出された。アミーゴ・伊藤さんは日系スペイン人の

愉快な店員だ。

「iHola,ユカリ! ミネラルウォーターの特売があるんだ

けどいかがかな?そうそう、ビールも無くなる頃だから、

届けておいてもいいかな?」

 最近はインターネットも電話と同じ営業ツールとして

定着し、オンラインショップと実際の店舗もきちんと棲み

分けができるようになってきた。日用品やお酒などのか

さばるものはネットで済ませるので、お店はディズニー

ランドのような一種のレジャー施設と考えられている。

楽しい演出を工夫しネット固定客を確保するのが勝負

の決め手で、従業員には役者あがりの人もいるらしい。

「インターネットが普及すると商店街がなくなってしまう」

という話は今では笑い話だ。

 レシピをダウンロードし、買い物リストを作成したユカリ

は、シンイチとナツコを急かせながら買い物にでかけた。

世界中の食材が揃うこのスーパーはユカリのお気に入

りだ。レシピの食材も様々にアレンジし、自分流のメ

ニューを作ってしまう。

「サラダの彩りにパブリカ入れてみようかな・・・。」

 買い物を済ませて帰宅した小島ファミリー。玄関脇の

宅配冷蔵庫を開けて先ほど注文していた鶏肉を取り出

した。食材を持ってキッチンに向かったナツコは、カウ

ター下のキャビネットを引き出し袋を置いた。移動式の

このキャスター、

冷蔵庫に食材を入れる時にも便利だ。中にはミニシン

クが仕込まれており、ユカリが小さい頃は子供用キッチ

ンとしても活躍していた。この家の各所に設置された給

排水コンセントに接続すれば、簡易水回りとしても使う

事ができる。

■ネットリビング(ハワイボタン)

 ナツコの大学時代の同級生、アヤコがやってきた。在

学中は二人で海外のリゾートを荒らしまくった仲である。

リビングに招かれたアヤコはソファーの上にある小さな

窓に目をやった。ブラインドの隙間から、青い海が広がっ

ている。そういえばかすかな波音とともに、ウクレレの音

色や日本語ではない話声も聞こえてくる。

 窓と思われたのは、実はハワイのリゾートに設置され

たwebカメラの画像を映し出す「ネットウィンドウ」という

サービスだ。映像だけでなく現地の音声までもリアルタ

イムで転送され、あたかも自分の家がリゾートの中に建っ

ている錯覚を味わえる。 ハワイだけではなく、世界各地

の美しいリゾートの映像が、ボタンを押すだけで窓に映

し出されるという優れものだ。

図1 生活シーンシナリオ

4 住宅・家庭

お出かけタッチパネル

ぺたぺたスイッチネットウィンドウ

スマートサーバー

■暮らす:外出先から冷蔵庫の内容を知る

4 住宅・家庭

■暮らす:快適性を保ちながら省エネを

■暮らす:宅内と車がシームレスな関係

■働く:いつでもどこででも仕事が出来る

■学ぶ:屋外で実習する

■遊ぶ:メディアに拘わりなくコンテンツを楽しむ

■交わる:ホットスポット

■運用する:e-デモクラシー

住宅情報化推進協議会ユーハウス2010コンセプト

「電気執事」

5 業務施設

■無線LAN

中央監視

ゾーニングエリア

外部から電波は入れない内部の電波は出ていかない内部では相互に干渉しない

テナントやゾーンごとに電磁環境が独立

中央監視

無線LAN有線LAN

テナントA社

テナントB社

テナントC社 テナントD社

共用部

認証サーバ

■電波ゾーニング

クライアント

アクセスポイント

サーバー ハブ

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G社浦和工場

5 業務施設:無線環境モニタリング

各階基地局

中継器

中継器

中継器

温湿度センサ、パーティクルセンサ

中継器各階基地局

中継器

中継器

中継器

温湿度センサ、パーティクルセンサ

中継器各階基地局

中継器

中継器

中継器

温湿度センサ、パーティクルセンサ

中継器各階基地局

中継器

中継器

中継器

温湿度センサ、パーティクルセンサ

中継器モニタリングサーバー

スイッチングハブ

館内PC

館内PC

館内PC

1階

3階

4階

5階

館内LAN

無線環境モニタリング構成図

5 業務施設:情報インフラ施設

■情報インフラ施設

ユビキタス社会は、大量の情報を消費する社会である。

それは、社会に、情報の加工、供給、流通の機能が整備されていることが前提であり、今後、そのための施設は、現在の電力や上下水道、道路のような「社会生活のインフラストラクチャー」的な位置付けになるのではないだろうか。 

NTTドコモ代々木ビル アレア品川( NTTデータ品川ビル)

独立行政法人海洋研究開発機構 地球シミュレータ(横浜市)

まとめ

■ユビキタス建築のパラダイムシフト試案(建築物)

ユビキタス建築

建築の構成要素基礎、躯体、内装、設備、(家具什器)、各種システム

建築の提供物 空間、室内環境、サービスや情報

ユーザー

ライフサイクル 常に、改造・改築(部品情報の保持)

非常電源系 必須

室内環境の調整

建物内にいる人だけでなく、外出している人も含む

センサーが状況を把握し、居住者の事情を考慮して、自動的に操作

設備機器の管理

従来の建築

基礎、躯体、内装、設備、 (家具什器)

空間、室内環境

建物内にいる人

新築、使用、解体

ケースバイケース

人間が判断して操作

建物ごとに管理 遠隔・集中管理

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研究報告集会「ユビキタスは建築をどう変えるか」 2007.9.28日本建築学会 ユビキタス建築都市特別研究委員会

 刊行企画小委員会

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第四章ユビキタス建築の

光と影

■情報化社会の光と影 情報化社会 コンピュータ犯罪 プライバシー侵害 著作権侵害 情報モラル テクノストレス デジタルデバイド、人間関係の希薄化 

■ユビキタス社会の影 一極集中 エネルギー消費 地球環境・資源問題とエネルギー消費制約 持続的可能な社会を実現するユビキタス 

■ユビキタス建築に関連する問題 電磁波による障害 ホメオスタシス(恒常性維持機能)と進化 

■第三の社会と文化 ニュー・ノマド 第三の社会と文化の個性

■ニュー・ノマド・ノマドは、「遊牧民」(フランス語)・現代のニュー・ノマドは、放浪志向の人、一つの住所や職業に囚われず、新たな方向性を試すことに自分の存在意義を感じ、物財より、情報や知識、体験など無形物に価値を感じる人々を指す

■第三の社会と文化の個性 関西学院大学奥野卓司教授・情報ネットワークを通じて、家庭でも会社でもない「第三の社会」が拡大・情報メディアの進歩や放送の多チャンネル化によって、各人ごとに独自の情報ワールドを築き、その世界で知人を見つけることが容易・そういう交流関係が、街中に出現・それは、東アジアの特徴、米国とは事情が異なる・その差異は文化の個性であり、地球上のさまざまな文化や文明のもとで、それぞれの発展を遂げ、さらに、お互いに融合しあう

付章ユビキタス・コンピューティング

の誕生

富士ゼロックス 専務 庄野次郎氏 2007.1.24 富士ゼロックス本社

■パイオニアリングデベロップメント・目的的研究・社会学者、心理学者も参加・ユーザーも参加

■コンピュータが人に合わせる・多機能機器より単機能機器・ボード、パッド、タブ

■PARC・ゼロックス・パロアルト研究所・どんなコンピュータが求められるかを研究          ↓ パーソナルコンピュータの原型を考案

Marc Weiser(1952~1999)

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付録キーワード事典

■一般ユビキタス・コンピューティング コンテクスト・アウェアネス

■基礎(要素)技術 無線LAN ICタグ(RFIDタグ) ウェアラブルコンピュータ GPSセンサーネットワーク ソフト・コンピューティング 電磁環境制御技術ホームネットワーク パーソナルエリアの無線通信技術 施設管理における通信プロトコル 生体認証技術 デジタルAVネットワーク 

■アプリケーション アクセスコントロール ナビゲーションシステム バーチャル・リアリティ 

■建築 構造ヘルスモニタリング フリーアクセスフロア モバイルオフィススマートハウス トロン電脳住宅