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121 121 日産自動車株式会社 通称名 車両型式 ミッション型式 適用時期 出 典 資 料 TIIDA DBA-C11 RE0F08A 2004.9 ~ 新型車解説書  F126026 整備要領書   A026002 電気配線図   A126001 〈参考〉 サービスマニュアル CD(追補版 2) SM5J1C11J1 DBA-C11 RE0F08B 2006.12 ~ 2008.1 ~ 新型車解説書(追補版 4)  F126091 新型車解説書(追補版 5)  F126117 〈参考〉 サービスマニュアル CD(追補版 4) SC6J1C11JD 〈参考〉 サービスマニュアル CD(追補版 5) SC8J1C11J0 Ⅰ オートマティック・トランスミッションの構造・機能 1 概 要 1) RE0F08A 型 ・オートマティック・トランスミッション(エクストロニック CVT)は「トルク・コンバータ」と「スチール・ベ ルト&プーリによる無段変速機」を組み合わせ,「高性能な走り」と「低燃費」を実現させた。走行状態に応じ てローからオーバ・ドライブまで無段階に快適な変速比を自動選択し,アクセル操作に応じた変速ショック のない,滑らかでドライバの意図に合った走りが実現できる。 ・スポーツ・モード機能を加え,最高速までエンジンの高出力域を使用して走行できるスポーツ・ドライブ・ レンジを採用した。 2) RE0F08B 型 従来のRE0F08A型電子制御オートマティック・トランスミッション(エクストロニックCVT)を改良した RE0F08B型電子制御オートマティック・トランスミッション(エクストロニックCVT)を採用した。 従来の RE0F08A 型電子制御オートマティック・トランスアクスルからの主な変更点は下記の通り。 ・D レンジ N アイドル制御の採用に伴い,路面勾配を検知する G センサを追加した。 ・インヒビタ・スイッチ取り付け位置をコントロール・バルブ内部よりトランスアクスル・ケース上部に変更 した。 ・プライマリ・プーリ回転センサ取り付け位置をトランスアクスル・ケース内部よりサイド・カバーに変更し た。 ・プライマリ圧センサを廃止した。 ・以下の自己診断機能を変更した。 - G センサ異常[P1585]を追加 -スタータ・リレー[P0615]を廃止 -プライマリ油圧センサ[P0845]を廃止

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日 産 自 動 車 株 式 会 社

通称名 車 両 型 式 ミッション型式 適 用 時 期 出 典 資 料

TIIDA

DBA-C11 RE0F08A 2004.9~

新型車解説書  F126026整備要領書   A026002電気配線図   A126001〈参考〉 サービスマニュアルCD(追補版2)        SM5J1C11J1

DBA-C11 RE0F08B 2006.12~2008.1~

新型車解説書(追補版4)  F126091新型車解説書(追補版5)  F126117〈参考〉 サービスマニュアルCD(追補版4)             SC6J1C11JD〈参考〉 サービスマニュアルCD(追補版5)             SC8J1C11J0

Ⅰ オートマティック・トランスミッションの構造・機能

1 概 要

1) RE0F08A型

・オートマティック・トランスミッション(エクストロニックCVT)は「トルク・コンバータ」と「スチール・ベルト&プーリによる無段変速機」を組み合わせ,「高性能な走り」と「低燃費」を実現させた。走行状態に応じてローからオーバ・ドライブまで無段階に快適な変速比を自動選択し,アクセル操作に応じた変速ショックのない,滑らかでドライバの意図に合った走りが実現できる。・スポーツ・モード機能を加え,最高速までエンジンの高出力域を使用して走行できるスポーツ・ドライブ・レンジを採用した。2) RE0F08B型

従来のRE0F08A型電子制御オートマティック・トランスミッション(エクストロニックCVT)を改良したRE0F08B型電子制御オートマティック・トランスミッション(エクストロニックCVT)を採用した。従来のRE0F08A型電子制御オートマティック・トランスアクスルからの主な変更点は下記の通り。・DレンジNアイドル制御の採用に伴い,路面勾配を検知するGセンサを追加した。・インヒビタ・スイッチ取り付け位置をコントロール・バルブ内部よりトランスアクスル・ケース上部に変更した。・プライマリ・プーリ回転センサ取り付け位置をトランスアクスル・ケース内部よりサイド・カバーに変更した。・プライマリ圧センサを廃止した。・以下の自己診断機能を変更した。-Gセンサ異常[P1585]を追加-スタータ・リレー[P0615]を廃止-プライマリ油圧センサ[P0845]を廃止

-  -122-  -122

ニッサン

2 構造・機能

1) 構成部品の配置(図Ⅰ-1,2,3,4)

〈RE0F08A型〉

図Ⅰ-1 RE0F08A型断面図

〈RE0F08B型〉

図Ⅰ-2 RE0F08B型断面図

-  -123-  -123

ニッサン

〈RE0F08A型〉

図Ⅰ-3 RE0F08A型システム構成

-  -124-  -124

ニッサン

〈RE0F08B型〉

図Ⅰ-4 RE0F08B型システム構成

-  -125-  -125

ニッサン

2) 構成部品の構造・機能

⑴ 主な構成部品の機能概要

構成部品 機  能マニュアル・バルブ 各セレクト・ポジションに応じて,クラッチ作動圧を各回路に配送する。トルク・コンバータ・レギュレータ・バルブ トルク・コンバータへの供給圧を走行状態に応じた最適な圧力に調圧する。クラッチ・レギュレータ・バルブ 運転条件に応じ,クラッチ作動圧を調圧する。

プレッシャ・レギュレータ・バルブ オイル・ポンプからの吐出圧を走行状態に応じた最適な圧力(ライン圧)に調圧する。

シフト・コントロール・バルブ ステップ・モータとプライマリ・プーリのストローク差に応じて,プライマリ・プーリへのライン圧の流出入を制御する。

セレクト・スイッチ・バルブ ロックアップ・ソレノイドで作られた制御圧を,ロックアップ・コントロール・バルブ又はセレクト・コントロール・バルブへと切り替える制御を行う。

ライン圧ソレノイド・バルブ プレッシャ・レギュレータ・バルブを制御する。

ロックアップ・ソレノイド・バルブ ロックアップ・コントロール・バルブ及びセレクト・コントロール・バルブを制御する。

ロックアップ/セレクト切り替えソレノイド・バルブ セレクト・スイッチ・バルブを制御する。

ステップ・モータ プーリ比を制御するセカンダリ・バルブ ライン圧を減圧し,セカンダリ圧を調圧する。

セレクト・コントロール・バルブ セレクト時に締結する。フォワード・クラッチ圧及びリバース・ブレーキ圧を調圧する。

ロックアップ・コントロール・バルブ トルク・コンバータの締結圧,非締結圧を調圧する。セカンダリ圧ソレノイド・バルブ 運転条件に応じ,セカンダリ・プーリへのライン圧の流出入を制御する。

⑵ ベルト&プーリ(図Ⅰ-5)

溝幅が軸方向に自由に変化できる一対のプーリと,スチールのコマを間断なく連ね両側に多層のスチール・リングでガイドされたスチール・ベルトにより構成されている。スチール・ベルトとプーリの巻き付き半径により,ローの状態からオーバ・ドライブの状態まで連続的無段階に変化し,この溝幅はプライマリ・プーリ及びセカンダリ・プーリの油圧によりコントロールされている。

図Ⅰ-5 ベルト&プーリ

-  -126-  -126

ニッサン

⑶ スチール・ベルト(図Ⅰ-6)

RE0F08A型

約400個のスチールのコマとスチール・リング2本で構成されている。このスチール・ベルトの特徴は,ゴム・ベルトなどが引っ張り作用で動力を伝達するのに対して,スチールのコマの圧縮作用によって動力伝達が行われる。スチールのコマが動力伝達を行うには,プーリの斜面との間に摩擦力が必要となり,次のようなメカニズムで発生する。セカンダリ・プーリに油圧が作用しコマを挟む。→コマが外側へ押し広げられる。→スチール・リングがふんばる。→スチール・リングに張力が発生する。→プライマリ・プーリ側のコマがプーリ間に挟まれる。→スチール・ベルトとプーリ間に摩擦力が発生する。すなわち,圧縮により動力伝達を行うスチールのコマと,それに必要な摩擦力を維持するスチール・リングが役割を分担している。このため,スチール・リングの張力は,全体で分散して受けもたれ,かつ応力変動も少なく,耐久性に優れている。

図Ⅰ-6 スチール・ベルト

-  -127-  -127

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⑷ プーリ(図Ⅰ-7)

プライマリ,セカンダリ・プーリとも11°の傾斜面をもつ固定プーリと可動プーリにより構成され,可動プーリ側の背面に油圧室(プライマリ又はセカンダリ・チャンバ)をもっている。可動プーリは,ボール・スプラインにより軸上をしゅう動でき,プーリの溝幅を変える働きをしている。エンジン負荷(アクセル開度),プライマリ・プーリ回転速度とセカンダリ・プーリ回転速度(車速)を入力信号として,プライマリ,セカンダリ・プーリの作動圧を変化させ,プーリの溝幅を制御している。

図Ⅰ-7 プーリ

⑸ CVT・C/U(図Ⅰ-8)

グローブ・ボックス奥に取り付け,各センサからの信号により車両走行状態を判断して,最適に無段変速機構を制御する。イ RE0F08A型

・主な制御項目は以下の9種類である。①変速制御②ライン圧制御③セレクト制御 図Ⅰ-8 CVT・C/U

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ニッサン

④ロックアップ制御⑤エンジン,CVT総合制御〔CAN通信制御〕⑥CVT,コンビネーション・メータ間の制御〔CAN通信制御〕⑦自己診断機能⑧フェイルセーフ機能⑨CONSULT-Ⅱとの通信機能ロ RE0F08B型

・主な制御項目は以下の10種類である。①変速制御②ライン圧制御③セレクト制御④ロックアップ制御⑤DレンジNアイドル制御⑥エンジン,CVT総合制御〔CAN通信制御〕⑦CVT,コンビネーション・メータ間の制御〔CAN通信制御〕⑧自己診断機能⑨フェイルセーフ機能⑩CONSULT-Ⅲとの通信機能⑹ アクセル・ペダル・ポジション・センサ(図Ⅰ-9)

アクセル・ペダル・ポジション・センサはアクセル・ワーク・ユニットに内蔵され,アクセル・ペダル上部に取り付けられている。アクセル・ペダル・ポジション・センサのアクセル開度を連続的な電気信号に置き換えてCVT・C/Uに出力する。この出力によりアクセル開度及び踏み込み速度を検知する。

図Ⅰ-9 アクセル・ペダル・ポジション・センサ

-  -129-  -129

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⑺ プライマリ・プーリ回転センサ及びセカンダリ・プーリ回転センサ

イ プライマリ・プーリ回転センサ(RE0F08A型)(図Ⅰ

-10)

コントロール・バルブに内蔵し,プライマリ・プーリ(入力軸)の回転速度をパルス信号としてCVT・C/Uへ出力する。ロ セカンダリ・プーリ回転センサ(RE0F08A型)(図Ⅰ

-10)

・トランスアクスル・ケースのアウトプット・シャフト・ギヤ部付近に取り付け,セカンダリ・プーリ(出力軸)の回転速度をパルス信号としてCVT・C/Uへ出力する。・パルス信号はCVT・C/Uによって車速に変換される。

図Ⅰ-10 プライマリ・プーリ回転センサ及びセカンダリ・プーリ回転センサ

ハ プライマリ・プーリ回転センサ(RE0F08B型)(図Ⅰ-11)

・プライマリ・プーリ回転センサはサイド・カバーのプライマリ・プーリ部付近に取り付けた。・プライマリ・プーリ回転センサはプライマリ・プーリ(入力軸)の回転速度をパルス信号としてCVT・C/Uへ出力する。

図Ⅰ-11 プライマリ・プーリ回転センサ

⑻ ストップ・ランプ・スイッチ(図Ⅰ-12)

コンビネーション・メータが入力したストップ・ランプ・スイッチからの信号をCAN通信によってCVT・C/Uへ出力し,ドライバの減速意志を伝える。

図Ⅰ-12 ストップ・ランプ・スイッチ

-  -130-  -130

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⑼ スポーツ・モード・スイッチ及びSPORT表示灯(図Ⅰ-13)

スポーツ・モード・スイッチはセレクト・レバーに取り付けた。Dレンジ走行時にスポーツ・モード・スイッチを押すとSPORT表示灯が点灯し,スポーツ・モード走行を可能とする。スポーツ・モード走行時にスポーツ・モード・スイッチを押すとSPORT表示灯が消灯し,通常のDレンジ走行をする。

図Ⅰ-13 スポーツ・モード・スイッチ及びSPORT表示灯

⑽ インヒビタ・スイッチ(RE0F08B型)(図Ⅰ-14)

・インヒビタ・スイッチはトランスアクスル・ケース上部に取り付けた。・インヒビタ・スイッチはトランスアクスルのレンジをCVT・C/Uへ出力する。

図Ⅰ-14 インヒビタ・スイッチ

⑾ Gセンサ(RE0F08B型)(図Ⅰ-15)

・Gセンサは助手席シート下のフロアに取り付けた。・Gセンサは車両に作用する前後Gを検出し,アナログ電圧でECMに出力する。ECMはそのアナログ電圧値をデジタル信号に変換しCVT・C/UにCAN通信で送信する。CVT・C/UはCAN通信の情報により車両の前後G及び傾斜を検出する。

図Ⅰ-15 Gセンサ

-  -131-  -131

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⑿ CVTオイル・ウォーマ(RE0F08B型)(図Ⅰ-16)

・CVTオイル・ウォーマは,低気温でのエンジン始動時,温まった冷却水により,フルードを即座に温める効果がある。・CVTオイル・ウォーマは,水冷のクーラによりフルードを冷やす。

図Ⅰ-16 CVTオイル・ウォーマ

3) 各制御

⑴ 油圧制御(図Ⅰ-17)

油圧制御機構は,エンジンにより直接駆動されるオイル・ポンプ,ライン圧及び変速を制御する油圧コントロール・バルブ,入力信号系により構成されている。

図Ⅰ-17 油圧制御

-  -132-  -132

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⑵ DレンジNアイドル制御(RE0F08B型)(図Ⅰ-18)

Dレンジで停車し,運転手に発進意図がないとき,CVT・C/Uはロックアップ・ソレノイド・バルブを作動させ,セレクト・コントロール・バルブで油圧を低圧に制御する。また,CVT・C/Uはロックアップ/セレクト切り替えソレノイド・バルブを作動させ,セレクト・スイッチ・バルブを切り替える。これにより,セレクト・コントロール・バルブからの油圧をフォワード・クラッチに送るが,セレクト・コントロール・バルブからの油圧にはフォワード・クラッチを締結させるまでの圧力がないため,フォワード・クラッチは非締結状態になる。したがって,エンジンの駆動力がトランスアクスルに伝わらず,アイドル回転を低く保つことができる。・CVT・C/Uはアクセル開度,エンジン回転速度,Gセンサ信号,ストップ・ランプ・スイッチ信号,インヒビタ・スイッチ信号,CVT油温,プライマリ・プーリ(入力)回転速度及びセカンダリ・プーリ(出力)回転速度より運転状態を判断し,DレンジNアイドル制御を行い,ECMにNアイドル制御中信号をCAN通信で送信する。・坂道で車両を停車した場合,車両が後退する恐れがあるため,助手席シート下のフロアに設置したGセンサにより車両の傾斜を判断し,ある一定の傾斜を読み取るとDレンジNアイドル制御を行わない。

図Ⅰ-18 DレンジNアイドル制御

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3 点検・整備

1) ダイアグ・コードの点検

⑴ 表示方法

CONSULT-Ⅱを接続し,「開始(日産車)」,「AT/CVT」,「自己診断結果」の順に画面をタッチし,ダイアグ・コードの表示を行う。⑵ 消去方法

①修理作業後,キー・スイッチがONになっていたら一度OFFにし,5秒以上たった後,ONに戻す。(エンジンは始動させないこと)②CONSULT-ⅡをONにし「AT/CVT」をタッチする。③「自己診断結果」をタッチする。④「記憶消去」をタッチする。⑤「エンジン」をタッチする。⑥「自己診断結果」をタッチする。⑦「記憶消去」をタッチする。⑶ ダイアグノーシス・コード一覧

不具合系統名表示 異常検出条件 異常の場合の点検項目

CAN通信系※1

[U1000]CVTコントロール・ユニットがCAN通信信号を2秒以上続いて送受信できなかったとき。

CAN通信線及び各コントロール・ユニット

コントロール・ユニット(CAN)[U1010]

CVTコントロール・ユニット内のCANコントローラの初期診断に異常が検出したとき。 CVTコントロール・ユニット

スタータ・リレー[P0615] P又はNレンジでOFFになってる場合。 スタータ・リレー経路

ブレーキ・スイッチ[P0703]

ストップ・ランプ・スイッチON/OFFが切り替わらない場合。

ストップ・ランプ・スイッチ経路,コンビネーション・メータ,CAN通信線

インヒビタ・スイッチ[P0705] 異常なレンジ信号が入力された場合。 インヒビタ・スイッチ経路

油温センサ[P0710]

走行中,油温センサの信号電圧が異常に高い,又は低い場合。 油温センサ経路

プライマリ回転センサ※2

[P0715]

・断線などにより,プライマリ・プーリ回転センサの信号が入力されない場合。 

・走行中に異常信号が入力された場合。プライマリ・プーリ回転センサ経路

車速センサ※3

[P0720]

・断線などにより,セカンダリ・プーリ回転センサの信号が入力されない場含。 

・走行中に異常信号が入力された場合。 ・ステップ・モータ位置通りに変速しない場合。

セカンダリ・プーリ回転センサ経路

エンジン回転速度入力[P0725]

・走行中,エンジン回転速度が異常に低い場合。 ・ECMとのCAN通信に異常が検出された場合。

CAN通信線,エンジン回転信号経路及びECM

ベルト異常[P0730] 異常な変速比を検出した場合。

プライマリ圧センサ経路,セカンダリ圧ソレノイド経路,ステップ・モータ,セカンダリ圧センサ経路,ライン圧ソレノイド経路,セカンダリ・プーリ回転センサ経路,プライマリ・プーリ回転センサ経路

ロックアップ・ソレノイド[P0740]

断線,短絡などにより,ロックアップ・ソレノイドに正規の電圧が掛からない場合。 ロックアップ・ソレノイド経路

-  -134-  -134

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不具合系統名表示 異常検出条件 異常の場合の点検項目

ロックアップ機能・A/T[P0744]

走行中,ロックアップ指令を出している状態で,スリップ回転が大きい場合。

ライン圧ソレノイド経路,ロックアップ・ソレノイド経路,ロックアップ/セレクト切り替えソレノイド経路,セカンダリ・プーリ回転センサ,プライマリ・プーリ回転センサ,ECM,ロックアップ制御システム

ライン圧ソレノイド[P0745]

断線,短絡などにより,ライン圧ソレノイドに正規の電圧が掛からない場合。 ライン圧ソレノイド経路

ライン圧ソレノイド機能[P0746]

ライン圧が異常に低いことにより,異常なLOW側の変速比を示した場合。

ライン圧ソレノイド経路,セカンダリ・プーリ回転センサ経路,プライマリ・プーリ回転センサ

セカンダリ圧ソレノイド機能[P0776]

走行中,セカンダリ圧が指令値に対して異常に高い,又は低い場合。

ライン圧ソレノイド経路,セカンダリ圧ソレノイド経路,セカンダリ圧センサ経路

セカンダリ圧ソレノイド[P0778]

断線,短絡等により,セカンダリ圧ソレノイドに正規の電圧が掛からない場台。 セカンダリ圧ソレノイド経路

セカンダリ油圧センサ[P0840]

走行中,セカンダリ圧センサの信号電圧が異常に高い,又は低い場合。 セカンダリ圧センサ経路

油圧センサ機能[P0841]

セカンダリ圧センサとプライマリ圧センサの値の相関が規格外となった場合。

セカンダリ圧センサ経路,プライマリ圧センサ経路

プライマリ油圧センサ[P0845]

走行中,プライマリ圧センサの信号電圧が異常に高い,又は低い場合。 プライマリ圧センサ経路

セカンダリ圧低下[P0868]

走行中,セカンダリ圧が指令値に対して異常に低い場合。

ライン圧ソレノイド経路,セカンダリ圧ソレノイド経路,セカンダリ圧センサ経路

A/Tコントロール・ユニット・電源供給※4

[P1701]

キー・スイッチをONからOFFにしたとき,CVTコントロール・ユニットへの電源(バックアップ)が供給されなくなり,学習機能が停止した場合。

メモリ・バックアップ用電源経路

スロットル・センサ信号[P1705]

・ECMとのCAN通信に異常が検出された場合。・ECMから異常な信号が送られてきた場合。 CAN通信線及びECM

車体速信号[P1722]

ABSアクチュエータ・コントロール・ユニットからの車速信号と車速センサ信号の値に大きな差があった場合。

CAN通信線及びABSアクチュエータ・コントロール・ユニット

CVT回転センサ機能[P1723]

ステップ・モータ位置通りに変速しないことにより,回転センサ異常を検出した場合。注意  同時に,プライマリ回転センサ[P0715],車

速センサ[P0720],エンジン回転速度入力[P0725]のいずれかが表示される。

セカンダリ・プーリ回転センサ経路,プライマリ・プーリ回転センサ経路,エンジン回転信号系統

電制スロットル・コントロール[P1726]

ECMがスロットル・ポジション・センサ系統異常になった場合。 ECM

LU-セレクト切り替えソレノイド[P1740]

断線,短絡などにより,ロックアップ/セレクト切り替えソレノイドに正規の電圧が掛からない場合。

ロックアップ/セレクト切り替えソレノイド経路

ライン圧コントロール[P1745]

CVTコントロール・ユニットが異常なライン圧を検出した場合。 CVTコントロール・ユニット

ステッピング・モータ[P1777]

断線,短絡などにより,ステップ・モータの各コイルに正規の電圧が掛からない場合。 ステップ・モータ経路

ステッピング・モータ機能[P1778]

ステップ・モータのステップ数と実変速比が大きく違う場合。

ステップ・モータ経路,セカンダリ・プーリ回転センサ経路,プライマリ・プーリ回転センサ

※1:CAN通信系[U1000]を含む複数の不具合が発生した場合は,まず,CAN通信系統「DTC U1000 CAN通信系」の故障診断を行う。

※2:プライマリ・プーリ回転センサを示す。

-  -135-  -135

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※3:セカンダリ・プーリ回転センサを示す。※4:CVTコントロール・ユニットを交換した直後又は,トランスアクスルAss’y交換後4)オートマティック・トランスミッ

ションにおける初期化設定を必要とする付帯作業のロパターンBで記憶消去を実施後),自己診断結果に“A/T C/U・電源供給[P1701]”を表示する場合がある。この場合CONSULT-Ⅱを使用して自己診断結果を消去後,再度自己診断を実施し異常がないことを確認すること。

2) 外部診断器及び車載故陣診断装置の活用による点検・整備

オートマティック・トランスミッション系統に不具合が発生し,外部診断器によりダイアグ・コードが出力された場合には,ダイアグ・コード一覧表の項目に従って点検・整備を行う必要がある。ここでは,以下に示すロックアップ・ソレノイド・バルブ系統異常,セカンダリ圧ソレノイド系統異常,油温センサ系統異常を例として点検・整備方法を説明する。ⅰ) ロックアップ・ソレノイド・バルブ系統異常①症状:フェイルセーフ制御になる。セレクト・ショックが大きくなるなど。(ダイアグ・コードP0740)②故障内容:信号線断線③点検方法:外部診断器を使用する場合ⅱ) セカンダリ圧ソレノイド系統異常①症状:フェイルセーフ制御になる。高車速域で一定走行をするとエンジン回転速度が高くなる。オーバ・ドライブにならない。(ダイアグ・コードP0778)②故障内容:信号線断線③点検方法:外部診断器を使用する場合ⅲ) 油温センサ系統異常①症状:フェイルセーフ制御になる。エンジン回転3000~4000rpmでフューエル・カットする。(ダイアグ・コードP0710)②故障内容:信号線断線③点検方法:外部診断器を使用する場合参考  CONSULT-Ⅲは,CONSULT-Ⅱの次世代型診断器であり,本内容は,発売年度の違うCVTを共に掲載し

ているため,CONSULT-Ⅱ及びCONSULT-Ⅲが混在している。故障診断する場合は,CONSULT-Ⅲを

使用するのが望ましい。

-  -136-  -136

ニッサン

⑴ ロックアップ・ソレノイド・バルブ系統異常(RE0F08B型)(図Ⅰ-19,20,21)

図Ⅰ-19 ロックアップ・ソレノイド・バルブ系統回路図

図Ⅰ-20 エンジン・ルーム・コネクタ配置図

-  -137-  -137

ニッサン

図Ⅰ-21 室内・グローブ・ボックス奥コネクタ配置図

イ 症 状

・フェイルセーフ制御になる。・CVT・C/Uがロックアップ・ソレノイドをOFF状態にし,ロックアップを解除する。・P又はNレンジからR又はDレンジにセレクトするとショックが大きい。〈外部診断器(CONSULT-Ⅲ)による自己診断〉

DTC 不具合系統名表示 異常検出条件 推定原因

P0740 ロックアップ・ソレノイド・バルブ

断線,短絡などにより,ロックアップ・ソレノイドに正規の電圧が掛からない場合。 ロックアップ・ソレノイド経路

ロ 原因説明

ロックアップ・ソレノイド経路が断線すると,セレクト制御が正常に機能しないためセレクト・ショックが大きくなる。ハ 点検方法

⒜ CVT・C/U入出力信号点検

〈CONSULT-Ⅲを使用する場合〉①車両をリフト・アップする。②エンジンを始動し,車輪を駆動させる。③“モニタ項目選択”で,“主要項目”を選択する。④ロックアップ・ソレノイド・バルブの電流値を点検する。〈CONSULT-Ⅲを使用しない場合〉①車両をリフト・アップする。②エンジンを始動し,車輪を駆動する。③CVT・C/Uハーネス・コネクタ3番端子~ボデー・アース間の電圧を点検する。〈電圧〉 3~ボデー・アース  ロックアップ締結時   :約6.0V  ロックアップ解除時   :約1.0V点検結果OK >>⒠へNG >>⒝へ

-  -138-  -138

ニッサン

参考  CONSULT-Ⅲデータ・モニタ参考値

注意  数値データは参考値である。

モニタ項目 表示内容 操作又は測定条件 表示値(参考値)LUソレノイドシジ C/Uの制御信号出力 ロックアップ解除~ロックアップ締結 約0~0.7ALUソレノイドモニタ C/Uの制御信号出力モニタ ロックアップ解除~ロックアップ締結 約0~0.7A

⒝ CVT・C/U~CVTユニット・コネクタ(ロックアップ・ソレノイド・バルブ)~ボデー・アース間経路点検

①キー・スイッチをOFFにする。②CVT・C/Uコネクタを外す。③CVT・C/Uハーネス・コネクタ3番端子~ボデー・アース間の抵抗を点検する。〈抵抗〉 3~ボデー・アース   :約3.0~9.0Ω点検結果OK >>⒠へNG >>⒞へ

⒞ CVT・C/U~CVTユニット・コネクタ(ロックアップ・ソレノイド・バルブ)間経路点検

①キー・スイッチをOFFにする。②CVT・C/Uコネクタ及びCVTユニット・コネクタを外す。③CVT・C/Uハーネス・コネクタ3番端子~CVTユニット・ハーネス・コネクタ12番端子間の導通を点検する。〈導通〉 3~12   :導通あり④ハーネスがアース又は電源とショートしていないか点検する。点検結果OK >>⒟へNG >>該当ハーネス及びコネクタを修理又は交換する。

⒟ ロックアップ・ソレノイド・バルブ及びCVTユニット・コネクタ点検

①キー・スイッチをOFFにする。②エンジン・ルーム内のCVTユニット・コネクタを外す。③CVTユニット・コネクタ12番端子~ボデー・アース間の抵抗を点検する。〈抵抗〉 12~ボデー・アース   :約3.0~9.0Ω点検結果OK >>⒠へNG >>ロックアップ・ソレノイド・バルブ不良のため,トランスアクスルAss'yを交換する。

⒠ 修理後の確認

①自己診断結果を消去し,キー・スイッチをOFFにする。②しばらく走行後,再度自己診断を実施し不具合がないことを確認する。点検結果OK >>点検終了NG >>CVT・C/Uを交換する。

-  -139-  -139

ニッサン

参考  ロックアップ・ソレノイド・バルブの点検

CVTユニット・コネクタ12番端子~ボデー・アース間の抵抗を点検する。〈抵抗〉 12~ボデー・アース   :約3.0~9.0Ω⑵ セカンダリ圧ソレノイド系統異常(RE0F08B型)(図Ⅰ-22,23,24)

図Ⅰ-22 セカンダリ圧ソレノイド・バルブ系統回路

-  -140-  -140

ニッサン

図Ⅰ-23 エンジン・ルーム・コネクタ配置図

図Ⅰ-24 室内・グローブ・ボックス奥コネクタ配置図

イ 症 状

・フェイルセーフ制御になる。・CVT・C/Uがセカンダリ圧ソレノイドをOFF状態にし,セカンダリ圧を最大油圧とする。〈外部診断器(CONSULT-Ⅲ)による自己診断〉

DTC 不具合系統名表示 異常検出条件 推定原因

P0778 セカンダリ圧ソレノイド 断線,短絡などにより,セカンダリ圧ソレノイドに正規の電圧が掛からない場合。 セカンダリ圧ソレノイド経路

ロ 原因説明

セカンダリ圧ソレノイド経路が断線すると,セカンダリ・プーリに掛かる油圧を制御できないため,変速比がHi側にならない。ハ 点検方法

⒜ CVT・C/U入出力信号点検

〈CONSULT-Ⅲを使用する場合〉①エンジンを始動する。②“モニタ項目選択”で,“主要項目”を選択する。

-  -141-  -141

ニッサン

③セカンダリ圧ソレノイド・バルブの出力電流及びモニタ電流を点検する。〈CONSULT-Ⅲを使用しない場合〉①エンジン暖機後キー・スイッチをONにする。(エンジンは始動させないこと)②CVT・C/Uハーネス・コネクタ2番端子~ボデー・アース間の電圧を点検する。〈電圧〉 2~ボデー・アース  エンジン暖機後,アクセル・ペダルから足を放す      :約5.0~7.0V  エンジン暖機後,アクセル・ペダルをいっぱいに踏み込む  :約3.0~4.0V点検結果OK >>⒠へNG >>⒝へ参考  CONSULT-Ⅲデータ・モニタ参考値

注意  数値データは参考値である。

モニタ項目 表示内容 操作又は測定条件 表示値(参考値)SECソレノイドシジ C/Uの制御信号出力 セカンダリ圧低い~セカンダリ圧高い 約0.8~0A

SECソレノイドモニタ C/Uの制御信号出力モニタNレンジ・アイドル時 約0.6~0.7Aストール時 約0.4~0.6A

⒝ CVT・C/U~CVTユニット・コネクタ(セカンダリ圧ソレノイド・バルブ)~ボデー・アース間経路点検

①キー・スイッチをOFFにする。②CVT・C/Uコネクタを外す。③CVT・C/Uハーネス・コネクタ2番端子~ボデー・アース間の抵抗を点検する。〈抵抗〉 2~ボデー・アース   :約3.0~9.0Ω点検結果OK >>⒠へNG >>⒞へ

⒞ CVT・C/U~CVTユニット・コネクタ(セカンダリ圧ソレノイド・バルブ)間経路点検

①キー・スイッチをOFFにする。②CVT・C/Uコネクタ及びCVTユニット・コネクタを外す。③CVT・C/Uハーネス・コネクタ2番端子~CVTユニット・ハーネス・コネクタ3番端子間の導通を点検する。〈導通〉 2~3   :導通あり④ハーネスがアース又は電源とショートしていないか点検する。点検結果OK >>⒟へNG >>該当ハーネス及びコネクタを修理又は交換する。

⒟ セカンダリ圧ソレノイド・バルブ及びCVTユニット・コネクタ点検

①キー・スイッチをOFFにする。②エンジン・ルーム内のCVTユニット・コネクタを外す。

-  -142-  -142

ニッサン

③CVTユニット・コネクタ3番端子~ボデー・アース間の抵抗を点検する。〈抵抗〉 3~ボデー・アース   :約3.0~9.0Ω点検結果OK >>⒠へNG >>セカンダリ圧ソレノイド・バルブ不良のため,トランスアクスルAss'yを交換する。

⒠ 修理後の確認

①自己診断結果を消去し,キー・スイッチをOFFにする。②しばらく走行後,再度自己診断を実施し不具合がないことを確認する。点検結果OK >>点検終了NG >>CVT・C/Uを交換する。参考  セカンダリ圧ソレノイド・バルブの点検

CVTユニット・コネクタ3番端子~ボデー・アース間の抵抗を点検する。〈抵抗〉 3~ボデー・アース   :約3.0~9.0Ω⑶ 油温センサ系統異常(RE0F08B型)(図Ⅰ-25,26,27)

図Ⅰ-25 油温センサ系統回路図

-  -143-  -143

ニッサン

図Ⅰ-26 エンジン・ルーム・コネクタ配置図

図Ⅰ-27 室内・グローブ・ボックス奥コネクタ配置図

イ 症 状

・フェイルセーフ制御になる。・エンジン回転3000~4000rpmでフューエル・カットする。〈外部診断器(CONSULT-Ⅲ)による自己診断〉

DTC 不具合系統名表示 異常検出条件 推定原因

P0710 油温センサ 走行中,油温センサの信号電圧が異常に高い,又は低い場合。 油温センサ経路

ロ 原因説明

油温センサは,温度が低いときに抵抗が大きくなる特性があるため,油温センサ信号線が断線すると,低油温時制御となる。ハ 点検方法

⒜ CVT・C/U入出力信号点検

〈CONSULT-Ⅲを使用する場合〉①エンジンを始動する。②“モニタ項目選択”で,“項目メニュー選択”の“ユオンカウント”及び“ユオンセンサ”を選択する。

-  -144-  -144

ニッサン

③画面内の“ユオンカウント”表示と“ユオンセンサ”の電圧値が一致しているか確認する。〈CONSULT-Ⅲを使用しない場合〉①エンジンを始動する。②暖機をしながら,CVT・C/Uハーネス・コネクタ47番端子~ボデー・アース間の電圧を点検する。〈電圧〉 47~ボデー・アース  CVTフルード約20℃   :約2.0V  CVTフルード約80℃   :約1.0V点検結果OK >>⒠へNG >>⒝へ参考  CONSULT-Ⅲデータ・モニタ参考値

注意  数値データは参考値である。

モニタ項目 表示内容 操作又は測定条件 表示値(参考値)

ユオンセンサ 油温センサの出力電圧CVTフルード約20℃ 約2.0VCVTフルード約80℃ 約1.0V

ユオンカウントCVTフルード温度のこと。ただし,数値を変換しないと実油温(℃)を確認することはできない。

CVTフルード約20℃ 47

CVTフルード約80℃ 161

参考  ユオン・カウント変換表

CVTフルード温度はユオン・カウントを下記表で変換することにより読み取ることができる。

ユオン・カウント 油温(℃) ユオン・カウント 油温(℃)4 -30 177 908 -20 183 9513 -10 190 10017 -5 196 10521 0 201 11027 5 206 11532 10 210 12039 15 214 12547 20 218 13055 25 221 13564 30 224 14073 35 227 14583 40 229 15093 45 231 155104 50 233 160114 55 235 165124 60 236 170134 65 238 175143 70 239 180152 75 241 190161 80 243 200169 85 - -

-  -145-  -145

ニッサン

⒝ CVT・C/U~CVTユニット・コネクタ(油温センサ)間経路点検

①キー・スイッチをOFFにする。②CVT・C/Uコネクタを外す。③CVT・C/Uハーネス・コネクタ42番端子~47番端子間の抵抗を点検する。〈抵抗〉 42~47  CVTフルード約20℃   :約6.5kΩ  CVTフルード約80℃   :約0.9kΩ点検結果OK >>⒠へNG >>⒞へ

⒞ 油温センサ及びCVTユニット・コネクタ点検

①キー・スイッチをOFFにする。②エンジン・ルーム内のCVTユニット・コネクタを外す。③CVTユニット・トランスアクスル側コネクタ17番端子~19番端子間の抵抗を点検する。〈抵抗〉 17~19  CVTフルード約20℃   :約6.5kΩ  CVTフルード約80℃   :約0.9kΩ点検結果OK >>⒟へNG >>油温センサ不良のため,トランスアクスルAss'yを交換する。

⒟ CVT・C/U~CVTユニット・コネクタ(油温センサ)間経路点検

①キー・スイッチをOFFにする。②CVT・C/Uコネクタ及びCVTユニット・コネクタを外す。③CVT・C/Uハーネス・コネクタ42,47番端子~CVTユニット・ハーネス・コネクタ17,19番端子間の導通を点検する。〈導通〉 42~19   :導通あり 47~17   :導通あり④ハーネスがアース又は電源とショートしていないか点検する。点検結果OK >>⒠へNG >>該当ハーネス及びコネクタを修理又は交換する。

⒠ 修理後の確認

①自己診断結果を消去し,キー・スイッチをOFFにする。②しばらく走行後,再度自己診断を実施し不具合がないことを確認する。点検結果OK >>点検終了NG >>CVT・C/Uを交換する。

-  -146-  -146

ニッサン

参考  油温センサ

CVTユニット・トランスアクスル側コネクタ17番端子~19番端子間の抵抗を点検する。〈抵抗〉 17~19  CVTフルード約20℃   :約6.5kΩ  CVTフルード約80℃   :約0.9kΩ3) 重点部位の点検・整備

⑴ CVT・C/U,コントロール・バルブAss'y及びトランスアクスルAss'y交換後の作業

CVT・C/U,コントロール・バルブAss'y又はトランスアクスルAss'yを交換した際は下記パターン表に照らし合わせて作業を実施すること。注意  ・作業が終了するまではエンジンは始動させないこと。

・CVT・C/Uを交換した直後又はコントロール・バルブAss'y又はトランスアクスルAss'y交換後(パターン

Bで記憶消去を実施後),自己診断結果に“A/T C/U・電源供給[P1701]”を表示する場合がある。この場合

CONSULT-Ⅲを使用して自己診断結果を消去後,再度自己診断を実施し異常がないことを確認すること。

CVT・C/U コントロール・バルブAss'y又はトランスアクスルAss'y 作業パターン

新品に交換 交換しない 「パターンA」

交換しない 新品又は旧品に交換

「パターンB」旧品に交換

交換しない

新品又は旧品に交換

新品に交換 新品又は旧品に交換 「パターンC」

参考  旧品とは既に他車で使用したことのある部品を示す。

イ パターンA

①CVT・C/U交換後,セレクト・レバーをPレンジで,キー・スイッチをONにする。②コンビネーション・メータのCVTポジション表示が点灯することを確認する。(キー・スイッチをONにしてから約1~2秒後に表示される。)・表示されない場合は下記の項目を点検し,もしNGならば修理又は交換する。・CVT・C/UとトランスアクスルAss'y内のROM・Ass'y間のハーネスの断線,ショート・コネクタ・ハウジングからの端子抜け,ゆるみ,曲り,たおれなどロ パターンB(図Ⅰ-28)

①各部品交換後,キー・スイッチをONにする。②CONSULT-Ⅱのコネクタを車両側のDDL2診断コネクタに接続する。③エンジンを始動する。(走行はしないこと)④CONSULT-Ⅱ画面を“開始(日産車)”“AT/CVT”“データモニタ”“主要項目”の順にタッチする。⑤“ユオンカウント”の数値が47(20℃相当)以上になるまでトランスアクスルAss'yを暖機し,キー・スイッチをOFFにする。⑥キー・スイッチをONにする。(エンジンは始動させないこと)⑦“自己診断結果”を選択する。⑧セレクト・レバーでRレンジにする。⑨左足でブレーキ・ペダルを踏みながら,右足でアクセル・ペダルを半分未満踏んだ状態(アクセル開度:約2/8)にする。

-  -147-  -147

ニッサン

⑩“記憶消去”を実施する。⑪セレクト・レバーをRレンジの状態でキー・スイッチをOFFにする。⑫キー・スイッチOFF後,約10秒待つ。⑬セレクト・レバーをRレンジの状態でキー・スイッチをONにする。(エンジンは始動させないこと)⑭“キャリブレーションデータ”を選択する。⑮“キャリブレーションデータ”の数値が消去後データと同じであることを確認する。「キャリブレーションデータ」を参照すること。・消去後の“キャリブレーションデータ”の数値が一致しない場合は,ステップ③から再度実施する。⑯セレクト・レバーをPレンジにする。⑰コンビネーション・メータのCVTポジション表示が表示されることを確認する。(セレクト・レバーをPレンジにしてから約1~2秒後に表示される)・CVTポジション表示が表示されない場合は下記の項目を点検し,もしNGならば修理又は交換する。・CVT・C/UとトランスアクスルAss'y内のROM・Ass'y間のハーネスの断線,ショート・コネクタ・ハウジングからの端子抜け,緩み,曲がり,たおれなど・CVT・C/Uの電源及びアース経路。

図Ⅰ-28 キャリブレーション・データ

ハ パターンC

①トランスアクスルAss'yを先に交換してから,CVT・C/Uを交換する。②「パターンA」の作業を実施する。(もし,先にCVT・C/Uを交換した場合は「パターンB」の作業を実施する。)

-  -148-  -148

ニッサン

⑵ CVTコントロール・ケーブルの調整(図Ⅰ-29,30)

①セレクト・レバーをPレンジにする。注意  車輪を1/4以上回転させ,必ずパーク・ロックを掛け

ること。

②ロック・ナット(⬅)を取り外し,コントロール・ケーブルをマニュアル・レバーから切り離しフリーな状態にする。・インヒビタ・スイッチ(RE0F08B型)③マニュアル・レバーをPレンジの位置にする。④コントロール・ケーブルを9.8N(約1kg)の力で引き,手を放しフリーな状態にしてロック・ナット(⬅)を仮り締めする。⑤ロック・ナット(⬅)を規定トルクで締め付ける。RE0F08A型:14.7N・m(1.5kg-m)RE0F08B型:48.0N・m(4.9kg-m)注意  締め付け時,マニュアル・バルブには力を加えないこ

と。(特に前後方向)

⑥CVTポジションが正しいか確認する。

図Ⅰ-29 RE0F08A型

図Ⅰ-30 RE0F08B型

⑶ Gセンサ脱着,交換,CVT・C/U又はECM交換後の作業

Gセンサ脱着,交換,CVT・C/U又はECM交換をした場合は,Gセンサのキャリブレーション作業を実施する。①車両を平たん路に駐車する。②タイヤの空気圧を規定圧に調整する。③CONSULT-Ⅲのコネクタを車両側のDDL2診断コネクタに接続する。④Gセンサのキャリブレーションを実施する。イ CONSULT-Ⅲの機能(Gセンサ・キャリブレーション)

①“開始”をタッチする。注意  ・エンジンは始動させないこと。

・“Gセンサキャリブレーション”を実施中は車両を揺らさないこと。

②表示項目を確認する。・Gセンサ・キャリブレーションが完了した場合は,“完了しました。”と表示される。・Gセンサ・キャリブレーションが完了しなかった場合は,“実行できませんでした。”と表示される。・Gセンサ・キャリブレーションが完了しなかった場合は,再度ステップ①~②を実施する。③自己診断を実施し不具合がないことを確認する。

-  -149-  -149

ニッサン

参考

1) RE0F08A型

⑴ CVTシステム回路図

-  -150-  -150

ニッサン

⑵ サーキット・テスタによる基準値(参考値)

CVTコントロール・ユニット端子配列

端子番号 配線色 項目 操作又は測定条件 基準値

1 BR ライン圧ソレノイドエンジン暖機後,アクセル・ペダルから足を放す。 約5.0~7.0Vエンジン暖機後,アクセル・ペダルをいっぱいに踏み込む。 約1.0V

2 O セカンダリ圧ソレノイドエンジン暖機後,アクセル・ペダルから足を放す。 約5.0~7.0Vエンジン暖機後,アクセル・ペダルをいっぱいに踏み込む。 約3.0~4.0V

3 Y ロックアップ・ソレノイド 走行時

ロックアップ締結時 約6.0Vロックアップ解除時 約1.0V

4 V ロックアップ/セレクト切り替えソレノイド

Nレンジ及びPレンジ・セレクト時 電源電圧R,Dレンジ又はLレンジにセレクトしてから5秒以上経過後 約0V

5 L CAN通信H線 - -6 P CAN通信L線 - -

8 V リバース・ランプ・リレー

Rレンジ・セレクト時 約0V

上記以外 電源電圧

10 R 電源キーSWをONにする 電源電圧キーSWをOFFにする 約0V

11 W ステップ・モータACONSULT-Ⅱのパルス幅(HIレベル)測定機能を使用し,キーSWをON後2秒以内で測定する※

注意  通常の診断データ・リンク・ケーブルも車両側診断コネクタに接続しておくこと。

※:この項目はサーキット・テスタによる測定ができない。

30.0msec

12 GR ステップ・モータB 10.0msec

13 G ROM・Ass’y - -14 Y ROM・Ass’y - -15 L ROM・Ass’y - -

19 R 電源キーSWをONにする 電源電圧キーSWをOFFにする 約0V

20 SB ステップ・モータCCONSULT-Ⅱのパルス幅(HIレベル)測定機能を使用し,キーSWをON後2秒以内で測定する※

注意  通常の診断データ・リンク・ケーブルも車両側診断コネクタに接続しておくこと。

※:この項目はサーキット・テスタによる測定ができない。

30.0msec

21 P ステップ・モータD 10.0msec

24 BR スタータ・モータ・リレー

キーSWをONかつセレクト・レバーをN,Pレンジ時 電源電圧キーSWをOFF又はキーSWをONかつセレクト・レバーをN,Pレンジ以外 約0V

25 B アース 常時 約0V

27 V インヒビタSW1P又はLレンジ・セレクト時 約12.0V

上記以外 約0V

28 Y 電源(バックアップ) 常時 電源電圧

-  -151-  -151

ニッサン

端子番号 配線色 項目 操作又は測定条件 基準値

29 R セカンダリ・プーリ回転センサ

Dレンジ20km/h走行時 CONSULT-Ⅱのパルス周波数測定機能を使用 注意  通常の診断データ・リンク・ケーブルも車両側診断コ

ネクタに接続しておくこと。※:この項目はサーキット・テスタによる測定ができない。

約600Hz

32 GR インヒビタ SW3(モニタ)

P,R又はNレンジ・セレクト時 約8.0~12.0V上記以外 約0V

34 R インヒビタSW2P又はRレンジ・セレクト時 約10.0~12.0V上記以外 約0V

35 W インヒビタSW3P,R又はNレンジ・セレクト時 約8.0~12.0V上記以外. 約0V

36 P インヒビタSW4P,N又はLレンジ・セレクト時 約10.0~12.0V上記以外 約0V

37 L セカンダリ圧センサ Nレンジ・アイドル回転時 約0.8V

38 SB プライマリ・プーリ回転センサ

Lレンジ20km/h走行時 CONSULT-Ⅱのパルス周波数測定機能を使用 注意  通常の診断データ・リンク・ケーブルも車両側診断コ

ネクタに接続しておくこと。 ※:この項目はサーキット・テスタによる測定ができない。

約1000Hz

41 BR プライマリ圧センサ Nレンジ・アイドル回転時 約0.7~1.2V42 LG センサ・アース 常時 約0V46 O センサ電源 キーSWをONにする 約5.0V

47 G 油温センサCVTフルード約20℃ 約2.0V

CVTフルード約80℃ 約1.0V

48 B アース 常時 約0V

参考  電圧値は各端子~25又は48番端子(アース端子)間の参考数値である。

⑶ ダイアグノーシス一覧(RE0F08A型)

〈表示項目一覧〉

不具合系統名表示 異常検出条件 異常の場合の点検項目CAN通信系※1

[U1000]CVT・C/UがCAN通信信号を2秒以上続いて送受信できなかったとき。 CAN通信線及び各C/U

コントロール・ユニット(CAN)[U1010]

CVT・C/U内のCANコントローラの初期診断に異常が検出したとき。 CVT・C/U

スタータ・リレー[P0615] P又はNレンジでOFFになってる場合。 スタータ・リレー経路

ブレーキSW[P0703]

ストップ・ランプSWのON/OFFが切り替わらない場合。

ストップ・ランプSW経路,コンビネーション・メータ,CAN通信線

インヒビタSW[P0705] 異常なレンジ信号が入力された場合。 インヒビタSW経路

油温センサ[P0710]

走行中,油温センサの信号電圧が異常に高い,又は低い場合。 油温センサ経路

プライマリ回転センサ※2

[P0715]

・断線などにより,プライマリ・プーリ回転センサの信号が入力されない場合。

・走行中に異常信号が入力された場合。プライマリ・プーリ回転センサ経路

車速センサ※3

[P0720]

・断線などにより,セカンダリ・プーリ回転センサの信号が入力されない場合。

・走行中に異常信号が入力された場合。・ステップ・モータ位置通りに変速しない場合。

セカンダリ・プーリ回転センサ経路

-  -152-  -152

ニッサン

不具合系統名表示 異常検出条件 異常の場合の点検項目エンジン回転速度入力[P0725]

・走行中,エンジン回転速度が異常に低い場合。・ECMとのCAN通信に異常が検出された場合。

CAN通信線,エンジン回転信号経路及びECM

ベルト異常[P0730] 異常な変速比を検出した場合。

プライマリ圧センサ経路,セカンダリ圧ソレノイド経路,ステップ・モータ,セカンダリ圧センサ経路,ライン圧ソレノイド経路,セカンダリ・プーリ回転センサ経路,プライマリ・プーリ回転センサ経路

ロックアップ・ソレノイド[P0740]

断線,短絡などにより,ロックアップ・ソレノイドに正規の電圧が掛からない場合。 ロックアップ・ソレノイド経路

ロックアップ機能・A/T[P0744]

走行中,ロックアップ指令を出している状態で,スリップ回転が大きい場合。

ライン圧ソレノイド経路,ロックアップ・ソレノイド経路,ロックアップ/セレクト切り替えソレノイド経路,セカンダリ・プーリ回転センサ,プライマリ・プーリ回転センサ,ECM,ロックアップ制御システム

ライン圧ソレノイド[P0745]

断線,短絡などにより,ライン圧ソレノイドに正規の電圧が掛からない場合。 ライン圧ソレノイド経路

ライン圧ソレノイド機能[P0746]

ライン圧が異常に低いことにより,異常なLOW側の変速比を示した場合。

ライン圧ソレノイド経路,セカンダリ・プーリ回転センサ経路,プライマリ・プーリ回転センサ

セカンダリ圧ソレノイド機能[P0776]

走行中,セカンダリ圧が指令値に対して異常に高い,又は低い場合。

ライン圧ソレノイド経路,セカンダリ圧ソレノイド経路,セカンダリ圧センサ経路

セカンダリ圧ソレノイド[P0778]

断線,短絡などにより,セカンダリ圧ソレノイドに正規の電圧が掛からない場合。 セカンダリ圧ソレノイド経路

セカンダリ油圧センサ[P0840]

走行中,セカンダリ圧センサの信号電圧が異常に高い,又は低い場合。 セカンダリ圧センサ経路

油圧センサ機能[P0841]

セカンダリ圧センサとプライマリ圧センサの値の相関が規格外となった場合。

セカンダリ圧センサ経路,プライマリ圧センサ経路

プライマリ油圧センサ[P0845]

走行中,プライマリ圧センサの信号電圧が異常に高い,又は低い場合。 プライマリ圧センサ経路

セカンダリ圧低下[P0868]

走行中,セカンダリ圧が指令値に対して異常に低い場合。

ライン圧ソレノイド経路,セカンダリ圧ソレノイド経路,セカンダリ圧センサ経路

A/T・C/U・電源供給※4

[P1701]

キーSWをONからOFFにしたとき,CVT・C/Uへの電源(バックアップ)が供給されなくなり,学習機能が停止した場合。

メモリ・バックアップ用電源経路

スロットル・センサ信号[P1705]

・ECMとのCAN通信に異常が検出された場合。・ECMから異常な信号が送られてきた場合。 CAN通信線及びECM

車体速信号[P1722]

ABSアクチュエータ・C/Uからの車速信号と車速センサ信号の値に大きな差があった場合。

CAN通信線及びABSアクチュエータ・C/U

CVT回転センサ機能[P1723]

ステップ・モータ位置通りに変速しないことにより,回転センサ異常を検出した場合。注意  同時に,プライマリ回転センサ[P0715],車

速センサ[P0720],エンジン回転速度入力[P0725]のいずれかが表示される。

セカンダリ・プーリ回転センサ経路,プライマリ・プーリ回転センサ経路,エンジン回転信号系統

電制スロットル・コントロール[P1726]

ECMがスロットル・ポジション・センサ系統異常になった場合。 ECM

LU-セレクト切り替えソレノイド[P1740]

断線,短絡などにより,ロックアップ/セレクト切り替えソレノイドに正規の電圧が掛からない場合。

ロックアップ/セレクト切り替えソレノイド経路

ライン圧コントロール[P1745] CVT・C/Uが異常なライン圧を検出した場合。 CVT・C/U

-  -153-  -153

ニッサン

不具合系統名表示 異常検出条件 異常の場合の点検項目ステッピング・モータ[P1777]

断線,短絡などにより,ステップ・モータの各コイルに正規の電圧が掛からない場合。 ステップ・モータ経路

ステッピング・モータ機能[P1778]

ステップ・モータのステップ数と実変速比が大きく違う場合。

ステップ・モータ経路,セカンダリ・プーリ回転センサ経路,プライマリ・プーリ回転センサ

※1:CAN通信系[U1000]を含む複数の不具合が発生した場合は,まず,CAN通信系統「DTC U1000 CAN通信系」の故障診断を行う。

※2:プライマリ・プーリ回転センサを示す。※3:セカンダリ・プーリ回転センサを示す。※4:CVT・C/Uを交換した直後又は,トランスアクスルAss'y交換後(パターンBで記憶消去を実施後),自己診断結果に“A/T

C/U・電源供給[P1701]”を表示する場合がある。この場合CONSULT-Ⅱを使用して自己診断結果を消去後,再度自己診断を実施し異常がないことを確認すること。

-  -154-  -154

ニッサン

2) RE0F08B型

⑴ CVTシステム回路図

イ 2006.12~

-  -155-  -155

ニッサン

⒜ サーキット・テスタによる基準値(2006.12~)(参考値)

CVTコントロール・ユニット端子配列

端子番号 配線色 項目 操作又は測定条件 基準値

1 BR ライン圧ソレノイドエンジン暖機後,アクセル・ペダルから足を放す。 約5.0~7.0Vエンジン暖機後,アクセル・ペダルをいっぱいに踏み込む。 約1.0V

2 O セカンダリ圧ソレノイドエンジン暖機後,アクセル・ペダルから足を放す。 約5.0~7.0Vエンジン暖機後,アクセル・ペダルをいっぱいに踏み込む。 約3.0~4.0V

3 Y ロックアップ・ソレノイド 走行時

ロックアップ締結時 約6.0Vロックアップ解除時 約1.0V

4 V ロックアップ/セレクト切り替えソレノイド

Nレンジ及びPレンジ・セレクト時 電源電圧R,Dレンジ又はLレンジにセレクトしてから5秒以上経過後 約0V

5 L CAN通信H線 - -6 P CAN通信L線 - -

10 R 電源キーSWをONにする 電源電圧キーSWをOFFにする 約0V

11 W ステップ・モータACONSULT-Ⅲのパルス幅(HIレベル)測定機能を使用し,キーSWをON後2秒以内で測定する※

注意  通常の診断データ・リンク・ケーブルも車両側診断コネクタに接続しておくこと。

※:この項目はサーキット・テスタによる測定ができない。

30.0msec

12 GR ステップ・モータB 10.0msec

13 G ROM・Ass’y - -14 Y ROM・Ass’y - -15 L ROM・Ass’y - -

18 V PレンジSWPレンジ・セレクト時 電源電圧

上記以外 約0V

19 R 電源キーSWをONにする 電源電圧キーSWをOFFにする 約0V

20 SB ステップ・モータCCONSULT-Ⅲのパルス幅(HIレベル)測定機能を使用し,キーSWをON後2秒以内で測定する※

注意  通常の診断データ・リンク・ケーブルも車両側診断コネクタに接続しておくこと。

※:この項目はサーキット・テスタによる測定ができない。

30.0msec

21 P ステップ・モータD 10.0msec

22 R RレンジSWRレンジ・セレクト時 電源電圧

上記以外 約0V

25 B アース 常時 約0V

26 W NレンジSWNレンジ・セレクト時 電源電圧

上記以外 約0V

28 Y 電源(バックアップ) 常時 電源電圧

-  -156-  -156

ニッサン

端子番号 配線色 項目 操作又は測定条件 基準値

29 R セカンダリ・プーリ回転センサ

Dレンジ20km/h走行時 CONSULT-Ⅲのパルス周波数測定機能を使用 注意  通常の診断データ・リンク・ケーブルも車両側診断コ

ネクタに接続しておくこと。※:この項目はサーキット・テスタによる測定ができない。

約600Hz

30 Y 電源(バックアップ) 常時 電源電圧37 L セカンダリ圧センサ Nレンジ・アイドル回転時 約0.8V

38 SB プライマリ・プーリ回転センサ

Lレンジ20km/h走行時 CONSULT-Ⅲのパルス周波数測定機能を使用 注意  通常の診断データ・リンク・ケーブルも車両側診断コ

ネクタに接続しておくこと。 ※:この項目はサーキット・テスタによる測定ができない。

約1000Hz

42 LG センサ・アース 常時 約0V

43 SB DレンジSWDレンジ・セレクト時 電源電圧上記以外 約0V

44 P LレンジSWLレンジ・セレクト時 電源電圧上記以外 約0V

46 O センサ電源 キーSWをONにする 約5.0V

47 G 油温センサCVTフルード約20℃ 約2.0V

CVTフルード約80℃ 約1.0V

48 B アース 常時 約0V

参考  電圧値は各端子~25又は48番端子(アース端子)間の参考数値である。

-  -157-  -157

ニッサン

ロ 2008.1~

-  -158-  -158

ニッサン

⒜ サーキット・テスタによる基準値(2008.1~)(参考値)

CVTコントロール・ユニット端子配列

端子番号 配線色 項目 操作又は測定条件 基準値

1 BR ライン圧ソレノイドエンジン暖機後,アクセル・ペダルから足を放す。 約5.0~7.0Vエンジン暖機後,アクセル・ペダルをいっぱいに踏み込む。 約1.0V

2 O セカンダリ圧ソレノイドエンジン暖機後,アクセル・ペダルから足を放す。 約5.0~7.0Vエンジン暖機後,アクセル・ペダルをいっぱいに踏み込む。 約3.0~4.0V

3 Y ロックアップ・ソレノイド 走行時

ロックアップ締結時 約6.0Vロックアップ解除時 約1.0V

4 V ロックアップ/セレクト切り替えソレノイド

Nレンジ及びPレンジ・セレクト時 電源電圧R,Dレンジ又はLレンジにセレクトしてから5秒以上経過後 約0V

5 L CAN-H - -6 P CAN-L - -

10 R 電源キーSWをONにする 電源電圧キーSWをOFFにする 約0V

11 W ステップ・モータA CONSULT-Ⅲのパルス幅(HIレベル)測定機能を使用し,キーSWをON後2秒以内で測定する※

※:この項目はサーキット・テスタによる測定ができない。

30.0msec

12 GR ステップ・モータB 10.0msec

13 G ROM・Ass’y - -14 Y ROM・Ass’y - -15 L ROM・Ass’y - -

18 V PレンジSWPレンジ・セレクト時 電源電圧

上記以外 約0V

19 R 電源キーSWをONにする 電源電圧キーSWをOFFにする 約0V

20 SB ステップ・モータC CONSULT-Ⅲのパルス幅(HIレベル)測定機能を使用し,キーSWをON後2秒以内で測定する※

※:この項目はサーキット・テスタによる測定ができない。

30.0msec

21 P ステップ・モータD 10.0msec

22 R RレンジSWRレンジ・セレクト時 電源電圧

上記以外 約0V

25 B アース 常時 約0V

26 W NレンジSWNレンジ・セレクト時 電源電圧

上記以外 約0V

28 Y 電源(バックアップ) 常時 電源電圧

29 R セカンダリ・プーリ回転センサ

Dレンジ20km/h走行時 CONSULT-Ⅲのパルス周波数測定機能を使用 ※:この項目はサーキット・テスタによる測定ができない。

約600Hz

37 L セカンダリ圧センサ Nレンジ・アイドル回転時 約0.8V

-  -159-  -159

ニッサン

端子番号 配線色 項目 操作又は測定条件 基準値

38 SB プライマリ・プーリ回転センサ

Lレンジ20km/h走行時 CONSULT-Ⅲのパルス周波数測定機能を使用 ※:この項目はサーキット・テスタによる測定ができない。

約1000Hz

42 LG センサ・アース 常時 約0V

43 SB DレンジSWDレンジ・セレクト時 電源電圧上記以外 約0V

44 P LレンジSWLレンジ・セレクト時 電源電圧上記以外 約0V

46 O センサ電源 キーSWをONにする 約5.0V

47 G 油温センサCVTフルード約20℃ 約2.0V

CVTフルード約80℃ 約1.0V

48 B アース 常時 約0V

参考  電圧値は各端子~25又は48番端子(アース端子)間の参考数値である。

⑵ ダイアグノーシス一覧(RE0F08B型)

〈表示項目一覧〉

不具合系統名表示 異常検出条件 異常の場合の点検項目CAN通信系※1

[U1000]※6CVT・C/Uが,CAN通信信号を2秒以上続いて送受信できなかったとき。 CAN通信線及び各C/U

コントロール・ユニット(CAN)[U1010]※6

CVT・C/U内のCANコントローラの初期診断時に異常を検出したとき。 CVT・C/U

ブレーキSW[P0703]

ストップ・ランプSWのON/OFFが切り替わらない場合。

ストップ・ランプSW経路,コンピネーション・メータ,CAN通信線

インヒビタSW[P0705]※6 異常なレンジ信号が入力された場合。 インヒビタSW経路

油温センサ[P0710]※6

走行中,油温センサの信号電圧が異常に高い,又は低い場合。 油温センサ経路

プライマリ回転センサ※2

[P0715]※6・断線などにより,プライマリ・プーリ回転センサの信号が入力されない場合。

・走行中に異常信号が入力された場合。プライマリ・プーリ回転センサ経路

車速センサ※3

[P0720]※6

・断線などにより,セカンダリ・プーリ回転センサの信号が入力されない場合。

・走行中に異常信号が入力された場合。・ステップ・モータ位置通りに変速しない場合。

セカンダリ・プーリ回転センサ経路

エンジン回転速度入力[P0725]

・走行中,エンジン回転速度が異常に低い場合。・ECMとのCAN通信に異常が検出された場合。

CAN通信線,エンジン回転信号経路及びECM

ベルト異常[P0730] 異常な変速比を検出した場合。

セカンダリ圧ソレノイド経路,ステップ・モータ,セカンダリ圧センサ経路,ライン圧ソレノイド経路,セカンダリ・プーリ回転センサ経路,プライマリ・プーリ回転センサ経路

ロックアップS/V[P0740]※6

断線,短絡などにより,ロックアップ・ソレノイドに正規の電圧が掛からない場合。 ロックアップ・ソレノイド経路

ロックアップ機能・A/T[P0744]※6

走行中,ロックアップ指令を出している状態で,スリップ回転が大きい場合。

ライン圧ソレノイド経路,ロックアップ・ソレノイド経路,ロックアップ/セレクト切り替えソレノイド経路,セカンダリ・プーリ回転センサ,プライマリ・プーリ回転センサ,ECM,ロックアップ制御システム

ライン圧ソレノイド[P0745]※6

断線,短絡などにより,ライン圧ソレノイドに正規の電圧が掛からない場合。 ライン圧ソレノイド経路

-  -160-  -160

ニッサン

不具合系統名表示 異常検出条件 異常の場合の点検項目

ライン圧ソレノイド機能[P0746]※6

ライン圧が異常に低いことにより,異常なLOW側の変速比を示した場合。

ライン圧ソレノイド経路,セカンダリ・プーリ回転センサ経路,プライマリ・プーリ回転センサ

セカンダリ圧ソレノイド機能[P0776]※6

走行中,セカンダリ圧が指令値に対して異常に高い,又は低い場合。

ライン圧ソレノイド経路,セカンダリ圧ソレノイド経路,セカンダリ圧センサ経路

セカンダリ圧ソレノイド[P0778]※6

断線,短絡などにより,セカンダリ圧ソレノイドに正規の電圧が掛からない場合。 セカンダリ圧ソレノイド経路

セカンダリ油圧センサ[P0840]※6

走行中,セカンダリ圧センサの信号電圧が異常に高い,又は低い場合。 セカンダリ圧センサ経路

油圧センサ機能[P0841]

走行中,セカンダリ圧が指令値に対して異常に高い場合。

ライン圧ソレノイド経路,セカンダリ圧ソレノイド経路,セカンダリ圧センサ経路

セカンダリ圧低下[P0868]

走行中,セカンダリ圧が指令値に対して異常に低い場合。

ライン圧ソレノイド経路,セカンダリ圧ソレノイド経路,セカンダリ圧センサ経路

Gセンサ異常※4

[P1585]断線,短絡などにより,Gセンサに正規の電圧が掛からない場合。

Gセンサ経路,CAN通信線,CVT・C/U,ECM

A/T C/U・電源供給※5

[P1701]

キーSWをONからOFFにしたとき,CVT・C/Uへの電源(バックアップ)が供給されなくなり,学習機能が停止した場合。

メモリ・バックアップ用電源経路

スロットル・センサ信号[P1705]

・ECMとのCAN通信に異常が検出された場合。・ECMから異常な信号が送られてきた場合。 CAN通信線及びECM

車体速信号[P1722]

ABSアクチュエータ・C/Uからの車速信号と車速センサ信号の値に大きな差があった場合。

CAN通信線及びABSアクチュエータ・C/U

CVT回転センサ機能[P1723]

ステップ・モータ位置通りに変達しないことにより,回転センサ異常を検出した場合。注意  同時にプライマリ回転センサ[P0715],車速

センサ[P0720 ],エンジン回転速度入力[P0725]のいずれかが表示される。

セカンダリ・プーリ回転センサ経路,プライマリ・プーリ回転センサ経路,エンジン回転信号系統

電制スロットル・コントロール[P1726]

ECMがスロットル・ポジション・センサ系統異常になった場合。 ECM

LU-セレクト切り替えソレノイド[P1740]※6

断線,短絡などにより,ロックアップ/セレクト切り替えソレノイドに正規の電圧が掛からない場合。

ロックアッブ/セレクト切り替えソレノイド経路

ライン圧コントロール[P1745] CVT・C/Uが異常なライン圧を検出した場合。 CVT・C/U

ステッピング・モータ[P1777]※6

断線,短絡などにより,ステップ・モータの各コイルに正規の電圧が掛からない場合。 ステップ・モータ経路

ステッピング・モータ機能[P1778]※6

ステップ・モータのステップ数と実変速比が大きく違う場合。

ステップ・モータ経路,セカンダリ・プーリ回転センサ経路,プライマリ・プーリ回転センサ

・※1:CAN通信系[U1000]含む複数の不具合が発生した場合は,まず,CAN通信系統の故障診断を行う。・※2:プライマリ・プーリ回転センサを示す。・※3:セカンダリ・プーリ回転センサを示す。・※4:車輪を空転させた場合,自己診断結果に“Gセンサ異常[P1585]”を表示する場合がある。この場合CONSULT-Ⅲを使

用して自己診断結果を消去後,再度自己診断を実施し異常がないことを確認すること。・※5:CVT・C/Uを交換した直後又は,トランスアクスルAss'y交換後(パターンBで記憶消去を実施後),自己診断結果に

“A/T C/U・電源供給[P1701]”を表示する場合がある。この場合CONSULT-Ⅲを使用して自己診断結果を消去後,再度自己診断を実施し異常がないことを確認すること。

・※6:これらの項目はOBDシステムに対応している。